さあ皆さんお待ちかね!登場するのは日本生まれのイッピン。
優れた技が生み出す珠玉の宝。
きょうはどんな技が飛び出すのか。
今回向かったのは兵庫県淡路島。
ここにある有名建築家の作品があります。
(生方ななえ)大きい建物。
面白い形してる。
あの屋根瓦?イッピンリサーチャーは建築巡りが趣味というモデルの…2000年に開業した…手がけたのは…案内されたのは…。
庭ですか…?あっ瓦だ!さっきの外から見た所の瓦の部分?わ〜すごい!特別な中庭になります。
きれい〜!そうですね。
銀色…いぶし銀です。
淡い銀色に輝くのは地元で作られた…淡路瓦の特徴は「女肌」と呼ばれる滑らかな表面の光沢。
使われている瓦はおよそ6万枚です。
でもなぜ瓦が現代建築に採用されたのでしょうか?安藤忠雄先生がこの淡路島に国際会議場を造ることになった時にこの地元にある淡路島の土でできた淡路瓦に関心を持たれて…へぇ〜。
瓦なんですけど昔からある…建築界の第一人者をも魅了した淡路瓦。
空に美しい銀色の波模様を作ります。
兵庫県・南あわじ市。
江戸時代以来400年続く日本有数の瓦の産地です。
瓦を使った巨大なオブジェも。
淡路瓦の銀色の輝きにはどんな秘密が隠されているんでしょうか?
(機械音)にぎやかな音がする。
こんにちは!どうも。
こんにちは。
国際会議場の瓦を制作したメーカー。
夢舞台に行って淡路瓦を見せてもらったんですけどすごいきれいで。
これですね。
まさにこれです!すごいキラキラしてたんですけど。
(野水)何も塗ってないです。
ペンキも塗ってないです。
へぇ〜。
塗ってないんだ。
銀色じゃないです。
それは見て頂いたら…。
早速工場の中へ。
原料は淡路島で取れる茶色の粘土。
わ〜。
瓦ってなんでこの形なんですか?はいはい。
流れますね。
変わらずにずっと来てる。
ひとまず形が完成。
ここからどのように輝く銀色にしていくんでしょうか?こちらは淡路瓦の特徴的な工程。
「はけ土」という細かい粘土などを溶かした液体にくぐらせます。
すると表面の凹凸を細かい「はけ土」の粒子がきれいにコーティングするのです。
そしていよいよ「焼成」。
瓦を窯で焼きます。
割れませんように。
お〜!びっくりした!この窯の中で土色の瓦が銀色に変化するのです。
火を止めてからが重要。
「いぶし」という工程です。
粘土が焼き上がる温度はおよそ1000℃。
瓦が焼けたら火を止め炭化水素ガスを送り込みます。
すると炭素が瓦の表面に付着。
この炭素に光が反射すると銀色に見えるのです。
淡路の粘土は他に比べ焼き上がる温度が低いため炭素が付着しやすいという特徴があります。
そのため淡路の瓦は独特の銀色を生む事ができるのです。
きれいですね。
太陽の光に当たるとキラキラでしたよね。
より美しい銀色を作るのに欠かせないのが職人の技。
それは窯入れ前に行います。
今ぐるっと回りましたね。
へぇ〜。
ちょっと道具が…。
意外なものを使ってますよね!失礼します。
これホース?そうそうそう。
自在に曲がるので。
これがちょうどいいんだ。
ホースを使って一体何をするのでしょうか?焼く前についた小さな傷やざらつきをきれいにする「磨き」。
こちらは30年の経験を持つ…この工場で行われる磨き作業のほとんどを担っています。
磨きは主に軒瓦など目立つ瓦に行います。
円の端の部分はホースを短く持ってこすります。
一方丸く盛り上がっている部分はホースの曲線をうまく利用してツルツルに。
1枚の瓦を仕上げるのにかける時間はおよそ3分。
丁寧で素早くて熟練の技という感じなんですけど。
どんな事を思いながら作っているんですか?かなりここは大切な作業なんですね。
この部分おなかなんですね。
そうそうそう。
よりきれいに並ぶときれいに光沢が出るんです。
この作業は手で?手で。
傷ひとつも見逃さない磨き。
これが瓦の仕上がりに大きな違いを生みます。
磨きをしていない瓦と比較してみると…。
明らかに磨いた瓦は表面が滑らかで銀色の輝きが増しているのが分かります。
なぜ磨きによって銀色はいっそう輝くんでしょうか?電子顕微鏡で拡大してみると…。
「はけ土」の上に炭素が美しい層を成して付着しているのが分かります。
「磨き」と「はけ土」によってできた平らな炭素の層が光を均一に反射させより美しく輝く銀色に見えるのです。
遠目には見えない小さな傷。
しかしそこには一枚一枚をおろそかにしない職人の思いがありました。
400年の歴史を持つ淡路瓦。
海岸を歩くと古い瓦の破片を見る事ができます。
もともと淡路には原料となる良質な粘土が豊富でした。
