・いっせ〜の〜せ!・
壁に掛けられたのは0歳から6歳までの子どもが描いた絵です
大人には何が描かれているのかよく分からないとても不思議な絵
(長谷さん)これ変わってますわ。
面白い絵だね。
これが「ワタクシ」?
か〜っと描いてんですけどいい絵だよね。
絵がしゃべる?
一体どういう意味なのでしょう?
子どもの絵を見つめ続けて50年になります
(田多先生)幕?うん。
保育士達は絵に表れる子どもの気持ちを読み取ろうと一生懸命です
わ〜い!
子どもの絵には言葉にならない思いが詰まっています
一緒に耳を傾けてみませんか?
8つある公立保育園全てで子どもの絵から心の内を読み取る保育を続けて来ました
大きな画用紙に小さな絵
筆の動きが弱く余白がたくさん残っています
描いたのは川島栞奈ちゃんカンちゃんです
入園してまだ3か月
気持ちを開放できず友達と遊んでいても消極的です
うんヒロちゃん葉っぱ付けてるね。
(保育士)ん?
(栞奈ちゃん)こんなんしか。
いまひとつ自信が持てずにいるカンちゃん
水遊びもズボンが濡れるのが気になります
(園児)冷たくな〜い。
他の子が楽しそうに遊ぶのをただ見ているだけ
春から描きためた絵を1人ずつ順に並べて行きます
絵の見方を教える長谷さんは若狭町に住む現代美術作家
もともとは学校の先生でした
カンちゃんの絵はどうなんでしょう
あれ描いてこれ行くっちゅうのは。
力あるんだけどちょっと出せる出せない時の波があるね周りに左右されず自分を思い切って出して行けるっちゅうかそういうところにつながるといいね。
(田多先生)これが一番最近です。
あ〜そう…。
うん。
この中に自分…。
(田多先生)まだ自分が出てないから…?中にいるねん。
中にいるの幕の向こうに。
長谷さんはカンちゃんの絵から心の変化をこう読み取りました
6月
画用紙いっぱいに思い切って描いた絵
ところが1か月後には小さい絵
気持ちの浮き沈みが見えるといいます
8月
自分を幕の向こうに閉じ込めてしまったそうです
(保育士)うんうん…。
うん。
絵から心を読み取る保育
それは30年前に始まりました
保育園の園長だった松宮妙子さんが長谷さんに園児の絵を見せた時のこと
…と言う松宮さんに長谷さんが返した言葉は…
(松宮さん)完璧に…。
先生が教えた絵で…。
はみ出さずに行儀良く描いた絵
それは大人が指導して描かせたものでした
ということは保育全体も大人が枠にはめているのではないか…
そんな保育では子どもに生きる力は付かない
松宮さんはまず子どもの心と体を開放させようと山や川で思いっきり遊ばせました
第1に考えたのは子どもの自主性
やがてその取り組みが全ての公立保育園に広がって行ったのです
遊具やおもちゃもなくしました
あれから30年
今も子ども達は水土木自由な空間で工夫して遊んでいます
保育士の口出しもなしです
お絵描きの時間は決められていません
描きたくなったらいつでもOK
汚れたってへっちゃら
使うのは水彩の絵の具
子どもが好きな水に近いので気持ちが出しやすいそうです
保育園に入って1年が経ちます
絵から見えて来る健翔くんの姿を園長はこんなふうに受け止めていました
(左近園長の声)ちょっとこう引っ込み思案なところがあって自分をうまく表現するのがちょっと苦手かなっていうふうに感じてるんですけど自信を付けてあげることでもっともっと健翔くんの持ってるいいものが出て来るんじゃないかなと思って…。
・そこ滑るし気を付けてな・
夏川へ行った時のことです
健翔くんは初めての川遊びでちょっと戸惑い気味
みんな気持ち良さそうに泳いでいます
健翔くんは?
行けた!
(健翔くん)わ〜い!わ〜い!やっほほっほほ…やほほ…。
わ〜い!うわ〜。
お〜い。
(園児)わ〜い!
