(声援)
(記者)あっ来た来た…。
ただ今バスが到着致しました!
(女性たちの歓声)
(記者)岸田さん調子はどうですか?
(記者)岸田さん…。
(女性たちの歓声)
(記者)岸田選手…!
(記者)今回のレースの自信はどうですか?
(岸田祐介)マツ押してくれ。
(記者)メッセージお願いします。
(三島武)行くぞ。
(鎌田光男)はい。
(長瀬清文)二宮!刑事課の意地見せろ!
(水沢響子)なんでそんな熱くなってんの?
(佐久間裕司)いいんじゃない?仕上がりいいんじゃない?
(遠山修介)あれ?署長の姿が見えませんね。
なんかねダンスの発表会と日程が重なって来れないんだって。
ええ?いやいや署長駅伝部の監督でしょ?試合に来ないなんてありえないでしょ!そういう人なのよあの人は。
だから監督代理なの?これ。
そうでーす。
(仙堂卓巳)選手の皆さん集合!集合!
(佐久間)何?何?
(仙堂)はいはい東監督より温かい激励のお言葉です。
はあ?
(仙堂)はい監督どうぞ。
「諸君今日はどうしても抜けられない用があって試合会場に行けなくなった。
しかし裏を返せばこれは私が君たちの事をそれだけ信頼してるという事だ」「激走を期待する!はい…」
(3人)「ゴーゴー月島ゴーゴー…」中央!
(長瀬)行くぞ!
(一同)はい!
(佐久間)署長って人望ないね。
知らなかった?今まで。
ずっと知ってました。
(糸村聡)おはようございます。
(長瀬)わっ!
(佐久間)危ねえなお前は!糸村君遅いよ!もうレース始まるよ。
予選の3位までが全国大会に出られるんですよね。
そう。
名門の大江戸製鋼なんかも出てるけど全国狙ってくぞ!
(一同)おー!
(ホイッスル)「スタート3分前です」
(長瀬)おっきたきたきたきた!いってきます!ゴーゴーゴー!頑張ってよ!ゴー!二宮ゴー!
(声援)いけー!
(スターター)位置について…。
(荒い息遣い)どうした!?大丈夫か!?
(青柳大介)おい岸田!おいしっかりしろ!
(青柳)岸田!おい!佐久間急いで救急車!はい。
(青柳)おい岸田!
(救急隊員)チャージ出来ました。
はい離れて。
(救急隊員)モニター反応ありません。
(救命士)残念ですが…。
あの死因は…。
まだなんとも言えません。
あの岸田さん心臓に持病とか…。
そういう報告は受けていません。
(アナウンサー)「元アイドルで大江戸製鋼陸上競技部所属の岸田祐介さんが本日駅伝の大会中に亡くなり…」
(佐久間)ああ…おお…。
すごいっすね。
どこもトップニュースで扱ってますよ。
(佐久間)そりゃそうだよ。
岸田祐介っていったら元アイドルの変わり種だろ?でもこいつ骨肉腫で亡くなった弟の遺志継いで駅伝始めたんだろ。
俺そういうの弱いんだよ!そういうギャップが人気の秘密なわけでしょ?彼がレースに出るようになってから会社の売り上げがぐんぐん急上昇したらしいじゃない。
(遠山)つまり企業の広告塔って事ですよね。
(二宮)じゃなかったら駅伝の代表選手になんか選ばれませんよ。
岸田の1万メートルのタイムは34分台。
他の選手なら30分台ですよ。
そんなに力の差あるのか。
はい。
かつての名門も今は成績パッとしないしね。
岸田さんは注目度高かっただろうし会社にとっては貴重な存在だったんじゃないのかな。
でも岸田より速い選手はおもしろくなかっただろうな。
実力のない選手が代表に選ばれるなんて。
殺し疑ってるのか?え?人はそう簡単に殺しなんかやらないよ。
(警察官)水沢課長お客様です。
はい。
どうぞ。
なんかご用でしょうか?あの私岸田祐介の弟で岸田紀行といいます。
えっ!?あなた骨肉腫で亡くなったんじゃ…。
糸村何やってんだ?ああちょっと遺留品のチェックを…。
まさかお前も他殺を疑ってるのか?は?あ…。
糸村君こちら岸田さんの弟さん。
ああ…。
このたびはご愁傷さまでした。
どうぞ。
いい年して陸上競技なんか始めるから…。
(すすり泣き)
(佐久間)サンキュー!あの美談が作られた話だったとはね。
大江戸製鋼の社長さんが岸田さんの人気に乗じてでっち上げたんだってさ。
なんか…がっかりしますねそういう話聞くと。
本人も黙認してるから同罪なんじゃないですか?長瀬さん。
ん?
