昔むかし佐渡には日本一の金山があり子供から大人まで多くの人たちが働いていた。
岩クズと油の煙が立ち込める暗い穴の中で金の鉱脈を見つけてはただひたすら掘り続けた。
事故や病で命を落とす者も多かった。
(お鈴の音)過酷な労働のなか村では毎日のように葬式が行われていた。
おい権八!
(権八)あっ親方。
あいつはずっと肺を患っていたんだ。
穴の中に長く潜っているとこうなる。
お前もあまり無理をするなよ。
へい…。
金山の仕事はたいそう実入りがよく男たちは皆羽振りがよかった。
しかしこの権八という男だけは仲間たちと遊ぼうとはしなかった。
それというのも権八には大きな目的があったからだ。
あと少し…あと少しで買い戻せる。
もうちょっとの辛抱だぞ椿。
そんな権八は人一倍よく働いた。
フゥ…。
お〜い権八!あんまり根詰めるとぶっ倒れるぞ。
お前もこっちへ来て休もうぜ。
あぁすまねえ。
でもおらうんと稼ぎたいんだ。
稼ぐって俺たちは十分もらってるだろうがよぉ。
おいお前ら!
(3人)わっ!いつまで遊んでる!少しは権八を見習ったらどうだ!
(3人)へへ〜い!ったく!どいつもこいつも困った野郎だ。
あと少し…あと少しなんだ。
あっしまった!わぁ〜!道開けろケガ人だ!どけどけ!あ〜!権八しっかりしろやい。
権八…。
うぅ…。
椿:権八さん…つ…椿…。
ん?おい何か落としたぞ。
何だ?こりゃ。
何かの種か?しばらくして権八は息を引き取った。
権八のやつ無念だろうな。
相当貯めこんでいただろうからな。
あれ?今日は親方見ねえなぁ。
権八おめえは運のねえ野郎だ。
ん?何だこれ?うわっあの野郎妙に質素な暮らしだと思ったがこんなに貯めてやがったのか!まぁここにあってもしかたねえ。
こいつは俺が引き取って…。
あのちょっとお尋ねします。
あぁっ!すみませんこのへんに権八という人の家はありませんでしょうか?ご権八の家ならここだがあんた誰だ?私椿と申します。
権八さんと夫婦になる約束をしている者です。
あの権八さんはいつお戻りですか?ここで待たせてもらってもいいでしょうか?椿?親方はこの椿と名乗る女を権八の墓へ連れて行った。
権八さんは私と所帯を持つために父が借金のカタにとられた畑を買い戻そうとしてくれていたのです。
なぁお前さん本当に権八の許婚なのかい?これを。
これは私と権八さんで半分にしたお守りと車輪梅という木の種です。
今となってはもうわかりませんが権八さんもこれと同じものを持っていたはずなのです。
あぁそれならきっとこれだろう。
あっ!下は堅い岩盤だ。
埋めても根は張らねえと思うぜ。
いいんですそれでもやっと権八さんに会えたのだから。
権八さんのこと本当にいろいろありがとうございました。
私はこれで村へ戻ります。
ちょちょっと待ちな。
はぁ?村へ帰るならこれを持って行け。
権八がお前さんのために真っ黒んなって働いて貯めた銭だ。
こいつはお前さんのものだ。
権八さんが…。
いえそれは受けとれません。
親方様どうかそのお金でここに観音堂を建ててください。
この地には思い半ばで命を落とした方がたくさんおられます。
そっかわかったよ。
しばらくしてこの岬に立派な観音堂が建てられた。
そして椿が埋めた車輪梅の種はしっかりとこの地に根づき2つはやがて1本の木となって力強く結ばれたという。
昔むかしあるところに亭主に先立たれたおっかあがいました。
このおっかあ3人の男の子を育てていました。
一郎次郎三郎です。
ある日おっかあは3人を連れ山へ山菜採りに出かけました。
少しでも食べるものを蓄えようとやってきたおっかあでしたが…。
ああ〜!子供たちはふざけてばかりいました。
(三郎)こちょこちょ…。
(次郎)アハハハハ!こらこら手伝ってほら。
まじめにやれ!あれ?どこ行ったの?
(三郎)兄貴どこ?
(一郎)三郎おっかあは?見てない。
おらも見てねえだ。
おっかあとはぐれちゃった。
どうするべ?
(3人)う〜ん…。
ミカンでも探そうや。
(3人)オーッ!
(3人)ミカンミカンミカン!天気が悪くなってきました。
おっかあは3人のことが心配になってきました。
嵐になるど早く出てこ〜い!雨だ!食ってばかりいないで帰り道を探してくれ。
自分がいちばん食べてるじゃないか。
あっ家だ!雨宿りさせてもらおう。
ヤマンバの家かな?でもこのままじゃ風邪ひいちゃうぞ。
す…すいません。
(3人)出た!おらたち道に迷ってしまったんだ雨宿りさせてくれませんか?ここは鬼の家じゃもうじき鬼が帰ってくる。
食われる前に帰れ。
(足音)ん?
