(夜明日出夫)
タクシーには時折理解しがたい不思議な客が乗車してくる
はいどちらまで?家までお願い。
真っすぐ行ってちょうだい。
はい。
よいしょっと。
今日は暑いわね。
運転手さんが通りかかってくれて助かったわ。
行き先はどちらまで?あっそこ!止めて!えっここ?ここ?そう!ここがわたくしのお家。
億ション!最上階のね一番間取りの広〜いお部屋に住んでますの。
あの…それはどうでもいいんですけどさっきのところから50メートルぐらいしか来てませんけど。
お支払いはカードでよろしいかしら?ああはあ。
710円です。
じゃあこれで。
最上級のブラックカード!ありがとうございます。
はい。
よいしょっと。
ありがたいっていうか…信じらんない。
(野村)夜明さんそれ記録だよ!
(野村)短距離の記録!
(小池)50メートルの乗車なんて普通ないですよ!
(園子)セレブなお客様がいるんですね。
いるんだよ。
そういう信じがたい客はね決まって夜明さんのタクシーに乗ってくるの。
すごいなぁ夜明さん!本当すごいよ。
夜明さんは。
(橋本係長)すごくない!夜明さんあなたねワンメーターのお客さんを自慢してどうするんですか!自慢なんかしてないよ。
もちろんねワンメーターのお客さんも大切なありがたいお客さんですけれどもね夜明さんねあなた本当にね最近売り上げが落ちて…。
ああいないよ!なのにえっ!?短距離の記録なんか作っちゃって!ロングの夜明はどうしたんですか!撮影を始めます。
(藤島典子)はーい。
(カメラマン)そういいですよ。
そうそうそうそうそんな感じ。
うんすごいすごいナイスナイス。
そうそう…。
すいません直し入ります。
じゃあ口紅。
(アシスタント)はい!
(刺す音)
(黒瀬正嗣)ううっ…!お疲れさまです!お疲れさま。
(操作音)
(典子)「もしもし兄さん?どうしてるかと思って」仕事どう?見つかった?兄さんがよければ…。
「私のマンションに来てもいいんだよ」
(藤島寛治)殺してしまった…。
殺したって…誰を!?許せない奴らは他にもいる。
兄さん!典子には迷惑ばかりかけてすまない。
もう会う事はない…。
典子は幸せになってくれ。
(電話の不通音)兄さん!兄さん!
(黒瀬治江)ただいま。
あなた!
(治江)主人を殺したのは藤島寛治です。
(東山秀作)藤島寛治?でその藤島寛治は黒瀬さんとはどういった…?昔主人が逮捕した男です。
逮捕?
(治江)10年前まで主人は福岡県警に勤めていました。
定年で退職した年最後に逮捕したのが藤島寛治で。
(国代義明)じゃあ逮捕されたのを恨んで黒瀬さんを…。
(馬場幸男)お礼参り…。
(ノック)どうしました?すいません。
高速道路を西に行って頂けますか?西って横浜ですか?ああ…わかりません。
いや行き先がわからないって困るんですけど。
兄を追いたいんです。
お兄さんどうしました?自殺するかもしれないんです。
えっ!?兄と私の携帯はGPS機能で互いの位置がわかるようにしてて。
さっきは横浜にいたのに今は小田原に。
たぶん車で移動してるんだと思うんです。
兄を追いたいんです!お願いします!どうぞ。
現場にあった血痕指紋が前科のある人物とヒットしました。
藤島寛治。
(神谷警部)藤島寛治に指名手配をかける。
国代藤島の携帯の位置情報を当たれ。
はい。
京都府警に捜査の協力を要請する。
はい。
お兄さんは今…?岐阜県に。
たぶん兄の行き先は京都だと思います。
京都…。
(山岡理恵)優!ちょっと…。
忘れ物ないね?はい。
よし。
優…。
(山岡優)お父さんいってきまーす。
(山岡康明)ああ車に気をつけるんやで。
(優)はーい。
いってらっしゃい。
…おかえり。
典子さん!お久しぶり。
どうしたの?京都には。
兄がここへ来ませんでしたか?寛治さんが?いいえ。
あっ…!
(東山・国代)夜明さん!東山!夜明さんここで何されてるんですか?いや俺東京からお客さん乗っけて…。
自分警視庁捜査一課の東山といいます。
ひょっとしてお電話くださった…。
電話って何?国代…。
藤島典子です。
山岡理恵さんですか?はい。
藤島寛治さんについてお二人にお話をお伺いしたいんですが。
寛治さんが人殺しを?被害者は黒瀬正嗣さん。
10年前藤島寛治を殺人容疑で逮捕した福岡県警の元刑事です。
お二人にお聞きしたいんですがその10年前事件関係者とかあるいは寛治の交友関係の中で寛治が許せないと言ったような人物何か心当たりはありませんか?いいえ。
私もわかりません。
あの…すいませんが仕込みがありますので。
ああはい。
典子さん…仕方なかったの。
寛治さんが逮捕されて優の事を思うと離婚するしか…。
(国代)わかりました。
位置情報によると寛治は大阪から兵庫方面に移動しているそうです。
山陽道?
(国代)はい。
一体寛治はどこへ行く気なんでしょう?そりゃまあ一番考えられるのは10年前事件を起こした故郷福岡…。
先輩自分たちは福岡へ向かってみます。
お帰りは気をつけて。
ちょっとちょっと!その10年前の事件の真相って何?いえ…国代!この人には学習能力っていうのがないのかな?ですよね。
…あっ!先輩あの…いつもいつもいっつも言ってますが先輩は民間人です。
民間人に事件の事を事細かく説明するのはちょっと…。
俺はさ彼女を京都まで連れてきた人間だよ。
全くの部外者って事じゃないだろ!ちょっとでいいから。
ちょっとでいいから。
10年前…10年前福岡県糸島の理髪店で殺人事件がありました。
死亡したのは古賀荘平。
理髪店を経営する藤島秀代の内縁の夫です。
その古賀を寛治が殺したっての?はい。
居酒屋で古賀と遭遇した寛治はいきなり古賀に殴りかかりました。
寛治にすれば母親をだましている古賀を許せなかったんでしょう。
まあその場は店の人たちが止めに入って収まったんですが古賀を追うように寛治も店を出て…。
先に家に帰っとけ。
え?ちょっと!古賀が殺されたのはその直後です。
つまり寛治は古賀を追って理髪店に行きそこで古賀を殺害した。
その寛治を取り調べたのが今回の被害者黒瀬さんです。
違う。
俺はなんも…!
