(志乃)《「平和な関係」》
(圭子)大女将。
(志乃)えっ?
(圭子)何もそんなことなさらなくても。
(志乃)すいません。
ちょっとあのう。
座るところだけでもと。
(圭子)あっ。
そうですか?ホントに家事をする人がいないとうちの中ってすぐに散らかってしまいますわね。
(志乃)はい。
(圭子)あっ。
大女将もどうぞ。
座ってください。
(志乃)あっ。
恐れ入ります。
(圭子)ああ。
ホントに毎日毎日締め切りとの闘いで徹夜も多いし。
家事なんて一切する暇ありませんの。
(志乃)本当に大変なお仕事をやっておいでで。
もう雑誌の編集長なんて私には想像もつかないことでございます。
(圭子)ええ。
大変です。
ああ。
それでうちのことは全て嫁の瑠璃子さんに任せてたんですけど。
はい。
実家に戻ったっきりまだ戻ってきやしない。
それでこのありさまですよ。
申し訳ございません。
今日はほのことをおわびに伺わせていただきました。
でしょうね。
大女将。
はい。
私が嫁の瑠璃子さんをわざわざ金沢まで迎えに行ったとき大女将が何をおっしゃったか覚えておいでです?はい。
なのに良樹が迎えに行っても帰ってこようとしないのはどういうことですか!申し訳ございません。
あのう。
お母さまとの約束決して忘れたわけではございません。
あのう。
どうぞホントに申し訳ございません。
でも私が怒ってるのはそのことじゃないんです。
はっ?瑠璃子さん。
東京へ戻るんなら別居が条件だと良樹に言ったそうですわね?あっはい。
それは確かでございますか?大女将。
重ね重ね申し訳ございません。
嫁の務めを放り出し実家に逃げ帰った揚げ句別居したいとはよく言ったもんです。
花嫁のれんをくぐった嫁の心得はどこへいったんですか?おっしゃるとおりでございます。
私は別居など認めませんから。
はい。
ほれはよく分かっております。
ですから私もこのたびのニューヨーク行きには反対いたしております。
えっ?えっ?今何と?いえ。
ですからお母さまを置いて2人でニューヨーク行くやなんてほんなことはもっての外やと。
ちょっ。
ちょっと待ってください。
はっ?2人でニューヨークへ行く?はい。
えっ?それどういうことですか?あのう。
良樹さんからはお母さま何にもお聞きに…?いいえ。
何にも聞いてません。
えっ!?いったいどういうことなんですかね?大女将。
いえいえ。
いやいや。
ですから。
あのう。
ほの。
あのう…。
(辰夫)えっ?あのお姑さんニューヨーク行きを知らんのか?
(奈緒子)そうなんです。
良樹さんも別居に続いてそのことはすぐには切り出せなかったようで。
ああ。
えらいことや。
あのお姑さんのことや。
怒って志乃にまくしたてるに違いない。
はい。
お母さんもここは謝るしかないはず。
今ごろどんな目に遭ってるのかと思うと。
(辰夫)うーん。
ハァー。
(辰夫)うん?
(圭子)そういうことですか。
染織を教えるためにニューヨークの美術大学の講師としてのお話が。
ほのようでございます。
ほやけど私はお母さまはもうてっきりお聞きになっているものとばっかり思うとりました。
いいえ。
何にも聞いてません。
ほうでございますか。
あっ。
いや。
ですが良樹さんは一度はこの話お断りになったそうです。
えっ。
お母さまをお一人日本に残しておくことはできないからと。
そうですか。
一度は断ったんですか良樹は。
はい。
優しい子です。
私が女手一つで苦労していたのをよく知ってますから。
だけど今は瑠璃子さんと2人でニューヨークへ行く気になっている。
そういうことですわね?はい。
ほれはほのようで。
あっ。
いや。
ですが私は反対いたしております。
ほんなお母さまを一人日本に置いていくやなんてほんなこと許せるわけがございません。
ほれにほれで別居問題が片付くという安易な考えにも納得いたしかねます。
それは大女将のご意見ですか?はい。
お母さまがおっしゃったように瑠璃子は花嫁のれんをくぐってこちらさまに嫁いだ身。
嫁としての務めをないがしろにさせるわけにはまいりません。
さすがは伝統と格式を受け継ぐ老舗旅館かぐらやの大女将です。
いいえ。
嫁がせたかぎり嫁の務めを守らせる覚悟だと?はい。
今の大女将の言葉で私の姑としての気持ちが収まりました。
はっ?いえ。
私も瑠璃子さんが出ていってから考えてみましたら嫁を家政婦代わりにこき使っていただけの姑だったのではないかと。
お母さま。
だからといって別居は認められません。
あっ。
はい。
私だって毎日片付いた部屋に帰ってきておいしい手作りの料理を食べたいんですから。
瑠璃子さんは手放せません。
あっ。
ですから別居の提案をされたら断固反対するつもりでした。
はい。
でもそれよりはうちの息子です。
えっ?良樹さんが?私はあの子の育て方を間違えたようです。
ああ。
ほれはお母さまがほう思われるのも致し方ないことかもしれません。
何しろ瑠璃子が別居を言いだした途端ニューヨーク行きを考え直されたわけですから。
アハハ。
ホントに息子というものはいざとなるとたいてい嫁の味方をいたします。
うちの息子ももう嫁の奈緒子の方ばっかり向いてもう嫁の言いなりでございますさかい。
今のお母さまのお気持ち本当によく分かるつもりでございます。
いや。
そういうことじゃなくて私は情けないんです。
えっ?今ほど息子の育て方を後悔したことはありません。
後悔?
