ららら♪クラシック「新しい私になりたい〜マスネの“タイスの瞑想曲”〜」 2014.03.08

どこかで耳にしたあのクラシックをあなたのものに。
人生を豊かにしてくれる一曲を一緒に見つけませんか?今日の名曲はこちら。

(「タイスの瞑想曲」)この優美なメロディーからどんなすてきな瞑想にふけっているのかと思いきや…。
実はこの曲にはとんでもなく衝撃的な愛の物語が…!作ったのは当時のエリート作曲家…そんな彼の久々の大失敗。
そこから彼はどう復活を遂げたのでしょうか?更にこの曲には深い意味が込められていたんです。
曲の中で変化していく音楽の秘密とは?今日はこの名曲の意外なドラマをお見せしましょう!「ららら♪クラシック」今日はマスネの「タイスの瞑想曲」をご紹介します。
演奏会のアンコール曲としてもおなじみの名曲ですね。
私ももう何百回と伴奏してきた作品です。
それでは本日のお客様をご紹介しましょう。
「ららら♪クラシック」初登場ですね。
女優でタレントのホラン千秋さんです。
ホラン千秋です。
お願いします。
ようこそお越し下さいました。
中学の頃はクラリネットとフルートを?似合いますね〜!いやいやもうね…。
フルート吹いてほしいわ〜。
やっていたっていうほどでもないんですけどほんと1年半と1年半ずつクラリネットとフルートをやってトゥルルルル…って上がっていくところあるじゃないですか。
あれが私吹けなかったんですけどそれを吹きたくて吹きたくてあの音にすごく憧れてましたね。
クラシックに興味がおありだという事なんですが…。
クラシックって普通に聴いてると美しい旋律だったりきれいなメロディーだけが頭に入ってくると思うんですがその曲の事を知って登場人物だったり作曲家の事が分かるとやっぱり音楽が生きてくると思うんですね。
なので今日「タイスの瞑想曲」より深く理解するためにもいろいろ知りたいなと思いました。
この曲はどんな印象がありますか?印象は…でも今の2つのところで核心の部分をつかまれてしまいましたね。
実はこの曲は…そういう印象ありますよね。
小品のような印象がありますけれども。
この曲は大事な役割を果たす間奏曲。
まずはオペラ「タイス」のあらすじをどうぞ。
舞台は4世紀のエジプト。
ナイル河ほとりの町アレクサンドリアです。
娼婦のタイスが町じゅうの男をとりこにし風紀が乱れていました。
そこに登場するのが…町の平和を取り戻すためタイスに娼婦をやめて信仰の世界に入るよう説得します。
最初は聞く耳を持たないタイスですがアタナエルの説得に次第に心が揺れていきます。
そこで一晩かけてタイスは一人自分の進むべき道に思いを巡らせるのです。
この場面のあとに流れる間奏曲が「タイスの瞑想曲」です。

(「タイスの瞑想曲」)娼婦を続けるか信仰の道に入るか。
葛藤するタイスの心がバイオリンの響きで表現されています。
瞑想の後タイスは娼婦をやめて神に身をささげようと決意します。
しかし今度はアタナエルが神に仕える身でありながらタイスへの恋に落ち苦しみます。
最後タイスは天に召され2人は結ばれる事なくオペラの幕は閉じるのです。
そんなストーリーだったんですね。
曲からは想像できないですよね。
できないです。
まさか主人公が娼婦の女の子だったっていうところも衝撃ですし。
しかもあのメロディーで娼婦をやめて信仰の道に入るかどうか悩んだっていうね。
全然想像つきませんでした。
こちらが「タイス」の原作。
フランスのノーベル賞作家アナトール・フランスが書いた小説。
発表された時はかなりセンセーショナルというか話題になったわけですよね。
19世紀末のフランスというと「世紀末」という言葉がありますけれどとても文化が爛熟していた時期なのでその中で神への愛と男女の愛っていうのがこうやって二重写しになっている物語っていうのはすごく大きな騒ぎになったんじゃないですかね。
でもね聴いて頂いてるこの「瞑想曲」はやっぱり…「瞑想曲」はタイスが改心した後にオペラの重要な局面でこのあとも何度も出てくるんですね。
こちらの場面をご覧下さい。

