(亀井刑事)こんちは〜。
(店員たち)いらっしゃいませ。
今日はお仕事はお休みですか?ああそう。
久しぶりの休みでね。
ここ?どうぞ。
少しさっぱりしようかなと思ってね。
お預かりしまーす。
白髪全部染めちゃおうかな〜。
え?ハハハハ!冗談冗談!
(十津川直子)あなたと旅行に行くのは何年ぶりかしら。
(十津川警部)何年ぶりかはないだろう。
今回は1泊で悪いな。
ううん。
新潟は前から一度行ってみたかったのよ。
今夜は日本海でとれた美味しい海の幸を頂いて…。
温泉入るの久しぶりだね。
うん!
(パトカーのサイレン)
(カメラのシャッター音)
(佐伯)原田由紀。
物盗りの犯行じゃねえようだな。
佐伯さんこんなものが…。
(佐伯)「警視庁刑事部捜査第一課警部十津川省三」?上越新幹線で約2時間。
新潟も近いのねえ。
そうだな。
(携帯電話)あっ…。
(携帯電話)あっもしもし十津川ですが。
え?私の名刺が?本来在庁班を出動させるべきなんだがガイシャが君の名刺を持っていたという事で十津川君たちが捜査したほうがホシを早く割り出せると思うんだ。
休日返上で悪いがすぐに現場に急行してくれ。
わかりました。
新潟旅行は一人で楽しんできます。
私の事は気にしないで。
おお!ご苦労さん。
みんな休みのところすまないね。
いえ。
(西本刑事)警部それより本当ですか?警部の名刺が…。
うん。
らしいんだ。
ご苦労さまです。
墨田西署の佐伯です。
警視庁捜査一課の十津川です。
どうぞ。
(佐伯)おい。
ああ。
ガイシャは原田由紀25歳。
昨夜の12時前後刃物で刺され殺害されたものと見られます。
名刺はハンドバッグの封筒の中にありました。
私の名刺だ。
あっ…間違いありませんね。
原田由紀…。
(北条刑事)お知り合いですか?いや…会った事はない。
それに原田由紀という名前に心当たりは…。
(佐伯)ガイシャに見覚えはないんですか?ええ。
それから封筒に入っていたのは名刺だけじゃありませんでした。
こんなものが。
ああ電車の切符ですね。
11月22日…今日の切符ですね。
東武鉄道浅草駅を午後0時に出て鬼怒川温泉行き特急きぬ115号の特急券と乗車券ですか…。
明日23日の切符だ。
宿泊先のメモもありました。
「11月22日会津ホテルリステル猪苗代泊」「11月23日新潟岩室温泉島屋泊」原田由紀の住まいは?この近くです。
行きましょう。
(佐伯)はい。
(松山刑事)旅行鞄は用意されていないようですね。
整頓されてるねえ…。
旅の支度は昨日夜帰ってからするつもりだったんだ。
ははあ…。
(北条)警部!大家さんの話では原田由紀は銀座のクラブに勤めていたそうです。
銀座のクラブ?はい。
これが原田さんの賃貸借契約書です。
ちょっと待ってください…。
筆跡が違いますね。
うん…。
本当だ!じゃあこの宿泊メモ原田由紀本人じゃなくて誰か別人が書いたって事ですね。
電車の切符もその人物が渡したんじゃないでしょうか。
じゃあ警部の名刺もその同じ人物が原田由紀に渡したという事か。
旅行の同伴者…。
カメさんすまないがこの捜査は西本たちと進めてくれ。
はい。
警部は?私は原田由紀が乗車しようとしていたこの電車に乗ってみようと思う。
(アナウンス)「この電車は午後0時発特急鬼怒川温泉行きです」
原田由紀が持っていた切符の座席は4号車417番
(アナウンス)「本日は特急きぬ115号をご利用頂き誠にありがとうございます」あっすいませんつかぬ事を伺いますが…。
そこの418番の席ですが売れてますでしょうか?少々お待ちください。
売れてますね。
ありがとうございました。
同伴者が現れないのは原田由紀が死亡した事を知っているからではないのか
事件と関わっている可能性がある
(携帯電話の振動音)もしもし十津川ですが…。
もしもし?
(ボイスチェンジャーの声)「警視庁捜査一課の十津川省三さんですね?」そうですが…。
「やっぱり特急きぬ115号に乗ったんですね」もしもしあなた誰ですか?私になんの用です?もしもし?もしもし?
(不通音)
どうして私がこの電車に乗っている事を知っているのか
公衆電話からかけてきた人物がこの中にいるはずはないが一体誰がなんの目的で電話をしてきたのか…
気になるのはやはり同伴者だ
宿泊予約からその同伴者の手がかりを得られるかもしれない
私は原田由紀が持っていた電車の切符と同じルートで会津若松へ行く事にした
「スペーシア」の愛称で知られる東武鉄道特急電車は東京と日光・鬼怒川間を運行
現代的なデザインと設備で人気を博している
特急きぬ115号は午後0時に浅草駅を出発するととうきょうスカイツリー北千住春日部栃木新鹿沼下今市新高徳駅に停車
終点鬼怒川温泉駅には午後2時に到着する
(アナウンス)「鬼怒川温泉鬼怒川温泉」「ご乗車ありがとうございました」
新藤原駅で野岩鉄道に乗り換え
川治温泉湯西川温泉会津高原尾瀬口
会津田島駅でさらに会津鉄道に乗り継ぎ
塔のへつり芦ノ牧温泉西若松
終点会津若松駅に到着したのは午後4時54分だった
すいません。
ありがとうございました。
(松山)原田由紀さんは2年前からこちらに勤めていた。
ゆうべは午後11時半頃店を出たんですね?そうです。
その時どなたかと一緒に帰ったという事は?いいえ一人で帰りました。
事件の事はニュースで知りました。
由紀ちゃんは真面目でいい子だったのに…。
(2人)おはようございます。
おはよう。
それで旅行の件なんですが原田由紀さんは今日から2泊で旅行に行く予定でした。
どなたか同伴者になりそうな方心当たりは?旅行って…刑事さんそれ何かの間違いじゃないですか?え?えー原田由紀さんのお名前で予約は頂いておりません。
今日宿泊されるお客様でまだチェックインをされていないのは田中裕介様だけです。
予約は2名様。
チェックインは午後7時の予定と承っています。
その田中裕介さんはどちらから?神奈川です。
申し訳ありません住所を教えて頂けますか?はい。
こちらです。
はい。
どうもすいません。
(携帯電話)
(携帯電話)ああカメさんか。
どうも妙なんです。
原田由紀の勤めていたクラブを当たったんですが店の関係者は誰一人旅行の話は聞いてないんです。
原田由紀は今まで一度も無断欠勤した事なく店に内緒で旅行に行くなんて思えないってこう言うんですね。
妙といえば私にも妙な事があったよ。
警部が電車に乗っていた事まで知っていたんですか?とにかく現時点で気になるのは田中裕介という人物だ。
原田由紀の同伴者の可能性がある。
あっ住所を言うんで念のため調べてみてくれ。
川崎市…。
道楽1丁です。
(川合ひろみ)こちらよろしいでしょうか?ああ…どうぞ。
すいません。
すいません天ざるください。
(店員)はい。
私も同じものを。
(店員)はい。
天ざる2枚です。
失礼ですけど地元の方ではないですよね?ええ。
会津へはお仕事ですか?いえ…旅行です。
そうなんですか。
私もです。
いいカメラをお持ちですね。
ああ…。
私カメラと鉄道が趣味なんです。
それで休みになるといつも撮影旅行に。
へえそうなんですか。
あっ…。
私川合ひろみといいます。
あっ十津川といいます。
(北条)201号室ですね。
(ノック)田中さん?
(ノック)田中さん!
(チャイム)田中さんいらっしゃいませんか?
(イヤホンから流れる音楽)すいません!すいませんこちらあの…田中裕介さんのお宅ですよね。
どちらへお出かけになったかご存じありませんでしょうか?旅行にでも出かけたんじゃないですか?今朝バッグを手に出かけるの見たから。
あの…田中さんってどんな方なんでしょうか?年齢は?20代後半かな…。
お仕事は?知りませんよ。
あの…原田由紀さんっておっしゃるんですがこの女性が田中さんを訪ねてきた事はありませんでしょうかね。
さあ?見た事ないですね。
(館内の音楽)すいません。
田中裕介さんからは何も?ええ。
チェックインの予定時刻を1時間過ぎていますし確認の電話を入れたんですが携帯の電源を切られていて…。
あの…部屋を1つお願い出来ますか?はい。
それと田中裕介さんがいらしたら知らせてほしいんですが。
かしこまりました。
(松山)クラブ関係者の話では原田由紀にトラブルはなく誰にも恨まれていた形跡はありませんでした。
田中裕介に関しても誰も原田由紀の口から田中裕介の名前を聞いた者はいませんでした。
ええ?じゃあ結局原田由紀と田中裕介の接点はつかめずか…。
何か変だ…胸騒ぎがするな。
もし原田由紀が旅行に行く予定がなかったとしたら…。
私もそんな気がします。
鑑識の報告では切符はもちろん封筒からも原田由紀の指紋は出ていません。
これら全て原田由紀を殺したあと犯人がわざと残していったものなんじゃないでしょうか。
犯人がわざと?
