相棒 season12 #16 2014.02.19


(ノイズ)」「
(ノイズ)」
(小曽根直哉)おかしいな…この辺のはずなんだけど…。
(月本幸子)あの…何なさってるんですか?はあ盗聴器の電波をキャッチしたんですけど…。
えっ!?盗聴器!?
(甲斐享)盗聴器?そうなんです。
今日の午後親切な業者さんがやって来て。
ほらここって杉下さんとかカイトさんとかいらっしゃるし捜査情報とか漏れたら大変だもの。
すぐに取り外してもらいました。
(杉下右京)それは…ええよかったですねぇ。
はい。
あの…その時の事詳しく話してもらえませんか?
(小曽根)えー…あるとしたらこの辺りでしょうか…。
うーん…。
あの…じっと見てられると緊張しちゃって…。
ああ!ごめんなさい。
じゃあお茶でも。
ハハッ…。
えー…。
あっ。
(幸子)えっ!?
(幸子)あっ…あった!すごい!本当にあったんですね盗聴器。
(幸子)それで見つかったのがこれなんです。
ちょっと失礼。
妙ですねぇ。
これはコンセントの中に仕掛けるタイプですがねぇ。
ええ。
これがカウンターの下に?ええそうなんです。
ひょっとしてその業者さんにお金とか払っちゃいました?ええもちろん…。
もちろん?1万円お支払いしました。
払っちゃいましたか…。
もうね本当によかったです。
親切な業者さんで。
(戸の開く音)あっいらっしゃいませ…。
あっ!ちょうどよかった!今お話ししてたとこだったんですよ。
だます気はなかった?またいい加減な…。
本当です!だからお金も返しに来たんですよ。
じゃあどうして盗聴器なんか…。
実は私こういう者でして。
ん?「小曽根通信技術研究所」どうぞお座りください。
ああどうも。
普段は電磁波の研究を行っているんですが諸事情で探偵社から依頼を受けて高性能の盗聴探知機を開発しまして。
ちょっとよろしいですか?おお…これあなたがお作りになったんですか?はい。
市販品よりも高感度で拾える電波レンジも拡充してで実験のためにあのお店の周りを回ってたんです。
実験?それがどうして盗聴器詐欺と間違われるんですか?ですから…。
ぜひお願いします!調べてください!女将さんが私の事を専門の業者か何かだと勘違いしてしまって断るに断れなくて…。
(小曽根の声)実験用に用意してた盗聴器を落としてしまって…。
(幸子)あっ…。
本当にあったんですね盗聴器。
まさかそんな…。
存外本当かもしれませんよ。
ああ見えて幸子さん思い込みの激しいところがありますからねぇ。
まあ…。
でもあなたは現に彼女に現金を要求したんじゃありませんか?違います!要求なんかしてません!どうもありがとうございました。
ああいえ…。
料金おいくらです?いやそんなそんな料金なんか…。
そんな…そういうわけにはいきません。
私今1万円しかないんですけどこれでもいいですか?いや…。
ありがとうございます!それで受け取っちゃったってわけですか?一瞬もらってもいいかなぁって思って…。
あっでもやっぱり…。
ですぐにお金を返しに行った。
となるとこれ詐欺でもなんでもなかった事になりますね。
ですね。
ご迷惑をおかけしてしまって申し訳ありません。
よし。
(小曽根)ん〜?「
(音楽)」「
(ノイズ)」ん?「
(戸を開ける音)」
(女性)「ただいま」
(女性)「あなた?」「
(女性の悲鳴)」えっ?
(女性)「あなた!」何?何?何?えっ?
(男性)「嘘だろ?なんだって旦那さんが…」
(女性)「ねえ確かめて。
本当に死んでる?」
(男性)「間違いない。
警察呼ばないと」
(女性)「駄目よ!それだけは絶対駄目!」
(男性)「どうして?」
(女性)「だって警察呼んだら解剖とかされるでしょ」「解剖なんかしたら絶対見つかっちゃうじゃない」恐らくここですね…。
もしもし警察ですか?あの…鍵谷さんというお宅でご主人が亡くなったみたいなんですがなぜか警察に連絡もしなくて…。
(チャイム)
(鍵谷里枝)はーい。

(音楽)失礼致します。
(里枝)何か?妙な通報がありましてこちらのお宅でご主人が亡くなったのに警察を呼ばないからとにかく調べてほしいとか…。
は?なんの話でしょう?
