牟田刑事官事件ファイル25 2014.03.05

じゃ撮るよー。
あもうちょっと右。
いきまーす。
(悲鳴)
(パトカーのサイレン)
(甲田雅也)私が彼を北海道へ呼んだんです。
彼は私に呼ばれてここへ来たんです。
あなたの名前は?甲田雅也です。
じゃお疲れさまでした。
(牟田一郎)ご苦労さま。
早く帰れよ。
ただいま。
(牟田明子)お帰りなさい。
(吉村君恵)お帰りなさい。
君恵。
また来てるのか?相談があるんですって。
へえ…。
「写真の方お知らせください。
記念品進呈いたします」言ってもらってくればいいじゃない。
君恵。
お前亭主と子どもが出かけるとこういうふうにフラフラひまつぶししてるんだ?そのことよ。
そう思う人もいるわけよ。
私にだってプライバシーとか肖像権とかあるんでしょ?無断で写真なんか撮られたら困るのよ。
俺に相談ってのはそのことか?記念品くれるっていうんでしょ?宝くじに当たったようなもんじゃない。
お母さん!そりゃあね雑誌に初めから載せてくれるっていうんだったらそれはそれで洋服を選ぶとか美容院に行くとかするじゃない。
断りもなしに載せられたんじゃ…。
なあんだ。
結局そういうことか。
(2人の笑い)ほらほら!ダメ。
そんなに早くついていけない。
私ゆっくり行くから。
ゆっくりじゃ意味ないんだよ。
ほらもう少し頑張って!・
(今野静香)おはようございます。
おはようございます。
知ってる人?ううん。
礼儀正しい人なのよ。
いいわねえ。
生き生きしてる。
…なんて言ってないで私も頑張るか!おー。
(犬が吠える声)おい!君たち!!私の勘違いなら謝りますがなんとなくこちらの女性が嫌がってるように見えたものですから。
テレビなんかですと表紙を見ただけでたいてい恐れ入りますがこれをめくると身分証明書になってるはずですね?「北海道警察本部捜査第一課植松警部」
(牟田)その若さで警部。
私は横浜山下署の刑事官牟田と申します。
(植松警部)はっ?こんな身なりなもので手帳も持ち合わせておりませんが。
刑事官…。
(佐藤刑事)私佐藤と申します!北海道伊達署の刑事です。

(梶原課長)道警本部から神奈川県警へ捜査協力の依頼が届いたばかりでして…。
詳しいことはまだよくわからないんですが…。
北海道の洞爺湖で男の他殺死体が発見されたんだそうです。
洞爺湖…。
(梶原)その男性は三宅進45歳。
横浜に事務所を持つ弁護士です。
横浜の弁護士が洞爺湖で…。
(梶原)ええ。
他殺って言ったね?凶器はまだ特定できていないんだそうですが鈍器のようなもので後頭部を強打されたのが致命傷…。
北海道からの捜査依頼はその三宅弁護士の周辺を洗ってほしいってことかな…?そうです。
あ。
犬をですね…。
(植松)犬?あいや…。
連れてらした犬私の家内が預かってますから。
(今野静香)ありがとうございます!気にかかってたんです。
私まだお名前を…。
(植松)今野静香。
逮捕容疑は何ですか?いや逮捕じゃありません。
任意の事情聴取です。
任意ですか。
そうです。
すると殺された三宅弁護士と何らかの関わりがあるということですか。
刑事官。
そのことについて今事情を訊いているところです。
後ほどお知らせします。
同席させてくださるなら私ここにいてもいいでしょう。
刑事官。
この事件は北海道警の事犯でしてもちろん。
したがいまして…!あの…警部。
私どもは山下署に捜査協力をお願いしているわけでして…。
ましてこちらは山下署ですから。
君は口を出さなくていい。
私の念書が弁護士の三宅さんの泊まっていたホテルの部屋にあった。
ということです。
念書?
(静香)はい。
(植松)これです。
「ひとつ株式会社甲田商事社長甲田雅也は今野静香に対する融資の返済期限を無利子で向こう二年間延長する」「ふたつ今野静香は第一項の条件を了承し今後一切申し立てを行わない」
(佐藤)三宅弁護士。
甲田雅也。
洞爺湖近くの伊達市にある甲田商事社長。
三宅さんは甲田さんが依頼した弁護士です。
この念書を見るとあなたにはずいぶん有利な条件ですね?…はい。
まあ常識的に言うとあなたは三宅さんを恨んだり憎んだりする理由はありませんね。
はい!常識の問題じゃありません。
殺人なんてものはもともとが非常識なものです。
私が殺したとでも言うんですか!
