その男、副署長2 2014.02.19

(池永清美)ストップザ温暖化。
あっ…!あぁすいません!すいません!
(堀内加代子)もう…!大丈夫でしたか!?すいません…。
あぁもう!あ…失礼!お待たせいたしました。
あなたが署長なの!?いえ私は副署長で池永といいます。
署長は今ちょっと留守にしておりますので代わって私がお話伺います。
副署長が水撒き…よっぽど暇なのねぇ。
いやあれは節電対策ですよ。
温暖化防止のためにうちの署でもできる限りの事をしていこうと…。
このお茶マズイ。
コーヒーでも淹れましょうか?いいわよ。
お茶飲みに来たわけじゃないわ。
座って。
ハッ…。
失礼します。
私は堀内加代子。
クリーニング工場でパートやってる。
時給850円。
それっぽっちの中からちゃんと税金も払ってる。
そうですか。
「そうですか」じゃないわよ!はい?あなたたち警官の給料を私も払ってるんだからちゃんと働きなさいって言いたいの!へ〜ちゃんと働いてるつもりではいますけれども。
おたくの署員は職務怠慢だわ。
職務怠慢!?そう思われるような事が何かありましたか?お…あ…あ…。
これ私のお気に入りなの。
はぁ…。
おそろいのパンティーも持ってたんだけどベランダに干しておいたらパンティーだけ盗まれちゃった!つまり下着泥棒に遭われたって事ですか?私が留守の間にストーカーが盗んでいったのよ。
ストーカー!?最近私の周りをつけまわしてる男がいるの。
その事をお巡りさんに相談したのに何にもしてくれない!
(巡査)彼女の証言を元にこの似顔絵を作って自宅アパートや職場周辺を聞き込みましたがこんな男を見たという人はいませんでした。
ありがとう。
失礼します。
(平松純平)たまにいるんですよねぇ…。
ストーカーされてるって被害妄想にかられて起きてもない事件を訴えてくる人って。
妄想だけでこんなリアルな似顔絵描けるか?う〜ん…。
手の空いてる時でかまわねえんだけどちょっと調べてみてくんねぇかな。
あ…わかりました。
(近藤時男)あの…どこの誰ですか?それ。
大泉洋って知ってますか?はい?副署長…。
はい。
(作業員)おい作業内容は昨日と一緒だ。
頼むよ!
(2人)はい。
おい…。
こんな所で寝てるなよ!おい!どうした!?
(作業員)あっ…死んでる!
(野沢健作)ガイシャは日吉亨。
職業はカメラマンのようです。
(野沢)財布の中には現金もカードも残っていました。
(藤原あきら)物取りの犯行ではないのね。
(花村一彦)死因は胸部を刺された事による失血死です。
(梶原勇)死亡推定時刻は昨夜の10時から12時の間。
凶器は…。
(上田聡)凶器はナイフのようなものだと思われますが犯人が持ち去ったようです。
ともかく昨夜の被害者の足取りを調べて。
早期解決には初動捜査が肝心よ。
(一同)はい。
(平松)申し訳ありません!携帯鳴ったのに気づかなくて…ホントすいません。
ガイシャの身辺を当たれ。
(梶原)了解!お前は目撃者探しだ。
はい!遅刻した人に仕事はありませんよ〜。
(平松)この男…。
マズイぞこれは…!昼飯まであと20分!「背中まで45分」堀内さん…。
どうしました?今日は。
あなたたちが本気で動いてくれないから自分の手で片をつけたわ。
…はい?あの男…殺しちゃった。
何ですって…!?昨日の夜もあの男が私をつけてきた。
人通りがなくなった所で急に襲ってきて…。
あぁ…嫌だ…!あぁ…!
(加代子の声)必死で抵抗してるうちに…。
(刺す音)
(野沢)ナイフを出したのはどっちですか?
