インタビュー ここから「漫画家・高橋陽一」 2014.03.21

80年代子供たちのサッカー人気に火をつけた漫画…
主人公の大空翼がワールドカップ優勝という夢を追いかけ続けるストーリーです。
海外のクラブチームに所属する日本人の中にもこの漫画に憧れてサッカーを始めたという選手もいます
作者は高橋陽一さん53歳。
連載開始から今年で33年。
過去には連載の打ち切りなどの挫折も味わいました
それでもくじけず描き続けコミックの発行部数はおよそ6,500万部に達しました
くじけそうには何回もなりました。
人気サッカー漫画が生まれるきっかけになった高橋さんのある決断に迫ります

高橋さんが生まれ育った…
23区の東の端に位置する下町です
(女性)どうぞ!
生家の近くでは今「キャプテン翼」に登場するキャラクターたちの銅像が次々に完成しています
高橋さん自らが除幕を行い完成を祝いました
地元の商店街では「キャプテン翼」で町おこしが進められています
高橋さんこちらが去年完成した「キャプテン翼」の主人公大空翼の銅像なんですが完成した時どのような印象をお持ちになりました?自分の生まれ育った町に自分のキャラクターの銅像が出来るって事で魂込めて作って頂いて大変うれしいです。
「キャプテン翼」だけあってキャプテンマークが強調されていますね。
キャプテンマークつけて「さあいくぞ」というイメージで。
この銅像が完成する前に随分地元の方も期待する声をかけられたそうですね。
商店街が寂しい感じなのでこの銅像で盛り上がってくれればいいなという願いもあります。
元気な少年が主人公の漫画なので元気に育って夢を持って頑張ってほしいなと思います。
高橋さんの母校…
地元では「南葛」の愛称で親しまれ漫画の中でも主人公・翼が通う学校名となっています
高橋さんは3人兄弟の長男。
幼い頃から絵を描くのが大好きな少年でした。
運動会を描いた水彩画を新聞に投稿し入選した事もありました
漫画に興味を持ち始めたのが小学校の高学年ぐらい。
漫画にのめり込んでいったのは…?中学もずっと描いていましたね好きで。
高橋さんに今日は当時の作品をお持ち頂いたんですけど拝見してもよろしいですか?これ相当なすごい量ですよね。
本当はもっといっぱいあるんですけどね。
これの10倍ぐらいは描いてる。
これ単行本になっているんです。
これいつごろお描きになったんですか?多分中学校1〜2年とかだと思うんですけどね。
自分で表紙も作ってちゃんとコマを割ってストーリーが出来上がってるんですね。
鉛筆描きのままなんですけど。
ここほんとにのめり込んでいらっしゃった?寝る前とかちょっと暇があれば描いてるって感じでした。
何か参考にした漫画とかそういったものは?中学生の時は「ドカベン」とか水島先生の作品が好きになってその影響をだいぶ受けていますね。
描写といいますかねこのアップの描写とか迫力がある。
原点にはなってるんだと思うんですけどね。
高橋さん漫画を当時お描きになっていてどんなところに魅力を感じられていました?単純に描くのが好きだったと思うんですけどね。
でクラスの友達とかにも見せたりとかしてましたね。
クラスの友達の反応感想というのはいかがでしたか?上々だったと思うんですけど。
「早く次描いてくれ」みたいな事も言われたりとか。
仲間は続編を楽しみにしていた?そうですねはい。
「明日に向って走れ!」というこれも野球もの。
そうですね野球が多いですから。
高橋さんといえばサッカーのイメージが強いんですがこのころは野球…これも「野球やろう」という。
野球ばっかり描かれていたんですね。
野球は好きでしたね。
高校も野球部だったんで。
当時はサッカーに触れる機会が全くなかったんですか?スポーツ自体好きだったんで知らない事はなかったですけど。
学校が終わって野球をやって遊んだりして。
家に帰ったら漫画を描いてるって感じですね。
ほぼ毎日?ほぼ毎日だったんじゃないかな。
学校の休み時間とかでも描いてたかもしれないですね。
