(め以子)ご主人もご無事で。
(キヨ)はい。
おかげさんで。
よかった。
諸岡のおじいちゃん無事やて。
よかったなあ。
西門のおじいちゃんもきっと無事やからな。
今度こそみんなで御飯食べような。
(静)ひいばあちゃんやで。
覚えといてや〜。
(笑い声)ほな。
あんたもしっかり食べんねんで。
お母ちゃん倒れたら終わりやからな。
(ふ久)うん。
(キヨ)必ず食べさせますさかいに。
よろしゅうお願いします。
ほな失礼します。
ほな。
気ぃ付けて。
元気でな。
(泰介)姉ちゃん気ぃ付けてな。
(静)菊子ちゃんもな。
ああ。
おばあちゃん列車乗れた?うん。
ずっと立ってなあかんてぶうぶう言うてたけどおばあちゃんの事やからうまい事言うて座らせてもらうやろう。
まあせやね。
よしほなお母さんも行くで。
えっ?僕がうまい事やるから伯母さんのとこ行くで。
おばさん…。
・「突然偶然それとも必然?」・「始まりは気付かぬうちに」・「予報通りいかない模様」・「そんな時こそ微笑みを」・「ポツリポツリと町の色変わってゆけば」・「傘はなくとも雨空に唄うよ」・「どんな君でもアイシテイル」・「顔を上げてごらん光が照らす」・「涙の河も海へと帰る」・「誰の心も雨のち晴レルヤ」そんなんで…うまい事いくはずないて。
やってみんと分からんやん。
(和枝)はあそれは難儀でしたなあ。
(泰介)母の受け入れを何とかお願いできないでしょうか。
(和枝)何や勘違いしてはるみたいやけどわては一度も受け入れんなんて言うてまへんで。
条件のみはらへんのはそちらの方で。
これの事ですよね。
(和枝)何やこれ?
(泰介)土地の権利書と印鑑です。
ふざけてはる?
(泰介)いえ。
ホンマにこれが権利書でこれが…印鑑なんです。
悠太郎さんがそんな大事なもん燃えるようなとこに入れとく訳ないやろう。
(泰介)ホンマなんです。
燃えへんとこなんてないような空襲やったんですよ。
何なら一緒に見に行ってもええですよ。
まあとりあえず一筆書いといて。
僕も母も権利者ではないので法的には無効や思いますけどそれでもええですか?とりあえず置いてもらえたからええやない。
けどあれやな。
骨のありそうな人やな。
のんきな事言うて。
希子叔母ちゃんから出ていきはるまでの事は大体聞いたけど和枝伯母さんここではどんなふうに暮らしてはったん?奥さん亡くされた旦那さんのとこに後妻に入りはってん。
今は伯母さん一人?20年やからね。
順繰りに見送りはって息子さんらは家業を継ぎはらへんかったて聞いてるけどね。
・
(和枝)め以子はん?ああは…はい。
あ〜!お台所手伝うてくれはる?あ…。
私も一緒にですか?何や働きもせんと居座るつもりやったんかいな。
ああいや…とんでもない。
失礼します。
はあ〜…。
(ハナ)どないしはりました?こんなお台所久しぶりで。
ほなやりまっせ。
あ…はい。
(泰介)あ…こんにちは。
あんたこの辺の人やないな。
あ…そうです。
山下さんの所に母がごやっかいになるんで。
あんたこの辺であそこの身内やて言わん方がええで。
はあ…。
ただいま戻りました。
・お帰り。
うわおいしそう〜!ねえ。
久しぶりやんねえ。
こんなちゃんとした御飯。
何で3膳なん?あっハナちゃん通いやないんですか?えっ?あんさんらこれ食べはるつもりでっか?え…せやかて一緒に作ろうて。
(和枝)そら手伝うてとは言いましたけど…。
ひゃ〜いきなり押しかけてきはって白いおまんままで食べはるつもりでっか?せやけどこれどう見てもお一人の量とちゃうやないですか。
ハナに持って帰らそう思て余分に作ったんだす。
えっ?持って帰り。
弟らな具合悪いんやろう?はい。
(ハナ)おおきに。
ありがとうございます。
(和枝)はいはい。
(泰介め以子)頂きます。
(鶏の鳴き声)おはようございます。
おはようございます。
まだ寝てはんのかな?
