遺留捜査 2014.03.20

(母親)美味しいね。
(子ども)うん美味しいね。
(田岡耕治)ごちそうさま。
(店員)はい。
すごーいもぐもぐだあ。
(店員)ありがとうございました。
840円です。
はい。
はいお釣りです。
お客様?ああ…。
ありがとうございました。
(パトカーのサイレン)
(鑑識課員)よしいくぞ。
(鑑識課員)はい。
奥まで。
よいしょ。
足下気をつけろよ。
はい。
(宮下晴彦)どうだ?もういいのか?お待たせ。
(宮下)ご苦労。
ほら道開けろ。
どけほら。
じゃお願いします。
(宮下)ご苦労さまです。
いくぞ!
(刑事たち)はい!
(宮下)ご苦労さまです。
ご苦労さん。
(織田みゆき)ご苦労さまです。

(岩田刑事)ご苦労さまです。
羽田東署の岩田です。
(宮下)ああどうも。
持っていた免許証によると被害者は田岡耕治21歳。
後頭部を地面に打ちつけて亡くなったようです。
争った跡も見受けられるようです。
(宮下)お嬢。
ガイシャの遺族を捜してご連絡します。
(宮下)そうだ。
よろしくお願いします。
おいこんな場所だ。
目撃者がいるだろ。
近所の聞き込みまわれ。
(刑事たち)はい!糸村何やってんだ!
(糸村聡)あっご苦労さまです。
あっどうぞお構いなく。

(冨樫謙三)携帯電話がまだ見つかってません。
財布の中身は1150円。
(曽根武雄)こいつは?遺体から離れたとこにあったんですがまだ新しいので持ってきました。
お疲れさまです。
遅い!あっ現場近くでこんな石が落ちてたので冨樫さんこれもリストに加えておいて頂けますか?これを?気になりますよねえ。
まあ鑑定の結果次第では捜査に使わん事もないが…。
そうですか。
ではこの石とこの着衣も鑑定にまわしておきますね。
(曽根)糸村それよりもなこいつをコピーしておけ!え?
(岩田)息子さんに間違いありませんか?司法解剖にまわされますのでご自宅に戻るのはそのあとになります。
(田岡孝雄)こんな死に方をして…!いつまで迷惑をかけるつもりなんだ…!
(男性)仕事は真面目にやってましたよ。
ただ喧嘩っ早いとこがありましてね。
(宮下)喧嘩ですか?私もねこの間やられましたよ。
このとおり。
おお田岡に殴られたんですか?事の発端はあいつが悪いわけじゃないんだけどね。
おっかわいい子じゃねえか。
これか?お前ちょっと見せろよ。
離せよ。
いいじゃねえかお前貸せ…!あー…。
何すんだ…!うっ!おい何やってんだお前!なんだお前!おいやめろ!おい何やってんだ落ち着け!田岡の奴その日のうちに辞めて出て行きました。
ああ…。
(村木繁)じゃあ着衣一式と…。
ええ。
(村木)この石の…えっ!?これ全部ですか?そうですよ。
この石の英名和名硬度原産地化学式比重屈折率…。
ちょちょ…ちょちょちょっと!それからもしあるならこの石にまつわる物語とか。
物語っておとぎ話じゃないんだから。
いいですか糸村さん。
はい。
着衣の鑑定は出来ます!ですが石についてこの項目全て鑑定しろと言われても我々には無理です!
