イッピン選「薄くきらめく羽衣〜福島 川俣シルク〜」 2014.03.09

さあ皆さんお待ちかね!登場するのは日本生まれの「イッピン」。
優れた技が生み出す珠玉の宝。
今日はどんな技が飛び出すのか?いらっしゃいませ。
やってきたのは携帯電話会社の販売店。
制服のスカーフに使われているのは見た目も軽やかなシルク!このスカーフに使われているシルクはある地方の織物技術が生み出したもの。
そして今この生地がヨーロッパの一流ブランドから注目されています。
パリで活躍するデザイナーが作った高級スカーフ。
さてこのシルクの生産地とは?福島県川俣町で作られ300年以上の伝統を誇ります。
今日はおしゃれ大好きモデルとしても活躍する中島史恵さんが川俣シルクを徹底リサーチ。
こんにちは〜。
こちらが川俣シルクで作ったスカート。
洋服の素材としても人気です。
ちょっと変わりますもんね。
ラインをこう作れて。
張りがあるのにとっても柔らくその上上品な光沢も。
福島では今新たな挑戦が始まっています。
それが世界一の薄さを目指すシルクの開発。
果たして究極の織物とは一体…?今回は福島川俣シルクの魅力にとことん迫ります!阿武隈山地に囲まれた福島県川俣町。
川俣シルクはここで作られています。
人口およそ1万5,000の町には40社近くの絹織物関連の会社が今も伝統を守っています。
なぜ今川俣シルクが注目されているのでしょうか?その秘密を探っていきましょう!こちらは川俣シルクを織り続けて94年という織物工場。
たて糸を上下運動させその間にシャトルと呼ばれるケースに入ったよこ糸を左右に動かして通しながら織っていきます。
ハイスピードカメラで見てみると織られている様子がよ〜く分かります。
出来上がった織物がこちら。
一見簡単に織られているようですが…。
実はここに川俣シルクの伝統技術が存分に生かされています。
職人歴50年の工場長安田時雄さんです。
そんなに細いんですか?そのくらい細いですね。
へぇ〜。
ほんとに細い糸なんですね。
(安田)そうです。
蚕が繭を作る時に出す細い糸がシルクの糸。
一般的に使われる事が多いシルクの糸は髪の毛のおよそ半分の太さ0.06ミリ。
それに対し川俣シルクは3分の1の太さのもの。
マイクロスコープで拡大して比較すると違いがよく分かります。
更にもう一つの特徴が。
そうロープと同じ原理ですね。
川俣シルクはあえてよりをかけない事で絹本来の柔らかい感触を生かそうとしてきました。
こうして織り上げられた薄いシルクは「軽目羽二重」と呼ばれ美しい透明感を醸し出します。
ではどうやって細い糸を切る事なく織れるのでしょうか?ここで問題です。
この容器の中で糸を切れにくくするためにある事をしています。
それは何?3つの中から選んで下さい。
何ですか?一応お湯なんです。
お湯につかってるんですね。
そうすると?これはよこ糸をお湯に浸す「濡れよこ」という技法。
お湯の温度は50〜60度。
これより低いと糸が裂けてしまい高いと糸が柔らかくなりすぎます。
お湯加減は職人の長年の経験が導き出した絶妙な温度なのです。
この濡れたよこ糸をシャトルに入れるため巻き取ります。
よこ糸の周りに水しぶきが上がっているのが分かります。
濡れたままの糸で素早く織っていく。
これが髪の毛3分の1ほどしかない細い糸を切らずに織っていく技なのです。
でも全てを機械任せにする訳ではありません。
品質を保つためある職人たちが大切な作業をしています。
たて糸をよ〜く見てみると…針金のような金具で糸を引っ張り上げ上下運動させているのが分かります。
ここでたて糸を傷めず織るにはある職人の技が必要なのです。
そんな職人を訪ねる事にしました。
伺ったのは…。
あれ?工場ではなく民家のようですが…。
こんにちは。
佐藤しげえさん。
40年間工場からある作業を任されてきました。
機織りのね前の準備なんですよね。
あ〜ありますね。
たて糸を動かす金具の5ミリの穴に細い糸を次々に通していきます。
手先の器用さが求められる細かい仕事です。
しげえさんはおよそ5,000本の糸を1日で通し終えるといいます。
うん?そじる?よじる?う〜ん…何て言ったらいいかな?弱ってくる。
はいはい。
傷物があるから。
ああ。
そっか。
これだけいっぱいあると中にはね。
なるほどね〜。
しげえさんの仕事を支えてきたのが夫の富雄さん。
