(テーマ音楽)正しい健康情報を分かりやすくお伝えする「きょうの健康」です。
早速今日のテーマこちらです。
今日は特に乳幼児小さい子どもに起こりやすい腹痛についてお伝えします。
では早速お話を聞く方をご紹介します。
今日お話を聞くのは…小児外科がご専門で子どもの救急疾患の治療手術を行っていらっしゃいます。
どうぞよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
まず子どもの腹痛なんですが何が原因で起こる事が多いんですか?便秘症やノロやロタなどの感染性胃腸炎またかぜやストレスなどでよく起こります。
適切に対処すればそれほど心配のない事が多いですが中には急性虫垂炎腸重積症そけいヘルニアかんとんなど外科的な治療が必要な病気もあります。
腹痛ってひと言で言っても随分たくさん種類があるんですね。
今日は外科的な治療が必要になってくるこちらの3つを中心に伺っていこうと思うんですがまずは急性虫垂炎はどんな病気ですか?大腸の一番端っこの部分に盲腸という部分があります。
この盲腸の先端の所から虫垂という6〜7cmぐらいでしょうか鉛筆の太さぐらいの突起物があります。
この突起物の内腔が閉塞して細菌感染が起こると急性虫垂炎になります。
大体5〜6歳以上のお子さんで男の子にも女の子にも起こります。
症状としては最初はみぞおち辺りの痛みから始まって同時に吐き気を催す事が多いという感じがします。
そのうち徐々に右下腹部の方に痛みが動いていって時間がたつと吐いたり熱が出たりします。
まずは急性虫垂炎ですが続いてこちらの腸重積症ですね。
これはどんな病気なんですか?久田さん。
まずは腸重積症でよくある例を紹介します。
9か月の男の子Aくんです。
Aくんはある日かぜ気味になり少し熱がありました。
その2日後お母さんがだっこしている時突然吐いて機嫌が悪くなりました。
2〜3分すると機嫌はなおりましたがまたすぐ泣き出して機嫌が悪くなり機嫌がよくなったり悪くなったりを繰り返しました。
そしておなかを触ると嫌がりました。
そこでかかりつけ医に診てもらったところ腸重積症の疑いと診断されたためすぐに病院で詳しい検査をし治療を行いました。
腸重積症と診断された訳なんですがこれはどういう病気になるんですか?こちらに手術を必要としたお子さんの腸重積症の所見を示しています。
こちらにある腸がこちらの腸にはまり込んでいる…。
望遠鏡の筒のように2重に入っている状況です。
具体的に言うとこれは小腸になるんですか?そうです。
ここが大腸で小腸の一番最後の所が大腸の方に入っていってどんどん進んでいく病気です。
これは何でこういう事になるんですか?どうしてこういう事が起こるのかは分からないんですがやはりかぜをひいている小さな3か月から2歳頃の男の子に多いといわれています。
症状は先ほどのAくんのように突然吐く事が多いんですが中にはやたら機嫌が悪かったり非常に不機嫌な泣き方をしたりいつもと全く違う症状である事が結構あります。
時には少し時間がたつといちごジャムのような粘血便を出す事もあります。
特徴的な事は2〜3分ごとに繰り返す機嫌のよさと不機嫌の繰り返しです。
痛くなったり痛くなくなったりを繰り返すのがこの病気の特徴です。
これは悪化するとやっぱりよくないんですよね?腸重積症は時間がたって悪化するとはまり込んでいる腸の部分が死んでしまいます。
ですから早く見つけて早く対処する事が必要になります。
そしてこちらのそけいヘルニアかんとんですがこれはどういう病気ですか?まずそけいヘルニアという病気を説明しましょう。
これが普通の男の子のイラストです。
精巣の脇には何もなく普通の腹膜がまっすぐあるんですが中には生まれてきた時にこのように袋が飛び出ている場合があります。
この袋は本当なら赤ちゃんの時に閉じなければいけないんですがこの袋が残っているとこの中におなかの中の腸であったり卵巣であったりが飛び出てくる事があります。
これがそけいヘルニアです。
そけいヘルニアかんとんはこの入り口の部分で飛び出た部分が締めつけられてそのために硬く腫れ上がってその中に入ってる腸とか卵巣が傷んでしまう状態を言います。