(横山恵一)ですよね。
石の専門家じゃあるまいし。
じゃ石の専門家ってご存じありませんか?私は便利屋じゃありませんから。
あっそうだ!この間鉱物学の女性講師の方と合コンしたって聞きましたけど?誰から…。
あっお前…!お願いします。
紹介してください。
忘れました。
お願いします。
ぜひぜひ!村木さんお願いします。
いや僕も困ってるんです。
(村木)いや私が困ります!僕も困ってるんです…!困ってる人見過ごせるんですか?村木さんのご紹介ならぜひ。
こちらにある項目全てをチェックすればよろしいのね?ええ。
ありがとうございます。
ただこれをお引き受けするにはひとつだけお願いしたい事が…。
なんでしょう?以前聞いたアドレスだとメールが戻ってきちゃうんですよねえ。
村木さんのメアド教えて頂けない?いやそれはちょっとまずいんじゃないかと…。
やっぱり駄目よねえ。
いいですよ。
え?あっほんと?いや糸村さんまずいですよ。
ちょっとまーめみむーむーむーる…。
よいしょ。
あー…送信。
村木さん!ありがとう。
あっ先生先生お忘れです。
ああ忘れちゃった!お願いします。
あーあ知りませんからね。
ん?個人情報保護法違反ですよ。
大丈夫だよ。
村木さんなんだよ?まっいっか!村木さんですもんね!
(曽根)検視の結果死亡推定時刻は昨夜の午後8時前後。
死因は頭部打撲による外傷性脳内出血。
鑑識さんからは現場には争った足跡がありその争いの最中打ちどころが悪く死亡したのではないかという報告があがってきています。
ついでに現場で発見された石の種類については現在調べてもらっているところです。
糸村発言するなら挙手しろ。
はい。
次鑑取り!
(岩田)はい!ガイシャの田岡は中学辺りから非行に走り高校も中退。
去年の春に町中で喧嘩になり相手に全治6か月の重傷を負わせて懲役9か月くらい出所したのがひと月あまり前。
携帯電話の加入もしておらずネットカフェを渡り歩いていたようです。
(加賀見享)家族はいないのか?はい。
家族とは高校中退以降別々に暮らしており実家には父親と兄がいますが不仲のようです。
母親はガイシャが服役中に病死したようです。
そこらの事情ももう一度きちんと確認しておけ。
田岡が起こした事件の被害者は?
(野口洋)はい。
今は病気を患って入院していてアリバイが成立しています。
おい地取りのほうはどうだ?はい。
現場周辺の聞き込みも今のところ大した成果はあがってません。
こいつはどうだ?
(川原刑事)その女性の目撃情報はありません。
その絵についてはひとつ情報が。
田岡は出所後保護司の紹介で北区の工事現場で働いてたんですがそこでその絵をめぐって仲間ともめ事を起こして辞めてる事がわかってます。
(曽根)なんだ?はい。
それだけ大事な絵だったわけですよね?それが丸めて捨てられていた。
何かあったんでしょうか。
考えるなお前が。
そいつはこっちの仕事だ。
でも気になりませんか?だから!
(曽根)宮下。
糸村鑑定の優先順位を決めるのはお前だが捜査の優先順位は俺が決める。
いいな?はい。
えーこの一件は不良同士の喧嘩かもしれんが鑑取り地取り共にガイシャが持っていたこの絵の女を当たるのを忘れるな。
事件にかかわりがあるかもしれん。
わかったな!?
(一同)はい!さあ?知りません。
こんな娘さんは。
それにしても死んだあとまで警察にご迷惑をおかけして…。
あいつのせいで私は職を失いましてね被害者の方へ賠償金もまだ払い終わってない。
いやそれどころか許してさえもらってない。
刑事さんあいつが起こした事件のせいで妻は去年の秋心臓を患って亡くなったんです。
伺ってます。
大変でしたね。
(孝雄)出所したあとも働いていた工事現場で喧嘩して勝手に辞めてしまった。
保護司の方にも迷惑をおかけして…。
あんな親不孝者もう私の息子なんかじゃありません。
だから事件当日も口論になったんですか?
