趣味Do楽 茶の湯 裏千家 茶の湯と出会う(新番組)<全8回>第1回▽今日庵を訪ねる 2014.02.03

かぼちゃたまねぎも加えて最後にクレソン!スパイシーなスープカレー風の鍋。
ホクホクのかぼちゃもおいしいですよ!京都・祇園の人気のお寺。
境内をいそいそと歩いていくのは着物姿の女性たち。
彼女たちの行く先はというと…。
境内の奥にある和室。
そう。
今日は毎月開かれているお茶会なんです。
京都では寺や神社でこうしたお茶会がごく当たり前に開かれています。
四季折々のおいしいお菓子を頂き一服のお茶を味わうひととき。
亭主の自慢のお茶碗など貴重な道具を見せてもらうのもお茶会の大きな楽しみです。
(取材者)お茶会いかがですか?日常から離れ亭主と客が一碗の茶を通して心を通わせる茶の湯。
そこには400年もの間受け継がれ磨かれてきた日本の「もてなし」の形があります。
今回のシリーズでは裏千家の茶の湯について学びます。
「わび茶」の伝統を今に伝える茶の湯の家元です。
古来から育まれてきた日本の「もてなし」の心。
裏千家ではその精神を茶の湯を通して広めてきました。
「茶の湯裏千家茶の湯と出会う」。
今日からの新しいシリーズでは裏千家の茶の湯について学びます。
最初に千宗室家元にお話を伺います。
よろしくお願いします。
今回からの8回シリーズで何を教えて頂けますでしょうか?8回という限られた時間の中ですからこれを通じて茶の湯の全てが分かるという事ではありません。
ただ日本文化のいろいろな集大成という意味で茶の湯のそういう側面から少しずつ触れていって頂きたいと思います。
例えば作法であるとかまたお菓子を作る人それから工芸作品また茶席茶室庭。
…という事を学んで頂ければと思っております。
そして最終回ではそれら全てのパーツが集まって茶事というかたちで茶会を実際にご覧頂ければと思います。
「もてなし」という事が最近よく言われておりますがもてなすというのはサービスという事ではありません。
相手がそれぞれ互いの立場に気を遣ってこそ成り立つ事ですから。
そういう日本人が古来持ち続けてきた奥ゆかしさもこの8回を通じて少し気にとどめて頂けるような事があれば幸いだと思っております。
どうかよろしくお願いします。
ありがとうございます。
裏千家今日庵。
門をくぐった先にある庭や茶室は客をもてなすための茶の湯の精神で満ちています。
第1回はこの今日庵を訪ね古来から日本で育まれてきた「もてなし」とは何か学びます。
案内して下さるのは裏千家の奈良宗久さんです。
今回私茶の湯の世界初めてなんですけども今回のシリーズで少しでも稽古を重ねて勉強していきたいと思います。
(2人)よろしくお願いします。
今日ご案内させて頂きますがここは全て重要文化財になっております。
いろんな事を全て捨て去って素直な気持ちで五感で拝見頂けたらと思います。
(2人)よろしくお願いします。
裏千家今日庵の祖千利休。
利休は日本の美意識を凝縮しわびの思想を広めました。
その思想を土台として今日庵の庭や茶室は築かれています。
茶室の外に広がる空間は露の地面と書いて「露地」と呼ばれます。
客が亭主を待つ間座る場所です。
実は既に「もてなし」は始まっています。
目の前に青々とした木々が広がっていて心が落ち着きますよね。
そうですね。
露地は緑の常盤木をこのように植えまして小高く大小の植え方になってます。
それは結局は「市中の山居」と申しますが静寂な中に山里の風情を取り入れたこのような景色になってるわけですね。
ここで一旦心を落ち着かせましてこの露地静寂なおかつ清浄な世界に入っていく。
参りましょう。
はい。
客は飛び石を伝って茶室へと向かいます。
道が二手に分かれる所で道案内をしてくれるのは関守石と呼ばれる小さな石。
今日の茶室は「こちらではありませんよ」という亭主の心配りです。