(小林刑事)どういう意味です?警部にかかってきた電話も気になるな…。
もしかしたら警部の名刺も電車の切符も宿泊先を書いたメモも犯人が警部を会津におびき出すために仕掛けた罠じゃないかと…。
いくらなんでも考えすぎですよ。
なあ。
会津までおびき出して一体誰が何するっていうんですか。
そうだよな…。
罠?いや実は私もそんな気がしないでもないんだが…。
今から私もそちらに行きましょうか?仮に罠だとしたら私一人のほうがいい。
大丈夫だよ。
そうですか…。
ところで田中裕介はそちらのホテルには?いや…。
だが明日新潟に現れるかもしれない。
新潟?「新潟県警に頼んでメモにあった岩室温泉のホテルを当たったところ田中裕介が予約してるっていうんだ」しかも明日は午後4時にチェックインすると今日本人からホテルに電話があったっていうんだよ。
はあ。
今のところ手がかりは田中裕介だけだ。
私は明日新潟に行こうと思う。
わかりましたお気をつけて。
ああ。
(携帯電話)十津川ですが…。
(ボイスチェンジャーの声)「原田由紀さんの事件の事でお話ししたい事があります」「午後10時に猪苗代湖の天神浜に来てください」
(通話の切れる音)
(カメラの連写音)すいません。
(ひろみ)あっ…またお会いしましたね。
ああ!あなたも新潟へ?ええ。
ここ空いてますか?ああどうぞ。
失礼します。
(パトカーのサイレン)
(カメラのシャッター音)
(広田刑事)小坂井恵子。
住所は東京か。
(坂口刑事)福島へは旅行で来たんですかね?うん…。
ボタン…。
首を絞められた時ホシの着衣からもぎ取ったんでしょうか?
(広田)繊維片…。
鑑識さん。
(鑑識員)はい。
爪の間に繊維片が。
硬直の具合から被害に遭ったのは昨夜だな。
広田さんガイシャは昨夜男に電話をかけています。
男?誰だ?「11月22日21時32分十津川省三自宅」か…。
十津川さんはお仕事何なさってるんですか?公務員を。
あなたは?私は普通のOLです。
撮影旅行とおっしゃってましたが旅行はしばらく続けられるんですか?いえ。
今日新潟に1泊したら明日日曜日中には東京に戻ります。
十津川さんは?今日どちらにお泊まりなんですか?泊まるかどうかわかりませんが岩室温泉の島屋に。
岩室温泉いいですね!私まだどこに行くか決めてないんです。
岩室温泉行こうかな。
十津川さんと同じホテルへ。
ハハハ…。
フフッ。
会津若松駅で乗った磐越西線から新津駅で信越本線へと乗り継ぎ新潟駅からは越後線に入ると岩室駅に到着する
お願いします。
それじゃ。
ご案内致します。
警視庁捜査一課の十津川といいます。
県警の刑事さんから伺っています。
田中裕介様の件ですね?ええ。
昨日田中裕介さんから今日の午後4時にチェックインすると電話があった。
これ間違いないですか?はい。
予約の際は2名様と伺っていたのですがお連れ様に急用が出来たのでお一人でいらっしゃると。
「今日福島県猪苗代湖で女性が死亡しているのが見つかり福島県警が捜査を始めました」「福島県猪苗代湖の天神浜で死亡していた女性は東京都世田谷区に住む小坂井恵子さん37歳で今日午前8時30分頃…」小坂井恵子!?
(キャスター)「県の環境管理課の人に発見されました」「警察の調べによりますと小坂井さんの首に絞められた痕があり遺体の状況から小坂井さんは昨夜何者かに首を絞められて殺害されたものと見て県警は殺人事件と断定して捜査を始めました」「事件現場となった天神浜は…」
田中裕介のチェックインまであと2時間…
(携帯電話)ああもしもし?お仕事中ごめんなさい。
旅行無事に終わりました。
今ね新潟駅の前。
これから東京に帰ります。
あっそう。
いやたまたまね今仕事で新潟へ来てるんだ。
ええっ!?あなた新潟にいるの?だったら…せめてお茶ぐらいしない?ああわかった。
あっ今ね岩室温泉の島屋さん。
こんにちは。
十津川です。
いらっしゃいませ。
今日はようこそおいでくださいました。
ありがとうございます。
ごゆっくりどうぞ。
今回一緒に旅行に行けなくて本当に悪かったね。
いつもの事だから慣れっこです。
ハハハハ…。
嫌だあなたコートのボタン取れてる。
えっ?あっ本当だ。
気づかなかったよ。
(直子)脱いで。
つけるから。
いやいいよ。
自分でやるから。
私がやります。
予備のボタンあるでしょ?あれ?ああ例の机の引き出しだ。
ああ…。
じゃあ仕方ないわね。
お家帰ったらつけます。
ああ。
ありがとう。
よかった。
新潟で会えて。
嬉しい!新潟はいいところねえ。
昨日食べたお刺し身の美味しかった事美味しかった事!気をつけて帰ってね。
なんか変な感じ。
え?変な感じって?だって東京駅であなたに見送られて帰りにはまたこうして新潟であなたに見送られる。
フフッそういえばそうだね。
どうしようかな〜?え?うーん…せっかく新潟まで来てね1泊で帰るのもどうかなって思ってたの。
決めた。
私やっぱりもう1泊する。
えっ!?今夜はこの旅館に泊まる。
いやちょっ…ちょっと待ってよ。
悪いけどこれ以上付き合えないよ。
わかってます〜。
一人で楽しむから私の事は気にしないで。
じゃあね。
お仕事頑張って。
いやちょっと待ってよ!ねえちょっと…!
(柱時計の時報)
(時報)十津川様。
田中裕介様から連絡はございません。
午後4時にはチェックインされるとおっしゃっていたんですが…。
そうですか…。
福島県警の広田です。
あなたが電話をくださった川合ひろみさんですか?そうです。
それで昨夜猪苗代湖で見た男っていうのは?今ロビーにいます。
(カメラのシャッター音)
(広田)十津川省三さんですか?そうですが?福島県警の広田といいます。
今朝方猪苗代湖で小坂井恵子さんの死体が発見されました。
昨夜何者かに殺害されたと見られます。
小坂井恵子が殺された!?十津川さんは小坂井恵子さんとお知り合いですよね?事件の事でお話を伺いたいのでちょっとこちらのほうへ。
はあ…。
小坂井恵子さんとはどういう?1年前ある事件の捜査で知り合いました。
あっ申し遅れました。
私警視庁捜査一課に在職しております。
警視庁…。
警部さんでしたか。
解剖の結果小坂井恵子の死亡推定時刻は昨日11月22日の午後9時から11時の間です。
失礼ですが十津川さんその時刻どちらに?昨夜猪苗代湖で小坂井恵子とお会いになりませんでしたか?いいえ。
ではその時刻どちらに?
(ひろみ)私見たんです。
ゆうべ私は夜景を撮影するため猪苗代湖に行きました。
午後10時半頃天神浜へ行くと人影があって望遠レンズで見ると昨日知り合った十津川さんでした。
なんだか様子が妙に思えて思わず撮影したんです。
これがその時の写真です。
確かに私はその時刻に猪苗代湖にいました。
しかしそれにはある事情がありまして…。
私を疑ってらっしゃるんですか!?
(広田)これはですね小坂井恵子の携帯電話です。
小坂井恵子は昨夜9時32分に十津川さんの自宅に電話をかけています。
私の自宅に!?
(広田)この携帯の電話帳には十津川さんの携帯番号も登録されています。
なのになぜ小坂井恵子は十津川さんの携帯にではなく自宅に電話をかけたのか?気になっていたところへこちらの川合ひろみさんから昨夜猪苗代湖の天神浜で十津川さんを見たと連絡がありましてそれでお話を伺いたいと。
(広田)それからですねこれは殺された小坂井恵子が握り締めていたボタンです。
ちょっと失礼します。
(坂口)同じですね。
ご足労ですが詳しくお話を伺いたいので福島県警までご同行願えますか?