(「瞑想曲」のメロディー)いかがですか?単なる間奏曲ではなくてちゃんと劇中でもすごいちゃんとした重みを持った曲になってるのが意外でしたね。
間奏曲としてもちろんソロでも美しいメロディーなんですけどこうして歌と絡み合っても美しいというまさにメロディーメーカー。
マスネの成せるすばらしい技という感じがしましたよね。
この「タイス」を珠玉のメロディー満載のオペラに仕上げた当代随一のオペラ作曲家マスネなんですけれどもフランスで最も成功した作曲家の一人だったんです。
こちらがその履歴書なんです。
生没年は1842年〜1912年。
同時期に活躍した有名人日本だと伊藤博文とか。
ちょっと前って感じですね。
得意なジャンルはオペラ。
代表作は「マノン」や「ウェルテル」。
結構普通な方だなっていう。
普通というかものすごいたくさんオペラを作ってらした一番有名な方だったんですよね。
それにしては…すごい作曲家の方って意外と短命だったりとかするじゃないですか。
結構長生きですし。
20世紀まで生きてますもんね。
ではマスネがどれだけすごかったのか今度はこちらでご紹介したいと思います。
こちらご覧下さい。
マスネが活躍したのは芸術の都パリのシンボルオペラ座。
このオペラ座で当時マスネは同世代の作曲家たちの中で最も多くオペラの作品を上演していました。
これは本当にすごい事で当時フランスのオペラ作曲家はみんなオペラ座での上演を目指していたんですけれどもなかなかかなわなかったんです。
なぜならオペラ座での上演が依頼される作曲家というのは音楽の才能はもとより作曲以外にも多くの能力が求められていたわけなんです。
こういう要素が挙げられています。
まずこちら。
絶対に失敗しないと思わせるだけの「実績」。
そうですよね。
ヒット作がかなりないと駄目ですね。
そして歌手や踊り子たちなど出演者やスタッフ全員がついていく「人望」。
大事ですね。
そして長丁場の作曲のあとまたハードなリハーサルに耐えられる…そして人気オペラの題材を見抜くいわば…これも大事ですよね。
センスがね。
そして最後なんですがパトロンや劇場の関係者からも覚えのよい…5つのポイントがあるんです。
そんなハードルの高いオペラ座作曲家としてマスネは…ジャン!なんと満点です。
オール5の人。
全てが5段階で満点評価。
すご〜い!この5つを全部満点にするなんて体一つじゃ足りなかったんじゃないかなっていうぐらい。
ほんとですね。
いつの時代でもこれが全部あれば理想のリーダーですよね。
当時のオペラ現代に置き換えると映画と同じような感覚。
でも総合芸術という意味ではすごく近いんじゃないですかね。
ホランさんはいかがですか?映画界というか監督などともおつきあいがあると思うんですけれども。
それをしっかり伝えないとどこに向かっていけばいいかみんな分からないじゃないですか。
なので自分のビジョンが明確な監督はより一丸となっていい作品を作れるんじゃないかなっていうのは思いました。
確かに上に立つ人がこうブレたりとかね…。
オロオロしてるとやっぱり不安になっちゃうじゃないですか。
下でついていく人たちも。
だから…しかもマスネの場合は忘れちゃいけないのは本業の音楽の才能。
メロディーメーカーであってこの部分もずばぬけているわけですからね。
聞くかぎり完璧ですもんねいまのところ。
ところが完全無欠なマスネにも意外な弱点がありました。
19世紀末のフランスで活躍した…オペラ作曲家としての大成功の秘訣はその徹底的なこだわりにありました。
リハーサルにはピアニストとして参加し…更に歌だけでなく演技指導にも力を入れました。
オペラ座でここまで熱血指導しちゃう作曲家なんてマスネの他にはいなかったそう。
音楽だけではありません!そのこだわりは細かな舞台美術にまで!近所のルーブル美術館に出かけて異国の文化を学び…新人歌手の発掘も人任せにしなかったマスネ。
外国であろうと出向き才能ある歌手を探し求めました。
努力が実を結びオペラは次々とヒット。
マスネさん本当にがんばりマスネ!…な〜んつって。
マスネには大きな弱点が…。
それは「自分の新作の初日公演が怖くて見られない」という事。
20代の頃ある曲の初演で失敗した経験が心の傷になったんだそうです。
マスネはリハーサルを済ませたあとは決まってパリを離れました。
そんな奇妙な行動をとっても彼のオペラは成功を続けたのです。
マスネ51歳の時オペラ「タイス」は初演を迎えました。
「娼婦と修道士の恋」という刺激的なテーマを描いた自信作でした。
いつものように初演には立ち会わず程なくしてパリに戻ったマスネ。
彼のもとに届いた初演の報告は…。
「タイス」の初演が失敗した原因は過激なストーリーばかりが目立ち主人公の心の動きが伝えきれなかった事でした。
しかしマスネは失敗のままでは終わらせません。
より心に迫るオペラに作り変えるため新たな場面を書き足しました。
それがこの場面。
タイスとアタナエルが心通わせるクライマックスです。