(足音)帰ってきおった。
(3人)ひぃ〜!おぬしら押し入れに隠れてろ。
おっかあ…。
シーッシーッ!降ってきたなおばば。
朝はよい天気じゃったのにな。
まあすぐにやむじゃろう。
おばば人のにおいがするぞ。
ああさっき子供が雨宿りさせてくれとやってきたよ。
それでそれで?うるさいから追い返したよ。
奥のほうからにおう気がするがのう。
ウソついて何になるんだい?それもそうじゃな。
とするとまだ近くにいるべ。
せ〜の…。
どりゃあ〜!アハハハハどこじゃ?今のうちじゃはよ逃げれ。
どうして助けてくれるんだ?里の衆はわしをヤマンバと呼ぶが実は娘っ子のときにさらわれてきたんだよエヘッ。
じゃおらたちと逃げよう。
ハハハハ!今じゃ鬼のほうがこのおばばを怖がっとるよ。
いいから早く逃げれ。
あっ流れ星だ!あれは鬼がはいてる一足千里のわらじじゃ。
あれをはいたら野でも山でもひとっ飛びじゃ。
(3人)すげぇ〜!森に隠れながら帰るんじゃぞ。
どこじゃ?出てこい!危ねえ危ねえ。
やっと戻ってきたぞ。
おっかあに会いたいよ。
もう少しだから我慢しろ。
あっ!
(いびき)そこには3人を捜して疲れた鬼が大いびきをかいて寝ていました。
引き返そう。
でもいつか見つかっちゃうかもしれないぞ。
おらにいい考えがある。
(いびき)
(いびき)やったうまくいったぞ!
(いびき)待て小僧!
(3人)うわぁ〜!待て!兄貴わらじはいて逃げよう!そんな暇ねえぞ!行き止まりだ。
兄貴早くわらじをはけ!そうはさせるか!兄貴飛ぶしかないよ。
わかってるよ!やぁ〜!いけ〜!
(3人)うわぁ〜!なんのこれしき!うわぁ〜!一郎次郎三郎どこじゃ?あぁもうダメじゃ…。
(3人)おっかあ!お〜い!
(3人)おっかあ!無事に戻った兄弟はおっかあの言うことをよく聞き仲よく暮らしたそうです。
しかし鬼はわらじをとられたことをばあさんにこっぴどく叱られたそうな。
いてっ!昔むかし。
隅田川の船着き場に1人の女が降り立った。
(子供たちのはしゃぎ声)あっ…違う…。
女は今宵の宿をこの川のほとりに決めた。
ではどうぞごゆっくり。
お世話になります。
女の一人旅か。
旅の疲れでやつれてはいるけどきっと身分のあるお方なんだろうねぇ。
何か訳があるのだろうな。
失礼します。
夕食をお持ちしました。
あの…。
はい?あれは?あぁあれはかわいそうな坊やの…。
かわいそうな坊や?えぇ…。
悲しい話です。
ちょうど一年前…。
こんなふうに梅の花が咲く頃でした。
まあ!ハァハァ…ハァハァ…。
坊や!お前さんお前さ〜ん!気がついたかい?ここは?私たちの家だよ。
坊やどうしてあんな所に…。
悪いおじさんが…男の子は息も絶え絶えに語った。
自分は都の者で名を梅若といい人買いにさらわれてきたこと。
しかし熱の病にかかるや道端に捨てられたこと。
なんてことだ。
かわいそうに…。
ハァハァハァ…。
坊やしっかりしろ。
すぐお医者様を呼んでくるからな。
急いでお前さん。
か…。
えっ?何何坊や?かかさまに…会いたい…。
会わせてあげるよ。
だからしっかりおし。
これを…かかさまに。
かかさま…
(泣き声)最後にかかさまと呼んだ坊やの声…一生忘れられません。
これがその…。
あっ!お客さん?梅若!ああ梅若!梅若!お客さん!どうしました?あぁ〜この子は梅若は私の子でございます!ずっとずっと捜しておりました。
私の子でございます!なんと!ある日突然まるで神隠しにあったように梅若は消えてしまいました。
それから毎日梅若のことだけを思い捜し求めてまいりました。
これはまさしく我が息子梅若の字。
やっと会えたのに梅若や!土の中は暗かろう冷たかろう。
今母が抱いてやりましょう。
子守歌を歌うてやりましょう。
あぁあぁ〜!おやめくだされ!お客さん!梅若〜!ああ〜!この世に望みを失った女はこの里で尼となり仏門に入った。
あれから一年。
ありがとうございました。
よしよし。
よくお育ちじゃ。
かわいい手をして。
この子は宝物。
どうぞ大切に。
はい。
では寺に戻ります。
あの…。
またいつでも寄ってください。
はい。
〜尋ね来て問はば答へよ都鳥。
隅田河原の露と消えぬと。
梅若ここにおったか。
〜梅若。
ああ会いたかった。
さぁこの手に抱きしめさせておくれ。
あな嬉しやっと会えたり梅の花。
この手に抱きし隅田河原よ。
今尼は子供と一緒にここで眠っている。
子を思う母の情は人々に伝わり皆の心に深く響いたのだった。
2014/03/23(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字][デ]
「権八とつばき」
「一足千里のわらじ」
「母子塚」
の3本です。みんな見てね!!
詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
柄本明
松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
歌:中川翔子
コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】鈴木卓夫
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ
http://ani.tv/mukashibanashi
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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