(電話)はい捜査一課。
あっ奥さん。
亡くなられた小坂井恵子さんっていう方が主人のコートのボタンを握ってたって…。
私今から東京に戻ります。
亀井さんどういう事なんだか調べてもらえませんか?今課長が福島県警に確認してるんだけど小坂井恵子殺害事件の参考人として警部が話を聞かれてるのは間違いないみたいだ。
えっ!?その事件なら夕刊に出ております。
(北条)小坂井恵子1年前の目撃証言の女性です。
ああ。
(久保田刑事)でもどうして警部が疑われなければならないんです?
(松山)カメさんの言ってた罠これだったんじゃないでしょうか。
原田由紀の事件で犯人がわざと警部の名刺や電車の切符を残し警部を会津におびき出したのは小坂井恵子を殺しその罪を警部に着せるためだった。
えっ…ちょっと待って。
じゃあ東京で起きた原田由紀の事件とその福島の小坂井恵子の事件とが繋がってるって言うのか?もちろん推測ですが。
うん。
いや可能性はあるな。
あの小坂井恵子が殺された。
北条君世田谷南署の浦部警部補を呼んでくれ。
はい!
(浦部慶一)十津川さんが?本当ですか?今回の事件は1年前の事件と関係があるのかもしれません。
それで当時事件の担当だった浦部さんに改めてお話をお伺いしようと思いまして。
わかりました。
1年前の11月8日深夜1時頃世田谷区内で人身事故が起きました。
(浦部の声)被害に遭ったのは菊地詩織26歳。
通報を受け我々交通捜査係が臨場した時菊地詩織はすでに死亡が確認され…。
(浦部)事故を起こしたのは?
(浦部の声)私はその場で車を運転していた早見明を自動車運転過失致死罪で逮捕しました。
あれはあなたの車ですか?早見明29歳。
現役のプロ野球選手。
(浦部)甲子園で剛速球ピッチャーとして活躍し新潟の高校を卒業後ドラフト1位で東京レンジャーズに入団。
プロになってからは怪我に泣かされ1軍と2軍を行ったり来たりでしたが野球ファンで彼を知らない者はいません。
うん。
事故を起こした時早見明は自分に非はないと言ったんですよね?はい。
現場に差しかかった時車道の信号は青だったと主張しました。
(早見明)車道の信号は青でした。
なのにこの女性が飛び込んできて…。
(松山)その事故を目撃した人物がいた。
それが…。
今回会津で殺害された小坂井恵子だった。
(小坂井恵子)コンビニに行こうとしてここを通りかかりました。
(浦部)その時歩行者の信号はどうでした?赤でした。
あの女性が信号を無視して渡ろうとしたので私危ないって思ったんです。
小坂井恵子の証言を得て私は早見明の事案を不可抗力の事故として処理しようと思いました。
(広田)その1年前の交通事故でどうして警視庁捜査一課の十津川さんが捜査に加わり目撃者の小坂井恵子と関わる事になったんです?きっかけは私の妻です。
事故が起きた翌日…。
(直子)よりによってプロ野球選手にはねられるなんてねえ…。
えっ知ってる人なの?この亡くなられた菊地詩織さんっていう人私が通ってるヨガ教室で一緒だったのよ。
でも「よりによって」って?この菊地さんにねいつか聞いた事があるの。
菊地さん野球が好きで2軍に大ファンの選手がいてよく試合を見に行くんだって。
菊地詩織が野球ファン?念のため調べられたほうがいいのではないかと。
はいどうぞ。
(十津川の声)菊地詩織の部屋を捜索すると…。
早見明のサイン…。
(十津川の声)ひょっとして2人は知り合いだったのではないか?殺人の可能性もあると我々も捜査に加わりました。
よく見てください。
(小林)この写真のこの男性…。
いえお見えになっておりませんね。
持ち上げる。
それでバンザイ。
(久保田)すみません。
警察の者なんですけれども…。
(北条)いらした事ありますか?ええ何度か。
2人でよくお見えになられてました。
付き合っていただけじゃない。
あなたは菊地詩織さんと別れ話で揉めていたそうですね?あれは事故だったんです!本当です!だったらなぜ菊地詩織さんと交際してた事を黙ってたんですか?事故です!あれは事故だったんです!お願いします!信じてください!
(十津川の声)問題は目撃者小坂井恵子の証言でした。
私は小坂井恵子に会いに行き早見と菊地詩織の関係から事故とは考えにくいと言いました。
事故が起きた時歩行者の信号は青だったんじゃないんですか?青で横断していた菊地詩織さんを早見の車…。
いいえ。
赤でした。
その事はもうお話ししたはずです。
あっ…もう一度よく思い出してみてください。
信号の事でもし思い出すような事がありましたらこちらにご連絡ください。
事故が起きた現場から200メートルほど手前に監視カメラが設置されてました。
事故当夜そこを時速60キロで通過する早見の車が映ってました。
通過時刻と現場の信号機のサイクル時刻とを照合したところ早見の車が現場に到着した時この歩行者の信号は青だった可能性が非常に高いという事がわかりました。
もう一度お聞きします。
菊地詩織さんが事故に遭われた時歩行者の信号は本当に赤だったんですか?あの時私は目の前で事故が起こって気が動転していました。
歩行者の信号が赤だと思ったのは…私の記憶違いだったかもしれません。
早見明は最後まで事故だと言い張ったが結局約1年にわたる裁判の結果早見には殺人罪で懲役14年の実刑判決が下った。
ふた月前その一審判決が出た日の夜でした。
収容先の拘置所で早見明は自殺しました。
(浦部)早見の自殺を止められなかったのは残念でしたが殺人を犯したからこその自殺と言えます。
1年前十津川さんの助言がなければ私は早見の殺人を見逃して事故として処理するところでした。
私は今でも十津川さんには本当に感謝しています。
今回の小坂井恵子の事件で私に出来る事があればどんな事でもおっしゃってください。
(本多)福島県警から正式に連絡が来た。
しばらく十津川君を会津に滞在させ取り調べを続けるらしい。
そんな…!それじゃまるで容疑者扱いじゃないですか!ボタンだけじゃない!殺された小坂井恵子の爪に残した繊維片と十津川君の着衣が一致したそうだ。
福島県警の刑事は事件当夜小坂井恵子が警部の自宅に電話を入れたと言ったんですね?そうです。
それでその電話は?多分これだと思います。
「1件です」「11月22日午後9時32分です」「再生が終了しました」主人はまだ福島に?ええ。
亀井さん…。
大丈夫です。
必ず誤解は解けます。
いらっしゃいませ。
こちら左奥になります。
広田さん怪しい男が来ました。
(ノック)あっ。
どうも。
いやいやいやまるで軟禁状態ですね。
カメさんの予感が当たったようだ。
原田由紀を殺し名刺と切符を残したのは私を会津におびき出すためだった。
殺す相手は原田由紀でなくてもよかったのかもしれません。
やはり本丸は小坂井恵子の殺人事件のほうだと思います。
2人を殺したのが同一犯なら名刺の謎も解ける。
1年前私は小坂井恵子に名刺を渡した。
その名刺をホシが入手したのだろう。
しかしホシはなぜ小坂井恵子を殺して警部にその罪を着せようとしたんでしょうか?ふた月前に自殺した早見明の敵討ち…なんでしょうかねえ?福島県警には全てお話しになったんですよね?話したんだが県警は物証を重視しているようだ。
そのボタンですがボタンを奪うために警部に接触してきた人物が必ずいるはずなんです。
誰かそのような心当たりは?いや…。
ただ…一人だけ気になる人物がいる。
私川合ひろみといいます。
あっ…またお会いしましたね。
私見たんです。
そんな女性が…。
川合ひろみは今日中に東京に戻ると言っていた。
まだ新潟にいるかもしれない。
あっわかりました。
早速当たってみます。
カメさん…。
ありがとう。
警部そんな水くさい事言わないでくださいよ。
あっそれじゃいってきます!川合ひろみ様でしたら午前中にチェックアウトされました。
どちらに行かれたかご存じありませんか?さあ…。
あっそうですか…。
あっすみませんが宿泊者カードを見せて頂けますか?あっどうも。
川合ひろみさんですか?はい。
どうして警部につきまとったりしたんですか?変な事おっしゃらないでください。
会津若松のそば屋猪苗代湖新潟行きの電車で警部と一緒になったというのも全て偶然だと言うんですか?そうです。
偶然です。
ほう…写真を撮るなんて…変でしょう?
(ため息)十津川さんの様子が妙だったのでつい撮っただけです。
私何かいけない事しましたか?マンションに張り込むなんて…そちらこそ私につきまとうような事やめてください。
確かにその川合ひろみっていう女性は引っかかりますがでも事件と関係あるんですかねえ?実は浦部警部補が調べてくださって早見明の父親が現在浅草に住んでいるっていうんです。
浅草?ええ。
亀井さん。
原田由紀が所持していた警部の名刺から小坂井恵子の指紋が出たそうです。
えっ?指紋が?
