おみやさん6 2014.03.05

(鳥居勘三郎)
14年前東山の山中で男の遺体が発見された
被害者内藤勉はどこか別の場所で撲殺され山中に遺棄されたものと思われた
遺体の衣服には周辺には生息していない萩の葉が付着していた
内藤勉は老舗湯葉店の従業員で店主の義理の弟だった
店主川原雄三とその娘の美由紀職人の末永真樹そして内藤勉の4人で切り盛りしてきた店は評判もよく怨恨の線は浮かばなかった
しかし内藤勉は競馬で多額の借金を作っておりローン会社社長黒田浩介とトラブルになっていたことが判明
だがその男を犯人と特定できる証拠はなく事件は迷宮入りし15年の時効まであと半年と迫っていた
そして…

(刺す音)
(黒田浩介)うっ!
(おたま)坊ちゃまいかがです?今朝のコーヒー。
えっ?いつもと変わらないけど豆変えた?いえ変えたのはねこのお水です。
これね水の分子が小さくて吸収率がとてもいいんです。
朝晩飲み続けますとね二十歳のお肌に戻れるんですって。
さあ坊ちゃまもどうぞ。
いやいやいやいや…僕はいいよ。
自然に歳取るのが一番だと思ってるから…。
(七尾洋子)おはよう〜!そうよ男の人はねおみやさんぐらい渋いのがブームなの。
あら天神さんの湧き水?うわったくさんあるじゃない!どれ私が…。
それはね署長さんに…。
うん…。
はしたないこと…。
あなたねぇあのね…二十歳とは言わずね赤ちゃんにまで戻って一からやり直しなさい!は〜いわかりまちたおたまおばあちゃま!あっ!うふふ!まあ失礼な!おばあちゃまと…。

(パトカーのサイレン)
(鑑識官)ご苦労さまです。
(茅野太一)ご苦労さまです。
(兵藤兵吾)ひでぇなぁ。
(兵藤)ガイシャの身元は?
(茅野)黒田浩介50歳。
ここハニーローンの経営者です。
死亡推定時刻。
(会沢桂子)死後12時間ってところですね。
昨夜の9時から10時。
死因は失血死と思われます。
(高岡俊介)凶器なんですがまだ見つかってません。
第一発見者は…?
(吉川新平)そうですか。
刑事課の兵藤といいます。
通報ありがとうございます。
あなたはこちらのお客さん?今朝までに利子だけでも返すって約束で…。
あの…お願いします!旦那には言わんといてください!えっ?兵藤さん!
(兵藤)はい。
すいません。
(桂子)こんなものが…。
鉢植えなんてないよな?おみやさん今朝も事件らしいです。
あんまり首突っ込むと叱られるよ。
(村井信治)ガイシャは金貸しか。
金庫に手が触れていないということは怨恨の線が強いな。
兵さん高岡関係者の聞き込み。
(兵藤・高岡)はい!
(村井)他の者は目撃情報を当たってくれ。
(一同)はい!課長!あっ…いってらっしゃい。
ええっ…。
あらら…。
おみやさん報告します!現場から押収された植物の葉ですが鑑定の結果萩の葉でした!萩の葉?ああ〜!首突っ込むなって言ったくせに!現場に萩の葉が残ってたんだよね?はいこれです。
(桂子)あらっここにも萩の葉。
「老舗湯葉店従業員殺人事件」このヤマもうすぐ時効ですね。
殺害されたのは内藤勉さん。
で容疑者となったのが…。
黒田浩介。
ジャン!
(洋子・桂子)ああ〜!
(村井)こらっ!!ここは資料課の来るところではないと言ってるだろ!捜査は刑事の仕事。
君達の仕事はあそこの資料を整理することだろ!でも課長!ガイシャの黒田って昔…。
ああ〜もうそういうね余計な情報は捜査を混乱させるだけなんだよ。
戻った!バック!ああ〜空気悪い。
外行こう外行こう。
行きましょう行きましょう!はいっお供します!ホントにここの空気はよどんでいてー!ああーっ!!置いていかれた…。
黒田浩介って14年前の湯葉屋の店員さんが殺されたヤマの容疑者だったんですね。
だけどその男がホシだと断定できる証拠は何もなかった。
14年前のヤマ遺体には萩の葉が付いていた。
そして今度のヤマでも遺体のそばに萩の葉が。
2つのヤマにはつながりがあるってことですね!どうかなぁ?こんにちは。
こんにちは〜。
(川原美由紀)はーい。
お久しぶりです。
鴨川東署の鳥居です。
(美由紀)あっ…。
お仕事中すみません。
お父さんは?裏におりますけど…。
どうぞ。
ああすいません。
(美由紀)お父さん。
鴨川東署の方が…。
お久しぶりです。
鳥居です。
(川原雄三)ああ…あの時の刑事さん。
部下の…。
七尾洋子です。
あっ…これ大豆ですか?ええ。
で今日はまた何か?川原さんあの…黒田浩介さんって名前覚えてますか?確か勉が金を借りていた…。
実は今朝他殺体で発見されました。
えっ!?黒田さんと面識は?勉の事件の時に名前を聞いただけで…。
私も存じませんが…。
そうですか…。
(川原弘之)ただいま。
あっおかえりなさい。
亜希も一緒だったの?
(弘之)配達の帰りに見かけたから乗っけてきたんだ。
あの…。
夫の弘之に娘の亜希です。
(川原亜希)ママお腹すいちゃった。
何かない?テーブルの上にクッキーがあるからちゃんと手を洗ってから食べなさいよ。
はーい!パパも行こう。
うん。
ふふふ…。
(雄三)宿題もやらなあかんで。
(亜希)はーい!あの確か…もう1人職人さんいらっしゃいましたよね?末永さんとかおっしゃる…。
彼ならとっくに辞めましたよ。
よかったらできたての湯葉持っていきませんか?うまいですから。
ちょっと失礼。
おみやさんさっきの何?うん?もう1人の職人さんがどうとか…。
ああ末永真樹。
家族同然の職人がいたんだ。
その彼は施設で育ってるの。
若い頃は荒れてたんだけど川原さんが預かって更生させた。
美由紀さんもちっちゃい頃にお母さんを亡くしてるから気持ちが通じ合ったんだろうね。
2人恋人同士になった。
こうや。
やってみ。
(末永真樹)はい。

