古くから下請けの町工場が集まる東京大田区
ここ大野精機もその一つ。
金属加工が専門で丸く仕上げるのを得意にしている
日本のものづくりを縁の下から支えてきたが現在その立場は年々厳しくなっている
(スタッフ)それはどうしちゃったんですか?
日本全体でも下請け仕事に頼る中小企業は淘汰され続けている
その大きな原因はエレクトロニクス産業をはじめとする…
しかし逆境に立ち向かう会社もある。
モーター一筋40年の工場が超小型電気自動車を開発。
部品を作っていた小さな工場は高級スピーカーで逆襲
今夜はその答えに迫る
まずは中国山地のど真ん中へ
辺りいちめんには雪をかぶった田んぼが広がる
こんな田舎町に今ちょっと話題の場所が。
以前は料亭だった建物。
今は改装しショールームになっている
奥にはソファーで音楽を楽しむ人が。
この人たちのお目当ては…これ。
不思議な形をしたオーディオ・スピーカー。
名前はエグレッタ。
2本1組で26万円という高級品だ。
このスピーカーの音を聴きたいとお客さんはわざわざ来ているのだ
こんな人がいっぱい。
人気の理由は音質のよさ。
更に独特のデザインはグッドデザイン賞も受賞している
こちらは実際にスピーカーを買ったお宅
(スタッフ)すみません。
以前は高校教師だった山田さん夫妻。
今はリタイアし悠々自適。
あのスピーカーは…
あった!
〜
これで音楽を聴くのが毎日の楽しみに
即決だったね。
そのスピーカーを作っているのは…。
えっプレハブのような社屋。
オオアサ電子という会社だ。
中ではあのスピーカーが組み立てられていた。
部品はすべて日本製。
メード・イン・ジャパンにこだわり職人がひとつ一つ組み上げていく
仕掛け人はこの男
オーディオブランドエグレッタを3年前に立ち上げた
このエグレッタ普通のスピーカーとは音の出方が違う。
普通のスピーカーは音は正面に向かって出る。
つまり音の向きは一方向。
一方エグレッタは筒の下から出てきた音をこの蓋で水平の向きに変える仕組み
つまり無指向性でその場で楽器を演奏したときと近い状態になるのだ
3年前に発売すると口コミで人気が広がり今では東京の量販店でも売られるように
無指向性スピーカーいかがですか?
このスピーカーでにわかに脚光を浴びるオオアサ電子しかし
売り上げの中心となるのはまったく別のものだそれは
作っているのは車の走行距離やスピードを表示するインパネの部品
取引先のあらゆる要求に応える技術と少量発注も受ける姿勢で生き残ってきた
その創業は長田が26歳の1983年
社員5人からの出発で当初は簡素なLED部品を作っていた。
その後大手自動車部品メーカーの下請けとなり液晶パネルの分野に進出。
これが国内外の高級車のインパネに採用され成長
ただしその8割はある取引先1社に頼っていた
激震はその年の9月リーマン・ショックが起こるとアメリカから連鎖する形で世界経済は一気に冷え込んだ
翌年長田は頼りにしていた大口取引先に突然呼び出された
その席で告げられたのは…
実際工場の操業も止まった。
それでも長田は
妻の千鶴にはこう告げたという
長田がまずやったのは従業員との話し合い。
毎日打開策を考えた
売り上げの80%を失ったオオアサ電子。
崖っぷちに追い詰められたとき出した答えは
みんなで出した答えは
自社製品を作ろうと決めた。
そしてまず挑戦したのが自社製スピーカーの開発だったのだ
実はCD再生装置などオーディオ関連の製造も請け負っていた経験があった
2年の開発期間を経てエグレッタは完成。
下請け会社が完成品メーカーになった瞬間だった
スタジオにオオアサ電子が開発したスピーカーエグレッタを持ってきていただきました。
(鳥の鳴き声)ほんとだその場にいるみたいな…。
生の音っていうのがすごく伝わりますね自然の音だと。
(鳥の鳴き声)おぉ。
(鳥の鳴き声)へぇ。
(鳥の鳴き声)このエグレッタってシラサギって意味なんですよ。
でシラサギって名前に命名したんですよね?そうなんです。
そのときに窓の外にシラサギがいたらしいんですよ。
あぁすごいですね。
よっぽどあれですね自然な環境なんですね。
そうですねでもそれは縁起がいいじゃないですか。
そうですね。
1年後までに取り引きをゼロにしてですね主に製造を中国に移すとかって言われた瞬間の心境ってのはどうだったんですか?ひょっとしたらそういうことがあるかもしれないっていうのはなかったんですか?そうですね。
そのおかしいっていうのはどんな感覚だったんですか?そういったリーマン・ショック後に安易にもちろん倒れないでですねここで踏ん張ろうと思われたいちばんの要因は何だったんでしょう?例えば下請けの部品メーカーと完成品メーカーとでは会社組織が違いますよね。
そこも大変だったんじゃないですか?でも完成品メーカーだと営業は必要だし。
営業のノウハウ的なものも一から皆さん社員の…。
いやこれもですね
オオアサ電子にはこんな新製品も。
スマホに貼ったら
では叩いてみたいと思います。
え〜何すんの!