漫画家を本格的に目指そうと思ったのは野球部に在籍していた高校3年生の時でした
野球の夏の大会が終わったあとに夏休みにバーッと漫画描いてそれを出版社に持ち込んだという感じです。
自ら出版社に自分の漫画を売り込みに?そうですね。
当然その漫画持っていったからってすぐ載せてもらえるという感じではなかったんですけどとりあえず見てもらって自分の実力がどの辺なのかそういうのも聞きたかったし。
高校3年生の高校生が出版社に自ら売り込みにいくというのは相当な勇気といいますか思い切った行動に出られましたね。
そうですね。
でもそれしか道がないのかなと思ってたので。
電話かけたりするのもやっぱりドキドキしましたけど。
野球漫画ばかり描いてきた高橋さんがサッカーに魅力を感じ始めたのはたまたまテレビで見たワールドカップの試合がきっかけでした
野球にない自由さだったりとかワールドワイドな世界中に愛されてる世界一のスポーツというのもその時に知ってワールドカップというのもあってその熱狂だったりとかというのもすごいなと思って。
その時初めてサッカーに触れられたんですか?本格的にサッカーというスポーツ自体を真剣に見るようになったのはそこからですかね。
それこそ自分も選手の名前とか全然知らなかったんですけどそれでもすごい単純に見てて面白いなと思いました。
高校卒業間際サッカーを題材にした「友情のイレブン」を描いて漫画雑誌の新人賞に応募
その作品が佳作に選ばれプロの漫画家になる足掛かりをつかみました
そして卒業から1年後新人賞を受賞しました。
その後の「キャプテン翼」の原型となる作品で雑誌に初めて載った高橋さんの漫画となりました
それも読み切りの作品で1回載っただけなので当然プロの漫画家とはまだ言えない状態だったと思うので更に頑張らないとなという思いの方が強かったかもしれないです。
「更に頑張らないといけない」…次の目標はどこに定めましたか?やっぱり連載という…連載作家になって次はそのとおり憧れたみたいに自分のコミックスを出すみたいなのが目標になりました。
高橋さんが投稿していた出版社では連載が採用されるチャンスは年に4回しかありません
他のプロの漫画家も応募してくる激しい競争の中高橋さんは何度も作品を描き直しました
読み切りの作品と同じような世界観で連載ネームを作ってたんですけどもそれが編集会議で通らなくて試行錯誤してそこから次は多分山の中の少年みたいな山から出てきた野生児のサッカー少年みたいな…。
翼君?それも翼なんですけどそういう主人公にしてみたりとかそれもボツになったりとかして。
多分まだ連載作家としての実力がなかったんだと思うんですけど連載用の面白い漫画を描く事ができなかったから多分採用されなかったと思うので。
何回も何回もボツにされたその1年は。
初期の「キャプテン翼」のストーリーはあるサッカー部の活動の中で完結していました
そこで高橋さんはテレビで見たワールドカップを思いだし一人のサッカー少年が将来日本をワールドカップで優勝させるという壮大な夢に向かって頑張る姿を描こうと思いました。
そのテーマが評価されついに連載を勝ち取りました
今振り返ってみて何がよかったと思われますか?原点というかワールドカップというのが僕のサッカーの…アルゼンチンのワールドカップが好きで好きになったのでそのワールドカップというのを目標にした…目標にするのであれば何となく小学生の頃から鍛えていかないといけないのかなという思いもあったので小学生にしてそれこそ日本をワールドカップに出場させるという明確なテーマもそこで生まれたと思うので原点に返ったのがよかったのかなと思いますけど。
何度も何度もボツになって高橋さんの気持ちが折れそうになった時もおありではなかったですか?そうですね折れそうになった事はありますね。
それこそ他の雑誌持っていった方がいいんじゃないかとかというのもよぎったりとか。