(岩田)来てますよね?息子さん。
ご近所の方があなたと耕治さんが大声で口論しているのを聞いてるんですよ。
出所後初めて来たんです。
なんの話があったのか相変わらずふてくされた顔をして。
「この先どうするんだ」って聞いたらまた言い争いになってしまって…。
そのまま飛び出して行ったんです。
それだけです。
この石が現場近くに落ちていたんですがご存じありませんか?いいえ。
(ノック)
(田岡康夫)父さん警察の人が話聞きたいって。
警察の方ならとっくに…。
お邪魔しますー。
あっどうもありがとうございました。
糸村さん。
あああなた方も来てたんですか。
はじめまして。
わたくし糸村と申します。
ちょっと待ってください。
ん?いつも言ってますけど今私たちが…。
うん遺留品についてちょっと聞いておきたい事があってさあ。
あのですね現場にこんなものが落ちていたんですが息子さんは絵を描かれる方でしたか?いいえ。
そうですか…。
じゃ誰が描いたんだろうなあ…。
もういいですか?旅行はお好きなんですか?はい?よく行かれてたんですか?奥様と。
どういう事でしょうか?これインドですよね?タージマハールだ。
ああ家内と一度だけ行った海外旅行の時の写真です。
それが事件と関係あるんでしょうか?いいですよね〜。
僕もインドには行った事がありましてね人生観が変わるって散々勧められましてやってみたんですよ。
あのガンジス川の沐浴。
でほら毎朝現地の人たちってあそこで顔洗ったりうがいとかしてるじゃないですか。
それまでやったんですよ。
次の日からえらい事になりましてねえ…。
ちょっとあんた!いい加減にしろよ!なんかお2人共空気悪いですよ。
なんかあったの?あ…。
本庁の科学捜査係だかなんだか知らないがこっちの邪魔して面白いか。
俺たちは被害者の無念を晴らすために捜査してんだ。
遊びじゃねえんだよ!覚えとけ。
あー…息が出来ない…。
息…出来ないー…。
ああ…。

(孝雄)康夫。
お前あのあと…耕治と何があった?何度も言わすなよ。
何もなかった。
俺は何もしてない。
頼む!私には本当の事言ってくれ。
康夫!いい加減にしてくれよ父さん…!殴られたんですって?所轄の刑事に。
うん…。
だから言ってるじゃないですか。
余計な事はしないで使いっ走りだけしてりゃいいんだって。
うん…。
あれ?それ本物っすか?うん…。
遺留品を所轄から持ち出したんですか?誰がこの絵を描いたのかガイシャはなぜこの絵を持ってたのかそれを知る方法がないかと思ってねえ…。
は?彼女が誰かを知りたいんじゃなくて?うん…。
まあどっちにしてもこんなもん持ち出した事がばれたらまた殴られますよ。
第一この絵がそんなに重要なんすかねえ?うっ!科学捜査係は遺留品を扱う部署だよ。
だから遺留品には徹底的にこだわるし決して粗末には扱わない。
…って誰かが言ってた。
はい…。
あれ?これ…前に描いた絵の線だね。
ですね。
という事は…?石の鑑定結果送られてきました。
待ってました。
教えてくださ…。
教えたでしょメアド。
アハハッ!連絡とれました?笑った…。
あのねあれからずっとメールの着信音が鳴り…。
(メールの着信音)あっ来た?来た!ひどい人だなぁあなたは!あっ村木さん!着衣のほうは?まだー!!あぁ…。
そりゃあ怒りますよ。
なんであんな怒ってんだろうな…。
えーと…。
「英名カーネリアン和名紅玉髄…紅玉髄」「カーネリアンはカルセドニー玉髄という石の中でも褐色や紅色で原産地はブラジルやインド」「化学式…」あっ…。
え?そういえばカーネリアンって確か…。
なんだっけ?ええ〜?あれ?なんだっけ?ちょっと糸村さん!糸村さん!お疲れさまです。
(曽根)おう。
石の鑑定結果を持ってきました。
これです。
糸村さんは?出てったよどっかに。
変な人だよほんと…。
うつったりして。
風邪じゃないっつうの。
カーネリアン…原産地はブラジルインドか。
インド?どうした?田岡夫妻がたった一度だけ行った海外旅行がインドだってそう言ってましたよね?ああそうだったな。
それがどうしたんだ?田岡さんにこの石の写真を見せた時妙な反応をした気がして…。
ガイシャは実家で言い争って飛び出してくるのを目撃されている。
父親はガイシャのせいで職を失い妻も心労で病死した。
動機はあるか…。
違うか…。
あのちょっとすいません。
この絵ってこちらで描かれました?いや私じゃないですね。
そうですか。
すいません。
ありがとうございます。
ちょっとよろしいですか?この絵ってこちらで描かれたものじゃないですかね?ううん違う。
あのすいません。
はい。
こんな画風の似顔絵屋さんってご存じないですか?ああ…それなら池の向こうで描いてる奴じゃないかな?あっち?石?
