(非常ベル)
(男性)急げ!早く!
(非常ベル)
(甲斐享)悦子のおすすめのうなぎ屋だけあって美味しかったですね。
(杉下右京)美味しかったですねぇ。
あっなんかすみません。
ごちそうになっちゃってそんなつもりじゃなかったのに。
構いませんよ。
しかも一番高いコース頼んじゃったよ。
構いませんよ。
すみません。
…あれ?なんかにおいませんか?焦げ臭いですねぇ。
ええかなり。
ええかなり。
あっちですね。
(非常ベル)あっ!火事ですね。
ええ。
大丈夫ですか!先生が…里見先生がまだ中にいると思います。
里見先生?あっ!先生!
(事務員)先生が出てきました!カイトくん。
はい。
大丈夫ですか?
(杉本竜也)俺は大丈夫です!それよりこの人を!落ち着いて。
大丈夫ですか?誰かお水を!大丈夫ですか?
(里見麗子)私は大丈夫です。
ありがとうございました。
あの…これ…。
これ…?えっ?彼は…?私を助けてくれた彼は?ああさっきの彼。
(事務員)先生大丈夫ですか?いないっすね。
来ますかね?来ないかもしれないっすよ。
しかし手がかりはこの手ぬぐいしかありませんからねぇ。
ええ。
里見麗子さん弁護士。
おおやり手ですね若いのに事務所まで構えて。
でもここまでする必要あります?必要かどうかはともかくあの青年は彼女を助けたにもかかわらず逃げるように姿を消しました。
気になるじゃありませんか?あっ来た。
ねえ君。
俺たちの事覚えてる?これ君のだよね?いや違います。
ぼや騒ぎの時に君が助けた彼女がぜひお礼を言いたいそうですよ。
だから俺じゃないですよ。
もうなんなんすか!?おい君!彼ですよね?彼ですねぇ。
また逃げましたね。
逃げましたねぇ。
(サイレン)
(シャッター音)
(米沢守)社員証がありました。
被害者は轟秀和さん。
メディアステップというIT企業の経営企画部長です。
それから財布の中には現金3万円が残っていました。
(芹沢慶二)物取りじゃないって事は…。
(伊丹憲一)怨恨の線か…。
(米沢)死亡推定時刻は一昨日の夜だそうです。
解剖すればもう少し詳しくわかるとは思うんですけども。
一昨日か。
(伊丹)だいぶ経ってんな。
先輩。
最後の通話が名前の登録されてない番号っすね。
(伊丹)ああ怪しいな。
(角田六郎)おう。
おはようございます。
おはよう。
おはようございます。
お前らがいってた昨日のぼや騒ぎ新聞に出てるぞ。
あっ本当だ。
(角田)「白昼の救出劇ヒーローはどこに!?」颯爽と去るなんて格好いいねぇ!きっとねこのヒーローなんてのが照れ臭かったんだな。
わかるよその気持ち。
本当ですか?真っ先に自慢しそうだけど。
あら?わかってないね俺の事。
あ…いやお前らこのヒーロー見てんだろ?はい。
(角田)この女の弁護士さん捜してるみたいだぞ。
見つかった事は見つかったんですが…助けたのは自分じゃないって言うんです。
え?それはどういう事でしょう?うん…まあよくわからないんですけど騒がれるの嫌いな人もいますからね。
そうですか。
せめてひと言ぐらいお礼が言いたかったんですけど。
お役に立てずすみません。
いいえとんでもない。
ご面倒をおかけ致しました。
専門分野は企業訴訟でしょうか?ええいくつかの企業の顧問弁護士をしています。
ああそれはそれは。
では我々はこれで。
どうも。
(事務員)先生!里見先生。
先生を助けたとおっしゃる方から電話です。
え?はい。
彼で間違いありませんよね?杉本竜也です。
どうも。
里見麗子です。
助けてくださって本当にありがとうございました。
あのまま煙を吸っていたら危なかったと思います。
あなたは命の恩人です。
あっいやいや…。
あの時はたまたま通りかかったんで…。
