(テーマ音楽)
瀬戸内の町を走るJR山陽本線
新幹線から乗り継ぎ到着したのは山口県の下松駅。
1時間に止まる列車は2本ほどの小さな駅です
通勤の人たちかしら?随分たくさん渡ってきてますね。
朝8時。
駅周辺の工場に大勢の人たちが出勤していました
瀬戸内工業地域の一角山口県の周南地区です
周南市下松市光市の3つの町に工場が集まっています
海に面して立つのは広さ52万平方メートル東京ドーム11個分全国有数の鉄道車両の製造工場です
6月から走行する車両の出荷準備が進んでいました。
東京新青森間を走るE5系新幹線はやぶさです
先頭車両の重量は42.7t時速320kmで疾走する日本最速の車両
ボディーや車輪ネジの一本まで高速に耐える強さが求められます
昭和39年に新幹線が開通して以来ここで新型車両の製造を続けてきました
車両工場の周辺には部品を作る小さな工場が軒を連ねています
その数は30以上に上ります
新幹線の流線型の顔を作る工場です
ハンマー一本でアルミの板を打ち出していました
狙ったところに一定の強さで打ち繊細な丸みを作りだします
一枚を仕上げるのにたたくのはおよそ1,000回
新幹線の速さと美しさを生み出す技です
車両の内装を手がける工場。
さまざまな部品が集まっていました
新幹線1両の内装に使われる部品はおよそ2,500
狭い空間をいかに効率的に活用できるかが求められます
「スーパーこまち」という新幹線のデッキ部分のここが配電盤。
こちらにいくと空き缶を捨てるところとか。
その円は空き缶?これ空き缶です。
ありますねそういえばね。
こちらがゴミ箱。
扉の開閉を支えるのは車両専用の「ちょうつがい」です
高速で走る振動を受け続けても壊れない強さと使いやすさ
取り付ける場所によってさまざまな形が必要になります
瀬戸内海を見下ろす切り立った崖。
新幹線の7割以上の車両にちょうつがいを納めている工場があります
鍛冶屋から工場を興して50年。
従業員は30人です
車両に取り付けるちょうつがいはミリの精密さが求められます
組み合わせる部分に余分な隙間があると振動で破損するおそれがあるからです
工場の主光井秀樹さんです。
創業した父親の跡を継ぎ現場に立ち続けています
これは特に新幹線とかでよく使うんですけどゴミ箱。
通路にありますよね。
こういうふうに取り付けるんです。
ここに蓋がついてるんですか?こっち側にカタッといってあとは押して勝手に戻るという。
結構バネがきつい。
そうなんですはい。
作業場の中央にはひときわ古い機械
設備が何もなかった創業当時鉄の板を切るために父親が作りました
工場を守る光井さんにとってもの作りの原点だと言います
随分何か貫禄が…。
お金がない頃だったのでここら辺は自分らでガスで切ったり部品は拾ってきて集めてこの機械作ったんですよ。
後ろはギアがついてるやつなんですけど普通ベルトはこういう使い方しないんですけどできるかぎりの事をやって作った機械なんですよね。
光井さんの父親は手作りの機械で初代新幹線のちょうつがいを作りました
その後工場は全ての新型車両に携わってきました
23歳でこの道に入った光井さんが最初に手がけたのは平成4年の300系
車両は進化しちょうつがいの形も複雑になりましたがどんな注文にも応えてきました
(光井)扉がある以上それを開くには絶対掛けがえのないものであってなければ仕事にもならないし点検扉を開ける事もできない。
運転室のドアもそうですけどやっぱりドアを開くからにはうちの部品が使われていると思っていますのでその中で見えない仕事をしていても新幹線を見ると自信になりますしうれしく思いますよね。
今取り組んでいるのは東北新幹線E5系に使うちょうつがいです
これまでより5ミリ小さくしてほしいと求められました
今までの機械ではこのサイズは作れません。
光井さんは金型の角を削り取りました
「どんな形でも必ず作る」。
機械に付けたさまざまな傷痕はその心意気の証しです
一年を通じて穏やかな海。
