どげんや?駅にはいませんけど…。
電車に乗ったか駅員に訊いたのか?いいえ…。
アホ!もういっぺん行って訊いてこんかい!…はーい。
「はーい」じゃない!
(菊島晴子)どっかで行き倒れにでもなってるのかしらねぇ。
(菊島清治)おう笠間。
社長いたかい?
(笠間)いいえ。
どこへ行っちまったのかねぇ。
・ごめんください。
(内藤千秋)大輔君!これこれ…!
(三上大輔)千秋これ…!しかし女の執念てのはすごいねぇ。
そりゃそうよ。
定価7万円のスーツが9800円だもん。
買わない方がどうかしてるわよ。
俺もさポロシャツの襟がヨレヨレになっちゃって1つ新しいの欲しいかなぁ…。
司法試験に合格したら何でも買ってあげる。
司法試験ねぇ。
いつのことやら…。
どうしてそう情けないこと言うわけ?「今年こそ絶対合格する」とか言ってみなさいよ。
そりゃあ毎年言ってんだけど毎年落とされてんだ。
今年で8回も。
ハハハハ…。
笑い事じゃないでしょう!なんか情けなくてお腹空いてきちゃった。
ハンバーガーでも食べようか。
もったいないよ。
俺が何か作るからさ家帰って食べよう。
ハンバーガーぐらいでどうしてそうせこいこと言うの?そりゃあさ家計をあずかる私としては節約しないとね。
お金はね使わないと入ってこないのよ?使う金がない場合はどうすんの?ヒヒヒ…。
・ちょっとお嬢さん!
(野村舞)もういいかげんにしてよ仕事の邪魔でしょ!
(菊島衆太郎)頼む!お母さんの名前だけでいい教えてくれ!野村由香。
じゃあね!ああ君!お母さんに会わせてくれないか?離してよ!しつこいわね。
あちょっとお嬢さん…!大丈夫ですか!?申しわけない。
見知らぬお方に…。
こういうときはお互いさまですから。
本当に病院へ行かなくていいんですか?ええ。
薬を飲みましたからもう大丈夫です。
心臓が悪いってわかってて興奮したらダメじゃないですか。
あんまり娘の純子にそっくりなもんで思わず興奮してしまって…。
娘さんですか?はい。
ちょうど20年前に駆け落ちした娘です。
駆け落ち…。
東京の知人が純子にそっくりな女の子がいると連絡してきたもので急いで熊本から飛んで来たんです。
熊本…。
いま一度彼女に会わなきゃ。
ダメですよそんな体で。
そのために東京に出てきたんですから病気がどうのこうの言ってる場合じゃないですよ。
私にはあまり時間がないんですよ…。
時間が?あの世にいく前にどうしても娘と孫を捜し出さんと…。
あの世って…!さてとお世話になりました。
ちょっと待ってください。
せめて今日一日ここで休んでからいらした方が。
ご好意は大変ありがたいんですがいつ心臓が爆発するかわからんのです。
そんな悠長には構えておれんのですよ。
爆発って…。
どうしても行かれるつもりですか?もちろんです。
そうですか…。
ちょっと待ってください。
こちらに座って。
千秋。
あのさあの子のお袋さんに会って菊島さんの娘さんかどうか確かめてくるよ。
どうして?あのまま行かせるわけにはいかないよ。
そんなこと言ったっていま会ったばっかりの人よ?だけどさ爆弾抱えたあの体でまた行動してみろよ。
ポックリだよポックリ。
ポックリ…?
(野村由香)そうそう…いいですよ。
あっ!それあのおじいさんの娘の写真?うん。
ホント。
私と似てるわ。
(三上)菊島さんは体の具合が悪くなってもう熊本の方へ帰ってますから私がその代理で。
でもご覧のとおり私まったくの別人ですから。
どうやら菊島さんの間違いのようです。
本当に失礼なこと言って申し訳ありませんでした。
もし間違いじゃなかったらさあのおじいさんどうしたかったわけ?2人が菊島衆太郎さんの娘さんかお孫さんの可能性が少しでもあったら熊本の家の方に連れてきてもらえないかって頼まれてたんだ。
そっか。
それじゃこれで失礼します。
本当にすいませんでした。
私行くわ。
えっ?だって私があの人の孫って可能性もあるわけじゃん?なに言ってるの舞!?私行くから。
熊本。
すっごーい。
阿蘇は初めてか?うん!うち超ビンボーだからさ旅行なんかしたことないんだよ。
あっ!あれウシじゃんウシ!
(三上)あホントだ。
ウシだ。
ウッシッシ…。
ったく大輔の奴!今ごろ鼻の下伸ばして…。
(森田雄太郎)千秋。
びっくりした。
何ですか?実は見合い話があるんだ。
見合い?それがね相手の実家相当金持ちらしいんだ。
金持ち?うん…。
いい男ですか?男じゃない女だよ。
女?だって俺の見合い話だもん。
なぁんだ〜バカバカしい。
俺は断ろうと思ってんだけど…。
じゃあ断ればいいじゃないですか。
だけどな俺も前の女房と別れて7年になるし…。
お袋も一日も早く孫の顔が見たいって言ってるし。
そう簡単には断れないんだよ。
いろいろと考えてみたんだけど東京に恋人がいるって言えばお袋もこの見合い諦めるんじゃないかと思って。
…どう思う?どう思うってどうでもいいですけど。
いい?あそう。
決まりだ。
一緒に明日田舎行こう。
一緒にって?俺の恋人としてだよ。
えっ!?嫌ですよそんなの〜。
頼むよお願い。
嫌です!失礼します。
《愛さえあれば年の差なんて…》そのとおり!ねっ行こう。
熊本。
馬刺もうまいし。
…熊本?うん。
俺の田舎熊本の阿蘇山の麓なんだよ。
熊本…。
おぉ…ここだ。
ごめんください!
