小さな旅「閑(しず)かさに〜山形県山寺〜」 2014.03.08

(テーマ音楽)
青白く明けるみちのくの朝
標高600mほどの山に切り開かれた古刹宝珠山立石寺。
山寺です
平安時代初期。
天台宗の僧円仁によって開かれたとされています
険しい断崖に30の寺院やお堂が建ち並びます
奥の細道をたどっていた松尾芭蕉がこの地を訪れたのは1689年の夏
今山寺は雪の中。
更に深い閑かさに包まれています
JR仙山線で山形駅から20分。
1,400人ほどが暮らす山寺地区です。
江戸時代以降参拝する人が増え門前町が栄えました
訪れたのは2月上旬
目の前に山がある。
きれいな山ですね。
あっあそこにお堂がありますねほら。
あそこにもある。
そこに。
やっぱり山全体がお寺になってるんだ。
立谷川沿いに400mにわたって門前町が続きます
寒風にさらして凍らせる保存食凍み大根と凍み餅です
川に沿ってつるしているのは山から下りてくる猿たちに持っていかれないようにするためです
春から秋65万人が訪れる山寺。
冬場は門前町の多くの店がお休みです
(菓子打ちの音)
明かりのついていない和菓子店から音が聞こえてきました
(菓子打ちの音)
89年続く和菓子店の3代目…
甘い香りの「もろこし」です。
冬の間に1日800枚を作り置き3月上旬からの開店に備えます
小豆の粉に水あめなどを混ぜて固めるもろこし。
出羽国特産の小豆を使い藩主にも献上していた伝統の干菓子です
温度湿度で軟らかさが微妙に変わる粉。
堅い桜の木で細かく打ち密度を均一にします
打ち音は生地との対話です
(菓子打ちの音)
リズムは代々受け継がれてきました
私が小さい頃はやっぱり冬はどうしても周りが静かなんでもろこしのこのトントンという音ですかねそういうのがやっぱり朝とか聞こえ…私が小さい頃ね。
そういうのは聞こえるのは結構思い出に残ってますね。
お子さんたちもやっぱり佐藤さんのコンコンっていう音で起きたりしてますか今?「今日はもろこしなんだねパパ」とは言われますね娘とかからは。
朝?朝。
じゃあほんとに同じ順繰りに親から子子から孫その先って続いていってるわけですね今。
そうですね。
100年前と同じ事を繰り返してる感じですね。
固めた生地は2時間ほど乾燥させたあと炭火に当てて焼き色をつけます
小豆の甘く香ばしい香りが引き立ちます
(菓子打ちの音)
静かな門前町に響く冬の営みです
門前町を抜け山の麓に建つのが立石寺の本堂根本中堂です
人々はここで現世の幸せを祈ったあと来世につながるという山に分け入ります