下松市沿岸は古くから港として利用されてきました
目をつけたのが山口県出身の実業家久原房之助でした。
大正時代この地に造船所を設立。
そのボイラーの技術を生かして蒸気機関車の製造が始まりました
更に久原は技術者も地元で育てようと資金を出し工業学校を設立しました
もの作りの心は若い世代に受け継がれています。
久原が設立した下松工業高校です
多くの卒業生を地元の工場に送り出してきました
旋盤の実習です。
金属の塊から部品を削り出す基礎的な技術です
こうやってやるからいけんのよ。
間違いの元となる。
車両工場に勤めてきた職人が技と心構えをたたき込んできました
要するに「知恵を出せ」って言うんですよね。
「知恵を出せ。
知恵のない時は汗を出せ」。
そういうふうにずっと教えられてきたんですよ。
だからやっぱりものをやりながらでも工夫しながら自分の心をその製品に打ち込むというかそういう事を大事にしてるんですけどね。
世代をつなぎ技術の進歩を支える情熱です
光井さんの工場
つかの間の休憩時間です
今のはすごいカーブでよもう入ってきたけんさ。
緻密な作業から離れるひととき
ボールは手作り
打球が飛びすぎないよう工夫します
これはね製品を送る時とか梱包用に使っているんです。
紙テープは。
大きさ重さ固さも本物そっくり
お昼前工場を回る車
弁当の配達です
工場の多くは社員食堂がありません。
店も遠いためほとんどが弁当を注文しています
日替わり弁当350円。
野菜をふんだんに使いボリュームたっぷりです
箸袋には感想を書き込めるようになっていました
昭和38年から工場に弁当を届けている店です
早朝から仕込み毎日2,500食を作ります
専務の上原有美子さん。
3年前から献立を担当しています
配達が終わると次のメニュー作り
「一日中機械の前で働く職人たちに食事を楽しんでほしい」
レシピは1,200種類になりました。
一日も同じ献立にした事はありません
冬には体を温める食材を使って…。
汗をかく夏にはビタミンや塩分を補給できるように
工場に季節を届けようと2月3日に作ったメニュー
綴じているのは箸袋のメッセージです
たまに一言「おいしかったよ」って書いてある。
それだけで本当に「よしじゃあもっとおいしいの作れたらいいな」って気持ちが湧いてくるので本当にありがたいなと思いますね。
心温まる味。
明日に勤しむ力となります
E5系新幹線出荷の日です
組み立てから3か月
最後の点検です。
内装の隅々まで手で触って傷や突起がないかを調べます
光井さんが手がけたちょうつがい。
およそ20年走り続ける車両を支えていきます
(笛)
(笛)はいよ〜OK!
車両に使われた部品は1万以上です
その一つ一つに込められた情熱。
今船に納められ東北に向かいます
(テーマ音楽)
(テーマ音楽)2014/02/22(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「“超特急”のふるさと〜山口県周南地区〜」[字][再]
瀬戸内海に面した山口県周南地区は大正時代から続く鉄道の町。新幹線の先頭ボディなどあらゆる部品工場のほか、400の工場を支える弁当屋もある。誇りと愛情に触れる旅。
詳細情報
番組内容
瀬戸内海に面した山口県周南地区。JRの駅につながる巨大な車両工場を中心に、新幹線の先頭ボディーから、内装、ちょうつがいに至るまで、あらゆる部品を作る工場が集まる。大正時代からの歴史がある鉄道の町には、ミリ単位の仕事をする職人たちのいる工場や、町を支え続ける工業高校がある。そして400の工場に弁当を届ける店では、はし袋に客からのメッセージを入れる。瀬戸内の澄み渡る景色の中、鉄道を支える誇りに触れる。
出演者
【語り】山田敦子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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