その日の午後
健翔くんは絵を描きたくなりました
以前は余白を残した絵が多く引っ込み思案と思われていた健翔くん
どんな絵になるのでしょう
健翔くんが春から描いた絵を順に並べ長谷さんと見て行きます
これえらく変わったじゃない。
(池上先生)そうですね。
この日午前中川行って昼から描いた絵になります。
そりゃそうですね。
まだこれから…。
何かを作り上げて行くっちゅう…。
健翔くんの内面の変化
長谷さんは一体絵のどこから読み取っているのでしょう
自分を守ろうとしている。
本当に自信持って「自分よ!」ってなると真ん中へ出て来るんです。
それが広がるんですねそれがこういう形になって来るんですね。
この真ん中に入って広がったという。
しかも色は全ての水色青黒赤という4色を思い切って使って自信がもうかなり完全に出て来て思い切って自分の世界を出せたという絵ですね。
フリースクールで今も教壇に立つ長谷さん
非行や引きこもりで学校に行けなくなった生徒と向き合っています
教員時代から心に藤を抱える生徒を見て来ました
か〜っとそうそう…。
そうすると気持ちがすっきりして来るだろ?もうちょっとここ丁寧に塗らなあかん。
行き詰ったり壁に突き当たってる子ども達の成育史をしゃべってくとね振り返って行くとやはり…乳幼児期の過ごし方というかどれぐらい…。
そういうのを…。
これがやっぱ問題になってって…。
その時にストレスを持つと…。
よりこの…。
…という気がするんですね。
行儀がいいん違う?
ため込んだストレスを発散できる
それも絵の力だと長谷さんは言います
幕を張った絵
この中に自分を閉じ込めたという川島栞奈ちゃん
泥遊びも水遊びも消極的だったカンちゃんです
今日は木に登ろうと頑張っています
(田多先生)頑張れ。
できん。
(田多先生)できんか?
同じ年のケイちゃんも一緒です
あっケイちゃんがほら上手に登ったな。
(ケイちゃん)ケイちゃんが登れる。
ケイちゃん登れる!カンちゃんカンちゃん…。
(田多先生)ケイちゃん教えてくれるんか?登り方。
あ〜お母ちゃんがいい。
(多田先生)カンちゃんも登りたかったからな。
お母ちゃんがいい!
(田多先生)ホンマやな。
保育士はあえて口を出さずに見守ります
自分達で解決することが力になると信じているからです
お母ちゃん!
(栞奈ちゃんの泣き声)
(栞奈ちゃん)お母ちゃん!お母ちゃんがいい!お母ちゃんがいい!
(ケイちゃん)あんな…。
(田多先生)うん…。
ここに…ここ持って…。
ここ…。
(田多先生)ここ足やって…。
うわ!上手。
すごいケイちゃん。
(ケイちゃん)すごいでしょケイちゃん。
うんカンちゃんもやってみるって。
できそう。
(田多先生)あできそう。
(田多先生)できたねカンちゃん。
自分の力で木に登れたカンちゃん
するとこんな絵が生まれました
(田多先生)ぐ〜っと何かこれは上から下にビッと下ろして来とんですけど何か面白いなと思って…。
ガ〜っていう感じ力強い感じがして…。
何かちょっと変わって来たかなみたいなちょっとうれしくて。
6月と7月カンちゃんは気持ちの浮き沈みが見える絵を描きました
じゃあこの絵は?
よく出たねこのへんはね。
最初はちょっとまだ混乱してたけどね。
だんだんまとまって来て…。
自分を出して一生懸命自己主張言いたいことを言えるようになって…。
ど〜んっと…。
絵がしゃべり出した
この縦の線はカンちゃんの自己主張だそうです
自己を主張するっちゅうのは相手のことを聞くっちゅう深みが出て来るわけ人間関係に。
それだけ感情が豊かになって行くわけよ。
そりゃそうだよこんだけしゃべるようになったんだから。
なかなかね面白い。
楽しみですねいいんじゃないですかね。
絵から心を読み取る保育が今熊本や愛媛など全国7つの県35の保育園へ広がっています
ここ大矢野あゆみ保育園でもたくさんあった遊具を全てなくして10年
子ども達は工夫して遊ぶようになりました
(園児)あ〜そうだ!ここがさ…。
あ〜いい考えした!ここに…。
(園児)いっぱい来たら立ってるけん。
(園児)ここで止めろ。
(園児)OK!
(園児)落ちんって絶対…。
離してほら。
ほ〜らね落ちんて言った通り…。
年に2回ここを訪れる長谷さん
母親と一緒に絵を見て行きます
友達とのケンカが多い6歳の一人っ子の絵です
やっぱりちょっとこれは3歳から4歳に出て来る絵だよね。
自分と相手とこう描くんだけど言いたいこと言い合ってる感じで一緒に手を取り合ってるというところがないね。
これ最後の絵よどう?
(笑い)暗いな。
この子はもうすぐ保育園を変わることが決まっていました
その不安な気持ちが絵に表れたのでしょうか?
