きょうの健康 肩が痛い!こうして改善「肩に“穴”が開く?」 2014.03.06

(テーマ音楽)皆さんの健やかな毎日のために。
「きょうの健康」です。
今週お伝えしているのは…そして今日のテーマはこちら。
びっくりしちゃいますよね。
どんな事なんでしょうね。
今日も専門家に分かりやすく伺ってまいります。
ご紹介致しましょう。
お迎え致しましたのは…肩肘手の外科がご専門です。
今日もどうぞよろしくお願い致します。
今も申し上げましたが「肩に穴が開く」なんて聞くとびっくりしてしまいますがどういう病気の事を指しているんですか?これは肩腱板断裂の事ですね。
肩腱板断裂は肩にある腱板という組織に孔が開くといった事で五十肩に似たような症状が起きます。
これは肩の中でどういう事が起きているんですか?こちらの模型で説明しましょう。
これは右肩の模型です。
いわゆるインナーマッスルという筋肉が肩の上腕骨についています。
この腱板は4つあります。
前側の部分ですね。
こちらの部分。
これは肩を内旋という動き内側に腕を持ってくる動きです。
外側後ろ側の部分は外側に回す外旋という動きをします。
そしてここの肩甲骨の後ろにある肩甲棘の上にある棘上筋。
これがつくところが棘上筋腱ですがこれが一番断裂しやすいといわれている棘上筋腱です。
断裂切れるといいますがそれはいわゆるブツッと切れてしまうというイメージですか?もちろん肩を強打してけがをして完全に切れてしまう場合もありますが大きなけがをしていなくても腱板断裂が起きる場合があります。
ちょうど使い古した靴下にだんだん擦り切れて穴が開くといった状態が腱板断裂になります。
それでは肩腱板断裂は一体どういう人に起きやすいんでしょうか久田さんからです。
肩腱板断裂の主な原因としてはまず…例えば仕事で重い荷物を持つ職業の人など要注意です。
ほかにも外傷例えば転倒などで大きいけがをした人に多い事が分かっています。
また加齢も原因となります。
傾向としては…いくつかの要因が今挙がりましたが加齢という事になりますとどなたにでも起こる可能性はあるという事なんですか?年齢が上がるにつれて腱板断裂が多くなります。
80歳代ですと大体3割の人が腱板が切れているという報告もあります。
そんな率で切れている事になりますと実際には孔が開いているのに症状があまり出ていない人はいるという事ですか?腱板に孔が開いていても肩の動きも全く普通に動きますし痛くもないという人もいらっしゃいます。
この孔は一度開いてしまうと自然に塞がる事はないんですか?完全に孔が開いてしまうと残念ながらそれが自然に孔が塞がれる事はなく逆に年々少しずつ大きくなっていくといわれています。
症状にはどんな特徴がありましょうか?肩腱板断裂の症状は五十肩と似ています。
例えばビールの大ジョッキなんかを持ち上げて乾杯できない事があります。
また五十肩と同じように痛みで特に夜間痛が強くて夜も眠れないといった症状が出てきます。
五十肩と似ている症状なんですが診断はどうやってつけていくんですか?五十肩と似ていますが一番大きく異なるのは五十肩の場合には肩が自分では上げられません。
それで反対側でこう上げても上げられないんですが腱板断裂ですと力を抜いて反対の手で上げれば結構腕が上がると。
補助して持ち上げてやると上がる。
肩が固まっていない事が多いのでそういった特徴があります。
五十肩ではそういう事はとてもできない訳ですね。
全体が固まっていますのでね。
更に診断を正確につけていくために検査ではどういう事がございましょうか?いろいろな検査があるんですが画像検査ですね。
その前に触診とか視診理学所見をとる。
つまり孔が開いていれば触ると孔がへこんでいるのを触ります。
それから見た目に筋肉が痩せてしまったりあるいは動かした時に痛い範囲が決まっていてこのぐらいの範囲がすごく痛いという事があります。
最近ではやはりMRIエコーといったものが診断には非常に有効です。
こちらをご覧下さい。
これはMRI画像ですがここが腱板の切れている部分です。
通常ですと腱板がここの部分でつながっていますので実際には黒く写るんですがこの画像では白く写っています。
これは関節液が切れた部分に入ってきていますのでここが断裂部になります。
この病気診断がつきますと治療になりますが治療の基本的な流れをまず久田さんからです。
