(鬼頭)生体肝移植と心臓移植を同時にやるそうね。
(龍太郎)ああ。
しかも成人のドナー心を9歳の子供に。
わたしのレシピエントに来るはずだった心臓を。
やりなさい朝田。
あなたの患者に移植されなければ貴重な命がひとつ無駄になる。
目の前の患者を救いなさい。
(松平)残念だったな。
あんたのレシピエント。
(鬼頭)誰が?残念だって?わたしの患者よ。
死なせない。
(藤吉)あと3時間25分か。
(看護師)肝臓来ました!
(医師)はい。
(荒瀬)相当な手術侵襲が加わる。
俺が人工心肺のサポートをする。
術中管理で朝田のフォローを頼む。
(荒瀬)今からそろうよ。
最強のチームが。
(松平)これより摘出した肝左葉グラフトの移植術を行う。
鑷子。
6−0。
(看護師)はい。
(龍太郎)これより拡張型心筋症に対する心臓移植を行う。
メス。
(ミキ)はい。
(外山)鑷子ガーゼ。
(ミキ)はい。
いくぞ。
(医師)肺動脈圧が上昇し体血圧が低下してます。
このままでは…。
(医師)どうします?
(鬼頭)すぐに開胸して人工心肺に乗せる。
(医師)しかしもう移植はできません!
(鬼頭)いいから!
(医師)先生…。
(鬼頭)わたしに不可能はない。
メス!
(看護師)はい!
(野口)何か用?
(片岡)恩田議員が既に会場でお待ちのようです。
予定より早くお着きになったみたいで。
そう。
(片岡)お急ぎになられたほうがいいんじゃないですか?車用意させました。
分かった。
出よう。
(野口)ああそうそう。
言い忘れてた。
もう契約しちゃった。
ゴールドバーグブラザーズと。
車ありがとう。
(木原)行きましょう。
(看護師)北洋の医者たちが心臓移植だって。
(看護師)えーっできんの?北洋の医者だよ。
(野口)どうも今日はありがとうございました。
後ほどまた。
ありがとうございます。
ハーイ。
ありがとう。
(木原)あっ。
ご苦労さまです。
今日は直接ご自宅のほうからでいらっしゃいますか?
(男性)そうですよ。
(木原)ああよかった。
(野口)いよいよ。
いよいよ。
いよいよです。
あとでゆっくりね。
(外山)朝田IVC側も頼む。
(龍太郎)分かった。
(松平)クーパー。
(看護師)はい。
(松平)肝動脈吻合終了。
続いて胆道の再建に入る。
鑷子。
(看護師)はい。
(松平)4−0。
(小高)腸が張ってきた。
(荒瀬)筋弛緩薬追加。
(小高)分かった。
(野村)ロングステントも用意できてます。
(松平)オッケー了解。
このスピードでもすべての癒着剥離は到底…。
(藤吉)難しいのは分かってる!それでもわずかな可能性にかけてるんだ。
患者を救うために。
あいつらは本物の医者だ。
お前には分からないだろうがな。
父は医者だった。
(片岡)大学病院を飛び出し理想の医療を求めて無医村に行って開業したわ。
(片岡)昼も夜もなく働いて貧しい家からは診察料すらも受け取らなかった父…。
(片岡)だけど無理がたたって結局倒れた。
虚血性の拡張型心筋症。
助かるためには心臓移植しかなかった。
日本では圧倒的にドナーが少なく海外で心臓移植を受けるにはばく大な金がかかる。
そんな金も貸してくれる人もなくそれどころか開業時に作った借金も病に倒れた途端取り立てられ…。
医療機器も差し押さえられ診療所は閉鎖。
失意の中母は死に父も絶望の中ですさんでいった。
バカみたい…。
(荒瀬)えっ?
(荒瀬)伊集院が…。
(伊集院)《絶対にあきらめない》
(伊集院)あっ。
(藤吉)何とかならないんですか?人の命が懸かってるんです!だからそこを何とか!何をする気だ?彼のいる正確な場所を言って。
必ず心臓は届けさせる。
(ヘリのローター音)ヘリを手配した。
こっちに向かってるわ。
(荒瀬)分かった。
心臓到着まであと50分だ。
(龍太郎)時間がない。
同時にやるぞ。
(外山)よし。
ハーモニック。
(ミキ)はい。
(松平)肝臓はあと少しだ。
鑷子。
(看護師)はい。
(松平)4−0。
(看護師)はい。
(松平)クーパー。
(看護師)はい。
(松平)生体肝移植終了。
(松平)あとは頼む。
(外山)次は左室側の剥離だな。
癒着剥離終了。
(外山)どういうことだよ?まだ全然剥離できてないぞ。
(外山)この状態じゃこの子の心臓はまだ取り出せないぞ!