これ高くね。
おとうさんが?やってくれたの。
おとうさんすごいですね。
奥さんみたい。
優しいおとうさんですね。
おとうさんから見ておかあさんはどうですか?大したもんだね。
大したもんですよね。
(富雄)俺はほんと感謝してる。
夫婦で力を合わせた地道な仕事が高い品質を支えてきました。
こうして丁寧に織られたシルクの糸が透明感あふれる極上の軽目羽二重となります。
う〜んビューティフル!川俣町は古くから絹織物の産地として知られていました。
江戸時代から養蚕が盛んで湿度を保ちやすい盆地だった事など絹織物作りに適した条件がそろっていたのです。
更に薄くて軽いシルクが生まれたのはある逆転の発想があったからだといいます。
その知恵とは少ない生糸でできるだけ薄く織るという工夫でした。
その結果透明感と軽さが評判を呼び薄手のスカーフとして輸出され大人気を博したのです。
こちらは川俣シルクと一緒に海外に贈られたカレンダー。
明治から昭和初期にかけて川俣シルクは世界に大きく羽ばたいていったのです。
シルクの人気を支えているもう一つの理由。
それは薄いのになぜか暖かいという事。
そこでその機能を確かめるための実験を行いました。
協力して頂いたのは杉野服飾大学の軽部幸恵さんと学生の皆さんです。
3人にちょっと肌寒い屋外に出てもらいました。
最初にストールを巻く前の首回りの温度を測ってみましょう。
う〜ん皆さん首もとが寒そうですね。
次にシルクのストールを首に巻いて10分間じっとして頂きます。
ただいまの外気温は8.7度です。
では実験スタート!皆さん震えています。
果たして結果はいかに?10分後。
首回りの温度は全員上がりました。
夏は汗をかいてもサラサラです。
シルクが醸し出すこの優雅な光沢。
糸の断面は三角形をしています。
内部を見ると一本一本の中にも繊維があります。
この構造を模型で再現してみました。
三角形の筒に透明な棒を詰め光を当ててみると…。
複雑な方向に光が拡散していくのが分かります。
絹糸独特の構造が光を乱反射させ美しい光沢を生み出していたのです。
機能性と美しさを兼ね備えたシルクには自然素材ならではの特徴があったんですね。
それではここでシルクの柔らかさ透明感を存分に生かしたストールの巻き方をご紹介!教えてくれるのはファッションジャーナリストの宮田理江さんです。
なるほど〜。
それでは寒い冬に暖かくなるような巻き方って教えて頂けます?はい。
まずこれを頭に…。
頭に?そうなんです。
かけて頂いて。
でそれで片方をですねそのまま後ろに持っていってもう片方も後ろに持っていきます。
で普通にこぶ結びをして頂きます。
そのあとにこれをそのままふわっと後ろに。
よかった。
私今そのまま…。
あっなるほど〜。
冬場にやっぱりアウターがボリュームがあるものが多いと思うんですね。
厚手のコートにもバランスよくマッチ。
フェースラインもすっきり!あったかいボリューム巻き寒い時期是非お試しあれ!次は夏に向けて涼しげな巻き方をご紹介。
夏場は首回りをすっきりとさせたいのでちょっと一工夫。
まずかけて頂いて片方を普通に結んで頂いて。
ほうほうほう。
でちょっと長さを胸元辺りまで持ってきて頂いてそこにこれを…。
入れるんですね。
へぇ〜すごい!ちょっとタイのような雰囲気になります。
ストールが流れるように落ち縦のラインが強調されて全体のシルエットがシャープに。
ビジネスシーンにもなじみやすいスタイルです。
更にはこんなふうにも。
でここもあの〜ちょっと調節して頂いて例えば上に持ってきて頂いて例えばこうちょっとずらして頂いてこんなふうにして頂くと…。
結び目をちょっとずらすだけで雰囲気ががらりと変わります。
次は今年の春夏のトレンドを先取り。
シルクのストールを服のように羽織ってみます。
首にかけて頂いて片方を長めにして頂きます。
そして長い方を後ろに持っていきまして…。
ウエストを一周させもう片方と結びます。
すると…。
夏場になるとまたこの…。
ノースリーブの上からちょっとこう。
シースルーでね。
シースルーで。
おしゃれですよね。
そうなんですか。
ですのでそういった春夏のトレンドも上手に取り入れる事ができます。
すご〜い。
透明感のあるシルクを着る感覚でアレンジする。
夏の肌に優しい巻き方です。
1年中大活躍のシルク。
