朝の体操はこの辺で。
どうぞ良い日曜日をお過ごし下さい。
「NHK俳句」第2週の選者は小澤實さんです。
どうぞよろしくお願い致します。
今日の兼題は「独活」ですけれども冒頭の句は小澤さんの…?そうですね独活も五官を刺激する季語なんですけども特に切った時の断面の白が印象的で作ってみました。
「白より白きものもなし」という白を重ねて白を強調してそして歯応えのシャキシャキした感じ。
それがこの句から響いてきたらいいんじゃないかなと思ってます。
香りもしてきますしね。
今日もまたよろしくお願い致します。
ゲストをご紹介致します。
今日は編集者の鈴木忍さんにお越し頂きました。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
鈴木さんは60年以上続く俳句の総合誌で初の女性編集長として活躍されています。
今日は初めてのテレビ出演という事ですけれども小澤さんから是非という事で。
テレビの力と雑誌の力というものを通して俳句の新たな面を考えてみたいと思っております。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
私が編集長になったのは弱冠37歳の時でしてホントにさっきご紹介頂いたように初めての女性編集長という事で大変プレッシャーも大きくあったんですけれども女性らしいというよりはむしろ自分らしいというところを生かしてやっていけたらなと思って3年半たちました。
ご自分らしさというのはどんなところですか?自分自身がとても自然が好きで自然保護の活動をしたりですね…。
例えば?例えば熊を守る会というそういう活動をしたりですねあとは自分で実際に植樹に行ったりとか…。
木を植えに?木を植えに行ったりとかですね。
あとつい先日も網走までワカサギ釣りに仲間と行ってきたりそういうような事もやっていて夏には山歩きとかも致しますし俳句を通してこういう自然を日本のホントに豊かな自然というのを伝えていけたらと思っています。
知りませんでした。
いろんな面が…。
そうなんです。
意外にアウトドアな。
そうなんですね。
熊を守る取り組みというのも…。
熊っていうのはやはり大型動物でして熊のいる森っていうのはとても豊かな森の象徴であるといわれてますのでそういった事も注意していきたいなと思ってます。
そんな鈴木さんが小澤さんの句で気になる句があるんだそうですね。
ご紹介下さい。
これは昨年小澤先生と島根県の隠岐後鳥羽院俳句大会というのにご一緒させて頂きましてその時の一句です。
馬の尿とか鶯の糞というのは芭蕉も詠んでいるんですがそういう場所に…。
場所によってはとても放牧された馬とか牛がたくさんいてそういう落とし物もそこら中にあるというエリアがあるんですね。
その雄大な自然というのを前にただ美しく詠むというのではなくてそれこそ芭蕉の詠んでいる馬の尿とか鶯の糞とかそういったものに通じる心があるなと思いました。
それと馬の糞をやっぱり踏まれたんでしょうかね?ええ。
実はそうなんですか?たくさんあって踏まないと歩けないんですよ。
そういうところさえも句にしてしまう。
それをやっぱり自分でおかしんで歌っている。
そういう少年のような心が感じられて小澤さんならではの一句だなと思いました。
糞が好きなんです。
そうなんですか。
どうだったんですか?実際は…。
それを通して隠岐の大きな空とか大地が思い出されて…。
なかなか懐かしい句を紹介して頂いてありがとうございます。
ありがとうございます。
また後ほどよろしくお願い致します。
それでは小澤さんが選ばれました入選句ご紹介してまいります。
まず1番です。
独活を刻む時は刃物を使いますのでちょっと緊張していると思うんですけれどもそれが終わって晒している。
ちょっと解放されてリラックスした気分という事を「ハミングの時」でうまく表現されていますね。
私も今回は独活がテーマという事でふだんあまりなじみのない植物というか野菜なんですけれども買ってきていろいろと料理挑戦してみました。