(男性)おーい里枝どうかした?あっあなた。
なんか警察の方が見えてるんだけど。
(警官)奥にいらっしゃるのご主人ですか?はい。
今日はお休みなもので。
それよりさっき主人が亡くなったとか…。
ああいや…。
たちの悪いいたずら電話だったようです。
お休みのところお騒がせして申し訳ありません。
いえご苦労さまです。
失礼します。

(音楽)
(角田六郎)悪いな。
ちょっとコーヒーもらうよ。
いいですけど…。
(小松真琴)課長早く行きましょう。
(大木長十郎)課長。
でかいヤマの前なんだ。
コーヒーで気合ぐらい入れさせてくれよ。
でかいヤマというとガサ入れか何かですか?いや違法薬物で荒稼ぎしてる売人が見つかったんだけどね俺の勘だとね背後に大きな密売組織がありそうなんだよ。
おお〜それは気合が入りますね。
だろ?ええ。
ごちそうさん。
いってくる。
(杉下・享)いってらっしゃい。
(電話)
(角田)よし行くぞ!はい特命係。
はい。
あ…小曽根さん今度はなんですか?はい?小曽根さんがどうかしましたか?いや…なんか奇妙な出来事に出くわしたとか言ってますけど。
はい?はい。
この辺ですね。
あああそこっすね。

(ノック)
(小曽根)ああどうぞ。
どうも。
靴のまま上がっちゃってください。
そうですか。
すごい研究所ですね。
ハハッ…。
エースワンテックにお勤めだったんですね。
(小曽根)ええ。
開発部門ひと筋でした。
エースワンテックといえば通信機器の大手ですよね。
だから盗聴器とか得意なんだ。
いえ専門は電磁波の方で盗聴探知機は副業です。
開発資金集めのために探偵社から依頼を受けて。
開発資金集めとおっしゃいますと?実は今非接触電力伝送の研究をしていまして。
非接触電力伝送?ああ危ない危ない!え?これ導線が熱くなりますから。
あっはい。
でそれなんですか?コードを使わずに物と物の間で電力のやり取りが出来るワイヤレス給電と呼ばれるシステムですねぇ。
ほら。
おお〜!現在では一部で実用化もされていますがまだまだ問題が山積みで…。
ですが私が開発中のこの新型のコイルとコンデンサーを使えば送受信可能な距離や転送効率を飛躍的に高める事が可能なんです。
それって画期的な発明なんですか?例えば室内の家電が全てコードレスになり携帯電話もバッテリーが不要になりますねぇ。
それはすごい。
理論上はもちろん可能です。
もう少しです。
あと一歩で完成ですから。
ああまだ出来てないんですね。
ちょっと!この新型伝送システムさえ完成すれば全てがうまくいくようになるはずなんですよ。
つかぬ事を伺いますがエースワンテックを辞めて独立なさる時ご家族の方は反対などなさらなかったのでしょうか?え…家族ですか…?あちらにご家族の写真が。
(小曽根)ああ…反対とかは全然。
逆に喜んで応援してくれて。
ただ家内は今母親の介護のために娘を連れて実家に帰ってますけど。
いやそんな事より電話でお話しした件なんですけど。
ああ奇妙な出来事ってなんすか?ええ。
白金のある家に盗聴器が仕掛けられていてその声を聞いていたらご主人が亡くなったみたいで。
でもなぜか警察や救急に電話する様子もなくて。
20分ぐらいしたら別の男の人がやって来て警察には届けない方がいいみたいな話になってしまって。
うん。
であなたはどうしました?110番しました。
そしたらお巡りさんが様子を見にやって来て…。
でもご主人は死んでなかったみたいで。
という事はあなたはご主人の顔は確認されなかったわけですね?はい。
奥さんがご主人だと言っていましたから。
あっここです。
ここ。
ここ。
「鍵谷初男里枝」