(遠山)どうしました?いや…走ってる姿を見る限りそんな事をするような奴には見えなかったんだけどな。
(二宮)お疲れさまです。
お疲れ。
どうしたの?糸村君それ。
岸田さんが生前インタビューを受けた古雑誌です。
(佐久間)ホコリ!あっそうだ遠山君。
これ鑑定してくれない?は?なんです?これ。
岸田さんが亡くなった時にユニホームのここにこう縫いつけてたんだ。
気にならない?いや全然気になりませんけど。
でも何か意味があると思うんだよね。
糸村さんそんな事してなんの意味があるんですか?最初から意味がないなんて決めつけるな!そこからは新しい成果は見出せない。
…って誰かが言ってました。
あんたじゃないのかよ。
ええ。
ちょっと課長なんとか言ってくださいよ!遠山君やってあげなさい。
じゃあお願いします。
(沖田渉)まだ間に合うか?
(立石理沙)はい大丈夫です。
(三島)マジ意味わかんないっすよ!
(青柳)待てって…。
(三島)なんで俺たちがあそこまで言われなきゃいけないんですか!
(二宮)すいません!月島中央署の者ですが何かあったんですか?いや今しがた社長がお見えになりましてね。
岸田が死んだのが我々のせいにされたんですよ。
(青柳)三島!俺たちが岸田に無理をさせたんじゃないか俺たちの配慮が足りなかったんじゃないかって。
冗談じゃないよ…。
こっちは散々あの人に振り回されてきたっていうのに。
(ディレクター)あーすいません!あの岸田さんの顔がよく映らないんで先頭走ってもらえませんか?うちの先頭はエースが走ると決まってるんです。
岸田。
(三島の声)それでも我々は会社の意向だからって我慢してました。
でも岸田の死の責任までなすりつけられたんじゃたまりません!
(大沢実)おい松山。
お前もなんか言えよ。
(松山一郎)もういいですよ…死んだ人の事なんて。
(二宮)岸田さんの事ですがここ数日何か変わった様子はありませんでしたか?いいえ。
特に気づきませんでした。
あっすいません。
どなたかこれに見覚えのある方いらっしゃいませんか?
(三島)これは…?亡くなった岸田さんのユニホームに縫いつけてあったものなんですが。
見た事ありませんね。
そうですか…。
とても大事にしていたもののようなんですが…。
あの人の事なんか誰も興味ありませんよ。
なんであんな布切れが気になるんでしょうね。
(長瀬)変人は変人なりに考えてるんだろうよ。
(富田)岸田とはここ1年全く連絡取ってません。
3年前芸能界突然引退してからあいつ人が変わったみたいにストイックになっちゃって。
それまでは一晩中酒飲んだりしてたんですけどね。
彼はなぜ急に畑違いの実業団の陸上部になんか入ったんでしょう?それが理由聞いても話そうとしてくれないんですよね。
社長ヒカルさん出番ですよ。
おう。
仕事も順調だったしさあこれからだって時だったんですけどね。
(佐久間)失礼します。
(美智子)あの…。
岸田君が殺されたって噂本当ですか?
(美智子)岸田君って営業成績ダントツだったんですよ。
でもそういうの全然鼻にかけなくて…。
(亜希)性格はいいし気は使えるしあのルックスでしょ?もう会社でもモテモテで。
そう。
彼女とかはいたんですか?それが陸上一筋で。
自分の立場よーくわかってるんですね。
ただ彼の事妬む人結構いました。
誰ですか?
