新・ルソンの壷「“おかんパワー”で業界に新風を〜東大阪・女性職人の町工場〜」 2014.03.23

1枚の小さな金属の板。
ここにある精密な加工が施されています。
どこだか分かりますか?ここですここ。
直径0.1mmの小さな穴が9つ開けられています。
この加工をした会社が今回の主役。
小さな穴を開ける事を専門とする町工場です。
その作業を行う職人は…。
小学生の子供を抱える母親。
こちらはシングルマザー。
なんと子育て中のお母さんたちが職人なんです。
女性の力を生かして成長を続ける金属加工会社エストロラボです。
強みは穴あけ加工に特化して磨き上げた技術力。
女性職人の仕事ぶりが認められ日本全国650もの顧客から注文が舞い込みます。
スラッチがついて膨らむという…。
上げたら詰まったりとか。
創業者で社長の東山香子さん。
女性がやりがいを感じて働ける職場を作ろうと8年前にこの会社を設立しました。
おかんパワーでモノ作りの世界に新風を吹き込む町工場の挑戦に迫ります。
関西を元気にする方々を紹介していく「新・ルソンの壷」。
今回の壷ナビゲーターはますだおかだの増田さんです。
(2人)よろしくお願いします。
今回は東大阪にある町工場でちょっとびっくりするような所なんですよね?そうなんですね。
金属加工の会社なんですけどまあ言うたらプレス加工とかいろんな金属加工がありますが小さな穴を専門に開けてる会社なんですがすごいのが子育て中のママさん方が職人になって頑張ってはるんですよ。
そうなんですね。
町工場の職人ってどうしても男性的なイメージが…。
そうなんですよ。
だからママさんたちすごいかっこいいです。
そうなんですね。
ではそのかっこいいママさんたち女性たちが技術力が物を言うモノ作りの世界でどのように勝負しているのかこちらからご覧頂きましょう。
町工場が集まる東大阪市。
その多くが下請けの小さな企業です。
バブル期には1万軒以上ありましたが今では半分ほどに減っています。
そんな中で活気にあふれているのがこちらの会社。
毎日ほかの町工場から職人が仕事の依頼にやって来ます。
ここは小さな穴あけの加工を専門に請け負います。
客のほとんどは金属加工の会社。
自分たちではできない難しい穴あけ加工を注文どおりにしてくれると頼りにされています。
この日の仕事は精密機器に使われるノズルの加工です。
ギリギリねらうんやったら2パイでもええけど…。
この小さな金属の塊に6つの穴を開けます。
この直径3mmの所に2mmの穴を開け更に直径1mmの部分に0.2mmの穴を5つ開けて貫通させます。
少しでも手元が狂うと穴同士がつながって失敗する難しい加工です。
こうした穴を開ける技術が…ドリルではできない細くて深い穴を開けられます。
加工する部品に電極を近づけ水をかけながら電気を流します。
火花で金属を溶かして穴を開ける加工。
水は穴にたまったカスを取り除き冷却する役目を果たします。
注文どおりの穴を開けるためには僅かな狂いも許されません。
加工する部品が垂直になっているかどうか計測機器で調べたところほんの少し傾いていました。
そんな時にはこれ。
厚さ0.01mmほどのアルミ箔を挟んで傾きを直します。
続いては穴を開ける場所の位置合わせ。
1,000分の1mm単位で調整します。
細穴放電加工に力仕事はありません。
根気と集中力があれば職人として活躍できます。
作業が終わりました。
注文どおりに穴が開いているかチェックすると…。
真ん中の穴とは仕切りがあるので破れずいけてると思います。
小さな穴を開ける事だけに専念して高めた加工の技術。
それがこの会社の強みなのです。
女性たちの声が聞こえますね。
笑い声が。
行きますか。
こちらどんな女性陣なんでしょうか。
こんにちは。
こんにちは。
どうも初めまして。
ますだおかだの増田です。
どちらが社長さんになるんですか?私です。
あっそうですか。
年齢の方…あっ年齢聞いたらあかんな。
ここで何人でされてるんですか?上にもいらっしゃるんですか?あっお若い。
若いですね。
上に行く方が若いんですか?
