(テーマ音楽)スペインとフランスの国境にそびえるピレネー山脈。
私の家族は代々この山麓で羊の放牧を営んできた。
私は羊飼いのカルロ・クランプ。
親父と2人で働いている。
山での暮らしぶりは昔からずっと変わっていない。
羊に鐘をつけるのは山で迷子にならないようにするためだ。
私たちが飼っている羊は180頭ほど。
夏が来るとよりおいしい草を求めて山に羊を放つ。
私が愛するピレネーの山麓。
毎日眺める自慢の景色がここにある。
ピレネー山脈の中央にあるペルデュ山。
標高3,352m。
フランスとスペインにまたがっている。
行く手をふさぐように立ちはだかる巨大な壁はペルデュ山のガヴァルニー圏谷だ。
圏谷とは聞き慣れないかもしれないが巨大なすり鉢状の形をした谷のこと。
高さ1,500mもある。
この珍しい地形は氷河が山肌を10万年もかけて削ってつくり出したものだ。
この圏谷にヨーロッパ最大のガヴァルニー滝がある。
落差はなんと423m。
パリのエッフェル塔よりも高い所から流れ落ちる。
この絶景を求めて毎年100万人もの観光客がペルデュ山を訪れる。
夏の始まり羊たちは雪解け後の新芽を求めてどんどん山の上に登っていく。
私もそんな羊たちに合わせて山を歩き回る。
羊飼いは歩くのが好きでないと勤まらないよ。
だってあんな頂上にも登らなきゃならないからね。
草をはむ羊たち。
私たちは自然のバランスが崩れないよう気にかけて暮らしてきた。
これは牧草地が死んだ跡だ。
こういうふうになると羊が放せなくなる。
牧草地はほうっておくと木々の新芽が育って森になっていくんだ。
だから私たちは新しく生える木の芽を食べさせることで牧草地が失われるのを防いでいるというわけだ。
私の親父は75歳。
羊を追うのはさすがに無理でふもとの小屋で作業している。
親父は毎日双眼鏡で山を見ている。
クマやハゲワシが羊を襲わないか警戒しているんだ。
親父は山の有り難さも怖さも十分知り尽くしている。
(シモン)ある意味私たちは山に依存して生きているんだよ。
山によって生かされていると言ってもいい。
牧草地をよい状態で維持するのには手間がかかる。
水の流れをよくするため水路を広げる。
作業を怠ると湿地帯のようになってしまうからね。
親父の力も借りての大切な仕事だ。
偉大な自然が私たちに生活の糧を与えてくれる。
世界遺産のこの土地で暮らしていけることに感謝したい。
2014/02/20(木) 04:15〜04:20
NHK総合1・神戸
シリーズ世界遺産100「ピレネーのペルデュ山〜フランス・スペイン〜」[字]
峡谷の放牧地 ▽複合遺産 【語り】松平定知 【テーマ音楽】久石譲
詳細情報
番組内容
峡谷の放牧地 ▽複合遺産 【語り】松平定知 【テーマ音楽】久石譲
出演者
【語り】松平定知
音楽
【テーマ音楽】久石譲
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
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