(影山優子)はーい。
社長にお客様です。
東京からいらした三上さんです。
(菊島春樹)伯父さんはいま取り込み中なんだ。
菊島さん…!やっぱり三上さんだ。
あっ君は…。
ということはこの子はやっぱり純子の…?あいや。
まだはっきりしたわけじゃ…。
純子さんの何なんだ?
(衆太郎)お前には関係ない!三上さんちょっと厄介なことになりましてですな。
厄介なこと?
(衆太郎)こちらへ。
(笠間)どうぞ。
紹介しよう。
私が東京で大変お世話になった弁護士志望の三上さんだ。
どうも初めまして。
そしてそのお隣が…見てのとおり私が純子の娘じゃないかと思って三上さんに連れてきてもらった野村舞さんだ。
(笑い)
(晴子)確かに顔は純子に似てるけど兄さん顔なんて整形すれば誰でも純子に似せることができるでしょうが。
はっ?整形なんかしてねえよ。
何ですかその下品な言葉遣いは!うっせーな…。
何ですってこの小娘が…。
ちょっ…。
(菊島恭子)ヒステリー。
恭子!
(菊島清治)単純ですな義姉さんは。
こんな偽物相手に本気で怒ることもないでしょう。
(晴子)よそ者は黙ってなさい。
妹の亭主がよそ者ですか!?よそ者でしょうが。
血がつながってないんだから。
よさんか!お客さんの前で。
三上さん。
実は私半年ほど前心臓の発作で倒れましてね。
そのときこの菊島酒造の跡取りをどうするか不安になりましてね。
だから兄さん!それはこの春樹に。
いま三上さんに話をしてるんだ。
黙ってなさい。
普通に考えればそこの妹の息子の春樹に跡を任すことになるんでしょうが…。
(衆太郎)しかしこの男に跡を譲ればきっと菊島酒造を売り払ってカラオケボックスにでもしてしまう!叔父さん!いつ僕がそんなことを言いましたか。
言わんでもわかっとる!そうよ。
春樹なんかに任せられるもんですか。
となると下の妹の旦那ということになるんだが…。
その男だって同じことでしょうが!だいたい兄さん。
どうしてこんな見も知らぬ他人に一族の恥をさらすようなことを言うんですか!まだ出会って間もないがこの人はお前たちとは比べものにならんくらい信頼できる人だ。
あら〜そうですかしら。
なんですか物欲しそうな顔に見えますが…。
恭子!お客様に対してなんて言いぐさだ!ねえ兄さん伺いますけれどもしこの人が純子の娘ならばこの広美っていう子はいったい何なんです?
(晴子)純子には2人も娘がいたんですか。
どうせ2人とも財産目当てのにせ者でしょうが!にせ者同士で跡取り争いっていうのもなかなか見ものかもしれませんな。
ハハハ…。
やめんか!失礼な。
(木村慎吾)菊島酒造の顧問弁護士をしております木村と申します。
どうも三上です。
しかし大変なところに出くわしてしまいましたね。
どういうことなんですかあれは?社長の体の具合が悪くなったので早めに跡取り問題を片づけてしまおうということなんですがとにかくご兄妹の仲が悪くて。
腹違いだからなのか性格が合わないからなのかとにかくいつもあんなふうに。
腹違い…?ええ。
菊島社長が本妻の息子さんで晴子さんは先代が芸者さんに生ませた娘さんなんです。
その息子さんが春樹さん。
菊島酒造の常務をしています。
それから下の妹さんの恭子さん。
先代と従業員だった女性の間にできたお嬢さんです。
そのご主人の清治さんは菊島家に婿入りして専務をしています。
春樹さんか清治さんが社長と相性が合えば次期社長はどちらかになるはずだったんですが先程の社長のお話のとおりどちらもお気に召さないようでして。
それで20年前に駆け落ちなさったというお嬢さんの子供に跡を譲りたいと?そういうことです。
それで3か月ほど前私に娘の純子さんとお孫さんを捜してほしいという依頼があって。
探偵社に頼んで捜してもらったんです。
それが先程座敷にいた…。
ええ。
奥田広美さんです。
(木村)ただしまだ確定したわけではなくてその可能性が高いということなんです。
そうですか…。
(木村)それで社長が言うには舞さんか広美さんかどちらが本当のお孫さんかはっきりするまではこちらにいていただけないかということなんです。
もちろん無理にとはいいません。
しかし皆さんのあの様子ですと…。
わかりました。
じゃあ私こっちにいます。
ぜひそうしてください。
それでは私はまた修羅場に戻ります。
お前いいのかよあんな簡単に返事して。
だってそのために熊本まで来たんでしょ。
だけど随分もめてるようだしさ。
きっと嫌な思いするぞ?平気だよあんなおばさんたち。
お母さんだって心配してるだろうし。
あの人のことはいい。
「あの人」って…。
何で母親に対してそういう言い方するかね。
だって…ママは私を生んだママじゃないもん。
どうして…?どうしても!どうする春樹…。
伯父さんが俺を社長にする気がないならあいつらを利用するしかないな。
利用?どうやって?あのにせ者娘たちのどっちかを跡取りにして俺の言いなりにする。
兄貴の奴どうしても俺を社長にはしないつもりだな…。
でもね春樹なんかに社長を継がせる気はないでしょう?あの娘たちのどっちかだな…。
2人とも追い出せばいい。
どうせにせ者なんだから。
お疲れさま。
さ行こう。
運転手さんご苦労さん。
おつりいいからね。
こっち。
あっ!雄太郎!母ちゃん…!早かったね。
だってどんな嫁さんが来るかと思ったらもう気になって…。
家にいたってさ背中がムズムズしちゃうから…。
あらま…!この方ね?うん…ああそう。
会社の部下で恋人の内藤千秋さん。
内藤です初めまして。
まあまあまあ…ようこそ!お前顔は十人並みだなんて言いよったばってん立派な美人じゃなかね。
十人並み…。
母ちゃん!余計なことば言わんで…。
あなたなら村一番の美人の嫁さんですたい。
ではまずお風呂に入りましょ。
ね千秋さん。
はい!…えっ?よかお湯ね…。
ええ。
あなた着やせするとね。
…そうでしょうか?赤ちゃんには母乳が一番たい。
その点千秋さんは…。
大丈夫なごたるねぇ。
そうでしょうか…。
母ちゃん変なとこ見たらあかん!千秋が嫌がっとるわ!何が変なことなもんか!中学入るまで母ちゃんのおっぱいしゃぶっとったくせに。
中学入るまで!?そう。
バカなことば言いよっと!小学校入るまでの間違いやろう!うんにゃ中学たい!ヤダ…変態!へ変態…!?ちょっとねえ!