現在オオアサ電子は次世代スピーカーの開発に取り組んでいる
見せてもらうとえ?これがスピーカー?
これが特殊…これがノウハウになってくるんですけど。
試作品は蛇腹のように折り畳んであった。
普通のスピーカーとどう違うんでしょう?
このスピーカーというのはここのそれに対しましてフィルムスピーカーというのはこれが実際に振動板に相当するもの。
これも振動板と呼んでおりますけど…。
この構造なら大幅な小型化も可能
更にこのスピーカーにはもう一つメリットが。
ハイレゾという音域を再生することができる
ハイレゾとは人間には聞こえない20キロヘルツ以上の高周波を含む音のこと。
この特性が新たな可能性を生み出しているのだ
その一つがこちらに。
広島市内の施設でハイレゾの研究が進められている
フィルムスピーカーは車に設置。
この音が意外な効果を生むかもしれないという
一方で得意の液晶パネルの技術を応用した新商品も
液晶パネル作りには頑丈な強化ガラスが必要だがその切断は難しい。
オオアサ電子は長年にわたって切断技術を極めそこからある商品を作った
これだ
一見ただのスマートフォンの保護シートだが実はこれがすごい代物
実験に使うのはスマホの模型。
で何をするのかと思ったら
では叩いてみたいと思います。
え?ハンマー?
ちょちょっと…そんなに強く?
しかし強化ガラスはビクともしていない
衝撃に強い強化ガラスなどの4層構造になっており厚さ0.5ミリながらきわめて頑丈なのだ
今度はカッターナイフ!
やはり傷は1つもついていない
このスマホの保護ガラス去年12月に発売したが現状はネット通販で細々と売っているだけ
しかし大きなチャンスが到来。
長田がやってきたのは…
あのソニーに呼ばれたのだ
どうもお世話になります。
お世話になります。
待っていたのはソニー製品の企画販売を行うグループ会社の担当者
ええ今日はいくつか用意をしてますけども…。
テーブルにはスマホやゲーム機が。
こうした商品の画面に貼るアクセサリーをあの強化ガラスで作れないかという相談だ
長田はわずか10日でサンプルを作ると約束した
わかりましたそれじゃあよろしくお願いいたします。
どうもどうもありがとうございました。
仕事を待っていた下請け時代。
今は攻めの姿勢で仕事を生み出す
下請けっていうのは親会社なり外注するところから言われたことをやればいいっていうようなことを皆さん思ってたりしますけど言われたことがものすごくレベルが高いことが多いですよね日本のメーカーの場合には。
そういう難しさと今度は完成品メーカーを目指すってときには非常に細やかな言われたことを忠実に正確にできる技術の他に企画開発力とか違うものが必要ですよね。
そういったことでは難しくはなかったんですか?時間かかりました?それは話し合っていくことでできてくるものなんですか?意識改革みたいなものは。
なんていうんですかね下請けと元請けっていうか大企業とか子会社とかっていうその関係性そのものが…。
例えば今までは大手企業があったということはピラミッドではなくてフラットな感じになってきたってことですか?でもそれは逆にフラットな結びつきの新しい組織って…。
そういうところに参加するためには確かな技術がなきゃダメだってことですよね。
一つ私が思うのはそういうネットワークはもう作り始めてるんですか?そこは最大の強みなのかもしれないですね。
そこで注目を集めたのは日本の技術が世界をリードするハイブリッド車や電気自動車
そしてこのとき…。
こんな車もお客の視線をくぎづけにした
それは2人乗りの超小型電気自動車
全長2.5mというコンパクトさ
会場では即反響がありドイツの大手自動車部品メーカーやイタリアの自治体国内のベンチャー企業などが接触をはかってきた