(照子)板長。
(辰夫)うん。
(照子)椿の間の小西さまなんですが帰りが少し遅くなるそうなんで夕食は20時にしてくださいとのことです。
(辰夫)分かった。
分かった。
(照子)お願いします。
(辰夫)照子さん。
(照子)はい。
志乃は戻ってきたんか?
(照子)ああ。
まだです。
さっき電話があって翔太坊ちゃまがお受けになったんですが「今から電車に乗る」とほれだけおっしゃられて。
謝り疲れて帰ってくるんやろうな。
(照子)はい。
おいたわしいことです。
(辰夫)ハァー。
それじゃ良樹さんが気になって家に戻ったときにはもう誰もいなかったってこと?
(瑠璃子)ええ。
良樹さんのお母さんも出社した後みたいで。
それじゃどういう話し合いになったかはお母さんが戻ってからじゃないと分からないわね。
(瑠璃子)聞くまでもありませんけど。
きっとあちらのお母さんはニューヨーク行きに大反対のはずです。
うん。
そしたらおばあちゃんも許してくれるはずもないし。
私もそうなったら諦めるしかないのかな。
瑠璃子さん。
仕方ありません。
今回のことではじゅうぶん私も戦ってきたんです。
もうこれ以上は。
(照子)ほうでございますよ。
瑠璃子お嬢さま。
あっ。
照子さん。
家出もされ別居したいともおっしゃられほの上2人でニューヨークやなんて。
そもそも大女将は別居からして反対しておられるんです。
ここは大女将の顔を立てて諦めていただくのが一番です。
それじゃ瑠璃子さんの気持ちはどうなるんですか?いいんです。
照子さんの言ったとおり私も言いたいことは全て言ったんですから。
今回はそれでよしとする他は。
それじゃ別居のことはどうするの?それも諦めるの?それは…。
・ただ今帰りました。
帰ってきた。
あっ。
おかえりなさいませ。
さぞやお疲れになられたことでしょう。
ほうやね。
それでお母さん。
あちらのお姑さんとはどういうことに?おばあちゃん?ハァー。
とんだ無駄足やった。
どういうことですか?とんだ無駄足だったって。
(照子)あちらのお姑さんに何か言われたんでございますか?ほれがニューヨーク行きを認めるっておっしゃられて。
ニューヨーク行きを認める?うん。
あのお姑さんが?ほや。
それってどういうことですか?お母さんは絶対反対だとばかり。
うん。
ほやからまずは瑠璃子の家出から始まって別居を口にしたことなどをもうこう謝りに謝って。
ほしてお母さまを置いて2人でニューヨークに行くことは私も反対しとりますとほう言うたんや。
ほしたら情けないって。
えっ?自分の子育てが間違うとったとほうおっしゃられて。
それって良樹さんのことですか?ほうや。
当たり前やないか。
お母さまはかねがねこの良樹さんが世界を舞台に仕事することを望んでおられたそうや。
日本の伝統工芸である染織を世界の人に伝えるということは素晴らしい仕事やて。
ほれなんに一度はニューヨーク行きを断るやなんて。
せっかくのチャンスをつかもうとせん息子が情けないって。
《せっかくの人生のチャンスを母親を一人残して行けないなどという理由で断るなんて!》《あの息子何て甘っちょろい》《私はそんな息子に育てた覚えはないです!》えっ?それじゃ?ニューヨーク行きは大賛成。
ほれどころか将来のためには行かん手はないとまでおっしゃられて。
よかった!ねえ。
よかったわね瑠璃子さん。
ええ。
(辰夫)よかったやないか。
これで気兼ねのうニューヨーク行ける。
ありがとうおじいちゃん。
ほんでも大女将は。
私は今でもお母さまを一人置いて2人でニューヨークへ行くことは賛成しかねます。