(ノック)
(理沙)失礼します。
どうも。
大変申し訳ありませんが社長は大阪に出張に出たばかりでして…。
そうですか…。
あの…これって殺人事件の捜査なんですか?いえそういうわけじゃ…。
社長の沖田さんは岸田さんの事を随分気に入ってたようですが…。
ええ。
陸上競技部はここ数年成績が低迷していてマスコミに注目される事がありませんでしたから。
最近岸田さんに変わった様子はありませんでしたか?さあ…。
社長が岸田さんと会う時は大抵同席してるんですけど。
あの…。
これ岸田さんが亡くなった時に持っていたものなんですが何かわかりますか?さあ…記憶にないですね。
「ラストファイトー!」「大丈夫かマツ」この2人いつも一緒だな…。
(遠山)ここにいたんですか。
鑑定結果出ましたよ。
ああありがとう。
その布からは複数の人間の汗とミネラル成分が検出されました。
ミネラル?ええ恐らく海水だと思いますけど…。
海水?岸田さんは埼玉出身か。
海とは全然関係ないよな。
(佐久間)行政解剖の結果が出ました。
岸田の死因は食物依存性即時型アナフィラキシーショックによる呼吸不全だそうです。
アナフィラキシーってアレルギーショックの事?ええ血液中からカルドールのアレルギー反応が出ました。
なんだ?そのカルドールってのは。
ナッツとかあとマンゴーとかに含まれるアレルギー物質だそうです。
そういえば岸田さんのドリンクのボトルからかすかにマンゴーの香りがしてましたよ。
本当に!?ええ。
どいて…!
(佐久間)ボトルボトル!あれ?あのお茶いいんですか?
(佐久間)いらないよ!
(佐久間)いいですか?これやっぱり殺人じゃないですか?岸田のアレルギーを知ってる誰かがマンゴーの果汁をこのボトルに混入した。
そう決めつけるのはまだ早いでしょ。
でも岸田は陸上部の中でも随分疎まれていたみたいです。
あんな死に方をしたのに悲しんでる人間はいませんでした。
職場の方でも問題があったようです。
営業部の人間が仕事を取ってきてもそのクライアントが岸田のファンで担当を彼に変えてほしいと言ってくる事がたびたびあったそうです。
つまり自分の手柄を岸田さんに掠め取られてたみたいな?ええ。
岸田の方もそれを受け入れてたみたいです。
あとそれと気になるのがその中に陸上部の選手が1人いた事です。
岸田さんのチームメートって事?ええ。
鎌田光男という中堅の選手です。
とりあえず殺人も視野に入れて事件を洗い直そう。
はい。
遠山ボトルの中身の分析ね。
わかりました。
二宮も。
はい。
(遠山)よし行こう。
(佐久間)車回します。
海水…。
(長瀬)同僚の方にお話伺いました。
岸田さん職場でもいろいろと問題になってたそうですね。
問題?上司が勝手に担当を変えてたんでしょ?ああその事ですか。
一生懸命頑張って取った仕事をそんなふうに扱われたんじゃおもしろくありませんよね。
そりゃあそうですよ。
なんのために頑張って営業してきたんだって話です。
岸田さんはなぜ断らなかったんでしょう?結局タレント上がりなんすよ。
マスコミやファンにチヤホヤされるのが快感だったんです。
そんな人を会社の宣伝に利用する社長も社長ですよ。
(仙堂)いろいろ不満がたまってるようですね。
いや陸上部のメンバーはみんなそう思ってますよ。
それに監督もね。
監督も?今年の全国大会に出場出来なければ契約の更新はないって。
そんなの無理でしょ岸田がいる限り。
(青柳)ボトルの中のドリンクは選手によって中身が違います。
はあ…。
それは各自で用意するんですか?いえ私が担当してます。
ああ…。
それはこの前のレースの分も?ええ。
(佐久間の声)ちなみにそのドリンクはいつ頃お作りになったんでしょう?
(青柳の声)予選会の前夜です。
確か12時頃だったと思います。
それをあの冷蔵庫に入れ翌朝7時の朝食の時に各選手に渡しました。
じゃあ夜の12時から翌朝の7時までは部員は誰でもボトルを触る事が出来たわけですね?あのボトルに何か問題があったんですか?いやあのそういうわけではないんですけど…。
(物音)おお〜…。
(青柳)ちょっとあなた何してるんですか!すいません勝手にお邪魔しちゃって。
糸村君!すいません。
こちらの陸上部の資料が拝見したかったんですよ。
あっ青柳さん。
こちらの陸上部は海の近くで練習したりしますか?いえ。
グラウンド以外の練習は高低差を利用した山かクロスカントリーがほとんどです。
糸村さん何関係ない事聞いてるんですか。
ほらあの例の青い布から海水の成分が検出されたんですよ。
だから今回の捜査に関係ないって言いましたよね?