(加代子の声)私。
ストーカーに気づいてから護身用に持ってたの。
そのナイフはどうしましたか?アパートに戻る途中西加茂橋から川に捨てたわ。
(野沢)本日午前11時40分被疑者自ら本署に出頭。
供述の裏付けが取れ次第送検する予定です。
(島英明)その女性は以前からストーカー被害を河原町署に訴えていたそうですね。
(記者)ストーカー!?
(記者)どういう事ですか!?おたくの署員がおざなりな対応しかしなかったから今回の事件は起きてしまった。
違いますか!?
(記者)署長!
(記者)どうなんですか!?署員は適切な対応をしたと考えております。
以上で会見を終わります。
(記者たちのざわめき)
(島)椅子に座ってばかりいると事件が起きないと動かない…腰の重い警官になってしまうんですかねぇ?いや…ど…え…?
(記者)いやちょっと…!
(平松)待ってください。
(警官)ご苦労様です。
申し訳ありませんでした。
何であなたが謝るの?我々がもっと迅速に対処してれば…。
あぁ…。
そんな事気にしなくていいわよ。
悪いのはあの男殺しちゃったこの私なんだから。
(加代子)自分がした事の責任は自分で取るわよ。
署長…何で彼女はクリーニング工場の制服を着たまま出頭したんでしょうか?
(野沢)その工場に勤めていたからですよ。
そう。
そのとおりなんだよ。
彼女は今朝きちんと工場に出勤してるんだよ。
どうしてわざわざ仕事場に行ってから出頭したんですかね?いい加減にしなさい!そもそもあなたの対応の甘さがこの事件を招いたのよ。
未然に犯罪を防げなかった事を反省して再発防止策を検討しなさい!
(ノック)署長…!失礼します。
堀内加代子殺人の前科がありました!何ぃ!?12年前…。
ちょっと待て。
部外者は外していただきたい。
何だと…!?席に戻って結構よ。
しかし…!命令です!失礼します。
我慢我慢…。
当時スナックの雇われママをしていた加代子は交際相手の塗装職人岡村昌志と金の貸し借りの件で口論になり店内にあった包丁で刺し殺しています!出所したのは2年前か…。
この情報をさりげなくマスコミに流しなさい。
非難の矛先がうちの署に集中するのは何としても避けないと…。
何してるんですか?あ…こ…ここ見てください。
ちょっとハゲてきてるんですよ。
塗り直したほうがいいですね。
私もそう思います。
東泉商店街会長から苦情がきています。
一方通行違反の車を警察はなぜ取り締まらないのかと。
それはいけませんねぇ。
わかりました。
自分早速その会長に謝りに行ってきます!いえそうじゃなくて交通課長に…。
お〜い無視するなって!堀内さんが出勤してきた時なんだけど何かこう変わった様子みたいなのってありませんでしたかね?え〜いつもどおりでしたよね?いつもどおり無愛想で挨拶もなく朝8時からのシフトに入って普通に私らと働いてたんですけど10時の休憩の時に…。
ほぅ。
(テレビの音)
(レポーター)「日吉さんの胸部にはナイフのようなもので刺された傷があり現場の状況などから何者かが胸部を刺して逃走したと見られ京都府警は殺人事件として…」ニュースを見て慌てて飛び出していったんだ?はい。
(男性)お隣とはお付き合いないですからねぇ…。
じゃあ堀内さんのところに友達とか誰かが訪ねてくるような事は…?いや〜見た事ないですね。
あぁそうですか…。
(携帯電話のバイブ音)どうもありがとうございました。
(ため息)はい何でしょうか?近藤課長。
はい副署長。
まだ商店街会長さんのところですか?いえその件でしたら無事終了したんですけれども実はですね来客用のお茶がマズイっていう声があるもんですから予算内で美味しいお茶が購入できるかどうか調査してから帰ろうかな〜と思いまして。
んな事どーでもよろしいんじゃありませんか?副署長!了解です。
ただちに帰還します。
はいどうも!
