にっぽん紀行「最後の鍛冶屋がつなぐ春〜奈良 十津川村〜」 2014.03.20

あどうも。
荒川良々です。
奈良県の十津川村まで来ちゃいました。
あここ今では珍しい鍛冶屋さんの工房です。
こ…こんにちは。
こ…。
こ…んちは…。
ちょっと忙しいみたいですね。
山で木を切る道具にこれは畑で草を刈る道具。
全部山深い村の暮らしに欠かせない道具。
これはみんな一人の鍛冶屋さんの手で作られてきました。
春を前に鍛冶屋さんのもとにはたくさんの注文が入ってきます。
今回の「にっぽん紀行」は村の鍛冶屋さんと道具でつながった人々の物語です。
ミツメトンガの軽いのを作ってくれんかな?春一番いいのう。
1,000mを超える山々に囲まれた奈良県十津川村。
日本一大きな村に3,800人が暮らしています。
じゃがいも大豆とうもろこし…。
斜面を耕し自給自足の生活を送っています。
集落の一角で鉄を打つ音が聞こえてきました。
村でただ一軒の鍛冶屋。
この道60年。
昔と変わらない道具を使っています。
季節はまだ冬ですが田上さん村の誰よりも早く春の準備を始めます。
今作っているのは雑草を刈る草引き。
畑仕事の前に最初に必要となる道具です。
村の人からは修理の依頼もたくさん舞い込みます。
これは山仕事で使う鉈。
長年使った刃が丸くなり切れ味が悪くなっていました。
急に山の仕事が入ったため田上さんのもとに駆け込んだようです。
ほんじゃおおきに。
はいどうも。
おおきに。
村の人から頼りにされている田上さん。
実は3年前に手術をしてから体調を崩し時々休むようになりました。
この冬も1月までは工房を続けるかどうか迷っていました。
しかし再開を希望する声が多かったため工房に立つ事にしたのです。
田上さんに毎年のように新しい道具を作ってもらってる人がいます。
村で林業に携わっています。
岩本さんは山で使いやすいように自分で新しい道具を考えては田上さんに作ってもらってきました。
その数20本以上。
例えばこれ切った木を引っかけられるように斧の先にかぎが付けてあります。
そして一番のお気に入りがこのミツメトンガと呼ばれる不思議な道具です。
土を耕す三爪と石を掘り起こすトンガ。
山で持ち運びやすいように一つに合体。
岩本さんのアイデアを田上さんが見事に形にしてくれました。
この春岩本さんはミツメトンガを更に改良してある人に贈ろうと考えていました。
母親のカツさん…岩本さんは父親を亡くし妻とは離婚。
今はカツさんと2人暮らしです。
毎日食卓にはカツさんが畑で育てた野菜が並びます。
(カツ)おいしいよこれ。
カツさんはこの家に嫁いで70年。
畑で米や野菜を作り家族を養ってきました。
家の裏にある広い畑。
岩本さんが山に仕事に行っているためカツさんが一人で切り盛りしてきました。
しかし最近は膝が悪くなり今までのようには畑仕事ができなくなりました。
持ち運ぶ道具を減らしカツさんの負担を軽くしたい。
その思いから岩本さんはミツメトンガを贈ろうと考えたのです。
(岩本)おう!はいよ!頑張っとるか?田上さんの工房に岩本さんがやって来ました。
いつも会うと新しい道具の話をする岩本さんですがこの日は田上さんの体調を気にしていました。
一緒やろ?思いのほか調子が良さそうな田上さん。
岩本さんは思い切ってカツさんの農具の話を持ちかけました。
カツさんが持ちやすいよう小さくて軽いものを作ってほしいとお願いしました。
(岩本)ほな行くわな。
おおきに。
おおきに。
どうもどうも。
体を気遣う岩本さん。
田上さんは春の畑仕事に間に合うよう仕上げると約束しました。
この日いつもは7時前に起きてくる田上さんがなかなか下りてきません。
前の日の夜からまた体調が悪くなっていました。
しばらくすると…。
体を重そうに動かして下りてきました。
今年に入り田上さんはよく体調を崩すようになっています。
それでも今日も休むとは言いません。
美佐代さん心配そう。
よいしょ。
いつもの工房に立つ田上さん。
春の山仕事で使う新しい道具。
家庭で使う包丁の手入れ。
村の人たちが田上さんを待っていました。
中でも真っ先に取りかかったものがありました。
カツさんのミツメトンガです。
今までで一番小さくて軽くするため鉄を薄くしていきます。
しかし薄い鉄の焼き加減が難しくなかなかうまくいきません。
鉄を焼きすぎたため折れてしまいました。
それでも諦めません。
薄い鉄を曲げて形にするのは簡単ではありません。
岩本さんの思いを形にするため鉄を打ち続けます。
3月。
岩本さんが田上さんの工房に向かいました。
注文していたミツメトンガがそろそろ出来上がる頃です。
でも岩本さんは田上さんの体調が気がかりでした。
(岩本)おう〜。
(田上)おう〜。
取り来たぞ。
おお。
この日も村の人たちからの注文をこなしていました。
岩本さんの道具も出来ているようです。
ああこれか!おおそれそれ。
母親が畑仕事を続けられるように…。
そんな岩本さんの願いをちゃんと形にしてくれていました。
おとん帰るぞ!無理すんなよあんまりな。
またトビも作っておきます。
ああ作っといとくれ。
(岩本)ほな頼むで。
はいどうも。
翌日岩本さんはカツさんを畑に誘いました。
今年最初の仕事は1年畑のつぼで寝かせた里芋の植えつけです。
そして田上さんの作ったミツメトンガ。
カツさん今年最初の鍬入れです。
(岩本)軽いやろ?トンガ付いとる割には軽いやろ?
(カツ)うん。
いい!今年も無事カツさんの里芋が畑に植えられました。
(岩本)ほなそこ置いといてくれ。
俺鍬2014/03/20(木) 19:30〜19:55
NHK総合1・神戸
にっぽん紀行「最後の鍛冶屋がつなぐ春〜奈良 十津川村〜」[字]

紀伊半島の山奥にある奈良県十津川村。自給自足の暮らしに欠かせない農具を作る鍛冶職人・田上昭三さん(84)。農具で結びついた村人と田上さんの冬から春への物語。

詳細情報
番組内容
紀伊半島の山奥にある奈良県十津川村。急斜面を耕して自給自足で暮らす村人を支えてきたのが、くわや鎌などを造る鍛冶職人。田上昭三さん(84)は最後の1人になった。妻と60種の農具を手作りして修理する。最近、体が思うように動かなくなったが、春を前に次々と修理の依頼が舞い込む。ある村人は、89歳の母親が今年も無事に畑に出られるように改良を依頼する。農具で深く結びついた、村人と田上さんの日々を見つめる。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:28914(0x70F2)