(黒瀬)ふざくんな!まあ物証もあった事から寛治を逮捕。
(国代)寛治には懲役10年の実刑判決が下りました。
10年前寛治が殺したのは母親の愛人って事?もう一人寛治の許せない相手って誰?
(2人)わかりません。
(典子)すいません!はい。
行き先を延長してもらえませんか?はい?ここまで来て東京に戻れません!どうしても兄に会わなきゃいけないんです!兄は今明石にいます。
兄を追ってください!はいわかりました。
どうぞ。
東山国代乗れ!いえいえ…自分たちは新幹線で。
なんで?寛治が福岡まで行くとは限らないだろ?大丈夫。
メーター変えてこれ以降は神谷に請求するから!それが一番だめですよ。
まずいって!なんでこうなるかな?いつも気がつきゃペラペラペラペラ…。
しゃべっちゃうんですよね!本当に。
あっそうか!学習能力ないの俺たちじゃん!
(クラクション)わかりました乗ります!
(橋本)えー!?夜明さん…え!?福岡まで行くんですか?記録だよ。
営業所始まって以来の陸路での最長記録!あの本当にこの間は大変失礼な事を言いました。
本当に二度と言いません。
深く反省しております。
夜明さんあんたはすごい!運転手さん以前は刑事さんだったんですか?ええ…。
いや〜しかし今回の事件はひどいですよ。
今時お礼参りで刑事を殺すなんて。
10年前の事件兄は無実です。
刑務所で面会した時も出所して会った時も兄は自分はやってない無罪だって言い続けてました。
冤罪だとおっしゃるんですか?そうです。
兄は私にとってたった一人の家族です。
私は兄を信じます。
お気持ちはよくわかります…。
そうですかわかりました。
寛治が福岡に入った時点で位置情報がつかめなくなりました。
おそらく携帯の電源を切ったんだと思われます。
先輩糸島市に寄って頂いてよろしいですか?糸島市?はい。
福岡の西隣にある市です。
母親が理髪店をやっています。
ひょっとしたら母親のところへ寄ったのかもしれません。
降りられないんですか?10年前事件のあとしばらくして私は東京に出ました。
以来ここへは一度も帰ってきてません。
まぁ…タクシーの中で私の家族は兄さんだけっておっしゃってました…。
10年前の事を考えたらあなたがお母さんを拒絶する気持ちわかります。
でもここまで来られたんだ。
お会いになったらいかがですか?寛治さんここへは来てないんですか?
(藤島秀代)ええ。
福岡県警からも連絡がありましたけど。
ここには来んですよ。
寛治は私の事ば嫌っとりますけん。
(ドアの開く音)典子!なんね今頃!何の用ね!来たくて来たんじゃない!寛治ば何かまた事件ば起こしたとでしょ。
本当にどげんしようもなか子で困ったもんです。
寛治さんは福岡へ来ています。
誰に会うために来たのか我々はそれを知りたいんですが今でも寛治さんが恨んでいるような人物心当たりないですか?そりゃ私でしょうね。
ばってんここには来とりませんよ。
あとはなんにもわかりません。
子供の事は知りたくもなか。
お母さんは何もわかってない!なんね典子!あっ…。
どうしました?母はもともと心臓に持病があるんです。
救急車救急車。
(2人)はい!
(救急車のサイレン)薬ば飲めば治るとよ。
それを大げさに。
これまで病院には行っとらんとね?心配の真似事はよか!典子はさっさと帰りんしゃい!自分たちはこれから福岡県警に向かって寛治の足を追います。
寛治が福岡に潜伏してるのはほぼ間違いありませんから。
夜明さんはどうされるんですか?俺今日はここへ泊まって明日東京へ帰る。
しばらく様子見るし。
はい。
じゃあ失礼します。
失礼します。
(ノック)
(武吉玄輔)典ちゃん!
(典子)おじさん!すいません来て頂いて。
武吉!夜明!
(武吉)そうか夜明のタクシーで東京から。
お知り合いでしたか。
うん。
以前俺が刑事やった頃の知り合いたい。
夜明は警視庁俺は福岡県警。
所属は違うが警察官の柔道大会で何度か顔を合わせてね。
一度だけだが合同捜査で一緒に捜査した事もある。
推理の夜明に足の武吉。
名コンビって言われとったたい。
なあ?柔道の勝負は2勝2敗。
そうでしたか。
でも大変だったね。
寛治が事件を起こした上に秀代さんが倒れるっちゅうのは。
母には明日きちんと検査を受けさせたいと思ってます。
母は嫌がるでしょうからおじさんから説得してもらえないかと思って。
わかった。
だったら明日また来るけん。
すいません。
ハハハ…なんも。
典ちゃんの言う事ならお安いご用たい。
そうだ夜明今日は俺んちに泊まれ。
なっ?えー?
(電話)はいもしもし。
じゃあ何?10年前寛治が起こした事件で…。
俺はあの事件がきっかけで刑事ば辞めた。
でも典子さん冤罪だって言ってたよ。
詳しく話して。
事件が起きる直前寛治は居酒屋で古賀ともめていた。
寛治を疑うのは当然だよ。
第一発見者って秀代さん?そうだ。
あんた…?はっ!あんた!あんた!
(パトカーのサイレン)
(秀代)寄り合いから帰ってきたらうちの人が…。
最近古賀さんが誰かともめとったっちゅうような事は?
(秀代)知りません私はなんも。
(河野智之)武吉さん…。
居酒屋で古賀が藤島寛治ともめとったそうです。
寛治…古賀の事件の事で聞きたい事があるたい。
暑まで来て頂けますか?
(河野)待てー!待たんかー!俺やなか。
俺はやっとらん!寛治話ば聞くだけだ。
なっ?逃げると撃つぞー!
(銃声)
(銃声)うっ…!逮捕の決め手って何?金たい。
武吉さんこれが…。
(黒瀬)この金は理髪店のレジにあったもんたい。
言い訳のしようがなかろうが!違う。
俺はなんも…!ふざくんな!お前取り調べに当たらなかったの?