(「瞑想曲」のメロディー)「瞑想曲」のメロディーも登場しオペラに欠かせない名シーンとなりました。
この改訂は大成功!その後「タイス」は人気が出始め世界中で上演されるようになったのです。
う〜ん。
初演が怖くて見られなかったんですね。
意外ですよね。
作曲家としてはどうなんですか?自分の初演から逃げちゃうのは。
ちょっと考えられないですね。
だって一番の楽しみ。
やっぱり音になる瞬間そしてお客さんがどんな反応してくれるかっていうのはね。
リアクションは楽しみですよね。
そうですよね。
本来ならば。
でもマスネが大幅に改訂したバージョンをイタリアで初演したら間奏曲のメロディーが美しいと非常に皆さんが興奮してカーテンコールで何度も何度もこの間奏曲が演奏されたそうなんですよね。
そうするとこの曲のおかげでその再演がうまく成功したのかもしれませんね。
初演ではありませんけれど自分のオンエアとかロードショーとかはちゃんと見に行く方ですか?見ますね。
見ますけど…。
反省します?反省します!こんな感じでいっちゃったなとかもうちょっとコメント短い方がよかったなとか。
衣良さんはいかがですか?僕ですか?僕はもうほんとに全く気にしない方ですね。
でもご自身の最初の本が店頭に並ぶ日は自分で本屋に行ってちょっと積み方変えたりとか…。
僕その時はサッと見て本並んでるなと思ってペラペラッとめくって置いてすぐ帰ってきました。
ドキドキとかしないんですか?「あっあの人持ってる!」とか。
しないしない。
何でしょうね書き終わってしまったら人のものなんですよね。
やっぱり作曲家も譜面を書き終えた時点で演奏者に託す。
いろんな方々に託したところで一応仕事は終わってるので僕は旅に出るみたいな。
そう言えばかっこいいけどね。
どうですか?こういうマスネみたいな男性。
私はすてきだと思いますね。
一見地味なんですけれども自分では語らないけれども自分の専門分野にものすごくたけていてほぼトップに君臨してるっていうのは…なるほどね。
じゃあちょっと今更ながらですけどマスネ目指してみますかね。
(笑い声)クラシックにまつわる素朴な疑問にお答えしま〜す!答えて下さるのはクラシック界のやわらか博士…バッハやモーツァルトの時代というのはまさに教会や貴族のお館とかそういう所につとめていました。
そうしないとお金が稼げなかったわけですね。
つまり彼らにとってそういう所に出入りするためのいわば制服正装のようなものとしてかつらをかぶらなくてはいけなかったわけです。
それに対してベートーベンはそういう所につとめなかった。
まさにそういう所に属していない「俺は独立した音楽家なのだ」という気概を示すためにも彼の肖像画にはかつらをかぶっていないそのままの姿で描かれたと言われています。
番組ではクラシックにまつわるあなたの疑問・質問をお待ちしていま〜す!今日の名曲マスネ作曲「タイスの瞑想曲」はオペラの間奏曲。
マスネは人気実力ともにパリで一番の作曲家でした。
オペラ「タイス」はそんな彼の大失敗作。
しかし大幅に手を加え見事復活した作品です。
「瞑想曲」は主人公タイスが重大な決意をするところで流れる間奏曲。
タイスの心の変化が音楽にどう表れているのか作曲家の美濃さんが解き明かします!まずはね冒頭の旋律を改めて聴いて頂きたいと思います。
この曲は今の部分Aという部分と中間部Bそしてこのメロディーにまた戻っていくA’と3つのパートに分かれていますが…メロディーをご紹介すると…。
ちょっとAの部分と印象は違いますか?違いますね。
