(テーマ音楽)
城下町をぬらすぼたん雪。
加賀百万石金沢の冬です
北西の季節風が日本海で湿った雲となり北陸に重い雪を降らせます
加賀藩主前田家の庭園として造られた「兼六園」。
うっすらと雪化粧をしていました
縄で枝を補強する雪吊りは春まで松を雪から守ります
(ホームアナウンス)「金沢金沢」。
東京から電車を乗り継いでおよそ4時間。
古都金沢には年間800万人が訪れます
来年春には北陸新幹線も開業します
金沢の温かいお茶どうぞ。
頂いていいんですか?どうぞどうぞ。
ありがとうございます。
頂きます。
ようこそ金沢へ。
あっ金ぱくが入ってる。
金沢楽しんで下さいね。
ありがとうございます。
いただきます。
いかがですか?温かい。
週末には地元のボランティアが温かいお茶でもてなします
町の北東に連なる小高い山は卯辰山。
麓には50以上のお寺が建ち並びます。
戦の時寺は兵たちの待機場所にもなるため集められたと言われています
今はひっそりとしたたたずまい
紅が映える雪つばきです
江戸時代初期に開かれた月心寺に地元の人が集まっていました
多くはお茶の先生や茶道具店の店主たちです
この日は金沢に茶の湯を広めた裏千家四代仙叟宗室の月命日でした
加賀藩主前田利常に招かれた仙叟宗室は武士だけのものだった茶会を町人のためにも開き広く伝えていきました
皆様方もいらっしゃいませ。
お待たせいたしまして。
お参りのあとは茶会に。
1席に25人ずつさまざまな流派の300人が集いました
仙叟をしのび心を込めた一服のお茶です
金沢では「3人に1人は心得がある」とも言われるほどお茶の文化が根づいています
茶の湯に取り組んで40年以上になる寺中裕恵さんです
県の南部小松市出身の寺中さんは二十歳で銀行員の夫と結婚。
転勤で各地を回りました
お茶の世界を知ったのは金沢に赴任していた30歳の頃。
きっかけは夫が知り合いからもらった2つの茶碗でした
始めは茶道具とは知らなかったと言います
何するものかしら漬物を入れるんじゃちょっと違うわって思ってね。
テレビを見ましてお茶をやってる姿を見たらお抹茶のお茶碗だと思ってすごくその時は感激したんです。
「こんなものが家にあるんだわ」と思って。
この茶碗でお茶をたてたいと教室に通うようになった寺中さん。
茶会を通して友人も増えました。
夢中になるものを見つけた妻のために夫は茶室を造ってくれました
夫の信夫さんです。
77歳まで働いたあとに妻と同じ趣味を持つようになりました
(湯が沸く音)
釜のお湯が沸く音は「松風」。
松の林を吹き抜ける風の音に浸ります
(湯が沸く音)
2人の間では気取らずに
どうやった?おいしかった?おなかいっぱい。
もう一服あげようか?家内が一生懸命こうして炉のそばでいろんな事をやって話しながらお茶をたてたりしてくれるのを見ますとねいいなやっぱし落ち着くためにはこういうような席がいいんだなとこう思いますね。
案外とそういうふうに思ってくれているんなら安心してまたずうずうしくお茶を続けていこうかなと思いますわ。
結婚50年で始まった2人の穏やかな時間です
加賀の茶の湯はさまざまな分野の職人にも支えられてきました
陶芸茶釜和菓子。
京都とも異なる独自の文化をもたらしました
仙叟宗室の時代から続く加賀藩の釜師十四代宮寒雉さんです。
息子の匠さんと茶釜に向かいます
砂や粘土を固めた鋳型は「外型」と「中子」の組み合わせです
外型と中子の間の3mmほどの隙間に鉄が入り釜になります
1,400℃以上で溶かした鉄を流し込みます
鉄が固まるまで丸一日です
歴代の宮寒雉が手がけた釜です
初代寒雉と仙叟宗室が卯辰山を散策した時お握りを落としてしまったほほ笑ましい情景を形にしました
かぐわしいカリロクの木の実に寄ってきたカマキリ
遊び心のある造形と装飾で茶人たちをもてなしてきました
翌日…
鉄が固まりました
外型と中子を崩すと釜が現れます
十四代がこの冬手がけた「馬絵丸釜」です
還暦を迎えたうま年の友人からの注文でした
つまみはなすの形。
「物事を『うま』く『なす』」という言葉遊びです
工芸品でございますって言って作る…それが単にずっとお土産屋に並ぶようなものを作るだけじゃ私は本当にねやる気ないがになるがんないかと思うんやわ。
