(福島)皆さんおはようございます。
番組の案内役を担当いたしますMBSアナウンサーの福島暢啓です。
この「らくごのお時間」では月に1回寄席にお邪魔しまして落語を一席お届けしています。
さて今回お邪魔していますのは落語の定席繁昌亭は2006年「天満の天神さん」の呼び名で親しまれる大阪天満宮の敷地内に建てられました。
あの日本一長い商店街天神橋筋商店街も歩いてすぐの所にあります。
上方落語の定席として60年ぶりに復活した繁昌亭。
今や大阪の新名所にもなっていて昼にはベテランから若手まで登場する寄席が夜には企画に富んだ落語会などが行われています。
さて…。
本日はここ繁昌亭で行われた笑福亭たまさんの落語会の様子をご覧いただきます。
(笑福亭たま)「糠はあんのか」。
「何を言うてんねん」。
芸歴15年…。
たまさんは実家がビリヤード場を経営していたことから「たま」の名をもらいました。
これまで文化庁芸術祭新人賞や咲くやこの花賞など数々の賞を受賞してきた若手の実力派なんです。
さあ今回の演目は…。
貧乏をしていて日頃から奥さんに怒られっぱなしの男がある日死神に特別な力を授けられます。
それは一体?
(出囃子「長崎さわぎ」)
(出囃子「長崎さわぎ」)
(出囃子「長崎さわぎ」)
(拍手)ありがとうございます。
ええ〜まあこれ「笑福亭たまです」言うた方がええんですかね?もうなんか変な緊張なさらないようにお願いいたします。
もう普通でいいですけどもね。
あの〜なんていうんですかね…ソチオリンピックがありましたけどもねバイアスロン競技っていうのがありましたよね。
スキーこう滑るやつでほんであの〜なんていうんですか…鉄砲でバ〜ンいうて狙撃するやつがありましてね。
ほんでそこのインタビューって選手にするんですよ順番にね。
でそこの中のバイアスロンのそんなに強くない国の選手のインタビューっちゅうのがありましてね。
ほんならその人が「いやあの〜金メダル取るよ」みたいなんがありまして「そんな戦略があるんですか?」ってインタビュアーが聞いたんですよ。
「えっどういう戦略で?」っちゅうたら「1位のやつを撃つ」って。
(笑い)ちょっとまあ面白かったですけどもね。
今度大阪マラソンがありましてね大阪マラソンのショート落語っていうのがありますのでせっかくですからちょっとやりたいと思います。
ええ〜大阪マラソンね。
もしも大阪マラソン…あっちゃうわ。
大阪マラソンですね大阪マラソンのショート落語ええ〜「寺田町付近」っていう。
(観客たち)ははははっ。
「寺田町付近」の大阪マラソン。
自転車邪魔!
(笑い)こういうのがあります。
ええ〜大阪マラソンね。
「宗右衛門町付近」。
黒服邪魔!
(観客たち)ははははっ!ええ〜「新石切付近」。
おばあさん邪魔!