江戸時代のはじめ時の藩主が城を造るために職人を呼び寄せたのが瓦作りの始まりでした。
明治以降庶民の家にも瓦が使われるようになると船を使って関西や四国に大量の瓦が送られました。
以来今に至るまで地場産業として確固たる地位を築いてきたのです。
こちらは50年続く瓦工場。
その2階になんとギャラリーが!並べられているのはモノトーンのおしゃれな箸置きや灰皿などの小物。
マグネット?こうやって?あ…おしゃれね何だか。
これらは全部淡路瓦の製法で作られた物です。
ミニチュア瓦だこれも。
こんなちっちゃい手のひらサイズの瓦。
ミニチュア瓦の小皿。
椅子!フフフフ…。
瓦をそのまま使った椅子。
その座り心地は?この最後のキュッてところがお尻にキュッてはまって座り心地いい。
フィットする。
ここが決め手ですよね最後のキュッと上がってるのが。
ギャラリーのオーナー…父親とともにこの工場を経営しています。
雑貨から家具までここにある多くの製品をデザインしました。
平べったい円いのは何ですか?これは瓦のコースターなんですよ。
コースター!すてきですよね。
描かれているのは自然や季節をモチーフにした模様です。
家紋であったりとか…伝統的な軒瓦のデザインをアレンジしてコースターに取り入れました。
発売以来注文が相次いでいます。
1枚1,600円。
プレゼントとしても人気に。
いいですか?いいです。
何を見せてくれるんですか?ここでお見せしましょうか。
コースターって結露を吸わないと実用性としてあまり意味がない。
あ!瞬時…瞬時!はい!触って頂ければ…。
結構サラサラのまんま。
サラサラ!ぬれてないです。
全くぬれてない。
中心部分はあえて粘土の持つ吸水性を生かした焼き方をしています。
道上さんがこうした取り組みを始めたのは12年前。
屋根瓦の需要が減っていく中新しい製品を開発し淡路瓦の魅力をアピールしていきたいと考えてきました。
小さな啓蒙活動なんですね。
これをもって良さを見直して頂いて建築の屋根の瓦として使って頂く機会が増えればなぁと。
瓦ってすごく高貴な…身近ではなかったんですけどこのギャラリーに来ると身近に感じますね。
そう言って頂けるとすごくうれしいです。
若い感性が淡路瓦に新しい可能性を吹き込もうとしています。
瓦といえばこちらの鬼瓦も忘れてはいけません!最近は手がける職人もめっきり少なくなりました。
そんな中若手の職人が昔ながらの手法で作っていると聞き訪ねる事にしました。
こんにちは。
(職人)こんにちは。
こんなに大きいんですね鬼瓦って。
いやまだちっちゃい方ですね。
もうちょっと大きいのもあります。
42歳。
川崎さんの世代が淡路の鬼瓦作りを支えています。
これは家用ですか?どこの建物のでしょうか。
これはお寺ですね。
四国の方の八十八か所の中の一つですね。
全国から注文が来るという川崎さん。
今制作しているのは四国の寺の鬼瓦。
どのようにして立体的な顔を作るんでしょうか?大事なのが粘土を接着する技。
これが眉毛。
かき破り。
これをやらないと粘土同士がくっつかないんです。
これを…。
はい。
今みたいに…。
こうやってましたよね。
水をもうちょっとつけて。
ここに。
ここトンって?ギュッとやって…。
あとはくっつけるように…。
これで完全に取れなくなりますね。
引っぱってみてもいいですか?いいですよ。
ほら。
くっついてる。
逆にこれも…。
これは何もしてない?かき破りをしないと…。
あ!取れちゃう。
鬼の牙や角鼻など立体的な造形が必要な部分は全てかき破りでつけます。
屋根の上に数百年ものるという鬼瓦。
それだけに作業は慎重です。
そしてあの銀色を出すために時間をかけるのはここでも「磨き」。
伝統的に使われてきた鉄のヘラを巧みに操り丁寧に光沢を出します。
磨いたあとは細部を削って仕上げ。
1日がかりで鬼の顔が完成。
粘土の塊から見事な表情が浮かび上がりました。
僕らの成果というのは鬼が下りてきて…屋根に何百年とたって下りてきて「いい鬼だね」と言われるのがいちばんの成果なので。
未来の人に「僕こうやって作ったよ。
あなたはどうする?」。
投げかけも織り交ぜながら意識はしていますけどね。
屋根に上がった鬼瓦。
職人の技と思いを未来に伝えます。
再開発が進む東京日本橋。
3月にオープン予定の商業ビルです。
ユニークな壁の飾りは淡路瓦。
でもよく見ると一つ一つの色合いが微妙に違っています。
どんな工房で作られたのか生方さんが向かったのは…。
パチパチ音が鳴ってる!わ〜!ここタイムスリップしたみたいなことになってますよ。
こんにちは!