(チャイム)留守のようですね。
ええ。
(チャイム)はい。
どうも。
警察の人?はい。
突然すみませんねぇ。
実はお向かいの鍵谷さんの事についてちょっとお話を伺いたいのですが。
お向かいの旦那さん会社の大事な情報を持ち出しちゃったって本当だったんですか?はい?「東西信販顧客データ流出事件疑惑の社員“K氏”を直撃!」顧客データが流出したんですか…。
ただのデータではありません。
年収5000万以上の高額所得者向けのトップセレブ・カードのデータ1000人分が流出した可能性が疑われていますよねぇ。
超セレブ1000人分のデータブラックマーケットで1人10万として1億は下らないですね。
ええっ!データだけで1億ですか!?二課の方にも被害届が出されているようですね。
それを流したと疑われているのが東西信販主任SEだった疑惑のK氏っていうわけですか。
ああありましたね。
これだ。
(小曽根)疑惑のK氏本名…自宅!?えっこんな事までわかってしまうんですか?報道は匿名でも個人を特定する手段はいろいろとありますからねぇ。
だとするとあの家で亡くなっていたのはデータを流出させた鍵谷初男さんって事でしょうか?うーんそもそもその亡くなったっていう事自体が何かの聞き違いなんじゃないですか?そんな事ないです。
そうですか?いずれにしても事件の渦中の人物の身に何かが起こった可能性があるとしたら調べないわけにはいきませんねぇ。
自宅は留守という事なのでとりあえず東西信販にでも行ってみますか。
よし!だったら私もご一緒しましょう。
あいにくですがここから先は我々警察の仕事になります。
今日はご苦労さまでした。
え〜?
(中澤康子)鍵谷は今自宅謹慎中なんですが…。
自宅謹慎中?
(康子)はい。
例の件で社内調査が終わるまでの間ですが。
こちらが鍵谷の仕事場です。
情報管理のため警察の方でもご入室はお断りしていまして…。
申し訳ありません。
もちろん構いませんよ。
(解錠音)外部の人間は入れませんが社員ならデータの持ち出しは可能みたいですね。
1000人分のデータといえどもUSBメモリなどを使えば持ち出しは容易でしょうからねぇ。
ええ。
社内の方で鍵谷さんと懇意にされていた方はいらっしゃいますか?さあ…特に親しかった人は…。
強いて言えば常務の大藤は鍵谷の事をいつも気にかけていたようですが。
(大藤繁一)お待たせしました。
どうぞ。
大藤常務は鍵谷さんの直属の上司に当たるんですよね?はい。
あの…今日はどのようなご用件で?鍵谷初男さんは自宅謹慎中だそうですねぇ。
ええ。
ですが先ほどご自宅に伺ったのですがお留守のようでした。
そうですか…。
まあ自宅謹慎といっても外出まで禁じているわけではありませんから。
なるほど。
率直にお伺いします。
顧客データの流出は鍵谷さんの手によるものだとお考えでしょうか?私は彼は無実だと信じたいです。
でも会社は鍵谷さんを疑っているんですよね?ええ確かに。
彼は情報システム課の主任ですし全ての顧客データにアクセス出来たのは彼一人でしたから。
彼一人?なるほど。
(笛吹悦子)じゃあ警察の方が行った時は誰かがご主人のふりをしてたって事ですか?多分そういう事なんじゃないかと。
いらっしゃいませ。
どうも。
お疲れさま。
おう悦子。
あれ?どうしているんですか?いやこの間の事で女将さんにもご迷惑かけちゃったんでひと言謝ろうと思いまして。
いいえ。
あれは私の勘違いが原因ですもの。
私の方が逆にお詫びしないとと思ってご一献差し上げてたところだったんですよ。
なるほど。
(悦子)ねえねえねえねえ。