(ノック)堀内さんなら留守ですよ。
珍しいなぁ…。
いつもは時間指定でちゃんと受け取ってくれるのに。
そんなに年中届け物があるんですか?あの人テレビショッピングが好きなんだそうです。
テレビショッピング?この枕かなりいいらしいですよ。
「ぐっすり快適安眠枕」…。
先週4個目を届けた時に俺も買ったほうがいいって薦められたんですけど1個16800円じゃ俺には買えません…。
ちょっと待って。
じゃこれは5個目って事!?
(配送員)えぇ…。
ん〜…ふん!
(花村)凶器のナイフまだ見つからないのか!?ホントにここにあるんですか!?本人がそう言ってんだ。
ちゃんと捜せよ!チッ…。
「あるこうあるこう」「わたしはげんき」「あるくのだいすき」
(足音)「どんどんいこう」『となりのトトロ』ですね?いい映画でしたよね!あれ。
俺なんかうちの子より先に泣いちゃいましたよ。
へぇ〜映画の歌なんだ。
昔近所の子がよく歌ってたの。
寂しい時にこれ歌うと元気になるんだって。
寂しい時…。
別に…今私が寂しいわけじゃないわよ。
1人には慣れてるもん。
でも退屈〜。
テレビぐらいあればいいのに…。
テレビショッピングが好きなんだそうですね。
誰がそんな事?どんなもん買うんですか?テレビショッピングなんか見た事ないわ。
(三塚桜)「皆さんこんばんは」「『京も満天!!わくわくTVショッピング』進行の三塚桜です。
よろしくお願いし…」「今回私がやってきた企画はこちらです!」あっ!変えるなよ人が見てんだから…。
「『ぐっすり快適安眠枕』です」
(池永はるか)何でこの家にはテレビが1台しかないわけ?1台ありゃ十分だ。
拓海は自分の部屋にテレビがあるんだよ。
(藤原拓海)その代わりこういう一家団らんはないけどね。
団らんなんかいらないから自分用のテレビが欲しい!うるさいな!説明が聞こえねぇだろ。
(池永佳子)拓海の部屋で見せてもらえば?あそうする!行こう拓海。
ダメだ。
男の部屋に2人なんて許さねぇぞ…おいコラ!拓海…はるかに手出したら引っこ抜くぞ。
うわぁ!お兄ちゃんが心配しすぎるから私がいまだに結婚できないのよねぇ…!行き遅れてるのを人のせいにすんじゃねぇよ。
他に原因見つからないもん。
よく言うよ…。
(桜)「腰が重いなんて事が全くなくなって健やかな朝を迎える事ができてるんです!」「はい。
睡眠はエネルギーを回復するのに重要な時間で…」テレビショッピングってさ見てるとつい買いたくなっちゃうのよね。
フン…それにしても1人で同じ枕を5つも買うかね?え?誰の事?「体を休めるはずのための睡眠が逆に疲れを…」家族はいない…。
ほとんど人とも付き合わねぇ…。
そんな女が何でだ?「安眠枕なんです」ちょっと!刑事さん呼んでちょうだい!ナイフを捨てたのは西加茂橋じゃなくて衣手橋だったわ!思い違いをしてた。
ごめんなさ〜い。
何で…?堀内加代子が証言を覆したんだよ。
(捜査員)行くぞ!