(草笛)2人はそのまま結婚してあのお店を継ぐ…そう思ってたけど…。
ふーん。
でもまあ14年も経てばいろいろあるんじゃないんですか。
案外今のご主人が美由紀さんに猛アタックして末永さんから略奪婚だったりして。
まあ男と女ですからね。
何があるかわかりませんよ。
だからおもしろいんです。
言いますね〜。
大人ですから。
(兵藤)ああおみやさん。
あっどう?聞き込み進んでます?それがねちょっと訊いただけで出るわ出るわ恨み節の大合唱。
ああそう…。
ハニーローンなんて甘い名前付けちゃって裏は相当やばそうですよ。
さっきもあの従業員の末永って男に話を聞きに…。
末永って…末永真樹?えっ?何でわかるんです?末永真樹がハニーローンで働いてたの?ええ。
居場所わかる?ここだ!
(ノック)末永さん。
もしもーし。
(ノブを回す音)留守かしら?末永さん?末永真樹さんですよね?鳥居です。
鴨川東署の。
覚えてませんか?
(鍵を開ける音)黒田のことならさっきのデカに全部話した。
湯葉彩行ってきました。
あなたがいないの意外でした。
黒田浩介さん…14年前内藤勉さん殺害事件の時の容疑者の1人です。
その彼の会社にどうして勤めたんですか?家族同然だったのに。

(ドアの閉まる音)何あれ?最低な男。
でも確かに変ですよね。
よりにもよって内藤さんを殺したかもしれない黒田浩介の下で働き出すなんて。
何かあるね。
ええ。
えっ?鳥居さん…。
おたくのお店ヘ伺うところでした。
(美由紀)まだ何か?末永真樹さん会ってきました。
彼殺された黒田浩介さんのローン会社で働いていました。
ご存じでした?いいえ…。
どうして彼あなたのお店辞めたんですか?知りません!彼は突然私達の前から姿を消したんです。
叔父が殺されて…まだその悲しみから立ち直れないでいる時に。
わけがわからなくて夢中で捜しました。
彼の友達施設の仲間をたどって。
でもどこにもいなくて…。
真樹…。
(泣き声)もうそっとしておいてください。
忘れたいんです。
昔のことは全部。
叔父の事件も真樹のことも。
私には今の暮らしが大事なんです。

