(テーマ音楽)正しい健康情報を分かりやすくお伝えする「きょうの健康」です。
昨日からこちら…不眠症の治療法のうち昨日は睡眠衛生指導そして認知行動療法についてご紹介しました。
そして今日は薬です。
2013年日本睡眠学会から睡眠薬を適正に使うためのガイドラインが出されました。
という事で今日のテーマはこちらです。
薬の使い方と上手にやめる方法についてお伝えします。
ではお話を聞く方ご紹介します。
特に睡眠障害がご専門です。
どうぞよろしくお願いします。
睡眠の悩みで非常に多いのが不眠症でしたよね。
この不眠症は長期間にわたって…不眠症で睡眠薬を使った治療法なんですがどういうふうに行われているんですか?こちらが2013年に日本睡眠学会が作りました不眠症治療のガイドラインです。
まず問診をしてそのあとに睡眠衛生指導を行います。
睡眠衛生指導とは寝やすい環境を作るであるとかあるいは逆に寝にくい理由を減らしていくという事をするものです。
そしてそのあとに睡眠薬を使った治療を始めていきます。
またそれ以外に睡眠についての間違った考え方や行動を修正してより寝やすくする認知行動療法という治療法も行う事があります。
このポイントはいきなり睡眠薬を使い始めるのではなくてまずは睡眠衛生指導をすると。
睡眠衛生指導をしたあとで睡眠薬を使い始めようというものです。
ガイドラインが出来たという事ですがこれはどうして出来たんですか?睡眠薬について間違ったイメージをお持ちの方がおられてそのために睡眠薬をなかなかのまないであるとか逆にたくさんのみ過ぎるという人がおられますのでそういう事に対応するために睡眠薬のガイドラインが作られました。
では具体的にどういう薬があるのか見ていきましょうか。
今主に使われている睡眠薬というのはこの3つです。
1つはベンゾジアゼピン系の薬。
それから非ベンゾジアゼピン系あるいはノンベンゾといわれる事もあります。
それからメラトニン受容体に効くメラトニン受容体作動薬というものが出来てきました。
これはどういう違いがあるんですか?ベンゾジアゼピン系の薬は不安があったりストレスがあって眠れない人に非常に有効な薬です。
非ベンゾジアゼピン系の薬は主に寝つきが悪い人に使われる薬で薬をやめる時にやめやすいという特徴があります。
共通点はあるんですか?いずれも脳の活動を抑えるような薬です。
ですから両方ともが同じようなタイプの薬と言ってもいいと思います。
処方する時に大事な点ってどういう事になりますか?先ほど言いましたように不安がある場合にはこちらを使います。
けれどもそれ以外の場合にはこの両方を合わせた形の使い分けですが作用時間によって使い分けをしていく事が多いです。
作用時間について…。
作用時間によって不眠症のタイプと合わせて使い分けをしていくという事です。
不眠症のタイプですが…。
4つありましたよね。
まず寝つきが悪いというのが入眠障害です。
そして途中何度も目を覚ましてしまうのが中途覚醒。
希望する時間より早く目が覚めてしまうのが早朝覚醒。
十分寝ているはずなのに熟眠感がないという熟眠障害。
この4つでしたね。
ではそれぞれの薬も見ていきましょう。
入眠障害の時に使う薬は…。
入眠障害は寝つく時だけ効けばいいのでできるだけ作用が短い超短時間作用型を使います。
そしてこの3つ早朝覚醒中途覚醒熟眠障害これはどういう薬になりますか?寝ている間に作用がずっと続く事が望ましいのでそれよりはもう少し作用時間が長い短時間作用型を使っていきます。
どちらも短時間なんですけど長ければいい訳ではないんですね。
作用があまり長すぎますと翌朝まで作用が持ち越してしまって朝に眠気が来てボ〜ッとしてしまうとかあるいは更に長いと昼間まで作用が持ち越してしまって昼間の活動に問題を来す事もありますので不眠症の場合には必要な中でできるだけ作用が短いものを使っていきます。
それではもう一度薬を見ていきましょう。
色分けされていますこちらメラトニン受容体作動薬です。
これはどういう薬でしょうか?メラトニンは脳の中のホルモンでして…どんな不眠の症状に効果的なんですか?メラトニンは寝たり起きたりというリズムを整える作用があります。
ですから寝たり起きたりというリズムの問題を伴っている人には非常に有効です。
また眠気を誘う作用もありますので入眠障害をお持ちの方にも有効な薬です。
これは比較的新しい薬になるんですか?2010年に発売された薬です。
こちらはもともと人間が持っているメラトニンというホルモンと同じような作用をしますので非常に自然な眠りが得られます。
そのかわり強い眠気は来しませんのでなかなか眠気が来ないといっていきなりやめるのではなくてしばらく使い続けている間に自然と「よく寝られるようになったな」という変化を来す薬です。
安全性は高いという事ですよね。
もともと人間のホルモンと一緒ですね。
非常に安全だといわれています。
新しい薬の開発っていうのは行われているんですか?オレキシン受容体の拮抗薬が開発されています。
オレキシンというのは脳の寝たり起きたりというコントロールをする部分に直接効いていく薬ですのでこれも同じようにもともと人間が持っている力ですので非常に自然な眠りが起こせるというのが期待されています。
現在この薬は新薬の審査中です。
では使い方について伺っていこうと思います。
睡眠薬を使う上で注意する点というとどういう事になりますか?まず過量服用に注意して下さい。
睡眠薬は必要に応じてのみますがどうも種類が多すぎるなとか量が多すぎるなと思った場合は掛かりつけの先生に相談して下さい。
また作用が強すぎますと翌朝まで持ち越してしまって朝眠気が来たりとかあるいはフラフラッとする事もありますのでその場合には量が多すぎるんじゃないかなと思って掛かりつけの先生に相談してもらったらいいと思います。
