(俊平)僕は咲子さんに結婚を前提にお付き合いしていただきたいと思っているんです。
(咲子)えっ?
(奈緒子)俊平さんにお見合いの話が持ち上がっちゃって。
(増岡)咲子さん一人で柿沼まで来させるようにと。
(奈緒子)私が咲子さんと一緒に行きます。
(増岡・俊平)はっ?えっ?焼いた世話の責任は取らせていただきます。
(咲子)ここが俊平さんのご実家?さあ行きましょう。
咲子さん?まだ真っすぐでいいですか?
(ヨネ)あっ。
ここを左に曲がって。
あっ。
はい。
(咲子)おばあちゃん。
さっき打った腰はもう大丈夫ですか?
(ヨネ)ハハッ。
大丈夫。
(咲子)今日はうちに帰ったらあったかくされた方がいいですからね。
冷えるとよくないですから。
(ヨネ)うん。
あれ?ここは…。
(咲子)柿沼?
(ヨネ)ああ。
もうここで下ろしてもらおうかね。
ここで?あっ。
はい。
(ヨネ)はい。
(咲子)はいはい。
大丈夫ですか?
(ヨネ)はい。
実は私たちもこちらに用があるんです。
(咲子)はい。
(ヨネ)ほうかね。
ほなわしは裏へ回るから。
(咲子)では裏まで。
(ヨネ)ええええ。
大丈夫。
(ヨネ)送ってくれてありがとうよ。
(咲子)いいえ。
冷えずに済んだよ。
あんたのおもてなしのおかげで。
(咲子)あっ。
どういたしまして。
(ヨネ)ほんじゃ。
はい。
(ヨネ)はい。
よっ。
よいしょ。
(ヨネ)よいしょ。
ほんじゃね。
気を付けてくださいね。
(咲子)気を付けて。
(ヨネ)はい。
はい。
さてと。
じゃあ咲子さん。
私たちも。
はい。
いい?はい。
(照子)奈緒子さんと咲子さん。
今ごろ俊平さんのご両親に会うとるんでしょうか?
(志乃)ほやね。
うまくいったらいいんやけどほうすんなりとはいかんやろ。
(照子)ほうでございますね。
ほれに咲子さんはこの金沢や能登のお人やありません。
東京から来た奈緒子さんと同じよそから来たえんじょもんですさかい。
うん。
ほやったね。
うちのえんじょもんと同じにあちらもえんじょもん…。
えんじょもんって。
同じえんじょもんでも咲子さんは確か…。
あっ。
(志乃・照子)福井。
ハァー。
(幸)福井がどうかしたの?えっ?
(照子)あっ。
(俊平)うん?そういえば咲子さんは…。
(俊平)はっ!?大変だ増岡。
(増岡)どうされました?福井だ。
(増岡)福井?咲子さんの出身はあの福井だ!
(増岡)えっ!?あの福井でございますか?
(支配人)あちらで社長と女将がお待ちでございます。
はい。
じゃあ咲子さん。
(咲子)はい。
江戸時代にね江戸幕府が一番つぶしたかったんはこの加賀藩なんや。
(幸)うん。
ほの加賀藩のお目付け役になったんが将軍家のお親戚筋に当たるこの越前藩やったんや。
(幸)うーん。
今の福井だね。
うん。
ほうや。
ほやさかい昔ほの福井からいらんことでもうよう難癖つけられてほれは気ぃを使うたと今でも語り草になっとるほどなんや。
(幸)うん。
(照子)この金沢や能登ではいまだに福井の人のことをよう思うとらん人がわずかやけどおられるらしいんです。
ねえ。
じゃあ福井出身の咲子さんはどうなるの?うん。
もうこうなったら誰の手にも負えんかもしれんね。
さすがの奈緒子さんもこればっかりはどうしようもないがと違いますか?うん。
(支配人)どうぞ。
こちらでございます。
失礼します。
(咲子)失礼します。
初めまして。
かぐらやの嫁の奈緒子でございます。
今日は咲子さんの付き添いとして一緒に伺わせていただきました。
松本咲子と申します。
よろしくお願いいたします。
(健吾)まずはかぐらやさんにお礼を。
息子の俊平がお世話になっております。
いいえ。
こちらこそ俊平さんにはよくやっていただいております。
帳場の仕事もですが新しい顧客を増やすための改革案なども一生懸命考えてくれてまして。
(道代)ほう言うていただけると少しは安堵いたします。
いずれはこの柿沼を継いでもらう立場の息子ですのでほの老舗旅館の看板の重みに耐えるだけの修業を積んでもらわんことには。
ほれと共に柿沼を支えていける嫁もちゃんと選んでもらいませんことにはね。
(健吾)ほの息子からの連絡では昨日来ると聞いとったんだがどうして今日に?そのことは誠に申し訳ありませんでした。
(咲子)申し訳ありませんでした。
実は私にこの柿沼の門をくぐる勇気がなかったからなんです。
くぐる勇気?
