(林真理子)おはよう。
おはようございます。
作家林真理子さんを迎え2週にわたりお届けする「課外授業」。
林さんの授業のテーマは…妄想の第1ステップって本に書いてない事をちょっと考えてみようかな…。
物語に書かれていない場面を考えました。
例えば…ケーキとか。
エスカルゴ。
フォアグラ。
妄想は更にステップアップ。
引き出しの中っていうのはシンデレラの心なんですよ。
実は…。
何かがあるはずなんだよね。
手紙?わら人形の回りにブツブツ刺して…。
わら人形!何だかすごい妄想が出てきたぞ。
そして今回挑戦するのは…。
妄想力と友達になって皆さんに物語を作ってもらいます。
(一同)ええっ!これまでの人生をずっと妄想と共に歩んできたという林さん。
その原点となる体験を語り始めました。
私も小学校の時はちょっと変わった子とか面白い子みたいな事を言われてたんだけど中学校に入ったらうざいとか…「うざい」って言葉はそのころなかったんですけどすご〜く変わってるとか変とか…気に食わないとか言われてとってもいじめられました。
書道が終わったあとにみんな墨が余ってるじゃん?そしたら男の子がみんなワ〜ッと来て墨で顔真っ黒けにしたの。
ひどいと思いません?それでそのあとに剣山があったら手をグッと握られたりしたんです。
剣山入れたまま…。
椅子の上に鋲を置かれたりとかすごくいろんな事されて…。
まだ肉体的に何かされるうちはよかったんだけどそのうち無視されたり触るの嫌だとかばい菌みたいな事言われたりしてすごく傷ついたんですけどもその時にまず私の中で妄想力っていうのがすごく頑張ったのはきっとみんな私の事好きなんじゃないかなと思って…。
「私が相手にしないからこんなふうにいじめるんだわ」というふうにどんどんどんどん頭の中で自分の都合のいいように膨らましていったら何か別に…嫌だったけどそんな男の子の事なんか「フンッ!」と思えるようになってなんとかわら人形を作らずに乗り越える事ができました。
妄想を力につらい現実を乗り越えた林さん。
その妄想力を与えてくれたのは子どもの時から読んでいた本。
物語の中で前向きに人生を生きる登場人物たちの姿でした。
すごく楽しい学園生活の本を読んで今にこういう学校生活が待っているんだったらこんなとこでスポイルされて例えば登校拒否になったりすると私の経歴に傷がつくと。
ホントにこの小説にあるとおりのすてきな生活があるんだからここで新規まき直ししなきゃいけないと思った事はありました。
つまりあんないじめられても何してても「こんなの私じゃないもん」って。
今こんなにデブで不器量の中学生やってるけどこれはホントに仮の姿で将来は世界的に…昔はセレブなんて言葉はなかったですけどもちょっと未来は違うんだよって思ったあの根拠って何なんだろうなと思うとやっぱり自分の中で物語を組み立てていった結果なんだなというふうに思ってるんですね。
という訳で人生をたくましく生きる…小説家っていうのは多分みんなよりずっと意地悪だと思うんです。
優しい人は小説家にはなれないですね。
私はふだんはとっても優しい普通のおばちゃんなんですが物を書くっていうとだんだん意地悪い気持ちがムクムクムクッて…。
40年前にその子にいじめられた記憶がムクムクムクッて出てきて小説になったりするんで多分書く時になると昔の憎たらしい事とか恨みつらみがムクムクムクッて出てきたりするんじゃないかと思う。
そういうのってやっぱり普通のいい子だとできないと思う。
みんなに別に悪い子になってもらおうと思わないけど自分の頭の中で自分の妄想だとかいろいろ考えた事を組み立てて物語にしていくという授業を次にやってみたいと思います。
…というストーリーを書いてほしいんです。
原稿用紙1枚でもいいよ。
テーマは…いじめられたシンデレラが幸せをつかむというおなじみのストーリー。
その十年後にはどんな人生が待っているのか自由にストーリーを妄想するという課題です。
十年後のシンデレラ…「子どもも出来てすごい超かわいい。
お金持ちになってる。
9歳…めっちゃくちゃかわいい女の子。
AKBに入れようか読者モデルにそろそろ送り込もうかってすっごいかわいい子が生まれました」でも全然構いません。
「双子だった。
今度はタレント事務所に売り込もうかな」というのもOKですよ。
シンデレラを主人公に書かなくてもいいんですよ。
お姉さんかもしれない。
「シンデレラってさ無理して王子様のとこに行っちゃってさ今苦労してかわいそう。
王妃っていう柄じゃないからさ何かホントにいろいろ苦労してバカみたい。
そこいくと私なんか気楽でホントに楽しいわ」って。
「ホントにあの子ってさうざい子でさちょっとあの時だけ魔法にかけられていい思いしたって今あんなもんよね」っていうお姉さんの作文もあるかもしれないし十年後のお父さんで「今は老人になったけど娘たちはみとってくれないしシンデレラも知らん顔してる。
あの時シンデレラを知らん顔して掃除なんかさせていじめさせたのはホントに悪かった」と思う十年後のお父さんでもいいし…。
じゃあ何でも書いていいの?もちろん!そう!それでいいじゃん。
ほらもう書けたじゃん!今のでいいじゃない!お〜い!みんなパクるなよ!パクッちゃおうかな!はい。
3枚書きたければいいですよ。
一人一人自宅で課題に向き合います。
(母)いつもこれぐらい集中してやってくれるといいね。
どんな十年後のシンデレラを妄想したのかな?「私はシンデレラ。
女の子を出産」か…。
(聞き手)十年後は幸せになってるの?はい。
とっても幸せそうです。
自分もこうなったらいいなというのも感じながらいろいろ妄想しています。
男の子も「十年後のシンデレラ」に挑戦。
どんな視点で妄想するのかな?