このそけいヘルニアかんとんの症状としては何か特徴はあるんですか?硬く腫れる事。
それと触るとすごく嫌がります。
また非常に強い痛みがありますので非常に不機嫌になって激しく泣きます。
同時に吐いたり顔色が悪くなったりもします。
痛いという事なんですね。
小さい子どもの場合ふだんと違う泣き方だったり機嫌が悪かったりすると腹痛を疑ってみるのも大切なんですね。
小さいお子さんの場合はおなかが痛いってなかなか言えないんですね。
ですから保護者とか周りの大人の人がやはりどこかおかしいぞという事を子どもが発信しているサインを見逃さずに対処してあげる必要があります。
いざ子どもに何かおかしいなと異常を感じた場合ですがどう対処していくといいんでしょうか?まずはお子さんの状態が悪い時ちょっと違うなと思った時はまずぐったりしているのか元気なのかを判断しましょう。
ぐったりしている場合もうぼ〜っとしていて呼びかけても反応しない場合にはすぐにかかりつけ医夜間休日であれば救急外来を受診して下さい。
では元気だという場合はどう対処したらいいですか?おなかを抱えて痛がっているのが分かる時はこれは何かおなかが痛いんだろうなと分かりますがそうでない場合にはやはり少しおなかを触ってみましょう。
こちらに赤ちゃんの人形がありますが抱きかかえるようにしておへその辺りから優しくこういうふうに押さえてあげて下さい。
少しおなかがへこむ程度押さえてあげればいいと思います。
そんなに強くなくてもいいんですね。
場合によってはどの辺りを痛がっているか押さえた時に機嫌が悪くなったり変な泣き方をしたりしますので分かる事があります。
それが痛いというサインなんですね。
これは腹痛だなと思った場合そのあとどう対処すればいいですか?元気であっても自宅で対処していい場合とやはりお医者さんに診せて頂く場合と両方あります。
まずは便秘がないか熱を出していないか下痢がないかを確認してほしいなと思います。
この中でまずは自宅で様子を見ててもいいなというのはありますか?まずは便秘ですね。
便秘の場合は突然おなかを痛がったり不機嫌になったりしますがそれほど大きな症状がなければまずはトイレに連れていきましょう。
赤ちゃんの場合は肛門の周りを刺激するこより浣腸でも十分効果が出ます。
普通の便が出てそれで機嫌がよくなれば便秘だったのでそれで大丈夫です。
その場合は自宅で様子を見てもいいんですね。
発熱や下痢がある場合は受診した方がいいんですか?機嫌がそれほど悪くなければそのまま自宅で様子を見ていても構いません。
ただし発熱下痢はすぐに脱水になります。
それが心配ですので経口補水液スポーツドリンクなんかでもいいですが少しずつ5分おきぐらい…。
例えば1歳ぐらいの赤ちゃんでしたらペットボトルのキャップ1杯ぐらいを5分ごとに少量ずつでいいので繰り返し飲ませる事が大切です。
少量をゆっくりという事ですね。
何回も何回も繰り返し…。
1時間2時間かけてしつこくしつこく少しずつ飲ませてあげるのが大切です。
一度にたくさん飲ませると吐いてしまいます。
腸重積症になったAくんですが吐いていましたよね。
これは受診した方がいいんですか?吐いている場合に一番大事なものは…。
食べたものだけを吐いている場合。
この場合は脱水に注意をして様子を見ていて大抵の場合は大丈夫です。
ただ吐いているものの中に黄色いもの緑色のものコーヒー色のもの赤いものなどが混じっている場合にはただのおう吐ではありませんのでやはりかかりつけ医に受診して頂く事が大切です。
ただノロウイルスなどの場合はかなり何回も吐いて症状が激しい場合もありますね。
こういう時は受診しなくても大丈夫なんでしょうか?程度によってどうするかを決めるんですが日中であればぐったりしてきますのでかかりつけ医に受診して頂く方がいいと思います。
夜間とか休日とかでかかりつけ医になかなか行けないという状況もあると思いますがそういう時はどうしたらいいですか?お母さんが一人で見ていたりご両親が一緒になって心配をしていてもなかなか心配がとれない場合はまず小児救急電話相談という♯8000番というのがあります。