(青柳)うちは練習でも海岸沿いを走る事はありませんよ。
ほら。
すいません。
(理沙)青柳監督。
(青柳)ああ立石さん。
どうしたんです?社長から伝言を言付かってきました。
社長から?
(鎌田)ふざけんなよ。
岸田が死んだから廃部だなんてそんなのありかよ。
(大沢)そうだよ俺たちなんのために頑張ってきたんだ!
(一同)そうだ!みんな落ち着け!まだ正式に役員会で承認されたわけじゃないんだ。
ワンマン社長に反対出来る奴なんかいませんよ!そうですよ誰がいるんですか!
(三島)だからってここで騒いでも仕方がないだろ。
三島さんはいいですよね…。
ここ潰れたってよそに移ればいいんだから。
はあ?
(三島)お前何言ってるんだよ。
とぼけなくていいですよ。
他のチームから引き抜きの話がきてるんでしょ?本当ですか?どういう事ですか?だったらチームが潰れて好都合じゃないっすか。
これで堂々と移籍出来るんだし。
お前…!いい加減にしろ!
(青柳)お前らやっとどん底からここまで這い上がってきたんじゃないか!こんな事でチームワーク壊してどうするんだよ!おい松山どこ行くんだ?ちょっと外走ってきます。
おい松山何1人でいい子ぶってんだよ!一番悔しい思いしてるのはお前だろうが。
ん?ちょ…。
一番悔しい思いしてるの彼ってそれどういう意味ですか?追いつけ…。
あれ?ちょっと…。
松山さん。
松山さんちょっといいですか?松山さんは岸田さんと一番仲がよかったんですよね?岸田さんのDVDを見ました。
松山さんはいつも岸田さんとペアを組んで練習してた。
それは誤解です。
誤解?あの人に指名されて嫌々やってただけです。
こっちはあんな人とかかわりたくもなかった。
どうしてそんなに岸田さんの事嫌うんですか?刑事さんだって知ってるでしょ。
あの人がもともとアイドルだったって。
ええ確か3年前大江戸製鋼の中途採用試験を受けて陸上部に入部した。
でもなんで突然陸上競技を始めようと思ったんでしょう?ランナーとして脚光浴びて人気が出たらまたもとの世界に戻るつもりだったんじゃないんですか?いや岸田さんは芸能界の人たちとは一切連絡を絶ってたんです。
これまたどうしてなんでしょう…気になりませんか?気になりませんね。
岸田のボトルからマンゴーの成分が検出されました。
ほらやっぱり誰かが意図的に入れたって事だよ。
指紋は?岸田本人と監督の青柳それとわずかですがもう1つ別人の指紋が検出されています。
ただこれサイズが小さすぎて割り出し不能です。
でもそのボトルに付着してたって事はそのボトルを管理してる寮の冷蔵庫にも付着してる可能性があるって事だよ。
なるほど調べてみます。
今日陸上部の寮でちょっと気になる事聞いたんだけど…。
この松山って子駅伝メンバーの当落線上にいたらしいんだけど…。
岸田さん。
なんで俺が腰壊してるって監督に言ったんですか?もちろんチームのために決まってるだろ。
俺は今度のにかけてたんです。
そのために猛練習してきたんだ。
お前がブレーキになったらチームの迷惑になるんだよ。
あんたに言われたくないですよ!おい!あんたが一番ブレーキになってんだろ!部員たちの話によるとね岸田さんは入部当初からこの松山って子をすごく気にかけてたらしいの。
彼のメディカルチェックとか陸上の記録なんかもねよーく見てたんだって。
じゃあなぜ岸田は松山の邪魔をするようなまねをしたんでしょうか?そりゃあライバルが力をつけてきて疎ましく思ったんだろうよ。
監督の青柳も気になります。
今年の全国大会に出場出来なければ契約解除になるそうです。
じゃあとにかくこの監督の青柳と松山この2人をもうちょっと突っ込んで調べてみよう。
(一同)はい。
(佐久間)行こう!