(武吉)ああ俺は捜査から外された。
俺と藤島家の関係から俺が私情ばはさんどるち判断したらしい。
藤島家の関係って何?秀代さんの亭主の藤島達造は俺の高校時代の親友でな。
あの家族とは昔から知り合いだったんだ。
あっそうなんだ。
田舎じゃ知り合いが事件に絡む事はおかしくなか。
でもそげな事で私情ばはさむ事はせん。
そもそも私情も何も俺は逮捕には反対やったんよ。
なんで?指紋が出んかったたい。
凶器の灰皿からもその盗んだ札からも寛治の指紋は出んかった。
灰皿の指紋は拭き取ったとしても札から指紋が出らんとは妙たい。
指紋が?捜査本部でも逮捕すべきか意見は割れとったとばってんが。
けど黒瀬の強引な捜査で寛治が落ちた…。
寛治の身柄ば確保する時俺は銃で撃った。
(銃声)マスコミは拳銃の不正使用だとたたいた。
だが刑事ば辞めたとは捜査を外された事に我慢ならんかったからだ。
だが…ハハハ。
全ては終わったったい。
ハハ…。
まさかこんな形で典ちゃんに会うとは思わんかったよ。
噂は聞いとうよ。
今やヘアメークのトップアーティストやて?そんな事…。
成功してくれてうれしか。
10年前典ちゃんのためにと思うて別れたのは正しかったようだ。
私は…兄が逮捕されて河野さんに迷惑がかかると思ったから…。
僕は今でも典ちゃんの事を応援しとうよ。
ありがとう。
1つだけ聞きたいっちゃけど寛治さんが福岡に来ている目的はなんなのかなんか聞いとらん?そう…なんかわかったら知らせるよ。
もちろん捜査上の事は言えんけど。
あっごめんなさい。
お茶も出さないで。
ごちそうさまでした!ちょっちょっとちょっと!あゆみ!
(西村あゆみ)お父さん!ちょっと何してるの!?何してるって…俺は仕事で。
冗談!タクシーで福岡に来るわけないじゃない!冗談って何?お前は?私は仕事よ。
何冗談…。
君は?大学時代の友達で田中一郎君。
出版社でね鉄道雑誌の編集してるの。
で一郎君の紹介で私は今そこでバイトをしてるの。
鉄道雑誌?お父さん九州新幹線ってすごいわよ。
博多から鹿児島まで1時間半で行っちゃうの。
ピューッ…。
お前さまさかあいつと鹿児島まで旅行行ってないだろうな。
(田中一郎)お父様ですか?お近づきの印にこれを。
近づきたくないけど…。
僕が撮影したN700系です。
一郎君鉄道オタクの鉄っちゃんなの。
鉄っちゃん?はい。
おい夜明。
うん?娘さんか?ああああ。
俺はお父さんの友達で武吉っちゅうもんたい。
昔は刑事今は博多人形を作っとる。
あゆみです。
博多人形?言うとらんかったか?
(あゆみ)すごーい!
(武吉)ハハッ驚く事はなか。
夜明がタクシードライバーになったように俺は人形師になる道を選んだ。
親父がもともと博多人形師だったんだよ。
博多に来たら博多人形に会いんしゃい!これがね童もの。
これが美人もの。
そっちがほら武者ものたい。
これどうやって作るんですか?うん?こっちへ来んしゃい。
(カメラのシャッター音)
(武吉)粘土で原型ば作って型取りして生地作り。
900度の高温で焼き上げたあと彩色に面相たい。
(武吉)こうやって顔の「艶」と呼ばれる部分つまり口紅と…目ば入れて完成させるったい。
艶が大事なんですね。
品たい。
品のなかったら博多人形やなか。
品のないお前が品の話すんの?
(武吉)夜明なんば言うとっと!どうでした?検査のためしばらく入院する事に。
ああそうですか。
おじさんのお陰です。
ありがとうございました。
なんも。
それじゃあ私東京へ。
東京へ帰るとか?
(携帯電話)もしもし。
河野さん!えっ!どうしました?兄の…兄の遺体が見つかったそうです。
(笛)
(河野)通してよか!
(典子)兄さん!兄さん!兄さーん!兄さん…!先輩…。
元福岡県警の武吉さん。
あっ…。
被害者の状況は?はい頭部に傷がありますが入水した際に岩にぶつけたものとも考えられます。
目立った外傷はありません。
今のところ自殺ではないかと。
(典子の泣き声)殺して逃げて揚げ句の果ては自殺か…。
あの2人は本当に仲のいい兄妹だったんだ。
(男の子)お前の父さんどこ行ったと?どこ行ったと?
(寛治)妹に何すんだ!
(武吉の声)幼い時から秀代さんを助けて2人で庇い合って生きてきたんだよ。
(典子の泣き声)
(河野)これです。
お昼過ぎました〜!おはようございまーす!上げるよ上げるよ。
はいはい!
(東山・国代・馬場)せーのよいしょ!博多疲れ取れてないんだもん…。
よいしょ!よいしょ!何?そろいもそろって。
大変な事になりました。
藤島寛治の死自殺じゃありませんでした。
(国代)解剖の結果溺死ではない事がわかったんです。
えっ他殺だっての?はい。
致命傷は頭部にあった傷です。
寛治は何者かに鈍器で殴られあの現場に遺棄されたものと思われます。
聞いて私もびっくりです。
事件は福岡県警の管轄ですが我々としても東京で起きた黒瀬殺しとどうつながるのか裏付け捜査を行う必要があります。
寛治が黒瀬を殺した動機はなんだったのか。
殺したあと寛治はなぜ福岡へ行ったのか。
じゃあ何?寛治殺しもお前たちが調べんの?