(植松)そうは言ってないがね。
こっちだってあてずっぽうにあなたの所へ来たわけじゃない。
あなたこの12日から洞爺湖に4泊してるね。
(佐藤)ホテルは洞爺湖温泉の洞爺サンパレス。
予約は12日から2泊の予定でしたが2泊したあと1泊延長の申し出がありさらにまた1泊延長しています。
結局4泊しチェックアウトは16日午前8時32分。
12日から15日までの間に甲田社長と三宅弁護士に洞爺湖温泉で会ってるね?一方三宅弁護士はというとこれも洞爺湖温泉に泊まっております。
(佐藤)三宅弁護士は15日天翔というホテルにチェックインしております。
しかしチェックアウトはしませんでした。
チェックインした15日その夜推定午後10時から12時の間に何者かによって頭部を強打され殺されたんです。
(植松)今野静香さん。
あなたが泊まっていたサンパレスと弁護士の泊まっていたホテル天翔との間は徒歩で5分。
(佐藤)いやもう少しかかるかも…。
(植松)近いと言ってるんだ!極めて近い!植松さんが知りたいのは15日の夜10時から12時の間あなたがどこで何をしていたのかということです。
そしてそのことを証明してくれる第三者がいるのか…。
アリバイです。
私を疑ってるんですか?いや警察は会う人ごとに同じことを訊くものです。
…15日午後7時半ごろ…。
私のいたホテルに甲田さんと三宅弁護士がいらして3人で話し合いをしました。
そしてこの念書を作りました。
時間は1時間ぐらいのものだったと思います。
午後8時半すぎに甲田さんと三宅弁護士は一緒に帰っていきました。
午後8時半ごろ男2人連れだって帰っていったとするとその足取りの方が私は気になりますね。
言われるまでもありません。
甲田さんのアリバイは調べました。
(植松)彼は自分の車で三宅弁護士をホテル天翔まで送りそして伊達市にある自宅に帰りました。
あなたは甲田さん三宅さんが帰ったあと…。
温泉に入りました。
そして自分の部屋に戻って明くる朝まで部屋にいました。
ひとりきりでしたからそのことを証明してくれる人はいません。
ホテルの交換を通してあなたの部屋に電話があったとかそういうことはありませんでしたか?今野静香さんがホテルの部屋から電話したことは記録されていますがしかしこれは午後10時よりも少し前です。
どこへ?10時前ならアリバイと無関係です。
いや私は何もかも知っておきたいんです。
弟に電話してたんです。
借金の返済を2年待ってもらえることになったって伝えたんです。
母が病気で入院してるんですがそのことをずいぶん気にしてたので母を安心させてあげようと思ったんです。
(植松)こういう調べは無用です!要するにアリバイがないんです。
刑事官は洞爺湖をご存じないでしょうが彼女の泊まっていたホテルから被害者のホテルまで湖に沿ってたった5分。
夜10時ともなれば人っ子ひとりいません。
闇です。
何をしようと誰も見ていません。
誰も見ていないのに私を疑うなんてひどいじゃないですか!そこまで疑うんでしたら証拠を見せてください!
(植松)いずれ…。
私は全部話しました。
これ以上どうしたらいいんですか?私どもにお任せいただけませんか?えっ?逮捕状が出ているわけじゃないしこれ以上この人を引き止めるわけにはいかんでしょう。
あの植松っていう人功を焦ってるように思える。
身分証明書によると32歳の警部だ。
大学出キャリア組ならもうその歳で警視に昇進して小さな警察の署長くらいにはなってますからまあ気負いというものもあるんでしょうね。
今野静香さんにね彼女の犬を私のところで預かってるって言ったらいい笑顔になったんだよ。
あの笑顔は…。
今のは取り消し!私が引き受けたんだから植松警部が納得いくように彼女のことはキチンと調べなきゃね。
ええ。
好ましいという印象は抜きにしてですね。
(2人の笑い)
(出勤してきた刑事たちの声)じゃあみんなに説明してそれぞれの分担を決めてください。
私は静香さんを連れてちょっと家の方へ…。
ほらほら犬のことがあるから…。
サム!
(明子)それは大変でしたねえ。
どうかおかまいなく。
おせっかいかもしれませんが甲田さんから融資を受けた金額はいくらですか?1千万です。
担保は?店です。
世界のあちこちの民芸品を集めて…父が始めました。
お金は父が借りたものなのですが去年父が亡くなった後に借金があることがわかったんです。
奥さま。
一緒にいてくださいませんか?えっ?ええ…。
私こんなこと言うのもどうかと思うんですけどここに通していただいてなんだかホッとしてるんです。
父が亡くなった後借金のこと…母の入院…店のことで弟と言い争いになったり…。
それに今度は警察…。
ずっと気の休まることがなかったものですから。
犬を連れて走ってらっしゃるのを見てるとそんなふうには見えなかったんですけどねえ。
おせっかいついでに…。
コピーしたんだ。
この部分。
「第一項の条件を了承し今後一切申し立てを行わない」今の話をこの念書に当てはめると借りている1千万の返済を無利子で向こう2年間延長するということですよね?それを条件にあなたは今後一切申し立てをしない…。
不思議な文章ですよ。
申し立てをされると甲田さんは困る。
だから貸した金の返済はいい条件で延長してあげます。
こう読めるんです。
申し立てというのは一体何ですか?具体的にどういうことですか?あなた…。
あ?…お察しのとおりです。
私…その甲田さんという方にホテルで…。
申し立てをしないというのはそのことです…。

(電話の音)
(明子)はいそうです。
はい少々お待ちください。
はい。
ああ。
北海道へ連絡を取ってわかったことなんですが三宅弁護士解剖の際手の爪の中にわずかな血痕が検出されました。
ん?血痕?「血液型はOです。
加害者のものかもしれません」念のためお知らせしておきます。
ありがとう。
ありがとうございました。
もうひとつだけ教えてください。
はい。
あなたの血液型は?はっ?…O型です。
あんなに感じのいい方なのに普通の女の人が一生経験しないで済むことをあの背中に背負ってるんですね…。
(事務員)ああ今野静香さん!ええここに来ましたよ。
すごい剣幕でした。
〔なぜこんなところへ私を呼びつけたんですか?〕
(三宅)〔私甲田社長から代理人を仰せつかりまして〕〔代理人なんかいりません!甲田さんと私が話し合えばいいことです〕
(三宅)〔返済計画を作りましょう〕〔一度には返せないがこういうふうに分割していつまでに利子を含めて全額を返済する。
そういうお約束がいただければよろしいんですよ〕〔私あなたとは話しません!〕〔まあお茶でも飲んで気を静めてください〕
(事務員)もうすごい剣幕でした。
その後三宅先生の代わりに私が何度か連絡を取ろうとしました。
〔もしもし今野静香さんですね?私三宅弁護士の事務所の者ですが三宅先生と電話替わります〕
(静香)「余計なお世話よ!あんな人声も聞きたくない!」〔もしもし?〕
(今野和雄)「うるせえ!」〔どなたですか?〕「静香の弟だよ」〔ああ弟さんですか〕〔三宅先生と替わります〕「うるせえんだよ!!」「今度電話してきたらブッ殺すぞ!」ブッ殺す?はい…。
“ブッ殺す”と言ったんですね?
