(テーマ音楽)正しい健康情報を分かりやすくお伝えする「きょうの健康」です。
今週は…という事で4日間ご覧のような病気を取り上げています。
今日は3日目になりました。
テーマはこちら。
では早速お話を聞く専門家の方ご紹介します。
内科医で特に胃や食道など上部の消化管の病気の診断や治療がご専門です。
どうぞよろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
今日取り上げる胃食道逆流症ですがこれはどういう病気なんですか?胃酸とか胃の中の内容物が食道に上がってくる事によって引き起こされる病気なんです。
胃酸が胃の中にはいっぱいあるんですが胃は自分自身を守るような働きを持っているんです。
ところが胃酸が食道に上がってくると食道の粘膜は胃酸に対して自分を守る働きがないんです。
すぐにびらんを起こしたり炎症を起こしたり症状を起こしたりします。
この胃食道逆流症ですがどういう場合に起こりやすいんでしょうか?今日は2人の患者の例を見ていきましょう。
こちらです。
まずCさん45歳の男性です。
単身赴任をきっかけに寝る直前までものを食べたりお酒も毎晩飲むという生活になりまして体重80kg肥満ぎみとなってしまいました。
すると胸焼けとものを飲み込む時にのどにつっかかるような違和感を感じるようになったんです。
そこで受診し内視鏡で検査をしたところ食道に炎症が見られ症状と炎症から胃食道逆流症と診断されました。
そして2人目は30歳の女性Dさんです。
会社員のDさんはきちょうめんな性格で健康にも気を遣っています。
たばこも吸わずアルコールも飲まないという生活をしていました。
そんなDさんは部署が異動になり接待が多い生活が続くようになった頃から胸焼けや少し油っこいものを食べると酸っぱいものが上がってくるようになって緊張すると症状がひどくなりました。
そこで受診し内視鏡で検査をしたところどこにも炎症は見られませんでしたがその症状から胃食道逆流症と診断されました。
全然タイプが違う2人なんですがどちらも胃食道逆流症という事なんですね?胃食道逆流症には2つのタイプがあると考えられています。
1つはCさんのように食道が内視鏡検査で炎症がある。
びらんがある場合は逆流性食道炎という診断がつきます。
つまり逆流性食道炎は内視鏡的な診断名なんです。
ただDさんの場合には食道に炎症がないので症状だけです。
そこで非びらん性逆流症という病名がついた訳です。
炎症がないという事で症状だけで診断をつける事になるんですが診断が難しいような気がするんですが…。
内視鏡をやっても異常がないという事でこれまで異常なしと診断される事もこのタイプの人は結構多かったんです。
ただ胸焼けとか胃の逆流感呑酸とかそういう症状が週1〜2回以上あるような人の6割以上は非びらん性逆流症といわれています。
そして非びらん性逆流症の症状ですが逆流性食道炎と変わらずに非常に強い事も分かっているんです。
炎症がなくてもきついものなんですね。
この全く症状が違う2人生活習慣やタイプが全く違うんですがどういう人がなりやすいという意味では何かあるんですか?胃食道逆流症は非常にライフスタイルが大きく影響する病気といわれています。
特に逆流性食道炎の場合には年齢とか性別体型はあまり関係ないといわれているんですが男性しかも中高年で少し太り気味の人は特に注意して下さい。
なりやすいといわれています。
それと非びらん性逆流症の人はむしろ若い人がなりやすい。
男性に比べると女性の方がなりやすい。
あるいはやせている人がなりやすい事がいわれています。
実はDさんもこのタイプでしたが健康管理に非常に気を遣っていてむしろきちょうめんでまじめでどちらかと言うとストレスをため込むような人たちに非びらん性逆流症は多いのではないかと考えられています。
Dさんの場合には部署の異動が症状の発症のきっかけになったのではないでしょうか。
生活スタイルやストレスが胃食道逆流症の原因になっているという事なんですがもともと原因はどういう事なんですか?原因として考えられているのは…面白い事にこの3つとも生活スタイルとかストレスに関係あると考えられています。
1つずつ伺っていきましょう。
まず下部食道括約筋のゆるみという事なんですが下部食道括約筋はどういう役目をしているんですか?ではこちらで見ていきましょう。
下部食道括約筋というのは食道と胃の境目にある筋肉で胃に入った食べ物や胃酸が逆流しないようにこの境目を締める役割をしています。
この括約筋が何らかの原因で緩みやすくなると逆流が生じてしまうんです。
括約筋が緩んでしまう原因は何なんですか?食事が上から入ってくると下部食道括約筋は緩んで食事がそのまま胃の中に入ってきます。
ところが一旦入ってしまうとここが閉じて逆流が起こらないようになっているという訳なんです。
ただ食事と関係ない時にこれが緩んでしまう事があります。
その一つの原因が食べ過ぎです。
食べ過ぎておなかがいっぱいになる。
胃がどんどん張ってしまうと…ここが非常に張るんです。
するとここが非常に開きやすくなる事が分かります。
あと一つは脂肪のとりすぎです。
脂肪をとると体の中に下部食道括約筋を緩めるようなホルモンが分泌されてこれが緩みやすくなると考えられています。
また腹圧ですね。
太っていらっしゃる人あるいは妊娠されている人はおなかの圧力が強くなるとこういう圧力がかかりますのでここが開きやすくなるといわれています。
そして2つ目胃酸過多ですがこれはどういう事でしょうか?胃の中に酸が多いほど緩んだ時に上がってくる酸が多いと。