(観客たち)ははははっ!まあこういうのがまあまあ最近の話題では気になったところですけどもね。
(観客たち)ははははっ!ええ〜「死神」というお噺で…。
「ちょっとあんた!ちょっとあんた!もう〜早いこと死にぃな。
死んだらどない?」。
「おいちょっと待てお前。
どんな嫁はんやねんいきなり死ね死ねって。
あのなああ〜そんなもん亭主に死ねって言うやつがあるかぁ!」。
「何言うてんねんな。
あのなもううちとこはな首くくらんならんぐらい貧乏してまんねんで。
もう一文無しどころか借金の山やないかいな。
せやけどなここであんたが死んでくれたら町内の連中さんかてかわいそうやいうてなんぼか香典包んでくれはるやないかいな。
香典さえあったらな私一人ぐらいやったらやっていけるやろ?せやさかいな今日のところはあんた死んだらどない?」。
「おいちょっと待てお前。
ようそんな勝手なこと言うなぁ。
あのな夫婦ゲンカっちゅうのにも決まり…約束事っちゅうのがあんねん。
ほんまに死ね言うてどないすんねん。
そういうときはな豆腐の角に頭ぶつけて死んでまえとか言いようがあるやろ。
豆腐の角に頭ぶつけて死んでまえってそういう言いようがあるやろがな!」。
「あのな豆腐買うお金がないの」。
(観客たち)ははははっ。
「豆腐買うお金がないのにどないして豆腐の角にぶつけられんねんな?あんたほんまこたえんなぁ。
糠に釘や!」。
「糠はあんのか」。
「何を言うてんねん。
しょうもないこと言いなはんな。
あのなもう〜わたいなんでこんな甲斐性のない人と一緒になったんやろうな〜。
もうわたい前からあんたはあかん思うてたんやわ。
運ないねん。
私運ないねん。
ついてないわほんまついてないわ。
もう〜なんであんな…ああ〜あんな人と別れてこんな人とつきおうたんやろな」。
「お前そんなややこしい物の言いようすんなや」。
「もう嫌やわ。
酒臭いのがいちばん嫌いやねん。
仕事もせんとどこぞで飲ましてもうてからに。
ほんまに酒臭いなぁもう。
あんた死なれへんっちゅうなら表出ていきなはれ!」。
「分かった。
とりあえず表出てくるわ。
はぁ〜ほんまに腹立つなぁ。
死ね死ね死ね死ねいうて困るがな。
何考えとんねん。
そんな簡単に死ねるわけないやろがな」。
「そらそうやなぁ」。
「うわっびっくりした!あ…あ…あんたなんです?なんや汚いおじいさん出てきたがな。
ボロボロの着物着てひげ面で。
あ…あんた何者?あんたなんです?」。
「わしは死神や」。
「えっ!?」。
「死神や」。
ブゥ〜〜!
(笑い)「そらちり紙や」。
(観客たち)あはははっ!「しょうもないこと言うてんねやあらへん。
ああ〜寿命が来た人間をあの世へ引っ張っていく死神や」。
「えっほなわたい死にまんの!?もう寿命来ましたん!?」。
「いやいやお前の寿命はなあと60年あるさかい心配せんでもええわい。
お前金に困ってんねやろ?おお助けたろう」。
「えっ!金貸してくれまんの?死神が」。
「あほか。
なんで死神が銭貸さなあかんねん。
まあ話せな分からんけどなお前の先祖っちゅうのがえらい変わり者で神棚にず〜っと死神を祭っとったんや。
せやさかいお前とこの家の神棚にはいまだに死神のもくべえ様っちゅうてわしの名前の書いたお札が掛かってあんねん。
せやさかい先祖の功徳によってお前を助けたろう。
お前金に困ってんねやろ?医者んなれ。
医者になって人の命救え。
ほな銭もうけができるやろ」。
「あんたそれおかしいことおまへんか?死神が人の命救えって…。
それおかしい。
それにわたい医者になれ言われたかてねそんなん脈もよう取りまへんで」。
「脈なんか取らいでもええねん。
あのな病人っちゅうのには必ず死神がついてんねや。
お前は先祖の功徳によって死神が見えるさかい病人のいてるとこ行ったらええねやないかい。
ほいで病人の頭の上枕元にひょっとたまたま死神が座っとったらこいつはもう手遅れや。
どんだけ薬飲ましたかてそいつはじきに死による。
そのかわり足元に死神が座っとったらこらぁどんだけそいつが苦しんどったかていずれ治りよんねや。
せやさかいお前になその足元にいてる死神を消す言葉っちゅうの教えたろ。
文句教えたろ」。
「えっ死神消す文句?どない言いまんねん?」。