(舞)すっごいね…。
(清治)ここから落とされたら一巻の終わりだな。
いくらで手を打つ?はっ?どうせ遺産目当てのにせ者なんだろう?手ぶらで帰れとは言わん。
いくら欲しいんだ?金が目的で来たんじゃありませんよ!行こう。
ささ千秋ちゃん天辺着いたばい。
千秋!!あっ!あっ…!?何であんたまた…。
編集長こそどうして?お知り合いね?ああ…。
雄太郎がいつもお世話になりまして。
いや僕は…。
母ちゃん俺はこんな奴の世話になんかなっとらんと。
むしろこいつが千秋の…いやいや。
(しらけた笑い)
(森田の母)お味噌がちょうどよく焦げたらひっくり返して焼いて両方焦げたら食べられますけんね。
はいお義母さま。
まあよか響きね〜。
ええ嫁になりますたいなあ。
嫁って…!まあまあ…。
しかしあんたもひどい人だねぇ。
はっ?千秋の部屋に居候して何から何まで世話になってるくせにあんな若い子と内緒で旅行するなんて…。
内緒って…。
随分お年の離れた恋人のようですけど三上さんはお若い女性がお好きなんですか?千秋!世の中にはおかしな人もおりますたい。
嫁さんにセーラー服着せてみたり。
母ちゃん!テレビで言うとったよ!ところで千秋さんとあなたとはどういうお知り合いね?あぁあの…。
お義母さまもうこれいいですよね?おかえりなさい。
なあに?ふーん…。
・ごめんください。
こちらに野村舞っていう子がお邪魔してませんでしょうか。
(清治)野村舞?あなたは?舞の母です。
お母さん!?お邪魔していませんか?いらしてますよ。
いまちょっと出かけていますが。
そうですか。
ちょうどよかった。
彼女のことでお母さんに相談が…。
(衆太郎)まおひとつ。
うちの酒です。
ちょいと誰か!・はーい!何でしょうか。
うちの主人どこ行ったの?先程捜したんですけどどこにもいらっしゃいません。
ちゃんと捜したの?妙ですねぇ飯だけは人一倍食べる人が食事時にいないなんて。
よっぽどいいことがあるんでしょう。
何ですって?知らぬは女房ばかりなりって。
どういう意味ですの姉さん?食事時ぐらい静かにできんのか!笠間!もう一度捜してきてちょうだい。
はい。
恭子さんはお座敷の方ですか?さあ…。
人殺し!!
(木村)恭子さん!泥棒猫!よくも人の亭主を!
(恭子)放して…!
(木村)落ち着いてください!おいもう帰ろう。
帰らない。
どうして?お母さんだって心配してるだろう。
いいのあの人は。
どうしてそういう言い方すんだ?三上さん関係ないんだからさほっといてくんない?舞!
(千秋)大輔君。
ニュース見たわ。
大変なことになったわね。
千秋には関係ないだろう。
同じ跡取り問題でも編集長のお袋さんには大歓迎のようだったしね。
バカね拗ねちゃって。
お義母さんには正直に話してきたわ。
編集長とは何でもないって。
そうなの?もっとも察してたみたいだけど。
そらそうだろう!千秋と編集長じゃ似合わないよ。
うれしそうな顔して。
よっぽど私に惚れてるのね。
えっ?それよりその専務の菊島清治って人やっぱり他殺だったの?背後からこん棒のようなもので後頭部を一撃されているのが直接の死因らしい。
それで容疑者は?いま事務の影山優子って人が警察で取り調べを受けてる。
専務と不倫してたのは認めますけど…私が専務殺してどうなるっていうんですか?
(桂木刑事)それをあんたに訊いとるんだろうが。
(嶋田刑事)ガイシャの死亡推定時刻の午後7時には彼女が事務所で帳簿をつけているのを何人かの従業員に目撃されていました。
そうか…。
(優子)ほらアリバイ証明されたでしょう?だから最初からそう言ってるじゃない。
バカね〜。
姉さんがやらせたのね?バカを言いなさい!
(恭子)そうなのね!?ほんっとにあんたは子供のときから頭悪いわ。
あんな男は最初から相手にしてないのよ。
いてもいなくても同じなの。
そんな男殺すわけがないでしょう?バカね!チクショウ!