(山田)こんにちは。
なんですかここ?窯ですよね。
瓦焼くだるま窯。
ここの主…だるま窯とはいぶし瓦を焼く専門の窯。
昭和30年代までは全国で見られました。
しかし工業化が進むとともにすっかり姿を消してしまいました。
だるま窯を復活させたのは6年前。
山田さんを中心に淡路の職人有志が集い月に一度瓦を焼いています。
ここですごい熱いんですけど!こんなの熱いなんて言っちゃ駄目だよ。
軟弱者!軟弱者?アハハハハ…!熱さが違うよ。
ここすごい熱いですねホントに。
古い製法を復活させたのにはワケがあります。
きれいな瓦が全部工業製品でできるってのはいい事だけどそれをし過ぎると瓦も面白くないじゃない。
これで焼くと焼きの表情が違うわけ。
それが面白いわけね。
こちらがだるま窯で焼いた瓦。
これは敷き瓦。
こういうふうな火のまわり方。
いぶしが変わってないわけよ。
こっちはきめの細かい。
これモダン。
こっちだと和風っぽいでしょ。
うん。
これだと割に洋風っぽいでしょ。
モダン。
うん。
この味わいが日本橋のビルを設計した建築家の目にとまりました。
だるま窯で重要なのは火加減。
最初は薪を手前で燃やしていきます。
急に温度が上がって瓦が割れるのを防ぐためです。
徐々に温度が上がっているか1時間ごとに確認。
一晩中窯の火を絶やしません。
翌朝。
温度が1000℃近くに達しました。
ここからが「いぶし」の工程。
大きく切った薪を入れ不完全燃焼を起こさせます。
黒い煙が黄色くなったらいぶしが始まるサイン。
このままで3日かけて窯の温度を下げます。
実は山田さん42歳まで日本中の風景や建物を撮影する写真家でした。
伝統的な屋根瓦の風景がなくなっていくのを憂い瓦職人に転身したのです。
今から50年以上昔にだるまで焼いた瓦なわけ。
50年前の?もっと前だけどもね。
へぇ〜。
いぶしの銀色が風化されてこういう風土になじんだ表情になってくるわけ。
こういう瓦を作るっていうのは面倒くさいけどそういうふうに作る事をしないと日本独自の美学がなくなるんじゃないかと思ってるわけ。
そんな山田さんの思いに賛同し若い職人たちが集まってきました。
瓦の形から色からいろんな表情の瓦を作っていろんな人にまずは知ってもらう。
若い人に見てもらわないとこれから何も始まらないのでそれを新しい感覚で受け止めてもらったらいいですよね。
先人たちの技と美意識を受け継ぐ淡路瓦。
400年の伝統を守りながら今も銀色の輝きを追い求めています。
2014/03/23(日) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
イッピン「空に輝く銀色の波模様〜兵庫 淡路瓦〜」[字]
今回は兵庫県淡路島の『淡路瓦』。建築巡りが趣味というモデルの生方ななえが、銀色に輝く瓦の秘密を探るために、ユニークな職人たちと出会って、その魅力にひかれていく。
詳細情報
番組内容
今回は400年の歴史を持つ兵庫県淡路島の「淡路瓦」。瓦は日本家屋や寺院など伝統的な建物に使われ、現代ではなじみが薄いと思われがち。しかし日本を代表する建築家たちは淡路瓦の「美しい銀色の輝き」に注目、作品に取り入れている。モデルの生方ななえが、ある「身近なもの」を使って輝く瓦を作る工場や、瓦の製法で開発したかわいい小物や家具を扱うギャラリー、伝統の焼き窯を復活させた工房などを訪ね、その魅力に迫る。
出演者
【リポーター】生方ななえ,【語り】平野義和
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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