(咲子)はい。
私なんかがくぐれる門ではないと。
それで今日になってしまいました。
ほこのところはご自分のお立場をよう分かっとるようですね。
あなたのことは俊平から聞いとります。
かぐらやさんで仲居をしとるとか?
(咲子)はい。
咲子さんは本当に仲居の仕事を一生懸命してくれてまして。
もうすでにかぐらやでも咲子さんの部屋付きをご指名されるお客さまもたくさんいらっしゃるんです。
ほれで咲子さんのご両親はすでにお亡くなりに。
今はお一人でお暮らしを?
(咲子)はい。
私が紹介した茶屋街で下宿を。
そこからかぐらやに通ってきてもらってるんです。
下宿というと金沢のお方ではないと?はい。
福井です。
福井?何か?
(増岡)ボンチ。
どうされました?行かせてくれ増岡。
柿沼に。
(増岡)もう手遅れでございます。
(俊平)けどこのままじゃ…!
(増岡)ボンチが行かれてももう。
ほれにボンチにはこのかぐらやのお仕事がございます。
ここはどういう結果になろうともやるべきことをやりながら待つ以外にはございません。
駄目でございます。
ボンチ。
ボンチ!ああー。
あのう。
福井が何か?あっ。
江戸時代の?江戸時代?はい。
加賀藩のお目付け役が今の福井だったとか。
えっ?よその土地から来たえんじょもんの中でもここでは福井からのお人が一番のえんじょもんです。
(咲子・奈緒子)えっ?帰っていただこうか。
(道代)はい。
ほれでは嫁になるならんより以前の問題。
そんな…。
言うときますが私ども柿沼では今までに福井から嫁などもろうたことは一度もありません。
いや。
そうなのかもしれませんが咲子さんの人となりには何の関係もないことです。
それに私もえんじょもんですがこうしてかぐらやの嫁としてちゃんと。
私たち身内の者はようかぐらやの大女将があなたとの結婚をお許しになったと今でも言うとります。
えっ?
(健吾)うちは能登を代表する老舗旅館。
ほのしきたりをないがしろにするわけにはいきません。
(道代)私ども柿沼では福井から嫁などもろうたらほれこそご先祖さまに申し訳が立ちません。
さっお帰りを。
・
(仲居頭)失礼いたします。
(道代)何ですか?
(仲居頭)ただ今こちらへ大女将のおなりでございます。
(道代)ええっ?早う。
早う早う。
はいはい…。
(増岡)福井ではさすがの奈緒子さんももうどうすることもアイキャンノット。
残されたただ一つの望みは大女将でもあるおばあさまだ。
僕が東京のホテルに就職したいって言ったときもただ一人賛成してくれた。
顔を上げなさい。
(咲子・奈緒子)はい。
あっ。
さっきのくちこの。
漁師のおばあちゃんだったんじゃ?
(道代)俊平の祖母。
ここの大女将であらせられます。
あっ。
はあ。
(咲子)あっ。
はあ。
(幸)じゃあもう望みもないじゃない。
ほうですね。
もう追い返されとるかも。
ほやけど柿沼にはあのお方がおられます。
あっ。
ほうでした。
大女将のヨネさまです。
大女将?おばあちゃんみたいな人?うん。
おばあちゃんはこのかぐらやの大女将。
ほやけど柿沼の大女将は私ら身内の中でも一番の年長者や。
ほやさかい親族の中の大女将でもあるんや。
ほれでこのお人が俊平が結婚を前提にお付き合いしたいと言うてるお人か?