(事務員)はい。
(刑事)今野静香の店の前にいます。
店には彼女の弟がいます。
和雄というんだそうです。
「近所の人の話では15日犯行当日店は開いていて和雄の姿を見たというんです」「ただ店が閉まるのが7時。
羽田からの飛行機の最終便が8時ごろです。
千歳へ着くのがだいたい9時半」そこから車で洞爺湖までが2時間とすれば11時半に着きます。
うん。
三宅弁護士の死亡推定時刻は午後10時から12時の間。
数字だけ並べてみると犯行は可能ということになります。
本人にあたりますか?いや…“ブッ殺す”というたった一言の言葉じりを捕まえて人を疑うというわけじゃないが念のために今野和雄の血液型を知りたい。
わかりました。
和雄の血液型を知りたいそうだ。
(店員)いらっしゃいませ。
(和雄)いらっしゃい。
あのーこれどこの物ですか?ケニア。
(刑事)ケニア…。
あここに書いてありますね。
あっ!いたっ!虫がとまってたんですよ。
あー逃げちゃった…。
いやどうも。
(店員)いらっしゃいませ。
(和雄)いらっしゃい。
(片山良二)ちょっとすみません。
はい。
これを…。
こっちは…。
ありがとうございました。
あのー。
(片山)はい?吉井みどりちゃんの…。
(片山)は?吉井みどりさんご存じですよね…?いいえ。
片山さん…?
(片山)あの…。
どうも失礼しました。
(読経)
(甲田)これですか…。
今野静香さんから事情を聞きましたよ。
あの女私が乱暴したってそう言ってるんでしょうね。
そういう関係になったってことは認めますよ。
しかし私はあの女の罠にはまってしまったようです。
あの女突然洞爺湖へやってきて「お話したい」って言うんです。
この借金について。
〔そのことについては弁護士の三宅さんから連絡があったでしょう〕〔ええ。
でも…〕〔私はすっかり三宅さんに任せてるんですからそっちと話をしてください〕〔甲田さん!甲田さん!!〕
(甲田)明くる日電話があったんですけど私は取り合いませんでした。
しかし…。
今野静香は帰りませんでした。
観光に来たわけじゃないですからあちこち出歩くこともなかったらしいんですけど。
それで私はなんとなく気の毒になって…。
夕食でも一緒にしないかって私の方から誘ったんです。
その後の花火がいけなかった…。
花火?洞爺湖では4月の下旬から毎晩花火が上がるんです。
(花火の音)明くる日あの女は穏やかな口調で条件を切り出してきました。
〔私結婚していただきたいとかそんなこと言いません〕〔あなたには婚約なさってる方がいらっしゃるんですものね〕〔えっ?〕〔それもしっかりした会社の社長のお孫さん〕〔おきれいな方なんですってね〕〔私はあなたのせいで洞爺湖に身を投げた女性のことも知ってます〕
(甲田)〔えっ?〕〔吉井みどりさん〕〔いいがかりだ〕〔借金は棒引きということでどうでしょう?〕私は三宅弁護士にすぐ来てくれるように頼みました。
それで三宅弁護士の提案でこの念書の条件になったんです。
しかし今野静香の要求は借金の棒引きでしょう?ええ。
それは三宅さんが強引に説得して…。
今野和雄です。
(和雄)てめえ…!嘘ばっかつきやがってよ!!おいやめろ!お前が力ずくでやったんだろ!俺絶対許さねえからな!!離せよ!覚えてろよ…!今野和雄の血液型がわかりました!彼の頭の毛を1本もらってきたんです。
血液型はOです。
三宅弁護士の手の爪の中から出た血液型と同じということか。
おいおい決めつけるなよ。
ABOの血液型は4つしかないんだ。
北海道の警察は三宅弁護士を殺害したのは今野静香だという思い込みでしたよね。
どうも納得できなかったんです。
そんな荒っぽいことをするような女には見えませんからね。
しかし弟の和雄が共犯…そう考えるとつじつまは合いますね。
無理につじつまを合わせるなよ。
今野静香は自分の体を投げ出して借金を帳消しにしてもらうつもりだった。
しかし三宅弁護士が加わることでひょっとしたら棒引きになったかも知れない借金がこの念書になってしまった。
今野静香はもう一度三宅弁護士に会って話し合いもっと有利な条件にしたかったんじゃありませんか?場合によっては三宅弁護士にも甲田のときと同じように女の武器を使う…。
中山さん。
“女の武器”っていう言い方はいけませんよ。
あすみません…。
まとにかく今野静香は三宅弁護士を誘惑しようとしたが失敗した…。
〔三宅さん〕〔あなたとはもう話すことはない〕〔三宅さん。
お願いです〕〔三宅さんお願いします!〕
(刑事)三宅は取り合わない。
しかし今野静香は諦めない。
もめる。
そのとき弟の和雄が加わった…。
今のところ憶測だな。
当て推量だ。
でも血液型は合致したんですよ。
そのことはともかく…。
疑問が出てきたんだから放っとくわけにはいかんな。
北海道には知らせますか?まだその必要はないですね。
明日から捜査の対象に今野和雄を加える。
(一同)はい!〔ありがとうございます〕
(甲田)〔しかし私はあの女の罠にはまってしまったようです〕〔借金は棒引きということでどうでしょう?〕
(静香)〔私その甲田さんという方にホテルで…〕・
(電話の音)
(明子)はい牟田です。
ああ君恵?はい。
お父さん君恵。
なんだい朝早くに。
うんまあ。
少しぐらいなら時間あるよ。
なんですって?俺を呼びつけてんだよ。
出てこいってさ。
こう言っちゃナンだけどさ。
山下署に行けば俺に命令できる人なんかそうはいないんだよ。
記念品っていうアレね。
出版社に電話したらお会いして渡したいっていうのよ。
そりゃそうだろう。
電話じゃ本人かどうかわからん。
でも喫茶店で会いたいっていうのはちょっと気味が悪いじゃない?