なんか死体が消えちゃったんだって?ああああああ…そんな事まで言っちゃったんですか?何かの聞き間違いかもしれないのに。
本当ならおかしい話ですよね。
どうして旦那さんが亡くなったのに奥さん通報しなかったんでしょう?それって奥さんが殺しちゃったからじゃ…。
ああそれはないと思いますよ。
私が聞いた限り奥さんはご主人が亡くなった事に本当に驚いていました。

(里枝の悲鳴)」何?何?生命保険に入ってたんですよきっと。
生命保険ですか?ですから旦那さんが亡くなった事を隠しておかなければならない理由があるとしたらその保険が原因。
なるほど。
高額な生命保険の加入手続きがまだ完了していない。
あるいは免責期間のために保険金が下りない。
うん。
でもいずれは警察に届けなければなりませんよ。
だとしたら他にどんなケースがあります?例えば遺体そのものに遺体以上の価値がある場合。
遺体そのものに価値がある?ええ。
高い服や宝石ですか?ええ。
でもそれは外せばいいだけですよね。
うーん…。
あっ!ん?のみ込んでたとか。
え?のみ込むって何をです?空港の入国ゲートでもたまに見つかるんですよ。
何億円もする宝石や麻薬を胃の中で溶けないようにしてのみ込んで密輸しようとする人。
ええっ!自宅謹慎中の人間がどうやって密輸に関わるんだよ?そうか…。
いやでも案外そのご主人もなんかすごいもののみ込んでたりして。
うん。
(幸子)悦子さんの想像力ってたくましいですね。
(中園照生)お前たちが例の東西信販の事件を嗅ぎ回っているというのは本当か?お言葉ですが僕たちには顧客情報流出事件を捜査するつもりは毛頭ありませんので…。
口答えをするな!ですが自分らが調べているのは鍵谷初男さんに失踪の疑いがあるからで…。
(内村完爾)どうしてそれを知ってるんだ?お前たち白金署にも出入りしてるんじゃないだろうな。
おやその口ぶりですと白金署に捜索願が提出された?だからどうしてそれを知って…あっ。
ご用件はそれだけでしょうか?では失礼します。
どうも失礼します。
(中園)ちょっと…いやちょっと…ちょっと待て。
おい…今の話なかった事にしろよ!おい!
(職員)鍵谷初男さんへの捜索願は確かに昨日の夜妻の鍵谷里枝さんから提出されました。
えーと…正午過ぎから姿が見えず携帯にも出ない。
これだけで捜索願出しますかね?はい。
その辺りは奥さんにも尋ねたんですが…。
主人は会社の情報を流出させた疑いをかけられていて万が一自殺とかするんじゃないか心配で心配で…。
(職員)そう言うものですから一応受理したんですが…。
このような場合所轄署としてはどう対処されるのでしょう?どうって言われましても捜索願だけでは…。
つまり事件性が確認出来ない限り動けない。
そう受け取ってよろしいですね?こちらとしても通常業務で手いっぱいでして。
そうですかそうですか。
では代わりに我々が調べましょう。
単なる捜索願なのに本庁の方が?ああ我々暇なんで。
では。
どうも。
ネズミがいますね。
ええ放っておきましょう。
どうも。
お呼び立てして申し訳ありませんねぇ。
(米沢守)いえいえ。
例のものは?しかとこちらに。
どうもありがとう。
(チャイム)
(里枝)はーい。
はい。
なんでしょうか?警視庁の者ですが白金署の方にご主人の捜索願を出されましたよね?奥様でいらっしゃいますね?一刻も早くご主人を見つけ出すためにお話と出来ればお宅の中を拝見したいのですが。
いえですが…。
ご都合悪いですか?…いえ。
どうぞお上がりください。
どうぞ。
米沢さん。
はい。
最初に聞こえたのは音楽だそうです。
だとすればこの部屋の可能性が高いですねぇ。
よいしょっと…。
あの…一体何を…?
