木曜時代劇 鼠(ねずみ)、江戸を疾(はし)る(7)「容疑者・鼠の逆襲」 2014.03.06

(金貨が落ちる音)回想俺の妹でいたらいつかお前は不幸になる。
いつかはお前と縁を切らなければならなかったんだ。
兄さんが捕まったら…その時は…その時は私が殺す!ほかの人には…お上には討たせない!
(呼び子の音)はあ…。
あっ旦那様。
久しぶりの酒は毒だな。
何度も断ったんだがどうにも断りきれんでな。
お〜矢崎か。
こっち来い。
いえ私は…。
ハハハハ!お主は相変わらずの堅物だな。
あ〜最近妻をめとったと聞いたがお主は柔らかくなるどころか堅くなるばかりじゃのう!ハハハ!それより小塚様お話というのは…?矢崎。
はっ。
明日は晴れるぞ〜。
はっ?まあ飲め!ハハハハ!あっいえ…。
遊びのない男は妻に侮られるぞ。
ハハハ!さあいけ!では…。
お〜!さんざん飲まされたあげく話も聞けなんだ…。
それは災難でございましたね。
重吉。
へい。
長く待たせてすまなかった。
腹が減ったろう?すぐに飯の支度をさせねばな。
あ〜いいえ。
あっしは…。
この先の寺に侍が潜んでおります。
なんと?一応伝えましたよ。
そなたは?信じるも信じぬもあとはそちら次第だ。
誰だ!?道を変えよう。
旦那様!行くぞ。
旦那様姿も現さぬ者の言葉を信じたんで?いや今は用心する事に越した事はない。
でも旦那様あんな言葉に従ってかえって何かありましたら…。
行くぞ!菊乃が待っておる。

(矢崎)重吉!へい!
(ため息)小塚様のお話とは何だったのですか?いや何も特別な話ではない。
重吉に何か食べさせてやってくれないか。
重吉はどこかへ出かけたようですが…。
えっ?待て!あっ待ってくれ!お前一人か?矢崎はどうした?それが邪魔が入りましたんで…。
何?こっちに侍が潜んでいると忠告する者があったんで…。
バカ言うな!ここは鼠一匹通らなかったぞ。
それがいたんでさあ。
闇に溶け込んだどうにも奇妙な男がいたんでさあ!悪いがそれだけが取り柄なんでね。
(重吉)何だ?何のまねだ!?恨むんならその男を恨むんだな。
(重吉)うわ〜っ!今日こそお前ら逃がすなよ!こら!親分!うん?どうした?あれは…!鼠!定吉急げ!へい!こら待ちやがれ!今日こそは許さ〜ん!あ〜イテテ…。
お…親分!あん?はあ?こりゃ…とんでもねえもん残していきやがったな。

(太助)親分!
(与平)親分さん!昨日は久方ぶりに鼠が出たってね!親分昨日も夜明かしですか?ご苦労な事で。
夜明かしか。
俺と同じだな〜。
おいてめえ!てめえは寝ずに何やってたんだよ!それがよ長屋の隣に若い夫婦者が越してきてよ。
うん。
それがどうした?それがどうも気になって眠れねえんだ…。
嫁さんのよ甘ったれ声がよ夜じゅう聞こえちまうもんでよ。
あ〜!お前のシラミもお盛んだな!お盛んだな!あ〜盛ん盛ん!痛っ!痛〜っ!バカだね〜!バカな上にスケベときてる!いいな〜。
俺も嫁さん早く欲しいな。
無理だな!だな!あんたは一生独り者だね!せいぜい耳の嫁さん拝んどきな。
そんな殺生な…。
お染〜とんがらし切れてるぞ〜。
えっ?ちょっと!こんなにかけたら体に毒だよ!いいから持ってこいってんだよ!だいぶ不機嫌なようだね。
とうとう…鼠がやりやがった…。
はっ?ごめんよ。
鼠小僧が…人を殺めた!
(太助)はっ?
