きょうの健康「意外な癖も原因!?顎関節症」 2014.03.19

(テーマ音楽)皆さんの毎日の健康に役立つ確かな情報をお伝えします。
「きょうの健康」です。
今日はこちら…顎の問題ですよね。
早速お迎えしている専門家をご紹介致します。
顎関節症をはじめとした顎の病気の診断や治療がご専門です。
どうぞ今日はよろしくお願い致します。
それでは早速こんな人の例を見てみましょう。
Aさん主婦62歳の方です。
10年前から口を開けた時の顎の痛みに悩んでいました。
そこで近所の歯科を受診してみました。
「顎関節症ですね」と診断され歯のかみ合わせの治療をしました。
ところが症状はよくなりません。
この10年間で4か所も医療機関を回って治療を繰り返してきました。
さて最近ある病院で「癖がありますね」という事を初めて指摘されその癖を直しましたところ痛みは数か月ほどでなくなりました。
現在は快適な毎日を過ごしています。
こんなAさんです。
さあ伺いましょう。
Aさんは実に長い間顎の痛みに悩んでいましたが癖を直すだけでよくなったというのはちょっと不思議に思いますがこんな事がよくあるんですか?まず顎関節症のお話をしますと顎関節症というのは一生の間2人に1人は経験するといわれているぐらい非常に多いんです。
ただ中にはなかなかよくならないでいらっしゃるという人がいらっしゃったんですが最近は治療の方法が若干新しいものが出てきましてそれを行うとAさんのように今までよくならなかった人が改善する事が増えてきたんです。
それをじっくり伺いますがそもそも顎関節症はどんな症状が出るんですか?まずは口を開けると顎の関節や筋肉が痛むという症状が出ます。
2つ目が口が途中までしか開かない。
基本的には指2本分くらいしか開かなくなる事があります。
そういった症状が出ます。
もう一つあるんですが口を開け閉めする際にカクカク音がするという現象が起きます。
ただほかの問題がなくて音だけで痛みがなければ治療の必要はないと言えます。
代表的な症状…音だけで支障がなければ治療の必要はないだろうと…。
こういった症状が何か1つ以上あった場合には顎関節症の疑いがあると考えて下さい。
なぜこんな症状が出るんでしょうか?実は昔は顎関節症の原因として筋肉とか何かが疲れてしまうという形で出ると考えられていたんです。
それで筋肉だけではなくてもう一つありまして関節がここにあるんですがこの関節がいろいろ問題が起きてくると特に多いのが関節円板の異常によって音が出てきたり口が開かなくなる痛みが出るといった問題が起きるんです。
まさに顎関節の問題。
それから筋肉の緊張の問題。
2つの要因があるんですね。
しかしAさんの治療ですが「顎関節症ですからかみ合わせの治療をしましょう」という事で歯を削る治療をなさったようですがこれはどうしてなんですか?これは以前は顎関節症の原因としてかみ合わせの悪さが原因だと考えられていたものですからそれを治すという治療を受けたんですが最近かみ合わせの悪さだけではなくてそれ以外にもストレスであるとか夜中の歯ぎしりであるとか「ある癖」であるとかそういったもろもろの問題が関係して症状が出る事が分かってきたんです。
ではかみ合わせの治療は適切ではなかったんですか?Aさんの場合にはかみ合わせの問題はそれほど大きくなかったと。
ほかの問題があるのにそれに対する対応をしていなかったのでよくなかったんだと考える事ができます。
ですからそういった問題がいろいろあってその人の耐久力を超えてしまうと症状が出てきますのでかみ合わせだけを治してもほかの問題が残っていればよくならないという事になります。
まずかみ合わせの治療というのは今の流れとしてはよくないんですか?現時点ではかみ合わせを削る治療に関してはよくならなかった場合に元に戻せませんのでそういう意味では今ガイドラインでかみ合わせを削るべきではないとされています。
まずはほかの事から対応していくという事でしょうね。
具体的にどういうふうに治療していくんでしょうか?例えばこちらにありますがこれは保険治療で認められているマウスピースです。
こういったものを歯にかぶせてそれによって理想的なかみ合わせを作ってあげる事によって関節や筋肉への負担を減らす。
あるいは鎮痛薬をお出しして痛みに対してそういったものを和らげる治療をします。
またはこういったストレスなんかは…こういった場合には筋肉の緊張や歯ぎしりの原因ともなるのでそういった緊張を和らげるための心身の自律訓練法であるとか筋弛緩法といったものをご指導する場合もあります。
Aさんのケースを振り返りますが歯を削ったりしてもよくならなかったんですが「癖が原因ですよ」と指摘されてそれを直したところよくなったというこの癖が非常に気になりますが何ですか?これ。
これが最近注目されるようになってきたTCHという事なんです。
これは何かというと「歯が接触する癖」の略語なんです。
上下の歯がくっついている。
不思議に思いませんがどういう事でしょうか?基本的には歯をつける癖は本来ない状態でして…。
本当はない?通常は唇をつけていても上下の歯はどこも触らないんです。
会話する食事する飲み込むそういった時に触りますがこれはためて言っても20分以内。
離れている方が普通なんですね?そうですね。
ところがそれが何十倍もの時間触っている人がいるんです。
上下の歯の接触がなぜ顎関節症につながるんですか?それに関してはご自分でやってみると分かりますが…。
かみ合わせのための筋肉に指をあてて歯をつける離すとやってみると筋肉が働く事がお分かり頂けるかと思うんです。
こめかみの後ろと耳のちょっと前辺りですかね。