(君塚尚)吉村さん?吉村君恵さんですよね?はい…。
(君塚)いやどうも。
写真よりずいぶん魅力的ですよね。
あコーヒーね。
これ記念品。
奥さんですよね?
(君恵)えはい…。
下着のモデルやりませんか?
(君恵)えっ?あいえいえ。
雑誌が出ると途端に編集部の電話が鳴って「あのモデルの人を紹介してくれないか」なんてね。
人生変わるかもしれないですよ。
なにも旦那の世話を焼くだけが女の人生じゃないですからね。
ハハハハ…。
や山下署の刑事官さん…。
久しぶりだな。
裏ビデオのことで一度留置所に泊まってもらったあれ以来かな…?お父さん…!お父さん!?あいやあの僕はそういうつもりじゃないんですよ!いやほらコーヒーコーヒー!じゃ私これで。
(君塚)ええっ。
あっこれ忘れ物!もう少し話していけ!…はい。
売春の斡旋でもしてるんじゃないだろうな?あちー!いえいえ!!さっきの話きわどいトコまでいってたぞ。
そんなことないッスよ。
俺はこれでも気をつけてるんですから。
強い味方がいなくなりましたからね。
何だよ?“強い味方”って。
弁護士ですよ。
私なんてね出版社なんて名前を借りてますけど実際のところは記事を持ち込んで買ってもらってるんですから。
とにかく面白おかしく書くわけですよ。
すると怒鳴り込まれる。
それで弁護士…。
その弁護士にも見放されたわけだな?いえ。
死んじゃったんですよ。
殺されちゃったんですよ。
ああ!?横浜の弁護士なんですけどね北海道の洞爺湖で。
犯人もまだ挙がってないッスね。
三宅進…。
あれ何で知ってるんですか?そうか。
警察の人ですもんね。
三宅さんはそういう君たちのようなことに首を突っ込んでたのか。
しかし君個人で弁護士を頼むってのは費用もバカにならんだろう。
それが取り引きっていいますか私これでも風俗の店の提灯持ってやったりしてるんですよ。
けっこう顔なんですから。
今度案内しましょうか?三宅さんの話を続けてくれ。
…はい。
まあつまり弁護料の代わりに三宅さんをかわいい娘のいるサロンへ連れていくわけですよ。
そういやあの人お気に入りの娘がいたっけな。
また余計なこと言っちゃったなあ…。
そのお気に入りの娘俺に紹介してくれないか。
そんなからかわないでくださいよ。
本気だよ。
えっ!?・刑事官!ユリちゃんです。
素直にしゃべるんだよ。
俺はもういいですね?ありがとう。
弁護士の三宅さんとは親しかったんだって?
(岸川ユリ)あんな人のこともう忘れることにしてるの。
15日の夜君どうしてた?三宅さんが死んだ夜のことね?ここで仕事してたわ。
私まじめなんだから。
(刑事)おいちょっと君!仕事中よ!私まじめなんだから!一応裏を取ろう。
はい。
15日の夜?三宅さんが死んだ晩ね?ユリちゃんお店休んだわ…。
えっ?でも明くる日は出てきた。
すごいショックだったみたいよ。
だって「一緒に北海道に行こう」って三宅さんに誘われたんだって。
でも突然だったから「後から追いかけるわ」って言ったら死んじゃったでしょう?どうもありがとう。
ユリちゃんにもう一度ここへ出てくるように言ってくれないか。
ユリちゃんいない!