(ノックの音)どうぞ。
葬儀はどういたしましょうか。
こんな亡くなり方ですので密葬にしたらどうかと…。
先生。
はい。
考え直した方がいいんですかね。
このままだとまた何か嫌な事件が起きるような気がする。
とおっしゃると具体的には春樹さんに社長になっていただくということですか?しかし春樹さんが社長になったらまた恭子さんが黙っていません。
やはり社長のお考えどおり広美さんか舞さんかどちらが本当の純子さんのお嬢さんかそれをはっきりさせるべきなんじゃないでしょうか。
(木村)社長のお孫さんが跡を継ぐ。
それが一番いいと思います。
・三上さん!ちょっとお尋ねしたいんですが。
あぁ…僕の親しい友人ですからご心配なく。
内藤千秋です。
菊島家の顧問弁護士をしております木村です。
で訊きたいことというのは?こんな事件が起きてしまったんで一日も早く相続問題をはっきりさせたいのですが舞さんには純子さんのお嬢さんであるという物的な証拠はあるんでしょうか?いえそれは…。
ありませんか。
広美さんにはあるんですか?彼女はこの写真を持っていたんです。
(木村)生後まもなく養護施設の前に捨てられた彼女の毛布の間にこの写真が入っていたそうなんです。
血液型はどうなんですか?純子さんがA型で駆け落ち相手の浅野さんがB型なんで2人の間からはすべての血液型のお子さんが生まれる可能性があるんです。
それじゃあ判断の材料にはならないわけですね?そういうことです。
影山さん。
釈放されましたか。
ええ。
ご心配おかけしました。
(木村)じゃ早速社長のところへ。
不倫相手が殺されたってのに随分あっけらかんと…。
シロだな彼女は。
どうして?殺すほど愛してなかったってことだよ。
三上さんお客様ですが。
お客様?ママ!舞もう帰ろう。
あなたはあの家の子じゃないしこれ以上ここにいたら皆さんにご迷惑かかるし…。
嫌だよ。
私こっちにいる。
どうして!?せっかくここまで来たんだよ?あの家の子かどうかはっきりするまで私こっちにいるから。
舞…。
舞ちゃん。
俺ももう東京に帰った方がいいと思うんだ。
こんな事件も起こってるしさ君だっていつ狙われるか…。
じゃあ三上さんも帰れば?
(舞)知ってんだよ私。
知ってるって何を…?もう嘘はやめて!私別にママを責めてるわけじゃないよ。
ただ自分が誰なのか知りたいだけ。
(舞)あの家の子でもいい…どこの家の子でもいいから本当は私が誰なのかそれが知りたいの。
帰るんだったら送るよ。
どうぞ。
(春樹)君のお袋さんが駆け落ちしたとき俺はまだ10歳ぐらいだったかな。
でもきれいな人だったからよく覚えてるよ。
純子さんはたったひとりのいとこだったからな。
でもホント純子さんによく似てる。
ママが来てるんだって?これからは菊島の家の子になるってちゃんと話をつけた方がいい。
だったら俺が相談にのってもいいぞ。
君は菊島家には大事な跡取りだからな。
どうして彼女あなたを本当のお母さんじゃないって言うんでしょうか。
何か彼女にそう思わせるような事件でもあったんですか?いいえありません。
あの…私舞ちゃんを見てるとお母さんが何か隠してることをとてもはがゆく思ってるそんな気がするんです。
例えば舞さんのお父さんのことですが…。
もしかして不倫でできたお子さんではないんですか?おい千秋…!失礼なのはわかってるわ。
でもそういうことをはっきりさせないと彼女東京へ帰る気にならないと思うの。
もう子供じゃないんだしどんな事情でも肝心なことは真実を話してあげることだと…。
そうすれば彼女だって「あなたはお母さんじゃない」なんてそんなこと言うはずがないと思うんです。
おっしゃるとおりです。
あの子の父親には確かに別に妻子がいました…。
でもあの子の母親は私なんです!私…絶対に渡しません。
・
(恭子)広美ちゃん。
今日から叔母さんがあなたの味方よ。
大丈夫。
あんな偽物すぐ追い出してあげますからね。
(ノックの音)
(衆太郎)どうぞ。
どうぞ。
舞さんのお母さんです。
あなたが…。
さどうぞどうぞ。
いやこの度は私のわがままで大事なお嬢さんを…。
もし間違いなら大変な失礼をしているとよくわかっていたのですが何しろお嬢さんが娘とうりふたつなもんで…。
(由香)でも舞は私の娘です。
明日にでも連れて帰らせていただきます。
お母さんの言われることは重々…。
でもあと少し待っていただけないでしょうか。
舞さんには何か感じるものがあるんです。
そうおっしゃられても…。
(衆太郎)何と言いますか肉親が感じる親しみとでもいうか…。
どうだった?伯父さん舞を母親に返すつもりはないようだな。
そう。
まあそれならそれで使いようがあるわ。
使いよう?舞の母親よ。
なんか感じるのこの部屋に。
(奥田広美)あなた本当にこの家の子だと思ってるの?あんたどうなの?私が純子さんの本当の子だと思ってるわ。
あなたのことどうこう言うつもりはないけどこの家の子は私よ。
お母さんなどうしても舞に帰ってきてほしいそうだ。
わかってやれよ…。
そりゃお母さんにだっていろいろ舞には言えない事情があるんだ。
だからといって舞の母親であることにはかわりはないんだから。
そうじゃないの三上さん。
ママは…私を生んだママじゃないの。
どうして…?何か確証があってそういうこと言うのか?高校1年のときだった。
ママが歩道橋の階段から落ちてケガしたことがあったの。
打ち所が悪くてね内蔵からすっごい出血しちゃって緊急手術されることになったの。
お医者さんに輸血が必要だからって言われて私真っ先に献血を申し出たの。
ママも私も同じAB型だから。
それでいざ採血するってときになって突然看護婦さんが怒りだしたの。
「あなたお母さんを殺すつもりなのか」って。
殺すつもり…?
