きょうの健康 肩が痛い!こうして改善「“石灰”による激痛」 2014.03.05

(テーマ音楽)皆さんの健やかな毎日のために。
「きょうの健康」です。
今週お伝えしているのは…そして今日のテーマはこちら。
今日も専門家をお招きして分かりやすく伺ってまいります。
ご紹介致しましょう。
肩肘手の外科がご専門です。
今日もどうぞよろしくお願い致します。
今日のテーマ「石灰による激痛」という事ですが一体何の病気ですか?何という病気ですか?石灰沈着性肩関節周囲炎の事です。
夜間に突然肩の激痛が生じる病気です。
この石灰沈着性肩関節周囲炎難しい名前なんですが一体何が起こっている病気ですか?文字どおり肩関節の周囲にカルシウムを含むような石灰が沈着する事によって炎症が起き痛みが生じて肩の運動制限を起こす病気です。
石灰が沈着するといいますが肩の一体どういうところに沈着するんですか?こちらの模型で説明しましょう。
こちらは右肩の模型です。
肩は上腕骨鎖骨肩甲骨こういった骨で出来ています。
そして三角筋を取ってみますと上腕骨にはこのように肩のインナーマッスルといわれている筋肉がついております。
これが腱板。
骨につくところを腱板といっています。
石灰の多くはいろんなところにたまる事があるんですが一番多いのはこの腱板のこの辺りにたまるという事が一番多いといわれています。
そして石灰がたまる際あるいはそれを排除しようとした際に強い炎症反応が起きるので激痛が生じるといわれています。
体が石灰を出してしまおうとするところで痛みが出る事なんですね。
今模型でご説明頂きましたが実際の画像上ではどんなふうに観察されるんでしょうか?これが肩のエックス線写真です。
これが上腕骨肩甲骨鎖骨なんですがここにある白い影これが通常はないんです。
ここに写っているのが石灰です。
あってはならない石灰な訳ですね。
これは硬いものなんですか?軟らかいものなんですか?初めは濃厚なミルク状で進行していくに従って練り歯磨き状になって最後はチョークみたいな石灰へと硬く変化していきます。
この沈着している量が増えていく事によって膨らんでくる事によって痛みが生じたりこれを排除しようとして炎症を起こす事で激痛が生じるといわれています。
今伺うイメージですと初期は何かドロッとした薄いようなものですがそういうものでも画像上は写るんですか?写っているのはカルシウムですね。
カルシウムはエックス線に写るのでカルシウムの量が多く含まれてくると白くしっかりと写ってきます。
こうして画像でしっかり分かる石灰沈着性肩関節周囲炎ですがどんな人に多いのか傾向症状を久田さんの方からご説明しましょう。
石灰沈着性肩関節周囲炎。
原因はまだ完全には分かっていませんが40代から50代の女性に多い病気です。
具体的な症状は五十肩の症状とよく似ています。
突然激しく痛む。
夜や明け方に痛む事が多いんです。
そして腕の外側。
ここが痛むという事。
更に腕を少し動かすだけで痛む。
強い痛みで夜も眠れないなどの症状が起こります。
症状は五十肩と似ていますが特に痛みが強く突然激しい痛みが起きて発症する事が多いんです。
また石灰の沈着が原因の場合は五十肩とは対処のしかた変わってきますので心当たりがあれば一度整形外科を受診して下さい。
今久田さんからもありましたがこうした腕の外側が痛い。
動かすと痛い。
夜ちょっと痛くて眠れない。
五十肩の症状と確かに共通点が多いんですね。
病名が石灰沈着性肩関節周囲炎という肩関節周囲炎の一つですので五十肩の一種と。
その中で石灰がたまる事によって突然激しく痛むという事が出てきますので五十肩と同じような症状になります。
しかし症状としては痛みの程度は五十肩どころではないと考えた方がいいですね。
非常に痛い事が多いですのでまずはその痛みをなるべくとる事も含めて早期の病院への受診をお勧めする事になります。
治療の流れはどういうふうになっていくんでしょうか?まず激痛ですので痛みをとる事が大事になりますので薬物による治療と。
この中にはのみ薬や貼るお薬といった炎症を抑える消炎鎮痛剤を使う事があります。
また痛みが非常に強い場合は局所麻酔剤を直接注射する。