(聞き手)きょうすけ君何にしたんだっけ?王子の…。
同じ男だし気持ちも多分よく分かってると思うので…。
(聞き手)きょうすけ君の願望とかも入ってるのかな?う〜ん…。
ちょっと入ってます。
子どもたちの妄想の世界が広がっていきます。
林さんも「十年後のシンデレラ」に挑戦。
頭に浮かんだ妄想が次々と文字になりペン先からあふれ出ます。
速いですね〜!ウケないと思うね。
でもこういうのしか書けない。
もっと童話風に書こうと思っても書けないです。
これは私たち作家の習い性になっちゃって。
ちょっと意地悪くなりましたけどまあ…面白く書けたと思いますけど。
(聞き手)楽しみにしてます。
はい!字が汚くて大丈夫かな?…大丈夫でしょう!おはようございま〜す。
皆さん元気ですか?昨日お母さんからいろいろ聞かれたでしょ?「どうだった?どうだった?」とかって聞かれた人!はい。
何て聞かれたの?きょうすけ君。
「どんなおばさんだった?」とか言われた?「どんなおばさんだった?」。
きょうすけ君何て答えたの?別に普通の…。
おばさんだったって?あらまあ!
(笑い声)じゃあ一人一人みんなの作文を読んでお話ししたいと思うので…。
私も楽しみにしてます。
はいどうぞ座って…。
は〜い。
どうもありがとう。
面白かった?すぐ書けた?1対1の面談。
ちょっと難しかった?子どもたちが紡いだ妄想にじっくりと向き合います。
「前のあんなに優しい性格はあまりにも幸せすぎて悪魔の心を持つようになりぜいたくな生活を送る事によってムクムクと太っていきシンデレラかどうか見分けがつかなくなるほどの体形になり街じゅうは大騒ぎになってしまいました」。
「『もしかしたら王子は私のこの性格と体形で嫌うかもしれない。
そしたらまたお姉さんたちにいじめられるかもしれない』。
そう思ったシンデレラは昔を思い出ししばらくお姉さんたちの所で生活する事を決めました。
しばらくして昔の性格体形に戻って再び幸せな生活を送る事ができました」。
でもこれすごい面白いね。
ストーリーになっててムクムク太っちゃってガラスの靴も履けなくなったって…。
ちょっと頭の中でそういうシンデレラ浮かんだらちょっとおかしくなったりした?はい。
面白いね。
デブになってムクムク太ったシンデレラって想像するだけで面白いですよね。
人はぜいたくすると昔のシンデレラみたいなきれいな気持ちは持ちづらい?…はい。
そう思うんだ?えりかちゃんは。
ああそうか。
なるほどね。
じゃちょっと苦労したり貧乏した方が人はきれいな気持ちを持ってるんじゃないかなってえりかちゃん思うんだよね?はい。
最初はみんなみたいにずっと結婚してから幸せな…太らないで幸せな生活を送る事を書こうかなと思ってたんだけどでも何かそれだけじゃつまんないなと思ってちょっと太らせたという…。
なるほどね。
そういう事を考えつくってすごい作家の要素だよね。
そういうちょっと普通の人とは違う事を考えようと思う気持ちってすごい大切な事なのでこれからも大切にして下さい。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
すごく面白いねこれ!王子様は転職して今は結構つらい労働してるんだ?「…今は一般の人と同じような仕事をしています」。
「色白だった肌の色も今ではすっかり黒くなりとても男らしくなりました」。
「家族の食事は畑で育てているキャベツやトマトお米を食べています。
王子様はお酒を飲みながらおつまみを食べたりしています」。
「休日は家族全員で公園に行きボール遊びをしたり近所を散歩したり買い物に出かけています。
このような毎日を過ごしているシンデレラはすごく幸せそうです」。
この王子様の一家って前の宮殿で暮らしているより幸せだと思う?う〜ん…。
そうだよね。
宮殿でじっとしてるより…。
人間は働いて一生懸命やってる時が幸せなんだってこれはりく君の今ホントに感じてる事なんだ?すばらしいですよね。
この気持ち大切にして下さいね。
どうもありがとうね。
まあやちゃんの作文見せて下さい。
どうだった?昨日難しかった?難しかった。
「私はシンデレラ。
あの時からもう10年もたちました。
私はお姉さんたちとも仲良くできて最高の毎日を過ごしています。
でも王子様は私の事はどうでもいいように扱ってきます。
とても残念です。
もっと優しくていい人かと思っていたのに…。
私の運命の人はあの人ではないと気付きました。
王子様は泣きながら『ごめん』と言ってくれましたがシンデレラはまた新しい人を探し今より幸せに過ごしました」。