ですから胃食道逆流症の原因になるといわれています。
この胃酸というのは食べ物とか体重とかと関係するといわれているんです。
たんぱく質を食べるあるいはお肉を食べると酸の分泌を刺激するので胃酸過多になりやすい。
あるいは体重が増えていくと酸が増えていくので胃酸過多になりやすいといわれています。
Cさんのタイプはこういうふうな胃酸過多のタイプなんじゃないでしょうか。
そして3つ目食道の知覚過敏ですがこれはどういう事でしょうか?実は全く胸焼けがない人でも少しずつ胃酸が食道の中に上がってくる事があるんです。
でもなかなかそれを感じていないという訳です。
ただ少しの酸が上がってきてもそれを症状として感じるのが食道の知覚過敏であります。
面白い事にこの食道の知覚過敏はストレスと関係している事が分かっています。
Dさんの場合ストレスと関係して食道の知覚過敏が起こって逆流症が発症したという訳だと思います。
続いては症状ですがCさんもDさんもともに胸焼けがありましたね。
胃食道逆流症の主な症状はどのようなものなんでしょうか?胸焼けは最も重要な…あるいは多い症状です。
胸の中心みぞおちの上辺りが熱くなるとか焼けるような症状が胸焼けの症状です。
もう一つ酸っぱいものが胃からのどの方に上がってくると。
これは呑酸といっています。
胸焼けと呑酸は胃食道逆流症の2つの定型症状といわれて非常に重要な症状です。
そのほかにも胃もたれ吐き気のどの不快感などさまざまな症状が逆流症の時の症状です。
胸焼けだと「ちょっと飲み過ぎたかな」とほっておくっていう人もいると思うんですが…。
胸焼けは実は生活の質に大きく関連しているといわれています。
例えば胸焼けがあるので食べたいものにちょっと手が出ないとか仕事とか勉強に集中できないなど非常に生活の質に影響してくるので是非そういう人は我慢しないで治療を受けて頂きたいと思います。
治療ですがどのように行われるんでしょうか?CさんDさんの例で見ていきましょう。
こちらです。
Cさんの場合は炎症と症状の両方がある逆流性食道炎でしたので薬物治療としてプロトンポンプ阻害薬を使いました。
そして食生活に大きな問題があったのでその見直しを行いました。
一方Dさんの場合は症状のみの非びらん性逆流症でしたがやはり薬物治療という事でプロトンポンプ阻害薬そして抗不安薬も使っています。
更にストレスが大きかったのでストレスコントロールを併せて行いました。
まず薬ですが2人共通で出ているのがプロトンポンプ阻害薬ですね。
これはどういう薬ですか?プロトンポンプ阻害薬は胃食道逆流症の第一選択になります。
胃酸の分泌を抑えて胃酸の量を下げる薬です。
そして生活面の見直しは2人はちょっと違ってますね。
Cさんの場合には逆流性食道炎で食生活に問題があるという事ですので食事を注意して頂くように指導しました。
具体的には食べ過ぎをやめるとか肉類をちょっと減らすとか食べたあとにすぐに横にならないとか早食いをやめましょうという事でかなりよくなりました。
そしてDさんの場合はどうだったんですか?こういうストレスがあるような人はストレスと関係がある事を本人に説明するだけでもかなりよくなる場合があります。
ただDさんの場合はちょっとストレスが強かったのでそれを更に強めるという事で抗不安薬も一緒に処方しました。
患者さんの中ではストレスコントロールが大事と分かってもやっぱり簡単には難しいですよね?ただストレスがこの病気と関係あるという事を自分で理解する事が非常に大事な事なんです。
特に症状も炎症がなかった訳ですから何がって思ってたところで不安って募りますもんね。
そんな中でこういったストレスを軽減する事が…。
やはりストレスと関係している事を自覚する事がまず第一歩なんでしょうね。
その事によってお薬の効果も高まるのではないかと考えられています。
それでは今日のまとめをひと言お願い致します。
胃食道逆流症では胸焼けとか酸っぱいものが上がってくる呑酸という症状が主な症状です。
ただ内視鏡検査などで炎症がなくても症状だけでも診断がつけば治療を受ける事ができます。
そして適切な治療を受けると非常によくなる病気ですので胸焼けなどの症状がある場合には一人で我慢せずに是非医療機関を受診して頂きたいと思います。
ちゃんと治療すればよくなるという事ですもんね。
三輪さん今日はどうもありがとうございました。
明日も是非ご覧下さい。
2014/03/05(水) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 胃と食道の病気 最新情報「胃食道逆流症」[解][字]
胃液が食道に逆流して起こる胸焼けや呑(どん)酸などの不快な症状。胃食道逆流症には2つのタイプがありそれぞれなりやすい人には特徴がある。生活習慣・ストレスに注意。
詳細情報
番組内容
胃液が食道に逆流して起こる胃食道逆流症。主な症状は、胸焼けと、酸っぱいものが上がってくる呑酸(どんさん)だ。胃食道逆流症は、食道に炎症がみられるもの、炎症がなく症状だけのものの2つのタイプがあり、それぞれ、なりやすい人には違った特徴がある。いずれも生活の質を著しく低下させるため、我慢せず早く受診すること。治療は薬物療法だが、食生活やストレスが原因のことも多いため、生活習慣を見直すことも大切だ。
出演者
【講師】兵庫医科大学教授…三輪洋人,【キャスター】久田直子,古賀一
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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