(探知音)あっ!あっ!間違いありません。
この部屋です。
この部屋ですこれ。
こっち…。
(探知音)あっこっちですね。
こっち。
あっ!あったあった!これですこれです。
(探知音)盗聴とは感心しませんね!バレてた…。
盗聴器が仕掛けられていたのはここだけですな。
これ以外のものは見当たらないようですねぇ。
ええあいにくですが。
そんな…。
一体誰がそんなものを?誰が仕掛けたか心当たりは?いいえ。
でも主人は最近誰かに見張られてるような気がするって言ってました。
それはご主人が例の流出事件の疑いをかけられてからでしょうか?はい。
自宅謹慎になるちょっと前誰にも言ってないのに出先で会社の人にばったり会ったり主人が初めて行く店でもあとから会社の人が来たりしたとか…。
カイトくんその辺りの事を詳しくお聞きして。
はい。
ではこちらでもう少し…。
はい。
盗聴器が見つかった以上遺体もあったはずですねぇ。
しかし見たところ血痕らしきものはないようですね。
(チャイム)
(里枝)はい。
ああ大藤さん…。
あの…捜索願を出されたというのは本当ですか?ええ。
昨日の午後から連絡が取れなくて…。
鍵谷の行き先に心当たりなどは?そう言われても私には全然…。
いなくなった時の服装とかわかりませんか?ああ…上着がなかったしコートも。
多分普段会社に行くのと同じ格好じゃないかと。
携帯電話や持ち物なんかは?携帯は持っていったみたいで鞄も見当たりません。
そうですか…。
じゃあ私は彼が立ち寄りそうな場所を捜してみます。
せっかく家の中に入れたのに鍵谷初男さんが死んだのかどうかもわかりませんでしたね。
ですがそれなりに収穫はありました。
え?あっ…。
小曽根さん?盗聴器がなくなってしまいましたからねぇ。
新たな手に出ましたかね。
あっ…出てきましたね。
あっ…。
ひょっとして小曽根さん鍵谷初男さんが持ち出した顧客データを狙ってるんですかね?確かに1億の価値のある情報ですからねぇ。
その可能性は否定出来ませんねぇ。
夫が失踪中なのに外食ですか…。
気になりますね。
せっかくですから我々も中に入ってみましょうか。
ええ。
いらっしゃいませ。
杉下さん!どうして…?「どうして?」じゃないでしょ。
ひと言ご忠告をと思いましてね。
あなたはどうやら我々警察よりも先に鍵谷初男さんを見つけようとしているようですねぇ。
い…いや…まさか私がそんな事…。
あっ顔に「図星」って書いてありますよ。
だとすればあなたは鍵谷さんに関して我々の知らない何かを知ってるんじゃありませんか?例えばあなたが鍵谷さんの家の会話を傍受した時に何か大事な事を聞いてしまったのではありませんか?
(ため息)参ったな…。
(三沢泰彦)おい!8卓さんのポワレあがったぞ。
早くしろ。
(店員)はい!ああ鍵谷さん。
刑事さんたち…どうして?すいませんちょっと急用を思い出しちゃって…。
すいません…。
これは奇遇ですねぇ。
我々この近くで聞き込みをしていたのですがね…。
美味しいレストランがあるって聞いて。
そうですか…。
ごめんなさいお邪魔しちゃって。

(窓ガラスの割れる音)
(殴る音)
(小曽根)うっ!東西信販の捜査資料ですか?二課の捜査では顧客情報の流出は一部だけだったと結論づけたようですねぇ。
という事は億の価値はなかったって事ですか。
ええ。
コーヒーちょうだい…。
(2人)どうぞ。
お疲れですか?違法薬物の摘発でしたっけ?それがさ…てっきり背後に大がかりな組織があると思ったんだけどとんだ無駄骨だったんだよ。
つまり組織的な密売ではなかったと。
ああ。
住宅街で主婦に覚醒剤を売りつけてる売人がいるからってじっくり泳がせて捕まえたはいいけど…。
(市原保)うちの保管庫からちょっとずつ持ち出しました。
(角田の声)医学部の学生が覚醒剤を研究室から盗み出してバイト感覚で金と暇が余ってる奥さん連中に売ってただけだったんだから。
つまり大山鳴動して鼠一匹だったというわけですか。
うん。
しかもそのネズミ学生ご丁寧にもパケの代わりにこんなおしゃれな小袋に入れて売ってたんだぜ?スティックシュガーみたいですね。
こんなのがさ田園調布や成城とか白金なんかで飛ぶように売れたっつうんだから世も末だよな。
白金…。
鍵谷初男の家の近くですね。
(電話)はい特命係。
はい…。
えっ!?あ…。
小曽根さん意識不明で病院に担ぎ込まれました。
彼は昨日病院の前に置き去りにされてたんですね?はい。
持ち物の中に甲斐巡査部長の名刺があったもので連絡させて頂きました。
小曽根さんのご家族への連絡は?もうお見えになってます。
そうですか…。
では。
ええ。
失礼。
警視庁の杉下です。
同じく甲斐です。
小曽根さんは?