(小高)はい。
伊集院君もう着くわ。
どうした?
(医師)あきらめたのか?
(医師)やっぱり。
(外山)最後までやるんじゃなかったのか?
(外山)朝田!
(外山)いい。
俺はやる。
(荒瀬)やめとけ61キロ。
(伊集院)心臓です。
すぐ手洗いして入ります。
(小高)お願い。
(小高)ドナー心来たわ。
(外山)どうするんだ?まだ剥離は終わってないんだぞ。
(外山)朝田!外山。
見事なスピードだった。
ここからの前立ちはドナー心の摘出に立ち会った伊集院に代わる。
(外山)何をする気だ?ピギーバックだ。
ピギーバック?
(医師)ピギーバック?医学書でしか見たことがない…。
(藤吉)ピギーバック。
通常の心臓移植ではレシピエントの心臓を左心房の後壁を残して切り取りドナー心臓を縫い合わせるがピギーバックはレシピエントの心臓の右外側にドナー心臓をピギーバック。
つまりおんぶするように移植する。
2つ心臓を並べる。
これだと心臓そのものを取り替えるのに比べ…。
格段に血管の吻合個所が少なくなる。
それだけじゃない。
ドナー心の一時的な機能低下が行ったとしても…。
自分の心臓を残していれば回復までの補助が可能。
そういうことだ。
人工心肺を装着する。
4−0。
(ミキ)はい。
(伊集院)ターニケット。
ペアン。
(藤吉)だけどピギーバックでも剥離が終わってないと不可能だぞ。
人工心肺装着完了。
ポンプオン。
(野村)はい。
電メス。
18ミリの人工血管を2本用意しろ。
(ミキ)えっ?
(伊集院)ピギーバックは肺動脈間を…。
(外山)人工血管1本でバイパスするだけじゃないのか?
(医師)何だ?
(片岡)右の胸膜をこんなに大きく切開している。
そういうことか。
本来のピギーバックはドナー心臓をレシピエントの心臓の上に置き左心房上大静脈大動脈を直接吻合し距離のある肺動脈のみ人工血管でバイパスする。
だけど朝田がやろうとしているのはドナー心臓を癒着のない胸腔に置き本来の方法より距離ができた分大動脈も人工血管で吻合する。
これだと本来のピギーバックを行うより癒着剥離が少なくて済む。
だから剥離を途中でやめた。
全部の剥離を行う時間のないこと。
ドナー心の状態。
限られたスペース。
すべて計算して術式を変えたんだ。
胸膜切開終了。
(小高)ドナー心オーケーよ。
アオルタクランプ。
(ミキ)はい。
遮断。
心停止液注入。
(野村)はい。
ドナー心。
(ミキ)はい。
これよりピギーバック変法を行う。
(一同)はい。
メッツェン。
(ミキ)はい。
ここからが本番だ。
(丸山)野口先生。
まずいよ。
(龍太郎)LA吻合を開始する。
鑷子。
(ミキ)はい。
4−0。
(ミキ)はい。
朝田のスピードなら何とか時間内に…。
・
(霧島)無理だ。
(藤吉)霧島!?
(霧島)ドナー心はマージナルハート弱った心臓だ。
しかも虚血時間運んでる時間が長すぎる。
どんな術式でもドナー心がもたなければ意味がない。
うまく血流を再開できてもな。
成功する可能性は?
(霧島)0.1%あればいいほうだ。
同時移植!?
(丸山)てっきりご存じかと。
止めろ。
(丸山)はっ?今すぐ止めろ!
(片岡)そんなことをすればあなたは明真にいられなくなる。
ご存じですか?この10年日本で行われた心臓移植は49例。
そのうち術中死はゼロ。
今オペを中止すれば心臓移植は失敗する。
しかも生体肝移植と同時の心臓移植。
こんなオペを強行した上に失敗したことが分かれば施設長の責任は免れない。
(野口)何だと!?このままパーティーを続けてください。
わたしと野口先生はもう同じ船に乗った。
あとは無事に着くのを祈るしかないんです。
でも…。
もし成功すれば日本で初の心肝同時移植です。
オペをしているのはチームドラゴン。
必ず成功します。
頑張れって伝えてくれるかな。
朝田ちゃんに。
(龍太郎)メッツェン。
(ミキ)はい。
ピギーバック終了。
(荒瀬)フローダウンだ。
(野村)フローダウンします。
遮断解除。
バックアップ。
(伊集院)やった…。
(野村)成功です。
(外山)終わった…。
(医師)成功だよ!
(医師)やり終えたぞ!