まとめてのんだりしてはいけないんですよね?なかなか作用がないなと思って1錠出ている薬を2錠3錠とのむと効き過ぎてしまう事もありますのでちゃんと処方された量を守って服用して頂いた方がいいと思います。
そのほかどんな注意点がありますか?特にベンゾジアゼピン系非ベンゾジアゼピン系という薬は頭の働きを抑えるものですので非常に強い眠気が来ます。
ですからのむのは寝るすぐ前にして下さい。
のんでから車の運転をするなどは非常に危険ですので絶対にやめて下さい。
あとお酒と一緒に服用しますと睡眠薬の効き目が強く出過ぎてしまう事もあります。
ですからもしお酒と一緒にのまれる場合例えば「ビールをちょっと飲んだな」という場合には2時間ぐらい空けてからのまれた方が安全だと思います。
そもそもこのお酒ですが眠れない時に睡眠薬とかではなくてお酒を飲んで寝ついてしまおうという人もいると思いますがどうなんでしょうか?これは日本人についてなんですが不眠の症状があった時に何をするかという事をお聞きしたところお酒を飲む人が2割ぐらいもおられます。
これは特に日本で多いんですがお酒は確かにその日には寝つきをよくする作用はあります。
けれども長期間続けて飲んでいますとだんだんと効き目は悪くなっていきます。
それとともにお酒を飲みますとその日の睡眠の質が悪くなってしまいますので実はお酒よりも睡眠薬の方がずっと安全ですし体にとってもいいと思います。
睡眠薬というと今でもやはりやめられなくなる依存してしまうというイメージを持っている人がいらっしゃると思うんですよね。
そういう人は結構多いんですか?日本人に睡眠薬のイメージを聞きますと依存性があってやめられないという事を不安に思っておられる人が4割ぐらいもおられます。
実際問題はどうなんですか?そのイメージというのは昔の睡眠薬に対するイメージでして昔の薬というのは確かに依存性があったりやめられないという問題がありました。
けれども今処方されている薬というのはずいぶん安全になっていましてやめられない事はほとんどありませんし睡眠薬をいくらのんでも命に関わる事はまずありません。
逆に気をつけないといけないというか…ありますか?そういう点というと。
睡眠薬をずっと毎日のんでおられて急にパッとやめると逆に急に眠れないという事が起こってしまったりします。
これがこちらですね。
一つは反跳性不眠というもので睡眠薬をのんでいた人が急にやめると睡眠薬をのみ始める前よりもむしろひどい不眠の症状が起こってしまう事があります。
また睡眠薬をやめてから1〜2週間の間不安とかイライラ発汗震えこのような退薬症候を来す事もあります。
実際そのやめ方が大事になってくると思いますがどうしたらいいんですか?睡眠薬をやめる時には症状を見ながらゆっくりと減らしていくというのが大事です。
一つは漸減法といわれて薬の量を減らしていくという方法があります。
それからもう一つは隔日法といいまして薬をのんでいる間隔をだんだんと広げていくという方法があります。
これらは両方組み合わせて行う事もありますが私が主に使っているのは上側の漸減法という方法です。
ではその漸減法についてもう少し詳しく見ていきましょう。
具体的にどういうケースなのか久田さんお願いします。
不眠症に悩むSさんのケースです。
Sさんは入眠障害と中途覚醒の症状があり睡眠専門外来を受診しベンゾジアゼピン系の作用時間の短い薬による治療を始めました。
1か月後熟眠感が出てきたため睡眠薬の量を1/4に減らしました。
また睡眠衛生指導も行い毎日決まった時間に起きられるようになりました。
このようにSさんの場合は数か月かけて薬をやめる事ができたという事なんですね。
このように睡眠薬はその人の症状を見ながら少しずつ減らしていく事が大事です。
薬がもしやめられなくてもだんだんと減らしていく事で必要最小限の量を使う事ができます。
またもし症状が再発した場合にはまた薬の量を戻す事によってぐっすり寝られるようになります。
そういう調節も可能という事なんですね。
では今日のまとめをお願いします。
不眠症に睡眠薬は非常に効果的です。
ただし症状に合った薬を選んで服用する事が大事です。
また睡眠薬は必要がなくなればやめる事ができます。
医師の相談の下使用法を守って正しく使い正しくやめましょう。
睡眠薬って今回こうやって話を聞くまではちょっと怖いかなというイメージを正直持っていたんですよね。
随分イメージが変わりました。
正しく使って正しくやめると有益なんですね。
今日はどうもありがとうございました。
明日はご覧のテーマでお送りしていきます。
明日も是非ご覧下さい。
2014/02/04(火) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 睡眠の悩み「徹底解説!睡眠薬の使い方」[解][字]
睡眠薬の正しい使い方と正しいやめ方を伝える。入眠障害は超短時間作用型、早朝覚醒・中途覚醒・熟眠障害は短時間作用型を使用。やめ方には漸減法と隔日法がある。
詳細情報
番組内容
睡眠薬の正しい使い方と正しいやめ方を伝える。入眠障害は超短時間作用型、早朝覚醒・中途覚醒・熟眠障害は短時間作用型を使用する。眠れない時に寝酒に頼る人が多いが、寝酒は睡眠の質を低下させてしまい、勧められない。やめ方には漸減法と隔日法がある。ゆっくり減らしていくことが大切。急にやめると眠れなくなることがあるので注意が必要。
出演者
【講師】滋賀医科大学特任教授…角谷寛,【キャスター】久田直子,古賀一
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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