サイエンスZERO「待ったなし!地球温暖化対策 最前線」 2014.03.23

(テーマ曲)150を超える国々の政府関係者と科学者たちが地球温暖化について報告書を取りまとめる…その38回目の総会がいよいよ今月25日から横浜で開かれます。
今回の目的それは温暖化の影響適応脆弱性に関する最新の科学的知見をとりまとめる事。
地球温暖化といえばこのところ世界各地で相次いでいる猛暑や寒波大雪といった異常気象との関係が気になりますよね?最新研究によればこのまま温暖化が進むと超大型の台風や集中豪雨が頻発するという怖い予測も!そんな中対策が求められているのが二酸化炭素の削減です。
そこで注目されているのが二酸化炭素をぐんぐん吸い取る新物質!それが…。
えっゼリー!?一体これ何?果たして私たちは二酸化炭素を削減し地球温暖化を食い止められるのか?その最新研究に迫ります!
(南沢)ええっ?あのゼリー何ですかね?あれが温暖化を食い止める?ちょっと分かんないですね。
何か食べられそうですよね。
おいしそうですよね。
ですが食べる訳ではないんです。
へえ〜。
やっぱり地球温暖化の問題ってもう深刻になってきてて最先端技術を結集しないと乗り切れないところまで来てる感じがしますよね。
う〜んそうですね。
そうした中3月25日から29日までIPCCの総会が横浜で開かれます。
去年9月にはスウェーデンで開かれて「ZERO」でも取り上げました。
その時は地球温暖化の原因は人間の活動にあるとほぼ断定しました。
これからですね世界中で熱波や豪雨などの被害が増える可能性が高いのではないかと予測しています。
確か海面が最大で82cmも上昇するとかいう話もありましたよね。
あと東京や大阪で海抜ゼロメートル地帯が増えちゃうって。
いやホント大変ですよね。
今回のこの横浜のIPCCの総会というのはその続きっていう事ですねスウェーデンの。
特に今回大きく取り上げられるのが適応策というものなんです。
適応策?要するに温暖化した社会にどう適応すればいいかという事を今回考えるっていう事ですよね。
IPCCの統括執筆責任者のお一人である国立環境研究所の肱岡靖明さんに今回議論される適応策というのがどういったものなのかお話を伺ってきました。
このほかにも熱中症や伝染病などの予防対策あと水資源が減った時の対策更にはこのあと温暖化によって増えると予測されている台風や高潮など災害への対策など幅広い議論が行われる予定なんです。
気温が上がり続けてもそれをなんとか乗り切る対策を考えていこうって結構事態は深刻なのかなって感じましたね。
気になりますよね。
こちらをご覧下さい。
IPCCの報告書では2000年ごろに比べて今世紀末までに最大で4.8℃上がると予測しているんです。
でもこれって確か積極的な温暖化対策をとらなかった場合ですよね?そうなんですよね。
逆に積極的に温暖化対策をとった場合には青いグラフのようになります。
この青い線にするためには…ゼロってねえ?いくら省エネ頑張ってもちょっと難しいような気がするんですよね。
ですよね。
なので今この温室効果ガスの中でも地球温暖化への影響が大きいといわれている二酸化炭素をつかまえてある場所に閉じ込めちゃうという技術が注目されているんですよ!ある場所に閉じ込めちゃう?え〜どういう事だろう?田園風景に姿を現したのはとある実験施設。
タンクに入っているのは液体状の二酸化炭素。
この大量の二酸化炭素をある場所に閉じ込めてしまおうという実験が行われたんです。
一体どこに閉じ込めたのでしょうか?実験を担当した地球環境産業技術研究機構の薛自求さんです。
え〜?二酸化炭素を地中に埋めるってどういう事?実験では気体に戻した二酸化炭素を高圧ポンプで1年かけて地中へ送り込みました。
その量…これは火力発電所が一日で出す二酸化炭素の量とほぼ同じです。
しかしどこにでも二酸化炭素を埋められる訳じゃないんです。
実はこの実験施設の地下1,100メートル付近には帯水層と呼ばれる地下水を豊富に含んだ軟らかい地層があります。
そこに二酸化炭素を封じ込めたのです。
これが実際の帯水層から取り出されたサンプル。
砂や岩が堆積して出来た地層で無数の隙間が空いています。
顕微鏡で見た帯水層です。
青く示した部分には地下水がたまっています。
ここに二酸化炭素を高圧で送り込むと…地下水を押し出してこの隙間の中にたまっていくんです。