(一同)はい!寛治を…誰が殺すの?1つ妙な事がわかりました。
夜明先輩あの現場に寛治の靴があったの覚えてらっしゃいますか?うん。
あの靴を調べたところ靴の底に毛髪が付着していました。
鋭くカットされた複数の人間の毛髪です。
複数の人間の毛髪…。
理髪店?そうなんです。
福岡県警が秀代の店の床から毛髪を採取し照合鑑定を行いました。
結果合致しました。
寛治は秀代の店に行ってるんです。
問題はいつ行ったかです。
あっ馬場さんお茶。
ああはい!いや…。
まず考えられるのは…。
コーヒーがよろしいですか?我々が理髪店を訪れる前寛治は店を訪ねて秀代に会った。
10年前の事件ひょっとしたら寛治の言うとおり冤罪だったんでしょうか?寛治は真犯人に心当たりがあった。
真相を確かめるためだから福岡に行った。
理髪店に行き秀代を問い詰め真相を知ったとしたら…。
言ってる意味がわかんないよ。
10年前の真相って何?古賀の事件第一発見者は秀代です。
第一発見者を疑え…。
古賀を殺したのは秀代だって言うの?ありえない事はないと思います。
バッカじゃないの?どこの世の中に自分の罪を子供に着せる母親がいんの。
でばれて寛治も殺したって言うの?秀代さん入院中だよ?入院中。
いや抜け出す事自体は可能ですが…。
もちろん疑わしいのは秀代だけではありません。
10年前の事件典子が犯人だった可能性もある。
な〜にバカ言ってんの?あの…あの日福岡県警の河野さんが典子を訪ね店を出たのが午後9時過ぎだといいますから寛治が店を訪れたのはそのあと。
寛治の死亡推定時刻は8日の午後11時から深夜1時の間ですから時間的にも合致します。
バカ言ってんじゃないよ!10年前古賀を殺したのが秀代さんや典子さんだったって証拠がどこにあんの?それがばれて寛治を殺したっていう証拠がどこにあんの?典子さんは俺のタクシーに乗ってからずーっと寛治の事心配してたよ。
お兄さん思いの優しい妹さんだ。
あんな人が人を殺すわけがない!だったら寛治は理髪店に何をしに行ったんです?用もなく行ったとは思えない。
寛治が来た事を秀代も典子もなぜ黙ってるんです?じゃあ…。
靴についていた毛髪は無視出来ません。
福岡県警も典子と秀代に容疑を向けました。
河野。
秀代さんにちょっと話を聞きに。
失礼します。
(ノック)
(秀代)はい。
ハハハッどげんね?調子は。
ありがとうございます。
河野がなんば聞きに来たとです。
あの日寛治と会うただろうって。
寛治が店に来たはずだって。
そんな事言われたっちゃ…。
武吉さん…あんたにずーっと隠しとった事があるとよ。
なんね?典子は…あんたの子たい。
(橋本)「1646応答願います」1646どうぞ。
あっ夜明さんえーっとですね武吉さんという男性の方から夜明さんに指名の迎車が入っておりますけれども可能やろか?武吉?なんかね「よか」とか「ばってん」とかおっしゃってたとよ。
よかよか!おい。
(武吉)おお夜明!いや〜久しぶりだねぇ!東京は相変わらず人が多かね。
そうそう。
この場所まで行って。
オーケー。
(クラクション)
(典子)すいませんわざわざ来て頂いて。
なんも。
お医者さんから検査結果の資料ば色々もろうて。
会うて話した方がよかけん。
詳しい事はあとで言うばってん秀代さん手術する事になりそうたい。
そうですか…。
あっ…。
夜明さんもよろしかったらちょっと寄っていかれませんか?あ…はい。
芸術ばい。
人形作りに通じるもんがあんね。
ヘアメークってあんな仕事するんだ?この世界じゃ有名人たい。
(カメラのシャッター音)
(カメラマン)そうですね。
はいそう。
(典子)あっちょっと直し入りまーす!
(典子)お粉出しといて。
はい。
これ典子さんのお兄さんよ。
ちょっといい?ありがとう。
典子ちゃんにお土産があるとよ。
俺が作った。
典子ちゃん小さい時からよう頑張ってきたけん褒美たい。
ほれ。
これを私に?あ…ありがとうございます!あ…夜明さんにはこの間は無理なお願いをして申し訳ありませんでした。
いえいえとんでもない。
あの…そのお礼と言ってはなんですけど…。
来週京都で仕事があるんです。
ヘアメークの仕事は荷物が多くって。
また出来れば京都までお願い出来ますか?いやぁそりゃもう喜んで。
じゃ私これで失礼します。
ああ…典子さん実は私も一度週刊誌に書かれた事あります。
捜査にかかわった女性の事誤解されて興味本位で書かれてそれで刑事を辞めました。
後悔はしてませんが…やけになった事は事実です。
あなたも今は悔しいでしょうけど頑張ってください。
じゃ私これで。
秀代さんの事ばってん…。
(武吉)労作性狭心症。
カテーテル検査の結果冠動脈に閉塞部位が見つかった。
まあすぐに命にかかわるものやなかばってんでも外科手術ばした方がよかて言われてね。
来週。
河野さん!藤島寛治の事件の事で話を聞かせてもらえますか?武吉さんすいませんが席をば外して頂けますか?俺は今大事な話ばしとっとたい。
あの日8日の夜11時から深夜1時の間典子さんどこで何をしてました?その時間でしたら母の店で寝てました。
どうしてそんな事聞くんですか?寛治の靴に秀代さんの店にあった毛髪が付着していたんです。
あの夜寛治が店に来ましたよね?いいえ。
《寛治は福岡へ何しに行ったのか》《誰に会おうとしたのか…》《冤罪》《10年前の事件に何か隠されているものがあるのか…》ただいま。
おかえりなさーい。
あゆみマスコミ関係のバイトはいいけどさあんな鉄道オタクと旅行なんかするなよ?旅行じゃなくて取材!いきなり絡まないでよ。
まさかあんな奴と付き合ってないだろうね?やめてったら。
人前でみっともない。
何が人前…。
(武吉)おーい。
おい。
なな…なんでお前がいんの?いやぁ夜明にお土産渡すの忘れてたからな。
辛子明太子におきゅうとに八女の星野茶。
いっぱいもらっちゃった。
せっかく東京に来たんだ。
しばらく東京見物をして帰ろうと思うとる。
でここに泊めてもらう事にしたばい。
ねっ?えっ?えっ?したばい?いいじゃな〜い。
先生何日でもゆっくりしてってください。
あっそうだ!これこの部屋の合鍵です。
使ってください。
はい。
お父さんには…これ。
この間の楽しかった九州新幹線の記事が載ってる発売ほやほやの雑誌。
じゃあ私は仕事がありますので。
いってきま〜す。
いや〜いい娘さんだなぁ。
(ドアの開閉音)まあ娘の事を過剰に心配するのが父親っちゅうもんたい。
過剰に心配してんのはお前の方だろ?うん?秀代さんの検査結果だったら電話で間に合う。
典子さんの事が心配だから東京に出てきたんだろう?フフッなんの話ね?福岡県警は寛治殺しで典子さん疑ってる。
バカな。
典子ちゃんが事件に関係なか事は河野もわかってるやろ。
河野?ああ。
ほれ福岡の現場におったろうが。
昔俺の部下やった男たい。
河野が典子ちゃんば疑うはずはなかもんな。
河野は昔典子ちゃんと付き合うとったばい。
1つ聞いていいか?10年前古賀殺しに関して寛治以外に容疑者は浮かばなかったの?心当たりがありそうだな。
夜明いつまで刑事やってるんだ。
終わった事件だ。
お前とは関係なか。
夜明は首を突っ込むな。
お前これから寝るんだろ?ほれ。
寝るんだろ?ハハッ。
俺はこれからちょっと出かけてくるばい。
(チャイム)いやぁ。
上がらしてもらうけん。
ああこれ典子の好きな八女の星野茶。
(秀代)いや〜よか眺めやねぇ!ねえ病院はどうしたの?検査の済んでずっと病院におる事はなかやろ。
手術するんでしょう?せんかもしれん。
どうして!?私がどげんなろうと典子には関係なかたい。
なんしに来たと?典子がどげん暮らしばしとるかいっぺん見たかち思うてね。
これ…典子にそっくりやね!どうしたと?武吉のおじさんが。
そう…。
(秀代)典子まだお茶やっとっと?うん。
警察典子んとこにも来たと?来たわよ。
寛治あの日店に来たとね?本当に来んかったと?知らないわよ!寛治は本当に困った子たい。
死んだあとも私たちに嫌な思いさせて。
嫌な思いさせたのは誰よ!あんたがあんな男と付き合わなきゃ10年前の事件は起きなかった!あんたのせいでしょ!!そうだよ。
悪いのは全部私だよ。
ばってん男の人ば好きになるとに理由はいらんとよ。
典子は好きな人おらんとね?余計なお世話よ。
そりゃあ結婚はいつでも出来るばってん子供は…。
私は子供は作らない!あんたに孫の顔を見せたくないから。
ずいぶんな言い草やね親に向かって。
あんた一人で大きゅうなったっちゃなかとよ?私今から仕事だから。
(ため息)
(ドアの閉まる音)本当に典子にそっくりや…。
武吉さん…。
勘弁してくださいよ。
捜査に関する情報を教えるわけにはいかんとです。
寛治の靴に秀代さんの店の毛髪がついとったっつうのは本当か?