(松山)カメさん!田中裕介の写真を入手しました!おお!悪そうな顔してるなあ。
(松山)知人の話によると田中裕介は池袋のスナックに勤めているんですが…。
店はまだ特定出来てません。
カメさん。
これからどう動きましょう。
うん…。
捜査は小坂井恵子の事件に絞ったほうがいいと思うんだ。
ホシの動機は早見明が死んだ事による警部への恨みだと思われる。
早見の親族早見と親しい人物これを徹底的に洗おう。
わかりました。
じゃああの…早見明の父親は僕と北条君とで当たります。
それと名刺だ。
小坂井恵子の指紋が出てきた事から警部の名刺はホシが小坂井恵子から入手したものと思われる。
この人物は誰なのか?小坂井恵子の交友関係はええ…私と久保田君で当たろう。
はい。
それとあとは…田中裕介。
ああ〜あっ田中だ。
田中は依然姿を消したままだ。
メモにあったように会津と新潟のホテルを予約してる事から田中は犯人の一味と考えて間違いない。
私と小林は田中裕介を当たります。
警部のためにもなんとしてでもホシを挙げよう!
(一同)はい!早見良司さんですね?
(早見良司)ああ…。
東京レンジャーズの帽子だ。
息子さんの早見明さんが所属していた。
少しお話を伺ってもよろしいでしょうか?警察がなんの用だよ?明の事か?明は自分のやらかした罪を悔いて自殺した。
もう終わった話だよ。
あの…3日前の22日の夜どちらにいらっしゃいましたか?ヘヘヘ…覚えてねえなあ!どちらで飲んでたかな。
ハハハ。
最近会津へお行きになった事は?会津?はい。
けっなんの話だ…。
(北条)ああーっ!あーっ!
(いびき)
(大崎)早見君とお父さんの関係ですか?はい。
まあ…早見明さんとお父さんの良司さんとはどんな仲だったんでしょうねえ?私は寮長として選手たちの相談に乗りますし…。
早見君が小学生の頃施設に預けられたのはご存じですよね?早見さんの経歴は1年前の事件の時に調べましたので…。
新潟の施設で育ったとか。
あの父親は自分の息子を捨てたんですよ。
なのに…5年前です。
いきなり訪ねてきて…。
(良司)すまなかった。
これまで何度も会いに来たいと思ったんだが色々と大変でな。
明がプロ野球選手になってたとは知らなかったよ。
この帽子買ったんだよ。
これからは応援しないとな。
用件は何?実は今やってる会社の経営がうまくいってなくてな。
困ってるんだ。
助けてくれないか?頼れる人間はお前しかいないんだよ。
な?このとおり…!頼むよ!親子じゃないか!な?明!
(大崎の声)厚顔無恥にも程がある。
(北条)それで早見明さんは?
(大崎)実の父親を放ってはおけないと借金を肩代わりして。
会社が潰れてからは生活費の面倒まで見てましたよ。
あんな人間は親じゃない。
父親とは言えませんよ。
でも早見明さんに他にご家族はいませんよね?早見君を身内同然に応援していたのは後援会長の仙堂さんだけです。
その仙堂さんとおっしゃるのは?仙堂建設社長の仙堂肇さんです。
お兄さんが元国土経済省の大臣で…。
財界では有名な方ですよ。
福島県警はどうなっちゃってるんでしょう。
警部に小坂井恵子を殺す理由などないし罠である事はわかりそうなものじゃないですか。
そういつまでも警部が疑われる事はないさ。
高沢さんは小坂井恵子さんとは高校時代ご親友だったとか…。
(高沢和江)ええ。
卒業してからもずっと親しくしてました。
ほう…。
最後にお会いになられたのは?1年ほど前です。
最近小坂井恵子さんが親しくしていた方をご存じありませんか?だったら…恋人じゃないですか?ほう…。
1年前に会った時ちょうど彼と一緒にいて…。
その恋人というのはどんな?
(和江の声)顔はよく覚えてません。
(和江)恵子!今の人誰?恋人?あ…まあね。
彼氏がいるなら紹介してよ〜。
で?結婚の予定は?あ…彼にはね奥さんがいるの。
だからすぐには結婚出来ないの。
(和江の声)名前を聞いても教えてくれませんでした。
何してる人なの?警察官。
警視庁捜査一課の…刑事なの。
警視庁捜査一課の刑事と付き合ってる…。
小坂井恵子さんはそう言ったんですか?そうです。
(広田)1年前早見明の事件であなたは目撃者の小坂井恵子と会ううちに親しい関係になった。
その関係は事件が解決してからも続いていた。
11月22日捜査で会津に来たあなたを追って同じく小坂井恵子も会津にやって来た。
猪苗代湖で落ち合いそこで別れ話で口論になった。
小坂井恵子はだったら付き合っている事を奥さんにバラすとだから携帯電話ではなく十津川さんの自宅に電話を入れた。
あなたはすぐに電話を切らせてさらに口論になって小坂井恵子を殺害した。
違います。
もちろんこれは全て推測です。
私だって同じ警察官であるあなたを疑いたくはない。
でも犯行時刻あなたは現場にいた。
ボタンと…繊維片の物証もある。
そのうえ小坂井恵子が警視庁捜査一課の刑事と付き合っていたという証言が出た以上あなたを疑わないわけにはいきません。
福島県警には十津川君を東京に戻すように何度もかけ合ってきた。
だがこんな記事が出たらかばいきれん!一刻も早くホシを挙げろ!はい。
(松山)じゃあ西本さんは何もするなって言うんですか?ただやみくもに出版社に押しかけてもしょうがないと言ってるんだよ。
ですからこの写真はその川合ひろみという女が出版社に売ったんでしょう。
どうしてそんな事をしたのか出版社に行けばその川合ひろみという女の事もわかると思うんです。
だから…。
出版社には私が行こう。
(携帯電話)はい。
亀井さん。
どうも先日は…。
すみません。
私…心配でもうじっとしていられなくて。
事件の事詳しく話してください。
あっそれは…。
亀井さん。
私は十津川の妻です。
申し訳ありません。
警部の奥様であれ事件に関する情報を話すわけには…。
だったらせめて…主人と小坂井恵子さんの関係を教えてください。
小坂井恵子はその記事にありますように1年前の早見明のあの事件の目撃者でした。
警部は捜査の必要上知り合ったにすぎません。
申し訳ありません。
失礼します。
亀井さん!