(一同)はい!また川かよ…。
(花村)ブツブツ言うなよ。
(平松)被害者の日吉亨は若い女性向けの雑誌のカメラマンをしていたんですが勤務態度が悪くて去年クビになっています。
なのに結構いいマンションに住んでいて…。
(上田)ひらさん。
これを…。
(平松の声)全部で457万円ありました。
その金をどこで得たのかがわかんねぇのか?はい…。
日吉が彼女にストーカー行為を働いてたって痕跡は?日吉のデジカメの中には10人ほどの女性の写真が保存されてましたが皆若い女性ばかりで。
あれ…?この子どっかで見た事あんなぁ…。
「『京も満天!!わくわくTVショッピング』進行の三塚桜です」お願いします。
三塚桜21歳…。
この春京都みやこテレビのオーディションに合格してテレビショッピングの担当になったんだって…。
(携帯電話)
(鈴木豊)いらっしゃい。
何だ?話ってのは。
(島)ちょっと待ってください。
今インタビュー中なんで。
おっ…どうも。
じゃあ次はあなたの両親の事を教えてください。
あ…はい。
母は私が小学校に上がる前に病気で亡くなりました。
父も小学校3年生の時に…。
堀内加代子に殺された。
あなたは12年前の事件の被害者岡村昌志さんの娘。
事件のあとあなたは京都の親戚に引き取られたそうですね。
父親を殺した女がまた人を殺した。
その事についてどう思われますか?
(桜)あの人がどこで何をしようが私には関係ありません!関係あるなんて誰も言ってませんよ。
(島)どう思うか訊いただけでどうしてそんなに怒るんですか?こんな質問にお答えするために取材を受けたわけじゃありません。
もう帰ります!どういうつもりだ?堀内加代子の自首の裏には何かがある。
あんたもそう思ってんだろ?12年前の事件の加害者だった女と被害者の娘が今同じ街に住んでいる…。
ここから先はあなたに任せます。
何?今回は犯罪を未然に防げなかった警察の甘さを徹底的に叩くつもりでいたんですがどうやら真相は別のところにありそうだ…。
俺の書くべきネタじゃない。
どういう事だ!?池さんにツケといて。
(鈴木)あぁ…はい。
おい島!『つぐない』加害者に…被害者の娘か…。
(警官)ご苦労様です。
おはよう。
どうですか?節電対策のためにエアコンの温度をちょっと上げ気味にしてんですけどね。
夜寝苦しくないですか?
(加代子)大丈夫よ。
じゃあ枕はどうですか?え…?三塚桜さんが紹介してる枕のほうがやっぱりぐっすり眠れるでしょ。
昨夜桜さんに会いました。
桜って誰よ?そんな子知らないわ。
あなたはテレビショッピングで安眠枕を5つも買ってます。
でもそれは誰かにあげるためじゃなくて紹介していた桜さんのためだったんじゃありませんか?だから!桜なんて子私は知らないの!日吉亨にストーカーされてたのも本当はあなたじゃなくて桜さんだったんでしょう?何言ってんの!?私はあの男につけまわされていたの!だからナイフで刺してしまったの!じゃ何で凶器が見つからないんですか!?知らないわよそんな事!あなたは12年前に起こした事件の被害者の娘さんの事を今でも気にかけていて彼女のために何か罪滅ぼしがしたい…。
そう思っているんじゃありませんか?バカな事言わないでよ。
何で今さら殺した男の娘にかかわらなきゃならないのよ。
私は刑務所でちゃんと罪は償ったの。
今さら昔の事とやかく言われる筋合いはないわ!裏ビデオ…!?はい。
日吉は違法な裏ビデオを作ってネットで売って荒稼ぎしていました。
奴のパソコンの中にはその顧客リストが入ってました。
売るほうも買うほうも最低ね。
特に日吉のやり口はひどい。
カメラマンの身分を利用して雑誌の読者モデルにならないかと誘いドラッグなどを使って意識を失わせたうえでわいせつ画像を撮影していたんです。
もう許せない!被害を訴え出ようとすると映像を家族や恋人に送りつけると脅し口止めまでしていたようです。
そんな男ぶっ殺してやる!もう殺されてるんだよ。
まさか三塚桜も…?
(加代子)私…嘘をついてました。
ナイフは鞠小路公園の花壇に埋めました。
鞠小路公園?これまでと随分違う場所ですね。
今度は本当です。
犯行に使ったナイフはそこにあります。
どうせまた見つかんねえよ。
はあ…。
(金属物に当たる音)あった!