ここにあの電気自動車を作った会社がある。
今夜のもうひとつの主役TOP。
このシャッターの奥には血のにじむような戦いの歴史が。
そして自らの手で未来を切りひらいた男たちがいる
福井県のローカル企業TOP
あの電気自動車の試作車ができたと聞き駆けつけると…。
これだ。
そこに現れた作業着姿のこの男こそ…
ようやく完成した試作車。
その初めての試乗に社長自らハンドルを握る
最高時速70キロを目指す設計だ
上々の仕上がりに山本はご機嫌
車体には炭素繊維を使い重さは軽自動車の半分に抑えている
この車の最大の売りはここに。
モーターだ。
実はトップは自動車メーカーではない。
モーターの専門メーカーだ
家電などさまざまな分野で使われるモーターを月に8万個生産している
実は11年前までは違う名前の会社だった
あの松下電器現在のパナソニックが100%出資した子会社だったのだ
しかし2003年松下は製造拠点の一部を中国へ移し武生松下を清算する決定を下した
清算が決まっても多くの社員が地元で働き続けることを望んだ。
そこで武生松下の中間管理職だった3人が立ち上がる
土地と設備は松下電器から借りたが資本は大企業の後ろ盾などない再出発
山本は当時課長資本金を出した1人だ
妻の直子は当時をこう振り返る
周囲の動揺や不安は大きかったが山本は自分たちが磨いてきたモーター製造の技術力にかけた
というのもTOPのメンバーは長年モーターを作り続けてきたエキスパートばかり
モーター製造はどんなに進化しても手作業に頼る工程が多くベテランたちの力がものをいうはずと信じたのだ
しかし会社は生まれ変わったものの取引先はかつての親会社だけ。
このままではジリ貧新たな活路を求める日々が続く
そんな創業2年目に転機が。
ある展示会で声をかけられた
それは壁紙に糊を自動的に塗る機械。
職人さんの専用機械だ
現場へ運ぶのもひと苦労
巨大なモーターが重さの大きな原因だった
そしてわずか数か月後TOPは小型で軽いモーターを開発
結果100キロあった機械はなんと28キロになった。
これがTOPが家電以外に作った第1号モーターだ
これを出発点にあらゆる分野のモーター開発に乗り出す
ここで作っていたのは…
こうした開発が次につながっていく
電動アシスト自転車のモーターをベースに開発したのが…
数年がかりで開発すると幸運なことも
自動車業界にも食い込みこれでやっと軌道に乗るかと思われた。
しかしそれもつかの間
リーマン・ショックがTOPも直撃
いちばん先頭に先にたちますからね。
この大ピンチにTOPは意表をつくものを作り出す。
モーターメーカーが作ったのはなんだ?
リーマン・ショックで追い詰められたTOP。
工場は開店休業状態となり社員は仕事をしようにもすることがなくなった
絶体絶命の窮地。
そこでTOPが作り始めたものがこの倉庫の奥にある
お米だ。
近くの休耕田を借りて仕事のなくなった従業員たちでなんとコメづくりを始めたのだ
なりふりかまっていられなかった
そのコメは危機を脱した今も作られている
味噌汁ちょうだい。
これがご飯ですうちの。
農業でなんとかピンチをしのぐと翌2009年には…
以前電気自動車を共同開発した自動車メーカーからハイブリッドモーターの開発依頼が舞い込んだのだ
そのメーカーはハイブリッド競争では後発。
市場参入を急ぎ既存の四輪駆動車をハイブリッド化しようとしていた。
だから車体の構造は大きく変えられない
TOPへの要望はエンジンの後ろのこのわずかなスペースにおさまる小さくてパワフルなモーターの開発
しかも他のメーカーが10年かける開発を4年でと言われた
当時の開発担当者は…
(スタッフ)そんなことできると思いました?