(祐介)「フラペチーノ飲みてえな」お疲れ。
ああお疲れさま。
いい顔してるよなこいつ。
テレビのニュースでこの顔見た時何かを背負ってるような顔してると思った。
だから弟が骨肉腫で死んだって話も素直に信じる事が出来たんだ。
何かを背負ってる…。
彼芸能界にいた時もそれなりに人気ってあったんですよね?らしいな。
なのになんでこんな過酷な世界に飛び込んだんでしょう…。
(長瀬)実は俺もずっとそこが引っかかってるんだよ。
わからないんだったら糸村も走ってみたらどうだ?署長…。
実際体験してみなきゃ見えないものもあるだろう。
そうですね。
署長の言うとおりだ。
じゃあついでに駅伝部入るか?ちょっと出かけてきまーす!おい糸村どこ行くんだよ!?一緒に全国目指そうぜ…。
(青柳)刑事さん!刑事さん大丈夫ですか?大丈夫?
(青柳)おい!ちょっと水持ってこい!はい!さあどうぞ。
ああ…すいません…。
なんでいきなり走ろうと思ったんです?岸田さんの練習をDVDで見ました。
彼はいつも自分の限界を超えるような無茶な走り方をしてた…。
彼はどうしてそこまで自分を追い込んでいたのか同じように走ってみれば少しはその気持ちがわかるんじゃないかって思ったんです。
確かに岸田は人一倍きつい練習をしてました。
少しでもチームに迷惑をかけまいと思ってたんでしょうね。
でもそう思ってるならなおさら駅伝のメンバーを自ら辞退してほしかった。
この数年間チームの意識が急激に高まり結束力が強くなってきました。
ベストメンバーで試合に臨めば優勝を狙えるところまできてたんです。
まあ…私は雇われ監督の身です。
社長から岸田を使ってくれと言われればそうせざるをえない。
現実は矛盾してますね…。
へえ…駅伝形式の練習ですか。
(青柳)私が提案して取り入れたんです。
陸上競技の基本は個人同士の戦いですが駅伝は違う。
(青柳)自分の勝利は自分だけのものじゃないんです。
青柳さん駅伝で使ったたすきって大会の後はどうするんですか?もちろんちゃんと取っておきますよ。
うちはもう20年以上も同じものを使ってます。
ありがとうございます!
(紀行)駅伝をやってた知り合いですか?ええ。
岸田さんのお知り合いにいませんでしたか?そんな話は聞いた事ありませんね。
兄のアルバムにもそういった類いの写真は1枚もなかったと思います。
では海沿いに住んでるご友人とかいませんでしたか?小さい頃毎年夏休みになると祖母のいる千葉の海に遊びに行ってました。
そうそう…兄は一度海で溺れかけた事があるんです。
溺れかけた?その時地元の方に助けて頂いたんですが3年ほど前その恩人と再会したと言ってました。
その方の連絡先わかりますか?ちょっとお待ちください。
あっ…ここお願いします。
はい。
仙さん。
(仙堂)ああ。
ああ…よしよし。
食べ物の好き嫌い?ええ。
やっぱり監督となるとそういう選手の好き嫌いなんかも把握してるんですかね?そりゃあまあ…。
でも選手たちも子供じゃありませんしその辺は自主性を尊重してます。
あっいや…でも食物アレルギーとかそういうのは把握してないとまずいでしょ。
それはもちろん。
選手たちには自主申告させるようにしてます。
ちなみに岸田さんはどうでした?いえ特に聞いてませんけど。
じゃあなんで彼のボトルにマンゴーが入ってたんですか!佐久間!いや…。
え?岸田のボトルにマンゴーが入ってたんですか?ええ…。
ご存じなかったんですか?岸田さんはマンゴーアレルギーだったんですよ。
ええっ!?
(長瀬)亡くなった岸田さんが入部した頃よくあなたを食事に誘ってたみたいですね。
ええ。
(二宮)じゃあ岸田さんの好き嫌いもよくご存じなんですね。
(松山)別に。
そんなの興味ありませんよ。
(長瀬)岸田さんはあなたのどんなところを気に入ったんでしょう?
(松山)あの人はただ優越感に浸りたかっただけです。
優越感?