(与平)いや親分バカ言っちゃいけねえよ。
(太助)そんなバカな話信じらんねえよ!バカ言ってんじゃねえよ!おいら確かにこの目で見たんで…。
鼠がしかばね放って逃げてくとこをよ…。
何だてめえ!親分ところでそのしかばねの身元は分かったんですかい?お武家の奉公人よ。
奉公人…。
ああ…。
親分その一件本当に鼠の仕業だと思っていますか?えっ?鼠が町人に顔を見られて斬り殺すようなまねしますかね?親分にすらその顔を見せた事ない鼠が。
そうですよ!そりゃそうだよ!うるせえ!そう思えりゃどんなに楽か!鼠は人を殺めねえ!そう思えりゃどんなに楽か…。
あっ次郎吉さん。
そばのびちまうよ。
ああ…。
さすが親分ですね。
そう思っていて間違いありませんよ。
あん?あっ何だい食べずに行っちまうなんて!あんたらもここはそば屋だよ!あんたらがしゃべくる場所じゃないんだ!鼠じゃねえなら一体誰がやったんでえ!?ヒィ〜ッ!ヒィ〜ッ!川上藩?そう。
何かよからぬ噂を聞かない?小袖さん今度は何をお調べで?せっかく助けた命なら最後まで助かってほしいと思うじゃない!はあ…。
それに兄さんはほっとけって言うけど私は我慢ならないのよ!このまま濡れ衣を着せられたままなんて!小袖さんいつもながらに話が全く見えませんが…。
はっ?もう!回想旦那様姿も現さぬ者の言葉を信じたんで?いや今は用心する事に越した事はない。
でも旦那様あんな言葉に従ってかえって何かありましたら…。
行くぞ!重吉…まさか誰かに金で雇われていたのか?小袖様どうかされましたか?小袖様!あっ広之進様今日はこれで失礼致します!いつもながらに唐突な人だな…。
菊乃。
お帰りなさいませ。
今すぐ里へ帰ってくれ。
えっ?里の両親には伝えてある。
家の事は何も心配するな。
お待ち下さい!なぜですか?どうして里に帰らねばならないのですか?旦那様それは重吉が殺された事と関係があるのですか?それとも何か私にお気に召さぬ事があるのですか?何かおっしゃって下さい!・旦那様!どうした?岡っ引きの親分さんが…。
親分親分!おう…。
あっ度々どうもすいやせん。
まだ何かご用でしょうか?重吉の件は全てお話ししたはずですが。
ええ。
矢崎様あっしら家中の内情に立ち入る事はできやせん。
けどお力になれる事があるやもしれやせんよ。
ええ。
何の話でしょうか?あの刀傷はお侍によるもの。
矢崎様本当にお心当たりは何もねえんですか?無礼者!岡っ引きの分際で何ができる!?帰れ!親分悔しかねえんですか!?あんな事言われっ放しで!定吉。
へい。
岡っ引きの分際にも意地ってもんがあるよな!ついてこい!へい!あ〜あっぱれあっぱれ!・ただいま!お〜遅かったな。
兄さんが助けたお侍の家が分かったわ!えっ?徳五郎親分もその家を訪ねてきてたわ。
あの殺しの一件親分さんも何か裏があると思ってるのよ。
お前いいから余計な事に首突っ込むな!兄さんはよくてもね私は我慢ならないのよ!このまま鼠が人殺しにされたままじゃ許せないのよ!いいから!いいから飯!はい…。
頂きます!うん!あ〜!お代わり!おかずも食え!みそ汁も!ごはんお代わり!はい…。
矢崎例の調べは進んでおるか?はい。
米問屋和泉屋との取り引きの間にいささか不審な点がございまして…。
年貢米を換金した一部が帳簿をすり抜けて何者かの手に渡っていたのではないかと。
その金を受け取っていた者とは?殿今しばらくの間お待ち下さい。
過去の帳簿証文の類い全てを洗い出し確かな証しを手に入れるまでは。
分かった。
くれぐれも気を付けるのだぞ。
はっ!私はやはり父の代から仕えてきた家老たちを信用できぬ。
常に父の顔色をうかがうばかりで正しい道を進言する者は誰もいなかった…。
けどお前は違う。
私はお前だけが頼りなのだぞ。
(矢崎)殿…もったいないお言葉。
(小塚)福井様。
このままでは我々への疑いはますます強くなるであろう。
いやあの晩の一件で矢崎は既に我々に狙いを定めているやもしれぬ。
(小塚)はっ。
あの堅物は金をつかませて我らに転ぶ相手ではない。
実に清廉潔白曲のない男よ。
あの男がはめを外して浮かれているのを見た事があるか?いえ…。
おまけに矢崎は家中随一の剣の使い手ときてる。
そう簡単に亡き者にはできぬぞ!いえご家老…あの男にも泣きどころはあろうかと。
何?おい国安!何だ?言うてみろ!はっ!矢崎殿は最近輿入れしたご妻女を格別に大事にしていると聞き及びます。
ならばそれを利用してはいかがでしょう?奥様!何してらんすか!?んだら事はおらがやりますんで!いいえ。
これだけは私にやらせてちょうだい。
けど奥様…。
私の母もいつもこうしていたのよ。
父上に真っ白な足袋を履かせてさしあげたい。
すがすがしい気持ちでお勤めに向かえるようにって。
旦那様は何も言って下さらないけれど私には分かります。