そういった事もあります。
石灰がたまった初期は液状ですので注射をする事によって吸引する治療もあります。
そういった事で痛みが改善してきた場合には五十肩の症状がやはり残る。
つまり肩の動きが悪いという事になりますので運動療法これが大切になります。
こうした流れございますがこの中で吸引するとおっしゃいましたね。
石灰を吸い出すというイメージを持った訳ですが具体的にはどんな事をするんですか?この図で見て頂くとここの先ほども言った腱板に石灰がたまっています。
この石灰がたまった初期はドロドロとしている。
液状なんですね。
サラサラとはしていませんのでかなり太い注射器でないと抜けないんですが注射器で吸う事によって吸い出す事ができます。
時には液状にしたいという事で。
固まっている場合ですね。
生理食塩水や局所麻酔剤そういったものを入れて少し溶かしながら抜いてくる事もしています。
少し薄めて吸い出しやすい状態にしてから吸い出すという事なんですね。
これはうまく吸い出されますと症状は改善されるんでしょうか?激痛は非常に劇的に改善します。
原因のこれがいなくなる訳ですからね。
吸引すればね。
必ずしも全部抜ける訳ではないですし時期によっては何も引けない事もあります。
そういう事もあるんですね。
これはどうでしょう自然にこの石灰が吸収されてしまう事もあるんでしょうか?もちろんあります。
時間とともに痛みも和らいできてエックス線を撮るともう石灰が消えてきてる。
あるいは薄くなってきてる事もございます。
さて今おっしゃいましたがうまく吸い出せないと。
残ってしまって痛みがいつまでも残る。
こういう場合は手術をしないといけないですか?症例によってはすごく大きな塊ですとこれがいろいろなところにぶつかって肩の動きを悪くしたりしますので手術でこれを取ってしまう。
切除する方法もあります。
もう一つ素朴に気になる事ですがうまく吸い出せたとしてこの人はたまって痛みが出た訳ですからまたたまってくる事はないんでしょうか?同じ側に再度たまる事は少ないといわれています。
ただ例えばこれ右肩ですが左肩にこういったものがまた時間をおいてたまる事はもちろんありまして大体2割ぐらいの人が両側性に発症するといわれています。
それと治療痛みが改善されますと運動療法も大事だと先ほどご指摘ありました。
これは目的はどういう事でしょうか?痛みがとれたあとは五十肩の一種ですのでやはり運動制限があります。
そのために運動療法の目的は…それから石灰がたまる腱板が傷んでいる事がありますから…この2本の柱で運動療法の目的となります。
この2本柱の目的の運動。
具体的にどんな運動なのか久田さんからです。
運動療法を教えて頂きますのは…今日もよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
まずは注意点から教えて下さい。
注意点としては…すいません。
注意点としては決して無理を…。
肩に痛みがある時はやってはいけない。
運動を始める時はまず徐々に行い痛みが出た時は医師と相談をして頂きたいと思います。
大体最初はすごく痛いという事でしたがどんな感じになってきたら運動を始めたらいいんでしょうか?夜痛みが出ない。
それで眠れる時が運動を始める目安です。
夜の痛みが治まってきたらという事ですね。
ではどんな運動になりますか?まず始めは関節の動きをよくするストレッチとして…ストレッチという事ですね。
では今日も痛い方の肩にこちらが痛いという事で私たちシールを貼りましょう。
それではテーブルと椅子は安定したところに置いて下さい。
椅子に腰掛けます。
椅子に腰掛けて行います。
肩の力を抜いて痛い方の手を手のひらを上にして置いておじぎをするように腕を伸ばしていきます。
おじぎをするように…体ごとこう傾けていくんですね。
痛くない方の手で手を使いながら更に前の方に伸ばしていきます。
こちらの手で伸ばしながら引っ張りながら更に伸ばしていくと…。
その時わきの下が伸びる事を感じながら行って下さい。
わきの下。
この辺りという事ですか?ここを伸ばすと…。
限界に来たら5秒キープしてリラックスしてそれを3分から5分続けていきます。
