きょうの健康 パーキンソン病 進行を防ぐ「こんな症状に注意」 2014.02.03

パーキンソン病の人の様子です。
スムーズに歩けないなどの症状があります。
椅子に座るのも難しそうです。
ところが薬が効いている時は…
このように健康な人の動作とほとんど変わりません。
今回はパーキンソン病の症状や治療についてシリーズでお伝えします

(テーマ音楽)皆さんの毎日の健康のために「きょうの健康」です。
今週は4日間…パーキンソン病は脳の神経の異常によってさまざまな運動に障害が出てくる病気です。
ただ治療によってかなり症状は治まるようですね。
薬がとてもよく効くんです。
ですから早期からきちんと治療をすればあまり支障のない生活を長く送る事ができます。
ではそんなパーキンソン病について4日間ご覧のようなテーマでお送りしていきますがまず今日はこちら…パーキンソン病の症状について詳しくお伝えします。
このシリーズも専門家に分かりやすく伺ってまいります。
ご紹介致します。
お迎え致しましたのは…どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
パーキンソン病を患う人は国内にどれぐらいいるんですか?日本には15万人ぐらいいらっしゃいます。
多くは高齢で発症しますので世界の高齢化に伴って患者さんは増えています。
でもパーキンソン病は高齢の人だけの病気ではなくて若い人にも発症する事はありますし非常にまれですがお子さんに発症する事もあります。
それではパーキンソン病の症状を更に詳しく見ていきましょう。
まず手の震えですね。
パーキンソン病で最初に気が付かれる症状としては一番多い症状です。
安静にしている時に手や足が震えます。
この方は比較的震えが大きいですがもう少し細かい震えの人も多いです。
片側だけですねこの方は。
そうですね。
通常片側から症状が出ますし症状に左右差があるのが特徴です。
続いて手の動きですね。
手の動きも左右差がありましてやはり左側は少し小さいですよね。
指も動かしにくくなりますか?細かい動きがしにくくなります。
続いては体のバランスを診る検査の様子です。
ある程度進行するとこのように押したり重心が変わる事でバランスが保ちにくくなります。
健康な人ですとグッとふんばったりサッと足を出して支える事ができる訳ですがパーキンソン病の患者さんではそのまま倒れそうになってしまう。
日常生活の中では引き出しや冷蔵庫を開けた時などにこうなりやすいです。
そのはずみでね。
ふんばる事ができないんですね。
そして歩く時の様子です。
やや小股になりまして手の振りが少ないのが特徴的です。
ホントに歩幅が狭いですよね。
方向転換もやりにくいですし少し前かがみになっているのがお分かり頂けるかと思います。
そして座る時ですね。
座る時とても時間がかかるんです。
ゆっくりになってしまう。
方向転換をするのが非常にやりにくいのでこのように時間がかかります。
このように動作がゆっくりになったり動きが少ないのがパーキンソン病の特徴です。
ではパーキンソン病の症状をこちらでまとめて見てみましょう。
4つが代表的な症状です。
まず動作が遅い少ない。
歩く動作などによく現れます。
代表的な症状を挙げて頂いておりますが上3つは分かりやすいんですが筋固縮。
やや難しい言葉ですね。
どういう事でしょうか?筋固縮というのは自覚症状というよりは診察の所見で私たちが患者さんの手を動かすとカクカクカクッとした抵抗を感じるのが筋固縮なんです。
ドクターが取って動かすと…。
これは別に筋肉そのものが悪い訳ではなくて神経の調節の異常によってスムーズな動きができないんです。
それを筋固縮と呼ぶ訳ですね。
こうした主な症状以外にパーキンソン病ではどんな症状が出ますか?自律神経が障害されて頑固な便秘になるとかあるいは抑うつや幻覚などの症状が出る事もあります。
また高齢で進行した患者さんでは認知症を合併する事もあります。
こうしたパーキンソン病の症状脳の神経の異常によって起こるのだという事ですがそれはどういう事なのか基礎知識を少し学びましょう。
久田さん。