ほやけどあちらさんがいいとおっしゃっとるのに私が反対するのもおかしな話やろ。
それはそうですよねぇ。
みんなが賛成してるんですから。
大女将は賛成しかねるとおっしゃっとるんですよ。
何を聞いてるんですか。
もういいんや。
照子さん。
もう仕方ない。
私も賛成します。
(照子)えっ?ほんなら私も大賛成です。
瑠璃子お嬢さま。
よかったですね。
ありがとう。
えー?ほやけど瑠璃子。
ニューヨークに出発するまでの間はあんたは東京に戻ってお姑さんと一つ屋根の下に暮らすこと。
ほれが条件や。
いいですね?はい。
分かりました。
ハァー。
(照子)よかったよかった。
(幸)お姉ちゃん。
今日東京帰っちゃうんだよね?
(瑠璃子)うん。
幸にもお世話になりました。
(幸)ニューヨークに行くのは4月からなんでしょ?そう。
それまではまたお姑さんと一緒。
大丈夫?
(瑠璃子)もちろん。
瑠璃子。
(瑠璃子)はい。
ニューヨークに行くまでの間はちゃんと藤沢家の嫁として務めるように。
はい。
花嫁のれんをくぐった覚悟を忘れてはいけませんよどんなときも。
はい。
まずは夫に尽くす。
ほしてお姑さんを大事にする。
これが大切な嫁としての心得です。
はい。
たとえお姑さんに少々理不尽なことをされても腹を立てず素直な気持ちで受け止めて笑顔で返す。
はい。
いいですか?この金沢には「嫁にいったらすいの目くぐれ」という戒めの言葉があります。
これは馬の毛をこう細かく織ったすいという道具を例えにしてほの細かい細かい目をくぐるほど嫁は辛抱して気を使うようにという教えです。
ほの言葉を肝に銘じてお姑さんにお仕えする。
ほれが嫁としての美徳です。
はい。
ほれが嫁としての美徳。
奈緒子さん。
えっ?「えっ?」じゃないです。
大女将は同じ嫁としての奈緒子さんにもおっしゃっとるんですよ。
分からないんですか?ああ。
そうでしたか。
あっはい。
うん。
(瑠璃子)では私からも少しいいでしょうか?何ですか?私は嫁として花嫁のれんをくぐり嫁いだ身です。
先ほどのおばあちゃんの言葉のように姑の少々の理不尽さには耐えようと思います。
ですが姑というだけで理不尽に嫁を従わせようとするなら私は今後も姑とは戦うつもりです。
えっ…。
それが嫁としての私の主張です。
瑠璃子。
(照子)瑠璃子お嬢さま。
さすが瑠璃子さん。
それでこそ今どきの嫁です。
はい。
それと奈緒子さん。
はい。
私はこれからも奈緒子さんをお手本にしていきます。
お手本?奈緒子さんをお手本にして私も嫁として頑張っていくつもりです。
あっ。
よろしくお願いしますね。
せっかく実家まで戻ってきたのに旅館の方まで手伝ってもらっちゃって。
(照子)ホントです。
少しもゆっくりできんかったんと違いますか?瑠璃子お嬢さま。
(瑠璃子)ううん。
やっぱりうちが一番落ち着くなって思った。
けどそれじゃいけないんだろうな。
東京の家が一番落ち着くようにならなくちゃね。
嫁いだ身としては。
ほうやね。
ゆっくりでいいさかい東京の良樹さんのおうちが一番落ち着けるところにしていかんとね。
はい。
おばあちゃん。
じゃあホントに色々とお世話になりました。
帰ったらまずは向こうのお姑さんにちゃんとおわびのご挨拶をするんやぞ。
(瑠璃子)うん。
分かってます。
(辰夫)うん。
ああ。
けどそれより部屋を片付けることの方が先決かもね。
ああ。
あの部屋ねぇ。
あの散らかりようは大変や。
でも大丈夫。
そこは嫁の務めと割り切ってるから。
ほうか。
(翔太)よし。
あっ。
(翔太)じゃあ俺も一緒に行ってくるから。
翔太君の大学の合格発表はあしたよね?