どんなものをお作りになったんですか?「独活は捨てる所がない」といわれるくらいにいろんな所が食べられるんですけれども先の方は天ぷらにして皮を厚めにむいてきんぴらにしてそれから中身は酢味噌あえとか生で頂いたり煮物にしたりとたくさんあじわう事ができました。
この句はやっぱり今日は何を作ろうかなと思いながらまず独活の最初の下ごしらえとして酢水に晒しているという。
とても「ハミング」というのが気持ちいい一句だなと思いました。
鈴木さんもハミングしながら?そうですね。
さあ今度は2番です。
これは料理というもの以前の原始的な食べ方ですよね。
野性的な食べ方で。
恐らく皮はむいてるんでしょうが包丁は入れないでそのまま齧ってまたにぎり直してもう一度齧っている。
独活好きの究極の独活の楽しみ方じゃないでしょうかね。
これはやっぱりあれでしょうか取れたての独活だからこそというようなところもあるのかなと思いました。
そうでしょうね。
いろんな食べ方ができる独活ですけど丸齧りっていうのはとてもダイナミックな句だと思いますね。
調味料もつけないんじゃないでしょうか。
もう生で頂いているという事ですよね。
ピシュッと水分がパッと飛びそうな感じですよね。
では3番です。
この句は長い時間が詠まれていると思います。
眼前には独活の群れ生え出てきた独活があるんですけれどもその場所がかつて羚羊が滑ったのを見た場所で。
それが印象的だった。
そこに時間がたって独活が生えてきてるところを詠まれましたね。
自然と非常に深い関わりを持っている作者ではないかというふうに思われます。
では4番です。
楽しい句ですね。
「顔中で味はふ」がいいですね。
独活の歯応えであるとか独特の苦みであるとかそれを顔中で反応している訳ですよね。
「顔中で味はふ」というところで独特の独活の味を表現しました。
ちょっと酢味噌で酸っぱいような感じもまた表情に表れてるんでしょうね。
春が来た独活の季節だ。
ホントにお好きなんでしょうね。
では5番です。
これは「鼻力」っていうのがとてもインパクトがあるんですが先生独活というのは実際にすごく匂いが強い植物なんでしょうか?そうなんでしょうね。
独活採りの名人は鼻をきかせて独活の在りかを見つけてそれで採るんじゃないかというのをこの句で教わったようなところがありますけど鼻力っていう…恐らく造語だと思うんですがこれがインパクトが強いですよね。
その天才の風貌も想像できるような…。
楽しいですね。
楽しいですねホントにね。
今度は6番です。
独活と酒というもので一句を仕立てる句は膨大にありました。
その中でこの句は一つ抜け出ていたと思うんですけれども下五の「峡更けて」というのがよかったです。
「峡」という場所「更けて」という時間。
その2つを出す事によってだいぶ句が締まってきましたね。
この峡の奥から採れた山独活であろうという想像もつきます。
山独活だからとっても味も濃厚なんだと思うんですよね。
そこに辛口のお酒というのでとてもぜいたくな空間だなと思います。
私もお酒にはきっと生でちょっと酢味噌をつけて頂くのがおいしいんじゃないかなと思います。
お酒もお好きなんですよね?そうですね少々。
今度は7番です。
これ斬新な句でしたね。
独活を観察してるんじゃなくて自分自身が独活になっている。
自分の肉体と独活の身とが重なっていく。
自分の成長と独活の成長が重なっていく。
自分を独活にのせていくような歌い方が面白いと思いましたね。
今度は8番です。
これも楽しい句です。
見合い写真を見せに行くその口実として独活を提げている訳ですからね。
その辺が古い映画の世界のようなあじわいがありますね。
一升瓶とかタケノコではなく独活っていうのがまた…。
独活っていうのがまたこのあとの展開を想像させるものがありますよね。
いいおじさんでしょうかね。
そうですね。
今度は9番です。
「もやしうど」というのが独活の派生季語で栽培した独活の事をもやしうどといいます。
今まで読んできた句は全て一物仕立の句だったんですけれども初めて取り合わせの句が出てきました。
取り合わせを使っているというのは面白いですね。
パソコンですからね。
パソコンの中で遊んでるんじゃなくて外に出て自然を楽しもうと呼びかけてる訳ですね。
楽しい句ですね。
以上が入選句でした。