(舞)ママ血液型O型だったの。
O型…。
中学のとき学校で血液型の勉強をしてね。
ママと「同じAB型じゃん」って話してたのに…。
嘘だった…。
舞がAB型でお母さんがO型だとすると…。
お父さんがどんな血液型でもO型のママからAB型の私は生まれない。
お母さんそのことを知らないんだな。
舞がそれに気づいたこと。
うん…。
言えなかった…。
そっか…。
でもママには感謝してるよ。
女手ひとつで私のこと一生懸命育ててくれて…。
病院で見たでしょ?患者さんのリハビリの手伝いしてるの。
あれ結構重労働でさ。
だけどさ私だって自分が誰だか知りたいの。
私の両親が誰なのか…どんな人なのか…。
それが知りたいだけ。
だからこんな事件が起こってもこっちにいたいの。
(舞)さっき純子さんの部屋に行ったの。
純子さんの?なんかよくわかんないんだけど…すごく懐かしい気がした。
空気とか匂いとか…部屋の飾り方とか…。
すごく落ち着く部屋だった。
あの部屋にいたら私…本当に純子さんの娘なんじゃないかって。
これで手を打ちませんか?
(由香)手を打つ?舞ちゃんは菊島純子から引き取った子だと証言してほしい。
そうしてくれれば舞ちゃんは菊島家の跡取りになって伯父さんが亡くなったときには遺産を相続します。
そうなったらお母さんも育ての親としてこちらにいらっしゃればいい。
楽ができます。
お断りします。
舞は私の子供です。
やめて!承諾してもらわないと困るんですよ。
あなたが「うん」と言わなければ舞ちゃんだってどうなるかわかりませんよ。
もうすでに1人死んでるんですからね。
そんなことさせません!だったら言うこと聞くんだよ!
(由香)やめて!
(パトカーのサイレン)菊島春樹。
菊島酒造常務取締役で長女の息子です。
刺殺か…。
凶器は?これでか…。
・
(晴子)春樹!あっ!春樹!春樹!春樹どうしたの?お母ちゃんよ!!
(晴子)春樹!春樹…!
(叫び声)いよいよ…残るのは広美とあなたね。
兄さんこの子が死ぬまで広美を跡取りになさらないおつもり?やめんか!こんなとき。
(恭子)こんなときだから言うの。
純子の娘だという証拠もないのにいつまでも居座るなんて…なんて図々しいんでしょう。
三上さんと舞さんにはわしが無理にいてもらってるんだ。
菊島さん申し訳ありませんがもう舞を連れて東京に帰ります。
そのほうがよろしいわね。
(衆太郎)三上さん…。
・
(木村)待ってください。
晴子さん!
(恭子)あら姉さんご愁傷さま。
何なのそのニヤついた顔は!放して!このままで済むと思うんじゃないわよ。
ちょっと…どういうことですか。
あんたもグルなら覚悟しときなさいよ!人殺しの娘を菊島家の跡取りにはしないわ!人殺しの娘って…。
大輔君…。
こんな事件が起こったので単刀直入にお話します。
何年か前に歩道橋から落ちてケガをしたことがありましたよね?ええ…それが何か?舞さんはそのときあなたに輸血をしようとした。
同じAB型の血液だと思っていたからです。
しかし…あなたの血液型はO型だった。
舞ちゃんには嘘をついていた。
そのときから舞ちゃんはあなたの本当の子供ではないと知っていた。
しかしそのことをあなたには言わなかった。
産みの親ではなくても母親はあなた1人だと思っていたから。
野村さんこのまま舞ちゃんをこっちに置いておいたら本当にいつどんな目に遭うかわかりませんよ。
東京へ帰りたいと思わせるにはあなたが本当のことを言うしかないんです。
確かに…舞は私が産んだ子じゃありません。
じゃあどなたの。
施設から引き取ったんです!どこの施設ですか?舞ちゃんを産んだ方について何かご存じなのでは…。
もう勘弁してください!舞ちゃんに話すにしても今の話だけじゃ…。
かえって傷つけるだけかもしれないわね。
どういう経緯で野村さんに引き取られたのかとかその辺はっきりさせてからじゃないと…。
ああ…。
調べてみるわ。
できるの?甘えた声の一つも出せば必死でやってくれる人が1人いる。
えっ?・
(電話の音)はいもしもし?おお千秋か!なんだまだそっちにいるのか。
早く帰ってこい!有給休暇まだ残ってますしあと2〜3回温泉入ってお肌すべすべになったら帰りますから。
おお…お肌すべすべか。
お母さん怒ってました?当たり前だろ。
「この大嘘つき」ってどなられたよ。
おまけに見合いまでさせられてよ。
で先方に気に入られちゃってよ。
大慌てで逃げ帰ってきたってわけ。
わぁこの色男。
女を泣かせて。
いやそんなこともないけどな。
ところで編集長に一つお願いがあるんですけど。
何だ?何でも言ってみろ。
2人の結婚を許してやればよかった…。
今思えばなかなか良い青年だったんですがね…。
あのころは私もまだ若くてね。
「従業員との結婚など絶対許さん」と…。
当時純子には熊本の政治家の息子と縁談がありましてね。
なかなかいい話で私は大乗り気だったんです。
その話がまとまれば菊島酒造も安泰だとそういう計算をしてしまったんです。
そのうちに純子が妊娠してることがわかりましてね。
私はカッとなってしまって…。
その後お二人を捜されなかったんですか?私にも意地がありましたからね。
純子を捜すようなことはしませんでした。
縁は切ったつもりだったんです。
しかし心臓の病で倒れてから純子のことばっかり気になりましてね。
「何とかしてもう一度純子に会いたい」「死ぬまでにもう一度純子に会って詫びがしたい」…。
そう思うようになりました。
しかしお二人に関しては何の手がかりも得られなかった。
駆け落ち後間もなく浅野は死んだということはわかりました。
死んだんですか?東京の建設現場で事故にあったらしいんです。
そうですか…。
浅野が死んで純子は1人で生まれたばかりの子供を抱えて暮らしているのかと思うと…。
どうして私に助けを求めてこなかったのか…。
純子の気持ちを思うと辛い…。
この疫病神!さっさと出てお行き。
このままここへ居座ってたら今度はお前が死ぬ番よ!わかってるのか!!桂木さん!目撃者が出ました!