(和枝)都会の方らはまあお殿さんみたいでんなあ。
はあっ。
わてらはもったいないもったいないてお日ぃさんと一緒に動きますけど都会の人らはそんな貧乏性な事しはりませんもんなあ。
(和枝のため息)何を致せばよろしいでございましょうか。
今日中にこれ全部…。
あの〜奥様。
うん。
何であの人らには訳の分からんいけずされるんですか?奥様らしゅうないいうか。
あの人とわてはな死ぬまでお互いにいけずし合うて約束したんや。
嫌でもせなしゃあないやんか。
ホンマにもうやる事ぎょうさんありますのに。
朝御飯食べそびれたな。
僕何かもろうてこよか?・
(ハナ)西門さ〜ん!ああ…。
追いかけ茶持ってきました!追いかけ茶?
(ハナ)追いかけ茶いうんです。
奥さんらがご主人が出たあとに炊いて追いかけて持ってくるから。
はい。
お茶がゆ?
(ハナ)この辺では茶かいいいます。
はい。
(泰介)茶かいか。
頂きます。
頂きます。
おおきに。
(すする音)
(すする音)
(かじる音)
(すする音)にぎやかな音する御飯やねえ。
ずるずるばりばり。
家族多いともううるさいですよ。
この辺ではずるずるばりばりは家族の音いうんです。
ふ〜ん。
へえ〜。
(武夫)おうハナ。
ちょっと運ぶん手伝うてくれ。
(ハナ)お父ちゃん!僕行くわ。
あの〜昨日歩いてたら道で会うた人に伯母の身内やて言わん方がええみたいな事言われたんですけど何でですか?先々代奥様の舅はんは仏さん言われてはったんです。
仏さん?小作が小作料を払わんでも「ええでええで大変やろう」で保証人にはなってくれはるで。
お姑さんが倒れて後妻に来はったんやけどそらもう気ぃは回る手ぇは早い畑仕事もいとわんで三国一の嫁やて評判やったんです。
それが先々代が亡うなりはった辺からかいな。
ばったばった大鉈を振るい始めはったんです。
大鉈…。
(武夫)ご自分で出向いて取り立てはしはるし押収するし書類まで書かしはるし。
三国一の嫁はあっという間に鬼嫁言われるようになって。
伯母は何て?
(武夫)何も言わん。
何も言わんと黙々と小作に作物の品種変えるように言うたり肥料を工夫するように言わはったり。
それがえらい成功してな。
わしみたいに楽になったもんも多て。
そういう連中は奥様こそ仏さんみたいやと思うてる。
厳しいけどな。
ああっ!タイチ!よいしょ。
(くじく音)あ…。
けどあれやな。
何でいまだにお母さんにだけはしょうもないいけずしはるんやろなあ。
それは…ずっといけずし合うて約束したからや。
(泰介)はあ?まあ約束守ってはるだけとも言えるんや。
ほなお母さんもやり返さんと。
今そんな気力は…。
あの…奥様が呼んではるんですけど。
2014/03/05(水) 12:45〜13:00
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 ごちそうさん(129)「い草の味」[解][字][デ][再]
め以子(杏)と泰介(菅田将暉)は和枝(キムラ緑子)の農家に疎開する。和枝は相変わらずで、め以子は料理を手伝うが食べさせてもらえず、泰介とともに畑に追い立てられる
詳細情報
番組内容
ふ久(松浦雅)と赤ん坊、そして静(宮崎美子)は別々に疎開する。め以子(杏)と泰介(菅田将暉)は和枝(キムラ緑子)の農家に世話になることに。無効とはいえ、西門家の権利を和枝に譲るという一筆を書く2人。め以子は料理を手伝わされるが、自分たちは食べさせてもらえない。翌朝には泰介ともども畑に追い立てられる。言い合っているめ以子と和枝は、泰介にはどこか楽しそうに見える。そして和枝のこれまでを、め以子は知る。
出演者
【出演】杏,宮崎美子,キムラ緑子,菅田将暉,松浦雅
原作・脚本
【作】森下佳子
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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