その時に折れそうな気持ちを支えたものというのは何だったんでしょうか?漫画家がもう無理だなというとこまでは全然いってなくて…あきらめるという気持ちはなかったですけどくじけそうには何回もなりました。

しかし連載は順調なスタートではありませんでした
人気のない作品は10回で打ち切られます。
読者アンケートで「キャプテン翼」は1話目が7位2話目が9位3話目が12位と徐々に人気が落ちていきました
1話から第3話までというのは自分の中では自信があってそれで連載も勝ち取れたのでもうちょっといくかなと思ってたんですけどなかなか思ったようには人気が取れなくてちょっとやばいぞって思った部分と厳しい世界だっていうのは分かってたのである意味10週で終わってしまうというのも自分の中では覚悟はして…。
第1話から3話まではサッカー以外の競技との対決や街なかでのサッカー対決などサッカーの本質とは離れた部分で面白く伝えようとしていました
高橋さんは第4話も既に描き上げていましたがこのままでは読者を引き付けられないと締め切り直前に描き直します。
奇をてらうのではなくかつてワールドカップを見て感じたサッカーの魅力をシンプルに伝えようと思い直しました。
そこで思いついたのがオーバーヘッドキック。
以前自分が見て衝撃を受けたプレーを漫画に取り入れたのです
描き直した第4話ではブラジル代表選手だったロベルトが翼の前でオーバーヘッドキックを披露し衝撃を与えます
オーバーヘッドキック…翼がロベルトのまねをしてオーバーヘッドキックをするっていうアイデアを思いついてそれだったら絵的にも迫力がある絵も描けるしそれで人気がもしかしたら取れるかもしれない部分もあったので。
もともとの第4話と比べた時にやっぱりこっちの方がいいなと自分の中で思えたので。
締め切りまではどのぐらい…?はっきりとは覚えてないんですけど多分5日ぐらいは余裕があったと思うんでアシスタントにもう一回集まってもらってバーッと徹夜して仕上げたっていう感じですね。
ほんとにギリギリだったんですね。
ギリギリですね。
でも結果的にそれが…。
結果的にそれがよかったですね。
オーバーヘッドキックを取り入れた時読者の反応はいかがでした?それまでの3話よりも人気が出て多分人気投票で4位ぐらいだったと思うんですけど。
とりあえず人気投票取れたのでクリアできそうだなという感覚になった感じですね。
もし野球漫画だとすると自分が野球してた分これはできないよなみたいな事でもしかしたらストップかけちゃっていたかもしれないのでそういう部分では知らなかったのがいい部分もあったのかもしれないですね。
連載は順調に進みテレビアニメの影響もあり小中学生を中心にサッカーブームを巻き起こしました
連載終了の5年後Jリーグが開幕。
ますますサッカー人気が高まります。
開幕の翌年高橋さんは続編となる…
20歳以下の世界大会で活躍する翼を描きました。
しかし思うほど読者の人気を得る事ができず連載途中で打ち切りとなってしまいました
小学生の時から勝ち続ける翼に対し読者の一部ではストーリーのマンネリ化を指摘する声も聞かれました
いきなり打ち切りの話だったんですか?そうですね。
準々決勝ぐらいを描いてた頃に「あと何週で打ち切りです」と言われて。
でも自分の中ではここまで描いてきたんだからちゃんと決勝まで描かせてほしいというのは訴えたんですけどそれも通らず。
なので一応決勝までは描けたんですけど自分が思ってたボリュームでは描けなくて自分の中では不本意な終わり方にワールドユース編はなってしまったのでその時は落ち込んだし漫画家としても人気を取れなかったという部分でもちょっと悩んだ部分もありました。
そのワールドユース編は描きながら自分でも悩むところはあったんですか?打ち切りと言われるまで。
自分の中では好き勝手にというか自分の思うように描いてたのでそういう部分ではなかったんですけどそれが読者の反応が薄かったという事なのでそれはプロとしては負けになると思うのでその部分で自分では面白いと思って描いてたものが読者に受け入れられなかったという部分でもあると思うのでそういう部分ではじゃあどうしたらいいのかという部分でも悩んだし。