それで誰かがまだ中に人がいるって言うのが聞こえて…。
でその時は無我夢中でした。
しかし君はなぜ急に名乗り出たのでしょう?昨日は自分ではないと言ってましたよね?目立つのが嫌いなんです。
でも…俺今印刷工場で働きながら大学の法学部目指して勉強中なんですけどそれがちょっときつくて…。
でテレビで助けた人が弁護士さんだって聞いて訳話したらなんか助けてくれるかなって。
そう…大変ね。
何か私に出来る事があったら言って。
いつでも力になるわ。
ありがとうございます。
(麗子)それでは。
(竜也)お気をつけて。
ああ…ハハハッ。
(伊丹)必ずいますね。
俺たちのストーカーですか?逆なんじゃないんですか?うん?なんか言った?なんでも。
行くぞ。
はい失礼。
(芹沢)どうも。
どうも。
杉本竜也くんだね?警察です。
何か?君一昨日夜7時6分この轟秀和さんの携帯に電話してるよね?君が電話したこの轟さん殺されたんです。
で最後の着信が君からだった。
一体どういうお知り合い?いや知り合いなんかじゃ…。
それ間違い電話しちゃっただけです。
間違い電話?証明出来るかな?証明って言われても…。
あの横から口を挟むようですけど間違い電話かどうかを証明する事なんて誰にも出来ないんじゃありません?それにもし証明する義務があるとすればそれは捜査側ですよね?あんた誰です?申し遅れました。
私彼の知り合いの弁護士です。
(伊丹)弁護士ね…。
1つだけよろしいですか?君は間違い電話だと気づいたあとどうしましたか?どうしたって?かけ直さなかったんですか?はい。
なぜ?それは…ナンパした女の子からもらった番号だったんです。
でかけてみたらおじさんが出たんで騙されたんだと思ってそれっきり…。
そうでしたか。
竜也くん。
うちでアルバイトしたらどうかな?うちなら暇な時は受験勉強してくれてていいし。
法学部目指すならうってつけじゃない?本当ですか?
(米沢)被害者は轟秀和さん。
メディアステップというIT企業の経営企画部長です。
こちらです。
解剖の結果死亡推定時刻は一昨日の夜8時から10時の間と判明しました。
轟さんは2年ほど前まで全く別の業種の会社にいたようですねぇ。
前の会社は…スターリゾート。
なんの会社でしょう?
(米沢)あっこちらですな。
スターリゾート。
島巡りのツアーなんかを企画運営する会社みたいですね。
なるほど。
轟さんはスターリゾートでは営業部所属。
いわゆる平社員でしょうかねぇ。
しかし転職先のメディアステップではいきなり経営企画部長ですか…。
一応どういう経緯か調べてみますか。
カイトくん。
そちらは君に任せます。
僕も調べたい事がありますので。
はい。
どうもありがとう。
どうも。
(菅井修二)はい。
菅井修二さんですね?はい。
警察です。
え?こちらの方の名刺入れにあなたの名刺があったんですが…。
この人が何か?ある事件で被害に遭われたんですがどういう関係ですか?ええ?ああ!秋葉原で。
この人電話しながら歩いて来てぶつかって転んじゃったんですよ。
それで一応名刺を…。
電話?それっていつの事ですか?確か…3日前の7時ちょっと過ぎだったと思います。
杉本竜也が電話した時刻ですよ。
その時電話でどんな話してたかわかりますか?ええ?そんな事言われても…。
あっ…。
(轟秀和)8時に西新宿中央公園のイベント広場で…。
確かそんなふうな事を言ってたような。
西新宿中央公園。
やっぱり間違い電話じゃなかったんだな。
なんですか?話って。
昨日君は大学の法学部を目指して浪人中だと言いましたねぇ。
しかし君の部屋には参考書はおろか辞書さえありませんでした。
それが気になりましてね。
ちょっと君の足跡をたどってみました。
実家は東京北区。