(洋子の声)美由紀さんにあんな思いをさせるなんて…。
許せないな末永真樹。
まあでも別れてよかったですよあんな男。
今のご主人のほうがずーっといい人ですもんね。
そんなことわかんないんじゃないの?男と女は。
(福島雅人)はいお願いします。
(小池仁美)はい。
はいこれ今日のお通しです。
すごーい!湯葉づくし?湯葉彩さんの湯葉ですえ。
重さんと雅人君がいろいろ工夫してくれたんです。
うまい。
うん!こっちの天ぷらもフワフワ〜ッて広がって最高!
(雅人)おおきに。
(福島重夫)あそこの湯葉は豆もええけど水がええんですわ。
軟水っていいますやろ?京都の人と同じで当たりがやわらかいんですわ。
今日行ってきました井戸。
京都はさ名水の都っていわれててこう山に囲まれた盆地でしょ?底が水瓶状態になっててそこに名水をたたえてる。
お豆腐に生麩和菓子に日本酒。
京都の老舗って今でも地下水を使ってるところ多いんですよ。
だから京都って何でもおいしいのね〜。
いやいや洋子にさ水の繊細な違いがわかるとは思えないけどね。
そんなことないわよ。
う〜んおいしい。
どれ。
こっちも水がいいわ〜。
うふふ…。
(茅野)怨恨の線ですけれどもこの2名が特に厳しい取り立てにあっていました。
ただ2人とも事件当夜のアリバイがあります。
ああ萩の花。
はい。
お隣のお庭に咲いておりましたものをおみやさんのためにいただいてまいりました。
きれいだね。
「きれい」…。
おみやさんすいませんもう1回言っていただけますか?きれいだね。
もう1回。
ハニーローン従業員の末永真樹という人物なんですが彼も黒田に相当な恨みがあったようです。
(村井)どういうことだ?末永はハニーローンの裏の仕事の担当だったんです。
裏の仕事?
(兵藤)いわゆるヤミ金です。
法外な利子で貸しつけて暴力や脅しで取り立てる。
社長の黒田は手を汚さずやばい仕事は全部末永にやらせてたっていうんですからたち悪いです。
(星野康夫)そのくせ末永はろくな給料をもらってない。
あれじゃあ黒田の奴隷だって同業者も哀れんでましたよ。
動機は十分だな。
末永の事件当夜のアリバイを徹底的に洗え。
目撃証言もだ。
(一同)はい!ふ〜ん末永ってそんな悪い奴だったのね。
ねえ。
随分変わっちゃったものね。
川原さん。
何してらっしゃるんですか?ああ…。
いやついボーッとしてしまって。
鳥居さんこそ何か?ああこの井戸なんですが…。
この井戸前はそこじゃなくてこっちにあったんですよね?ああそこから東へ2メートル掘り直しました。
水質が変わってしもうたんで。
えっ?地下水って変わったりするものなんですか?ええそれはまあ地震とか地盤の変化の状態で水が変わることがあります。
それに…亡くなった女房の口癖でした。
水は人の心を映すと。
「水は人の心を映す」…。
末永真樹さんに会ってきました。
彼殺された黒田浩介のローン会社で借金の取り立てをやってます。
ご存じですか?いいえ…。
14年前初めてお会いした時お2人まるで親子のように見えました。
まあゆくゆくは美由紀さんと一緒にさせて店を継がせたい…。
そう思ってらっしゃったんじゃないですか?いなくなった者のことをあれこれ言うても仕方がありません。
彼どうして辞めちゃったんでしょう?わかりません。
私には何も。
まだ仕事が残っておりますので。
(洋子の声)さすが老舗のご主人。
水にとことんこだわってるのね。
おかしいよね。
えっ?仮に地震で水質が変わったとしても2メートル移動するだけで問題は解決しないでしょ。
2メートル動かしただけで水源は一緒なんだからさ。
そうなの?あっねえねえおみやさん。
あれ湯葉彩の亜希ちゃんじゃない?
(草笛)うまいわね。