(河野)本当です。
自分は武吉さんのように私情ばはさむ事はしません。
ブツは1つあれば十分です。
失礼します。
(野村)かわいいでしょう?最近しゃべるようになったの。
俺の事「じいじ」だって。
呼ばれた俺はもうメロメロですよ。
それに比べて娘はだめ。
潮美ちゃんどうしたの?いやぁストレスがあるのかもしれないけどさこの間孫がずーっと泣きやまなかったら「いい加減にしてよ!」って…。
さすがに手は上げなかったけれどこのままだと育児ノイローゼになるんじゃないかって心配でさ。
潮美ちゃん大丈夫だよ。
いやぁ潮美は夜明さんとこのあゆみちゃんみたいにしっかりした娘じゃないからさぁ。
あっごめん!1人でぺらぺらしゃべっちゃって。
おねえさーん。
いやいや…。
いやいやここは私に奢らせてくださいよ。
話聞いてもらってすっきりしちゃった。
《ピン札…。
そういえば10年間の事件決め手は血のついた金だった》
(ため息)《寛治が福岡へ行ったのは10年前の事件の真犯人に会うためだったのか?》《寛治を殺したのは誰なのか…》えっ?では寛治が殺された8日の夜理恵が博多に来ていたというんですか?はい。
ありがとうございました。
来たと思ったらいきなり帰って…。
8日の夜博多に何をしにいらしたんですか?
(ため息)あの日の夕方寛治さんから電話がありました。
(電話)はいもしもし。
寛治さん?優の事をくれぐれもよろしく頼む。
それだけ言っておきたくて。
今朝典子さんが来たの。
刑事さんも。
(理恵)「今どこにいるの?」福岡たい。
どうしても許せない奴がいる。
そいつを殺したら俺も死ぬ。
じゃあ寛治を引き止めるためにあなたは福岡へ行ったというんですか?そうです。
中洲で会う約束をしました。
でも行ってみると寛治さんはいなくて…。
(太鼓)
(太鼓)理恵は寛治を引き止めるために福岡に行ったって事?はい。
まあ結局その日は寛治に会えず当日はホテルに泊まったと言っています。
ですから理恵にこれといったアリバイはありません。
でも1つ引っかかるのはさ10年前唯一の物証となった血のついた一万円札。
という事は真犯人が店から持ち出して寛治の籠に入れたって事?そうか。
それが出来るのは寛治の身近な人間。
先輩10年前の事件って真犯人が理恵だったっていう線もあるんじゃないですか?で理恵が寛治を殺した。
うわ〜それはすごいな国代君。
そうだとしたら寛治の靴にあった毛髪どう説明するのかな?ああ…確かに…。
それぐらいの推理今時小学生でもするけどね。
すいません…。
まあ理恵の事はこれからも調べてみます。
失礼します。
失礼します。
(携帯電話)はいもしもし東山…。
えっ!本当ですか?えっじゃあ河野さんこれから福岡に?あっはいわかりました…。
(クラクション)あ…。
秀代が福岡県警に自首しました。
嘘?では10年前あなたが古賀を殺したというんですか?そうです。
ああっ!
(河野)で今回寛治を殺したのもあなただというんですね?はい。
わあーっ!
(河野)凶器は?海岸に落ちていた石で。
それはどこに捨てたとですか?帰る途中…。
どこに捨てたかは覚えとりません。
秀代さん自首したそうだ。
嘘でしょ…。
夜明から連絡があった。
だが秀代さんには無理ばい。
発作ば起こして病院におった秀代さんに寛治ば殺す事は出来ん。
典子ちゃんに1つ聞きたい事がある。
10年前の古賀の事件。
寛治は典子ちゃんにこれまでずっと自分はやってないと言い続けてきたんだよな?はい。
その時籠にあった金の事をどう言ってた?知らないって言ってました。
どうしてお金が籠に入ってたのか身に覚えがないって。
典子がどげん暮らしばしとるかいっぺん見たかち思うてね。
どうして自首なんか…。
寛治あの日店に来たとね?本当に来んかったと?母さん…。
ここが母ちゃんの生まれたとこ。
寛治と典子ばいっぺん連れてきたかったとよ。
べっぴんさんにしてやるけんね。
逃げると撃つぞー!寛治!
(銃声)
(銃声)お母さんのためにも本当の事ば話すべきたい!私は何も知りません。
典ちゃん!河野さんにお話しする事は何もありません。
お迎えに上がりました。
これ…。
すいません。
髪切りました?あ…ええ。
気分を変えたかったもので。
京都のお仕事ってなんなんですか?タレントさんの写真集です。
明日から4日間まずは京都で撮影を。
ああそうなんですか。
この間母東京に来たんです。
あなたの事心配なんですよ。
いつまで経っても子供の事が心配で心配でたまんない。
親ってそういうもんです。
あの人は自分の事しか考えられない人です。
私はそんな母が嫌で故郷を捨てて東京に出て必死に働いてきました。
でも時々思うんです。
私はどこへ向かってるんだろうって。
それでも私は今でも母を許す事は出来ません。
母が古賀と付き合わなければ兄は逮捕される事はなかった。
出所したあと罪を犯す事も死ぬ事だってなかったんです。
あの…お兄さん出所してきてどんな話したんです?例えば10年前唯一の物証となった血のついた一万円札についてとか。
ああ…お金の事なら武吉さんにも聞かれました。
武吉?でお兄さんなんて答えたんです?