(岩田)はい。
ええ写真の横に飾ってありましたよ。
これくらいの石。
奥さんが気に入って旅行先で買ってきたって。
これですか?そうこれ。
この間は置いてなかったですよね。
(岩田)ああ。
(島田良平)こんな感じでどうっすか。
あっ出来ました?うわっ似てる。
一応商売なんで…。
2000円っす。
…あれ?あっやっぱタッチもそっくりだ。
これ描いたのもあなたですよね?…誰っすか?あっえっと一応こういう者なんですけど。
どうかな?描きましたよついこの間。
頼んだのはこの人?そう。
(島田の声)昔付き合ってた彼女だって言ってたけど…。
昔付き合ってたって事はその時彼女はいなかったんだ。
(島田の声)ええ1人でしたよ。
こんな感じって言われてそのとおりに描いたんですけど。
そう…。
ちょっ…ちょっと…。
ちょっとなんすか?それでこの彼女の事なんだけど…。
こちらです。
ご苦労さまです。
告別式がお済みになったばかりなのにすいません。
(孝雄)いえ…。
本日任意で来て頂いたのは耕治さんの殺害現場に落ちていたこの石からあなたの指紋が出たからなんですよ。
(曽根)それと息子さんの康夫さんの指紋も検出されました。
すいません…。
私が息子を殺しました。
(孝雄)あの日耕治が突然訪ねてきて妻が大事にしていたこの石を持ち出したんです。
それで…。
この石はそんなに大事なものなんですか?
(孝雄)この石は妻のお気に入りで形見のようなもんです。
それで息子さんを殺したと?はい。
私が…耕治を殺しました。
おお自供したって?ええ。
それにしても嫌な事件だな。
(曽根)はいただ…。
ただ…なんだ?どうも引っかかるんですよね。
引っかかるって…裏がとれないのか?肝心な部分の供述があいまいで…。
じゃあマスコミにはまだ伏せとくかなぁ。
そうして頂けると…。
まあ慌てず騒がず。
よろしく頼むよ。
ありがとうございます。

(野口)係長。
今丸山から連絡があったんですが事件当日ガイシャを追って出ていった兄の康夫を目撃した人がいました。
何…?糸村さんどうして…?美味しいのよそこのメンチ。
おひとついかが?いえそうじゃなくてどうしてここに?あのね例の似顔絵を描いた青年が被害者が以前住んでいた駅の近くのお肉屋さんの娘さんだって言っていたって事を思い出して話してくれたわけ。
見つけたんですか?絵描きの人。
しかしよくここわかったね。
ガイシャのお葬式にこっそり来てたんです彼女。
じゃあ事情聞いてみれば?僕黙ってるから。
警察の者です。
この人の事何かご存じですか?警察がなんだってんだ!ええ!?そんな男となうちの娘はなんの関係もねえんだよ!帰ってくれよ!