Aの時よりももっとBの時の方が思い悩んでる感じがしますね。
鋭いですね。
特にこの今のメロディーの下についているハーモニー。
和音の部分でより心の揺れ動きとか迷っている彼女の心情を表現していると思うので今度はハーモニーをつけて聴いて頂きたいと思います。
どうでしょう?タイスがすごい葛藤してるのがより強く分かります。
こんなふうにしてメロディーの旋律でもそれから支えてるハーモニーでもそういう彼女の迷い葛藤心の揺れ動きみたいなものを表現しています。
さあそして最後の部分ですね戻ってきたA’の部分。
こちらは何といっても一番の注目は音量。
音量?音の大きさなんですけれども「pp」という記号なんですけれどもできるだけ小さな音で弾くように指示が書いてあるんですね。
ちょっと聴いて頂きたいと思います。
変化ありました?ありました。
そうなんです。
この音量の変化がまさにタイスの清められた心の変化というか…なるほどね。
でもなんかそう聞くと無声映画サイレント映画のBGMにもぴったりなんじゃないかな。
やっぱりAから最後の部分までつなげると感情の変化のアーチがものすごく美しく描かれてるじゃないですか。
だからそういうのはサイレント映画とは通じるとこもあるのかななんて思いました。
そうかもしれないですね。
なんかため息が出ますね。
こんなふうに感じてたのかなタイスはみたいな。
深い演奏でしたねしかし。
吸い込まれていきましたね。
はい。
なんかこうやっぱり「タイスの瞑想曲」の事について今日いろいろお話伺いましたけど誰に感情移入すればいいのかこの登場人物が今どういう気持ちなのかっていう事が今まで以上に想像が膨らむなと思いました。
タイスが生きてる感じが今まで情景が浮かばなかったものがちゃんとこう想像できる感じがしますね。
うれしいですね。
この曲はねバイオリンだけではなくてフルートとかチェロとか歌とかいろんなバージョンで譜面も出てますので是非ちょっとフルートで挑戦して頂きたいですね。
挑戦はできないですけどフルートで聴いてみたいなと思います。
ホランさん是非これからもすてきな曲と出会って下さいね!
(「となりのトトロ」)2014/03/08(土) 21:30〜22:00
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック「新しい私になりたい〜マスネの“タイスの瞑想曲”〜」[字]

「タイスの瞑想(めいそう)曲」は甘美なメロディーで有名なバイオリンの名曲だが、この曲は「タイス」という衝撃的なオペラの間奏曲。作曲家マスネの意外な素顔も紹介。

詳細情報
番組内容
「タイスの瞑想曲」はバイオリンの甘美なメロディーで有名な曲だが、実は19世紀末フランスの作曲家マスネが手がけた「タイス」というオペラの間奏曲。しかもオペラの内容は、しょう婦と修道士のビックリ仰天の恋物語! 作曲したマスネは当時のフランスで名実ともに売れたオペラ作曲家だった。マスネが描きたかった「タイス」の世界とは? この「瞑想曲」にはどんな意味が? 知られざる逸話とともに作品の魅力をひもとく。
出演者
【ゲスト】ホラン千秋,【出演】バイオリニスト…加藤知子,指揮者…小松長生,オーケストラ…東京フィルハーモニー交響楽団,【司会】石田衣良,加羽沢美濃

ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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