(桂木)目撃者?
(ノック)野村由香さんは。
菊島春樹殺害の件でお伺いしたいことがあります。
署まで同行願います。
それどういうことですか?事件の夜タクシーの運転手が「長陽ヶ滝の前であなたを乗せてこのホテルまで来た」と証言してるんです。
大輔君。
千秋!よくここがわかったな。
笠間さんに聞いたの。
舞ちゃん大変!お母さんが警察に連行されたわ。
警察?野村さんが?どうして?菊島春樹殺害容疑ですって。
何だって…?確かに春樹さんに会いました。
でも殺してなんかいません!
(桂木)じゃ何であんなところまで行ったんだ?呼び出されたんです。
「娘のことで話があるから」って。
〔手を組む気があるのかないのかはっきりしないと舞がどうなるか責任は持たないぞ〕〔やめてください!〕
(殴る音)〔あぁっ!〕
(春樹)〔ふん…そんなものでどうするつもりだ〕〔それ以上近付いてきたら本当に刺しますよ〕〔やってみろよ〕
(ナイフが落ちる音)
(運転手)〔お客さんどちらまでですか?〕殺してなんていません。
殺してたらあんなふうにタクシーには乗りません。
(晴子)やっぱり…あんたの母親が春樹を殺したのね!とっとと出て行け!やめんか晴子。
何かの間違いだ。
兄さんがそうやっていつまでもウジウジしてるから春樹があんなことになったのよ!八つ当たりよ。
ねぇ兄さん。
恭子…何よその言いぐさは。
あんたに子供がいないのが憎らしいわ。
いたら必ず私が殺してやったのに!おあいにくさま。
(衆太郎)いいかげんにしないか!木村先生調査の進み具合はどうなってるんですか?探偵社に広美さんと舞さんのことを調査するように頼んであるんですが…。
今のところはまだこれといった情報はありません。
あるわけないでしょう。
どっちもにせ者なんだから。
(恭子)にせ者は1人よ。
こっちよ。
社長はどうお考えなんでしょうか。
今となっては広美さんか舞さんに跡を継いでいただくしかないと思うんですが。
もちろんそのつもりだ。
(木村)それならどちらに?では正直に言おう。
私は舞さんに跡取りになってもらいたい。
何言うの兄さん!この子は春樹を殺した女の娘なのよ!!社長私はどちらの味方もするつもりはありませんが広美さんの場合は少なくとも純子さんの若いころの写真を持っていたという証拠があります。
しかし舞さんは純子さんに顔が似ているというだけで何の物的証拠もないんです。
広美さんには残念だが舞さんを見ていると純子を思い出すんだ。
舞さんさえよかったら養女にしてもいいと思ってる。
広美。
広美?あら広美。
広美…。
兄さんそんなバカなことってあります?広美という純子のれっきとした娘がいながらどこの誰とも知れない者を跡取りにするなんて。
どうかしてるわよ!広美。
広美〜。
・
(電話の音)もしもし。
編集長。
どうでした?うん関東近辺の養護施設は全部調べたぞ。
それで舞って名前の子見つかりましたか?いないんだよ野村由香って女性に引き取られた子供は。
「いない?」これからまた範囲を広げて調べてみるけどな。
それからな身元不明死体と無縁仏のほうだけど「こっちにちょっと気になる遺体があってな」気になる遺体?
(ノック)写真のこと聞かせてもらいに来たんだ。
決して君を責めに来たわけでも問い詰めに来たわけでもない。
ただこんな事件が続いてるし下手をすれば君だって犯人の標的になるかもしれない。
だからとにかく真相が知りたいんだ。
それが事件解決の一番の近道だと思うんだよね。
施設の前に捨てられていたとき写真が毛布の間に入っていたっていうのは間違いない?育てられた施設の先生とか養父母のほうから何かお母さんについて聞いたことは?私養父母いません。
いない?じゃ施設を出てから1人で働いて1人で生活したの?いくつのとき?15。
15歳!?缶詰工場の女子寮に入れてもらったんです。
すごいなそれは。
苦労したんだね。
いまだに居候なんかしてる俺よりずっと偉いよ。
じゃあここの家具なんかもちょっとずつ貯金して一つずつ買ってそろえていったんだ。
驚いたな君にそんな生活力があったなんて。
頭が下がるよ。
ところであの写真を君が持ってること探偵社の人どうして知ったのかな?わかりません。
でも私は菊島純子の娘です。
間違いありません。
自分でわかるんです。
大輔君。
何かわかったか?うん。
まず第一が舞ちゃんは野村由香さんの実子になってる。
えっ?じゃ養女じゃないのか。
間違いないって。
そうか…。
それと身元不明死体を調べてもらったんだけどどうしてそんなこと調べてもらったの?だって探偵社使っても純子さんの居場所がわからないってことはもしかして亡くなってるんじゃないかと思ったの。
それで?それらしい遺体があるの。
どんな?5年前に発見された白骨死体で遺体の年齢は20歳から35歳の女性。
死因は頭がい骨骨折。
大たい骨も骨折してたそうだから所見では交通事故か転落死の可能性ありとなってるそうなの。
で発見された場所は?奥多摩の山中。
死後どれぐらい?約15年。
5年前に発見されて死後約15年ぐらいだとすると…。
今から約20年前だから時期は一致するでしょ。
でもどうしてそれで純子さんかもしれないって思うわけ?私笠間さんに聞いたの。
純子さんて何か特徴はないのかって。
そしたら純子さん子供のときに右足の甲に樽が落ちてきて骨折したことがあるんですって。
じゃその白骨死体の足の甲にも骨折の跡が?右足の甲に。
どう思う?交通事故か転落死の可能性か…。