(捜査員たちのどよめき)
(花村)よしご苦労。
(野沢)指紋は拭き取られていました。
つまり堀内加代子は証拠隠滅を図っていたのね。
その上捜査をかく乱して楽しんでいたんです。
(ドアの開く音)違うね。
テレビのニュースで見るまで彼女は事件があった事すら知らなかったんだよ。
慌てて出頭してきたから工場の制服を着たままだったし出頭してきた時点では凶器がどこに隠されてたかも知らなかったんですよ。
じゃあ訊くけど彼女はどうやって隠し場所を知ったの?勾留中の身では外部との連絡は一切取れないはずよ。
そりゃそうですけど…。
堀内加代子を殺人罪で今日中に送検しなさい。
ちょっと待ってください。
日吉が彼女にストーカー行為を働いていたっていう事実だってまだ裏付けが取れてないじゃないですか。
動機の解明は検察がします。
それじゃ…。
捜査に口を挟む権限はあなたにはありません!何度同じ事を言わせるの!!失礼しました。
「あるこうあるこうわたしはげんき」
(加代子)「あるくのだいすきどんどんいこう」
(加代子)「さかみちトンネルくさっぱら」
(近藤)お帰りなさい。
(ため息)え〜この部屋からトイレまで距離は直線で8メートル。
たったそれだけの距離を往復するのになぜか副署長は…。
33分もかかってるんですねぇ。
申し訳ありません。
歩くの異常に遅いんですよ私。
(舌打ち)あぁ…。
《加代子は朝の10時のニュースを見て工場を出て…》《河原町署に来たのが11時40分》《距離のわりには時間がかかりすぎてる》《出頭する前に何かしてきたって事か》
(平松)おとといの午前中この人を河原町署で降ろしましたよね?ええ。
(上田)乗せたのはどこですか?東山安井町の交差点にあるコンビニの前です。
行きましょう。
ああこの人なら覚えてます。
封筒と切手を買ってそれからメモ用紙をくれって言われて。
(平松)お守りを入れた?ええ。
すぐそこの安井の金比羅さんの。
工場を出たあと加代子は真っ先にこのお守りを買いに行っていたそうです。
(平松)加代子は昔からよくお参りに来ていたそうです。
すいませんこれください。
最近また立ち寄るようになりましてね。
その前はもう12年になるって言ってましたかね。
ギャンブルにはまっている旦那を立ち直らせたいと小さいお嬢ちゃんを連れて熱心に願掛けに通ってきていたんですよ。
12年前ちっちゃいお嬢ちゃんを連れて…。
仲の良い母と娘だと神主はそう思っていたようです。
(咳払い)
(ノック)12年前の堀内加代子が起こした事件の資料です。
(市川奈津美)副署長掲示報告です。
ご苦労さん。
(奈津美)ありがとうございます。
(池永の声)「堀内加代子は内縁関係にあった岡村昌志に対し金の貸し借りの件で口論となり包丁で岡村の腹部を刺し死に到らしめる」
(加代子)何で今さら殺した男の娘にかかわらなきゃならないのよ。

(加代子)「あるこうあるこうわたしはげんき」
(加代子)「あるくのだいすきどんどんいこう」
(ノック)
(野沢)失礼します。
送検の書類が整いました。
確認お願いします。
俺の我慢もここまでだ…。
トイレはきれいに使いましょう。
あっ…!あっ…副署長…。
私の我慢も限界です!!12年前の事件について詳しく知りたいんです。
(弁護士)え…ああ…。
堀内加代子のためなんです。
お願いします。
(女性)おはようございます。
(桜)おはようございます。
おはようございます。
三塚です。
こちらのほうにご記入をお願いします。
桜さん!この12年間君は堀内加代子がどこで何をしているのか全く知らなかったんだね?
(桜)ええ。
父を殺した女の消息なんて知りたくもありませんし。
ところがおととい1通の手紙が届いてその中にこれが入ってた。
このお守りを見た時君にはその手紙が誰からのものなのかすぐにわかったはずだ。
そして君はその手紙の指示どおり犯行に使ったナイフを指定された場所に埋めた。
そうだな?
