いささかも衰えることなくしかも雄渾にして独創的な構想力はさらにこれを凌駕しているからである」。
近代日本洋画界の異端児岸田劉生が描き続けた娘麗子の肖像。
劉生が革新的な画風を築き上げた背景には父吟香の影響がありました。
劉生と父そして娘。
3代にわたる展覧会です。
岸田劉生が描いた父の姿。
吟香は文明開化時代のジャーナリストとして活躍し後に実業家としてもその名をとどめるようになります。
代表的な仕事が日本初の本格的な和英辞書。
アメリカ人医師ヘボンと作り上げました。
吟香は漢学和学に詳しく武士町人などあらゆる言葉に通じていました。
博識な才能を買われた吟香は新聞社に採用され従軍記者として台湾へも出向いています。
錦絵に描かれた吟香の姿。
現地から巧みな文章で戦況を伝えました。
ジャーナリスト活動の一方新たな事業として液体目薬の販売に乗り出します。
それまでの粉薬とは違い効力の高さが評判を呼び日本初の液体目薬は爆発的な売れ行きを見せました。
銀座に薬屋「楽善堂」を建てた吟香。
晩年には盲学校を設立するなど明治という新時代に大きく貢献しました。
劉生が14歳の時に吟香はこの世を去りましたが父の姿勢は劉生の画家人生に受け継がれていきます。
劉生の生まれ育った街銀座。
煉瓦建築のモダンな町並み。
そこには活気あふれる街の息吹が感じられました。
こうした時代の中で劉生は画家の道を志していきます。
17歳で黒田清輝に師事した劉生は後期印象派の画風からデューラーなどの北方ルネサンスの作風にひかれていきます。
細密な写実によって描いた妻の肖像。
まるで聖母のようなたたずまいを感じさせます。
独自の視点で美を見つめ続けて描いたのが娘麗子をモデルにした作品群です。
内なる美を求める上で劉生にとってミューズ的な存在となります。
表現者としての魂は麗子に受け継がれます。
麗子は38歳で他界した父の教えを糧に生涯にわたり精力的な創作活動を続けました。
明治・大正・昭和の時代を生きた3世代の物語。
伝統的な備前焼によって表現された現代美術。
陶芸家隠一は新たな造形を追求しています。
隠はグラフィックデザインを学んだあと1,000年の歴史を誇る備前に移り住み新しい陶芸に挑戦してきました。
「UnaMistura」と名付けられたシリーズ。
作陶に向かないとして捨てられていた粗悪な土を活用して作られました。
数種類の土を混ぜて固めスライスする事によって意表をついた効果を生み出しています。
まあ少なくなった土をねいかに効率よく何か使えないかという事でまあこういうようなこれからの備前焼締めにやっぱり「捨てる土はない」というそういう思いがあって何とか社会性出ないかっていう事の実験的にね作り続けている。
最近ちょっと多くなったんですがね。
作品の特徴はデザイン性の高い造形にも現れています。
遺跡のようにも見えるこの作品。
表面を削りがきする事で質感を独特なものにしています。
土へのこだわり形の追求に加え重要な要素は焼成。
つまり焼き上げです。
(隠)工芸的なポジションで立ち位置で作ってはいるんですけれどもアート的な感覚の中に踏み込んでものを創作っていう形の時には火任せとかね窯任せっていう形では自分たちは陶印というのは入れますから。
陶印がどこまで生きるかっていう事はやっぱり追求しなきゃいけないと思うんです。
焼成もコントロールできるようにやっぱりこう常に鍛錬して知識とデータを積み上げていって初めてそれがこういうたき方をすればこういう変化が出るんだ模様が出るんだっていう事は何回かね何十年かやってるとだんだんと確率が強くなってくるんですよね。
「また作れますか?」って言われた時に「作れます。
はい」と言えるようなものの極限まで攻めたい。
岩手県の南部鉄器。
その伝統から現代までを紹介しています。
南部鉄器の重厚な姿には手仕事を大切にする東北ならではのぬくもりが感じられます。
その魅力は外国からも注目されています。
伝統技法を深めながら新しい時代をも感じさせる作品も制作されています。
海外のティーサロンの目に留まり現代風にデザインされた南部鉄器。
カラフルで斬新なセンスです。
世界に誇るメイド・イン・ジャパン。
伝統と現代が織り成す共演。
第26回平櫛田中賞にアメリカ在住の彫刻家大平實が選ばれました。
大平は廃材などをチップにして新しい表現を試みてきました。
木材の力強さと美しさを掘り起こしています。
おおらかな造形性とユーモアが同居する作品。
アメリカのパサデナふるさと新潟の自然若き日を過ごしたメキシコなどさまざまな情景が込められています。
古来から縁起の良い「松竹梅」をテーマにした展覧会です。
風雪に耐えまっすぐに伸びる竹。
高潔な精神の象徴として愛されてきました。
厳しい寒さの中ひときわ香り高く花をつける梅。
いち早く花を咲かせる事から再生・延命の象徴として理想の姿とされてきました。
古代から日本で用いられてきた青銅の鏡。
松をくわえる鶴の姿があります。
人々は縁起の良い吉祥モチーフとしてこの図柄を重宝してきました。
日本民藝館で開かれた茶会の写真。
客座には主催者柳宗悦。
隣には…茶会で使用された茶器は柳の独自の目で選ばれました。
実際に使用された「霰釜」。
江戸時代に作られた名品です。
柳は茶の道に入る事はありませんでしたが独自の意識を持っていました。
柳の茶と美を紹介する展覧会です。
茶人たちの曇らない直感によって選ばれた朝鮮時代の井戸茶碗。
名も知れぬ陶工が残したいわば雑器です。
柳は井戸茶碗に民芸の精神と通じるものを感じていました。
作意のない本来の美しさをそこに見ていたのです。
鹿児島で見つけた「蕎麦掻碗」。
窯の中で現れた偶然の景色が雑器の持つ素朴な美しさを引き立てます。
沖縄のジーファーと呼ばれるべっ甲のかんざし。
柳は美しさに心を打たれジーファーを基に茶杓を作りました。
「伝統に基づいた新作」と記しています。
西洋の陶器も率先して茶器に見立てました。
茶入れとして選ばれたのはオランダ製の小壺。
華やかさの中に茶器の味わいを見つけています。
ふだんの暮らしの中にも茶を取り入れた柳。
卓上に並ぶのは実際に使用していた茶器の数々。
柳は茶事を茶室だけにとどめず日常に生かす事を勧めました。
型にとらわれず新しい茶への思いを提示した精神。
60年近くたつ今でも新鮮さを失っていません。
2014/02/23(日) 09:45〜10:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽岸田吟香・劉生・麗子 知られざる精神の系譜[字]
「岸田吟香・劉生・麗子 知られざる精神の系譜」(世田谷美術館 2月8日〜4月6日)ほか、展覧会情報
詳細情報
番組内容
「岸田吟香・劉生・麗子 知られざる精神の系譜」(世田谷美術館 2月8日〜4月6日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0×0808)
EventID:11544(0x2D18)