でもこのままだといずれ二酸化炭素が隙間から抜け出しちゃわない?実はこの場所地下の帯水層の上に岩石の層が広がっているんです。
それがこのキャップロックという水も空気も通さない粘土質の岩石。
キャップロックが蓋のようになる事で帯水層に閉じ込めた二酸化炭素が地表に漏れ出さないと期待されているのです。
本当にうまく閉じ込められるのか?地下に閉じ込めた1万トンの二酸化炭素の様子を観察し続けました。
その結果です。
これは実験施設の地下の断面図。
線で示したキャップロックの層のすぐ下にある黄緑色の部分が二酸化炭素です。
これが二酸化炭素の注入を完了した2005年の時の状態。
それから…そして…長い年月がたっても二酸化炭素はほとんど移動する事なく地下にたまっている事が確かめられたのです。
へえ〜。
地下に埋めちゃったんですね。
10年ぐらいたってもほとんど二酸化炭素が変化してなかったですね。
だけど地下に埋める事で環境に影響ってないんですかね?今のところですね行われている実験ではそういった影響というのは見られていません。
これはですねCCS…これ大量に二酸化炭素を出す施設から二酸化炭素を捕まえて地面の中に押し込めてしまえとそういう技術なんですよ。
へえ〜。
既に二酸化炭素を大量に排出する施設でこのCCSの実証実験の準備が始まっているんです。
その場所がこちら。
これ白いタンクのようなものがあるの分かりますか?何かの工場ですかね?北海道苫小牧市にあるんですけれども白いものは製油所のタンク。
ではどんな計画なのかこちらで詳しくご説明しましょう。
お〜変わりましたね!ね〜。
これはですね苫小牧市にあるCCS実験施設です。
まずこちらがガスの供給施設となる製油所です。
ここで二酸化炭素を含む排ガスが発生します。
その排ガスが管を伝って分離・回収基地に移動。
ここで二酸化炭素だけが取り出されます。
それが更に管を伝って圧入基地へと運ばれるとここで二酸化炭素が圧縮されます。
それが地下およそ1,100メートルと地下およそ2,400メートルの辺りに広がる帯水層へと送り込まれるんです。
実験では3年間で30万トンの二酸化炭素を閉じ込める予定なんです。
へえ〜。
苫小牧の地下には二酸化炭素をためる層が2つあるんですね。
そうですね。
この2つの帯水層にため込める最大の二酸化炭素の量というのは大体5,000万トンというふうに見積もられてるんですね。
5,000万トン!どれぐらいですか?1つの石炭火力発電所が出す二酸化炭素の15〜16年分って感じですかね。
結構たまりますね。
そうですね。
これを日本全国で同じ事をやったとすると最大で1,400億トンをため込む事ができるらしいと。
すごいですね100年分!結構たくさんですよね。
でもちょっと気になるんですけどこの分離・回収基地そもそも…そうですよね。
排気ガスの中には二酸化炭素のほかにも窒素とか水素とか水蒸気とかいろんな成分が入ってますからね。
それがある特別な液体を使うと二酸化炭素だけを簡単に取り出す事ができるんです。
特別な液体?その特別な液体を使って二酸化炭素を捕まえる研究を行っている研究室。
一体どんな液体なの?う〜ん。
一見ただの水みたいですけど…。
これでどうやって二酸化炭素を捕まえられるんでしょうか?そこで実験!準備したのは普通の水とアミン水溶液です。
まずは普通の水に二酸化炭素を吹き込みます。
すると二酸化炭素の泡が勢いよく飛び出しました。
同じように二酸化炭素をアミン水溶液に吹き込むと…ほら泡が小さくなり量も減っていますよね!アミン水溶液に二酸化炭素が吸収されているんです。
水の場合二酸化炭素は吸収されずにそのまま泡となって液体の外へ出てしまいます。
ところがアミン水溶液の場合二酸化炭素はアミンと水との化学反応を起こし重炭酸イオンとアンモニウムイオンに変化します。
こうして液体中に溶けてしまうんです。
…とここである事をすると溶けた二酸化炭素が再び出てきます。
二酸化炭素が溶けたアミン水溶液を熱するんです。
すると泡が勢いよく飛び出してきました!溶けていた二酸化炭素です。
熱が加わると重炭酸イオンとアンモニウムイオンが再びアミンと水二酸化炭素に逆戻りする化学反応が起きるという訳。
この時の温度はおよそ120℃。
アミン水溶液って二酸化炭素を自在に入れたり出したりできる不思議な液体なんです。
