・
(丈太郎)ただ今帰りました。
(咲子)あっ。
はい。
(丈太郎)すんません。
遅うなってしもうて。
(咲子)いいえ。
(丈太郎)夕食今から食べられますか?
(咲子)はい。
すぐご用意いたしますので。
ですがお世話は私が。
(丈太郎)えっ?瑠璃子さんは?
(咲子)それが…。
母屋で何かあったんですか?
(咲子)はあ。
(圭子)今日金沢の駅に着いたら奇麗な友禅が飾られてました。
(圭子)花嫁のれんです。
(志乃)花嫁のれんは昔から続くこの加賀能登の婚礼の風習でございまして。
花嫁が嫁ぐとき婚家の仏間に掛けてほれをくぐるのがしきたりでございます。
(圭子)そのようですね。
私も調べてみました。
そしたら一度こののれんをくぐったらその嫁ぎ先の嫁として務めあげる覚悟ののれんだとか。
はい。
(照子)ああー。
ちゃんと話し合うてますやろか?もう心配や。
(幸)何かお姉ちゃん怖い顔して入ってったよね。
お姑さんと。
(翔太)相当嫌いなんじゃない?あのお姑さんのこと。
(幸)うん。
その花嫁のれんをくぐったにもかかわらず瑠璃子さんには花嫁のれんの覚悟が足りてないということです!そして今回の家出も瑠璃子さんの勝手なわがまま。
責任の全ては瑠璃子さんにあります!あの声はおばあちゃんじゃないな。
(幸)じゃあ誰が?
(照子)あのお姑さん?ひとつお伺いしてもよろしいでしょうか?
(圭子)どうぞ。
花嫁のれんの覚悟が足りんとはどういうことで?
(圭子)はい。
瑠璃子さんは専業主婦。
うちの中のことをやってもらわなければ困ります。
私と良樹は外に働きに出てるんですから。
そうでなければわが家の生活は成り立ちません。
ということは瑠璃子が外に働きに行きたいとでも申したんでしょうか?そうではなくて。
(瑠璃子)将来的にはそうしたいと思っています。
でも今はその前に勉強したいんです。
勉強?
(奈緒子)瑠璃子さん。
何を勉強するつもりなの?染色です。
私良樹さんの仕事を見ているうちに自分も染色を勉強してその仕事をやってみたいと思うようになったの。
もともと友禅の反物の色合いに興味もあったし。
それで良樹さんが講師として教えている大学に入って一から染色を勉強したいって思うようになって。
それで受験の願書を送ったの。
なのになかなか受験票が届かなくて。
そしたらお母さんが受け取ったらしく…。
その受験票を破いてごみ箱に捨ててしまっていて。
えっ?
(瑠璃子)勝手にこんなことをするなんて。
あっ。
じゃあこのことが家を出た直接の原因?
(瑠璃子)はい。
えっ。
これはどういうことで?ここまでするがはいかがなものかと…。
私もそう思います。
ちょっとこれはひどいんじゃありませんか?
(辰夫)まあまあまあまあ。
お母さんにも言い分はあるやろうさかい。
もちろんです。
(せきばらい)うちの嫁の瑠璃子さんは大女将も皆さんもご存じのようにこのかぐらやの女将になると言っていたにもかかわらずそれをやめました。
普通の女の子の生活がしたいといって地元の短大に通っていましたがそれも良樹との結婚で辞めました。
そして今は専業主婦。
それも中途半端だというのに染色の勉強をしたいので大学に行きたいなどという始末!
(圭子)ここまで言えばお分かりかと思いますが一つのことを続けられないいい加減な人間は男でも女でも何をしても駄目!