京都の町なかなのに歩いてみますとほんとにまるで別世界ですね。
そうですね。
ほんとに静寂に包まれた世界という事になりますね。
露地に植えられたコケや草木はみずみずしい緑を保っています。
客の訪れる前に亭主が水を打ち清めているためです。
木々の根元に敷かれているのは近隣の山々から集めてきた松葉。
冬の山里の風情を醸し出しています。
千利休が露地について残した歌があります。
露地とは浮世から離れた世界。
心の塵を落とし澄んだ気持ちで入る場所だと利休は考えていました。
緑あふれる露地を通り茶室に向かって進むうちに客の心は自然と静かになっていくといいます。
しばらく歩いた先に見えてきたのは竹で屋根をふいた簡素な中門。
目指す茶室はこの向こうにあります。
こちらが中門でございますね。
今お歩きになられました外露地それから中門を経て内露地という姿になっていきます。
茶室の方に向かっていくという事になります。
少しずつ清められていくという事ですね。
では参りましょうか。
はい。
身をかがめなければ通れない門。
客はここを通っていく事で謙虚な気持ちが生まれるといいます。
こちらが裏千家を代表する茶室の又隠になります。
とても落ち着いたたたずまいですね。
かやぶきの入り母屋造りのわびたたたずまいになっております。
茶室又隠。
利休の孫宗旦が山里の簡素な庵を模して造った茶室です。
その後の茶室の原形になりました。
宗旦は利休の死後その思想を受け継ぎわび茶を確立した人物です。
隠居する時自分の理想を形にしたのがこの又隠だったといいます。
又隠の前には「蹲踞」という手水鉢があります。
客は茶室に入る前ここで手と口を清めます。
そして蹲踞のそばには大切な存在が。
立派な大木ですよね。
こちらは宗旦自ら植えられたイチョウの木でございまして裏千家の昔からの守り木として存在してる木でございます。
今でも宗旦の思いが生きているかのような感じがしますね。
そうですね。
代々こちらの裏千家その敷地内で裏千家自体を見守ってるというそういう存在になりますね。
それでは又隠にご案内いたします。
こちらが躙口になりますね。
随分と小さい入口ですよね。
そうですね。
という事がこういう躙口の大きさになるわけですね。
どうぞ。
はい。
失礼します。
まるで別世界のようですね。
そうですね。
広さは僅か四畳半。
限られた明かりしか入ってきません。
ほの暗い空間の中自然と五感が研ぎ澄まされていきます。
世俗を離れた特別な空間。
人の心に深い安らぎを与えてくれるといいます。
虚飾を捨ててありのまま人と向き合う。
宗旦はそこに茶の湯の根本を成す「もてなし」の姿を見いだしたのです。
目が慣れると見えてくるのは少し変わった趣の天井。
異なる形が組み合わさり変化にとんだ表情を見せています。
部屋の隅には柱の上だけをのぞかせあとは土壁で塗り込めた楊子柱が。
四畳半の空間ながら客に狭さを感じさせないための工夫です。
静けさや緊張感なども感じるんですけどもこの茶室がいかにもてなす客の事を考えて造られたかがよく分かりますね。
利休居士のわび化を更に深化させられた宗旦居士の思想というものが…それを受け継がれてる部屋がこの又隠という事になりますね。
裏千家には「わびの極限」を追求した茶室があります。
裏千家の呼び名ともなっている茶室です。
広さは僅か二畳足らず。
亭主と客は膝が触れ合うほどの近さで向き合います。
生涯茶の湯の精神を求め続けた宗旦が到達した最も小さな茶室。
今日庵の名は宗旦が茶事に招いた大徳寺の清巌和尚の言葉からとられました。
一期一会にかける心が数百年茶の湯の世界を形づくってきました。
又隠や今日庵とは違った雰囲気でもてなしてくれる茶室もあります。
これまで拝見してきたお茶室と全然違って随分と広々とした空間ですね。