(東山)そうです。
行こうか上。
穴が開いてるんですか?これ。
開いてますね。
ほう。
そっか。
こんな感じで。
来た来た来た。
来ました。
あ〜っ!きれいに開いてるわ。
うん開いてる。
きれいに開いてる。
うんきれい。
お見事です和田さん。
ありがとうございます。
さすがです。
こんな事やってます。
ほう。
これちょっと手の込んだカレー?何カレーですか?グリーンカレーです。
グリーンカレー。
えっ何?テレビ来るから?いつもこのクオリティーですか?すばらしいですね。
グリーンカレーはよくします。
そうなんですか。
女性が職人としてこういう工場で働く事こういう町で働く事のいいとことか悪いとことか…。
スタジオにはエストロラボ社長でらっしゃる東山香子さんにお越し頂きました。
よろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
職人の皆さんかっこよかったでしょ?かっこいいですね。
女性ばかりの工場というと語弊があるとあれなんですけどキラキラしてちょっと女の子っぽい雰囲気かと思ってたんですがみんなバシッと仕事して。
何かホントちょっと女子校みたいになる時もありますけど…。
あるんですね。
お昼休みとかいろんな話してしゃべりが止まらないみたいな時もあれば加工する時はやっぱり集中しないとお客様から預かったものに穴を開けるというのが基本的な仕事なのでみんな黙って静かに集中してやってメリハリはあると思います。
でも金属加工って言うたら男の世界じゃないですか。
社長から見て女性職人で働く事のメリットはどういうところにあります?やっぱりすごい男社会なので覚えてもらいやすいというのが一番のメリットで…。
珍しいから?そうですね。
だから1回お客さんになってもらうと次穴あけの仕事があった時「どこやったっけ?」となって名前も忘れてしまっても女性ばっかりの会社でというのを思い出してもらえたらつながる事が多いのとすごく細かい仕事が多いので根気よくやるのは女の人の方が向いてるかなとは思います。
逆にデメリットというかこの辺がちょっと何か女性としてしんどいな難しいなというところ…。
どうしても仕事以外の時間がお母さん業というか主婦業で追われてるので技術的な事っていくらでも勉強する事があるんですけどその時間がやっぱりなかなかとれないので…。
仕事が終わったあととか…。
そうです。
終わったあととかは多分晩ごはんのメニュー考えてってなるので結局就業時間中に全て勉強も含めてやらないと駄目というのがあるのですごい集中して仕事もするしその中で学ばないと駄目なので同じ規模で男性の会社だったらもっと早く技術とかを習得してたかもとは思います。
だからちょっと歯がゆい部分もあるんですよね。
私だけかもしれないですけど女性ってイメージとして図面とか苦手な…。
そうですね。
そうです。
うちの会社に入って初めて見たというところから教えるのでなかなか難しい。
全部の図面が読めなくてもいいという。
穴の周辺の事とか穴の事に関する図面はすぐ読めるようにとりあえず特訓して会社が回るようにはなんとかしてます。
確かにおっしゃったように全部を勉強しようと思うと膨大な量になるけれども忙しい中だと勉強する分野を取捨選択してそこだけを効率よく深めるというのもアイデアですよね。
だとは思います。
このようにして女性の皆さんが生き生きと働く町工場を立ち上げた東山さんなんですがそもそも女性がたくさんいる町工場をどうして立ち上げようと思ったのか次はこちらをご覧頂きます。
東山さんが作ろうと思ったのは女性が子育てしながらやりがいを持って働ける職場です。
今では3人の職人がお母さん。
出勤時間や休日は家庭の都合に合わせて決めています。
職人の一人7年前に入社した山本雅代さんです。
ただいま。
家に帰れば2児の母。
小学生の子供たちのために仕事と家事を両立させています。
夫の直人さんはそんな妻の姿に刺激を受けていると言います。
入れ替わってもらわな。
そうそうそう。
雅代さんがやりがいを感じている金属加工の仕事。
職探しに苦労した末ようやく今の会社に出会いました。
東山さんが会社を作ったのは8年前。
それまでは滋賀県の信楽で焼き物を作る仕事をしていました。
29歳の時陶芸の技術を生かして青年海外協力隊に入隊。
子供の頃から夢だった人の役に立つ仕事をしようと考えたのです。
しかし体調を崩し除隊する事に。
そこで生活のために始めたのが金属加工のアルバイトです。
この時初めて細穴放電加工と出会いました。
金属を思いどおりに加工する作業は面白く自分のような女性でもできる仕事だと知りました。
そして平成18年アルバイト先の社長に勧められ会社を設立。
この仕事で働き口に困っている女性を雇い社会の役に立とうと決意しました。
ところが創業して間もなく東山さんは壁に突き当たりました。
穴あけの専門店を名乗るには技術力が足りなかったのです。
難しい図面が読めない。
複雑な形の部品を固定できない。
1つの穴を開けるだけで長い時間がかかってしまう。
こうした問題を前に東山さんが最も恐れたのは「女性だからできない」と客に言われる事でした。
自分たちだけでなんとかしようと金属加工について調べ機械の操作を毎日練習しました。