え〜不思議でしたね。
何か手品を見ているようでしたよね。
その不思議なアミン水溶液奈央さんの前にあります。
お〜!これが…。
何か普通の水にしか見えないんですけど。
でもこれが二酸化炭素を吸収したり吐き出したりする訳ですもんね。
でも実際の施設ではどうやって二酸化炭素をこれを使って捕まえるんですかね?こちらをご覧下さい。
製油所などから出た排ガスはまず吸収塔に運ばれます。
ここではアミン水溶液がシャワーのように降り注いで排ガスの中の二酸化炭素だけを吸収するんです。
次に二酸化炭素を吸収したアミン水溶液再生塔という装置に送られます。
ここで120℃に加熱されてアミン水溶液から二酸化炭素が分離されるんです。
へえ〜。
何かお風呂入ってるみたいですね。
ただちょっと問題があって…なのでコストがちょっとかかってしまうんですね。
その費用なんですけれども二酸化炭素1トン当たりおよそ4,200円。
この実験では30万トンの二酸化炭素を分離・回収するので12億6,000万円。
うわ〜結構かかりますね。
もう一つ問題があって溶液を加熱する時に何か必要じゃありません?そこで現在より低い温度で二酸化炭素を取り出すためにさまざまな分子構造のアミン水溶液を作る開発というのが盛んに行われているんです。
じゃあホント二酸化炭素を取り出す温度が下がればコストもエネルギーも少なくなる訳ですよね。
更にもっと効率よく二酸化炭素を取り出すための最新技術その開発が行われている研究室を大学時代化学を専攻していた私が取材に行ってきました!お〜!わ〜楽しみ。
福岡県九州大学にやって来ました。
こちらに二酸化炭素を分離・回収する画期的な物質があるそうです。
早速行ってみましょう。
こんにちは〜。
「サイエンスZERO」の中村と申します。
星野です。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
アミン水溶液を進化させたすごい新素材を開発したのが星野友さん。
一体どんなすごいものなんでしょうか?早速見せてもらうと…。
あれ?何だかゼリー状の物体。
これ何〜?従来のアミン水溶液をゲル状にしたアミンゲル。
ゼリー状にしただけで何が違う訳?という訳で中村アナアミンゲルの実力を確かめる実験に挑戦!久しぶりに白衣に袖を通します。
気合い十分の中村アナ。
まず先ほどのアミンゲルを溶剤に溶かしプラスチックの容器にたらして広げます。
これを加熱すると…。
アミンゲルが固まってプラスチックの容器にくっつきました。
これが二酸化炭素を取り込むフィルターの役割を果たすのです。
このフィルターに両端から管が出ている蓋を取り付けます。
容器の内部は細い通路のようになっていて排ガス中の二酸化炭素ができるだけ多くアミンゲルに触れるようになっています。
入れます!この容器に一般的な工場の排ガスとほぼ同じ窒素9割二酸化炭素1割の混合ガスを送り込みます。
ガスはホースを伝ってアミンゲルの詰まった容器の中を通りガスの濃度を検知する測定機へと送られます。
グラフの高い山が窒素そして低い山が二酸化炭素の濃度です。
測定開始から5分。
二酸化炭素の濃度が急激に減少。
当初の3/3程度になりました。
もっとも二酸化炭素を取り込む温度や量はアミン水溶液とほぼ同じです。
注目するのはここから。
今度は温度の高い水槽に容器を浸しゲルを加熱していくと…。
ゲルに閉じ込められた二酸化炭素が再び出てきました。
アミン水溶液が二酸化炭素を放出する温度はおよそ120℃でしたよね?じゃあアミンゲルの温度は?アミンゲルはアミン水溶液よりもずっと低い75℃という温度で二酸化炭素を取り出す事ができました。
一体どうして〜?プルプルとしたゲル状のアミン。
これをぐぐ〜んと超拡大してみると…。
こんなふうに100万分の1ミリという超ミクロなゲル粒子の中に水とアミンが含まれた状態になっています。
二酸化炭素を取り込む時アミン水溶液と同じように二酸化炭素はアミンと水との化学反応を起こして重炭酸イオンとアンモニウムイオンに変わります。
水溶液と違うのは取り出す時です。
このゲル粒子温度が75℃になると水を外に放出して収縮する性質があるのです。
すると再び重炭酸イオンは二酸化炭素に戻り気体となって出てくるという仕掛け。
中村さんさまになってました。