そちらに電話をして頂きますと小児科の医師あるいはベテランの看護師さんたちが電話で個別の応対をしてくれますのでまずはそちらに相談して頂くのがいかがでしょうか?ここへ相談して受診が必要かどうかという事を判断してもらう事が大切なんですね。
夜間とか休日って話せないだけに心配が募るっていう事もありますもんね。
それでは急性虫垂炎腸重積症そけいヘルニアかんとんですけどそう診断された場合どんな治療に入っていくんですか?急性虫垂炎は以前は手術でした。
ただ最近は早く見つけると抗菌薬などで治療が可能になって手術を回避する事ができるようになりました。
3〜4日の入院で手術をせずに帰る事ができるようになりました。
腸重積症やそけいヘルニアのかんとんは基本的に外科的な治療が必要になる事があるんですがやはり早く見つけると手術をせずに違う方法で治す事ができるようになったのでそれをまずは試してみます。
腸重積症と診断されたAくんですがどんな治療を行ったんでしょうか?ちょっとこちらで見てみましょう。
Aくんは痛みが起こってから数時間で受診できたため高圧浣腸で潜り込んだ腸を元の位置に戻す治療を行いました。
それで無事に腸の状態が改善できたため手術をせずに1晩で退院しました。
高圧浣腸という言葉が出てきましたがこれはどういう事ですか?これはレントゲンの下で造影剤を肛門から腸の中に流し込んでいく治療です。
流れる造影剤の力ではまり込んだ腸を押し戻して治します。
この方法で治らない場合はやむをえないので手術が必要になりますがこの方法で治りますと1日で退院できます。
そけいヘルニアかんとんですがこの場合はどんな治療になりますか?先ほどのイラストでご説明しますがかんとんの場合にはまず救急外来で医師がはまり込んだ腸をおなかの中に戻す事を試みます。
無事に戻れば数時間外来で様子を見てそのまま自宅へ帰れます。
ただいずれ手術は必要になります。
どうしても戻らない場合はそのまま緊急手術になりますので入院して下腹部を少し切開してこの袋の入り口の部分を縛るという方法を行います。
腸を切除しなくてもいい場合は大体2〜3日ぐらいの入院でおうちに帰れます。
自宅で子どもをしっかり見る事によっていろんな事が分かってくるというか…。
痛みだけじゃなくて機嫌とかそういう事もポイントなんですね。
ひと言で腹痛と言ってもたくさんあるんだなと分かりました。
では今日のまとめをお願いします。
小さなお子さんは自分からおなかが痛いと言う事ができませんので保護者や周りの人が早くサインに気付いてあげる事が大切です。
また痛みが起こってから早く治療しないと症状が悪化してしまい治療が大変になる病気もあります。
自分で判断が難しい場合はかかりつけ医に相談をしましょう。
夜間休日の場合は先ほど申し上げた小児救急電話相談の♯8000番に迷わず電話をして下さい。
専門家が答えてくれます。
まずはサインを見逃さない。
迷わずに♯8000番がキーワードですね。
岩中さん今日はどうもありがとうございました。
明日はご覧のテーマでお送りします。
是非ご覧下さい。
2014/02/19(水) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康「見逃したくない 子どもの腹痛」[解][字]
小さな子どもが激しく泣きだしたら腹痛を疑うことも大切だ。便秘症が原因になっていることが多いが、中には、外科的な治療が必要で、早期の対処が大切な病気が隠れている。
詳細情報
番組内容
乳幼児の小さな子どもが激しく泣きだしたら要注意。腹痛が原因かもしれない。子どもの腹痛の原因には、便秘症やかぜなど、適切に対処すればそれほど心配のないものが多いが、中には腸重積症、そけいヘルニアかんとん、急性虫垂炎など、外科的な治療が必要になるものも隠れている。子どもの様子がいつもと違うとき、何が起きているかをどう見極めるのか、自宅で対処をすべきか医療機関へ行くべきかなどのポイントを紹介する。
出演者
【講師】東京大学大学院教授…岩中督,【キャスター】久田直子,古賀一
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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