(健吾)はい。
ほうですが会うて話を聞くまでもありませんでした。
すぐに引き取ってもらいます。
(ヨネ)ほう。
ほらどうしてや?福井出身やとか。
もうお話になりません。
福井?俊平には重々よう言うて聞かせますので大女将は何のご心配もなく。
バカ者!ほんなことやさかいこの柿沼は古いだけの老舗旅館やと時代遅れの旅館やといわれとるんや。
福井出身でもお許しになられると?バカ者!私が許すはずもないことや。
(健吾)ほれでは…。
(道代)どうせよと?あのう。
よろしいでしょうか?ではせんえつながら。
大女将は福井出身の者を嫁にはできないと言ってもバカ者で嫁にすると言ってもバカ者。
でしたら勝手にさせていただくということではいかがでしょうか?
(健吾)何を。
勝手にするやなどと。
ほうです。
かぐらやの嫁の分際で大女将に対して何てことを。
失礼は重々承知しております。
ですが私が咲子さんとここに一緒に来るときも勝手をさせていただきました。
えっ?かぐらやの大女将は同じ老舗旅館であるこちらのご両親のお気持ちもよく分かっておられます。
ですので今回は私の一存で勝手に来させていただいたんです。
それと同じに俊平さんと咲子さんのことも勝手にさせていただければと。
かぐらやの大女将とおんなじに私はこの件は全部知らんことや。
好きにすればよろしい。
大女将。
(道代)大女将。
勝手にするまっし。
形よりもほの中身。
ほれより大事なのはほの心。
見ず知らずのばあさんをリヤカー引いて送り届けてくれた。
そのおもてなしの心に懸けましょう。
伝統と格式を変えられるもんなら変えてみたらいい。
私は大反対しますけどな。
大女将。
ありがとうございます。
(咲子)ありがとうございます。
えっ?大反対された?はい。
大反対されました。
やっぱり無理やったんですね。
あの大女将が大反対されたらもうどうにもならんことです。
ですから勝手にすることにしました。
えっ?大女将。
私の女将襲名披露が終わったら咲子さんを柿沼に女将修業に出してあげたいと思います。
えっ!?何を言うとるんですか奈緒子さん。
正気ですか?はい。
柿沼の大女将も私は知らんこと。
好きにすればよいとおっしゃってくださいました。
あっ。
(せきばらい)ほうですか。
分かりました。
ほなら勝手にするまっし。
あっ。
はい。
ありがとうございます大女将。
ほやけど伝統と格式を変えていくがは生半可なことやありませんよ。
はい。
咲子さんが柿沼で女将修業を始めたとしても大女将はじめ俊平さんのご両親や周りの方たちが咲子さんを将来の柿沼の女将として認めないときには伝統や格式を曲げることはできず2人は結婚できないことになります。
ああ。
ほこんところはよう分かっとるんですね。
はい。
ですが俊平さんと咲子さんなら力を合わせて何とか乗り越えていけると私は信じています。
伝統や格式より大事なものがあると。
形よりも中身。
そして何より大事なのはその心と柿沼の大女将もおっしゃってくださいました。
ほうですか。
柿沼の大女将も若い力で柿沼を変えていくことを期待しておられるのかもしれませんね。
はい。
なるほど。
ほういうことですね。
・
(咲子)俊平さん。
私4月から柿沼で女将修業をしてみようと思います。
ああ。
咲子さん。
このかぐらやで働いている俊平さんとは離れ離れになってしまいますが一人で能登で頑張ってきます。
一人じゃありません。
(咲子)えっ?僕がいつでもそばにいます。
たとえどんなに離れていても心はいつも一つです。
もうどんなことでも話してください。
僕が何時間でも咲子さんの話聞きますから。
俊平さん。
じゃあ一つお願いがあります。
(俊平)何ですか?もし女将修業をして嫁として認めてもらえたらもう一度私にプロポーズしてもらえますか?もちろんです。
できれば能登の千枚田の夕日を見ながらがいいんです。
はい。
約束します。
(幸)よかったね咲子さんと俊平さん。
(一同)うん。
ええ。
あの2人なら大丈夫。
どんな障害だって乗り越えていけると思うな。
だってお互いに相手のこと真剣に思い合ってるからね。
ほやね。
(幸)いいな。
そういう相手と巡り合えて。
あら。
幸ちゃんだっていつかすてきな人が現れるわよ。
(一同)うん。
(宗佑)俺にも昔はいたよなそういう思い合える妻が。
俺の帰りを待つため実家の旅館で仲居として働いてくれ妻の鑑とまでいわれた。
ハハッ。
あの妻はいずこへ…。
うわ。
いたいたいた。
ハハハ。
さてと。
(宗佑)うん?あと残る問題は宗佑の就職だけ。
うん。
それさえ決まってくれればこんな幸せなことはないのに。
そうだよ。
どうするの?お土産物屋さんからは正社員になってほしいっていわれてるんでしょ?俺は何回も言ってるよな?俺は小籠包作りの名人になってその小籠包をかぐらやの名物料理にするってこれもう何回も何回も俺言ってるよ。
ええ。
うんざりするぐらい聞かされてますよ。
ねえ?お母さん。
ほうやね奈緒子さん。
ちょっと!男の夢とロマンバカにしないでよ。
翔太からもちょっと言ってやれよ。
ったくこの家の女たちは男ってものを理解しようとしないんだから。
(翔太)俺東京はやめて地元の大学に行こうと思ってる。
(宗佑)ほら。
(幸)えっ?
