ろーかる 北海道中ひざくりげ「誇りをもって いまに生きる〜阿寒湖アイヌコタン」 2014.02.19

(テーマ音楽)
「北海道中ひざくりげ」。
今回は釧路市阿寒町を訪ねます
多くの人々が訪れる阿寒湖アイヌコタン。
最近増えているのはアジアからの観光客です
彼らも注目するアイヌ文化
今現代的な作品も生まれています
原動力となっているのは伝統文化を見つめ直し誇りを持って受け継ごうとする人たちです。
その思いに触れる旅です
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
お〜寒い。
雪も激しくなってきましたね。
この辺りは標高400m以上あるそうなんですけどもこの自然も寒さも…行きましょうか。
アイヌコタンの手前にある温泉街です
何か流れてますね。
流れてます。
え〜ちょっといいですかね。
あ〜気持ちいい。
気持ちいいですけど結構熱いですねこれ。
43℃ぐらいありますかね。
あっフクロウだ。
「梟の手湯」っていうんですね。
アイヌ語で「コタンコロカムイ」。
「村の守り神」の意味があるんですね。
温泉の入り口に守り神のフクロウ。
阿寒の山々に抱かれる町。
その一角に阿寒湖アイヌコタンがあります
およそ30軒の民芸品店が軒を連ねています
あ〜着きましたね。
この大きなフクロウ。
アイヌコタンの守り神ですね。
民芸品店のほとんどは住居を兼ねています。
およそ100人のアイヌの人たちがここに住んでいます

(ムックリ)ムックリの音が流れていていかにもアイヌコタンの雰囲気が出てますね。
お〜!元気だね。
寒くないの?はい。
けどちょっと寒い。
風邪ひかないようにね。
はい。
おじさんも気を付けて。
はい分かりました。
「おじさん」って言われちゃったけど。
訪ねたのは去年の12月。
観光のオフシーズンにもかかわらずコタンは多くの人々でにぎわっていました
いやもうお店全体が木彫りのような感じですもんね。
独特の店構えに引かれて入ってみる事にしました
失礼します。
わ〜すごいですねこれね。
へえ〜随分これ細かい細工ですよね。
髪の毛の風合いとかね。
へえ〜。
こんにちは。
すみませんお邪魔します。
すごいですねこれ。
そうですね細かく彫られてます。
父の代からの木彫り職人です
これは何ですか?これはスマートフォンケースですね。
アイヌの伝統的な文様を携帯電話のケースに彫り込んでいます
へえ〜意外と重くないんですね。
軽いですね。
そうですね。
木なのでとても軽いです。
現代的な物にアイヌの文様を施している藤戸さん。
発想のヒントは昔のアイヌの人々の暮らしにあると言います
取って置きの作品を見せて頂きました
これネックレスなんですけどこれが鍵で開けると…。
おまけが!おお〜!1万円が入っているという。
これ本物ですか?本物です。
本物ですか!現代だと1万円もあれば多分どこでも1泊できるしガソリンは入れられるしとりあえずこれを身につけておけば1日は大丈夫だぞという。
これは面白い発想ですね。
伝統を生かすアイデアは尽きる事がありません
「H・S」がいい?「H・S」で。
は〜い。
カップルがブレスレットにイニシャルを彫ってほしいと頼んでいました
そうなんですよこんなのはすぐ出来るんです。
今日ブレスレットでアイヌの模様のやつを探してたんですよね。
おそろいで欲しくて。
チェックアウトしてからブラ〜ッとして見つけたんで。
アイヌ模様のものが欲しかったんですか?やっぱり道民として興味もあるんで。
ありがとうございます。
いらっしゃいませ。
もう一軒コタンで最も古くから続く店の一つを訪ねました
しゃべっても大丈夫ですか?大丈夫だよ。
今ねうちのオリジナルの商品を作ってるところです。
「デボの店」ってありましたけどもどういう意味なんですか?私のニックネームをそのまま店の名前にしたんです。
ニックネーム?何で「デボ」っていうんですか?私日出男っていうんですよ。
「ヒデボウ」ってなるじゃないですか。
普通は「ヒデ」が残るんだけど私は下の2文字ヒが取れて「デボ」。
ヒデボウ。
デボさんこと秋辺日出男さん。
このコタンで生まれ育った2代目の木彫り職人です
今作っているのは薄く削った木の皮で装飾する人形です。
衣服の部分などに伝統的なアイヌの技が生かされています
こうして多くのアイヌの人々が木彫りを行うのには理由があるといいます
お邪魔します。
デボさんは木彫りを観光商品にする事に誇りを持っています。
そこには亡き父親の存在がありました
お邪魔します。
はいどうぞ。
こちらがお父さんですね。
そうですね。
去年の3月3日に逝ったんですよ。
デボさんの父秋辺今吉さん。
89歳で亡くなりました
コタンを作った中心人物の一人で生前自分たちが主体となった観光の発展に力を尽くしました
戦後北海道の観光がブームになるとアイヌ文化も脚光を浴びるようになります。
今吉さんも木彫り職人として働きました。
しかし彫った作品は業者に安く買い取られ悔しい思いをしたといいます
このままでは生活にも困りアイヌの伝統も誇りも消えてしまう。
危機感を募らせた今吉さんたちが昭和29年に作ったのが阿寒湖アイヌコタンでした
自分たちの手で伝統文化を生かした観光を立ち上げる事で経済的に自立し文化の継承を目指したのです
コタンの人たちの集まりがあると聞いて案内してもらいました
(秋辺)よく降ったね。
ね!そこなんです。
おっと!ここツルツルだ。
アイヌ語の講座です。
冬の間月に6回ほど開かれます
・「ケーケタトゥーヌンケエーヌーキーナー」とこうやんなきゃないんですね。