(小曽根由美子)先生の話では意識が戻れば大丈夫との事でした。
それはよかった。
あの…お母さんの介護をされるためにご実家に戻られてたんですよね?あの人そんなふうに?変なところ見栄っ張りだから…。
ひょっとしてご主人が会社を辞められた事が原因でしょうか?ええ。
エースワンテックでは開発部門ひと筋だったんですけど突然営業に転属を命じられて。
それでも本人はどうしても研究を続けたいって…。
それで独立してあの研究所を。
子供の頃から発明家になるのが夢だったなんて言い出して。
夢なんかで食べていけるはずないのに…。
それを聞いてもう愛想も尽き果てました。
それでご実家に…。
ご主人こうおっしゃってました。
この新型伝送システムさせ完成すれば全てがうまくいくようになるはずなんですよ。
全てがうまくいくというのはお二人との暮らしを取り戻せるという意味だったのでしょう。
だから研究を絶対に完成させたかったんですね。
しかし研究費がかさみかなりの借金を作ってしまった。
それでこんな無茶をしてしまったのでしょうね。
どうやら我々は小曽根さんに誤ったヒントを与えてしまったようですねぇ。
ヒント?案外そのご主人もなんかすごいもののみ込んでたりして。
そのため小曽根さんは鍵谷初男さんの遺体を捜しその在りかを見つけたためにあのような目に遭ってしまったのでしょう。
在りかってどうやって見つけたんですか?昨日の彼の行動で1つ腑に落ちない事があったのを思い出しました。
すいませんちょっと急用を思い出しちゃって…。
(杉下の声)その時はてっきり自分が見張っていた鍵谷里枝さんに見つかったために慌てて店を飛び出した。
そう思っていましたが実はそんな事をする必要はありませんでした。
あっそっか…。
鍵谷里枝は小曽根さんの顔を知らない。
ええ。
にもかかわらず小曽根さんがあの場を突然去ったのは恐らく何か新たな手がかりをつかんだから。
手がかりってなんですか?事件の話をした時に彼はこう言ってました。
20分ぐらいしたら別の男の人がやって来て…。
鍵谷里枝さんに呼ばれて20分ほどで駆けつけたとなればその男性はあの場所からかなり近いところにいた事になりますねぇ。
ええ。
鍵谷さんの家からあのビストロまでは大体10分ぐらいですよね。
なおかつ小曽根さんはその男性の声をしっかりと聞いていました。
(男性)「嘘だろ?なんだって旦那さんが…」そして昨夜の事。
小曽根さんが席を立つ直前…。
おい!8卓さんのポワレあがったぞ。
早くしろ。
(杉下の声)耳に飛び込んできたシェフの声はまさに小曽根さんが盗聴器で聞いた男性の声そのものだったのではないでしょうか。
じゃあ…鍵谷初男さんは本当に亡くなっていた。
あの店のキッチンには大きな冷凍庫がありましたねぇ。
ええ。
遺体を入れておくにはもってこいですよ。

(伊丹憲一)よっしゃ…いくぞ。
(芹沢慶二)はい。
(伊丹)こんにちは。
まだ開店前ですけど…。
(芹沢)オーナーの三沢さんですね。
はい。
小曽根直哉さんに対する傷害容疑でこちらを家宅捜索させて頂きます。
なんの話ですか?失礼しますよ。
あっちょっと…!やっぱり死体を隠すならここか…。
あれ?
(芹沢)ちょっとちょっとちょっとちょっと!
(舌打ち)ないっすよ?ああ〜!なんですか?