里へ帰れとおっしゃるのは恐らく私を守ろうとなさっての事。
奥様…。
けれど旦那様は何もお分かりでない。
私にはもう旦那様と共に命を落とす覚悟はできているのです。
(泣き声)旦那様は幸せ者だ!いい奥様をお持ちになって幸せだ〜!・ごめん!ごめんくだされ!はい!ちょっと待って下さ〜い!矢崎様の使いで参りました。
殿のお召しにより藩の下屋敷に来られるようにと。
殿のお召し?はい。
どうして殿様が私を…?それは…私には分かりませぬ。
奥様…。
大丈夫。
すぐに戻ります。
奥様…。
奥様…。

(門が閉まる音)ようお越し下さった。
面を上げよ。
はい。
そなたが矢崎の妻であるか。
いや噂どおりの美しい方であるな。
いえめっそうもない事でございます殿。
いやまことに美しい!矢崎がそなたを大切にする気持ちがよう分かる。
殿…!何だ?殿はなぜ私をお召しになったのでございますか?知りたいか?矢崎と私とは昔から不思議と好みが合うのでな。
ならば矢崎が格別に好んでおるそなたを一度味おうておかねばなるまい。
殿おやめ下さい!心配しなくともよい!全てはこの胸に留めておけばよいのだ!おやめ下さい!そうすれば今までどおり矢崎とは夫婦でいられるぞ!おやめ下さい!待て!お前何者だ?うん?お前は矢崎の家よりつけておったな。
おやめ下さい!待て!誰だ!?うっ…。
さあ!くせ者ぞ〜!あの…あなたは?先ほどの男は川上藩の殿様ではありませんよ。
えっ?あなたが顔を知らない事をいい事にだまそうとしたんでしょう。
そんな…。
どうして…。
殿様に辱められたとあってはあなたはそれを苦に自害なさると踏んだんでしょう。
結果殿様と矢崎様の絆は永遠に断ち切られ矢崎様がお調べになっている不正は闇に葬り去られる。
では…。
さあ!おのれ!どこ行った!?いたか?いやおらぬ!小袖…。
あなたは!あなたは先ほどの!
(読経)小袖さんやっぱりこれは刀傷じゃありませんか?まさかそんな訳ないでしょう!じゃあ一体どこでこんなケガなさったんですか?あらお豊ちゃんいい手つきね。
もうすぐ独り立ちできるんじゃない?小袖さん!はぐらかさないで下さい!何でもないわよこんなケガ。
明日にでも道場に行けるわ。
もう小袖さん!痛っ!痛い!あ…すいません。
(千草)幸い傷が浅かったので安静にしてれば大丈夫ですよ。
あ…すいません世話になっちゃって。
次郎吉さん何か面倒な事に巻き込まれてるんじゃありませんよね?先生。
はい?しばらく小袖を預かってくれませんか?えっ?あ…いやあいつ俺の言う事は聞かないしここにいた方が治りが早そうだ。
分かりました。
いいですよ。
ありがとうございます。
先生終わりました。
ご苦労さま。
じゃあ俺はこれで。
お豊よろしくな。
次郎吉さん!ちょっと冷たいんじゃないですかね。
あんな大ケガしたっていうのに小袖さんの顔も見ないで帰っちゃうなんて…。
あんなにうろたえてる次郎吉さん初めて見たわ。
えっ?よっぽど小袖さんの事が心配だったのね。
ほら見て。
私の分まで飲んじゃって。
お召し上がりにならないのですか?あなたはあの晩私の言葉を信じて別の道へ行った。
ならばもう一度私を信じてはくれませんか?誰だ!?その道をひたすらに進めばあなたは再び命を狙われる事になる。
あなただけじゃない。
あなたの家人も同様に。
お主何者だ?何を知っとるか知らぬが私は武士の本懐を遂げるため命を捨てる覚悟はとうにできておる。
そのためならほかの者が命を落としてもよいと?それも…やむをえまい。
俺は許さない。
俺にも覚悟があるんでね。
妹の血が流れたからには兄として妹を斬った男を断じて許す事はできない!妹?どういう事だ?力を貸して頂けますか?失礼致します。
ご家老もう一刻の猶予もありません。
明日国安を差し向けて矢崎を斬り捨てましょう!今度こそしくじるな!はっ!国安!はっ!はは〜っ!直ちに手配を!小塚金魚に餌!はは〜っ!何者!?矢崎様が殿の前にお越しになる事はもうないとお思い下さい。
何と申した?矢崎様は明日お命を奪われるからです。
藩の不正に手を染めた者たちによって。
なんと!その黒幕をお知りになりたければ自らの目で確かめてはいかがですか?そのほうは一体…。
(鈴の音)いかがされましたか?殿。
大事ない。
下がれ。
・はっ!行ってらっしゃいまし。
うん。
菊乃。
はい。
大丈夫だ。
何も心配する事はない。
旦那様。
私は旦那様の事を信じております。
何だ?どういう事だ?おい矢崎はどっちだ?二手に分かれるぞ。
見失うな。
おい。
(国安)どちらにしても…。
どこ行った!?おい!いないぞ!どうする?分からん!捜せ!おう!や〜っ!うわっ!や〜っ!国安!お前は国安ではないか!殿…。
ではこれは全てお前の主が仕組んだ事なのか?では小塚が…。
その上にいるのは福井という事か?殿!うりゃ〜!殿!おケガはありませぬか?大丈夫だ。
…して今の者は?