10歳の時に突然母親が家を飛び出してしまいそれ以降は父親と2人暮らし。
それでも君は真面目に勉強をして高校に入学。
しかし高校1年の2学期が始まる直前君は高校を中退し家を飛び出した。
その後は主に肉体労働を続けながら一人暮らしをしている。
やはり大学の法学部を目指しているというのは嘘ですね?そう嘘ですよ。
ええ。
どうしてそんな嘘を?そう言ったほうが同情してくれるでしょ?印刷工場で働くのがきついのは本当なんだから。
なるほど。
この事里見先生には言わないでくれる?せっかくいいバイト見つけたから。
わかりました。
内緒にしましょう。
もういいですか?すいませんでしたね。
(芹沢)はいはい!はいはいはい!ちょっと話を聞かせてもらえるかな?ね?毎度毎度どうも。
どうも。
君さ轟さんへの電話間違い電話だって言ってたよね?でもねその電話をしていた時に轟さんの近くにいたという人が見つかったんですよ。
轟さんは君からの電話に「8時に西新宿中央公園イベント広場で。
わかりました」そう言ってたそうだ。
君本当は轟さんを公園に呼び出したんじゃないのか?知らないよ。
その人の聞き間違いでしょ?ちょっとちょっと…!もうちょっと付き合ってよ!ね?もうちょっと。
なんでも間違いで済むと思うなよ?
(麗子)何やってるんですか?竜也くんもういいわよ。
事務所に戻りなさい。
はい。
(ため息)弁護士さん邪魔されると困るんですが。
間違い電話の件はもう終わったんじゃないですか?それとも彼が人を殺す理由でも見つかりました?それはまだですが…刑事の勘があいつを調べろっていうんですよ。
(麗子)これ以上なんの根拠もなく何度も来るようなら正式に警視庁に抗議致します。
そのつもりで。
沼田社長はこのメディアステップとスターリゾートの2つの会社を経営されてらっしゃるんですね。
(沼田敬一郎)ええ。
余剰資金があったのでちょうど売りに出ていたスターリゾートを7年前に買収したんです。
昔から船遊びが趣味なんでその延長みたいなものですよ。
では亡くなられた轟さんを2年前スターリゾートからメディアステップに転職させたのは…。
ええ。
私ですがそれが何か?スターリゾートでは平社員だった轟さんがメディアステップではいきなり部長職になられてますよね?優秀な人材は適材適所に登用する。
当たり前の事をしただけです。
(ノック)
(秘書)失礼します。
社長外出のお時間ですが。
ああ今行く。
すみません。
忙しいのでこの辺でいいですか?貴重なお時間をどうも。
(伊丹)この方なんですがね。
知りませんか?息子さんの知り合いかもしれないんですが…。
(杉本信也)知らないね。
息子の事はなんにも知らないんだよ。
なんにもって…。
この人ね殺されたんです。
であなたの息子さんこの人に電話してるんです。
知らないものは知らないんだからしょうがないだろう。
そうですか。
息子さんが高校を辞めた理由はなんでしょう?さあね勝手に辞めて勝手に出て行ったんでね。
女房と同じだよ。
勝手に出て行きやがって。
息子さんの部屋拝見してもよろしいですか?どうぞ。
(芹沢)轟さんに関するものなさそうっすね。
なんすか?それ。
給料明細ですねぇ。
平成23年8月ですから竜也くんが高校1年生ですか。
ごみ処理センターで夏休みアルバイトをして8万円ほど稼いでますねぇ。
ふ〜んバイトね。
ハア…行くか。
はい。
お暇しますよ。
お先です。
どうも。
(伊丹)お邪魔しました。
戻りました。
おや?それはなんでしょう?メディアステップの社長ちょっと気になったので轟さんが転職前に働いていたスターリゾートにも行ってみたんです。
そしたら…これです。
「伊豆大島沖でクルーズ船事故乗員乗客含め6人死亡」3年前伊豆大島沖で島巡りのクルーズ船が突然の天候悪化による視界不良で岩礁に激突。