(2人)えっ!?裏口から帰っちゃったんだって。
見当たりません。

(電話の音)
(明子)はい牟田です。
もしもし。
なに!?うん。
よしすぐ行く!朝ご飯は?いや。
じゃあおにぎり作りますから持ってってください。
(パトカーのサイレン)ガイシャの免許証です。
頭をやられてます。
詳しいことは解剖を待たなきゃなりませんが…。
刑事官。
爪で引っかいた傷に見えますね。
(佐藤)〔三宅弁護士解剖の際手の爪の中にわずかな血痕が検出されました。
血液型はOです〕甲田雅也の血液型すぐ調べてくれ。
はい。
あった!あったぞ!!こっちです!付着していた血と毛髪は被害者甲田雅也のものです。
凶器に間違いありません。
その凶器にいくつかの指紋があったんです。
その中のひとつが今野和雄のものです。
指紋の記録があったんです。
今野和雄は4年前20歳のときに暴力事件を起こしてます。
暴力事件といってもまあケンカをして相手を傷つけたということで示談になってますが。
あっ!その凶器どっかで見たような気がしたんですが今野の店に並んでたんです。
甲田雅也の血液型のことはどうなってる?O型です。
三宅弁護士の爪の中から採取された血液型と一致しました。
ABOの他RH式ML式など別の方法の検査をした結果だそうです。
三宅弁護士を殺したのは甲田雅也ということになりますな。
そして次にその甲田雅也が殺された…。
現場に残された証拠からいうと被疑者は今野和雄。
逮捕状を請求します。
うん?今野和雄の逮捕状。
ああ…。
何か釈然としないんだが…。
しかし北海道の事件と今度の事件は人間関係からいって根はひとつだ。
そのことは間違いないだろうな…。
刑事官どこが釈然としないんですか!?何となくだ。
何かしっくりこない。
今野静香と和雄は甲田に借金があった。
明解といえば明解じゃないですか。
しかも和雄は姉が甲田に乱暴されたことを知った…。
〔お前が力ずくでやったんだ!俺は絶対許さねえからな!〕〔覚えてろよ!〕身柄を確保して追及しましょう。
(梶原)逮捕状とりますよ。
となると岸川ユリの件ですが三宅殺しについて調べたかったわけですから彼女については白紙何事もなかったということになりますか。
こんなに大勢じゃまるで忠臣蔵の討ち入りだ。
ハハハ古いですよ刑事官。
私が行こう。
これください。
(静香)ありがとうございます。
先日は失礼しました。
片山さんですよね?みどりのことは忘れてませんでも取り返しのつかないことですし私には私の人生があると考えることにしています。
ありがとうございました。
あら…!こんにちは。
この間はどうもありがとうございました。
お世話になりまして。
いやいや…。
弟さんは?は?弟さんと一緒にこの店をやってると言ってたでしょ?あ…私そんなことまでお話ししましたか…。
昨夜は帰ってこなかったんです。
よくあるんですよ。
弟と言い争いとか言ってましたね。
えっ…?いやそれで飛び出したのかと…。
いいえ。
言い争うといってもささいなことでしょ。
この店のことなんです。
「こんな店やめちまえ」って言いましてね。
弟さんが?こんな店やってても借金は返せないし売り払った方がさっぱりすると…。
お父さんが始めた店だと言いましたね?はい船乗りだったんです。
船乗り。
はい船員です。
うちじゃあ船乗りって言ってたんですけど私子どものころその言い方がイヤで…かといって船員だとよそよそしいし…変ですか?私の話。
いやあなたの家の中が見えてくるようです。
どういうふうに見えます?う〜ん…何となくあったかい…お父さんが家の真ん中にいて…。
父は大抵家にはいません。
あそうか船乗りだ。
船会社がつぶれたんです。
別の会社の船に乗ることができたかもしれないのに父は辞めました。
それでこの店をつくったんです。
父は口に出しては何も言いませんでしたけど家族をずっと放ったらかしにしていたような気がしてその埋め合わせにこれからはずっと家族のそばにいる…。
そういうつもりだったと思います。
だから…この店には父の温もりが残っているようで…。
甲田さんが亡くなったこと知ってますね?えっ…!?あなたと念書を交わした甲田さんですよ。
ここから歩いてほんの10分ぐらいのところで昨夜殺されました。
どうして洞爺湖の人が…どうして横浜で…?三宅さんの葬儀で甲田さんは横浜に来てたんですよ。
牟田さん…まるで父親のような穏やかな顔でここにいらしたのは私を疑ってるからですか…!?私が甲田さんを殺したっていうんですか…!?包み隠さず言うとね…ほんのわずかそういう可能性がないわけじゃないと思ってね…。
人任せにせずに自分で確かめたかったんだ。
しかしあなたの顔を見てほんの少し話をして…安心した。
和雄!うちの連中です。
警察…!?ちょっと事情を訊きたくて。
和雄が何のために!?牟田さん!…牟田さん!昨夜はどこへ行ってた?
(和雄)おふくろのところ。
お母さん?入院してるんだろ?うん…。
何時に?10時ごろかな。
その前は?友達と飲んでた。
帰るの面倒になって。
・10時ごろ病院に行ったんだな?・病院で誰に会った?・
(和雄)誰にも。
・ナースステーションの前は?誰にも見られないようにしたんだ。
完全看護で面会時間を過ぎてたし。
会ったのはお母さんだけか?
(和雄)おふくろ寝てた。
起こさないようにしたんだ。
今朝5時過ぎに俺が病室を出るまで目を覚まさなかったよ。
あ…病室に入るとき廊下の向こうに看護婦の白い服が見えた。
もしかしたら見られてたのかもしれねえな。
とってつけたようなこと言うな!
(和雄)調べろよ!あんたらの仕事だろ。
午後10時ごろのアリバイを主張してます。
被害者の死亡推定時刻です。
奴は計算してるのかもしれません。
病院へ行って裏をとってきます。
見覚えあるな?甲田さんが殺された現場にあったんだ。
甲田さんの血がついていた。
これでやったんだろ?指紋がついていた。
お前の指紋だ!お前4年前にも騒ぎを起こしてるな。
そのときも棒で相手をぶん殴ってる。
今度もそうだ。
やり口が一緒なんだよ!