(松山)小さい頃親が離婚してうちは貧乏でした。
大学に進学して箱根を走る夢もかなわなかった俺にとって実業団駅伝だけが残された最後の夢なんです。
そんなささやかな夢にしがみついてる俺をあの人は腹の底で見下して笑ってた…。
だから自分が駅伝の代表に選ばれた時俺を付き人に指名したんです。
言っとくけど俺にとってあの人は邪魔な存在でしかありませんでした。
殺せるもんなら殺してやりたいと思った事もあります。
ちょっと松山さん…。
駅伝の代表に実力もないのに選ばれてるあいつをどうすれば許せるっていうんです?もし陸上部が潰れたら…俺は死ぬまであの人を恨みます。
彼の恨み半端じゃありませんね。
すいません永井さんでいらっしゃいますか?私糸村といいます。
(永井圭子)3年前夫がガンを患って療養生活を送ってまして。
その時たまたま岸田君が地方ロケでこの町を訪れてあいさつに来てくれたんです。
永井さんは岸田君の命の恩人だそうですね。
私は後妻なんで夫から聞いた話なんですが…。
助けて!助けて!
(永井拓郎)どいて!
(祐介)助けて!
(祐介)助けて…!
(圭子の声)今から20年ほど前の話です。
夫が夏休みに実家に帰省した時溺れかけてた岸田君を助けようとしてアキレス腱を痛めてしまったんだそうです。
ぐああっ…!
(圭子の声)その時の怪我が致命傷となって夫は走るのをやめてしまったんです。
走るのをやめた?はい。
当時夫は駅伝選手でした。
駅伝…。
(圭子の声)朝から晩まで厳しい練習を耐え抜いて10年目にしてやっと駅伝の代表に選ばれた直後の事だったそうです。
それからは会社も辞めて荒れた生活を送るようになって奥さんも子供も離れていったそうです。
ああ岸田君は夫の怪我の事を知らなかったようでもう本当にショックを受けてましてね…。
もう夫は気にするな気にするなって笑ってましたけどね…。
それからなんですよ岸田君が頻繁にお見舞いに来てくれるようになったのは。
相変わらずです。
ハハハ!相変わらず…。
永井さん。
ん?それって…。
ああ…。
俺が陸上部に入った時に高校の時の駅伝部の仲間がたすきを切り分けてくれたんだよ。
俺たちの分まで頑張ってくれよって…。
岸田さんの事で覚えてる事ありませんか?ああそういえば一度渋谷でばったり会った事あったっけかな。
はい。
うん。
それでねその時ダメもとで誘ったんですよねこっち戻ってこないかって。
彼はなんと答えたんです?戻りました〜。
あっ課長。
はいこれお土産です。
いや干物って…!あんたこの大変な時にどこ行ってたんだよ!?ちょっと千葉の海まで。
千葉!?ええ。
あの糸村さんさあ…。
はい。
この際はっきり言わせてもらいますけど…。
課長。
事務所の社長が思い出してくれました。
以前岸田と再会し復帰を促した時彼にこう言われたそうです。
自分は走り続けなきゃならない。
それが社長との契約だって。
契約…。
おいちょっと…!干物を置いてまた出ていきやがったよもう…。
ハア…。
二宮冷蔵庫。
はい…。
大江戸製鋼の沖田社長ですね。
(沖田)誰だ?君は。
あ…月島中央署の刑事さんです。
亡くなった岸田祐介さんについてお伺いしたい事があるんですが…。
おはようございます!松山さん僕に3分だけ時間をもらえませんか?岸田さんが持ってた青い布の正体がわかったんです。
たすきの切れ端?ええ。
岸田さんが幼い頃海で溺れかけた彼を助けてそのために大怪我を負ってしまった陸上選手がいたそうです。
その選手はこの大江戸製鋼の駅伝部に所属していました。
のちにその人と再会を果たした岸田さんは自分が彼の人生を大きく狂わせてしまった事を知り強く後悔したそうです。
その方がガンで亡くなりこのたすきを形見として受け取った岸田さんはその人の思いを引き継ぐためにこの大江戸製鋼の陸上部に入部したんです。
思いって…?1つは大江戸製鋼を優勝させる事。
もう1つは…息子さんを守る事。
息子…?ここにその陸上選手が写った写真があります。
見覚えありませんか?あなたのお父さんです。
岸田さんがあなたを食事に誘ったり何かと世話を焼いたりしていたのはあなたのお父さんの代わりに少しでも何かしてあげたいと思っていたからなんです。