「うんよう聞いとけよ。
アジャラカモクレンキュウライス」。
パンパン「これで死神が消えよる」。
「えっ?アジャラカモクレンキュウライス」。
パンパン「これで死神消えまんの?」。
「ああ。
こらぁ死神の言葉で阿部野橋のもくべえが急に来たっちゅうとんねん」。
(観客たち)はははっ。
「なんでんねん?それ」。
「阿部野橋のもくべえ…つまりわしやな。
交代の死神が来たっちゅうてんねや。
ほなその死神も代わりの者が来たんやなっちゅうんでよそ行きよるわ。
死神さえおらんようになったらもう病人は治りよる。
お前は病気を治したっちゅうんで銭をもらえる。
これでお前銭もうけができるがな」。
「ええっ?そない簡単にうまいこといきますか?」。
「ああ。
お前な信ずる者は救われるいうやろ」。
「えっ?」。
「信ずる者は救われるや」。
「どうでもよろしいけどそれ別の神さんと違いまっか?」。
「ごちゃごちゃ言わいでええねん。
だまされた思うてやってみぃ。
ほなな」。
「うお〜なんや!?急に消えたがな!おらんようになった。
まあええわ。
ほなだまされた思うてやってみたろう」。
うちへ戻りましてまあ医者をするということですんでとりあえず看板がいるやろと。
家にありましたかまぼこ板。
小さいかまぼこ板に平仮名で「いしゃ」と書きまして表へ掲げます。
掲げた途端えらいもんでお客さんが…。
「ええ〜お邪魔をいたします」。
「へえなんです?」。
「手前日本橋のかわち屋という店の番頭でございまして先生に病人を診ていただきとうございます。
うちの主人を診ていただきとうございます」。
「いやちょっと待ちなはれ。
日本橋のかわち屋さんっちゅうたらえらいご大家。
そんな大金持ちがなんでこんな汚い医者のところへ?」。
「こらぁまあ失礼を承知で話をいたしますが手前どもの主人は5年もの間えらい大病…病にふせっておりましてどんな名医といわれるお医者様に診ていただきましてもさじを投げられてしまいました。
そこでしかたなしによう当たると評判の八卦見の先生に見ていただきましたところ手前どものこの店から東へ歩いていちばん初めに目に付いたお医者様の看板そのお医者様に診ていただきましたら病人が治るとこない言われましたんで先生にお願いに上がった次第でございます」。
「はあ〜さよか。
そやけどようあのかまぼこ板見つけられましたな」。
「ほなまあ行かしてもらいます」。
先方へ慌てて行きまして病人を診ます。
病人の部屋へ入りますと死神がうまいこと足元に座っておりまして…。
「番頭はんこれ治るわ」。
「先生まだ脈も取ってはらしまへんけど」。
「脈よう取りまへんねん」。
「ちょっと待っておくんなはれ。
脈取れんのに病人治りまんので?」。
「ああ〜治ります治ります。
隣の部屋へ」。
番頭を隣の部屋へやりまして死神に向かって…。
「アジャラカモクレンキュウライス」。
パンパン手拍子2つたたきますと死神がパッと消えた。
消えた途端5年もの間病にふせっておりましたこの旦那ぐ〜っと体を起こします。
「番頭はんもう治りましたで」。
「そない早う治りまんので?ええ〜失礼をいたし…えっ!?だ…旦さんえっ起き上がってなはる!お具合の方は?」。
「あっ番頭どんもう大事ない。
腹が減りましたんでなあの〜マムシ5人前」。
「マムシ5人前!?ほんまでっかいな?」。
いっぺんに治ります。
たんまり礼金をもらいましてうちへ帰る。
この評判がもう…もううわさが広がりましてえらい評判。
次から次へと診察の依頼がやってまいります。
ほんで大概の病人というのは足元に死神座っておりますんで…。
「アジャラカモクレンキュウライス」。
パンパンこれで病人を治します。
頭の方に座っておりましても「ああ〜こらぁ寿命ですな」言うて帰ります。
「寿命や」言うたらそのあとコトッと亡くなるもんですから「はあ〜あの先生の見立てはほんま物や」と一層評判が上がります。
もうお金ががっぽがっぽ入ってくる。
こうなりますと嫁はんの方も変わりまして…。
「いや〜わたいなんであんたみたいな立派な人と一緒になれたんやろなぁ。
私前からあんたはできる思てたんやわぁ。
運がええねやわ。
私ついてんねんついてんねんもう。