船長を含む6名が亡くなっています。
このスターリゾートとメディアステップ業種は全く違うんですが社長は両方とも沼田敬一郎という人物なんです。
スターリゾートでは平社員だった轟さんがこのクルーズ船の事故から半年後同じ社長が経営するメディアステップに経営企画部長として招かれているんです。
これって…。
気になりますねぇ。
そうですよね。
と思って訴訟記録と捜査資料を取り寄せてみました。
事故で亡くなられたのは船長の上田さん。
山本さんという若い夫婦。
大学生の灰原さん。
そして栗原さんというご年配のご夫婦。
計6名です。
そしてこちらが訴訟記録ですね?ええ。
カイトくん。
はい?この裁判の会社側の弁護士…。
里見麗子。
(麗子)確かにそのクルーズ船事故なら私が企業側の弁護を担当しましたが…。
調べたらあなたはその裁判でスターリゾートが支払う賠償金を最小限にとどめたそうですね。
その裁判の勝利であなたは…弁護士としての名声を手に入れた。
それが何か?実はその事故を起こしたスターリゾートに轟さんがいた事がわかったんです。
もしかしてご存じでしたか?轟さんがいた事。
なぜ私が?同じ会社でも事故に直接関係のない人を私が知るはずがないでしょう?何か私を疑っているんでしょうか?いえいえ。
そういうわけではなくただ竜也くんがあなたを助けその竜也くんがたまたまナンパした女の子に聞いてかけた番号が殺された轟さんの番号だった。
そしてその轟さんの会社が起こしたクルーズ船事故の弁護を担当したのがたまたまあなただった。
この偶然がなんとも気になりましてねぇ。
そんな偶然いくらでもありますよ。
あのもういいですか?私も暇じゃないので。
ああこれは失礼。
ついでと言ってはなんですが竜也くんにも少しお話を聞きたいのですが…。
この間もお話ししたとおり彼はまだ未成年です。
根拠もなくあれこれ聞くのはやめてもらえませんか。
もちろんあれこれは聞きませんよ。
すぐに済みます。
(ドアの開く音)勉強中ですか?振りですよ。
ほら一応法学部を目指す受験生っていう事になってますから。
なるほど。
ところで君は高校1年の夏休みにごみ処理センターでアルバイトをして8万円ほど稼いでますねぇ。
そのころ何か大金が必要だったのでしょうか?さあね。
「さあね」って。
今度警察の方が来ても答えなくていいと先生に言われてますから。
なるほど。
里見弁護士は轟さんの事を知ってますね。
もちろん知ってるでしょうねぇ。
クルーズ船事故の裁判と轟さんの不自然な転職は関係ありそうですね。
例えばこの事故の裏にはなんらかの隠された真実がありそれを知っていた轟さんがその真実の隠蔽の見返りに部長職を手に入れた。
同時に里見弁護士はその裁判で名声を得た。
それと竜也くんがどう関係しているのか。
ええ。
しかしまだこれは我々の…。
推測です。
ええ。
(携帯電話の振動音)失礼。
はい。
もしもし杉下です。
はい?
(内村完爾)里見という弁護士から抗議が入ってる。
弁護士連中を敵に回したらやっかいだ。
そんな事もわからんのか。
いやしかしその…。
(中園照生)口ごたえをするな!しかも警告を受けたにもかかわらず今日もまたその弁護士事務所に行ったそうじゃないか!行ってませんよ今日は。
ああそれはきっと…。
馬鹿者!特命を見張るのもお前たちの役目ではないか。
今後二度と特命をその弁護士に近づけるな。
わかったな?返事は?それでしたら心配ご無用です。
もう弁護士事務所へは行きませんので。
ではカイトくん。
行きましょう。
はい。
待て。
(内村)どこへ行くつもりだ?もちろん弁護士事務所ではない所です。
(中園)杉下!何笑ってるんだ?