皆さんもワンランクアップのおしゃれを楽しみませんか?最盛期には400軒ほどあった川俣町の織物会社。
海外の製品に押され今では40社に減ってしまいました。
そんな苦境を乗り越えようと川俣シルクは町一丸となって新たな挑戦を始めています。
若者のファッションに生かせないかと新進気鋭のデザイナーに制作を依頼。
出来上がった作品とは?デニムとシルクのコラボレーション。
ちょっと意外な組み合わせですが可能性が広がりそうですね。
そして今川俣シルクの新しい生地に世界の一流ブランドが注目しています。
それがこのシルク。
通常の川俣シルクの糸は髪の毛3分の1の細さですがこちらはなんと6分の1。
超極細の糸で織られたまるで羽のようなシルクなのです。
一体どうやってここまで薄いシルクを織り上げる事ができたのでしょうか?中島さんが訪れたのは創業60年の織物工場。
ごめんください。
あ〜音がすごい。
どうぞいらっしゃいませ。
超極薄のシルクを開発した齋藤栄太さんです。
何はともあれ手に取ってみました。
何かフワフワしてますよ。
え〜?何か…あの〜何て言うんでしょうか?空気がこう一緒になって。
ですね。
はい。
こんな薄いシルクというか作ろうと思われたんですか?齋藤さんが材料の糸を見せてくれました。
お分かりになりますか?触って頂いてもいいですけど。
これで大体人間の髪の毛の6分の1と言われています。
え〜?髪の毛のおよそ6分の1。
齋藤さんが特別に発注して作ってもらった糸です。
極薄の絹織物の開発には川俣の技術の全てが注ぎ込まれました。
最大の問題は…。
そこで不可欠だったのが伝統の技を受け継いできた機織り職人の腕。
機械が動いている間付きっきりで状態をチェックしている冨樫千恵さん。
糸があまりに細くて切れやすいため常に張り具合を確認し調整をかけます。
特にシャトルの中のよこ糸はさまざまな負荷がかかり微調整が難しいといいます。
一方たて糸は機械に工夫を加えました。
通常この工場では1分間に160回転させ織っています。
しかしこのスピードではたて糸はすぐに切れてしまいました。
そこで機械のスピードを120回転に落とす事で力のかかり方を弱くし織るようにしたのです。
しかし…それでもなおたて糸は切れてしまい機械が止まってしまいました。
これでは作業効率が上がりません。
そこで考えたのがものすごく手の込んだある方法でした。
一本一本ですか?はい。
通常絹織物は1万本のたて糸に対して10キロのおもりを載せてピンと張って織っています。
しかしこれだと糸に均一に重さがかからず切れてしまうものが出てきます。
そこでおもりを外しそのかわりに…。
こうして4年がかりで誕生したのがこちらの生地。
世界で最も薄いシルクを目指して作られました。
薄くきらめく風合いはたちまち世界のデザイナーから注目を集めます。
2年前にはイタリアの有名ブランドの商品にも採用されました。
伝統を守りながら新しい製品作りに挑戦する福島川俣シルク。
今その試みは少しずつ花開こうとしています。
次はどんな新しいシルクを生み出し世界を驚かせてくれるでしょうか?2014/03/09(日) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
イッピン選「薄くきらめく羽衣〜福島 川俣シルク〜」[字]

今回は福島県川俣町で作られる「シルク」。薄くて軽く、抜群の肌触りが世界の注目を集めている。極細の糸を使って織る伝統の技法や、おしゃれなストールの巻き方を紹介する

詳細情報
番組内容
今回は、福島県川俣町で作られてきた「シルク」。薄くて軽く抜群の肌触りで、海外有名ブランドの商品や通信会社の制服のスカーフにも採用されている。秘密は、極細の糸を使って織りあげる伝統の技法。タレントの中島史恵さんがリポートする。世界一薄い究極のシルク作りを目指す若き経営者の挑戦も紹介。シルクの優れた特性を実験で解き明かすほか、おしゃれなストールの巻き方も披露。川俣シルクの魅力をあますところなく伝える。
出演者
【リポーター】中島史恵,【語り】平野義和

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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