ではこちらの図で見ていきましょう。
私たちが体を動かす時脳の大脳皮質という所から「運動しなさい」という指令が全身に伝わります。
その指令を調節するのがドパミンという神経伝達物質です。
ドパミンは脳の奥黒質という部分で作られて線条体という所に送られ運動の指令を調節しています。
パーキンソン病ではこのドパミンの量が減ってしまいます。
そのため運動の調節がうまくいかず思うような動作ができなくなってしまうんです。
さあドパミンが減るという説明がありましたがそもそもドパミンはなぜ減るんですか?それはドパミンを作っている細胞がこの黒質にあるんですが…ドパミン神経といいます。
その神経細胞が障害されて減ってしまうために工場が減ってしまうのでドパミンも作りにくくなってしまいます。
なぜドパミン細胞が減るかという事に関してはかなり研究は進んでいるのですがはっきりした原因はまだ十分には分かっていません。
年を取ると減るというのも自然な事なんですか?そうですね。
ですので患者さんも高齢者に多いです。
加齢とは関係なくという事がある訳ですね?はい。
中には遺伝子の異常によって起こる事も知られています。
比較的若く発症する人はそういうものが関連する事が多いといわれています。
加齢に伴うドパミンの減少これはなんとか食い止められないんでしょうか?細胞の障害を抑える事はまさに老化を抑える事になりますのでなかなか難しいです。
ただ薬がよく効きますが薬を使わなければやはり症状は進行していきます。
進行していくとおっしゃいましたがこの病気はどういう進行を見せるんでしょうか?進行に関してはヤール重症度がよく使われています。
通常片側に症状が出るところからスタートする事が多くてそれが両側に広がると。
更に少し活動が制限されるレベルに。
ここではまだ生活は自立しています。
4度になりますと少し介助が必要になる。
5度になると車いすなどを使わなければならない状況になります。
ゆっくりとした進行何年もという感じですか?時間をかけて何年もかけてゆっくり進行するのがこの病気の特徴で例えば脳梗塞などですと急にワッと悪くなりますよね。
そういうものではありません。
たださっきもおっしゃいましたが薬がよく効くんですよね。
その映像をちょっと見ましょうか。
先ほど冒頭にお出しした人は実はパーキンソン病になってもう15年なんですね。
でも薬が効いていればこのようにほとんど普通と変わらない生活ができます。
昔はパーキンソン病になると10年で寝たきりになるといわれていた時代もあったんですが現在では早期からしっかり治療する事で長期間日常生活にあまり障害がない状態で暮らせるようになってきました。
早く気付きたいですが自分で気付く事はできますか?手足が震えるとか歩きにくいとか先ほど示したような動きがゆっくりになるとかそのような症状があればやはりまず受診して頂く事が重要です。
ここにありますように手足の震えがやはり最初に気付きやすい症状なんですね。
その震えはじっとしている時に震えると。
何か持つとか運動する時には治まって置いてじっとしているとテレビを見ている時などに自然に震えている。
それが片側から始まる。
あるいは症状に左右差があるのが特徴です。
片側から始まる。
左右差があるのが特徴ですよね。
震えとおっしゃいましたが震えが出る病気はほかにもいろいろあるんじゃないですか?ここに示しましたように例えば甲状腺の病気あるいはぜんそくの薬の副作用また本態性振戦はホントに震えだけの状態なんですがそういうような震えの出る病気があります。
これらの震えは実は特徴がありましてパーキンソン病とは逆に何か持った時に震える。
じっとしたら治まる。
その方が普通かもしれませんがそういう状態です。
そことちょっと違いがある訳ですね。
この2行目ですがパーキンソン症候群と書いてあります。
「病」ではなく「症候群」どういう事でしょうか?症候群というのは症状の集まりという意味で先ほどパーキンソン病の主な症状…4つ出ていますがこのうちの2つがあればパーキンソン症候群と呼んでいます。
つまりパーキンソン病と似たような症状を示すほかの病気がある訳です。