12345と数えたらリラックスという事ですね。
これを3分から5分繰り返すと。
この運動は机で腕を支えますので腱板に負担をかけずに肩の可動範囲を広げる事ができます。
ここに置いて行うという事がポイントなんですね。
では次の運動教えて頂けますか?さあ次は…。
痛い方の腕を垂らした状態から肘を90度曲げます。
90度曲げる?これがスタートポジションです。
親指を上にする訳ですね。
これで内側外側と動かしていきます。
内側外側こういうふうに動かす。
その時に肘が脇から離れないように注意して下さい。
脇はつけてここだけを動かすんですね。
ここからがポイントですが痛くない方の手で手首を押さえて抵抗をかけていきます。
内側に動かす時は痛くない方の手は外側に押すという事ですね。
力比べをするような感じで痛い方がどのぐらい力を出せるかを感じて力を入れていって下さい。
ギュ〜ッと力を入れます。
いきなり力をいっぱい入れなくて徐々に力を入れていって下さい。
いきなりではなくだんだん強くしていくんですね。
5秒ぐらいキープしたら反対側をやって下さい。
今度は痛い方で外に動かし痛くない方は内側に。
こういう感じでいいですか。
またこれも5秒キープと?それを繰り返して下さい。
これは一日どのぐらい行えばいいですか?朝と夕2〜3セットからスタートして下さい。
負担のない人はもう少し増やしても構いません。
こうやって力を入れていく事で筋肉が強化されるんですね。
回数にこだわらずに最初は少なめからスタートする事が大事です。
痛いと感じた時は少なめに。
そしてだんだんできるようになったら回数を増やしていってもいい訳ですね。
最初は無理をせずに行って下さい。
どうもありがとうございました。
ストレッチをするという事。
それから腱板の筋肉を強化しようという具体的な運動を今勉強した訳ですがこうした運動療法はなぜ大切なのかそのポイントをもう一度教えて頂けますか?運動療法はとても重要です。
このようなストレッチをして動きをよくして腱板の筋肉を強化する事で痛みがとれたからといって安心せずに石灰が沈着する前の動きのいい痛くない肩関節を是非手に入れて下さい。
痛みがとれたらやはりジ〜ッとしてないで動かしていく事で元の肩を取り戻していくんですね。
さあ今日もいろいろなポイントがございました。
まとめです。
石灰沈着性肩関節周囲炎は肩に激痛が起こる病気です。
症状は激痛のあとは五十肩と似ていますが時間がたつにつれてドロドロ状の石灰が固まって沈着していきます。
発症後早期であれば吸引して石灰を吸収する事もできますし痛みに対しての治療もたくさんあります。
是非早めの受診をお勧めします。
この病気はちゃんと治療をすれば治るんだと考えていい病気なんですね?治る病気です。
それとしっかり運動もするという事ですね。
お話どうもありがとうございました。
そして明日は…腱板断裂についてお伝えしていきます。
明日もどうぞよろしくお願い致します。
2014/03/05(水) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 肩が痛い!こうして改善「“石灰”による激痛」[解][字]

夜間に突然、激痛が生じる石灰沈着性肩関節周囲炎は、40〜50代の女性に多い。薬物療法や石灰を吸引する治療、また肩関節の動きを改善する効果的な運動などを紹介。

詳細情報
番組内容
石灰沈着性肩関節周囲炎は、非常に強い肩の痛みが特徴で、40−50代の女性に多い。肩関節の周囲に石灰(カルシウム)が沈着して炎症が起き、痛みを生じる。治療は、内服や貼り薬などの消炎鎮痛剤や局所麻酔薬などの薬物療法。また、肩にたまった石灰を注射器で吸引する治療も行われる。痛みが和らいだら、肩関節の動きを改善し、傷んだ肩の腱板を強化するため、運動療法を開始する。「おじぎ体操」「腱板強化体操」を紹介。
出演者
【講師】東邦大学教授…池上博泰,東邦大学理学療法士…小田部哲夫,【キャスター】濱中博久,久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0×0808)
EventID:17423(0x440F)