(松山)仙堂肇…。
大物ですなあ。
すごいねえ。
昔は新潟のちっちゃな建設会社だったが兄貴が大臣になって業績が伸び一転して東京へ出てきて今じゃ大手ゼネコンの一角だよ。
はあ〜…。
まあ兄貴絡みの汚職だなんだ噂もあったが結局はうやむやだ。
確か仙堂自身新潟では県会議員も務めているんですよね?そうなんだよ。
だから今度の衆院選で兄貴が引退するんでその地盤を受け継いで自分が国政に打って出るんだってさ。
(仙堂肇)ああわかった。
それじゃ頼んだよ。
うん。
あ…どうも。
それで?お話というのは…。
あっはい。
あの…仙堂さん早見明さんの後援会長をなさってたそうですね?ええ。
同じ新潟県人として早見君には彼が学生の時から支援してきました。
甲子園で活躍しプロの選手になってからは後援会長を。
結果的には怪我に泣かされプロ野球選手として大成する事は出来ませんでしたが…。
1年前早見さんが事件を起こした時さぞ驚きになったんでしょうね。
彼ももう29歳でしたからね。
2軍暮らしが続いてヤケになっていたのでしょう。
事件の時は応援していただけに…失望しました。
あっところで…ご用件というのは何か…?4日前11月22日の夜9時頃どちらにいらっしゃいましたか?どうしてそんな事をお聞きになるんです?ああその日は…。
ああ夜9時から赤坂の料亭で代議士の先生と会食してました。
あなたは会津若松で警部に出会ったり写真を撮ったりしたのは全て偶然だと言いました。
それは嘘だ。
週刊誌の記者ならあなたは最初から意図的に警部をマークしていたんでしょう?なぜそんな事をしたんですか?1年前の早見明の事件の真相が知りたかったからです。
早見明の事件の真相?あるタレコミがあって十津川さんをマークしました。
そのタレコミというのはなんです?取材の情報源に関してはお話しする事出来ません。
お引き取りください。
(北条)小坂井恵子が殺された11月22日の夜早見明の父早見良司は浅草の居酒屋にいた事がわかりました。
まあしかしこの男に復讐を考えるほどの息子に対する愛情はかけらもありません。
早見良司はシロです。
(松山)後援会長仙堂肇のアリバイも裏が取れました。
22日の夜仙堂は赤坂の料亭にいた事は間違いありません。
それと…引っかかるのは川合ひろみだ。
調べたところ川合ひろみはこれまで1年前の早見明の事件に関して冤罪を主張する記事を書いてる。
だが私は…記者の川合ひろみが警部に復讐を考えるとは思えねえんだよなあ…。
(久保田)関係者はみんなシロ。
(松山)カメさん。
こうなったらなんとしても田中裕介を捜し出すしかありません。
小林行くぞ。
(小林)はい!あっ警部!警部…!じゃあ誤解は解けたんですね?いやいやそうじゃない。
週刊誌に記事が出た事で逆に事件を解決するために取り調べを中断してほしいとうちの課長が強くかけ合ってくれたらしい。
中断?期限がついた。
今日から1週間つまり12月2日までに犯人が特定出来なければ福島県警は私を逮捕するそうだ。
(電話)はい十津川で…。
あなた…!ああ…じゃあ東京に戻ったのね。
もっとも捜査でしばらく家には戻れそうにないけど…。
本当によかった。
あなた…おかえりなさい。
ありがとう。
残念ながらまだ容疑者を特定出来てません。
ただ…川合ひろみが週刊誌の記者だったというのには驚きましたが…。
今回の事件は1年前の早見明の事件と繋がっている事は間違いないだろう。
はい。
ホシは警部に復讐を考えるほど早見明と親しい人物だと思われます。
早見明は新潟の施設で育ったんだったね。
早見明の事をもっと詳しく調べる必要がありそうだ。
カメさん。
明日新潟へ行こう。
はい。
おおあそこだ。
あっそうですね。
(小松佐代子)あ…お待たせ致しました。
早見明君がこの施設に来たのは今から23年前。
明君が6歳の時でした。
この子が明君です。
当時父親の早見良司さんは事業に失敗して借金を抱えていましてね。
母親はそんな良司さんに愛想を尽かして家を出ていってそれで良司さんが明君を施設に預けに来たんです。
暮らしを立て直したら必ず迎えに来るからとおっしゃってたんですが結局二度と施設に来る事はありませんでした。
早見明さんはこちらの施設には中学まで?そうです。
中学3年の時は明君は野球でもう大活躍で。
加えて美男子でしたから地元でも人気者でした。
その頃県会議員で福祉に力を入れている仙堂さんがこの施設にお見えになって…。
仙堂肇さん。
はい。
親の事情や境遇で子供の夢を潰してはならないと明君の後見人になって明君を県内の寄宿制の強豪高に進学させたんです。
後見人に。
なかなか出来る事ではないですよね。
選挙目的だとの噂もありましたけど…。
選挙目的?見込みどおり明君が野球で活躍しドラフトでプロ野球選手になるとあの子を育てたのは仙堂さんだと株が上がりましたから。
なるほど。
早見明さんがこの施設で特に親しかった方は?ひろみちゃんですね。
ひろみ?ひょっとして川合ひろみ?そうです。
え?川合ひろみさんがこの施設に?ええ来たのは明君と同じ23年前9歳の時でした。
(佐代子)施設に来る子供たちにはそれぞれの事情があります。
親の虐待育児放棄借金苦。
とりわけひろみちゃんには不幸な事情がありました。
そのせいもあって施設に来てから誰とも口をきこうとしませんでした。
そんなひろみちゃんをからかう子もいて…。
(ひろみ)やめて!やめてよ!やめて!返して返してよ!
(泣き声)
(佐代子の声)ひろみちゃん施設を飛び出した事があったんです。
職員全員で捜したんですけど…。
そのひろみちゃんを見つけたのが明君でした。
(早見)お姉ちゃん一緒に帰ろう。
うん。
(佐代子の声)それからというもの2人はいつも一緒で。
まるで実の姉弟のようでした。
警察ってやっぱりそうなんですね。
容疑者が同じ警察の人間だと証拠があっても逮捕しない。
身内をかばい隠蔽する。
タレコミがあったそうですね。
あなたは1年前の早見明の事件の真相を知るために私をマークしたそうですがどういう事なのか話して頂けませんか?あなたはこれまであの事件がまるで冤罪だったかのような記事を書いていますが…。
冤罪です。
1年前早見明が菊地詩織をはねたのは殺人ではなく事故だったと言うんですか?
(ひろみの声)そうです。
(ブレーキ音)あの夜早見明は現場近くに住む菊地詩織を訪ねるため車で向かっていた。
でもたまたま運悪く彼女をはねてしまった。
あり得ない話ではありません。
私は事故だと信じています。
あなたが早見明を信じたいお気持ちはよくわかりますが…。
新潟へ行って施設の園長先生にお話を聞いてきました。
あなたがどれ程早見明と親しかったか。
明君がどうして殺人を犯さなければならないんですか?1年前私は記者としてあの事件を取材しました。
確かに明君は菊地詩織と付き合っていて別れ話で揉めてました。
でも…別れたいって言っていたのは明君のほうです。
おかしいじゃないですか。
別れたいと言ってる明君を恨んで彼女が殺意を持つならまだわかります。
明君にすれば彼女がなんと言おうと別れれば済む話です。
明君に菊地詩織を殺す動機はありません。
警察の判断が絶対に正しいと言うんですか?警察が過ちを犯す事だってあるでしょう?23年前あなたがなぜ施設に入る事になったのかもお聞きしました。
私の母は…警察に殺されたんです。
(ひろみの声)あの頃私は母と2人で暮らしてました。
母に黒木という名の恋人が出来て…。
(川合春枝)やめてよ!
(黒木)うるせえんだよ。
(ひろみの声)黒木が優しかったのは最初だけで…。
それはひどい男でした。
(ひろみ)お父さんやめて!うるせえんだよお前は。
ひろみっ!俺から逃げようなんて考えたらなお前殺すぞ!お母さん!
(ひろみの声)母は私を連れて警察に相談に行きました。
あの男に殺されてしまいます…!お願い!お母さんを助けて!
(春枝)お願いします…。
困りましたね。
そういう夫婦間の揉め事は…。
(ひろみの声)でも警察はまともに話を聞こうともしなかった。
お母さん待って!ひろみ急いで!行くわよ!あった。
(春枝の悲鳴)
(ひろみ)お母さんっ!
(ひろみの声)黒木はすぐに逮捕されましたけど母を亡くした私は施設に…。
お母さん!警察はあなたのお母さんを救おうとしなかった。
同じ警察官として申し訳なく思います。
お願いです。
どうして私をマークする事になったのかタレコミの内容を教えて頂けませんか?
(ため息)小坂井恵子の事件が起きる前の日でした…。
(電話)はい。
川合です。
(ボイスチェンジャーの声)「1年前の早見明の事件は冤罪だ」「警視庁捜査一課の十津川という刑事が目撃者の小坂井恵子を抱き込んで事故を殺人にすり替えた」「2人は出来ている」「明日十津川は会津で小坂井恵子と密会する」「マークすればいいネタが拾えますよ…」
(ひろみの声)翌日私は告げられた会津のホテルへ行き…。
原田由紀さんのお名前で予約は頂いておりません。
私川合ひろみといいます。
あっ十津川といいます。
(ひろみの声)十津川さんに近づき確認しました。
その夜また電話があって…。
猪苗代湖の天神浜で2人が会ってると言われ…。
(カメラのシャッター音)小坂井恵子も一緒だと思い写真を撮りました。
でも彼女の姿はありませんでした。
私は十津川さんをマークし続け…。
あっまたお会いしましたね。
そしてニュースで小坂井恵子が殺された事を知り警察に通報した。
そうです。
川合ひろみの話を鵜呑みには出来ません。
タレコミの話も本当かどうか…。
カメさんは川合ひろみが犯人だと?ええ可能性がないとは言えません。
川合ひろみにとって早見明は実の弟も同然でした。
冤罪だと信じ込んでいたその早見が自殺した。
川合ひろみは母親の件でも警察を恨んでます。
警部に復讐を考えたとしても不思議ではありません。
そうですか。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
この男を見た事はありませんか?
(松山)田中裕介さんに間違いないですね?ええ。
田中君ならこの店で働いてましたよ。
でも1週間前からこの店に来なくなって…。
来なくなる少し前田中妙な事を言ってたんですよ。
ある人から報酬100万円のバイトを持ちかけられたって。
100万のバイト!?その持ちかけた人物というのは?詳しい事は聞いてません。
(船の汽笛)あっ…あぁっ!