ですのでこれとの鑑別はやはり専門医によく診て頂く必要があるので専門医を受診して頂く事が重要です。
ではその専門医というのはどこを受診すればいいですか?神経内科です。
大きな病院には大体ありますので是非神経内科に行って頂きたいと思います。
では神経内科でパーキンソン病はどのように診断していくのかその流れを教えて下さい。
ここにありますようにまず例えば震えとか歩きにくいというような症状がいつごろからどのように出てきたのかというような事を伺います。
その上で体の動きバランスを診察するという事でこの2つでパーキンソン病らしいかどうかある程度診ますのでそれによってパーキンソン病らしいようであればMRIやSPECTなどの画像検査をします。
ちなみにSPECTに関してはごく最近パーキンソン病の診断に非常に有用な検査が保険診療で使えるようになりました。
その検査による画像をご用意頂きました。
こちらが正常な人こちらがパーキンソン病の人で違いは明らかですよね。
大きさが違いますね。
何を見ているかといいますと先ほど示したようにパーキンソン病ではこの黒質にあるドパミン神経細胞が減ってくる訳です。
ドパミン神経細胞は線条体まで手を伸ばしていてここでドパミンを放出するんですね。
先ほどの画像の検査は線条体にいったドパミン神経を見ていますのでパーキンソン病ではドパミン神経が減りますからこのように赤く囲まれた場所が小さくなっているのは細胞が減っている事を示している訳です。
この検査ではどういう利点があると考えればいいんですか?ドパミン神経が減る病気だと説明しても実際にドパミン神経が減っているところをお見せする事が今までできなかったんですね。
脳の中ですし。
それを実際に見られるという事ではとても意味があると思います。
またパーキンソンと紛らわしい病気があるという説明がありましたがそれはこの検査ではやはり区別がついてくるんでしょうか?紛らわしい病気の中にドパミン神経が障害される病気とされない病気があるんです。
ですので紛らわしい病気の中でもドパミン神経が障害される病気ですとこちらになりますしされない病気でしたらはっきり分かるのでドパミン神経が障害される病気でしたらパーキンソンのお薬を使うとある程度効果が出ますのでそういう意味でもとても意味があります。
今日もいろいろなポイントがございました。
ではまとめです。
パーキンソン病は脳のドパミン神経の異常によって動きが悪くなる病気です。
手足が震える歩きにくいという症状が思い当たりましたら是非神経内科を受診して頂きたいと思います。
この病気専門医がいる所は神経内科という事でしたね。
どうもお話ありがとうございました。
明日は薬などの治療について詳しくお伝えしていきます。
明日も是非ご覧下さい。
明日のお話もどうぞよろしくお願い致します。
2014/02/03(月) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 パーキンソン病 進行を防ぐ「こんな症状に注意」[解][字]

パーキンソン病は脳の異常によって体の動きに障害が現れます。動作が遅い・少ない・小さい、手足が震える、バランスを取りにくいなどが特徴的で、早期発見と診断が大切です

詳細情報
番組内容
パーキンソン病は、脳の異常によって体の動きに障害が現れる。動作が遅い・少ない・小さい、手足が震える、バランスを取りにくいなどが特徴だ。早期発見と診断が大切。発症には、脳の中の神経伝達物質「ドパミン」が関わっている。ドパミンが減ると運動の調節がうまくいかなくなる。症状は何年もかけてゆっくり進行する。現在では効果的な薬があり、薬が効いている間は、ほとんどの症状を改善できる。
出演者
【講師】国立精神・神経医療研究センター パーキンソン病・運動障害疾患センター センター長…村田美穂,【キャスター】濱中博久,久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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