(拍手)成功だ。
(拍手)
(野口)日本もアメリカの医療制度に学び市場原理を医療の世界に導入すべきです。
払った金額に見合う医療。
これこそが目指すべき医療改革ではないでしょうか。
(拍手)
(警告音)VTだ。
(藤吉)心室頻拍!?
(外山)まずい!VTだ!
(伊集院)なぜ!?
(小高)キシロカイン50ミリグラム。
(看護師)はい。
(荒瀬)マグネシウム持ってこい!
(看護師)はい。
(龍太郎)DCだ!
(野村)はい!
(外山)20Jチャージ。
(野村)チャージしました。
離れろ!DC!
(外山)20Jチャージ!
(野村)チャージしました!離れろ!
(外山)人工心肺再開しろ!
(野村)はい。
(野村)ポンプスタート!VTのストーム。
虚血時間が長すぎた。
この心臓はもたない。
(外山)VADを装着しよう。
もしかしたら回復できるかもしれない。
(伊集院)補助人工心臓ですか!?
(荒瀬)この子には無理だ。
(外山)何!?たった今肝移植を終えたばかりだ。
これ以上の負担は無理だ。
(外山)しかし…。
(小高)ドナー心が張ってきてる。
もっと脱血して。
(野村)はい。
(外山)どうするんだ!?もう一度心臓を止める。
移植した心臓を止める!?正気か!?野村。
クライオはすぐ用意できるか?
(野村)できます。
(外山)クライオ!?心臓の中にフォーカスがある。
心臓を止めた後心筋を切開し乳頭筋周囲のクライオアブレーションを行う。
クライオアブレーション。
(藤吉)VTの原因の場所を特定してクライオを当て冷凍凝固で押さえ込もうというのか!?確かにクライオアブレーションなら心筋を傷つけずにフォーカスを融解壊死することは可能だが…。
(藤吉)フォーカスを特定なんてできるのか!?場所が数ミリでもずれてたら…。
刺激伝導系がやられブロックになるぞ。
(野村)心停止しました。
尖刃。
(ミキ)はい。
クライオ。
(ミキ)はい。
よし。
(外山)どこがフォーカスか分かるのか!?手に伝わる収縮の感覚がそこだけ違った。
クライオスタート。
(龍太郎)クライオアブレーション終了。
心筋を縫合するぞ。
(一同)はい。
鑷子。
X−O。
(ミキ)はい。
(伊集院)フェルトストリップ。
(ミキ)はい。
(伊集院)鑷子。
(ミキ)はい。
(龍太郎)フローダウン。
遮断解除。
バックアップ。
(野村)はい。
(野村)洞調律維持してます。
VT出ません!
(ミキ)やった…。
(野村)成功だ。
(外山)やったぜ!
(医師たち)やりましたよ。
やったよ!
(拍手と歓声)やった…。
奇跡だ。
忘れてたよ。
0.1%の可能性を100%にする男だった。
朝田龍太郎。
(龍太郎)オペ終了。
よく頑張った。
(拍手)
(拍手)
(スタッフ)片岡さま。
伝言がございます。
(片岡)すいません。
(善田)やってくれると思ってた。
(片岡)ええ。
野口。
皆さん。
すばらしいニュースが飛び込んできました。
(参列者たち)ええっ?何?これを知ると大変驚かれます。
(ざわめき)それは…。
それは…。
(善田)グッバイ。
日本初の快挙…。
(ざわめき)瑕疵条項?
(副代表)この瑕疵条項によれば業務遂行に重大な支障が生じた場合この債権の無条件譲渡および代表者の変更を認めるとあります。
(野口)その条項はわたしの健康のことじゃ…。
我々はこの条項によりすでに債権譲渡を決定しています。
我々の債権を高値で買うと申し出ている企業がございまして。
その方がメイシンメディカルシティーの新しいオーナーです。
(野口)最初から組んでわざとゴールドと契約させたのか?これがホントの…ウインウインです。
ダグラス…。
(美和)ああ…。
ありがとうございます。
心臓を提供してくれたドナーの方のお陰です。
(伊集院)山野さん!?
(鬼頭)容体は安定してるわ。
(伊集院)どうして!?
(霧島)人工心臓だ。
(伊集院)霧島先生!次世代型人工心臓。
日本ではまだ治験段階で実用化されてない。
(鬼頭)アメリカではすでに認可され植え込み後の効果も保証済み。
(龍太郎)ああ。
(霧島)朝田から相談を受け用意してた。
BSAが1未満のあの子供には困難だったが同時に相談を受けてた鬼頭先生の患者には間に合った。
臓器移植は日本では限界がある。
今はまだ保険適応外でばく大な費用がかかる人工心臓。
治験を進め国に認可させるつもり。
だから山野会長に…。
(鬼頭)これこそが神の領域よ。
あなたの腕ももうそこに行ってるかもしれないけど。
霧島先生はそのために?