キャプテン翼を主人公にした連載にこだわった高橋さんは構想を練り直しました。
世界のトップクラブで翼が2軍からはい上がってレギュラーを目指す設定にして困難に立ち向かう自分と重ね合わせました。
打ち切りから3年後連載を再開する事ができたのです
ここで失敗したらそれこそあとないぞみたいな感じは思っていたのでもう一度チャレンジしてそれこそ人気投票にしても読者に対してもリベンジというか今度こそ面白いものを描いてやるぞというイメージではいました。
読者の反応はいかがでした?おかげさまでワールドユース編よりもコミックスの売り上げとかもよかったので自分の中ではリベンジできたかなとは思って。
「キャプテン翼」の誕生から今年34年
その間世界のトップクラブで活躍する日本人選手も出てくるなど高橋さんが漫画の中で描いてきた世界が現実となりつつあります
当時はワールドカップに出るのは夢物語みたいな感じだったのが今では本戦出場して当たり前みたいな感じにまでなってきて世界の名門クラブで活躍する日本の選手もたくさん出てきてるのでそれこそ漫画の…当時は夢のまた夢だった日本のワールドカップ優勝という事自体ももうちょっとで手が届くところまできてると思うのでそういう部分では日本のサッカーというのも応援していきたいし。
夢というのがテーマで翼の場合は日本をワールドカップで優勝させる自分がサッカーで世界一のサッカー選手になりたい。
そういう夢を追う物語で翼の親としてはかなえてあげたいなと思うのでできるかぎり翼の夢に近づけるようにこれからも「キャプテン翼」を描き続けていきたいなと思ってます。
翼がワールドカップで優勝してトロフィーを掲げるシーンというのはもう高橋さんの頭の中にはイメージできているんでしょうか?え〜っと…まだそこまでは。
でも多分それを描きたいからずっと今までも描いてきてるのかなと思うのでそれを自分なりに満足いくそういう試合だったりそういう漫画が描けたらいいなとは思ってますね。
こんにちは。
高橋さんにはもう一つ夢があります。
地元の社会人チームの後援会長を務め将来のJリーグ入りという夢に向かう選手たちを後押ししています。
チーム名も「キャプテン翼」と同じ「南葛SC」に変えました
この間の練習試合もすばらしい結果だったと思います。
だんだん強くなってると思うのでこの調子で開幕戦に向けてじゃんじゃん練習していいチームになりましょう。
一緒に頑張りましょう。
連載を打ち切られても「キャプテン翼」にこだわり続けてきた高橋さん。
これからも翼と共に挑戦を続けます
2014/03/21(金) 06:30〜06:53
NHK総合1・神戸
インタビュー ここから「漫画家・高橋陽一」[字]

人気サッカー漫画キャプテン翼は、連載開始から今年33年。作者・高橋陽一さんに、30年以上、連載が続くきっかけなどを伺い、その創作の原点にインタビューで迫ります。

詳細情報
番組内容
人気サッカー漫画「キャプテン翼」は、1981年の連載開始以来、小学生を中心に人気を集め、国内にサッカーブームをもたらした。しかし、実は、連載開始当初、打ち切りの危機にあったという。その危機を乗り越え、連載が30年以上続くきっかけは何だったのか。作者・高橋陽一さんに、創作の原点となった「ここから」を聞く。
出演者
【出演】漫画家「キャプテン翼」作者…高橋陽一,【きき手】荻山恭平

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – インタビュー・討論
アニメ/特撮 – 国内アニメ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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