生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
きょうのテーマは、震災の記憶を伝えていくために何が必要なのか考えます。
担当は、広瀬公巳解説委員です。
来週3月11日で、東日本大震災から3年となりますね。
広瀬⇒こちらをご覧ください。
女川いのちの石碑と名付けられた震災の記念碑です。
宮城県の女川中学の生徒たちが募金活動をして建てたものです。
きょうは、子どもたちの3年間の取り組みをたどりながら石碑ですとか遺構の果たす役割について考えていきたいと思います。
中学生が、募金活動でこの石碑を建てたということなんですね。
被災後、女川の中学では社会科の授業を出発点に生徒たちが震災と向き合う作業が始まりました。
いろんな意見を出し合ってこの対策案をプリントにまとめました。
内容は3つあります。
こちらをご覧ください。
3つ目の記録に残す、つまりは未来に伝えるということで石碑づくりになったんですね。
当初の計画案がこちらです。
高さが2mほどの石碑です。
これを女川町内の21のすべての浜の津波が到達した高さより高いところに建てる。
そして石碑には夢だけは壊せなかった大震災というように自分たちの震災体験をさまざまなことばにして記すというものでした。
石碑によってことばが違うんですね。
生徒たちは街頭募金に立って修学旅行中にも募金活動をしました。
その意思に動かされた親がお金の管理をして応援することになったんです。
僕たちは生きてるし頑張っていけるんだからその命のためにやれることは頑張れるっていうまっすぐな思いに大人の私たちははっとさせられますね、常に。
折れないんです、決して。
子どもたちの意思を周囲が支えることになったんですね。
生徒たちが議論を重ねる中で石碑のほかにも残すべきものがあるのではないかという意見が出てきました。
女川町では海岸線にあった建物が津波に押し倒されました。
鉄筋の柱とはりが通ったコンクリートの建物が倒れていることが津波の大きなエネルギーを物語っています。
ご覧のような建物が3つ残されています。
横向きになっている建物もあります。
生徒たちの中から忘れてはならない現実を伝えるものとして残したいという考えが出てきたということです。
確かに実物があると忘れることはないですよね。
こちらは、先ほどの子どもたちのまとめた紙から抜き出したものです。
きっかけは、原爆ドームのようにして残したいということでした。
ところが実際は建物や遺構はいらないという人が多かったんです。
子どもたちが行ったアンケート結果では保存すべきと考えていた人は20%解体はその2倍以上の50%でした。
地元住民の方に行ったアンケートなんですね。
そうです。
解体したほうがいいという理由は、思い出すのがつらいから。
維持費がかかるからそして復興の妨げになるからというのがその理由でした。
女川は人口の流出が続いています。
私も現地で今は遺構よりも復興だという声を聞きました。
簡単には決められないことですね。
女川だけではありません。
震災遺構の問題は、対応が分かれる問題になっています。
各地さまざま事情は異なりますが例えば岩手県のホテルの場合は津波の高さを示すものとして残されることになっています。
大型の漁船については壊すことになって、すでに解体されました。
女川の場合は交番は残すことになりましたが3つある建物のうち2つは解体ということでそのうちの1つについては解体作業が始まりました。
これからは記憶と記録だけが頼りという状況も生まれてきています。
何を残すかというのはとても難しい問題ですね。
遺構は物なので、それ自身がことばを発することはありません。
それに意味を与えたり意味を読み取ったりするのは人間のほうでさまざまな事情がありますので、いろいろな考えや思いがあります。
それも時間とともに変わっていくということもあるのではないでしょうか。
これでいいという1つの答えは、ないということです。
そうなると、震災を後世に伝えていくためには何が必要なんでしょうか?難しい問題です。
それを考える手がかりとして先人のことばをご紹介します。
こちらは戦前の物理学者で随筆家でもあった寺田寅彦です。
天災は忘れたころにやってくるということばをご存じでしょうか?昭和の三陸津波について記した文の中で寺田寅彦はこう言っています。
石碑が草むらに隠れてしまったころに次の津波がやってくるという意味です。
人間は、めったに起きないことについては忘れやすい生き物だという警告です。
東北に限らずわれわれ一人一人が心していかなければならないことではないでしょうか。
女川中学の石碑は目標の金額が集まって募金も締め切られました。
中学の前庭に最初の1基が建ちました。
石碑よりも高いところに逃げてくださいと記されています。
ただ、生徒たちの中には過去にも津波の高さを示した石碑が各地にあったけれども、忘れられて役には立たなかったのではないかという意見もあったそうです。
石に刻んだ思いを忘れずに長く伝えていくために石碑をどう生かしていくのか活用していくのかを考えていくことにしているそうです。
石碑を建てればそれで終わり、何かを残せばそれでよいということではなくて、忘れないために何を伝えるかが大切だということですね。
そのとおりです。
女川中学の生徒たちが伝えようとしているメッセージは、命の尊さです。
きょうは最後に、生徒たちが石碑に刻んだり、刻もうとしていることばをご紹介します。
21の石碑のうち1つ目はこちらです。
夢だけは壊せなかった大震災大変、力強いことばだと思います。
すでに完成しているもう1つの石碑にはただいまと聞きたい声が聞こえない、と刻まれています。
肉親を失った友達の心境を詠んだものだそうです。
つらい経験だけに、悩んだり思い出したりすると、どうしてもことばが長くなってしまいますが震災のときに、子どもたちはまだ小学生でした。
子どもが感じた17文字のストレートな表現です。
見上げればガレキの上にこいのぼりこれは、震災から2か月後に現場で見たそのままの光景です。
そして女川は今何色に見えますか津波の濁流の土色に染まってしまった女川が生き生きとした生活の色を取り戻しているか、ということを天国にいってしまったおじいさんに問いかけている話しかけているものだそうです。
短いことばですがそれぞれに子どもたちの感じた思いが伝わりますね。
復興が遅れている被災地はまだまだ震災は過去のものではありません現在進行形であります。
女川中学の生徒の1人はこの経験がどこか意識が離れ始めているのではないかと心配していました。
3年目の節目に忘れてはならないものが何なのかということをわれわれも再確認しなければいけないと思います。
広瀬公巳解説委員でした。
次回のテーマです。
復興支援ボランティアの継続をというテーマです。
復興支援ボランティアの必要性とその参加方法などを解説します。
担当は渥美哲解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
2014/03/06(木) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「震災の記憶を伝えていくために」[字]
NHK解説委員…広瀬公巳,【司会】岩渕梢
詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…広瀬公巳,【司会】岩渕梢
ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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