(嗚咽)君と堀内加代子にとってこのお守りは思い出の品だったんだろ?思い出なんかじゃありません!言っておきますがあの女が勝手に自首したんです。
私が頼んだわけじゃありません。
殺害の動機はビデオか?雑誌のモデルを探してるっていうあの男に騙されていやらしいビデオを撮られました。
忘れようとしました。
なのにテレビに出るようになった私の前にまたあいつが現れて…。
(日吉亨)払わないんだったらあのビデオをテレビ局に送るだけだから。
テレビに出られなくなったらまた俺のビデオ出るか?じゃまた来週も5万な。
(桜の声)このまま言いなりになっているわけにはいかない…。
(桜の声)次にあいつが現れた時人の目の付かない所に誘って…。
おい俺だって忙しいんだよ。
お前今日ちゃんと金持って来たのか!?
(ため息)
(刺す音)
(日吉)うっ…!!
(日吉)お…お前…!
(桜)あの女が自首してきたっていう話はテレビ局で知りました。
何がどうなってるのかわからなくて急に不安になりました。
そしたら手紙が届いて…。

(加代子の声)「私に罪滅ぼしをさせてちょうだい」「もしまだ凶器を持っているのなら鞠小路公園の花壇に埋めなさい」
(桜の声)あの女がどうして私が犯人だって知っているのかわからなかったけど償いがしたいって言うならそうしてもらおうって思いました。
手紙が届いてから君がナイフを埋めるまでの時間彼女は待ってた。
堀内加代子はどうしても君の身代わりになりたかったんだ。
身代わりなんて必要ないのに…!あの女はいっつも自分勝手なんです。
勝手に私の父を殺しておいて何が今さら罪滅ぼしよ!それは違う!!彼女は君を守ろうとしたんだ。
守る…?そう。
12年前と同じように。
えっ…?
(野沢)署長…!日吉殺害の真犯人と名乗る女が出頭してきました!えぇ…?
(加代子)ちょっと…ちょっと何よ〜!
(加代子)だから…だから犯人は私なの!私がやったのよ!
(女性警官)違うんです。
(加代子)あなたたちじゃ話わからない!副署長はどこ!?副署長…。
余計な事してくれたわね。
彼女はもう子供じゃありません。
事実を受け止めて自分のした事の責任を取るべき大人です。
あなたにだってわかってたはずですよ。
出所してからずーっと彼女を見守ってきたんですから。
あえいうえおあお!毎日遠くから見つめているうちに気づいたんですね。
だからあなたは自分がストーカーをされてるって警察に訴え出て男の正体を突き止めようとした。
でも間に合いませんでした。
(刺す音)
(日吉)うっ…!!
(パトカーのサイレン)テレビでニュースを見て桜は凶器を捨てようとしてたんだ…そう思ったんですね?あの子のためなら一生刑務所に入っていても平気だった。
そんなのはただの自己満足です。
いいじゃないの自己満足だって!!それで私は幸せなんだから。
ずっと幸せになりたいと思ってた…。
ああ上手や〜!行こか。
ありがとう。
(店主)おおきに。
(母親)お父さんに見せような。
(加代子の声)でもまともな結婚もできないまま四十も過ぎて…幸せなんて望むだけむなしいと思っていた頃に…。

(岡村昌志)ちょっと預かっててくれや。
お腹すいてる?あっ!付いちゃった。
美味しい?
(桜)うん。
たった3か月間のお母さんごっこ…。
(加代子)お父さんが…。
(2人)ギャンブルと縁が切れますように。
(加代子)あ〜出られるかなぁ〜。
出た〜!