(和雄)知らねえよ俺は!店の借金のことで姉さんとよく衝突したそうじゃないか。
借金が原因なんだろ?もともと姉弟仲が悪いわけじゃない。
なぁ?借金のことでついつい姉さんに食ってかかってしまう…。
借金が憎い。
甲田が憎い。
いっそ甲田を殺ってしまえば…。
関係ねえって言ってるだろ!もう口きかねえぞ。

(ノックの音)私に何のご用ですか?少しでも何か知りたくてね。
弟に罪を着せるためにですか?弟がそんなことするはずありません!少々乱暴な口を利きますがそれは照れ屋だからです!弟は人を殺したりなんかしません。
弟さんのことについては私たちよりもそりゃあなたの方がよく知ってる。
だからといってあなたの言葉を鵜呑みにするわけにはいかない私の立場というものがある。
私の言うことを信じるわけにはいかないということですか。
信じたいが正直なところ少し迷ってる。
例えばあなたと甲田とのことだ。
えっ…?甲田はあなたにはめられたと言ってた。
つまりあなたが誘惑して甲田はその罠にはまってしまったとね。
違います!違います…甲田さんは私を力ずくで…!信じてくださいとは…もう言いません。
話を進めていいかな?和雄くんは姉さんが甲田に乱暴されたことを知った。
そんなはずはありません。
いや…知ってしまったんだよ。
えっ…!?和雄くんはそれがショックで甲田に突っかかっていった。
私たちはそれを目撃してしまった。
今のところ心証は悪い。
だからといって甲田さんを殺した証拠にはなりません!そうだね。
証拠を見つけ出さなきゃいけない。
あるいはそれは無実ということの証拠なのかもしれない…。
ひとつだけ気になることがある。
あなたは甲田のせいで洞爺湖に身を投げた女性の話…私にはしなかったね。
えっ…?甲田の話の中でちょっと出てきた。
〔私はあなたのせいで洞爺湖に身を投げた女性のことも知ってます〕
(甲田)〔えっ?〕甲田はあなたがそう言って脅迫したと…。
確かに言いました。
でも脅迫なんかじゃありません。
私…あの人に乱暴された悔しさと借金をどうにかしなくちゃという必死の思いがあんな言い方を…。
その女性の名前は?吉井みどり。
私の高校からの友達でした。
自殺…甲田のせいで?ええ…。
彼女婚約してる人がいたんですが雑誌に変な写真を撮られてそのために婚約破棄ということになってしまって…。
それで落ち込んでしまって…。
でなぜ甲田?そのいいかげんな雑誌の編集長が甲田だったんです。
えっ…?私もそのころは甲田という人を知らなくて私の父が死んでから甲田という名前が出てきたんです。
ちょっと待ってくれないか。
話を整理しよう。
吉井みどりさんが亡くなったのはいつ?2年前です。
そのころ甲田はどこで編集長をやってたの?東京です。
東京…何ていう雑誌?…わかりません。
吉井みどりさん…なぜ洞爺湖まで行って自殺を…。
甲田が洞爺湖へ帰ってしまったからです。
みどりさん両親を亡くして…ひとりっ子でしたし…。
婚約を破棄されると本当に独りぼっちになってしまって…。
生きていく力もなくなってしまうぐらい寂しかったんだと思います。
洞爺湖から私に手紙をくれました。
その手紙が私のところへ着いたときには彼女は…もう死んでいたんです。
(みどり)「今野静香ちゃん洞爺湖は静かです。
悩んで苦しんで恨んで泣いてもう疲れました。
湖の底で眠ります」「この辺りが甲田雅也の故郷です。
明日になれば甲田雅也のせいで女が死んだという噂が広まるでしょう」「私のせめてもの仕返しです」「バカな女だと笑ってください。
そして私の分まで幸せになってください。
吉井みどり」
(植松)ご苦労様です。
いやあ私を迎えてくださるのは伊達署の方だと思ってました。
所轄の方は犯人が死亡したということで捜査が終了しましたから。
しかしなぜ甲田が三宅弁護士を殺したのか腑に落ちないんです。
それでこだわってるわけでして。
終結した事件にこだわっても点数にはならないと忠告してくれる人もいますがどうも私…不器用で…。
こんなことを言っちゃなんだが私あなたのことを誤解してましたよ。
は?いやそれを言うのなら所轄の佐藤刑事であなたはさっさと道警に引きあげて次の点数稼ぎをしてるんだと…。
謝ります!刑事官…。
今になって甲田を徹底的に尋問しておくべきだったと思います。
(男)甲田商事の先代は羽振りがよかったよ。
よく働いたもんね。
たったひとつの息抜きが馬だったんだ。
(植松)雅也という人は?それが先代の頭痛の種さ。
都会の味を覚えてしまってこんな田舎には帰ってきたくないと言ってたんだ。
何でも雑誌の編集長をやってたんだわ。
それが2〜3年前ひょっこり戻ってきて…。
たぶん2年前…この人洞爺湖で自殺しました。
それも雅也さんのせいで…。
知ってるの!?さすが警察だね。
でもそれは先代が地元の新聞に手を回して噂が広まらないようにって必死だったらしいんだ。
そのあと横浜の方から男が2〜3度訪ねてきて相当もめてたらしいんだわ。
男?どんな男ですか?さあ先代は詳しいこと言わなかったから…。