あっホントですか?かっこよかったですよ。
ありがとうございます。
久々に白衣着て実験したのでものすごくテンション上がりました。
本題にいきますがこちらがそのアミンゲルです。
ちょっと竹内さんどうぞ。
アミン水溶液をこうやってゼリー状にするだけで120℃じゃなくて75℃で二酸化炭素が取り出せるって何かすごい大進歩じゃないですか!すごいですよね。
ただ75℃とはいえそれなりにまたエネルギーってかかっちゃいますよね?これは効率的ですよね!すごい!アミンゲル省エネですね。
ただ…実際の工場など大きな施設で二酸化炭素を吸収するためにはどんなシステムにすればいいのか。
星野さんたちが研究を進めています。
是非頑張って頂きたいですね。
ですよね〜。
更にもう一つご紹介したい技術があります。
こちらです。
排ガスの中の二酸化炭素を捕まえるもう一つの最新技術。
研究開発者の…早速見せてもらうと…。
えっこれですか?紙の膜みたいですがこれでどうやって二酸化炭素を取り出すの?実はこの膜の材料に使われているのもアミンで出来た特殊な素材です。
どうやって使うのか。
まずはこの膜を何重にも巻いて筒状の形にします。
この筒の外側に高い圧力で排ガスを送ると二酸化炭素だけが膜を通り抜けて筒の内側に送られそれ以外のガスと分離される仕組みです。
膜には無数の小さな穴が開いています。
排ガス中の二酸化炭素と水蒸気が穴の入り口でアミンと結合。
例の化学反応が起きて二酸化炭素は重炭酸イオンに変化します。
そのまま膜の穴を通過していき穴の出口でアミンと離れる際に再び二酸化炭素に戻ります。
この間穴は重炭酸イオンに塞がれてほかのガス成分は穴を通過できません。
こうして二酸化炭素だけをほかのガスから取り出そうっていう仕掛けなんです。
アミンを液体にしたりゲルにしたり。
今度は膜ですけどいろんな使い方をして二酸化炭素を捕まえようとしているんですね。
でも高い圧力で排気ガスを膜に吹きつけるだけで二酸化炭素が取り出せるんだとしたらもしかしたらあまり大きな施設とか設備要らないかもしれないですよね。
そうですよね!ただ…ですから…いずれにしろ水溶液ゲルそれから膜それぞれこうメリットがあると思うのでうまく組み合わせて使う感じになるんですかね。
そうですよね。
こういう技術を使ってとにかく排出される二酸化炭素を捕まえて地下にため込んじゃおうという訳ですよね。
だけど…確かに埋めっ放しという訳にもいかないので多分…二酸化炭素を再利用できるんですか?はい。
二酸化炭素をリサイクルして循環させる事も可能になる訳です。
すごい壮大なプロジェクトなんですね。
今回横浜で開かれるIPCCでは地球温暖化が進んだ時にどうすればいいかという対策を論じる訳ですけれども今後ですね二酸化炭素の排出そのものを減らしていくっていう事がどうしても必要ですよね。
二酸化炭素を地下に閉じ込めちゃうっていう発想が結構びっくりで…。
ただそれで安心せずにやっぱりもともとの排出量を減らしていく努力をしなきゃいけないなって私も改めて考えさせられましたね。
それでは「サイエンスZERO」。
次回もお楽しみに。
2014/03/23(日) 23:30〜00:00
NHKEテレ1大阪
サイエンスZERO「待ったなし!地球温暖化対策 最前線」[字]

温暖化による異常気象の増加や環境変化は今後ますます深刻化?それを防ぐ最善策は二酸化炭素の大幅削減だ。排ガス中の二酸化炭素を除去する、いま大注目の最新技術に迫る!

詳細情報
番組内容
3月25日から横浜で開催される国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)総会。従来の予測以上に深刻な温度上昇や海面上昇が懸念されるという最新報告を受け、社会がどう対処するかが議論される。原因となる二酸化炭素の大幅な削減は、もはや待ったなしの状況だ。そこで注目されるのが、排ガス中の二酸化炭素をつかまえて地中に閉じ込めるという驚きの最新対策! 世界に先駆ける日本の二酸化炭素削減技術の最前線に迫る。
出演者
【司会】南沢奈央,竹内薫,中村慶子,【語り】江藤泰彦

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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