(笑い)ここの神様はね悪い縁を切ってくれるのよ。
お父さん昔みたいに戻る?うん。
(加代子の声)初めて味わう小さな温もり…。

(2人)「あるこうあるこうわたしはげんき」「あるくのだいすきどんどんいこう」「さかみちトンネルくさっぱら」たくさんの幸せな時間をくれたあの子を死なすわけにはいかなかったんですね。
ギャンブルの借金を抱えてた桜の父親はあろう事か保険をかけて自分の娘を殺そうとした。
バカ言ってんじゃないわよ!自分の子供じゃないの。
仕方ねえさ。
借金返せなきゃ俺が首くくらなきゃなんねえ。
俺はこの命かけてんだよ。
あっ…やめて!お金は…お金は私が何とかするから。
うるせえー!お前に代わりができるか!お前バカにするなー!行かせない…!桜ちゃんは私が守る!
(刺す音)
(岡村)あぁ…!!当時の取り調べに対してあなたは金の貸し借りが原因だったとだけ供述しています。
真相を知った弁護士が情状酌量の判決を得るために裁判で事実を公表しようとした時もあなたはそれをかたくなに拒んだそうですね。
ダメ…絶対ダメ!それだけはやめてください!お願いします!父親が自分を殺そうとしたなんていう事実を知ったらあの子が取り返しもつかないほど傷つく。
そう思ったからでしょう。
あなたは自分の人生を犠牲にしてまであの子の命と心を守ったんですね。
犠牲になんかしてないわ。
守ってあげたい人がいる…。
それってすっごく幸せな事だもの。
成長した桜ちゃんの笑顔を見るのも幸せだった。
(桜)「さあいつも仕事で忙しいお父さん」「家事でお疲れのお母さん」「勉強頑張ってるお兄さんお姉さん」「私も使ってる『ぐっすり快適安眠枕』で安らかな睡眠とすがすがしい朝を手に入れてください」枕を買うたびに「おばちゃんありがとう」ってあの子の声が聞こえるような気がして…。
(ため息)バカね私って。
お母さんごっこは終わりです。
そうね…。
遠くから見守ったり身代わりになってやったりしたってちっともあの子のためにはなりません。
本物の母親なら娘が罪を犯したら思いっきり叱りつけるもんです。
つらい時苦しい時は…そばに付き添っててやるもんです。
桜さんの部屋の鍵です。
着替えや差し入れはあなたに持ってきてほしいそうです。
あの子がそう言ったの?はい。
「さかみちトンネルくさっぱら」これからは「ごっこ」じゃなくて本物の母親になってあげてください。
ホントに余計な事してくれるわね。
すいません。
性分なもんですから。
『さんぽ』
(加代子)はいお守り。
「あるこうあるこうわたしはげんき」「あるくのだいすきどんどんいこう」「さかみちトンネルくさっぱら」「いっぽんばしにでこぼこじゃりみち」「くものすくぐってくだりみち」
(笑い)堀内加代子にすっかり振り回されてしまったわ。
自分は子供を守ってるつもりでも子供の側が本当に望んでる母親像にはほど遠い。
もしかしてそれ自分の事言ってます?何で私なのよ?あっねぇおたくのお米どこのブランド?はぁ?何すか?突然。
拓海の口に合ってると思うのよ。
でなきゃおたくんちに入り浸っている理由が見つからない。
どこのデパートで買ってるの?それともお取り寄せ?
(笑い)何よ?いやお母さんの顔になってるなって思ってね。
副署長!オエッ…仕事の顔に戻った。
あなたが刑事の顔をして事件関係者に接触するのは規則違反です!してませんよそんな事。
するわけないでしょ。
そ2014/02/19(水) 15:55〜16:50
ABCテレビ1
その男、副署長2[再][字]

「消えた凶器!!縁切り神社に隠された過去」

詳細情報
◇番組内容
船越英一郎主演▽本格派“副署長”ミステリー第2弾。捜査を禁じられた所轄署の副署長・池永清美。彼が制服を脱ぎ捨てたとき、難事件は解決する!
◇出演者
船越英一郎、田中美里、本田博太郎、萬田久子 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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