雅也の奴だから早く北海道に戻ってこいって言ったのにって愚痴ってたんだ。
とうとう横浜から弁護士を呼んで片づけたんだわ。
その弁護士というのが三宅…。
いや俺は会ったことがないから…でも人の噂だとそのときの弁護士がこの間洞爺湖で死んだあの弁護士。
この人ですよ。
三宅弁護士殺害の犯人は物証から甲田雅也に間違いないんですが動機…つまり甲田がなぜ三宅を殺したのか…ふたりの間に何か利害関係があったんじゃないか…そのへんをご存じありませんか?いや…。
その2〜3年前に横浜から訪ねてきたという男の話もう少し具体的にわかりませんか?いや先代は詳しいこと言わなかったから…。
刑事官お帰りなさい。
ああ。
今野和雄はまだ黙秘してます。
それとさっき岸川ユリが見つかりました。
岸川ユリ?あああの若い女の子。
今一応事情聴取してるところです。
どうして姿をくらましたんだ?そうじゃないんだったら。
あの日は刑事さんが来たりしてお客さんの相手をするのが面倒になって遊びに行っただけ。
三宅さんのことで訊きたいんだが2年前三宅さんが北海道の甲田さんという人のもめ事を処理した話聞いたことあるか?甲田さん?この間殺された人。
ああ…2年前甲田さんを北海道まで何度も訪ねてきた男がいたそうだ。
横浜の人間らしいんだがそんな話聞いたことあるか?ない。
そんなことだったら君塚さんに訊けばいいじゃない。
君塚?弁護士の三宅さんを甲田さんに紹介したのは君塚さんなんだから。
そうか…。
横浜の男…。
北海道の甲田に会いに行った男…。
片山っていうんですよ。
片山…片山良二。
南港貿易の社員でかたいサラリーマンですよ。
かたい分だけ融通が利かないってことですかね。
その片山と甲田がどうしてもめたの?片山の許嫁が死んじゃったんですよ。
その彼女を死なせてしまった責任が甲田にあると片山が詰め寄ったんですよ。
しつこくて大変だと言うんで俺が三宅さんを甲田さんに紹介したんですけどね。
片山の許嫁は吉井みどりさん。
自殺だ。
洞爺湖で2年前。
あれ…!?みどりさんのことは破談になったというからまさかその相手の男が浮かび上がってくるとは思わなかったな…。
(君塚)こんなの見つけたんですか。
これがそのみどりさんだというんですよ。
片山という男は普段その手の雑誌は見ないらしいんですけど彼の友達がこれお前の彼女だって。
事実だったの?そのときそこが近道になるんで通り抜けただけだと彼女は言ったそうです。
でもそのことが片山の実家にも知れちゃって…騒ぎが大きくなってとうとう婚約破棄ですよ。
そして洞爺湖か…。
(みどり)「洞爺湖は静かです。
悩んで苦しんで恨んで泣いてもう疲れました」…。
(君塚)吉井みどりが死んだと聞いて片山は洞爺湖へ行き甲田雅也に詰め寄ったそうです。
〔この責任…どうしてくれるんですか?〕〔責任?責任というんだったら許嫁の弁明を信じなかったあんたの責任だろ!〕〔違う!こんな写真を載せたお前が原因だ。
お前の責任だ!〕〔離せよ!〕〔どうしてくれるんだよ!〕片山はしつこく何度も北海道の甲田さんのところへ来たそうです。
で三宅弁護士に頼んで…。
三宅さんは口先ひとつでおさえ込んだって自慢してました。

(片山)片山良二です。
2〜3年前許嫁を亡くされたときの話を聞いてきました。
2年前です。
三宅弁護士には泣かされたようですね。
とてもあの人には太刀打ちできませんでした。
もっとも私も逆恨みというふうに理屈で戦っていたから負けていたと思います。
時が経って今考えるとそう思います。
あのときは私も混乱してました。
三宅さんが亡くなったのはご存じですね?はい。
どう思いました?別に…もう昔のことですから。
あなたこの22日の夜どこで何をしてました?甲田雅也が死んだ日の私のアリバイですか?よくすぐわかりましたね。
ええ。
忘れられない名前が新聞に出てましたから。
えっと…この晩は8時にここにメモしてある友人たちと一緒にこの店に飲みに行きました。
かなり酔いが回っていて10時過ぎに…いや私は時間がわからないんですけれども友人たちがあとで言ってました。
タクシーに乗せられて担ぐように部屋に入れられました。
ベッドに転がしたと言ってました。
そう言われればそうかもしれません。
明くる朝目を覚ましたら服を着たままでした。
あ…友人たちに訊いてください。
私が言えることはこれがすべてです。
いいかげんにそろそろ吐いたらどうなんだ!?今野和雄はがんとして認めませんよ。
しかし凶器から今野和雄の指紋が検出されたのは事実ですからね…。
奴は一言も口を利きません!・中山。
はい。
この鑑識の調書どおりに指を当ててみてくれないか。
はあ…。
左頭部側面左手人差し指…。
あれ…!?これじゃ人は殴れませんね。
刑事官今野和雄が店でこういうふうにつまんで客に見せてるところを見たことがあります!その客を覚えてるか?いや…自分は今野和雄ばかり気にかけてたんで…。
凶器に今野和雄の指紋をつけることは可能だ。
しかも今野静香和雄が甲田に恨みを持っていても不思議はないという関係を知りうる人物…!