治療の流れ痛みの程度によっても異なりますがまずは薬物療法薬で炎症を抑えていきます。
薬物療法は消炎鎮痛剤ののみ薬貼り薬などが用いられます。
必要に応じてステロイドやヒアルロン酸などを直接肩に注射する治療も行われます。
この薬物療法を行いますと7〜8割程度の人は炎症が抑えられ痛みが和らいできます。
その場合は次の治療運動療法に移っていきます。
一方痛みが強く薬物療法でも治まらない場合は手術も検討されます。
こうした治療の流れ基本的なところを見ましたが先ほどのお話の中で実際には孔が開いている擦り切れているような状態なのに症状が出ない人もあるという事でしたがそうしますと治療をするしないの判断はどういうふうになさるんでしょう?治療をするという意味では症状がなければ特にしません。
ところがもちろんだんだん大きくなっていきますからもし腱板断裂が分かっていれば半年に1回あるいは1年に1回その腱板断裂の場所大きさ進み具合といったものを病院で確認していく事も大事です。
また傷んだ腱板に負荷がかかって孔がどんどん大きくならないように関節の動きを少し遊びをつけてあげるようなストレッチ運動とか。
あるいは残っている腱板で傷んでいる腱板に負担がかからないような腱板の筋力を増強する運動もとても大事になります。
運動なんですが具体的にどんな運動が適切なのか勉強していきましょうね。
久田さん。
今日も運動療法を教えて頂きますのは…今日もよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
まず注意点から教えて下さい。
運動療法は必ず医師の指導の下行って下さい。
運動を行って痛みが更に出てくるようであればやり方に問題がある事があります。
医師に確認して下さい。
早速運動を教えて頂きますが今日も痛い肩の方に「痛い」シールを貼りたいと思います。
ではまずストレッチですね。
ストレッチです。
これは腱板の痛みが出ておりますところがあちこちにぶつかって痛みが更に強くならないために関節包を十分に伸ばしていきます。
どのように行いますか?まず両方腕を後ろに回します。
痛くない方の手で痛い方の手首をつかみます。
痛い方の手首を痛くない方でつかむと。
痛くない方の手で下に引っ張っていきます。
下に…痛い方の腕を引っ張っていくんですね。
5秒ぐらいキープします。
キープしたら緩めてリラックス。
これを3分から5分続けて下さい。
このようにしてストレッチを繰り返し行っていくんですね。
次の運動を教えて頂けますか?今度はゴムバンド体操です。
これは病院で使うゴムバンドなんですがご家庭にない場合はご家庭にあるこのようなバンドを束ねて使って下さい。
ゴムを束ねてもできますね。
今日はこちらの方を使っていきます。
まず肘を両方90度曲げて少し短めに持ちます。
短めに持つ。
痛い方の手を外側に引っ張っていきます。
こちらが痛いので痛い方の手を外側にこう引っ張るんですね?これで大丈夫ですか?手首が今返っておりますがまっすぐに向けて。
手首をまっすぐ。
こうですね。
5秒ぐらい頑張って緩めます。
これでキープする。
こちらの痛くない方はこのまま動かさずにという事ですね。
これはどこの筋肉を?肩甲骨の後ろ側についている筋肉です。
肩甲骨の後ろ側の筋肉を鍛えていると。
では続いて…。
ゴムバンドを後ろから体を回して。
肘をこうくるんと包むように。
肘を支点にして。
こうですね。
痛い方の腕を内側に曲げていきます。
今度は痛い方の腕を内側に。
こうですか?5秒キープして緩めて下さい。
5秒キープして緩めるという…。
これは主にどこの筋肉を鍛えてるんでしょう?肩甲骨の前側についている筋肉です。
肩甲骨の前側ですね。
これも何度か繰り返していくと。
では続いて…。
痛い方の足でゴムバンドの端を持って下さい。
押さえて固定します。
こう踏むんですね。
それで斜め前方に大体45度ぐらい引っ張っていきます。
こういう感じで。
これでまた5秒?5秒キープして緩めます。
これはどこの筋肉を?上腕骨の骨頭についている棘上筋を鍛える事ができます。
一日どのぐらい行ったらいいんでしょうかね?一日各運動3分ぐらい一日1〜2セットぐらいから始めて慣れてくれば増やして下さい。
このようにして周りの筋肉が鍛えられていくんですね。
これは腱板を構成する筋肉が鍛えられますので外旋とか内旋このような運動がスムーズに行えるようになってきます。