これはまた使ってくれるから作る張り合いがあるんで。
その釜を大事にしてずっと常に使っていただければねうれしいですよね。
十四代の粋な心が形になりました
町のお茶室は100以上。
さまざまな世代が訪れます
市が月に2回開いているお茶の教室です。
地元の小中学生20人が一年かけて学びます
(子供たち)お稽古お願いします。
(先生)はい頑張って下さい。
ちょっとお茶碗に粉付いてたらこうぐる〜って。
そうそう。
はい上手。
縦縦縦…縦に振りましょう。
はいいいね。
和菓子も覚えたての作法で
あらら転がってった。
ほな替えてあげて。
大丈夫大丈夫。
(笑い声)もう一回やってごらん。
はいいいね。
もう一度やろうはい。
稽古の仕上げには茶会を開きお父さんお母さんをもてなします
町の整備が進んでいた江戸末期金沢の東西は茶屋街として栄えました
かつてお囃子や三味線の音色でにぎわった町の風情が残されています
茶屋のたたずまいを生かしたカフェー。
ここで出されるのは金沢のもう一つの味「棒いり茶」です
創業154年。
その味を守り続けてきた老舗のお茶屋さんがあります
うわ〜いい香り。
香ばしい香りがする。
こんにちは。
いらっしゃいませ。
店の5代目野田和美さんです
お茶箱だ懐かしい。
こちらになります。
うわ〜。
お茶の茎を焙じた棒いり茶。
煎茶に利用しない茎を生かした身近な味です。
金沢の人たちは水代わりに飲むと言われています
ここで焙じてるんですか?そうですね。
後ろの方に工場がありましてそちらの方で。
野田さんは5年前この棒いり茶を焙じるようになりました。
心臓を患いながら店に立ち焙煎作業を行う父正輝さん。
重労働のお茶作りを少しでも支えたいという思いからでした
店頭のお茶が無くなるとそのつど作業場に立ちます
一回に焙じる茎の量は50kg。
これをじっくりと20分200℃近くのじか火にかけます
煙を見ながら焙じている茎を頻繁に確認します
緑色を残さずかつ焦がさず。
香ばしく優しい口当たりを目指します
仕上がったお茶はまず父に
だいぶ白いな。
白い?濃く見えたけど私あっちで。
いい香りや。
お客さんがおいしいって言ってくれるお茶をずっと模索しながらこのお茶と一緒に成長していきたいなと思ってます。
早く私のほうじたお茶にもファンがつくといいんですが。
それが夢ですね。
自分の味を求めて試行錯誤の日々です
十四代の釜師宮寒雉さんのお宅です
「在釜」。
茶会を開いていますという知らせです
夫婦でお茶を楽しんでいた寺中裕恵さんも友人と共に参加しました
使うのは十二代の祖父が作った「塩屋釜」です。
左右には海水を煮て塩を作る小屋「塩屋」があしらわれています
湯気が立ち上る風景に温かさを感じてほしいという心遣いです
寒い時期に一回は使ってみんなん釜やなと思いまして。
すごいなりがいい。
すごくいいですね。
(湯が沸く音)
(テーマ音楽)
ほっと心和む北陸の冬です
(テーマ音楽)2014/03/22(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「城下町 ほっこりと〜石川県金沢市〜」[字]
冬の金沢。町には「茶」の文化が根づいています。寺院で開催される茶会「月釜」。釜を作る職人。「棒いり茶」を受け継ぐ父と娘。暮らしの傍らに茶がある冬を訪ねます。
詳細情報
番組内容
みぞれのような、重い雪が降る冬の金沢。町には心身ともに温まる「茶」の文化が根づいています。加賀藩の時代から続く「茶道」。毎月寺院では茶会「月釜」が開かれ、300年以上の技を受け継ぎ、釜を作る職人もいます。そして家庭で広く愛される、お茶の茎を焙じた「棒いり茶」。創業154年の老舗茶店では、父と娘が自家ばい煎で棒茶の極みを目指します。暮らしの傍らには茶がある、金沢の冬を訪ねます。
出演者
【語り】山田敦子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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