(祐介)マツ!メシ食い行こうぜ。
試合の直前にあなたの怪我を公表したのもあなたの選手生命を守るためだったんです。
お前がブレーキになったらチームの迷惑になるんだよ。
あんたに言われたくないですよ!おい!あんたが一番ブレーキになってんだろ!そんな…そんな話信じられませんよ。
だったらなぜ俺の邪魔ばかりしてたんです?別に選手として…選手として走る必要だってないでしょう!マネジャーとしてチームを支えてくれればそれでいいじゃないですか。
そうですね…。
でもそれじゃダメだったんです。
岸田さんは選手として走り続けなければならなかったんです。
どういう意味ですか?岸田さんの力走は反響を呼び大江戸製鋼の業績は急激に上がりました。
気をよくした社長は岸田さんを呼び出してこう言ったそうです。
君がレースに出続けて会社の宣伝に貢献してくれるなら陸上部の廃部は見送ってもいいって。
廃部?社長はもともとなかなか結果の出せない陸上部を廃部にするつもりだったんです。
でも岸田さんの力走が偶然それを救った。
もともと陸上経験のない岸田さんは自分がチームの足を引っ張ってる事を知っていたはずです。
でも社長との約束で…彼は競技を続けなければならなくなったんです。
じゃあ…あの人は俺たちのために走ってたというんですか?だったらなぜそれを言ってくれなかったんですか!?それは…きっと汚したくなかったからです。
皆さんの駅伝にかける思いを。
駅伝のたすきにはいろんな思いが込められてるという話を聞いた事があります。
それは夢や希望だけじゃなく選手として選ばれなかった人の嫉妬や絶望も…。
岸田さんはその重さも尊さも全部知ってた。
だからこそどんな時でも死に物狂いで走ってたんじゃないでしょうか。
岸田さん…。
岸田さんのボトルと冷蔵庫からあなたの指紋が検出されたの。
岸田さんのボトルにマンゴーを混入したのはあなたでしょ?岸田さんがマンゴーアレルギーだってどこで知ったの?以前社長と会食した時に…。
すいません社長。
実は僕マンゴーが…。
(沖田)ダメなのか?一口ぐらいいいだろう。
アレルギーなんです。
小さい頃に息が出来なくなった事があって…。
殺すつもりなんてなかったんです!私はただ監督のためを思って…。
監督というのは青柳さんの事ですか?青柳さん今年全国大会に出場出来なかったら監督を辞めないといけないんです。
(理沙の声)だから足を引っ張る岸田さんを棄権させようと思って…。
青柳さんの事が好きだったの?あなたなんにもわかってないのね…。
それってね…青柳さんの事を信じてないって事なのよ。
あなたは青柳さんの誇りを踏みにじったのよ。
(泣き声)なんだボウズか…。
あっ…松山君!ああこんにちは!
(一同)ちわっす!その節はどうも。
いや…。
もしかして廃部免れた?次の全国大会で3位以内に入る事が条件で。
頑張って。
チームの結束力はさらに強くなりました。
考えてみればそのたたき台を作ってくれたのも岸田さんだったんですよね。
あの人に対する反発心がいつのまにか俺たちを成長させてたんです。
なるほど…。
それ…。
親父と岸田さんの思い…俺が引き継ごうと思って。
そう…。
おーい!マツ置いてくぞ!じゃあ…。
そうか…。
彼たすき引き継いでくれたのか。
ええ。
よかった。
うちもうかうかしてられんぞ!よし!うちもな明日から練習再開だ!
(一同)おーっ!
(拍手)2014/02/05(水) 15:55〜16:50
ABCテレビ1
[新]遺留捜査2[再][字]
「15cm×10cmの青い布 人気ランナー謎の死」
詳細情報
◇番組内容
「遺留品」に込められた最後のメッセージに耳を傾け、被害者の本当の想いと事件の真相に迫る刑事・糸村聡(上川隆也)――
あの風変わり刑事・糸村が帰ってきた!
◇出演者
上川隆也、斉藤由貴、八嶋智人、田中哲司、岡田義徳、正名僕蔵、眞島秀和 / 三宅裕司 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0×0818)
EventID:52592(0xCD70)