(サイレン)「田中裕介」死因は一酸化炭素中毒とみて間違いないだろう。
状況はきっちり自殺ですね。
あり得ませんよ。
田中裕介は口封じで殺されたに決まってます。
警部。
ん?待てよ…。
この顔に覚えがある。
ボタンの謎が解けたよ。
(3人)え!?どういう事ですか?特急きぬ115号に乗った時…。
(十津川の声)浅草駅を出たあと例の電話がかかってきた。
あなた誰ですか?私になんの用です?
(十津川の声)私がコートから目を離したのはあの時だけだ。
(亀井の声)同じ車両に田中裕介が乗ってたんですか?ホシが田中裕介に持ちかけた報酬100万のバイトというのはそれだったんですね。
私のコートからボタンを盗み取ったのは…田中裕介に間違いはない。
問題は誰がそれを指示したかだ。
開けます。
「競馬記録」?ん?あっうん。
レースの記録だけじゃなくて…警部!外れ馬券全部ストックしてますよ。
田中裕介って本当に競馬大好き人間だったんですね。
これといった手がかりはないみたいですね。
うん…。
(ため息)
(ため息)警部…こんな事を言っちゃなんなんですが…福島県警が警部を逮捕しに来るという12月2日まであと5日しかありません。
この際思い切って捜査のターゲットを一人に絞り込んでみたらどうでしょうね。
あの僕カメさんが言うように動機の面から考えて…。
ホシは川合ひろみ以外ないと思うんです。
私もそう思います。
警部に復讐をと考える人物は他には見当たりません。
私も同じです。
川合ひろみの行動はどう考えても不自然です。
何より小坂井恵子が殺された夜川合ひろみは会津にいました。
じゃあみんなは…田中裕介に100万のバイトを持ちかけたのも川合ひろみだと?う〜ん…確かに100万は大金だが…。
(仙堂)では皆さんどうもご苦労さまでした。
お気をつけてどうも。
警察の方がどうして何度もお見えになるんです。
ご用件をはっきりと言って頂けませんか?私たちは原田由紀さん小坂井恵子さんそして…田中裕介さんが殺害された事件の捜査をしております。
それらの事件は1年前の早見明さんの事件に繋がっている。
ホシの目的は早見さんが自殺した事での復讐と思われます。
自殺した早見君の…復讐?まさか私を疑ってるんじゃないでしょうね?仙堂さんは長い間早見さんを実の息子さんのように支援されていたと聞きました。
よしてください。
息子だなんて。
でもそれならなぜ後見人を。
まさか選挙のためではないですよね?私はただ政治家として格差社会の犠牲になっている子供たちを一人でも救いたいと思っているだけです。
(携帯電話)あっちょっと失礼。
ああわかった。
すぐに戻る。
まあとにかくこの間も別の刑事さんにお話ししましたが早見君が事件を起こした時はショックでしたし自殺したのは残念でなりません。
でもそれはあくまで後援会長としてで私は早見君の身内ではありません。
他人のために私が…敵討ちなどするわけがないでしょう。
失礼。
(インストラクター)もう一度背中丸めておへそを見たらゆっくりとお尻を後ろへ引いてきて正座の形になってきます。
頭最後になるようにして起こしてきて…。
菊地詩織さんの事で詳しく聞かせてください。
ひと月前だったと思うんですけども…。
川合さんでいらっしゃいますよね?わたくし十津川の家内です。
新潟でお見かけしました。
どうして主人の写真をお撮りになったんでしょう?どうしてそれを週刊誌に?まるで主人が犯人だと決めつけるように。
これだけは言わせて頂きます。
主人は事件に関わるような人間じゃありません。
失礼します。
ありがとうございました。
あ…ちょっと…。
今の人どんな事聞いてきたの?1年前に亡くなった菊地詩織さんの事を調べてるみたい。
どんな事でもいいから知ってる事を話してほしいって。
で…何話したの?菊地さんが亡くなるひと月前だったかしら。
私妙な相談を受けたの。
盗聴器を買いたいんだけどどこに行けば買えるのかって。
あとは菊地さんと一番親しくしていたのは誰?って聞かれたから以前この教室に通っていた安川恭子さんだって言うと恭子さんの連絡先を教えてほしいって。
そう…。
え?あの川合ひろみが?念のためあなたに知らせといたほうがいいと思って。
盗聴器ですか?1年前菊地詩織が盗聴器を買っていたというんですか?ただ捜査をした時に菊地詩織の部屋からはそれらしきものは出てきませんでしたよ。
菊地詩織は一体なんの目的で盗聴器を買ったのか…。
安川恭子という名前には記憶があります。
確か菊地詩織の親友で一緒にヨガ教室に通ってた。
だがその頃事件とはなあ…。
語学留学で海外に行っていて話を聞く事は出来なかった。
その安川恭子だが来月12月初めには帰国するそうだ。
それにしても川合ひろみは一体何を調べてるんだろうな…。
明君に菊地詩織を殺す動機はありません。
福島県警に探りを入れたところこの十津川という警部をいずれ逮捕するつもりらしい。
スクープの第二弾頼んだよ。
あなたのお母さんを救おうとしなかった。
同じ警察官として申し訳なく思います。
主人は事件に関わるような人間じゃありません。
(ため息)はあーあと4日か…。
(舌打ち)駄目です。
品川埠頭一帯を聞き込みましたが目撃者は出ません。
川合ひろみは?ああ出版社に行って一応アリバイは確認したんだが…。
田中裕介が殺された27日の夜川合ひろみは編集部に泊まり込みで仕事をしていた事がわかりました。
川合ひろみもシロですか…。
八方塞がりだよ。
手がかりがない。
いや一つだけあるな。
小坂井恵子から警部の名刺を入手した人物だ。
恋人じゃないですか?1年前に会った時ちょうど彼と一緒にいて…。
小坂井恵子と付き合ってた警視庁捜査一課の刑事とは一体誰なのか?いやしかしこの小坂井恵子自身がなんだか嘘が多い女ですからね。
彼氏が刑事だっていうのも案外口から出まかせだったりするんじゃないんでしょうか。
西本さん。
ん?そうでしょうか?本当に刑事だとしたらどうなるんでしょう…。
その事は私もずっと引っかかっていた。
原田由紀が所持していたこの切符名刺メモ封筒。
ホシはこれらに一切指紋を残していない。
小坂井恵子の事件はもっと周到だ。
田中裕介にボタンを盗むように指示をししかもそのボタンを小坂井恵子の手に握らせ爪の間には繊維まで残してる。
そういえばそうですよね。
ボタンまでは考えついても普通の人間なら繊維を仕込むところまでは思いつかないでしょう。
今回の一連の事件の犯人は本当に刑事なのかも。
いやカメさん僕にはどうしてもその…警部を恨んでる刑事がいるというのが想像出来ないんですよ。
警部を恨んでて小坂井恵子と接点のある刑事…。
一人だけ考えられる人物がいる。
ひょっとして…。
えっえ?まさか…。
あ…。
念のため洗ってみよう。
(一同)はい。
小坂井恵子さんと会った時あなたは遠目に一瞬だけ見たとおっしゃいましたけども小坂井恵子さんが付き合っていた男性はこの人ではないですか?すいません。
そうです。
この人です。
高沢和江の証言だけでは弱い。
浦部は見間違いだと主張するだろう。
もっと外堀を埋める必要がある。
警部!浦部の勤務表取り寄せました。
浦部が小坂井恵子を殺したのなら11月22日浦部は会津に行ったはずだ。
はい。
その22日午後5時に仕事を上がってます。
小坂井恵子の死亡推定時刻は午後9時から11時の間。
現場の猪苗代湖に行くのは十分可能です。
その日は多分会津に宿泊しただろう。
問題は翌日23日だ。
23日。
えーその日は…午前9時40分に出てますね。
そうなると…。
会津若松から郡山方面に向かう磐越西線は始発電車が会津若松午前6時発郡山駅には7時12分に到着。
そして郡山駅を7時29分に出る東北新幹線やまびこ206号に乗ると大宮駅には8時38分上野駅に8時58分東京駅には9時4分に到着する。
この3駅いずれで降りても世田谷南署に9時40分には出勤出来る。
これしかありません。
11月23日浦部はこのやまびこ206号に乗ったはずです。
じゃあ上野大宮東京駅の該当する切符に絞り込んで指紋を調べましょう。
一連の事件のホシが刑事の浦部だとしたら切符に指紋は残さないと思うが…。
念のため調べてくれ。
(西本・北条)はい!『週刊時代』の川合です。
会津で起きた小坂井恵子さんの事件と1年前に起きた早見明さんの事件との関連について調べてます。
早見さんの後援会長だった仙堂さんなら何かご存じじゃないかと…。
警察の次は記者さんか。
私は事件とは一切関係がない。
週刊誌の記者さんに話す事などは何もない。
事故の目撃者だった小坂井さんがなぜ殺されなければならなかったかご存じじゃありませんか?お引き取りください。
仙堂さん。
やめなさい!