(伊丹)警部殿!これは一体どういう事ですか!?死体が出るかもしれないって言うから無理やり傷害で令状を取ってきたんですよ!?令状を取るのがどれだけ大変な事かご存じですよね?冷凍庫はご覧になりましたか?ご自分で確かめてみますか?あれ?杉下さんあれ…。
これ割れてますね。
ここから誰かが忍び込んだとか?それは今朝掃除の時に割っちゃっただけで…。
鍵谷初男さんの遺体をどこかに隠すように鍵谷里枝さんに頼まれてませんか?なんの話だよ。
こっちは仕込みで忙しいんだ。
用が済んだら帰ってくれ。
鍵谷さんの家にこの盗聴器を仕掛けたのはあなたですね?盗聴とは感心しませんね!
(杉下の声)盗聴器が発見された事を知ったからこそあなたは自分が疑われる事を恐れて捜索願の事を聞いて駆けつけた体を装った。
昨日の午後から連絡が取れなくて…。
鍵谷の行き先に心当たりなどは?何を…!先日伺った時からこれが気になってましてねぇGPS受信機。
(杉下の声)あなたがなぜこんなものを持っていたのか。
鍵谷さんの味方のふりをして盗聴器やGPS発信器を使いどこの誰に顧客情報を流したのかを警察よりも先に探ろうとしていた。
違いますか?それは社長命令で仕方なく…。
いや本当なんです!私はやりたくてやったわけじゃないんです!おや何か誤解なさっているようですねぇ。
我々はあなたを逮捕しに来たのではありませんよ。
え?これお借り出来ますか?え?
(探知音)あの下辺りですな…。
皆さん徹底的にお願いします。
(一同)はい!
(米沢)皆さん横に1列になって行きましょう。
横1列です。
横1列。
行きましょう!今度こそ本当なんでしょうね?っていうかなんで遺体に発信器がついてるってわかったんです?鍵谷初男さんの妻が彼が失踪した事にするために…。
携帯は持っていったみたいで鞄も見当たりません。
携帯や鞄も遺体とともに運び出したのだとすれば一緒に埋めた可能性が極めて高い。
なるほど…。
だけど鍵谷初男が失踪したと聞いて大藤常務はなぜGPSで居場所を特定しなかったんでしょうね?その時はすでにビストロの冷凍庫の中に隠していた。
ゆえに電波が探知出来なかったのでしょう。
(探知音)ん?
(探知音)あっ!あっ!こ…これ…!あっ!で…出ました!出ました!これ!ちょっと…!葉っぱ葉っぱ!
(米沢)丁寧に!丁寧に!慎重に!やっと見つけてあげられましたね。
ええ…。
遺体見つかったんですか…。
ええ。
今司法解剖に回ってます。
1つわからない事があります。
研究費が必要だった事はわかりました。
ですがあなたはどうしてあの遺体に遺体以上の価値があると思ってしまったのでしょう?あの時奥さんが言ってたんです。
(里枝)「解剖なんかしたら絶対見つかっちゃうじゃない」そのあと幸子さんのお店で…。
なんかすごいもののみ込んでたりして。
それであなたは鍵谷初男さんがトップセレブ・カードの顧客情報の入ったUSBメモリを体内に隠していると勘違いしてしまったわけですね。
勘違い?鍵谷初男さんは顧客情報を持ち出してなかったしそもそも情報流出自体がなかったんです。
いや…だってテレビであんなに…。
捜査二課の捜査の結果ごく一部の情報が添付されたメールを情報システム課の社員が誤って外部に転送してしまった事が原因だったようです。
大山鳴動鼠一匹だったみたいですね。
でも…だったらどうしてあの奥さんは…。
その結果がまもなく出る頃です。
恐らく顧客情報ではなく違うものが出るはずなんですがねぇ…。
(芹沢)覚醒剤!?
(米沢)ええ。
死因は覚醒剤中毒です。
血中や胃の中から恐ろしい濃度の覚醒剤が検出されました。
どういう事だ?
(伊丹)じゃああんたの亭主はあんたが隠し持っていた覚醒剤をコーヒーに入れて飲んだっていうのか?ええ。
私が買い物に行ってる間に。
(里枝)普段なら絶対キッチンには足も踏み入れないくせに…。
(鍵谷初男)どこだ?あっあった。

(うめき声)
(音楽)ただいま。
あなた?