(霧島)ああ。
嘘だな。
いざとなったらこっちのオペ室にも入るつもりだったんだろ?俺が入るまでもない。
すばらしいチームだ。
また何かあったら呼んでくれ。
(霧島)いつでも飛んでくるよ。
(片岡)院長が地道に野口の悪行の証拠を集めたお陰です。
(善田)いえ。
あなたのお手柄です。
(片岡)経営方針は一新します。
スケールメリットを生かした総合医療都市に生まれ変わる。
その最先端医療を担うのは鬼頭先生。
世界最高水準の医療を実現してみせる。
その分地域医療は北洋に。
(善田)任せてください。
だけどどうやって融資資金を回収するつもり?わたしは今の日本の医療制度に問題があると思う。
患者を第一に考える医者が報われないのはこの国の制度にも問題がある。
(鬼頭)だから?だから患者ではなく国からお金を取る。
メイシンが中心となって国に働きかけ医療政策を変えてみせます。
(鬼頭)できる?まっトップが誰に代わろうとわたしはわたしの医療を進めていくだけだけど。
必ずやってみせます。
(サイレン)
(英語の会話)
(野口)ノー…。
ノー…。
ノォォォー!
(龍太郎)何やってる?入れ。
みんな待ってる。
(荒瀬)よう。
(ミキ)せーの。
(一同)メリークリスマス!
(ミキ)これ。
みんなからのクリスマスプレゼント。
(雄太)わあー!早く元気になって…。
(外山)一緒にやろうぜサッカー。
ありがとう。
(ミキ)みんなはこれからどうするの?
(野村)北洋に戻ります。
(松平)あっちにも俺たちを待ってる患者がいる。
(ミキ)そうね。
(外山)ただ何かあったら呼んでくれ。
(小高)いつでも駆けつけるから。
あなたは?誰が欠けてもあの子の命は助からなかった。
このチームは最高のチームだ。
・『ONE』
(英語の会話)2014/03/20(木) 15:53〜16:48
関西テレビ1
[終]医龍 Team Medical Dragon2 #11[再][字]【坂口憲二】
「運命の4時間!!最後の手術」
坂口憲二 内田有紀 小池徹平 大塚寧々 佐々木蔵之介 阿部サダヲ 夏木マリほか
詳細情報
番組内容
朝田龍太郎(坂口憲二)のチームの9歳の患者、音部雄太(田中碧海)に、鬼頭笙子(夏木マリ)のチームで心臓移植手術を断念した山野文彦会長(中村まこと)へのドナー心臓が譲られることになった。雄太は松平幸太朗(佐藤二朗)の執刀で生体肝移植手術中だったが、朝田は心臓移植も同時に行うことを決意する。
手術が始まった。そのチームは、荒瀬門次(阿部サダヲ)曰く“最強のチーム”。大人のドナー心臓を子供の雄太に、
番組内容2
しかも、生体肝移植と同時に行うことはとても困難な手術。しかも、雄太を開胸すると、想定以上の癒着が判明したが、朝田は冷静に手術を進める。
朝田たちの手術は、明真大学付属病院の医局員たちの耳目を集めだす。騒然とする医師たちの中、1人の男が明真に現れた。霧島軍司(北村一輝)だ。
見学室で片岡一美(内田有紀)が、なぜ外資に身を置くようになったかを藤吉圭介(佐々木蔵之介)に話していると、
番組内容3
手術室で内線電話が鳴る。受話器を取った荒瀬は愕然。ドナー心臓を取りに行った伊集院登(小池徹平)が足止めを食っているという。それを聞いた片岡は…。
山中でさまよう伊集院が絶望感にさいなまれていると、ヘリコプターが現れた。片岡が手配したものだった。ドナー心臓は、なんとか間に合う。だが、癒着剥離が終わりそうもない。朝田は突然、癒着剥離終了を宣言して…。
出演者
坂口憲二
内田有紀
小池徹平
大塚寧々
阿部サダヲ
水川あさみ
池田鉄洋
佐藤二朗
志賀廣太郎
中村まこと
長野里美
田中碧海
北村一輝
佐々木蔵之介
夏木マリ
岸部一徳 ほか
原作・脚本
【原作】
「医龍」乃木坂太郎
【原案】
永井明
【取材協力】
吉沼美恵
【脚本】
林宏司
監督・演出
【プロデューサー】
長部聡介
三竿玲子
【演出】
水田成英
音楽
澤野弘之
河野伸
【主題歌】
『ONE』AI(ユニバーサル ミュージック)
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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