あんたなあんたのためやったらわたい火の中水の中共に白髪の生えるまで。
あんた長生きしてな」。
「お前ようそんだけ変われるな」。
(観客たち)ははははっ。
「お前わし酒飲んで酒臭いの嫌や言うてたがな。
ええっ?酒臭いの嫌やろ?」。
「かぐわしい」。
「うそつけお前」。
(観客たち)ははははっ。
わあわあ言うておりますと…。
「ごめんやすごめんやすごめんやす」。
「へえへえ。
あっあの伊勢屋の番頭はんやおまへんか。
どないしなはった?」。
「あの〜手前どものご隠居はんを診ていただきとうございます。
急に変が参りまして」。
「えっ!そらえらいこっちゃ」。
慌てて「伊勢屋」さんというお店へ行きます。
拍子の悪いこのご隠居はん…お年寄りの頭の方に死神が座っておりまして…。
「ああ〜こらぁもうあかんわ。
寿命やわ。
番頭はん寿命」。
「あの〜先生そこをなんとか」。
「いやなんとか言われたかてこればっかりはどうにもならんわ。
ここのご隠居はん世話になったんやけどなぁ。
もう年も89やろ?もう頃加減や」。
「いや頃加減って…。
先生お願いいたします手前どもの主人が遠方におりますんで死に目に会えんというのはつろうございますんでどうぞ先生のお力で」。
「いやそない言われたかてなもうあかんもんはあかんねん。
もう寿命ってなもん延ばされへんねん」。
「先生お願いいたしますご隠居はんと先生はようご存じの仲。
お知り合いを救う…お知り合いを救うということで先生のお力で」。
「いやそない言われたかてな知り合いでもなんでももう頭に座ってたらあかんねん。
もうあかんねん。
もう…こっち座ってたらいけんねんな。
もうそれだけやねん。
もうこっちかこっちかだけやねんな。
もう足がこっち…。
ひょっとしたら治るやも分からん」。
(観客たち)ははははっ。
「えっ?急に…。
治るとおっしゃいますと?」。
「ああ〜そのかわり下手したらすぐ死ぬ」。
「いや…どういうことや?」。
「あっちょっと隣行こか。
あの〜どっちみち一か八かやさかいなやってみようやないかいな。
あの〜すまんけどな力の強い…力の強い若い衆四人段取りしてくれへんか。
もう早幕で…早いこと四人用意してんか。
ほいでな四人そろたらご隠居はんの部屋へだだ〜っと入っていってなご隠居はんの布団の四隅を四人が持って布団をくるっと反対向けにひっくり返してほしいねん。
反対向けにくるっと。
あの〜反対向けいうたかてうつ伏せにしたらあかんで」。
(観客たち)ははははっ。
「頭の方を足にして足の方に頭っちゅう具合に。
それさえしたらまじないするよってに」。
番頭はんの方はなんや分かりませんが言われたとおり屈強の若い衆四人段取りいたします。
皆がご隠居はんの部屋にだだだ〜っと入っていきまして布団の四隅を持ってくるっとひっくり返します。
もう死神の方もそんなあほなことすると思てませんから気が付きますと「えっなんや!?足元来とるがな」言うてる間に…。
「アジャラカモクレンキュウライス」。
パンパン死神の方は「んっ…ええ〜?まあこれ足元やさかいなぁ」。
(観客たち)ははははっ。
もう分からんままそのままパッと消えてしまいます。
そうしますとこの89のご隠居はんぐ〜っと体を起こしはります。
「ええっ!?先生治りましたで。
えっ!?ご隠居はんお具合の方は?」。
「ああ〜もう大事ない。
腹が減りましたんであの〜マムシ5人前」。
「マムシ5人前?」。
まあ昔の人は元気になったらマムシを食べるそうですけれども。
「ああ〜うまいこといった」と礼金をたんまり頂きまして「さあ帰ろう」とこの「伊勢屋」さんの店を出るか出んうちにもうこの男ずっしり頭が重い。
「なんや?これ。
急にわいが患いだしてるがな。
これなんや?頭重いなぁ。
なんや誰ぞ頭の上のってるみたいや」。
「のってんねんけどな」。
(観客たち)ははははっ。
「えっあんた死神のもくべえはん。
あんた何してなはんねん?」。
「ああ〜お前の頭の上に座ってるさかいお前もうじき死ぬねん」。
「いやちょっと待っとくんなはれ。
わたい寿命あと60年おまんねやろ?」。
「ああ〜そらさっきまでや。
ああ〜最前なお前死にかけの病人無理から治したやないかい。
寿命っちゅうのには限りがあんねん。