(辰夫)うん。
どんな仕事でもそうですわね?大女将。
老舗旅館で長年従業員を見てこられた大女将ならばそこのところは私よりもお分かりかと。
ほれはおっしゃるとおりでございます。
ですが瑠璃子はまだ若いので色々迷うのはしかたのないことです。
(圭子)私は瑠璃子さんの年には今の出版社に就職しておりました。
それ以来30年以上も一つの仕事をしております。
ほれはほうでございましょうが。
(圭子)大女将はこの旅館で働き始めたのは何歳のときです?あっ。
ほれは二十歳前には。
大女将はそれ以来何十年と辞めることなく私以上に一つのことを続けてこられたわけですわね。
ですが女将の件はともかく瑠璃子さんは良樹さんと結婚して東京に行くために短大を辞めないといけなくなったわけで。
(圭子)奈緒子さん。
奈緒子さんは大女将にえんじょもんの嫁と言われながらご主人のいないこの旅館で女将修業をしてるんでしょ?はあ。
(圭子)一つのことを成し遂げるにはそれぐらいの気構えが必要です。
瑠璃子さんだって短大の勉強を続けたければ結婚しても卒業するまではお互いに東京と金沢で離れて暮らせばよかったんです。
奈緒子さんがご主人と離れて暮らしているのを見習って。
そんなお手本のような奈緒子さんを目の当たりにしながらうちの嫁ときたらとっとと東京に出てきてしまって。
そんな嫁が専業主婦と学生を両立できるはずがありません。
そのうちどちらか辞めることになるに決まってます。
ならば専業主婦だけをやってもらいたい。
その覚悟が今の瑠璃子さんには必要ではないかと。
私の言い分が間違ってますか?大女将。
い…いえ。
ほれはごもっともではございますが…。
(圭子)奈緒子さん。
おっしゃることはよく分かります。
(圭子)ですよねぇ。
なので良樹もそろそろ海外出張から戻ってまいりますので余計な心配はかけたくないのでわざわざこうやって連れ戻しに来ました。
(辰夫)あのう。
言い分はよく分かりました。
ほんでも東京に帰るかどうかは本人しだいではないかと。
(圭子)ほっ。
こちらのご実家ではえんじょもんの嫁には厳しくても実のお孫さんにはそうではないんですねぇ。
えっ?
(圭子)瑠璃子さんの母親が早くに亡くなったことで甘やかし好き勝手にさせ過ぎたんじゃありません?婚家から逃げ帰ったというのに帰そうともせず花嫁のれんをくぐらせた身内の言葉とも思えません!
(圭子)そういうわけでこれから瑠璃子さんは専業主婦を続けてもらいます。
あした私と一緒に東京に戻りますよ。
いいですね?瑠璃子さん。
けれど染色を勉強するために大学に通うことは私一人で決めたわけじゃありません。
良樹さんもいいと言ってくれました。
私は良樹から何にも聞いてません。
(弘美)終わったみたい。
(丈太郎)どうなったんでっしゃろな?きつい姑や。
ホントに。
ハァー。
瑠璃子。
家のことはみんな私に押し付けてるくせに。
自分が家事が嫌いなものだから私に専業主婦を続けろってあんなこと。
迎えに来たのも良樹さんが帰ってくるからと言ってるけど家の中のことをする人間がいないから困って連れ戻しに来ただけよ。
私のこと家政婦と思ってるのよ。
瑠璃子さん。
今までそういうことちゃんとお母さんと話したことある?お母さんには話してません。
けれど良樹さんにはいつも話してました。
良樹さんは学生として染色を勉強したいという私の気持ちも聞いてくれて賛成もしてくれたんです。
それで自分から母親を説得すると言ってくれたのに。
良樹さんに電話してみます。
(照子)あっ。
瑠璃子お嬢さま。
えっ?今良樹さんに電話すると。
(呼び出し音)
(アナウンス)「ただ今電話に出ることができません」「ピーと鳴りましたらお名前…」
(幸)お姉ちゃんいらないって。
(翔太)けど瑠璃子姉ちゃんのお姑さんすごいよな。
ばあちゃんもなかなかだとは思ってたけど声がここまで聞こえてたもん。
「覚悟が足りていない!」って。
ねえお姉ちゃんどうなるの?東京帰っちゃうの?お姉ちゃんは帰りたくないんでしょ?どうしてもっとちゃんと言い返してあげなかったの?おばあちゃんも奈緒子さんも。
かわいそうだよ。
あちらの言い分ももっともやさかいねぇ。
あれ以上は言い返しとうても…。
それに説得力もあるし。
女一人出版社の編集長までなって。
離婚した後も良樹さんを立派に育て上げてきただけのことはありますよね。
(照子)たとえほうやとしても瑠璃子お嬢さまふびんでございます。