しかしそれだけでは限界がありました。
技術力不足を乗り越えた方法はある単純な事でした。
それは自分たちより金属加工の経験豊富な客に思い切って相談する事です。
意地を張らずにベテラン職人の客から意見を聞く事が技術力を高める早道だと気が付いたのです。
取り引きがある多くの金属加工会社が東山さんに加工のノウハウを教えてくれました。
東山さんたちは客の意見を参考に努力を重ね穴あけ加工の高い技術を身につけました。
こうして東山さんが始めた町工場は金属加工の業界で認められるようになったのです。
女性の雇用という部分でも社会に穴あけましたね。
小さな穴あけましたね。
風穴をという…。
だといいですけどね。
でも最初の分野に陶芸をやってらっしゃったところを考えるとこちらから見るとえらい分野が変わったように思うんですけど。
何か世の中の人のために役に立つ事を生業としたいなとぼや〜っと考えてて…。
それは若い頃から…。
そうです。
1つのテーマとして考えてらっしゃるんですね。
細穴加工に出会った同じ時期に会社を起こすという事がどれだけ社会貢献になるかというのも初めて分かって…ボランティアとかにもすごい興味があってずっといろいろやってきたんですけどやっぱりお金が回らないとボランティアも続けられないとかってあるじゃないですか。
だから会社を作ってみてもしお金を回せる力があればそのあとにというかその事自体も社会貢献の一つになると思ってやり始めました。
でも金属加工というのは全然ご存じなかった中で始められて聞きに行ったのが顧客の方というのはびっくりですよね。
お客さんに聞きに行くというね。
見てたらタメ口やし。
今はもう仲のいい社長さんなので。
それぐらいの関係性ができたからあんな感じで聞けるようになったという事ですか。
初めは聞けないと思ってたし分からないって…プロで…一応会社を立ち上げといて分からないって言ったら駄目だとすごい思ってたんですけど…。
という事は最初はやっぱり聞けなかったんですね?聞けなかったです。
「はいはい」って言って。
どうしたんですか?分からん時どうしたんですか?便利なインターネットとかいうやつで…。
自分で調べて?いろいろ調べたりとかして…。
やっぱりビジネスなのでお金が回せないと続けられないじゃないですか。
ホント背に腹は代えられない状態で仕事をこなすために聞くものは聞くって全部やるという感じです。
勉強もするし教えてももらうし練習もするし。
全部やるというのをやらないとお金が追いつかなかったので。
だからできなかったらお金はもらわないと言ってやらせて下さいという形で仕事をした事もありますしホントに問い合わせに対して一個一個一生懸命応えるしかできなかったので「できません」と断ってしまうとそれで終わりなので「ここまではできますけど」みたいな事を一生懸命言ってちょっとずつ信用につなげていったという感じです。
頑張らなきゃと思って…。
そうですね。
ホントに男社会なので…会社を立ち上げられて8年間で東山さんが学んだ事というのはどんなところですか?…というような気はします。
だから蓋しないというか多分これぐらいしか自分はできないとあまり思わないで…。
私は会社を作っちゃったから必死になって力をつけざるをえなくてという感じだったんですけどそれなりにやっていけば力になるというのは実感してるので自分で能力の限界を決めないというのが大事かなとすごい思います。
これがすごく分かった事です。
東山さんは今新たな一歩を踏み出そうとしています。
それは全国の穴あけ加工が得意な会社をつなぎどんな注文にも応えられる共同受注の仕組みを作る事です。
簡単ではありませんが実現すれば世界中から注文が集まると東山さんは考えています。
穴加工のコンビニじゃないですけどここに行ったらとりあえず…というのはイメージは分かるんですけど…。
難しい事をやらないと…。
やれば必ずできるようになる。
会社経営で学んだ信念を胸に東山さんの挑戦は続きます。
2014/03/23(日) 07:45〜08:10
NHK総合1・神戸
新・ルソンの壷「“おかんパワー”で業界に新風を〜東大阪・女性職人の町工場〜」[字]

職人のほとんどが女性という東大阪の金属加工会社。髪の毛ほどの細い穴を金属に空ける「細穴加工」で成長を続けている。業界に新風を送り込もうとする町工場の挑戦に迫る!

詳細情報
番組内容
町工場が立ち並ぶ東大阪市に、職人のほとんどが子育て中の女性という金属加工会社がある。金属に直径が髪の毛ほどの穴を空ける“細穴加工”専門の企業、エストロラボだ。納期厳守で信頼を獲得し、得意先となったほかの町工場から加工のノウハウを学んで成長を続けている。社長・東山香子さんの夢は、より多くの女性にやりがいをもって働くことのできる場を提供すること。モノ作りの現場に新風を送り込む、女性経営者の挑戦に迫る!
出演者
【出演】エストロラボ社長…東山香子,増田英彦,田代杏子

ジャンル :
ニュース/報道 – 経済・市況
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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