そやさかいな最前のあの年寄りとお前の寿命が入れ代わったんや。
そやさかいあの年寄りあと60年生きんねん」。
「ちょっと待っとくんなはれや。
そんなむちゃな」。
「お前がやったんやないかい」。
「いやちょっと待っとくんなはれ。
助けておくんなはれ」。
「こればっかりはなんともならん」。
「いやそんなん言わんと。
あんたとわたい知らん仲やおまへんやないかいな。
お知り合いを救うということであんたのお力で」。
「お前番頭みたいなこと言うてんねやあらへんがな。
こればっかりはなんともならんねん」。
「いやなんともならんって…。
もうこれねわたい助けてくれ言うてへんのにあんた助けてくれましたんやで。
今度は助けてくれ言うてまんねんさかい今度こそ先祖の功徳で助けておくんなはれ」。
「う〜んそない言われたかて…。
ひょっとしたら延びるやも分からん」。
「えっ!の…延びまっか?」。
「ああ〜そのかわり下手したらすぐ死ぬ」。
「あの…そのやり取り最前やりましたけどな。
一か八かですさかいやっとくんなはれ」。
「ああ〜ほなまあやったるわ。
ちょっと待ってぇ。
ホリァ〜ナデロデロアッチョロケ」。
パンパン「あんたなんでんねん?その呪文は」。
「いや〜洞穴出てこいあっち行く言うてんねやないかい」。
ふっと周りを見てみますといつの間にやら洞穴…洞窟の中に二人が来ております。
目の前にはすごい数のろうそく。
これが火がともっておりまして…。
「うわ〜!ぎょうさんのろうそくでんな!こ…このろうそくなんでんねん?」。
「ああ〜よっこいしょっと。
こらぁ人間の寿命や」。
「えっこのろうそくに…人間の寿命でっか?」。
「そうやがな。
このろうそくの分だけ人間は生きよんねん。
命のともし火ってなもんやな。
この火が消えた人間はその場で死による」。
「ほう〜さよか。
ああ〜ほなちょっと待っておくんなはれ。
えらい太いろうそくおまっせ。
これやっぱり生まれたてかなんかでっか?赤ちゃんでっか?」。
「ああ〜そらお前の嫁はんや」。
「長生きやなぁ〜!もうもう…ええっ?かなり太いでっせ!ええっ?せやけどちょっと待っとくんなはれ。
これ見てみなはれ。
ろうがほとんどおまへんで。
もうこのままやったらこの火…この人死ぬんと違いまっか?」。
「うん…それお前や」。
「ちょっと待っておくんなはれ。
助けておくんなはれ」。
「分かってるがな。
助けたろう。
その火が消えたらお前は死ぬさかいになここに使いさしのろうそくがあんねや。
このろうそくにお前の火を移し替えたらええわ。
移し替えることがでけたらこのろうそくの長さの分だけお前の寿命が延びるさかいな。
そのかわり言うとくぞ火が消えた途端お前は死ぬねんさかい火がここへ移し替わってもはくしゅん!いうて火消したらもう死ぬ。
なっ?う〜ん…あっうまいこといった!ふぅ〜いうて消しても死んでまうねん。
汗がポタッと落ちて火が消えてもお前は死ぬねや。
そこんとこ分かっとけよ。
ほいでなこのろうそくに早いこと移し替えんとあかん。
その火が移し替える前に消えてもお前は死ぬねんさかいお前は一刻も早うこのろうそくに…」。
「ほなはよ貸しはなれな」。
(観客たち)あはははっ。
「あんたどんだけしゃべりまんねんなもう。
死にまっしゃろがなわたいもう!こいつ移し替えたらよろしいねんな!?」。
「うん。
手震えてるぞ。
いけるか?ふぅ〜!」。
「あんた何しなはんねん!何しなはんねんなあんたもう!むちゃしなはんなもう!ちょっとほこり…ほこりが…ほこりが舞って…」。
「はくしゅん!!隣の火消えた」。
「お前何してんねん。
お前それ最前の年寄りのや」。
「ほなええわ」。
「ええことあるかいお前!火はどないなってんねん?」。
「ああ〜!つきましたつきました!見ておくんなはれ!火…火こっち移った移った!ああ〜こっち消えた!うまいことこっちへ移りました」。
「ええっ!?お前移ったん!?大概そんなもんしくじるってなもんやけどお前移し替えることができるやなんてお前運がええなぁ!」。
「へえ!運がよろしいわ。
わたいついてまんねん」。
(拍手)
(受け囃子)どうもお疲れさまでした。