(草笛)それ萩の葉っぱ?うん。
この葉っぱが吹きやすいんだって。
この間ここにいた男の人に教えてもらった。
男の人?その人すっごく上手なの。
昔好きな女の子に草笛を吹いてあげてたんだって。
どんな人?どんなって…。
歳はパパやママと同じくらいかな…。
ちょっと怖そうに見えたけど話すとやさしい人!どの人?この人!
(吉川)あっおみやさん!どうしたの?2人とも。
怖い顔しちゃって。
先ほど末永真樹を任意同行しました。
えっ?
(茅野)3日前の夜黒田と末永がつかみ合いのケンカをしてるのを出前持ちが見てたんです。
末永は何て言ってるの?今兵藤さんが話を聞いています。
犯行は否認しているようですが。
だからただのケンカだって言ってるだろ。
ただのケンカな…。
直後に人が死んでるんだ。
それをただのケンカって言うのか!?あんた黒田にいいようにコキ使われてたんだってな。
日頃から黒田を恨んでた。
我慢の限界でブチ切れたんだろ。
(舌打ち)この野郎…。
(ノック)
(ドアの開く音)何の葉かご存じですよね?美由紀さんのお嬢さんあなたのこと褒めてました。
草笛がとってもうまいって。
世間話ならとっとと帰してくれ。
世の中に不思議なことってたくさんありますよね。
1つ目。
14年前内藤勉さんが殺害された時彼の衣服にこの萩の葉っぱがついてたんです。
その時容疑者として名前が挙がったのが黒田浩介さん。
3日前にその黒田浩介さんが殺害されました。
彼の遺体のそばにやっぱり萩の葉っぱ…。
そんな葉っぱぐらいどこにでもあるだろ。
じゃあ2つ目。
あなた14年前に湯葉彩辞めてますよね。
あなたにとって湯葉彩はお店とご主人と美由紀さん…。
かけがえのない存在だった。
それを捨てた理由って何ですか?あんたに答える必要はない。
あなたが湯葉彩を辞める前に直前に内藤勉さんが殺害されています。
これ何か関係ありますか?何の関係もねぇよ。
それに俺は黒田殺しで呼ばれてるんだろ?あんたの話に付き合ってるヒマはねぇんだよ!!3つ目。
この井戸。
この井戸前と場所が変わってますよね。
でもたった2メートル。
2メートル移動させても井戸の水質には変化はないんです。
どうしてこんなことをしたんでしょう?これが不思議です。
内藤さんが殺害された後この井戸が移動されたのとあなたが湯葉彩を辞めたのとどっちが先ですか?知らねぇよ!!
(机をたたく音)黒田殺し以外の世間話ならとっとと帰してくれ!!最後の不思議。
店を辞めて美由紀さんと別れてまで黒田の会社に勤めなきゃならない理由って何ですか?もういい。
全部話すよ。
どっちも俺がやった。
黒田も内藤も俺が殺したんだ。
14年前内藤を殺した現場を黒田に見られた。
それでずっと脅されてた。
でもう我慢の限界で…。
おい今の話本当か!?ああ…。
刑事さん早く調書でも何でも取ってくれ。
本人がああ言ってる以上話聞かんわけにはいかんですよ。
おみやさん末永真樹は何て言ってるの?黒田浩介も内藤勉も自分が殺したって言ってる。
井戸の話した途端態度が変わった。
問題はいつ井戸がどうやって動いたかだな。
わかった。
徹底的に調べましょう。
行こう。
(工場長)ええ私どもはあっちこっちで井戸掘ってますからね。
10年以上前ね…。
湯葉彩って店は…いやぁないですねぇ。
そうですか…。
はい。