(翔太)うん。
ねっ。
(翔太)結果はネットを見れば分かるんだけど記念に合格をこの目で見てこようと思って。
(辰夫)うん。
(翔太)じゃあいってきます。
(辰夫)おう。
(一同)いってらっしゃい。
いってらっしゃい。
気を付けて。
(翔太)いってきます。
お姉ちゃん。
持つよ。
(瑠璃子)ありがとう。
じゃあ。
(志乃・奈緒子)うん。
気を付けてね。
(照子)お気を付けて。
じゃあね。
(辰夫)いや。
これで一安心や。
ほうやね。
うん。
ご苦労やったな。
はい。
ほやけどホントに安心しました。
うん。
今の瑠璃子やったらこれから何があっても良樹さんの家の嫁としてあのお姑さんともやっていけます。
ほうやな。
嫁が家で何でも言えて初めて一つ屋根の下の家族になれるんや。
ほやさかいうちも…。
うちは別です。
えっ?これ以上あの嫁に大きな顔をされたらたまりません。
いや。
ほ…。
ほん…。
今回は奈緒子さんに熱いおきゅうを据えるつもりやったんに何の効き目もなかったわ。
うーん。
何度転びそうになってもすぐに起き上がる。
ホントにこの起上りこぼしそっくりの嫁や。
あの嫁は。
うんっ。
あっ。
だだ…。
うんっ。
くっ。
さてと。
夜食の準備を。
あっ。
すいませんね。
いえ。
いいんですか?このままで。
うん?女将襲名披露の着物の一件も勝手をしたままで。
いいわけないわいね。
ほんなら?これからや。
何としてもあの嫁をぎゃふんといわせんと。
はい。
花嫁のれんをくぐらせて嫁にもろうた姑のこけんに関わります。
ほうです。
・「タンタンタンタンタンタンタカタカタンタンタン」・「チンチンチンタンタンタンタンティンティン」・「タカタカタンティンティン」あっ。
2014/03/07(金) 13:30〜14:00
関西テレビ1
花嫁のれん #45[字][デ]【火に油 出演:羽田美智子 野際陽子】
瑠璃子(里久鳴佑果)の離婚騒動は志乃(野際陽子)と奈緒子(羽田美智子)の新たなバトルへ発展!志乃は奈緒子を一家の大黒柱とほめちぎり瑠璃子の問題解決を押し付ける。
詳細情報
番組内容
圭子(岡本麗)を訪ねた志乃(野際陽子)は、嫁ぎ先でわがままを続ける瑠璃子(里久鳴祐果)のことを詫びる。瑠璃子が良樹(内田朝陽)とともにニューヨークに行くなどもってのほか、と言う志乃に対し、初めて息子の海外赴任のことを知らされた圭子は…。
金沢に戻った志乃は東京での一件を皆に報告。圭子の意外な反応に一同驚くが、問題解決の糸口が見つかり、家族の間に安堵の空気が流れる。
番組内容2
瑠璃子は、ひとまず東京に戻ることに。金沢を離れる日、志乃は瑠璃子に嫁の心得を説く。それは志乃から奈緒子(羽田美智子)への痛烈なメッセージでもあった。大人しく聞いていた瑠璃子だが最後に、嫁の分をわきまえつつ、奈緒子を見習い、姑の理不尽な態度には決して屈しないと告げる。孫娘の発言に、奈緒子への怒りを募らせる志乃だった。
出演者
神楽奈緒子:羽田美智子
神楽志乃:野際陽子
松本咲子:田中こなつ
柿沼俊平:鈴之助
藤沢瑠璃子:里久鳴祐果
神楽翔太:草川拓弥
神楽 幸:木村真那月
・
神楽宗佑:津田寛治
谷本照子:烏丸せつこ
神楽辰夫:山本 圭 ほか
スタッフ
原作・脚本:小松江里子
演出:杉村六郎
プロデュース:市野直親(東海テレビ)
伊藤一尋(テレパック)
沼田通嗣(テレパック)
東田陽介(テレパック)
音楽:富貴晴美
主題歌:Do As Infinity「風花便り」(avex trax)
エンディングテーマ:SOLIDEMO「Next to you」(avex trax)
制作著作:テレパック
制作:東海テレビ
ご案内
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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