たまさん初めてという方もいらっしゃるとは思うんですがたまさんは京都大学を出られた落語家さんとしては初めての方というふうに伺ったんですが。
落語家になろうと思ったきっかけってのは何なんですか?最初は僕テレビ局の裏方になろうかって思って。
ほんでテレビのディレクターのなんかその…一応就職案内とかも問い合わせたりしたんですけど。
その前にいやまあ表舞台は…テレビは当意即妙じゃないっすか。
こうね…こう上手に切り返さなあかんけど落語で勉強したらいけんのちゃうかなと思って一応その線もいろんな就職活動の一つとして。
落語って全然見たことなかったんすけどね。
全然知らんかったです。
全然見たことなかって。
もうどうせ古くさいおじんが聴くもんやけど昔の人のアイディアが詰まってるのでそれを今風にしたらいいんちゃうかなぁと思って勉強しようかなぁと思って一応見たら全然思ったのと違いまして。
その当時学生やったけどめちゃくちゃ面白いと。
テレビででけへん笑いを見つけてくれたんですよ。
だから「あっこれテレビでなかなかできへんな。
これはやり応えがあるな」と思って入りました。
へえ〜。
うちの師匠がやっぱりすごく…ライブでお金払って足しげく通うという意味においてうちの師匠がやっぱり自分とまあ…自分が客としてセンスが合ったのでこの人んとこ行こうと。
はあ〜なるほど。
今後こういうことをやっていこうとか新しい何かこういうことをしていこうとかって何か思ってることってありますか?ないですね。
ない?えっなんでかいうたらもうこれやりたい思ったらやらなあかんから!もうやってるし。
やってるし。
もう締め切りまでに新しい…そんなん漫画家に「どういう漫画を描いてほしいですか?」って…もう描けんねやったら描いてるっていうて。
はははっ。
そうですね確かに。
だから初めてこの番組見て落語見る人は「あっこんな落語や」って思ってるんですけど細かく違うわけですよ落語家それぞれね。
ほんで普通分からんように変えてる人も多いんですけど僕は割と「うわっだいぶ変わった」ってお客さんが認識するように変えることが多いんですよね。
へえ〜。
あえてそうしてらっしゃる?でないとみんな名人の聴くでしょ?あはははっ。
だからハンバーグやなしに…。
ハンバーグ勝負をするとハンバーグの作り方…味で勝負せなあかんけどチーズハンバーグを初めて作ったらチーズハンバーグは僕しか出されへんからチーズハンバーグの店へ来るじゃないすか。
ちょっとハンバーグの味が落ちてもチーズハンバーグしか…僕しか出されへんかったら僕んとこ来るっていうシステムなので。
ははっそうなんですか?もうだからどうやって誰もやってないことをやるかみたいなことですよね。
常に「お客さんに喜んでいただけるのはなんでしょう?」と。
それもサボらなあかんけどね。
サボるけどね。
はあ〜。
ほんとに勉強になってためになりました。
またぜひこの番組にも出ていただけたらと思います。
今日はどうも…。
(2人)ありがとうございました。
今回お邪魔しました繁昌亭の落語会「月刊笑福亭たま2014」の3月号が今週土曜日に行われます。
詳しくは番組ホームページまで。
そして4月にオープンするMBS1階のちゃやまちプラザステージでも落語会の開催を予定しています。
どうぞご期待ください!2014/03/23(日) 05:00〜05:30
MBS毎日放送
らくごのお時間[字]【笑福亭たま◆古典落語「死神」】
<第6回>笑福亭たま◆古典落語「死神」〜今回は「大阪天満 繁盛亭」から▽月1回、第4日曜の朝に本格的な落語を一席。
詳細情報
お知らせ
月に1回、寄席小屋を訪れて、脂の乗った落語家の落語を1席お届けする。
出演者
【落語】
笑福亭たま
【案内人】
福島暢啓(MBSアナウンサー)
ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – お笑い・コメディ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32722(0x7FD2)
TransportStreamID:32722(0x7FD2)
ServiceID:2064(0×0810)
EventID:81(0×0051)