5万年にわたって続く世界最古の文化と先祖から受け継いだ大地。
私は次の世代につなげるべくこれからもずっとこの聖地を守っていきたいと思っている。
さあ皆さんお待ちかね!登場するのは日本生まれのイッピン。
優れた技が生み出す珠玉の宝。
今日はどんな技が飛び出すのか?すっきりとした流線型でドイツの国際的なデザイン賞を受賞したこのかばん。
日本のある街で生まれたものです。
世界中から有名ブランドが集まるイタリアの見本市でもその街のかばんは大評判!本場ヨーロッパのバイヤーを唸らせました。
今日のイッピンは「かばん」。
でもどこで作られたものだと思いますか?かばんの四大産地として知られているのは東京名古屋大阪そしてもう一つこの街が今回の主役。
それは兵庫県豊岡市。
実はここ世界中の名だたるブランドから注文が舞い込むかばんの街。
職人たちの優れた技がたくさんのイッピンを生み出してきたんです。
今日はそんな豊岡のかばん作りの秘密を徹底リサーチしますよ!兵庫県北部に位置する豊岡市人口およそ8万。
100人に1人がかばんに関わる仕事をしているまさにかばんの街です。
そんな豊岡にやってきた眞鍋かをりさん。
最初に向かったのは自分だけのかわいいかばんが作れるという店です。
おかばんの方もそうなんですけど…。
特に女性に人気なのがオリジナルのポーチ作り。
生地や部材など自分の好きな色を選んで組み合わせる事ができます。
かばん作りに興味を持ってもらおうと始めた企画です。
(眞鍋かをり)よろしくお願いしま〜す。
選んだ材料を使って工房ですぐに縫ってもらえます。
作るところを見る事ができるのもかばんの街ならでは!僅か15分でおしゃれなポーチが完成!イメージどおりです!今手に持ったばかりなのにもう自分のものっていう感じが…。
何年も持ってるような感じがします。
選んで作れるってホント楽しいですね。
愛着が湧く。
これはいろいろそろえたくなってきたなぁ。
豊岡は今街を挙げてかばん産業を盛り上げようとしています。
市内を走るバスにはかばんの絵。
自動販売機でかばんが買えるなんて日本でここだけ?1500円のオリジナルバッグ。
デザインは全部で40種類あります。
豊岡にあるかばんメーカーはおよそ100社。
そのほとんどが他社のブランドから発注を受けて生産するOEMを主体としています。
そのため作っているかばんの品質は高くても産地として豊岡の名は知られてきませんでした。
そこでかばんの街を大きくPRしているんです。
こちらは豊岡のかばんだけを取り扱う専門店。
どんなものが並んでいるのかちょっとのぞいてみましょう。
最近力を入れているのがデザインに工夫を凝らした女性向けのバッグです。
注目の若手デザイナーとコラボレートしてできたボストンバッグ。
円い革のボタンが華やかなアクセントになっています。
定番商品は男性向けのビジネスバッグ。
丈夫な作りに定評があります。
かばんの特集を数多く手がけてきた雑誌も豊岡に大注目。
デザインの良さだけでなく長く使っても壊れない丈夫さがポイントといいます。
(雑誌編集者)要するにかばんって外側と内側の両方作られてる。
外見ばかりを僕らは気にしちゃうんですけど実は中も大事でやっぱりほつれが少ないとか取っ手が丈夫であるとかは見えない部分だったりする。
その見えない部分に彼らは気を使ってるなと思うんですね。
見えない部分を丁寧に作った丈夫なかばん。
一体どんな技が隠されているのでしょうか?眞鍋さんが訪れたのはビジネスバッグを主力商品とするメーカー。
大量のかばんが。
ここすごいですよ。
色や形もさまざま。
年間およそ4万個のビジネスバッグを製造しています。
へ〜目に見えない部分?パソコンや書類など重いものを入れて毎日使うビジネスバッグ。
その強さの秘密は?まずは持ち手に注目。
最も強度が必要な部分です。
これは牛の革。
持ち手には一番堅い背中の部分を使います。
強度を増すために革は2枚重ね一本一本職人の手仕事で作ります。
芯に頑丈なロープを入れて完成。
豊岡が誇る持ち手です。
できた!これは「不織布」という繊維を接着剤で固めたもの。
補強材として使われます。
先ほどのビジネスバッグにはどれだけの補強材が使われているのでしょうか?分解してみると…。
これだけのパーツでできています。
中でも赤いのがかばんを補強するパーツ。
このかばんでは全てのパーツのうちおよそ1/3が補強のためのものです。
パーツの縫い付け方にも強度を増す工夫があります。
いや〜すごい!一番力のかかる部分はこの部分じゃないですか?ここが一番力かかりますよね。
そこを補強材の所にかけてる。
補強材まで一緒に縫っていると。
かばんの内側に先ほどの補強材がしっかりと縫い付けられています。
見えない部分に気を使うとはこういう事だったんですね。
では補強によってどれだけ強度に差が出るか実験してみましょう。