(寛治)何が物証だ。
あんな金は知らない。
捕まった時も俺はマンションを出る時籠の中確認した。
その時に金なんか入ってなかったんだ!ひと目でいい優に会いたい。
俺は離婚する羽目になったけど典子はどうなの?恋人は?福岡にいた頃は。
誰?河野さん。
あの刑事と…。
え…どうして?昔武吉さんが河野さんば連れて家に遊びに来た事があったでしょ?それから3年くらい付き合ってた。
その事を武吉にも話したんですか?はい。
ありがとうございました。
(典子)どうもありがとうございました。
仕事頑張ってください。
俺が聞きよるのは「真実はなんか」っちゅう事たい。
河野話せと言うとるんや。
武吉さんいい加減にしてください!いつまでも上司面せんでくださいよ!なんば言いよっとかこのバカタレが!話せ話せ言われても何も話す事なかですよ!正直か事ば言わんかバカタレが!何をですか!恥ずかしくなかとか!?何も恥ずかしなかとですよ!
(殴る音)
(馬場)あっご苦労さまです。
(カメラのシャッター音)先輩…。
河野さんがどうして…。
マルガイをご存じなんですか?福岡県警の刑事ですよ。
また福岡県警ですか。
刑事を一体誰が…。
ゆうべ居酒屋で河野さんと何を話されていたんですか?捜査に関する事を聞いただけだ。
教えてはくれなかったがな。
店の人の話ではその程度のもめ方ではなかったといいますが?ただの口論だ。
午後11時半頃一緒に店を出たそうですが?ああ。
だが店の前で別れた。
武吉さんはその後どちらに?夜明のアパートに帰った。
これ以上話す事はなか。
私は武吉の行動が引っかかります。
何をしに東京に来ているのか…。
武吉に関して1つわかった事があります。
何?10年前の事件で武吉がなぜ捜査から降ろされたのか。
私情をはさんでると思われたのは秀代との事です。
武吉が秀代さんと?昔武吉は秀代とかなり深い関係にあったというんです。
典子が生まれた頃です。
ええっ?それで捜査から降ろされ刑事を辞めた。
といっても古賀の事件の事は誰よりも詳しく知っている。
寛治が福岡で殺されて武吉は10年前の真相に気づいたのかもしれません。
その事で河野から情報を聞き出そうとした。
ちょっと…武吉が河野を殺した物証ってあるの?いえ。
ただ武吉が何かを隠してるのは確かです。
武吉は頑としてしゃべろうとしません。
話を聞き出せるのは武吉の親友である夜明さんしかいません。
ああそれと自首してきた秀代は容疑不十分で釈放されたそうです。
(激しい鼓動)はあ…はあ…。
博多へ帰るのか?ああ。
世話になったな。
俺なりに事件の事をまとめてみた。
福岡で寛治を殺害したのは誰なのか。
10年前古賀を殺害した真犯人は誰なのか。
寛治の籠に血のついた一万円札を入れたのは誰なのか。
俺はマンションを出る時籠の中確認した。
その時に金なんか入ってなかったんだ!典子さんから話を聞いてお前真犯人に気がついた。
それは意外な人物だった。
本当は逆だったんじゃないのか?10年前拳銃で寛治を撃ったのは。
威嚇射撃をしたのがお前で寛治を撃ったのは河野だった。
誰が誰を撃ったかわからない。
だけど当時河野に目を掛けてたお前は彼の将来のために自分が撃ったと名乗り出た。
だがお前の気持ちは裏目に出た。
真犯人は河野だ。
当時河野は典子さんから古賀について相談を受けてた。
古賀の人となりを秀代さんに教えるために事件当夜河野は理髪店に向かった。
やっぱりお前やったとか。
(古賀荘平)刑事がなんの用か?内縁関係やろうと金ば盗むと窃盗ぞ。
秀代さんはお前にマエがあるとば知っとっとか?金づるを見つけては金をむしり取りあげく返済を求めた女性ば殴り傷害事件を引き起こした。
秀代にチクっとか?デカがそげな真似してよかっか!?俺は事実ば伝えるだけたい。
オラ…!コラ!消えろ!
(古賀)うわっ!河野は保身にかかった。
クソッ!寛治の籠には病院に搬送される途中一万円札を忍び込ませた。
武吉さんこれが…。
古賀を殺し寛治に罪を着せたのは河野。
だからお前は…。
俺が聞きよるのは「真実はなんか」っちゅう事たい。
河野話せと言うとるんや。
河野を許す事が出来なかった。
武吉!武吉!夜明お前いつまで刑事をやってるつもりだ?全ては10年前に終わった事件だ。
違う!お前の中で事件は終わってない。
そうだ。
俺は河野を許せなかった。
寛治を殺したのも河野で間違いない。
あの夜河野は典子を訪ねて理髪店に行ってる。
その時店の毛髪を手に入れたんだろう。
10年前は血のついた金。
寛治の時は毛髪。
物証を偽装して罪を人に着せる。
同じやり口だ。
寛治は出所後典子さんに会って初めて当時典子さんが河野と付き合ってる事を知った。
そして河野が真犯人だと思った。
寛治が福岡へ行ったのは河野に会うためだ。
河野さんご無沙汰してます。
寛治です。
わかった。
ウラーッ!!フッ…夜明にはかなわないな。
お前が河野殺したのか?ああそうだよ。
だがな夜明。
俺は自首はしないぞ。
今お前が話した事は全部推測なんだよ。
俺が河野を殺したという証拠はなんにもないんだ。
武吉…お前変わったな。
真実だけ追求する刑事の誇りってどこ行ったんだよ?そんなもんは刑事を辞める時に一緒に捨てたよ。
夜明俺を挙げたかったら物証持ってくるんだな。
武吉…武吉!俺はお前が河野やったとは思ってないんだよ!俺が河野を殺したんだ!夜明お前とはもう会う事はないだろう。
10年前古賀を殺したのは河野だった。
寛治を殺したのも河野。
その事を知って河野を殺したのは武吉。
…という事か。
間違いありませんね。
あとは物証さえ出れば…。
(内線電話)はい捜一。
はい。
出ましたか。
えっ本当ですか?はいわかりました。
鑑識からの報告で河野の着衣に女性の毛髪が付着していたそうです。
女性の毛髪だと?はい。
ああいいですね。
はい。
あごもうちょっと引いてもらえますかね。
はい…。
(シャッター音)
(カメラマン)ああいいです。
(シャッター音)はい。
ちょっとあごを引いてもらえますかね。
ちょっと待って。
はいわかりました。
先生!先生!あの方たちがお話ししたいと。
河野さんの事件の事はニュースを見て知りました。
一昨日19日の夜はどちらにいらっしゃいました?おとといでしたら…ああ夜明さんのタクシーで京都に。
着いたのは夜何時頃ですか?はっきりとは…。
9時を過ぎてたと思います。
申し訳ないんですがあなたの指紋を採らせて頂いてよろしいですか?それと毛髪を1本提供してください。
それで今度は典子さんを疑ってるわけ?毛髪の事は無視出来ませんから。
うん。
それで?一昨日典子を京都のホテルで降ろした時刻はっきり覚えてらっしゃいませんか?9時15分かな?15分…。
えー京都から東京行きの最終新幹線は21時34分発のぞみ66号。
これか。
東京に着くのが23時45分です。
河野の死亡推定時刻は夜11時から深夜1時の間です。
典子がこの新幹線に乗れば犯行は可能です。
21時34分?いや〜あのホテルから20分じゃ無理だろ。
いやでも車を飛ばせばギリギリ間に合うかもしれません。
物証は何?その髪の毛典子さんの髪の毛だって言うの?