(香取未知)やめてよお父さん!なんなの?この人は殺された可能性があります。
もしあなたがこの人とかかわりがあったのなら知ってる事を教えてほしいんです。
それが残された人間の役目だと思います。
お父さん一度耕治に殴られた事があるんだ。
殴られた?以前お付き合いされてたんですよねお二人は…。
糸村さん。
ごめんなさい。
そう耕治とは去年この近くの工場で働いてた時に知り合ったんだけど結構あちこちで問題起こしてたのがお父さんにばれちゃってさ…。
そんな事があったから別れたんだ。
そしたらそのあとすぐに事件起こして刑務所入ってやんのあのバカ…。
そうですか。
どうしてお葬式に?お母さんが今入院してるんだよねうち。
入院?あんまり具合よくなくてさ…。
そしたら事件があった日に電話があったんだ。
お前んとこのおふくろが入院してるって聞いてさ…。
俺いいもの持ってんだ。
これ持ってるといい事があんだよ。
だから来いよ。
いつものところで夜7時に待ってるから。
で行ったんですか?行くわけない。
お母さんが入院してるのに耕治なんかに会ってこれ以上ゴタゴタになりたくなかったし…。
耕治の言ってる事も信用出来なかったから。
いいものがあるって言ったんですね?…え?ですからいい事が起きるいいものを持ってるって。
うん…そんなような事。
そうですか。
だから耕治が殺されたって聞いてなんか後味悪くてさ…。
それでお葬式に…。
いい人なんですねあなた。
あっだから彼もあの絵を大事に持ってたんですね。
絵って?彼絵描きの人にあなたの似顔絵を描いてもらってそれを持っていたんです。
耕治が?今のあなたには迷惑な事かもしれませんけどでも彼は本当にあなたの事を心配していたのかもしれません。
ご協力ありがとうございました。
お母様早くよくなるといいですね。
糸村さん。
うん。
あっそうだ。
最後にもうひとつ何か他に彼に関して覚えてる事ってありませんか?そういえば料理作りたいって。
料理…?彼女事件には関係なさそうですね。
(携帯電話の振動音)ん?あっ村木さんからメールだ。
えーと…。
織田君この辺にさドラッグストアって知らない?はい?糸村は?知りませんよ。
俺糸村さんの保護者じゃないんですから。
なんすか?これ。
1752点の指紋の照合が全部終わった。
面白いもんが出てきたよ。
そっかこのにおいなんだ。
なんなんですか?一体。
被害者の着衣には付着物が付いてたんだけどそれがこのメーカーの整髪料だってわかったんだ。
整髪料?犯人と争っている時に付いたんだろうけど実はあの彼女の似顔絵を描いた青年彼からも同じにおいがしたんだよ。
ちょっと…ちょっとなんすか?偶然なんじゃありません?どこにでも売っているものだし。
使えない刑事ほど物事を「偶然」という言葉で片付けるって誰かが言ってたよ。
どこで描いてるんですか?その男。
飛鳥池公園。
この人。
お借りします。
え?ちょっと織田君?それ私物なんだけど…。
おい!指紋変えて1年3か月か…。
すいません…すいません。
どうしたんですか?たった今鑑識から連絡が入ってな現場に落ちてた空き缶からマエのある指紋がひとつ出たんだと。
(野口)島田良平二十歳。
被害者と服役期間が重なってる。
しかも同じ刑務所だ。
(曽根)島田は参考人として身柄を確保する。
立ち回り先を徹底的に洗え!
(一同)はい!あの…。
この男飛鳥池公園で似顔絵を描いてます。
(曽根)何…?例の似顔絵を描いた男だと糸村さんが…。
田岡とはムショで知り合いました。
お互いもうバカはやってらんねえ手に職でもつけなきゃっつって俺は似顔絵田岡は料理を勉強しようかって話になってムショを出たあとあいつ俺の様子を見にきてくれて…。
その時に似顔絵描いてやったんです。
それがこの絵か?