これすごい面白いですね。
まあやちゃんだけですよ。
「王子様が運命の人ではない」と言って新しい人のところに行くの。
これは自然に浮かんだんですか?王子様が「きれいな人が来たから迎えに行った」ってとこで多分きれいだけで結婚したのかなと思って…。
なるほど鋭いね〜!じゃきれいじゃなくなっちゃったら別にいいんだっていう事?どうでもよくなってすぐ捨てちゃうんじゃないかなと思って…。
おお〜!いつまでもこの王子様にしがみついてない方がいいと思ったんだね?なるほどね。
まあやちゃんはどうですか?ふだんの生活であんまり前の事にいじいじしたりしない方?う〜ん…。
駄目だったらやめちゃう。
そうか。
だからすっごい…勇ましいというかかっこいいシンデレラですよね。
今までにない感じの…。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
面白いなと思ったのは女の子でね。
シンデレラがまた職業を見つけて第2の人生始めるなんていうのは非常に頼もしくてよかったけど願望も表れてるだろうし今の状況も表れてるだろうしすごくみんながよく分かって楽しかったですね。
難しかったけどこの「十年後のシンデレラ」書いてみて楽しかった人!どうもありがとうございます。
私も皆さんと一緒に書いてみました。
私は2番目のお姉さんになりました。
そしてそのお姉さんがホントに意地悪だったかどうか…。
お姉さんにも言い分があるんじゃないかというそういう角度でいろんな事を考えてみたんです。
「『十年後のシンデレラ』林真理子」。
おしまいです。
ちょっと暗いお話になりました。
(拍手)悪役とされているお姉さんが実はシンデレラの幸せを祈っていたという妄想。
林さんならではの複雑な女心の世界です。
出来上がりました!皆さんの文集「十年後のシンデレラ」。
ちゃんと本になって…。
どうですか?立派でしょう?絵も私が描いてます。
表紙は林さんが描いたイラスト。
今回の授業の記念に作りました。
はいは〜い。
はいは〜い。
はい…。
はいどうも〜。
はいは〜い。
はいは〜い。
はいはい…。
はいともき君。
それぞれが妄想した「十年後のシンデレラ」。
頭の中で自由に遊んだ2日間でした。
私たちの頭の中は誰にも邪魔される事がない花園だと私は思ってます。
この頭の中の花園があればあるほど私たちはどんな時も負ける事ないしこれからみんな中学校になると勉強の事とか友達関係だとかいろいろつらい事もあると思うんだけどもみんなどうぞこの頭の中の花園を妄想力というのを育てていって自分を力づけて大きな力にして頂きたいと思います。
養分は多分人と会ったりする事と本の力だというふうに私は思っています。
どうもありがとうございました。
(拍手)目に見えないものを考えて出すというのはあまりやってないから楽しかったです。
最初書く前はすごく何か難しそうに見えて自分自身でホントに書けるかなって思ったんですけど意外と書いてみると楽しくて一回手が動き始めたらすらすら書けました。
自分がいじめられてなかったというようにすごく元気で妄想だけでそういう事ができるんだなって思いました。
う〜ん…分かんない…。
でもできるように頑張りたいです。
私がさっき好きだって言ったのどこだ?たくさんの本を読み妄想力という花園を耕せ。
そこにはきっと強く生きていくヒントが隠れているから。
2014/03/21(金) 19:25〜19:48
NHKEテレ1大阪
課外授業 ようこそ先輩・選「妄想は未来へのトビラ(後編)〜作家 林真理子〜」[解][字]
子どもたちに、「十年後のシンデレラ」の世界を妄想した物語を書くようにとの課題が出た。授業二日目、それぞれがつづってきた物語は、林も仰天の妄想。妄想は未来を開く。
詳細情報
番組内容
作家・林真理子が“妄想”をテーマにしたのは、自身のつらい体験があったから。中学時代、ひどいイジメにあい、その危機を“妄想”の力で乗り越えられた。林は、子どもたちへ「十年後のシンデレラ」の世界を妄想した物語を書くように、との課題を出した。授業2日目、子どもたちが書いてきた物語について、林と一対一の面談が始まった。それぞれがつづってきたのは、林も仰天の妄想物語。妄想は新しい未来を開く。
出演者
【出演】林真理子,【語り】勝村政信
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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