(歌声)
講座が始まったのは3年前。
1回3時間ほどの授業に若者からお年寄りまでが参加します
(一同)・「ケーケタトゥーヌンケ」「カムイ」は神様。
(講師)はいそうですよね。
ムスペ…?
(講師)キムシペ。
…ヌイエが彫刻する。
(講師)そうですね。
そして…。
観光をなりわいとするからこそ言葉をはじめ根本からアイヌ文化を学ぶ事が必要だとデボさんは考えています

「北海道中ひざくりげ」。
今回は釧路市阿寒町を訪ねています
夜ホテルの宿泊客がコタンを訪れます
最近増えているのは海外からの観光客。
特に多いのはアジアからの人たちです
どちらからいらっしゃいました?台湾。
台湾です。
こうですか?イエスイエス。
そうそう。
初めて?これで通じるかねしかし…。
ティーイーツライ。
ちょっと書いてもらえます?やっぱり初めて。
ティーイーツライ。
そこまでは分かりました。
寒いですね。
台湾からいらして阿寒湖畔に来るのは初めてだと。
大変寒いという事で。
どうもありがとうございました。
中国語できたらな〜。
観光客の多くが訪れるコタンの劇場です。
1年半前にオープンしました
あ〜立派ですね。
おお〜。
守り神のフクロウが迎えてくれるこの劇場。
名前はイコロ。
アイヌ語で宝物という意味だそうです
どうぞ。
おお〜。
見下ろす感じですね。
そうなんですよ。
僕らコロシアムスタイルと言ってまして…。
ここではデボさんが演出を務めるアイヌ伝統の踊りが毎日披露されます
アイヌ文化に引かれて新たにやって来た人がいると聞いて楽屋を訪ねました
ふだんは男性は入れないって事ですもんね。
はいそうです。
皆さんここでメークをして準備をするんですか。
もう準備万端ですね皆さん。
小野綾香さん18歳です
踊り手の中でただ一人アイヌではありません
あっやばい。
やばい。
(手拍子)
コタンの近くで生まれ育った小野さん。
アイヌの文化に興味を持ち劇場の仕事に積極的に関わってきました
小野さんがアイヌの古式舞踊の舞台に立つ事を勧められたのは去年の5月の事でした
ハロー!
(一同)ハロー!
毎日舞台に立つようになった小野さん。
この日もいよいよ開演です

踊るのは伝統の鶴の舞

湿原の神とされる鶴。
小野さんがふんするのは子どもの鶴です。
愛らしく飛ぶ姿を熱演します

アイヌではない若者が歌や踊りに積極的に参加してくれる。
その事でアイヌ文化に新しい風が吹く。
小野さんがアイヌ文化の担い手の一人として育ってくれる事をデボさんは期待しています
踊る事でアイヌの精神を感じてほしいというデボさんの思いは小野さんにも届き始めています
(小野)ありがとうございました。
終演後お客さんを見送る小野さんの姿がありました。
アイヌでない若者によってもアイヌの心が少しずつ広がっていきます
旅の終わり劇場を訪ねると新しい演目の練習が始まっていました

(歌声)
小野さんにとっては初めて聴く歌。
先輩たちの歌をまねてみます

(歌声)・「イーカーホー」
(デボ)ハァって…。
ハァって言わないで。
ハッ!ハッ。
ハッ。
ハッハッ!
(歌声)
阿寒湖アイヌコタンが出来て60年。
観光によって文化を守ってきたコタンの人々。
受け継がれる伝統を大切にしながら新しい文化を担う人々の思いに触れた旅でした
北海道のアウトドアをキュートに遊び尽くす2014/02/19(水) 15:15〜15:41
NHK総合1・神戸
ろーかる 北海道中ひざくりげ「誇りをもって いまに生きる〜阿寒湖アイヌコタン」[字]

アジアからの観光客でにぎわう「阿寒湖アイヌコタン」。ここには、伝統文化に基づく新たな観光を模索するアイヌの人たちがいる。豊かな自然の中で、その思いに触れる旅。

詳細情報
番組内容
アジアからの観光客でにぎわう「阿寒湖アイヌコタン」。アイヌ文様を生かした美しいアクセサリー、現代的な舞台で披露される舞踊が人気を集めている。こうした取り組みを行っているのはコタンに住むアイヌの人たちだ。偉大な長老だった父の思いを受けて舞台演出を手がける人、美術館から「現代アート」と認められるほどの工芸品を手がける作家。豊かな自然の中で伝統に新しい風を吹きこもうとする人々と出会う旅。
出演者
【出演】木彫り職人…藤戸康平,秋辺日出男,【旅人】久保田茂

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
バラエティ – 旅バラエティ

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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