では特選三句をご紹介する前に「俳人のことば」をご覧下さい。
富安風生第一句集「草の花」の一句です。
句集を出した時風生47歳。
俳人としては遅い出発でした。
疎開先での日々を見つめた一句です。
風生は「本業を大切にその上で俳句を真剣に」という事を信条としていました。
風生は11歳年下の妻をよき伴侶としてしばしば俳句に詠みました。
それでは特選句です。
まず三席はどちらでしょう?中大路真澄さんの句です。
二席の句はどちらでしょう?天宮風牙さんの句です。
一席はどちらでしょうか?渡辺房雄さんの句です。
この句は独活の物質感がよく出てますね。
細い独活じゃないですねこれは。
相当太い独活じゃないかなという。
手で感じる事ができるような句であるのがすばらしいです。
ずっしり持ち重りのするね。
そうですね相当ですね。
相当な持ち重りですね。
以上が今週の特選でした。
ご紹介しました入選句とそのほかの佳作の作品はこちらNHKの俳句テキストに掲載されます。
俳句作りのためになる情報も参考になさって下さい。
続きまして「入選の秘訣」です。
ここを変えれば入選していたというあと一歩をクリアーするポイントです。
今日は切れ字「や」の用法についてお話ししたいと思います。
下に内容が続いていく場合は「や」を置かないという事をお話ししてみたいと思います。
こちらの句でお願いします。
「採りたき株」の株というのは山独活の株の事です。
ところがこの句では「山独活や」と切ってしまってますね。
こういう時には切らない方がいい。
「山独活の採りたき株ぞ急斜面」というふうに直してみたい。
どうしても「山独活や」って言いたくなる…。
4文字の季語だと「や」って言いたくなるんです。
気持ちいいんですよね。
それが「や」の魅力なんですがもう一度見直して下に続いていく場合は「や」は我慢するという。
もし使ってあったとしても改作してから投句するという事が大事ですね。
見直す事がとにかく大事です。
作りっ放しで送っては駄目です。
ありがとうございました。
どうぞ参考になさって下さい。
それではここで今年度1年間の入選句の中で小澤さんが年間大賞に選ばれた句お願い致します。
鈴木ふみさんの作品です。
氷柱という身近な季語を使っていながら三千世界という不思議な世界に連れていってくれた句ですね。
身近な所から巨大な世界を表現してるというふうにも言えます。
三千世界なんていう仏教の言葉がうまく生かされましたね。
おめでとうございました。
おめでとうございました。
では皆さんからの投稿のご案内です。
今月から投稿の締め切りが早まりました。
番組のホームページからも投稿できます。
それでは小澤さんの年間のテーマ「身体であじわう季語」ですね。
独活という五官を刺激する季語を取り上げてきましたけれども今日はその五官を刺激するまさにそういう句をご紹介してみたいと思います。
「盗み見しごとくに」というと何を盗み見たんだろうって…。
ちょっとドキドキしますね。
そうなんですよね。
そのドキドキさせるところがすばらしいと思うんですけど読み下ろしていきますと独活の肌が白かったと。
「独活の肌白し」が出てくるところが驚きますね。
驚かせると同時に独活という非常に官能的な食べ物の魅力というものを表現しているという事が分かります。
色にしても匂いにしてもかみ応えにしても大変官能的な野菜だと思うんですけれどもそれを余すところなく表現された句ではないでしょうか。
さあここからは鈴木さんにもお話を伺ってまいりますが鈴木さんは編集長に就任されてから出会った句でとても印象深い句があるんだそうですね。
ご紹介頂けますか?これは私が2010年の10月秋に編集長になりましてさあこれからという時5か月後に3月11日東日本大震災が発生致しました。
この句はその年の8月の俳句甲子園で出された句ですが小澤先生も行かれてましたよね。
行っておりました。
とても印象深い句だったと思います。
この佐々木さん岩手県の高校生なんですが生まれて初めてものすごく多くの人の死に接してしまってそこから生きるという事を改めてかみしめたというような気持ちが実感がとてもストレートに表現されている句だと思って高校生がこういう句を詠むんだという事に大変驚かされた一句でした。