(戸を開けようとする音)・
(矢崎)菊乃!どうした?その勇ましいなりは。
旦那様!遅くなったな。
菊乃。
今まで苦労かけた。
ではこれからはもう何も心配する事はないんですね?ああ。
旦那様と私とおなかの子と3人で安心して暮らせるんですね!菊乃!そなた子ができたのか?はい。
なんと!いがった〜!いがった〜!みつ!みつ!・
(みつ)は〜い!菊乃に子ができたぞ!ハハハハハハ!・
(みつ)いがったな〜!
(矢崎)あっそうだ!名前を考えんとな。
まだ気が早いか。
すまん。
まず祝いじゃ。
(菊乃)はい。
不正を働いた家中の重臣は切腹を申しつけられたらしいな。
あの寺で起きた刃傷沙汰も結局家中の騒動によるもの。
じゃあ鼠は一切関係なかったって事ですね?ク〜ッ!親分随分うれしそうですね。
バカ野郎!何言ってやがる!
(2人)アチチチッ!それより徳五郎!へい!そこまで鼠を間近にしておきながらまたしても鼠を取り逃がしたお前たちときたらこの先も見込みはないぞ。
旦那!今度こそは必ず!なっ!へい!もう聞き飽きた。
すいやせん!ちょっと!ここはそば屋だよ!そばも食べずに帰るんじゃないよ!よしよし!ヘヘヘヘヘ!親分とんがらし!とんがらし?そばはこのままが一番うめえんだよ!うん!じゃあとんがらし…。
小袖さんってやっぱり変わった方ですね。
そうかしら?だってここにいる間中次郎吉さんの話しかしないんですよ。
「ちゃんとごはん食べてるかしら。
ちゃんと夜眠れているかしら。
ちゃんと朝起きて顔洗って厠へ行ってるのかしら」。
あっ。
(千草)小袖ちゃんったら…。
せっかく大名屋敷に忍び込んだのに何にも盗らずに帰ってきちゃったの?相変わらずまぬけな鼠ね。
お前もう歩けるんじゃないのか?下ろすぞ。
アイタタタタ!わざとだな。
イタタタタ!痛い痛い痛い!兄さんあっちへ行って。
えっ?こっちの方が近道だよ。
いやあっち!遠回りだろ。
遠回りしたいのよ!どうして?どうしてもよ。
いいじゃない。
ケガ人の言う事は聞くもんよ。
もうくたびれたよ…。
だらしないわね!はい!久しぶりですね権一さん。
お前が生きてた事に驚いてるよ。
島から戻ってくる。
何もなきゃいいんですがね。
貴様よくも仁吉さんを!仁吉を殺したのも松林家か…。
あの時と同じ目を見たような気がしたの。
お前はまだ6つだったのに覚えているのか?・「傷を負った瞳そこに安らぎはないのか」・「涙のそばで生きるのか」・「ひとりで抱えながら」・「終わらない悲しみひととき忘れてみないか」・「その闇を切り裂いてやる」・「俺の胸で眠れ」・「千年恋慕咲き乱れよう」・「散りゆくとて悔いなどない」・「尽き果てるまでともに生きよう」・「あらがうほど運命は無情」・「ゆえに固く結ぶ絆」・「腕に抱いて交わす契りは」・「とこしえの愛」2014/03/06(木) 20:00〜20:43
NHK総合1・神戸
木曜時代劇 鼠(ねずみ)、江戸を疾(はし)る(7)「容疑者・鼠の逆襲」[解][字]

岡田義徳が堅物の侍の役でゲスト登場!ある夜重吉という男が切り殺され、徳五郎が現場で鼠小僧の姿を見る。果たして鼠小僧は初めて殺人を犯したのか?鼠の逆襲が始まる。

詳細情報
番組内容
岡田義徳が、堅物の侍の役で、ゲスト登場する。ある夜、重吉という男が切り殺された。徳五郎(高嶋政宏)は、殺人現場で鼠小僧(滝沢秀明)の姿を目撃。果たして、鼠小僧は初めて殺人を犯したのか? 徳五郎は、事件の真相を見極めようと捜査に奔走。そして鼠小僧の逆襲が始まる!
出演者
【出演】滝沢秀明,忽那汐里,