負荷をかけ過ぎないように少しずつ…。
気を付けて下さい。
ありがとうございました。
運動を具体的に見ましたがそんなに難しい運動ではなかったですよね。
是非実行して頂きたいと思います。
薬を使ったりあるいはこうした運動を心掛ける事によっていろいろよくなる事も分かりますが手術を検討しなきゃいけない事もあるという事なんですね。
どういう場合ですか?手術以外の治療運動療法とかお薬注射などでも治らなくて肩が痛いあるいは肩の動きが悪い。
重たいものを持ち上げられないと。
お仕事とか日常生活で支障がある場合には手術も検討されます。
今どんな手術方法が行われていますか?従来のように腱板を縫合する時に直接肩を開いて断裂部を見てつなぐ方法と関節鏡を入れて関節鏡下関節鏡を見ながら断裂部を修復する両方が行われています。
それぞれ一長一短があります。
こちらをご覧下さい。
こちらの映像ですね。
これは関節鏡で腱板を縫っている手術です。
今ここに入ったのがアンカーといったものです。
糸がついてて骨に直接上腕骨の骨頭なんですが打ち込む事によってそこから糸が出てきてこれが切れている腱板です。
今引っ張ってきて糸をかけてこれが糸をかけて縫っているところです。
このように断裂して短縮した腱板を引っ張ってきて糸で上腕骨の骨頭に縫い付けると。
それでもちろん1針では駄目なのでいくつか糸をかけて4本とか5本かけるといった方法です。
こうした手術を受けて日常生活に戻りたい訳ですが手術のあとのケアはどういう事になりますか?これはやはり手術をした先生とよく相談する事がとても大切です。
…というのは縫ったばかりでは今お見せしたような糸で縫合されているだけですので腱板断裂の孔の大きさそれから腱板断裂の性状年齢そういったものによって縫った具合の強度も違ってきますからそれに応じてリハビリを進めていく事になります。
基本的には生物学的にしっかりと腱板が骨頭につく事を確認してからでないと自分でこう上げたりするとまた切れてしまいますので大体6か月ぐらいはかかると考えた方がいいと思います。
手術をすればすぐによくなるという事ではなくてそれぐらいの期間は考えておかなきゃいけないんですね。
さあ今週肩の痛みをさまざまな病気について見てまいりました。
まとめをお願いしましょう。
4回にわたって肩の痛みについて解説させて頂きました。
五十肩という名前が非常に有名ですが肩の痛みの症状は似ています。
しかし原因はさまざまなものがあります。
肩の痛みの原因を知って改善しましょう。
痛みの原因によって治療法も全然違ってくる事ですから正しく診断をつけて頂いて正しい治療に取り組んで頂きたいと思いますね。
4日間のお話どうもありがとうございました。
「きょうの健康」来週はご覧のテーマでお送りしていきます。
来週も引き続きご覧下さい。
4日間どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
2014/03/06(木) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 肩が痛い!こうして改善「肩に“穴”が開く?」[解][字]

肩のけん板に穴が開き痛みを引き起こす肩けん板断裂。薬物療法と運動療法が治療の基本だ。穴が広がるのを防ぐためのゴムバンド体操やストレッチを実演でわかりやすく紹介。

詳細情報
番組内容
肩のけん板がすり切れたように穴が開いた状態になり、痛みを引き起こす肩けん板断裂。五十肩と同じように「腕の外側が痛む」「夜眠れないほど痛む」などの症状が現れるが、「きき腕の肩にやや多い」「60歳代から多くなる」などの傾向がある。薬物療法と運動療法が治療の基本。いったん穴が開くと自然にはふさがらないので、穴がさらに広がるのを防ぐため、けん板を強化するゴムバンド体操やストレッチがすすめられる。
出演者
【講師】東邦大学教授…池上博泰,東邦大学理学療法士…小田部哲夫,【キャスター】濱中博久,久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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日本語(解説)
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