こちらは通常どおり作った市販のビジネスバッグ。
一方こちらは全ての補強材を外して作ってもらったもの。
それぞれに10キロのおもりを入れてぶら下げ定点カメラで撮影しました。
その映像です。
スタート直後から補強材の入っていないかばんは下がって見えます。
更に時間がたつと少しずつですが形に変化が現れてきました。
ちょっと変わってきてますね。
下がってきましたね右側。
中心部分にヨレというか…。
へこみが出てますね。
24時間後の2つのかばん。
補強材の入っていないものはおよそ3センチ下がっていました。
更に型崩れして全体が波打ったように変形しています。
ファスナーもこんなになってしまいました。
これではかばんが壊れやすくなります。
補強してあるほうはどうでしょう?もとの形とほとんど変わりません。
ちょっと気をつけて下さい。
かなり重たいから。
ダメだ…。
はい外して。
相当重たいですねこれ!バッグが1キロありますからね。
それを入れてもこの形状を保っている事にびっくりしました。
こんなに…本当に重いですよこれ!普通こんな重さのものを入れてこの形にならないですよね。
隠された丹念な補強。
これがしっかり丈夫なかばんを生み出す秘密だったんですね。
豊岡にはかばんの発祥に深く関わる特産品があります。
昔の衣装ケースです。
市内を流れる円山川沿いに自生するコリヤナギという木を使って奈良時代から編まれてきました。
明治14年。
一人の籠職人が柳行李に工夫を凝らし独特のかばんを作り出します。
それがこれ!革バンドと持ち手を付けた…これが豊岡のかばんのはじまりといいます。
その後この形を受け継いだかばんが豊岡では盛んに作られていったのです。
かばん作りに欠かせないのがミシン。
数多くのかばんが作られている豊岡ではその種類もさまざまです。
すご〜い。
こちらは老舗のメーカー。
こんにちはおじゃまします!創業以来100年近く豊岡が得意としてきたトランクケースやアタッシェケースを主に作ってきました。
ここではある意外な材料をミシンを使って縫い合わせているんです。
これがかばんの中に入っているんですね。
ホントに木だ。
板の厚さは6ミリあります。
その板を革で覆ってトランクケースを作ります。
その時板と革を縫い付ける事ができる豪快なミシンが使われるんです。
それがこちら。
頑強なミシン。
ドイツ製で40年以上現役だといいます。
針の直径は3ミリ。
糸は一番太い1ミリのものを使います。
トランクケースと同じように板に革を貼ったものを縫ってもらいました。
縫い目はこんな感じ。
でも「縫い目をもっと細かくしてほしい」と注文が来ると職人の技が発揮されます。
ミシンを微妙に調整して糸の張り具合を強くします。
実はこの調整がデザインに関係してくるんです。
縫い目を細かくすればするほど板の強度が落ちて割れやすくなってしまいます。
こちら先ほどより細かく縫っているように見えますが…。
実は縫い目の間隔は同じなんですどういう事でしょうか?糸を強く張ると革に食い込み表面に見える部分が少なくなります。
それで縫い目が小さく見えるのです。
強度を保ちつつ細かいデザインの要望を実現させる職人の技です。
人の技術とこういう機械で支えられてるんですけどもできるかぎりデザイナーさんの描いた絵を具現化するというのが我々の仕事なんで…。
ピッチによっても細く見せたり太く見せたりという技を使いながら最低限の強度を保ってデザイナーさんにも納得して頂けるというところのせめぎ合いが難しいところです。
着地点を。
続いてはこの長いミシン。
これ一体どんなかばんに使うんでしょうか?実はゴルフバッグを縫うのに使います。
ゴルフクラブを入れるキャディバッグはかばんの中でも多くのパーツを縫い合わせてできています。
型紙を並べるとその数なんと230以上!たくさんのパーツを組み立てるために個性豊かなミシンを使い分けています。
まずはこのミシン。
特徴は針が2本並んでいる事。
キャディバッグを縫えるような2本針のミシンはこの工場にしかないといいます。
バッグ本体の分厚く堅い生地を縫い合わせていきます。
縫い目がそろうため仕上がりが美しくなります。
そしてもう一つ。
バッグを筒状に縫い合わせるための縦縫いミシン。
使いこなすためには経験が必要な大変な機械なんです。
普通のミシンはある程度送り歯で送っていってくれるんです。
ところがこれは全く送らないんで自分で少しずつ少しずつ押していくんです手の感覚です。
岡田さんはバッグの芯になる素材を縫う練習を半年間重ねようやく製品を縫えるようになりました。
理想的な縫い目は一寸に三目。
それが一番強度を発揮するといわれています。
確かに一寸およそ3センチに縫い目が3つ。
何千本も縫い続けてきた成果です。
特別なミシンを駆使した特色あるかばん作り。
それが豊岡の職人仕事なんですね。