(宗佑)東京はやめて地元の大…。
えっ?地元?
(奈緒子・志乃)えっ?
(翔太)受かった地元の大学に春から通うよ。
ホントなの?翔太君。
本気か?いいの?お兄ちゃん。
(照子)あれだけ東京言うとりましたんに。
うん。
夢ばっかり見てるわけにもいかないしね。
(辰夫)お前はいいんやぞ東京の大学行っても。
ほら。
(辰夫)どこの誰かとは違うんやさかい。
(翔太)いいんだよおじいちゃん。
やりたいことならこっちの大学に行きながらでも見つけられるよ。
(辰夫)うん。
(翔太)東京に行かなきゃ見つけられないなんてそれこそ甘い考えだって思い直したんだ。
(宗佑)うん?甘い考え?お兄ちゃん何か大人になったみたい。
けど驚いたよ。
宗佑叔父さんの借金がまだあんなに残ってて。
しかもおばあちゃんや奈緒子さんがそれを返済してるなんて。
その上また夢語ってるし。
好き勝手する人間が家族に2人もいちゃうちもやってけないもんね。
(辰夫)フフッ。
翔太。
お前。
俺だってなこう見えても色々考えて…。
(一同)色々!?えっ?
(一同)色々?色々って…。
色々考えとるやて…。
2014/03/21(金) 13:30〜14:00
関西テレビ1
花嫁のれん #55[字][デ]【若い力 出演:羽田美智子 野際陽子】
奈緒子(羽田美智子)はお詫び行脚から戻った宗佑(津田寛治)に再び金の工面を頼まれる。夢を諦めきれない夫の目を覚まそうと奈緒子と志乃(野際陽子)は手を組むが…。
詳細情報
番組内容
奈緒子(羽田美智子)と咲子(田中こなつ)は、ケガをしたおばあさん(正司照枝)を助ける。奈緒子たちは頼まれるでもなく、おばあさんの仕事である能登の珍味クチコの行商を手伝う。二人がこれから俊平(鈴之助)の家である老舗旅館「柿沼」に行くと聞くと、おばあさんはなぜか意味ありげに咲子を見つめるのだった。
「かぐらや」では、俊平と増岡(中西良太)が咲子のことを思い、ヤキモキしていた。
番組内容2
それは志乃(野際陽子)と照子(烏丸せつこ)も同じで…。
奈緒子と咲子は俊平の両親と対面。案の定、咲子は歓迎されなかったが、奈緒子は懸命に「咲子にはおもてなしの心がある」と彼女の良さを伝える。しかし、伝統と格式を重んじる老舗旅館ゆえに、事態はより悪いほうに進んでしまうことになり…
出演者
神楽奈緒子:羽田美智子
神楽志乃:野際陽子
松本咲子:田中こなつ
柿沼俊平:鈴之助
藤沢瑠璃子:里久鳴祐果
神楽翔太:草川拓弥
神楽 幸:木村真那月
・
神楽宗佑:津田寛治
谷本照子:烏丸せつこ
神楽辰夫:山本 圭 ほか
スタッフ
原作・脚本:小松江里子
演出:杉村六郎
プロデュース:市野直親(東海テレビ)
伊藤一尋(テレパック)
沼田通嗣(テレパック)
東田陽介(テレパック)
音楽:富貴晴美
主題歌:Do As Infinity「風花便り」(avex trax)
エンディングテーマ:SOLIDEMO「Next to you」(avex trax)
制作著作:テレパック
制作:東海テレビ
ご案内
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【公式サイトURL】http://tokai−tv.com/hanayome3/、昼ドラ公式ツイッターアカウント@hirudoraTokaitv、LINEアカウント@hirudora、YouTube東海テレビ公式チャンネルも好評配信中!
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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