限られた時間そして予算のなかでTOPは開発にあたった
そして作り上げたのがこの
このモーターを搭載した新型車は無事去年デビュー。
予想以上のヒットとなっている
このモーター月産800個で始まったがいまや3,000個。
24時間体制の製造が続いている
船出から10年。
多種多様なモーターを手がけるようになり取引先も増やしてきたTOP。
今ではパナソニック以外の売り上げが4割を占めるまでになった
こうして会社は生き残った
実際に工場閉鎖とかっていうのをお聞きになったときのその…なんていうんですかぶっちゃけどんな感じだったんですか?流れからすると当然海外のほうに仕事が移っていくということについてはですねやっぱりそれなりの腹づもりはできていたわけですよね。
資本金を持ち寄ったんですよね?1,000万円を。
中間管理職の皆さんで。
ですね。
資本金の一部を出されたときというのはなんて言うんですかね自信と言いますか勝算と言いますかなんとかなるんじゃないかというようなポジティブな気持とどうなるんだろうなというネガティブな気持とどんな感じだったんですか?あの…まぁやっぱり…。
中小工場は生き残るのは自立であると。
それで独自技術で製品開発を行うんだってことをおっしゃってますがこれまでは100%ほとんど親会社が買ってくれたわけでその販路を開拓するのは大変だったんじゃないですか?
今TOPはどのような経営状態にあるのか?
この日朝一番で開かれた幹部会では先月の売り上げが報告されたが…
確かに最後のターゲットというところが今まだ…。
前向きな答えが得られないと
ほぼいいところまできてる…。
思わず飛んだ厳しい言葉。
業績は決して楽観できるものではない
まだまだ続く苦難の道を山本はいかに歩んでいこうとしているのか?
下請け会社がその大きな取引先からあんたのところの部品はもういらないと中国で作るからとかって言われたときにですね。
その…立ちすくんで倒産したり閉鎖したりする会社のほうが僕は多いと思うんですねこれまで。
そういう会社が圧倒的に多い中でTOPがこれまでサバイバルしてこれた理由っていうか条件っていうのはなんだったんですかね?う〜ん難しいですね。
これが一つの思いとしてありますのでね。
それではですねその誇れるというか他にはない技術を持ってるんだというような技術を持ってないところはまずダメですかね?まぁダメというよりもっとそこに一つはそこから持とうと思っても遅くないですか?そう遅くは…それはまずないと思ったらそっから努力を始めないと…そしたらなんとかなるかもしれないと。
そんなもんじゃないんですかね。
あぁそうかそうか。
収録を終えて村上龍はこんなことを考えた
2014/02/20(木) 21:54〜22:54
テレビ大阪1
カンブリア宮殿【下請け脱出スペシャル!未来は自分の力で切り拓け!】[字]
日本の製造業の縁の下の力持ち、下請け中小企業。今、発注元の業績不振や海外生産移転で仕事がなくなり、存亡の危機にさらされている。生き残るための策とは?
詳細情報
番組内容
大手企業から部品製造や加工・組み立てなどの仕事を請け負う下請け企業は、日本の製造業を支える縁の下の力持ちだ。しかし、発注元の業績不振や海外生産移転で仕事がなくなり、存亡の危機にさらされる可能性もある。今回登場するのは、それが現実となってしまった中小企業2社の社長。小さな工場が自らの力で生き抜こうと奮闘する姿を追う。
出演者
【ゲスト】
オオアサ電子社長 長田克司
TOP社長 山本惠一
【メインインタビュアー】
村上龍
【サブインタビュアー】
小池栄子
お知らせ
次回の「カンブリア宮殿」は、2月27日(木)夜10時30分から放送します。
関連情報
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