近年豊岡のかばん作りに新しい動きが見られるようになりました。
2006年に立ち上がった。
「豊岡かばん」ブランド。
豊岡のかばんの品質を高め知名度を上げる目的で作られました。
他社ブランドからの受注生産が主流の豊岡。
しかしそこに頼るばかりでなく自分たちのオリジナル商品を生み出していこうという試みです。
こちらのバッグも地元のメーカーが独自に開発した商品の一つ。
一風変わったデザインが話題です。
デザインしたのは豊岡のかばんメーカー社長…これまで豊岡がかばんの産地として知られてこなかった現状に悔しい思いをしてきました。
何か新しいものを生み出したい。
そう悩んでいた時目に入ったのが指を組んでいた自分の両手でした。
それがこのかばんのデザインのヒントになりました。
びょうで留める変わったデザインに初めは社員から反発もありました。
びょうの数を減らしたり軽い革を使ったり2年間で50以上の試作品を作り今の形にたどりつきました。
びょう打ち専用の機械も開発。
デザインを思いついてすぐに取りかかりました。
この商品で勝負するという瀧本さんの決意の表れでした。
このバッグは瀧本さんの初めてのオリジナル商品になりました。
今年3月イタリア・ミラノで開かれたかばんの国際見本市。
世界中から400を超えるかばんのブランドが集まるこの場所に一人の風雲児が乗り込みました。
豊岡出身のバッグデザイナー。
作品はどれも豊岡の職人と共同で作ったものです。
特に力を入れた新作はこちら。
金唐革紙という日本の伝統工芸品の手法を革のかばんに施しました。
由利さんは8年前から活動の拠点を故郷豊岡に置いています。
それまでは東京でグラフィックデザイナーをしていた由利さん。
戻ってきたのはやはり豊岡という街への強い思いがあったからだといいます。
これだけ7〜8割豊岡がかばんを作っているのになんで豊岡っていうのを皆知らないんだろうとずっと思ってて企画製造販売これの一貫したショップを持ちたい持って発信しなきゃダメだなってこれからの世の中。
由利さんが初めて手がけた作品がこちら。
大人のためのランドセルをコンセプトにしたデザインです。
2009年デザイン界のオスカーといわれるドイツのiFデザイン賞を日本のかばんとして初めて受賞。
豊岡の名を世界に知らしめました。
由利さんはコンピューターグラフィックスを使ってこのかばんを設計しました。
しかしかばん作りは全くの素人。
あらゆる場面で職人に助けられてきたといいます。
ここは実は結構大変な作業をしてるんですけどこういう開く動作180度開くんですけどここのねじれが出てくるんですよ。
コンピューターでは計算できないので。
ここはノウハウなので言いづらいですけどここはかなり助かってます。
由利さんの設計のままではかばんを開けた時に生地がねじれて破れてしまう。
職人はそれを一目で見抜き型紙を直すようアドバイスしてくれたのです。
やっぱり豊岡の職人さんたちに守られていて毎日毎日頑張って作っているわけです。
それがあるからこれができるわけですよ。
多くの職人に支えられてきた豊岡のかばん。
その歴史を見つめてきた人がいます。
今年79歳の植村美千男さん。
50年以上職人として勤め上げ引退後修理専門の工房を開きました。
どのかばんも長く大切に使ってもらいたい。
豊岡に生まれ育ち腕を磨いた職人だからこその思いです。
依頼は月に50件以上。
年中無休でかばんと向き合います。
確かな技術に支えられたメイドイン・ジャパンのかばん。
丈夫で長持ちそして機能的。
あなたも豊岡で作られたそんなイッピンを手にした事があるかもしれません。
2014/02/23(日) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
イッピン選「世界に羽ばたく傑作バッグ〜兵庫 豊岡のかばん〜」[字]
今回のイッピンは、兵庫県豊岡で製造されるかばん。豊岡は日本有数のかばんの町。伝統的な技術力と最先端の発想力が生み出すかばんの魅力を眞鍋かをりが徹底リポートする。
詳細情報
番組内容
今回のイッピンは、兵庫県豊岡のかばん。豊岡は日本有数のかばんの産地。特長は何といっても丈夫なこと。特に定番のビジネスバッグは、長く持っても型くずれしにくいと評判。その丈夫さは、どんな技から生み出されるのか? 眞鍋かをりが、秘密を探る。かばんの産地としての知名度を上げようと、オリジナル商品の開発に力を注ぎ、最近は海外でも大評判。伝統的な技術と最先端の発想力がつくり出す、豊岡のかばんの魅力に迫る。
出演者
【リポーター】眞鍋かをり,【語り】平野義和
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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