(上田房江)部屋は主人がいた時のままにしてあります。
事故の前ご主人に何かいつもと変わった様子はありませんでしたか?随分疲れているみたいでした。
食欲もなかったですし。
何かあったのでしょうか?私も聞いたんですけど他の船長が辞めて忙しくなっただけだ心配するなって。
他の船長が辞めた…。
家では仕事の事を話さない人でしたから。
(房江)あんなに疲れきった主人初めて見ました。
そうですか。
これはご主人の携帯ですか?
(房江)はい。
拝見してもよろしいですか?どうぞ。
充電器をお使いください。
ありがとうございます。
杉下さん。
これちょっとよろしいですか?
(房江)どうぞ。
轟秀和さんじゃないですか?主人と轟さんは同期入社でとても仲がよかったんです。
ついこの間事故の犠牲者の慰霊祭があってその時も私から轟さんにも連絡したら来てくださって…。
奥さん…。
ああ轟さん。
実は…俺…上田から…!
(房江の声)多分轟さんも主人の事を思い出して感極まったんだと思います。
その轟さんが殺されるなんて…。
妙ですね…。
どうしました?同期入社でそれほど親しかった轟さんが登録されていません。
え?奥さんこれちょっとお借りしてもよろしいですか?はいどうぞ。
(沼田)お待たせしました。
どうぞお座りください。
ご用件はなんでしょう?早速ですがこれは消去されていた上田船長から轟さんに宛てたメールを復元したものです。
「轟俺はもう限界だ」「気力も体力も」「最近は海に出るのが怖い」「すべてを終わりにして楽になりたい」スターリゾートでは事故の半年前2人の船長が退職されていますねぇ。
しかし人員の補充はされていない。
そのしわ寄せを上田船長は1人で全て受けていたのではありませんか?それは…。
この事が裁判で公になればあの事故はただの事故ではなく上田船長が乗客を巻き込んでの自殺すなわち無理心中の可能性が出てきてしまう。
そうなれば上田船長に長時間労働を強いていたあなたの責任も問われる事になる。
あなたは轟さんと取引したんじゃありませんか?轟さんはその秘密を知った犯人に殺されたかもしれないんです。
沼田さん本当の事を話して頂けませんか。
仕方なかったんだ…。
(沼田)証拠はこれだけだ。
これさえ伏せてくれれば裁判には勝てる。
里見弁護士はそう言ってるんだ。
しかし…。
タダとは言わない。
君にはメディアステップのほうでふさわしい役職に就いてもらう。
一生保証する。
え…。
こんな事が公になれば会社は潰れてしまうよ。
あなたには改めて警察でも今のお話をしてもらう事になります。
よろしいですね?わかりました。
全てお話しします…。
結局自分と自分の会社を守るためか…。
嫌になっちゃうな。
ところで竜也くんとこの事故どう関係あるんですかね?僕も同じ事を考えていました。
1つ気になっている事があります。
はい?もう一度竜也くんの部屋を見せてもらいましょう。
これです。
ええ。
竜也くんはこの事故とどう関係してるんでしょうね…。
ありましたスターリゾート。
事故を起こしたクルーズ船ですね。
ええ…。
カイトくん。
3万7000円かける2?7万4000円…。
竜也くんは夏休みにアルバイトで8万円ほど稼いでいました。
2人分のツアー料金とほぼ一致しますね。
しかし彼の名前は乗船名簿にはありませんでしたね。
はい。
誰かにプレゼントしたのでしょうか。
プレゼントって…誰にですか?竜也くんなんですがどなたか親しくしていた方に心当たりはありませんか?知らないよ。
3年前に出ていったきりだよ。
そうですか…。
どうも。
失礼します。
あっ…そういえば裏のマンションによく行ってたみたいだよ。
裏のマンションですか?ああ。
杉本竜也くんね…ええよく覚えてますよ。
中学生の頃から毎日のように遊びに来てました。
103号室の栗原さんっていうご夫婦のところに。
栗原さん?ええ。
栗原さんお子さんいなかったからかわいかったんでしょうね。
栗原さんって…。
ええ。
クルーズ船事故の被害者ですねぇ。
(竜也の声)やっと初アシスト!