あああのこちらで地下水の分布なんてわかりますかね?湯葉彩さんの井戸と同じ水質の井戸を調べたいんですけど…。
ああちょっと待ってください。
ええっと…。
湯葉彩さんの場所は確か…。
ええっと…このあたりだと思うんですけど。
宮角町…。
あっここですね。
ええ湯葉彩さんとは先々代からのお付き合いで毎日湯葉を配達してもろうてます。
あのお宅も井戸を使ってらっしゃいますけども湯葉彩さんと水質が似てるんですか?このあたりの水脈は同じで二条城の本丸地下に通じてます。
ほお…。
あの10年以上前だと思うんですけども湯葉彩さんに水をお分けしたことあります?ああ…あああります。
14年ほど前に2週間ほど水をお分けしてます。
その正確な日にちってわかりますか?日付どすか?あっちょっと待っておくれやす。
洋子老舗湯葉店の従業員の殺人事件っていつだっけ?平成6年5月6日。
5月6日。
はい。
ええ…お待たせしました。
平成6年の5月7日からです。
前の井戸を使わなくなったのは事件の翌日…。
つかぬことをお伺いしますけども最近水のことで湯葉彩さんから相談受けたことあります?いやすごいな…。
何でわかるんです?あれはそう…4日前ですわ。
その日に限って水に砂が混じるとかで1日だけうちの水持って行かはりましたが。
4日前?黒田浩介が殺されたのは平成20年11月9日…4日前。
水は人の心を映すと。
湯葉彩さんは娘さん夫婦に代替わりしはるそうですね。
えっ?今朝ご主人が配達に来はって「自分の湯葉は今日が最後や」言うて。
あそこはお婿さんもしっかりしとるしうらやましいですわ。
どうもありがとうございました。
失礼します。
父なら配達に出かけてまだ帰ってきてませんけど。
お父さんに何か変わった様子ありませんでした?いえ別に。
このお店美由紀さんと弘之さんに代替わりするって…。
何のことですか?
(弘之)おい美由紀!ちょっと来てくれ!はい!何?これどういうことだ!?お父さん…。
川原さん。
末永真樹さんが警察に勾留されてます。
内藤勉さん黒田浩介さん…2人とも自分が殺害したって言って…。
違う!そうじゃないんです。
これで黒田浩介さんを…?はい。
14年前内藤さんも…?全て私の罪です。
勉は亡くなった女房の弟でギャンブルの借金を返すために内緒で店を抵当に入れようとしたんです。
そのことに気づいた私と口論になって…。
(雄三)ちょっと待て!勉!何しとんのや!?水がダメになったら湯葉彩も終わりや!この店も終わり…!
(雄三)アホなことはやめんか!
(勉)離せよ!!この店も終わりや!
(末永)兄さんやめておけって…!末永さん…あなたをかばったんですね?
(末永)今親方に何かあったら店はどうするんですか!?美由紀はどうするんですか!?ここは私に任せてください!親方いいですか?いいですか!?
(雄三の声)私は真樹のやさしさに甘えて罪から逃げたんです。
そして井戸をふさいだ。
罪を犯し汚した井戸で湯葉を作ることはできませんでした。
末永さんがいなくなったのは…?そのすぐ後です。
あいつは私の罪を引き受けて姿を消した。
必死で捜したんですがどうしても行方がわからなかった。
美由紀のことも傷つけてしまった。
何度自首しようかと考えたかわかりません。
でも店の将来のことを考えるとどうしてもそれができなかった。
あの日までは…。
(雄三の声)つい半月ほど前でした。