(ファクスの音)和雄…!あ〜風呂入りてえ!片山良二の周辺を徹底的に洗ってもらいたい。
特に甲田雅也が殺された日のアリバイだ。
片山は泥酔して友人たちに送ってもらったと言ってるが本当に酔っていたかどうか…酔ったふりをしたのかもしれない。
(静香)お母さんのところに寄っていこうか?俺が捕まったこと…おふくろに言ったの?言うわけないでしょ。
どうしたの?いや…俺さちょっと用事を思い出した。

(電話の音)はいもしもし。
(電話の声)「甲田雅也を殺ったのはあんただろ?」「俺見たんだ」会おうよ。
話をしよう。

(電話の音)はい刑事課です。
はい少々お待ちください。
刑事官北海道の植松警部です。
はい。
念のためにと思いまして洞爺湖温泉のホテルを片っ端から調べましたら見つけました。
15日三宅弁護士の死亡の日です。
ホテル天翔…三宅弁護士がチェックインしたところです。
その同じホテルの同じ日にホテルの人がスナップした写真の中に片山良二が写っています!そうですか…!当日片山がいたんですか…!・課長お電話です。
ええはいわかりました!はい…なに!?追ってくれ!刑事官…片山が動きました!遠いところをわざわざどうも…。
甲田雅也を殺したんだな?今さら逃げのびようなんて思いません。
あなたに来てもらったのは私の最期を見届けてほしかったんです。
えっ…?吉井みどりのことお姉さんから話には聞いてますよね。
みどりが生きていたころ私はお姉さんには会ったことがありますがあなたには会いませんでした。
私がみどりの婚約者でその婚約を破棄しました。
みどりは…ここで死にました。
私が甲田を殺すことでやっと…彼女の恨みを晴らしたことになります。
しかし…そんな私はみどりを信じることができずに婚約を破棄し彼女をどん底に突き落としました!彼女の自殺の本当の責任はこの私にあります…!自首しよう…俺ついてくから。
みどりのところにいきます…。
たった一つ私にできる罪の償いですから…。
(和雄)おいちょっと!首を吊ったことにしよう…!甲田雅也を殺した犯人がその罪を悔いて自殺した…!そういうことだ…!三宅弁護士と甲田への憎しみは昔のことだと言ったけどそうはいかなかったわけだ。
いや私は…!しかし憎しみはいったん消えていたかもしれない。
しかし君は三宅弁護士と甲田が一緒にいるところを見てしまった。
君の泊まっていたホテルでだ。
日付入りだよ。
君はなぜ洞爺湖へ来た?2年前の悪い思い出がある場所だろう。
みどりが眠っているこの洞爺湖へ花を手向けたかったんです。
私は会社人間でした。
入社同期に負けまいと必死に頑張りました。
そんなとき彼女の写真の噂が流れて…私は自分の身を守ることだけを考えて彼女を信じてあげられませんでした。
それから2年間…そのことをずっと後悔してました…!だから来たんです。
ところがあのホテルで…!
(三宅)〔あなたに頼まれる仕事は世間に知れたら困る仕事ばかりだ〕〔もちろん私には守秘義務がありますから貝のように口は閉じていますが…これもなかなか気苦労が多くてね〕〔ストレスで胃が痛くなる。
月100万ぐらいでどうです?〕〔バカ言うんじゃないよ。
年1200万じゃないか〕
(三宅)〔あなたの信用と私の健康を守るためにはそれぐらいは…〕
(甲田)〔いいかげんにしろよ〕〔あなたね私にそういう口の利ける立場ですか?〕
(片山)あの口調でした。
ネチネチと…!私は2年前のことを思い出してしまいました。
怒りがこみ上げてきたんです…!何か言ってやろう…成り行きではほっぺたのひとつもぶん殴ってやろうって…10時過ぎに三宅を呼び出しました。
ところがあいつはせせら笑うだけで…!
(三宅の笑い声)
(三宅)〔もともとどうにもならなかった話をあんた…また蒸し返すの?〕〔ほら…顔を洗って目を覚まして〕
(片山)うわあ〜!
(水音)会社に突然甲田雅也から電話がかかってきました。
「用があって今横浜にいるから会いたい」って言うんです。
〔三宅さんを殺したんだよな?〕〔見たよ…どうする?知ってるの俺だけなんだ〕〔あんた…経理をやってるんだって?〕〔俺のところうまくいかなくて貸した金が返ってこないんだ〕〔ウソじゃないよ。
中華街の「フォーククラフト」っていう店にうちの親父が1千万貸したけど訳があって取り返せないでいる〕〔いきなりじゃ何だから今夜また会おうか〕〔いい方法…考えといてくれないか〕殺すしかないと思ってしまいました…!フォーククラフトの今野和雄くん…あとで凶器になる置物に和雄くんの指紋をつけさせてそれをあんたは手に入れた。
残念です…。
三宅弁護士にとどめを刺したのは甲田です。
えっ…!?あんたは三宅を殺したと思ってたが実はまだ死んでいなかったんだと思う。
残念です。
心ない1枚の写真であんたとみどりさんの人生が一変してしまったことには同情します。
しかし甲田を殺したのは間違いない!残念です…!植松さん…あなたの方で調べてください。
えっ…。
片山を逮捕したのはあなたです。
しかし…!ご苦労様でした。
刑事官…!君はなぜ片山が犯人だとわかったんだろう。
証拠は?そんなものありません。
凶器の指紋のことを訊かれたときにピーンときたんです。
というかあいつのことしか思いつかなかった。
片山と会ってそれからどうするつもりだった?警察に引きずってくつもりでした。
無鉄砲なことをする。
警察に任せときゃいいじゃないか。
警察の鼻を明かしてやりたかったんです。
ええっ!?ハハハ…!片山には尾行をつけておったんだがね君の動きが変だと心配して知らせてくれたのはお姉さんだよ。
お節介だなもう…!おい…君は少し素直な口を利くことを覚えなきゃいかんぞ!いやおふたりにはご迷惑をおかけしました。
いいえ…牟田さんは立場があるから「私たちを疑っていない」と口に出して言えなかったんです。
口に出さない代わりに私たちの潔白を証明しようと一生懸命動いてくださいました。
今になってわかります。
いや…私は本当のことを知りたいだけなんです。
罪を犯した人間が素知らぬ顔で善良な人たちの中で暮らしてる…そう考えるとじっとしていられなくなるじゃないですか。
ありがとうございました。
あの〜…俺…留置所は堪えたけどこれから姉貴とケンカしないでやってけそうな気がしてます。
随分走れるようになったでしょ?調子よくなったな。
はい深呼吸!2014/03/05(水) 13:55〜15:46
ABCテレビ1
牟田刑事官事件ファイル25[再][字]

「洞爺湖温泉に泊まった女・リゾートホテル愛欲殺人、花火の夜に誘われて…」

詳細情報
◇出演者
小林桂樹、渡辺梓、三波豊和、津島恵子 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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