(栗原義男の声)えっ!?やった!
(竜也の声)いやでも本当は点決めたかった。
(栗原恵子)お待たせお待たせ!出来たわよ。
(栗原)きたきたきたきた!
(恵子)いっぱい作ったから。
これうめえんだよ…。
いただきます!たくさん食べてね。
大島行きたいって言ってたでしょ?2人で行ってきてください!いやあビックリしたな〜。
嬉しいわ!
(アナウンサー)「第三管区海上保安本部によると今日午後伊豆大島近郊でフェリー船が岩礁に接触し転覆しました」「現在行方のわからない方はクリハラヨシオさんクリハラケイコさんヤマモトジュンペイさんヤマモトミカさん…」奥さん…。
ああ轟さん。
(竜也の声)慰霊祭の時あんたなんか言おうとしてただろ。
それ見て俺ピンときたんだ。
あの事故ただの事故じゃなかったんじゃねえのかって…。
あんたそれを話そうとしてた。
(轟)ち…違いますよ。
急にこんなところに呼び出して何かと思えば…。
帰りますよ。
(竜也)ちょっと待てよ!
(轟)うわっ!俺は本気だぞ。
言え!あの事故で何があった!?わかった…言うよ…。
ああそうだ…。
あれは事故なんかじゃなかった。
上田が…船長が客を巻き込んで自殺したんだ。
あいつはずっと死にたがってたんだ。
なんだと…!弁護士が…あの女弁護士が裁判に勝つために隠蔽しろって…。
僕はそれに従っただけなんだ!ああーっ!!じゃあそもそも里見さんを助けた時あの場所にいたのは偶然じゃなかった。
あっ!復讐のために近づいた!?ええ。
じゃあ…里見弁護士も隠蔽に荷担してて杉本に狙われてるっていうのか!?カイトくん。
そういう事になりますよ。
警視庁の甲斐と申しますが里見先生いらっしゃいますか?ええ…。
わかりました。
どうも。
里見さん竜也くんと出かけたまま連絡が取れないそうです。
クソッ!よし…とりあえず杉本のアパート行くぞ。
はい。
米沢に携帯の追跡頼んどけ。
了解!杉下さん?僕らも行きましょう。
その前に…確かめておきたい事があります。
え?
(ノック)
(舌打ち)やっぱいねえか…。
おい携帯は?あっもしもし米沢さん?芹沢です。
どうですか?携帯は電源が切られているため無理でした。
ただし車両自体が警備会社の盗難防止システムに加入している事がわかりましたので今そちらを使って追跡をしているところです。
あっ!出ました。
首都高3号線をですね用賀方面に向かって進んでます。
車両ナンバーは「品川お21‐04」です。
はい。
ええ…。
わかりました。
2人の車の位置がわかったそうです。
カイトくん。
捜査資料にある彼の証言…。
確かにこの証言不自然ですね。
ええ。
それから原告の一人…。
杉下さんこれ…。
ええ。
山本美香さんでしたか…。
行きましょう。
はい。
21‐04…これで間違いないですね。
クッソ…どこ行きやがった!先輩俺あっち捜してみます。
じゃあ俺はこっちだ。
はい。
ええ…わかりました。
杉下さんやっぱり家にも会社にもいません。
これですね。
ええ。
この場所は慰霊祭が行われた近くですねぇ。
ええ。
カイトくん恐らく海のほうでしょう。
あっちです。
なんなの?こんなとこまで連れてきて。
3年前この海の向こうで俺の大事な人たちが死んだんだ。
(竜也)でもなんで死んだのか本当の事は知らされなかった。
裁判に勝って名声を得るために真実を隠した人間がいたからだ。
あなたですよ…里見麗子さん。
俺はヒーローなんかじゃない。
復讐するためにあんたに近づいたんだ。
おじさんもおばさんも俺を本当の子供のようにかわいがってくれた!