(携帯電話)はい東山。
結果?はい…えっ?そうなんですか?わかりました。
はい。
河野の着衣に付着していた毛髪と典子の毛髪血液型及びDNA型ともに合致しました。
決まりですよ。
決まりですね。
ただ奇妙な事がひとつ。
毛先の形状が違うというんです。
河野の着衣にあった典子の毛髪は毛先が丸いんですが今日提供してもらった典子の毛先は鋭くカットされていると。
ちょっと待って。
おととい典子さんが俺のタクシーに乗り込んできた時彼女…。
髪切りました?あ…ええ。
気分を変えたかったもので。
河野さんが殺害されたのがおとといの夜。
典子さんが河野さんを殺害した時についたんだとしたらその髪の毛の毛先はカットされてなくてはいけない。
はい。
わかる?わかる?はい。
不思議なんですよ。
考えようよ。
考えようよ。
あっ先輩!先輩!19日のぞみ66号の乗車券から典子の指紋が出ないか一応調べてみます。
無駄だと思うよ。
ああっ!こういう事は考えられませんか?カットする前の典子の髪が武吉に付着し…。
(馬場)その髪が現場に落ちた。
馬場さん考えましたね。
いやいやいやいや…。
まあ…まあこのくらいは…。
なんの証拠もないじゃない。
残念。
武吉や典子さんが人を殺すように見える?犯人は他にいる。
ほら邪魔どいて。
どいて!はい…。
お気をつけて!うーん…。
《だが毛髪の事が妙に引っかかった》《典子さんはヘアメークのプロだ》《カットした毛とそうでないものの毛先はどれほど違うか彼女は知ってる》《彼女自身がわざとカットする前の髪を河野の着衣につけたとしたら…》
(電話)はい。
東山です。
19日のぞみ66号京都発東京行き全ての乗車券から典子の指紋は検出されませんでした。
はい。
そういう事になります。
はい失礼します。
指紋が出なかった。
よかった。
典子さんが人を殺すわけがない。
ただいまー!あら…。
(あゆみ)今お茶淹れるね。
先生福岡に帰ったんだね。
うん。
そうそう今度はね長野新幹線で長野行くの。
車両はE2系最高時速260キロ。
楽しそうなバイトで結構だね。
アチッ!ちょっとちょっとちょっと!ちょっと何してんの!もう気をつけてよ!ちょっちょっちょ…あんま強く拭くと消えちゃうよ。
消えちゃう消えちゃう消えちゃうって!指紋が消えた…。
乗車券の中に妙なものはなかったかって夜明さんどういう意味です?えっ?指紋のない切符が出た?はい。
指紋が全部きれいに拭き取られていました。
それで…。
神谷が夜明さんのタクシーで京都へ行けと。
よし乗って!
(国代・東山)はい!いってきまーす!
(橋本)夜明さんどちらまで?京都!京都!半月に3回も京都?これも記録だ!夜明さ〜ん!あんたはすご〜い!心配せんでよか。
手術は眠っとる間に終わるけん。
武吉さん…。
(ノック)
(看護師)それでは手術室の方へ移動します。
(カメラマン)はいいいですねぇ。
1枚いただきますよ。
はい。
(カメラのシャッター音)
(カメラマン)あっいいですねぇ。
じゃあもう1枚いきます。
(カメラのシャッター音)
(カメラマン)はいあっきれいですね。
(カメラのシャッター音)
(カメラマン)はい。
はいオッケーです。
お疲れさまでした!
(一同)お疲れさまでした!お疲れ。
お疲れさまでした。
(典子)お疲れさまでした。
河野さんが殺された19日最終新幹線のぞみ66号の乗車券の中から妙なものが1枚だけ見つかりました。
これです。
京都発東京行き4号車3のC席。
この切符には指紋がひとつもついていません。
駅員の指紋すらついていないんです。
まあたぶんこの切符を使った人物がきれいに拭き取ったんでしょう。
ですが切符にいくら気をつけても他のところに指紋がつく可能性があります。
夜明先輩の意見をもとにこの座席を徹底的に調べてみました。
あの簡易テーブルってありますよね?そこにあなたの指紋が付着していました。
私は仕事柄新幹線をよく利用します。
その指紋が19日についたものだとは言えないんじゃないですか?そうですね。
あの着替えてきたいのでホテルのロビーでお待ち頂けますか?質問にはきちんとお答えしますので。
先輩!典子の姿が見当たりません。
よし行こう。
彼女の行き先1か所しかない。
(留守番電話のアナウンス)「電話は電源が入っていないためかかりません」だめですね。
電源が入ってないようです。
武吉さんの携帯つながりません。
(ため息)手術は無事成功しました。
ありがとうございました!よかったな。
母の事をこれからもよろしくお願いします。
ああ。
(典子)私ずっと思ってました。
武吉さんが私の父だったらよかったのにって…。
誰の指紋もついてない新幹線の指定席の切符…。
その指定席から見つかったあなたの指紋…。
この2つだけなら私はあなた疑いきれませんでした。
でもあなたひとつ余計な事した。
河野の着衣にあなたの髪の毛を付着させた事です。
武吉が犯人ならあなたに容疑が向くような事はしない。
罪を逃れるためにあなたがわざとつけたとしか考えられない。
この3つがそろった時あなたを疑わざるを得ませんでした。
武吉…河野殺害したの自分だって言ったんです。
秀代さんが自首したのも同じです。
2人ともあなたを助けたかった。
武吉や秀代さんの思いわかりますよね?兄の死が他殺だとわかって河野に兄の靴から理髪店の毛髪が見つかったって言われて驚きました。
寛治の靴に秀代さんの店にあった毛髪が付着していたんです。
あの夜寛治が店に来ましたよね。
でも8日の夜兄は店には来てません。
何より私その夜見たんです。
(典子の声)その時は河野が何をしてるのかよくわかりませんでした。
でも10年前の事件の事武吉さんに聞かれた時…。
籠にあった金の事をどう言ってた?知らないって言ってました。
(典子の声)私は全てがわかった気がしました。
(典子の声)10年前古賀を殺し…。
武吉さん!