あんなお姑さんに仕えてさぞつらい思いを。
実家の方には心配をかけまいと一人でこらえておいでたに違いありません。
うん。
東京も初めてやったしね。
見知らぬ土地に嫁いでほの暮らしに慣れるだけでも大変やったろうに。
ああー。
同居しとるお姑さんがあんな人だったやなんて。
ホントにそうですよねぇ。
奈緒子さんも分かってくれるけ?はい。
同じ嫁としてよく分かります。
ほうか。
ほんなによう分かるけ。
はい。
ハァー。
(辰夫)どこにでもあるんやなぁ。
やっぱり嫁と姑は。
何や人ごとみたいに。
瑠璃子がこんな大変なときやというがに。
うん。
ほうやけど。
ほれとうちと一緒にせんといてたい。
私はあんな嫌な姑とは違いますさかい。
無理やりにでも連れて帰るやなんて。
人の孫を何やと思うとるんか。
だけど…。
言われてみたらほのとおりや。
えっ?女将になることもやめこっちの短大も良樹君との結婚で辞め。
ほれなんに今度は染色の仕事をしたいさかい大学に通いたいて。
いい加減な嫁や言われてもしゃあないかもしれん。
ほれはほうやけど。
どれも瑠璃子が一生懸命悩んで考えて出した答えなんや。
うん。
ほれがほういう結果になったというだけのことや。
わしらもほう思っとった。
うん。
ほやさかいほれでいいと思っとった。
うん。
ほやけどよその人から見たら甘やかしとると映ったのかもしれん。
あのお姑さんみたいに。
ほしたらやっぱり連れ戻されるのを黙って見とるしかないっていうことか?ほれは…。
ほやけど向こうには良樹君がおるやないか。
良樹君ならあのお姑さんとの間に入って何とかしてくれるはずや。
ほやね。
良樹さんは瑠璃子のことを大事にしてくれとるさかいね。
うん。
ほこは私も安心しとりますけど。
うん。
うん。
(バイブレーターの音)はい。
もしもし。
だってあのとき良樹さんはちゃんとお母さんに話してくれるって。
そんな…。
そう。
分かりました。
瑠璃子さん。
良樹さんから?はい。
何て?答えは出ました。
はっきりと。
ほうか。
答えは出ましたて。
はい。
はっきりと。
ああ。
良樹さんにも東京に戻るように言われたんやろう。
そうだと思います。
まあね。
瑠璃子一人であのお姑さんと同居では心配でたまらんけど。
うん。
良樹さんがおってくれるんやったらまあここは任せるしかないかもしれんね。
(照子)私は反対です。
えっ?瑠璃子お嬢さまご自身が納得するまで東京にはお帰しにならんでください。
ほんでも花嫁のれんの覚悟まで持ち出されてああまで言われたら。
大女将。
何度も言うようですがあの瑠璃子お嬢さまが家を出るやなんてよくよくのことでございます。
大学の受験票を破いたうんぬんというよりも何かもっと深いところに理由があるように思います。
今ここでお帰しになったらまたもし何かあってあの家を出ようと思われたときもう実家の方に帰ることもできずどこに行こうとなさるか。
えっ?ほうなったらどうなさいます?いや。
ほんな…。
ここはもう一度大女将の方からお姑さんに話してもろうて。
ああ…。
ほやけどいまさら何て言うたらいいか。
あっ。
ではこうしたらどうでしょう?うん?せめて良樹さんが海外の出張から戻ってくるまでこちらにいさせてほしいとお話しするのは。
そのくらいなら向こうのお姑さんも譲歩なさるかもしれません。
ああ。
その間に瑠璃子さんから私たちも色々お話を聞いて相談に乗ることもできますし。
瑠璃子さんもお話するだけでだいぶ気持ちが落ち着いてくるかもしれません。
ほうです。
取りあえず奈緒子さんの言うとおりしてください。
大女将。
お願いします。
ああ。
(瑠璃子)失礼します。
(知子)何か分かった?ゆうべ母屋で何があったか?
(弘美)それがまだ。
(和代)ハァー。
ちゃんとしっかり探らなきゃ。
(弘美)うん。
(瑠璃子)失礼します。
(圭子)おはよう。
ゆうべはぐっすり眠れたわ。
さすが田舎ね。
静かでいいわ。
車の音もしやしない。
老後はこういうところでのんびり過ごすのもいいかもね。
フフフ。
あら!朝食も凝ってるわねぇ。
まっ基本和食は好きじゃないけどせっかくだから頂きますか。
フフフ。
あっ。
あのね。
お昼前には東京に着きたいからこれ食べたらすぐに出るわよ。
(圭子)うん。
時刻表は調べといてちょうだい。
どうかした?私はお母さんと一緒に東京へ戻るつもりはありません。
(圭子)うん?