(足音)どいてくれ。
お前だってこの弁護士殺したいんだろ…!どけーっ!どかなきゃ…一緒にやるぞ!うわあ…あーっ!ああーっ!あーっ!!ああーっ!!やめなさい!菅井さん。
クルーズ船事故の被害者山本美香さんはあなたの娘さんですね。
(芹沢)先輩!いましたよ!あれ…?あれ?あれ?あれ?あれ?あれ〜?あなた…。
(伊丹)おいどうなってんだ?どうなってんの?どうなってんの?
(芹沢)ん?え?とりあえずお任せしますがちゃんとわかるように説明してください。
あれほどの事故でしたからねぇ本当に竜也くん1人に絞っていいものかどうか気になりましてね捜査資料を拝見させて頂きました。
その中で「電話をしながら近づいてきた轟さんとぶつかった」というあなたの証言が気になりましてね。
「8時に西新宿中央公園のイベント広場で」などという長いセンテンスをぶつかった瞬間に覚える事が出来るでしょうかねぇ。
そして訴訟記録を見たところ菅井さんあなたの名前を発見しました。
あなたは事故の真相を突き止めるため轟さんの後をつけていた。
そしてあの公園で…。
あの事故で…全てが変わったんです。
私は娘を失い…妻は心を病んでずっと入院してる。
私はあの事故で娘だけじゃなく妻も失ったんだ。
8時に西新宿中央公園のイベント広場で…。
わかりました。
あの!あの…。
なんですか?あなた。
すみません。
わたくしこういう者なんですけど…。
菅井さん…。
どこかでお会いしましたっけ?私クルーズ船事故の被害者山本美香の父です。
(菅井の声)慰霊祭あなた来てましたよね。
あの時あなた何か言おうとしてましたよね?何を言おうとしてたんですか?別に何も…。
急ぐんで失礼します。
ちょっと!
(轟)あの女弁護士が裁判に勝つために隠蔽しろって…。
僕はそれに従っただけなんだ!あんたさっきの…。
あなた…事故のあと部長になってますよね?娘の死を餌にして…偉くなってますよね?あんたも…あの女弁護士と同じだーっ!あんたに何がわかるんだーっ!
(刺す音)あの女こそ殺してやりたかったのに…。
なんで止めたんですか!?菅井さんあなたのお気持ちは我々にも痛いほどわかります。
(すすり泣き)しかしあなたは根本を間違っています。
え…?