もしそれが純子さんだとしたら?子供がどうなったかって問題があるな。
だってそのとき駆け落ち相手の浅野さんはとっくに亡くなってるわけだし。
でも関東近辺の施設にはそれらしい子はいないって。
うーん…。
頑固だねあんたも。
専務の清治さんが殺されたときもあんた一緒に出かけてたそうじゃないか。
娘と2人でグルになって福島酒造の跡取りに納まろうとしたんじゃないのか。
違います。
しかしこちらの調べじゃ東京じゃずいぶん苦しい生活をしていたそうじゃないか。
そこへ突然老舗の跡取りの話が舞い込んだ。
魔が差したんじゃないのか?失礼なこと言わないでください。
笠間さん舞の姿が見えないんですが。
舞さんは夜神楽をご覧になりに行きました。
夜神楽。
1人でですか?うちの従業員も何人か一緒です。
(神楽)いたいた。
あそこだ。
大輔君。
うん?あっちも!何だよみんないるんじゃないか!あいつわかってるのかな自分の置かれてる状況が。
あれっ。
舞がいないよ。
ちょっと…向こうを見てきて!誰か…!舞。
助けて!舞ちゃん?おい!大丈夫か!?舞ちゃん!どうしてこんなところに来るんだ。
次は狙われるのわかってるだろ!おびき寄せたのよ犯人を。
何?それしかママを助ける方法ないから。
お母さんを…?犯人の顔見なかったのか?でもね私手ひっかいてやったの。
すっごい手ごたえあったの。
絶対ケガしてるよ。
これで犯人は広美さんを菊島家の跡取りにしようとしてる人だと決まったわね。
それはどうかな。
舞を殺した後に広美さんも殺すつもりだったかもしれないし。
だとしたら残るは…晴子さんか恭子さんか2人の妹のどっちかってこと?だけどあの2人もご主人を亡くし息子さんを亡くしているからな。
そうね…。
だがちょっと気になることがあるんだよな。
気になること?広美さんが持ってた写真あるだろ。
あれがちょっと怪しいんだよ。
怪しいって?ちょっと行ってくる。
どこ?広美さん…。
私…菊島純子の娘じゃないと思います。
どうして?この写真実はここへ連れてこられる前にある人から渡されたんです。
ある人?誰なの?それ以上は言えません。
私その人に「もう貧乏しなくてもいいんだよ」って言われて…。
「毎日小銭稼いで“今日は何が食べれるか”ってそういうこともう考えなくてもよくなるから」って言われて。
それでこの写真を子供のときから持ってたって嘘をつきました。
ごめんなさいお金がほしかったんです。
もう貧しい生活から逃げ出したかったんです。
広美さんよく言ってくれた。
ありがとう。
ごめんなさい。
やっと読めてきたぞ。
実は今日彼女の家に行く途中事務所の影山優子を見たんだ。
優子さんを?ああ。
ここにいるときとは違ってずいぶん高そうな服を着てな。
買い物袋をいっぱい下げて。
どういうこと?影山優子は菊島酒造の経理担当だ。
お金を横領しているとでも?いや…彼女を使ってその金を手に入れてる人物がいるということだよ。
木村先生社長がお待ちです。
(木村)そうですか。
先生どうぞ。
(木村)失礼します。
社長何か。
木村先生!!菊島さん。
木村さん。
影山優子から全部聞きましたよ。
広美さんもあなたから手渡された写真の件も含めて本当のことを話してくれましたよ。
ひどい人だあんたは。
あなたは顧問弁護士という立場を利用し影山優子と手を組んで会社の金を横領していた。
ところが菊島さんの体の具合が悪くなり菊島さんに万一のことがあれば社長が替わり清治さんや春樹さんが社長になるかもしれない。
彼らはきっと菊島さんとは違って経理に口を出すとあなたは計算した。
そうすると当然あなたの不正が露見することになる。
そこであなたはどうしても自分の意のままになる跡取りが必要だった。
それが広美さんです。
広美さんを純子さんの娘に仕立てれば菊島さんは広美さんを必ず跡取りにするとあなたは計算した。
ところがそこに舞が現れその計算が狂った。
いい加減にしなさい。
何の証拠もなしに人を犯人呼ばわりすると人権蹂躙で被告席に立たせますよ。
証拠はあなたの手に残ってる。
昨夜舞が引っかいた傷です。
何を言うんですか。
これはそんな傷ではありませんよ。
木村さんあなたも弁護士ならそんな言い訳が通用しないことくらいはわかるでしょう。
言い訳なんかじゃありませんよ。
昨夜舞は警察に行って鑑識の方に爪の間を調べてもらったんです。
間もなく結果が出るでしょう。
あなたの皮膚か血痕が爪の間に挟まっているはずだ。
あなたが清治さんを殺し春樹さんを殺し舞まで殺そうとした。
横領を隠すために。
そうですね?私は…司法試験に一度で合格した。
君は何度受けた?8回受けて全て不合格です。
(笑い)そんな劣等生に罪を暴かれるとはな。
来年は合格しますよ。
清治は私が会社の金を横領していることに気付いて私を脅迫したんです。
〔あんたが社長に進言して俺を社長にするようにしてくれ〕〔そうすればあんたの横領は見逃してやってもいい〕〔広美に跡を継がせます〕〔そうすればあなたの思いのままです〕〔俺の思いのままじゃなくてあんたの思いのままなんだろう〕〔俺を甘く見るなよ〕〔わかりました。
それならそう進言します〕〔よせ!〕
(清治の悲鳴)春樹のときは全くの偶然でした。
たまたま長陽ヶ滝の前を通ったら春樹の車が停車していたんです。
〔何をしたんだ〕〔あんたには関係ないさ〕〔彼女に返しておいてくれ。
殺すんなら俺じゃなくてあのにせ者の広美って子を殺しなってな〕〔ああそれから。