(ひろみ)仙堂さん!何してる下がりなさい!
(電話)はい捜査一課。
はいはい…。
そうですかわかりました。
警部回収された11月23日やまびこ206号の乗車券から浦部警部補の指紋は出なかったそうです。
やはり指紋は残さなかったんだろう。
出ました!上野駅の防犯カメラに浦部が映ってました。
11月23日やまびこ206号が上野駅に到着した8時58分その到着ホームに…。
(無線)「現場は世田谷区…」行ってきます。
(浦部)行くぞ!警部浦部を引っ張りましょう!11月23日問題のやまびこ206号に乗っていた事は間違いないんですから。
いやまだ足りない。
用事があって福島に行ったと言われればそれまでだ。
警部!気になる情報が飛び込んできましたよ。
1年前なんですけどね早見明が事件を起こすひと月ほど前ですね世田谷南署の浦部のところにヤミ金の取り立てが来たっていうんですよ。
なんでもそのヤミ金に5000万の借金があったらしくて。
(小林)5000万!?大金だろう?ところがヤミ金が来たのはその1回きりで二度と来なくなったっていうんですね。
まあそのおかげで署内では問題になる事はなかったっていうんですが。
でもなんでそんな借金を…。
そこだよ。
浦部というのは実は今でこそやめてるけれども1年前までは大のギャンブル好きだったんだそうです。
ですから週末の非番の日には必ず競馬場に行ってたんだそうです。
競馬?はい。
浦部と田中は競馬場で知り合ったのかもしれない。
2人の関係を証明する何か物証が出るといいんですけどね。
物証か…。
浦部と事件被害者を結びつける物証か…。
もしかしたら…。
あっこれだこれだ。
この馬券の中に浦部の指紋が付いているんじゃないかと。
田中裕介が買った馬券からどうして浦部の指紋が出てくるんですか?いや競馬場で知り合った2人がもし親しくなったらお互い買った馬券を見合わせたんじゃないか…。
あり得ます。
その時浦部の指紋が付く可能性があります。
もちろんそれでも言い逃れは出来ます。
競馬場で知り合っただけで田中裕介を殺した事にはならない。
でもこの馬券から浦部の指紋が出たら…。
浦部と田中裕介に接点があった事が証明出来る。
はい。
さすがカメさんだ。
(店員)いらっしゃいませ。
ああ。
(店員)お預かりします。
あと3日か…。
(電話)はい捜査一課。
はい。
そうですか。
ありがとうございました。
警部田中裕介が1年ほど前に買った馬券の中から浦部警部補の指紋が出たそうです。
これで決まりです。
浦部は小坂井恵子と付き合っていた。
事件の翌日東北新幹線やまびこ206号に乗っていた。
おまけに田中裕介とも接点があったんです。
浦部の動機はなんだったんだろうな?うーん…警部への個人的な恨みだったんじゃないのかな。
1年前の早見明の事件で事故として処理しようとして警部の助言で殺人事件になりメンツを潰された。
その事で警部を恨んでいたんじゃないかな…。
(松山)浦部は小坂井恵子と別れ話で揉めていたんでしょう。
それで小坂井恵子を殺しその罪を警部に着せようとした。
今度こそ浦部を引っ張りましょう。
ホシは浦部と見て間違いない。
だが浦部は自供しないだろう。
今あるのは全て状況証拠でしかない。
ガサ入れ?浦部警部補の自宅を家宅捜索したいと思います。
決定的な物証がない限り浦部警部補を落とす事は出来ません。
(ため息)ホンボシが刑事とは…。
ガサを入れて何も出なかったらどうする?見込みはあるのか?今回の一連の事件の中で原田由紀は刃物で刺され殺害されました。
ホシは返り血を浴びたはずです。
凶器や着衣は処分出来ても何かに痕跡が残っている可能性があります。
ガサ入れはあくまで逮捕が前提だ。
検察の意見も聞かなければならない。
しばらく待ってくれ。
(ドアの開閉音)
(仙堂)よし。
(ホステス)お願いします。
(ママ)ありがとうございました。
よろしくお願い致しますね。
(シャッター音)警部令状取るのにどうしてこんなに時間かかるんですか?ガサ入れが空振りに終わったらどうなるか…。
検察は浦部を逮捕しても公判を維持出来ないと考えているのかもしれません。
だけど今日が終わったらあと2日しかないんですからね。
例の浦部の借金だが浦部は5000万もの借金どうやって返済したのか。
あるいは誰か別の人物が肩代わりをしたのかもしれない。
だとすればそれは一体誰なのか…。
私は浦部が私への個人的な恨みだけで殺人を犯したとは思えないんだ。
浦部に金を渡し指示をした人物がいるのかもしれない。
ひょっとしてそれが仙堂…。
十津川さん。
これを渡したくて。
これは…!私なりに今回の事件を考えてみました。
小坂井恵子を殺したのが十津川さんでないとすれば誰かが十津川さんを恨み罠にはめた事になります。
私は明君の後援会長だった仙堂が気になりました。
それで調べてたら1年前の事故を捜査した刑事と…。
なぜこの2人が会わなければならないのか。
もしかしたら今回の事件はこの2人が仕組んだものかと…。
私たちもそう思っています。
十津川さんと同じように私も罠にかけられたようです。
十津川さんを疑って申し訳ありませんでした。
川合さん早見明の事件をまだ調べてるんですか?明君に菊地詩織を殺す動機はありません。
失礼します。
明日浦部の家のガサ入れを行う。
はい。
妻が出かけている間にさっさと済ませてくださいよ。
十津川さんには失望しました。
いくら自分が救われたいからって私を疑うなんて…。
撮った?
(鑑識員)はい大丈夫です。
鑑識さん靴は全て押収してくれ。
(鑑識員たち)はい。
あなたのこの革靴に微少ですが血が付着していました。
鑑定の結果原田由紀さんの血液型DNA型と合致しました。
今回なぜあなたが殺人を犯したのか。
指示をしたのは仙堂肇ですね?黙っているのは借金を返済してくれた仙堂への義理立てですか?浦部さんの事は以前噂で聞いた事があります。
世田谷南署の交通捜査係に腕のいい優秀な刑事がいる…。
よしてください!どうしてこんな事になってしまったんです?十津川さんにはわかりませんよ。
警察官になって私はこれまで様々な部署で働いてきました。
地域課盗犯課地域課に戻って生安課…。
私にだって希望はあった。
警察官になったからには本庁の捜査一課で腕を振るいたい。
それが私の目標でした。
ところが異動願いを出し続けてもかなわない。
4年前からは今の交通捜査係です。
評価していると言われながらも便利使いばかりされていると腐るんですよ。
懸命に働いても空しくてならない。
妻との関係もいつからかうまくいかなくなって…。
心の穴を賭け事で埋めるしかありませんでした。
仙堂さんの事を話すつもりはありません。
確かに義理がありますからね。
罪を一人で背負うおつもりですか?あなたも刑事なら正義感はあるでしょう。
その正義感を私は金で売ったんですよ。
皮肉なものです。
1年前早見明の事件があったあの直後私は警視庁捜査一課への異動の内示を受けました。
だから小坂井恵子は友人に警視庁捜査一課の刑事と付き合ってると言ったんですね。
恵子には話しましたからそれで多分そう言ったんでしょう。
でもその内示も十津川さんのせいで…。
殺人を見破れずに事故処理しようとした無能な刑事と見られておじゃんになりました。
私はもう後戻りする事が出来なくなった。
揚げ句に殺人を…。
最後に警察官に戻ってください。
事実をありのままに話す。
それが3人の犠牲者に対するあなたに出来る唯一の罪滅ぼしです。
あなたが殺人を犯しその罪を私に着せようとしたのは仙堂の指示で行った。
そうですね?仙堂とは同じ新潟出身で県人会で知り合いました。
私が交通捜査係に在籍していると言うと仙堂のほうから近づいてきました。
仙堂は私の事を調べたようで借金で苦しんでいるのなら助けてやる。
その代わりある事件を事故として処理してほしいと言いました。
その数日後…。
(浦部の声)私は仙堂に言われたとおり事故として処理しました。
ただそれには目撃者が必要です。
それで以前から愛人として付き合っていた小坂井恵子に頼み目撃者に仕立てました。
ふた月前早見明が自殺すると再び仙堂はあなたに指示を出した。
仙堂は「十津川に復讐したい」。
「殺人の罪を着せて早見明と同じ苦しみを味わわせたい」と言いました。
「引き受けないのなら5000万を返してもらう」と言われ断る事が出来ませんでした。
あなたは計画を立て原田由紀小坂井恵子田中裕介の3人を殺害した。
そうです。
(浦部の声)原田由紀さんには本当に申し訳ない事をしました。
(浦部の声)殺す相手は誰でもよかった。
恵子から入手しておいた十津川さんの名刺や電車の切符を残したのは十津川さんを会津におびき出すのが狙いでした。
自分の名刺が死体から出れば刑事の習性として一人ででも事件を追わずにはいられないだろうと考えました。
警視庁捜査一課の十津川省三さんですね?