(ドアの開く音)ありがとう。
あなたには二度も助けられた。
助けてなんかないよ。
言っただろ?俺はあんたに復讐しようとしてたんだ。
そうでしょうかねぇ…。
ではなぜ君は再び里見弁護士を助けたのでしょう?ぼや騒ぎの時は反射的に助けてしまったのかもしれません。
しかし今回は純粋に里見弁護士を守ろうとしていた。
僕にはそのように思えましたが…。
何言ってんだよ。
なんで俺が…。
確かに最初は復讐のために近づいたのかもしれません。
しかし君は里見弁護士の真実を知ったんですね?あの時君が読んでいた資料を僕も読ませてもらいました。
そこには里見弁護士と沼田社長の会話を記録したものが残されていました。
それを見せたところ沼田社長が全てを認めました。
私が隠蔽してくださいと里見弁護士に頼みました。
さらにあの事故が上田船長の自殺であったかもしれない事をなぜ里見弁護士が隠蔽したのかについても書かれていました。
上田船長の事が公になってしまえば当然スターリゾートは倒産に追い込まれてしまう。
そうなってしまえば被害者遺族に賠償金を支払う事が出来なくなってしまう…。
あなたはそれを避けたかったんですね?その選択が正しかったかどうか…私にはいまだにわかりません。
竜也くん君さ…もう復讐なんかするつもりなかったんだろ?違う!俺は復讐しようとしてたんだ。
俺はヒーローなんかじゃないんだ…。
里見さん1つだけ。
あなた隠してる事がありますよねぇ。
竜也くんと初めて会った時竜也くんが轟さんに電話した事を聞いたあなたは…。
(芹沢)一体どういうお知り合い?
(杉下の声)とても動揺しているように見えました。
そしてそのあとすぐに自分の事務所で働くように竜也くんを誘いました。
ひょっとしてあなたは竜也くんが誰かを知っていたんじゃありませんか?法廷から傍聴席に座る少年が見えたんです。
いつも目を赤く腫らしてこっちを見てました。
3年経ってその少年が私に近づいてきた。
真実を知ったんだと思いました。
じゃああなたは最初から殺される覚悟だった…。
わかりません。
でも殺されても仕方のない事だと思ったのかもしれません。
あなたはご自分の判断が正しいかどうかわからないとおっしゃいました。
それならばあなたには弁護士としてまだ出来る事があるんじゃありませんか?ええ。
もう一度上田船長の奥様と話をしてみたいと思います。
私に何か出来る事があるか。
そうですか。
あなたは私を救ってくれた。
誰がどう言おうと竜也くんは私のヒーローよ。
(すすり泣き)
(すすり泣き)
(月本幸子)でもよかったですねその人。
犯罪者にならなくて。
結局彼女の生き方が彼を犯罪者にしなかったって事ですか…。
そういう意味では竜也くんが里見さんを助けたヒーローなら里見さんもまた竜也くんを救ったヒーローという事になりますねぇ。
うん…。
じゃあ私のヒーローは杉下さんかな。
おや!それは光栄ですねぇ。
カイトさんのヒーローは?ん?俺のヒーローですか?うん。
誰だろう?悦子さんじゃないですか?え?悦子!?いや…。
まあでも人付き合い少ないからな〜。
しょうがないか。
(3人の笑い声)はいどうぞ。
あれ?これはフキですか?ええ。
はい。
春ですねぇ。
春ですよ。
いただきます。
どうぞ。
うん!春ですね。
当番組は同時入力の為、誤字脱字が発生する場合があります。
2014/03/05(水) 21:00〜21:54
ABCテレビ1
相棒 season12 #17[字]
水谷豊&成宮寛貴の相棒!燃え盛るビルから一人の女性弁護士を救いだした若い男。しかし名前も告げず立ち去ってしまう!右京(水谷豊)らが見つけるも知らないという…
詳細情報
◇番組内容
第17話「ヒーロー」
◇出演者
水谷豊、成宮寛貴、鈴木杏樹
川原和久、山中崇史、六角精児、山西惇、小野了、片桐竜次
【ゲスト】岸田タツヤ、松尾れい子
◇スタッフ
【脚本】金井寛
【監督】田村孝蔵
【ゼネラルプロデューサー】松本基弘(テレビ朝日)
【プロデューサー】伊東仁(テレビ朝日)、西平敦郎(東映)、土田真通(東映)
◇音楽
池頼広
※『ピアノ・ソロ 相棒≪改訂版≫』発売中!
池頼広氏本人が書いたオリジナル譜面も掲載!
◇おしらせ
最新情報はツイッターでもフェイスブックでも!
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【フェイスブック】http://www.facebook.com/AibouNow
【ウェブ】http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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