(河野)これが…。
(典子の声)兄に罪を着せ…。
(典子の声)兄を殺したのも河野なのだ。
今度はその罪を母や私に着せようとしてる。
そんな事信じたくなかった。
何より悲しかった。
河野はかつての私の恋人です。
私の全てを委ねた人です。
そんな人が本当にそんな事を…。
でも私は確かめずにはいられなかった。
お願い。
本当の事を話して。
私は本当の事が知りたいの。
そうじゃなきゃ兄さんが可哀想すぎる。
私にとってはたった一人の家族なの…。
誰も信じないって言うなら話してくれてもいいでしょ?じゃあ話すよ。
(典子の声)河野は全てを認めました。
古賀を殺して兄に罪を着せた事。
兄を殺した事。
言うとくけど僕が今話した事を君がばらしたところで立証するものは何もない。
作り話だと笑われるだけだ。
今度は母や私を犯人にするつもり?ハハハ…毛髪だけじゃ典ちゃんを逮捕することは出来へんよ。
寛治を殺した凶器が典ちゃんの周辺から出てくれば別やけど。
いや…お母さんの近くから出てくるかもしれんねぇ。
(典子の声)河野ならやりかねないと思いました。
だってこの男は10年前物証を偽造して冤罪を作った。
そして今回も…。
じゃあ。
そんな事させない!ああっ!
(典子の声)こうしておけば犯人は別にいる事になる。
逮捕されないで済むと思いました。
逮捕されたくなかった。
(典子)もちろんです!だってそうでしょう?河野は兄に罪を着せた上に兄を殺したんです!河野は殺されて当然の男です!なのに…どうして私が逮捕されなくちゃいけないんですか?憎しみから河野を殺した?そうです。
私の気持ちを裏切った河野が憎かった!許せなかった!!典子さん!
(典子)死なせて!!死なせてください!!
(典子)死なせてください!!だめです!あんた本当に死んでいいんですか?このままでいいんですか?あなた憎しみだけで人を殺せるような人じゃない。
それにたとえ濡れ衣と言えどもお母さんに容疑がかかってそのままだとお兄さんと同じように冤罪になってしまうかもしれない。
同じ事繰り返していいんですか?あなたお母さん守りたかった。
だからヘアメークで得た地位や名誉を捨ててもお母さんを守りたかった。
自分を捨ててもお母さんを守りたかった。
違います!捕まりたくないというのも捕まってしまったら手術したばかりのお母さん面倒見る事は出来ないからだ。
違う…。
あれほど忌み嫌ったお母さんと同じようなヘアメークの仕事を選んだのもあなたどっかでお母さん探してた。
お母さん愛するために探してた。
違う!誰があんな女!あの夜あなた私のタクシーにお兄さんを追って乗ってきた。
だけどその前からあなたはずーっと追っかけてた。
自分の家族を!自分のふるさとを!だったら生きてやり直せばいい!取り戻せばいい!自分の家族を!自分のふるさとを!自分を育ててくれたふるさとを!
(泣き声)人の命の源は山と海たい。
(武吉)典ちゃーん!お母さんが…。
頼むばい。
5分だけ時間ばくれんね。
10年前俺が捜査から外れなければ冤罪を防ぐ事が出来た。
俺が…せいたい。
私本当はお母さんと一緒に住みたかった。
でも出来なくなったの。
ごめんね。
(典子)私が…べっぴんさんにしてやるけんね。
べっぴんさんにしてやるけんね。
美しかね。
さあ…。
(武吉)典子!ふるさとはなくなる事はなかよ。
罪を償ったら帰ってきたらよか。
待っとる。
典子を…秀代さんもわしも。
(嗚咽)よかよか。
思いっきり泣きんしゃい。
(泣き声)
(武吉)夜明なぁ。
うん?俺は娘を持つ事が夢だったんだ。
娘に酌をしてもらいながら酒を飲む。
娘といろんな事を話す。
好きな花はなんなのか…。
好きな色はなんなのか…。
どんなつまらない事でもいいんだ。
典子さんお前の娘だろ?フフフ…。
検査入院の秀代さんを見舞った時秀代さんからあなたの娘だと言われたよ。
でもな事実はどうであれそんな事はどうでもいいんだ。
俺は昔から典子を自分の娘だと思ってきた。
典子を守りたかった。
守ってやりたかったよ。
ハハハ…。
夜明さよならだな。
よいしょ…。
武吉!典子さん出所の時俺のタクシーで送っていくよ。
料金はお前持ちな!あゆみ。
あゆみどんな花好き?何?急に。
どうしたの?いやいやあのそういう会話交わした事なかったなと思って。
花ねぇ…私は花より団子だから。
じゃあさ色だったらどんな色好き?金色。
ゴールド。
プラチナも大好き!聞いた俺がバカだった。
お父さ〜ん!あっ!あのバッグ!あれ買って!あれ買って買って。
これこれこれこれこれ…。
値段もだめだしあの…動物の革は高い。
じゃああれ!嘘!2014/02/22(土) 12:00〜14:10
ABCテレビ1
タクシードライバーの推理日誌[再][字]
東京〜京都〜博多、殺人犯を追う乗客!10年目の再会と疑惑の銃弾!!その女に指紋なし!?
詳細情報
◇番組内容
東京〜博多、およそ1000キロに及ぶ、殺人犯の追跡!過去と現在の事件をつなぐのは、切なくも悲しい家族愛だった!?小林稔侍ら豪華ゲストが出演!!
◇出演者
渡瀬恒彦、平田満、風見しんご、小林稔侍、宮本真希、小林健、林美穂、佐藤二朗、鶴田忍、正名僕蔵
◇スタッフ
【原案】笹沢左保
【脚本】坂田義和
【音楽】長谷部徹
【監督】吉田啓一郎
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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日本語
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