参道の石段は麓から奥の院まで1,015段です

かつて参拝者は亡くなった家族の名を岩に刻み安らかにと願いました
歳月が刻んだいくつもの岩窟
僧侶たちはこの穴で生まれ変わると考えお堂を建て修行をしました
標高550m。
山頂近くの見晴らし台五大堂です
凍った石段を慎重に上り山門から30分
すみません…あ〜着いた。
うわ〜。
絶景ですねこれは。
眼下には山寺地区の9つの集落。
奥は県境二口峠を越えると宮城県です
山の奥には4つのお寺がありそれぞれに住職と家族が暮らしています
(読経)
金乗院の住職相田英順さんは両親と共にここでお勤めをしています
妻と中学生の2人の娘が住んでいるのは麓の町です
(読経)
山の上で白い世界に身を置く日々
雪が降るとやっぱり音って何にも無くなりますか?周りの音多分雪が吸収してしまうんで反響もしないんで本当に「し〜ん」という何ていうのかな「し〜ん」というのが聞こえるような「し〜ん」という感じですね。
参道の雪かきも相田さんの日課です
山の上は気温が低く細かく軽い雪。
ここでは「雪はき」と言います
麓に暮らす2人の娘中学3年生の優美さんと1年生の真実さんが石段を上ってきました
冬ここまでやって来るのは郵便配達か宅配便。
挨拶はいつも同じ
(2人)配達で〜す!・はい。
おかえり。
ただいま。
法要のお手伝いや食料品の買い出し。
2人が来るとひととき華やぎます
はぁ〜寒い寒い。
姉妹がいつも過ごす場所仁王門です
雪を眺めながらたっぷりおしゃべりができます
枯れてるねみんな。
枯れてるんじゃない寝てるんだよ。
春の準備をしてるんでしょ。
うん。
春。
ここで聞こえる大好きな冬の音があります
(列車の走行音)
(真美)仙山線の音が雪に吸い込まれるっていう感じですね。
夏の間はすごいガタンゴトンって聞こえるんですけど冬だと小さくシワーってなってきます。
私は木から雪が落ちてきた時になるフサーみたいな感じのドサッじゃなくてフサッていう感じの音が好きです。
(雪が木から落ちる音)
新雪のささやきです
(伏鉦の音)
山寺地区には集落ごとに地元の人たちが守ってきたお堂があります
(念仏と伏鉦の音)
女性たちによる百万遍念仏です。
大きな数珠を回し近所同士一つになって祈りを捧げます
1周すれば100の功徳を積むと言われています
(念仏と伏鉦の音)
これを数百回時には千回と回しながら念仏を続け地域の人々の無病息災を願います
(念仏と伏鉦の音)
雪深い冬になると女性たちは毎週のようにここに集います
(伏鉦の音)
(鐘の音)
ふるさとの音は小さな芭蕉たちの心にも響いています
これから3時間目の勉強を始めます。
(一同)始めます。
(工藤)はいじゃあ座って下さい。
山寺小学校では全クラス毎月俳句の授業を行っています
発表していたのはそれぞれが感じた冬の音です
私が見つけた音は山寺の神社に行った時の音で「サララン」っていう音です。
(工藤)へえ〜。
これ何の音なんだろう?何か木が揺れたりとか…。
登校中に聞いた音でフードにぶつかった雪の音です。
(工藤)フードってジャンパーのね。
バタバタバタです。
(工藤)バタバタバタバタってしてたの?相当風吹いてたんだね。
ふるさとの調べが心にあふれ出ます
もろこしを作っていた和菓子店の佐藤淳さんです。
週末は店の裏手で子供との雪遊びです
(佐藤)怖いなこれ。
ゴー!
(佐藤)怖い怖い…。
うわ〜!早乗れ。
キャー!うわ〜!
春から秋門前町に休みはありません。
冬だけにある親子の時間です
近所のお友達ははしゃぎ声を聞きつけいつも遊びに加わります
(笑い声)
弾む声が重なり合い雪の里に広がっていきます
しんしんと雪
山寺は深い静寂の中です
(雪が木から落ちる音)
雪のささやきが聞こえてきます

(テーマ音楽)
(テーマ音楽)2014/03/08(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「閑(しず)かさに〜山形県山寺〜」[字]

山形市山寺。門前町のみやげ店が、お菓子を作る音。山の上のお寺に、麓の家族が参道を上ってやってくる音。お堂から聞こえる念仏。冬の山寺の静寂に、耳を澄ませる旅です。

詳細情報
番組内容
山形市山寺。年間70万の観光客でにぎわう東北有数の観光地も、冬はひっそりと息をひそめる。雪に包まれ、静かな山寺で聞こえてくるのは、故郷の暮らしの音だ。門前町のみやげ店が、春に向けてお菓子を作る音。山の上のお寺に麓の家族が、参道を上ってやってくる音。お堂から聞こえる念仏。小学校では、小さな芭蕉たちが音を俳句に表現する。地元の人々が「1年で一番美しい」という真っ白な山寺の静寂に、耳を澄ませる旅。
出演者
【語り】山田敦子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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