(草笛)亜希。
そんなん吹けるんや。
あの人に教えてもらった!ほお〜。

(草笛)真樹!真樹やろ!?
(草笛)おい!ちょっと待ってくれ!
(雄三の声)夢中で私は後を追った。
(末永)頼む!
(末永)頼む!それだけは勘弁してくれ!あの客にはもう生命保険で返済してもらうしかないんだよ。
だからって…殺すなんて俺にはできません!何言ってんだよ。
14年前にもやったじゃねぇか!!
(カメラのシャッター音)
(末永)うっ!何ですか…!?よくも俺の客殺してくれたな。
(黒田)こいつの借金はお前が肩代わりしろ。
俺の下でそれ相応の仕事をしてもらう。
いいな?嫌ならこの写真持って警察へ乗り込むぜ?いろいろ迷惑かかるんだろうなぁ。
あの親方やお嬢さんにもな。
わかった。
(雄三の声)そのまま身を隠してしまった真樹は私の罪を全て一人で背負ってどぶ川に身を落としていた。
そんな時…。
水は人の心を映す。
そうおっしゃいましたよね?私がどんな卑怯な人間か水が教えてくれたような気がしたんです。
その日のうちに黒田に会いに行きました。
14年前に義弟を殺したのはこの私や。
これから自首するからどうか真樹を自由にしてやってほしいと。
でも…。
末永を手放す気はねぇよ。
やばい仕事山ほどさせてるしよ。
じいさんが自首したところで他に脅すネタはいくらでもあるんだよ。
そんな…!あいつは一生俺の奴隷さ。
ダメや!それではダメなんや!悪いのはこの私や!頼む!このとおりや!真樹を自由にしてやってくれ。
頼む!頼んますわ!お願いします!頼んます!うるせぇんだよ!じじいには用はねぇんだよ。
(雄三)うわーっ!!
(黒田)ああっ…ああっ!!
(雄三)うわっ!
(黒田)オラーッ!
(刺す音)うっ!
(黒田)ああっ…。
(雄三の声)私はもう生きることなど許されない。
そう思ったんです。
ただ娘達に店を継がせるまではと…。
それで急いで娘さん夫婦に店の権利書を譲ったんですね。
そして全てを清算するためにここへ…。
あっでもさっき死んだ女房の声が聞こえたんです。
まだこっちへは来てはいかんと。
途方に暮れているとあなた達が現れた。
きっと女房が呼んでくれたんだと思います。
鳥居さんあなたに全てを話せてよかった。
川原さんあなた死んじゃいけない。
やらなきゃならないことがまだあるでしょう?親方…。
真樹…すまなかった!
(泣き声)親方…。
14年前の事件の日美由紀さんにプロポーズするつもりで…?仕事の後冷泉橋で待ち合わせしてました。
あんなことになって行けなかったけど…。
で萩の葉っぱは?美由紀の一番好きな曲を吹くつもりでポケットにいっぱい入れてました。
それ以来忘れてた。
草笛なんて…。
でも美由紀の娘に吹いてやってからは無性に懐かしくて…。
じゃあ4日前の事件の夜も…?ええ。
黒田に草笛のことをバカにされてケンカになって…。
(黒田)この野郎!!
(末永の声)親方が訪ねてくるなんて思いもしないで…。
(末永)俺にはできねぇ!!美由紀さん。
美由紀…。
すまない!親方は俺のせいでこんなことになって…!真樹こそ私達のために…。
あの日私ここでずっと真樹のこと待ってた。
吹いて。
あの日真樹が私に聴かせてくれるはずだった曲。
この川上流のほうは流れも激しいよな。
うん。
それが少しずつ長い時間をかけて穏やかになって海へ注ぐ頃には大きな流れになる。
俺達の関係もそんなふうに変わったんじゃないかな?彼美由紀の幼なじみだったよな?俺が姿を消した時親身になって捜し回ってくれた。
倒れそうな美由紀を必死になって支えて…。
知ってたんだ。
彼を愛してるんだろ?うん。
だったらそれでいい。
親方のこともあの家族とならしっかり支えていける。
俺は後悔してない。
真樹…。
美由紀の幸せをいつまでも願ってる。
俺は前へ進んでいくから。
何だか考えさせられちゃったなぁ。
求める愛から遠くで見守る愛へか…。
まあ遠回りしたけどさ彼ならきっと自分の道を見つけることができる。
はあ…私もいつかはこの川みたいに悠々とした気持ちで大きな海にたどり着けるのかなぁ?洋子の場合はねあと3回ぐらい大きな石にゴロゴロゴロンと当たって角が取れなきゃ無理だと思うなぁ。
まあ〜失礼な!ちょっとおみやさん!?いただきます。
最高〜!ありがとうございます。
おいしい!2014/03/05(水) 15:55〜16:50
ABCテレビ1
おみやさん6[再][字]

「京湯葉が呼ぶ殺意!時効直前 名水が真実を暴く!!」

詳細情報
◇番組内容
京都鴨川東署資料課の窓際課長・鳥居勘三郎(渡瀬恒彦)が、部下の七尾(櫻井淳子)と迷宮入りした難事件に挑む!好評シリーズの第6弾!
◇出演者
渡瀬恒彦、櫻井淳子、七瀬なつみ、不破万作、林 泰文、片桐竜次、小野寺丈、一條 俊、相本久美子、菅井きん、谷啓 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

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日本語
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