ご自身も相当価値観が変わったとおっしゃってますよね。
やはり「俳句」という雑誌がもう間もなく創刊60周年を迎えるというような時でしたので過去のそれこそアーカイブの企画ですとかそれからこれからの若手をどんどん出していく特集をやりたいなとかいろいろ考えていて。
自分自身も自然の事が好きなので環境の問題と絡めて俳句を考えていきたいなと思っていたやさきの大震災という事でやはり俳句観とか季語観とかあと自然とどう向き合うかというところがとても大きな自分自身の編集の企画テーマとしても大きな柱となっていきました。
今発売しています3月号の方でもやはり震災から丸3年という事で震災の特集を組んでいます。
大事な特集でしたね。
日本全体としては何か目をそらそうというかやり過ごそうというような風潮を感じるんですけれどもそれに対してしっかりと震災…福島をみちのくを俳句として向き合っていこうという姿勢はとっても大事な特集であると…。
僕も参加させて頂いたんですがそういうふうに受け止めております。
その特集の中で被災地で岩手県の釜石を訪れまして俳人の高野ムツオさんと照井翠さんと…。
岩手のご出身…。
はい。
とっても重要な句集を出された2人ですよね。
そちらの方で対談を収録させて頂いたんですが実際に釜石の被災地それから大なんかを歩いてきましてやはり日本の技術をもってしても3年で復興ってここまでなのかっていうくらいまだまだ復興には程遠いなというような印象を受けました。
それだけ自然が壊れるっていうのはインパクトの大きい事なんだなと思いましたね。
なので俳句を通してもこれからどう自然と向き合っていくかという事は考えていかないといけないテーマだなと思っています。
小澤先生に以前お聞きした時に季語というものの世界が汚されてしまったのではないかとおっしゃっておられましたよね。
その辺りは今はどういうふうにお考えですか?農作物ですよね。
農作物そして山のもの。
新米であるとかキノコであるとかそういうものが放射性物質によって汚されてしまったというのはとても悲しい事で。
季語っていうのは俳人にとっては永久に輝き続けてるもののような気がしたんですけれどもそれがちょっと違ったという事がショックでしたね。
でもだからといって目をそむけてはいけなくてそういう変質したものに対しても向き合っていくっていうのが俳人としての務めであるというふうに思ってます。
そしてそこからどう書き続けていくかという事を自分自身に対しても問い続けていくという事が大事なんじゃないかと思っていますね。
テレビもそして雑誌も活字もまだまだできる事しなければならない事たくさん…まだ3年ですからね。
今日はありがとうございました。
今日は鈴木忍さんにお越し頂いてお話を伺いました。
どうもありがとうございました。
これからも楽しみに拝見致します。
ありがとうございます。
よろしくお願いします。
小澤さんまた来月もどうぞよろしくお願い致します。
それでは今日はこの辺で失礼致します。
(きてき)2014/03/09(日) 06:35〜07:00
NHKEテレ1大阪
NHK俳句 題「独活(うど)」[字]
選者は小澤實さん。ゲストは編集者の鈴木忍さん。鈴木さんは俳句総合誌の女性編集長。就任からまもなく東日本大震災が起こり、俳句の世界が変わってしまったと感じたという
詳細情報
番組内容
選者は小澤實さん。ゲストは編集者・鈴木忍さん。鈴木さんは、俳句総合誌の女性編集長。就任から間もなく東日本大震災が起こり、俳句の世界が変わってしまったと感じたという。題「独活(うど)」。【司会】桜井洋子アナウンサー
出演者
【出演】鈴木忍,小澤實,【キャスター】桜井洋子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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サンプリングレート : 48kHz
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