(照子)大女将。
うん?しっかりお願いします。
何かあったら私も加勢しますから。
分かった。
・
(圭子)瑠璃子さん!えっ?・
(圭子)結論はもう出てるでしょう!えっ?・
(志乃・奈緒子)失礼します。
藤沢さま。
どうかなさいましたか?大女将。
瑠璃子さんが私と一緒に東京へ帰らないと言いだして。
(志乃・奈緒子)えっ?
(圭子)そんな勝手断じて許しませんよ。
あなたは私と一緒に東京へ帰るんです!いいえ。
私は帰りません。
ここに残ります。
どうぞお母さんお一人でお帰りください。
私は嫌です。
はっ。
あっ…。
(知子)あの瑠璃子さんが?
(弘美)迫力ある。
(圭子)おとなしい嫁だと思ってたのにあんなに頑固だったなんて。
しかも姑の私にあれだけ言い返すなんて。
ホントに何と申し上げたらいいか。
大女将。
はい。
これだけは言っときます。
うちを出ていったのは嫁の瑠璃子さん。
その嫁がうちに帰ってきやすいようにせっかく迎えに来てあげたんですよ私は。
ほれはよう分かっております。
なのに一人で帰れだなんてよくもまあそんなことを。
本当に申し訳ございません。
申し訳ございません。
大女将。
はい。
お分かりだと思いますけどああまで言われたら私ももう我慢の限界です。
はっ?後はどうなっても知りませんから。
いえ。
いや…。
では失礼します。
いや…。
(奈緒子・志乃)あのう。
あのう…。
あっ。
あら。
お母さん。
どうしましょう。
いや。
どうしましょうって。
早くお引き留めせんと。
このままお帰ししたらどうなることか。
そうですね。
だいたいね奈緒子さんがもっと早くに瑠璃子に何があったか聞き出しとってくれたらこんなことにならんかったんや。
そんな。
お母さんこそ電話でお姑さんに理由を聞き出せていたらわざわざ向こうが金沢に来ることもなかったのでは?えー。
ほんなら私のせいやって言いたいんか?お母さんこそ私のせいだとおっしゃりたいんですか?嫁のくせに何や?その態度は。
たとえ嫁でも言いたいことは言わせてもらいます。
(照子)もうほんなとこでもめてる場合やありません。
早追い掛けてください。
ほや。
ほや。
お母さん。
早く。
羽織るものは?いらん。
お金は?持ってます。
ああ。
ああ…。
2014/02/07(金) 13:30〜14:00
関西テレビ1
花嫁のれん #25[字][デ]【覚悟の… 出演:羽田美智子 野際陽子】
東京に嫁いだ志乃(野際陽子)の孫・瑠璃子(里久鳴祐果)が突然帰ってくる。何があったのかと心配する志乃と奈緒子(羽田美智子)は、瑠璃子の姑に連絡をとるが…
詳細情報
番組内容
ついに東京で瑠璃子(里久鳴祐果)と彼女の義母・圭子(岡本麗)の間に何があったのか明らかに。圭子は瑠璃子に対して、「花嫁のれん」を潜ったにもかかわらず嫁としての覚悟が足りないと指摘。今回の家出の非も瑠璃子にあるとまくしたてる。圭子の言うことがあまりに正しく、奈緒子(羽田美智子)はおろか志乃(野際陽子)さえもタジタジに。圭子の驚くほどの気の強さに、今後の東京での瑠璃子の暮らしが心配になる二人だった…。
番組内容2
瑠璃子が辛い状況に置かれても、夫が味方してくれるに違いないと希望を抱く奈緒子と志乃だが、そんな時、当の夫から瑠璃子に電話がかかってくる。
出演者
神楽奈緒子:羽田美智子
神楽志乃:野際陽子
松本咲子:田中こなつ
柿沼俊平:鈴之助
藤沢瑠璃子:里久鳴祐果
神楽翔太:草川拓弥
神楽 幸:木村真那月
・
神楽宗佑:津田寛治
谷本照子:烏丸せつこ
神楽辰夫:山本 圭 ほか
スタッフ
原作・脚本:小松江里子
演出:新村良二
プロデュース:市野直親(東海テレビ)
伊藤一尋(テレパック)
沼田通嗣(テレパック)
東田陽介(テレパック)
音楽:富貴晴美
主題歌:Do As Infinity「風花便り」(avex trax)
エンディングテーマ:SOLIDEMO「Next to you」(avex trax)
制作著作:テレパック
制作:東海テレビ
ご案内
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【公式サイトURL】http://tokai−tv.com/hanayome3/
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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