(島田)はい。
(島田)元カノだっつってました。
だけどどうして殺したんだ?仲間じゃなかったのか?殺すつもりはなかったんです。
本当です。
あの日あいつがあんな事言わなきゃ俺だって…。
(島田)何たそがれちゃってんだよ?別に。
別にってなんだよ。
(島田)そんなに好きだったのかよ。
だったら俺がなんとかしてやろうか?なあ?
(耕治)お前に何が出来るんだよ。
なんだよその言い方。
仲間じゃんか。
仲間?俺はお前とは違うんだよ!
(絵をたたきつける音)何すんだ!オラァ!
(耕治)うっ!
(島田)おい!
(島田)オラ!オラ!
(島田)オラァ!
(島田)オラァ…!おい…!おい。
おい…。
ああ…。
(島田)俺が…俺…俺が悪いんじゃないんだ!
(島田)ううう…ああ…!こちらで失礼します。
どうもご迷惑をおかけしました。
田岡さん!すいませんちょっと…。
あの…僕に3分間だけ時間頂けませんか?は?お疲れですから。
耕治君の事です。
3分でいいんです。
糸村さん。
田岡さんにどうしても食べてもらいたいものがあるんだよ。
では立ち話もなんですからどうぞ中へ。
さあさあさあ…。
いや糸村さん…。
耕治君には以前お付き合いをしていた娘さんがいました。
あの似顔絵に描かれていた女性です。
名前は未知さん。
耕治さんは未知さんのお父さんと揉め事を起こしてしまい2人は別れてしまいました。
刑務所から出所したあと耕治君は未知さんのお母さんが病気にかかっている事を知りました。
そこである事を思いついた耕治君はお父さんにひとつ頼み事をするためにここに来たんだと思います。
頼み事…?ええ。
ですが以前からの事もありますし口下手な耕治君は何も言い出せなかった。
耕治君カーネリアンを黙って持ち出そうとはしませんでしたか?ああ…はい。
(耕治)いいだろ?少しだけ貸してくれ。
(孝雄)ダメだ!母さんが大事にしていたもんだ。
だから今日一日だけだって!ダメだって!
(耕治)頼むから!
(康夫)何やってんだよ!お前どのツラ下げてこの家来れんだ!
(耕治)なんだよお前は!
(孝雄)耕治お前は…!うるせえよ!
(康夫)おい耕治!
(耕治)しつけえんだよ!
(康夫)おい…!待てよ!
(孝雄)康夫!どういう事ですか?カーネリアンはねパワーストーンなんだよ。
何かを始めようとする勇気マイナスをプラスに転換するっていう意味があるんだ。
そうですよね?家内も口癖のようにそう言ってました。
これさえあれば家族はいつか幸せになれるって…。
耕治君もその事を覚えていたんです。
ですから未知さんのお母さんの病気が治るようにとその石の力を借りようと思って黙って持ち出そうとしたんだと思います。
結局待ち合わせの場所に未知さんは現れず石は渡せずじまいでした。
ですが耕治君は石さえ渡せればと本気でそう信じていたんだと思います。
お母さんのように。
母さん…耕治も石があればいつか立ち直る日が来るからって死ぬ直前までそう言い続けてたっけ。
そうだったな。
だが私にはそうは思えなかった。
迷惑をかけられてばかりだとしか思えなくて…。
あの日お前は耕治を追いかけたまま帰ってこなかった。
もしかしたらって…そればっかりで。
だから自分がやったと…?はい。
親父…。
さて赤ワイン1カップ固形スープ3個トマトピューレカップ1トマトソース大さじ2杯ハチミツ大さじ1ローリエ1枚そして水5カップ。
これなんの材料でしょうか?ビーフシチュー。
正解です。
実はこのレシピを僕に教えてくれたのも似顔絵の彼女…未知さんです。
(未知)ビーフシチュー?母さんのビーフシチューうまかったんだ。
あの味は忘れられない。
家族揃って食べるビーフシチューは最高だった。
何?突然…。