(ボイスチェンジャーの声)「やっぱり特急きぬ115号に乗ったんですね」
(浦部の声)その隙に田中裕介にボタンと繊維片を盗ませ…。
(浦部の声)小坂井恵子を殺したのは結婚をせがまれていたからです。
(浦部の声)私は妻と離婚する気はありませんし恵子の死を利用すれば十津川さんに容疑を向ける事が出来ると考えました。
田中裕介にはしばらく姿を隠しておくよう指示していました。
そして報酬の100万を払うのでレンタカーを借りて品川埠頭に来るようにと言い…。
睡眠薬入りのコーヒーを飲ませ…。
記者の川合ひろみさんにタレコミの電話をかけたのもあなたですね?ええ。
彼女はこれまで早見明の事件を冤罪と見る記事を書いていましたから。
利用出来ると思ったんです。
仙堂に言われるまま警部に罪を着せるために3人も殺したのか!カメさん…。
1年前の早見明の事件と今回の事件1つだけわからない事があります。
動機です。
早見明は最後まで容疑を否認し菊地詩織さんの殺害の理由を話しませんでした。
そして今回の事件。
仙堂はなぜ他人である早見明のために復讐しようなどと思ったのか?私は仙堂に言われるまま動いただけです。
動機は知りません。
仙堂は証拠を残すような男ではありません。
罪を認める事もしないでしょう。
私がお話し出来る事はこれで全てです。
小坂井恵子の事件に関して我々も浦部の取り調べを。
十津川さんすいませんでした。
ああ〜よかった間に合って。
いやいやいやまだ終わってないぞ。
(松山)あっ仙堂ならこれからすぐにでも。
いや仙堂が殺人教唆を行った証拠は何もないんだ。
仙堂は浦部が言った事は全て嘘っぱちだと言い張るに違いない。
じゃあ一体どうすれば…。
安川恭子さんですね?
(安川恭子)はい。
わざわざどうも。
あっどうぞ。
海外に行ってらしたとか。
ええ。
語学留学でアメリカに。
今朝帰国しました。
アメリカに行かれたのは1年前菊地詩織さんの事件の起きるひと月前ですね?そうです。
事件の事はアメリカで知って驚きました。
日本にいらした時菊地詩織さんから早見明の事はお聞きになってますか?ええ付き合ってると。
お聞きしたいのは菊地詩織さんがなぜ早見明に殺されなければならなかったかです。
何かご存じありませんか?最後に詩織に会った時なんでも早見さんから別れ話を切り出されたらしくて詩織は絶対に許さないと怒ってました。
早見さんには別に彼女がいたようです。
早見明に恋人が?本当にいたかどうかはわかりません。
でも詩織はそう思ってました。
あとはアメリカに着いて半月ほど経った頃詩織からエアメールが届きました。
中を明けるとボールペンが入っていて…。
ボールペン?便箋には「しばらく預かっておいてほしい」って書かれてあったので使わずにしまっておきました。
そのボールペン今お持ちですか?いえ。
先ほど訪ねてらした週刊誌の女性の記者さんに今日1日だけ貸してほしいって言われて。
ボールペンは多分菊地詩織が買った盗聴器。
ペン型のボイスレコーダーだと思います。
早見明に恋人がいると思った菊地詩織が早見に盗聴器を仕掛けたのかもしれません。
もしそうだとすればその録音された中身に全ての動機があるのかもしれない。
それを川合ひろみが知り仙堂に迫ったら危険だ。
仙堂は今日県議会に出るために新潟に行ってるはずです。
(アナウンス)「まもなく終点新潟です」「信越線羽越線白新線越後線はお乗り換えです」「お忘れ物のないよう…」ああわかった。
すぐに戻る。
あっちょっと…ちょっとすいません。
ちょっとお伺いしますがこのペンダントは…。
ああ…。
最近大事な大事なペットが亡くなりましてね…。
(仙堂)じゃあその件は明日までに。
いつもお世話になってありがとうございます。
ちょっとお話が。
(ひろみ)仙堂さん改めてお聞きしたい事があります。
これは1年前早見明さんの事故で亡くなった菊地詩織さんが持っていたものです。
ボールペンの形をした録音機です。
今日これを聞いて全ての真相がわかりました。
(ひろみ)待ってください仙堂さん。
なぜ明君が詩織さんを殺さなければならなかったのか。
それは…。
待て!仙堂!あなたは他人である早見明のために復讐などしないと言った。
最後まであなたの動機がわかりませんでした。
これは納骨用だそうですね。
ささやかな分骨用としてペンダントやストラップとして売られている。
この中に亡くなった家族やペットの遺骨の一部を入れいつも一緒にいたいと肌身離さず持っているための。
その中に入っているのは早見明の遺骨ですよね?確かに早見明はあなたの息子ではない。
家族でもない。
あなたにとって早見明は恋人だったんです。
このレコーダーに録音された会話を聞いて詩織さんは驚いたでしょう。
「あんな女とは別れろ」明君を叱責するあなたの声が録音されてました。
私も聞いて最初は後援会長として2人の交際に反対しているのかと思いました。
でもそうではなかった。
これを聞いた詩織さんはどうしたか?私を脅してきたんです。
そのボールペンを見せて1億支払わなければ私が隠している秘密同性愛者である事をマスコミにバラすと言いました。
そういう女だったんです。
早見君にしても本気で彼女を好きだったわけじゃない。
2軍暮らしでヤケになって遊びで付き合っていただけなんです。
公表されれば私の政治生命は危機にさらされると思いました。
私は菊地詩織が脅しに来た事を早見君に告げました。
あの女…どうしたものか。
私の責任です。
私はこれまで仙堂さんを本当の父親のように思ってきました。
ご恩は一生忘れません。
菊地詩織は私が…。
(仙堂)まさかあの録音のコピーがあったとは。
菊地詩織は万一に備えていたのでしょう。
録音したデータをもう1本にコピーして海外にいる友人に預けていた。
これだけは言っておきます。
思いは私の一方的なものでした。
早見君が殺人を犯したのは全ては私を守るために…。
早見明にとってあなたは唯一の家族だった。
私にとっては実の息子以上の…。
十津川さん私はあなたに…復讐したかった。
十津川さん…。
真実を知ろうとしたのは間違いだったかもしれません。
この事件が公になれば世間は明君をも好奇な目で見るでしょう。
私は亡くなった明君に更につらい事をさせてしまったのでは…。
そんな事はありません。
早見明は恩人を守るために罪を犯してしまった。
早見明を信じ真実を追ったあなたを彼は喜んでいるはずです。
お姉ちゃん一緒に帰ろう。
うん。
十津川さん…。
こんにちは。
いらっしゃいませ。
お仕事はお休みですか?そう。
本当に久しぶりの休みだ。
こちらへどうぞ。
いやあ疲れたよ。
いやあ今日こそ本当に白髪染めちゃおうかな…。
いいんですか?嘘だよ嘘嘘。
やっちゃいましょうよ。
染めるといくつぐらいに見える?30代はいけますよ。
また冗談やめてよ。
あなたと旅行に行くなんて何年ぶりかしら?今回日帰りで悪いけど。
ううん箱根は久しぶりだから。
今夜は美味しいものを食べて。
温泉入るの久しぶりだね。
うん。
(携帯電話)もしもし十津川ですが…。
はい。
はい…。
2014/03/22(土) 21:00〜23:21
ABCテレビ1
土曜ワイド劇場「西村京太郎トラベルミステリー61」[デ][解][字]
越後・会津殺人ルート〜必ず相席する女!?特急きぬ・片道切符の罠…十津川警部に絶体絶命の殺人容疑!!
詳細情報
◇番組内容
超ロングラン人気シリーズ第61弾が、2時間半の拡大版で登場!殺された女が所持していた謎の切符。犯人を追って福島・会津若松に向かった十津川警部に最大の危機が襲いかかる!
◇出演者
高橋英樹、高田純次、原沙知絵、浅野ゆう子、勝村政信、森本レオ、宇梶剛士、山村紅葉、矢島健一、寺泉憲
◇スタッフ
【原作】西村京太郎
「越後・会津殺人ルート」(光文社文庫刊)
【脚本】坂田義和
【音楽】甲斐正人
【監督】村川透
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/dwide/
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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