先生…俺はあんたのやってること全部知ってるぞ〕〔清治さんから聞いたんだよ〕〔優子と共謀して会社の金を横領してるってことをな〕〔清治さん殺ったのはあんただろ〕〔でも黙っててやるよ。
その代わりこれからは俺の言うとおりに行動してもらわんとな〕〔春樹さん〕〔あん?〕どこで狂ってしまったんですかね…。
景気のいいときに調子に乗って使い込んでしまったのが不景気になった途端とてつもない額の穴をあけてるのにようやく気付いたんです。
菊島社長のお孫さんという女を連れてきたのもそのためだったんだな?ええ。
もう私の言いなりになる子を菊島酒造の跡取りにするしか横領の穴を埋めることはできませんでしたから。
アリ地獄でした。
一つの悪事を隠すためにまた悪事を働きそしてまたその悪事を隠すためにまた…。
弁護士だっていうのに…。
弁護士も人間だということです。
ご迷惑をおかけしました。
舞は連れて帰ります。
待ってください。
その前に舞ちゃんの気持ちを考えてあげてください。
舞のことを考えてのことなんです。
野村さん…。
舞ちゃんはあなたの無実を証明するために自らおとりになったんですよ。
そして犯人にヒモで首を絞められたんです。
間に合わなかったら殺されていたかもしれない。
育ての親であるあなたのために命をかけたんです。
舞ちゃんの気持ちわかってあげてください。
野村さんお願いがあるんです。
舞さんを私の養女にください。
ひどく乱暴なことを言ってるとよくわかっております。
しかしどうしても舞さんにここにいてほしいんです。
申し訳ありませんでした。
舞さんは菊島純子さんのお子さんなんです。
そうですね?それは本当ですか?菊島さんとても残念ですが純子さんはたぶんもう亡くなっています。
何ですって?車にはねられて亡くなった。
違いますか?申し訳ありません…。
ちょうど対向車のライトが運転していた人の目に入って…。
(急ブレーキの音)
(由香)道を歩いていた純子さんに気付かなかったんです。
(由香)〔大丈夫ですか?しっかりしてください!〕
(純子)〔舞を…。
子供を…頼みます…〕それが舞ちゃんだったんですね。
(由香)はい…。
(由香)奇跡としか言いようがありませんでした。
舞は草の上に放り出されて無傷だったんです。
純子が…純子が…!そのときどうして警察へ行かなかったんですか?運転していた彼には妻子がありました。
警察に行って表ざたになるの怖かったんです…。
それで純子さんの遺体を奥多摩の山中に…。
私が舞を病院に連れて行っているあいだに彼が奥多摩に…。
舞さんは野村さんの実子になっていましたが…。
(由美)当時私は看護婦をしていましたから出生届に先生の判子を押して区役所に届けました。
舞を自分の本当の子供だと思って育てようと思ったんです。
私たちのしたことを償うにはそれしかないと思って…。
あの子には…本当に幸せになってほしかった。
でも…やっぱりだめでした。
あの子に本当の母親じゃないこと知られてしまったんです。
由香さんをあんな目に遭わせて報いを受けたんです。
三上さんが病院にいらして純子さんの写真を見たとき初めて私たちがはねた人が菊島純子さんだったって知りました。
本当はあのとき私の罪を告白して舞を菊島さんにお返しするべきでした。
(由香)でも…どうしてもできませんでした。
あの子を…手放したくなかったんです!
(由美)本当に…本当に申し訳ありませんでした。
純子さんのことはお詫びのしようもありません。
舞は確かに菊島さんのお孫さんです。
(障子が開く音)舞ちゃん!三上さん。
もうこの辺で。
あとは1人で行きます。
事件はもう時効になってますんで事情を説明するだけで済むと思いますが。
それじゃ。
舞…。
ごめんね舞。
もっと早く本当のこと言えば良かったと思ったんだけど…。
あなたがママの元を去って行ってしまうと思うと…怖くて…言えなかったの。
ごめんなさいね。
ママ…。
ママ…私が悪かったの。
ママはママだから。
私の…たった1人のママ…。
舞…。
それじゃここで。
三上さん本当にお世話になりました。
こちらこそ。
これ熊本の名産ですけん。
ああどうも。
これうちの酒です。
どうもすみません。
舞ちゃんはどうするの?うんママとおじいちゃんと相談してどうするか決める。
そうか…舞が菊島酒造の跡取りになったら浴びるほど酒飲ましてもらえそうだな。
三上さんも早く弁護士になってよね。
えっ?まあもし仕事がなくてもそのときはうちの顧問弁護士にしてやってもいいし。
偉そうに!私もある日突然大金持ちが現れて「実は私の娘です」なんて言ってくれないかしら。
俺が大金持ちにしてやるよ〜!結構期待できるかななんて思っちゃったわ。
何で?だって木村弁護士と対決してるときかっこよかった。
本当?かっこよかった?ちょっとね。
ヘッヘッヘッ!来年は合格するって宣言したし。
ああ…あれはホラ成り行きっていうか…。
何でそう不甲斐ないこと言うの?いや…だけど料理はうまいぞ。
家計のやりくりもね。
どうだ〜っ!!2014/03/06(木) 13:55〜15:46
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◇出演者
布施博、大宝智子、ラサール石井、萩尾みどり ほか
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