赤ワイン1カップ固形スープ3個トマトピューレ1カップトマトソース大さじ2ハチミツ大さじ1ローリエ1枚水5カップ。
あとは…L多め。
L多め?ああ。
それが母さんが作るビーフシチューの秘訣なんだ。
(耕治)俺にとっての幸せのレシピってやつ。
それを食ってればみんな笑顔になるんだ。
親父も兄貴も大好きだった。
いつかそんなビーフシチューが作れるようになれたらいいなって。
なら迷惑ばっかりかけてきたお父さんたちに早く作ってあげればいいでしょ。
そうなんだけどさ…。
まあいつかは作ってやるさ。
世界中の家族が幸せな顔になるビーフシチューだ。
ほんとにうまいんだからよ!あ…このレシピお前にやるよ。
俺もう覚えちゃったからさ。
事件当日の電話でも耕治君は言っていたそうです。
あのにおいが忘れられない。
だから洋食屋に勤める事にしたって。
家内のレシピです。
赤ワイン1カップ固形スープ3個トマトピューレ1カップ…。
昔家に戻ってきてこのにおいがするとほっとしたもんでした。
家族全員が集まって一緒にシチューを食べたんです。
(康夫)耕治のやつ母さんのレシピ忘れてなかったんだ。
ただこれだけがわからないんですよ。
「L多め」
(すすり泣く声)Lは…。
ラブだと思います。
ラブ多め…?母さんがよく言ってました。
料理が美味しくなるコツは愛情多めが肝心だって。
そうですか。
田岡さんこれまで耕治君のしてきた事でたくさんつらい思いをしてこられたと思います。
でも耕治君立ち直ろうとしてたんです。
だから洋食屋に勤めていつかお二人にお母さんのシチューを食べてもらおうって…。
それが自分に出来るお父さんお兄さんに対しての唯一の恩返しだって信じていたんです。
気がつくのは少し遅かったかもしれません。
でも耕治君はお父さんの気持ちに報いようとしてたんです。
うう…そうだったのか…耕治。
耕治…耕治…。

(耕治の声)L多め。
それが母さんが作るビーフシチューの秘訣なんだ。
(田岡民江)はいお待たせ〜。
(孝雄)はいではいただきま〜す。
(一同)いただきます。
う〜ん!耕治美味しいねえ。
うん美味しい。
たくさん食べな。
な!世界中の家族が幸せな顔になるビーフシチューだ。
ほんとにうまいんだからよ!何が「3分ください」ですか。
3分で料理が作れるわけないじゃないですか。
そっか…そうだね。
え…じゃあ何分って言えばよかったんだ?これが何か…?事件解決に協力してくれたそうだが知り合いでもいたのか?あいいえ。
偶然だったんです。
センター長の江藤奈津子さんって人がまあ優秀で…。
助かりました。
それがどうかしたんですか?その江藤とかいう女性何か言ってたか?何かって…?事件以外の事で何かだ。
事件以外…ああそういえば…。
被害者はもう何も言えません。
だから遺留品に聞くんです。
(江藤奈津子)へえ…面白い事言うのね。
とても警察の方とは思えない。
そうか…。
お知り合いなんですか?糸村。
はい。
民間の組織を使うのは感心しない。
あんまり付き合うな。
ほんとは何かあったりして。
お前…飛ばすぞ。
2014/03/20(木) 15:55〜16:50
ABCテレビ1
遺留捜査[再][字]

「紅い石」

詳細情報
◇番組内容
警視庁捜査一課・科学捜査係を舞台に、遺留品から真実に迫る新たな刑事ドラマ誕生!主演・上川隆也演じる刑事・糸村が明らかにする被害者たちの伝えられなかった想いとは?
◇出演者
上川隆也、貫地谷しほり、佐野史郎 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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