僕も実は一人っ子なのよ。
6歳の男の子が自立して行くためにはどうしたらいいのか?
お母さんと一緒に考えます
社会のルールの中でうまく最初は生きれない。
かわいいですか?かわいいですね。
かわいいんやろ。
かわいいです。
少し今日から変えてもらおうかお母さんの在り方。
少し距離持って子どもに距離持って。
かわいいでしょうけど6歳だから。
自分で主体的に何でも自分でやるように。
時にはお母さんにも絵を描いてもらいます
「絵には自分が表れる」そのことを感じてほしいのです
壁に掛けられたのは子どもの絵
お母さんの絵と比べてみると?
トンビがタカを生んだ感じ。
(笑い)ね〜この絵はいいよね。
この子はやっぱりなかなかいいね。
これは…。
2番目ぐらいがやっぱちょっと鍛えられてるんだよね。
だからちょっと…。
これあなたの絵は周り1cm残して行儀が良過ぎます。
そんなことないです。
ハハハ…。
ねぇ割とこう…慎重なんやね。
幕から抜け出して絵に自己主張が表れたという川島栞奈ちゃんです
自己主張の絵から3か月
また絵に幕が張りました
この時期ぐらいからカンちゃんおんぶしてって言うようになって来たんやもんね。
(保育士)今その…。
やっぱりみんなが…。
甘えをしっかり受け止めてあげればきっと次への一歩になる
頑張ったところを褒めてできたできんじゃなくて…。
(保育士)カンちゃんの団子見せて。
ホンマに真ん丸のええのできたな。
私キレイやで。
(栞奈ちゃん)真ん丸…。
見逃してしまいがちな小さな変化を読み取る
こんな保育をもう30年続けています
夏に川で遊んだ後自信にあふれる絵を描いた清水健翔くん
違う!
保育士は最近の健翔くんの絵が気になっていました
(健翔くん)アカンぞ。
こことかも何か…。
…っていうのは。
健翔くんの心に迷いや藤があるのではないかと考えています
(健翔くん)お前!下りろ!チッ下りろ!あ〜!
この頃の健翔くんは友達とぶつかることが増えていました
でも保育士は黙って見守ります
どうしたら友達と気持ちが通うのか自分で気付いてほしいのです
じっと待つこと2か月
保育士は健翔くんの絵に変化を感じていました
(左近園長)まだ自分の中ではいろいろこう…悩みがあるような感じはするけどこう…周りとのこの境っていうのもしっかり区別ができて何かそういう仲間関係とかが健翔くん自分で整理が着いて来て…。
何かこう…周りとかが見えだしたんかなって。
力強く渦を巻いた塊は健翔くん
どっしりして来たといいます
どうやって作る?はーちゃん。
大丈夫やろ?
最近は友達とも楽しく遊べるようになりました
全部…。
あ〜お〜!
健翔くん随分男らしくなったように見えます
自信に満ちたいい顔です
絵を見ることはその子の心を見つめること
信じること
一生懸命子どもの絵と向き合う保育士達
この子はもう何をするのももうとにかく100%の力を出して一生懸命遊ぶのも食べるのも怒るのも思いのままに。
絵はしっかりしてますねはい。
これ明快でしょ。
これ個性あると思うんだけどどういう子だろうね。
ムードメーカーで自己主張もすごいできるし力もあってよく遊びます。
子どもの思いがあふれる絵
そう思うとどの一枚も何だかいとしく思えて来ます
今日もまた絵がおしゃべりを始める
エヘヘ。
大地を埋め尽くす除染廃棄物
その行き場がない
中間貯蔵施設を造れば人々はふるさとを失うことになる
2014/03/24(月) 00:50〜01:20
読売テレビ1
NNNドキュメント「おしゃべりな絵 子どもの声が聞こえますか」[字]
福井県の保育園では、絵から心の内側を読み取り、子どもの自立心や意欲を育む取り組みを続けてきた。保育士に絵の見方を指導するのは元美術教師の長谷光城さん(70)だ。
詳細情報
番組内容
福井県若狭町の8つの町立保育園で、30年続けてきた取り組みがある。「子どもが描いた絵から心の内側を読み取り、自立心や意欲を育む」。保育士に絵の見方を指導するのは元美術教師の長谷光城さん(70)。絵の具の色や線の引き方などから心の奥を読んでいく。青一色で塗りつぶした3歳の女の子。小さな塊を描く5歳の男の子。そこには自信を持てない自分が潜んでいると言う。保育士は、大自然の中へ連れ出してみた。すると…?
出演者
【ナレーター】
玉川砂記子
制作
福井放送
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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