ここが咄々斎と申しまして裏千家で最も厳格な場所という事になります。
お茶をたてられるのも歴代のお家元のみという事になります。
歴代の家元はここ咄々斎で国内外の賓客をもてなしてきました。
柱や建具の材料に徹底的にこだわっています。
あちらに柱がありますが五葉松という松でございまして…。
松でできてるんですね。
はい。
かなり太い柱なんですが八代目の又玄斎一燈居士が植えられた松の古材で出来ています。
下にある床框という框なんですがかなり太いんですけどあれ蔦の木で出来ています。
蔦ですか。
蔦と聞きますとすごく細いイメージがあるんですけどね。
そうですね。
この木はかなりの大木の古い木になるわけですね。
これは五代目の常叟居士というお家元が伊予久松家の方に茶道奉行として行かれておりましたのでそのご縁で拝領した蔦の木だといわれています。
あと左側にございます銅鑼ですがあちらは…さまざまな歴史がこの部屋にあるんですね。
歴史的にも…最も大事な場所という事になります。
茶の湯の席では客に移り変わる折々の季節を感じてもらう事も大切なもてなしの一つです。
この日の掛け軸は…霜が降りる早春の朝庭に梅の花が香る情景がうたわれています。
今日庵の敷地の竹で作った花入れ。
そこに生けられた薄緑の枝は早春に花開く青文字の木。
そして淡い桃色のつぼみが美しい西王母という名のつばきです。
亭主がお茶をたてる場所に飾られている道具も春の趣です。
お茶を入れる器には春の風物が描かれています。
左上には桜の花。
そして右下にはもえいづるワラビが。
水指は清らかな流れに末広がりの扇が浮かぶ縁起の良い模様。
春にふさわしいものです。
お話を伺ってますと至る所に春がちりばめられていますよね。
はい。
取り合わせとしては…ただ季節感を楽しむだけではなくてその季節を自分自身が感じ取って…ご覧になられていかがでしたか?腰掛待合からゆっくりとお茶室に向かって進んでいきますと少しずつ心が洗われていくような気持ちになりましたしお茶室では歴代の家元の思いが伝わってくるような気もしてほんとに背筋が伸びるような思いがしました。
そう感じて頂けましたら幸いです。
次回からは点前所作そういった事を今日の初心を大切に少しずつ学んで頂けたらと思います。
よろしくお願いします。
お願いいたします。
新シリーズ「茶の湯裏千家茶の湯と出会う」。
これからの放送では客の作法だけでなくお茶をたてる亭主の側の作法も体験します。
また茶碗や釜などを作り茶の湯を支えてきた匠の技も紹介し奥深い世界に触れていきます。
2014/02/03(月) 21:30〜21:55
NHKEテレ1大阪
趣味Do楽 茶の湯 裏千家 茶の湯と出会う[新]<全8回>第1回▽今日庵を訪ねる[解][字]

千利休以来、受け継がれてきた裏千家の茶の湯を学ぶ8回のシリーズ。第1回は、裏千家今日庵(重要文化財)の茶室と庭を訪問。茶の湯の心と、「もてなし」のあり方を学ぶ。

詳細情報
番組内容
一碗(わん)の茶に「もてなし」の心をこめる、400年あまりにわたって受け継がれてきた茶の湯。8回シリーズで、千利休の伝統を受け継ぐ裏千家の茶の湯を学ぶ。第1回は、裏千家今日庵(重要文化財)を訪問。露地と呼ばれる庭に入り「心を清めて、俗世を離れた世界に入る」という、茶室への道行きを体験。わび茶の思想が凝縮された茶室「又隠(ゆういん)」「今日庵(こんにちあん)」「咄々斎(とつとつさい)」を拝見する。
出演者
【出演】茶道(16代裏千家家元)・茶華…千宗室,裏千家業躰…奈良宗久,牛田茉友

ジャンル :
趣味/教育 – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
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