(悲鳴)ああ…ああっ!なんですぐに通報しなかったんだ?出来るわけないでしょ。
覚醒剤飲んで死んだってわかったら私が捕まっちゃうじゃない。
それでビストロのシェフ三沢泰彦を呼んだんだ…。
嘘だろ?なんだって旦那さんが…。
(里枝)ねえ確かめて。
本当に死んでる?間違いない。
警察呼ばないと。
駄目よ!それだけは絶対駄目!どうして?だって警察呼んだら解剖とかされるでしょ。
解剖なんかしたら絶対見つかっちゃうじゃない。
だったらどこかに隠さないと。
(芹沢)じゃあ三沢も覚醒剤の事知ってたの?知ってるも何もそもそも私に覚醒剤を勧めたの彼なんだから責任取ってもらおうと思って。
一流企業勤務の旦那がいて高級住宅地に住んでるくせになんだってあんな男とつるんで覚醒剤やったりするんだ!?だって…ワクワクしないんだもの。
はあ?一流企業も高級住宅地も気持ちいいのは最初だけよ。
当たり前になったらただ刺激のない退屈な毎日。
解剖したら見つかるって彼女が言ったのは流出データじゃなく覚醒剤だったんですね。
ええ。
一体なんのための夫婦だったのでしょうねぇ…。
住居侵入の罪は処分保留になりそうですよ。
ご迷惑おかけして本当に申し訳ありません。
ひとつよろしいですか?万が一鍵谷さんの遺体の中に顧客情報入りのUSBメモリが入っていたとしてそれをどうやって取り出すつもりだったのでしょう?あっ!そこまでは…。
考えてなかったんですか?面目ない…。
フフフフフ…。
ハハ…。
あっ!
(小曽根遥)パパ!返しておいたから。
え?借金。
おかげで貯金なくなっちゃったじゃない。
すまない…。
そう思うなら絶対に成功させてよね。
え?もう少しで完成だって刑事さんに聞いたの。
お二人は戻ってきてくれるそうですよ。
1人にしておくとまた今回みたいな事になるかもしれないし。
由美子…。
せっかくの夢なんだから…遥にもちゃんと見せてあげて。
ああ!絶対完成させるから!ならすぐ帰ろう!急いで研究の続きしたいから!遥も手伝ってくれるよね?うん!よし。
(小曽根)ありがとうございました。
では。
よし行くぞ!本当に完成するんですかね?300以上の特許を取得したアメリカの発明家チャールズ・ケタリングは言ったそうです。
「999回失敗しても1回うまくいけばいい」。
「それが発明家だ」。
その1回が来るといいんですけどね。
ええ。
当番組は同時入力の為、誤字脱字が発生する場合があります。
2014/02/19(水) 21:00〜21:54
ABCテレビ1
相棒 season12 #16[字]

水谷豊&成宮寛貴の相棒!盗聴して偶然聞こえてきた犯罪の瞬間の声!見つかってはいけない遺体に隠された秘密とは?聞こえてきた会話は真実なのか?右京が名推理を展開!

詳細情報
◇番組内容
第16話「聞きすぎた男」
◇出演者
水谷豊、成宮寛貴、鈴木杏樹、真飛聖
川原和久、山中崇史、六角精児、山西惇、小野了、片桐竜次
【ゲスト】山崎樹範、嘉門洋子、俊藤光利
◇スタッフ
【脚本】戸田山雅司
【監督】和泉聖治
【ゼネラルプロデューサー】松本基弘(テレビ朝日)
【プロデューサー】伊東仁(テレビ朝日)、西平敦郎(東映)、土田真通(東映)
◇音楽
池頼広
※『ピアノ・ソロ 相棒【改訂版】』発売中!
池頼広氏本人が書いたオリジナル譜面も掲載!
◇おしらせ
最新情報はツイッターでもフェイスブックでも!
【ツイッター】https://twitter.com/AibouNow
【フェイスブック】http://www.facebook.com/AibouNow
【ウェブ】http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0×0818)
EventID:53633(0xD181)