こういうふうにしてやって頂くと筋肉が働くって事が分かるんですが要するに歯が触ったままにしているとずっとこの筋肉が働き続けちゃうんです。
それによってくたびれれば筋肉痛が出てきますしここが働いているという事は関節を押さえつけている事になりますのでこれによって関節への余計な負担がかかりますからこれが顎関節症を引き起こすという事なんです。
これは意外な癖でございました。
こういう癖が自分にあるかどうかはどうやって分かりますか?ではちょっとやってみて下さい。
これで口の辺りに違和感があるようでしたらTCHの可能性があります。
別に大丈夫ですよ。
ほかにもう一つTCHを持っていらっしゃる人が典型的な形で口の中に変化が出てくる事があるんですが例えばTCHがあるといつもほっぺが歯に押しつけられているのでこういった形で歯形がほっぺに出てくるんです。
筋がついていますね。
それから舌が緊張している事も多いので舌が歯に押しつけられていますからやはり歯形がついてくるんです。
このベロの所へこんじゃってますね。
こういった形であります。
この癖がある人は必ずTCHがある訳ではないんですがTCHのある人はこのマークが出てきます。
こういう癖がある場合の治療が歯科で行われるようになってきているんですか?そういう事です。
この治療が行われるようになってAさんのような人もよくなるようになってきたんです。
どうするかという事なんですが単純にやめなさいと言ってもなかなかこの癖というものはやめられないんです。
無意識の癖ですからね。
まずは…そのためには先ほどやったように軽く歯をつける歯を離すという事で顎の筋肉が働く事を自覚して頂く。
これが非常に重要なんです。
L字に当ててみてね。
これが分かると次の…これをやる事ができるんです。
どういう事でしょうか?こういった貼り付け式のメモを用意して頂いて…何でもいいです。
こういったメモを10枚以上用意して頂いてこれをおうちの中や仕事場にペタペタ貼って頂く。
自分の行動範囲の所に貼る訳ですね。
そしてこのメモに気付いた時に1回だけ力を抜くというのをやって頂きます。
力の抜き方は鼻から息を大きく吸い込んで一気に息を吐き出す形でやるんですが…。
ちょっと私を見て下さい。
こんな感じでやります。
これを1回やります。
ただ張り紙はあちこちにありますから「あっここにあった。
こっち向いたらまたあった。
あっち行ったらまたあった」ってそういうふうになるんです。
いつも見る所…私はいつもここを見ていますからこれを見る度にやればいいんですね。
これを繰り返し繰り返しやっているとそのうちに歯が触っている事に気付くようになりまして更に続けていくとこの気付きを得る前に触った刺激だけで瞬間的に離すようになる。
こういうふうな形で条件反射で離すようになれば歯の接触時間をグッと短くする事ができるんです。
長い間くっついていた時間がグッと短くなる訳ですね。
こういうトレーニングというか癖を直す事はどれぐらいで効果が出てきますか?個人差はありますが早ければ2〜3週間で効果が出てくるはずです。
その効果を期待してやってみるといいですね。
こうした癖を直していく治療が歯科で始まったと言いましたがどこの歯科でも受けられる状態でしょうか?これは新しい治療法ですのでどこでもという訳にはいきませんで健康保険も適用されませんので治療費は全額自己負担となるんです。
お住まいの近くでこういった指導を受けられる場所をお探しの場合には…こういったサイトがございますのでそちらのホームページにある問い合わせからご相談して頂くといいと思います。
ただ現時点ではこういった事を対応している歯医者も少ないですし必要なものはメモ用紙ぐらいしかございませんのでこれをやってよくならなかったからといってそれによる害もありませんからまずはご自身でやって頂くのがよろしいと思います。
まず試してみればいいですね。
ただ痛みが非常にひどい人の場合はどう治療していくんでしょうか?痛みそのものに関しては別にリハビリトレーニングをやって頂くと…。
どんな事をやるんでしょうか?具体的にはあえて口を開けて痛みを出すというトレーニングをやります。
痛みを出すのを繰り返しやっているとだんだん痛みが出にくくなって結果的に痛みが消えていくんです。
痛いのに無理して開けていって大丈夫なんですか?大丈夫です。
こういった事を繰り返す事で数週間から場合によっては何か月かかかる場合もありますがご自分でできますのでこれも無理のない範囲でやって頂くのがよろしいと思います。
痛いからといって動かさない方がよくないんですね。
動かさないと痛みに対する敏感さが改善しないんです。
この病気で手術をする事はございますか?現在は手術はほとんどなくなりまして数千例に1例あるかないかぐらいまで減っているはずです。
ですから顎関節症かなと思われたら手術であるとか歯を削る治療を受ける前に無意識に歯をつける癖がないかどうかをしっかりと疑って頂く事がよろしいと思います。
歯をくっつけている癖があるかないかをよく確認して頂いてそれを直す事が症状の改善につながるという事でしたね。
どうもお話ありがとうございました。
「きょうの健康」明日のテーマはご覧のテーマです。
是非ご覧下さい。
2014/03/19(水) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康「意外な癖も原因!?顎関節症」[解][字]

一生のうち2人に1人が経験すると言われる「顎関節症」。開口時の痛み・開けづらいなどの症状が。最近、上下の歯の接触癖など様々な要因が関係することがわかってきた。

詳細情報
番組内容
一生のうち、軽いものを含めると2人に1人が経験すると言われる「顎(がく)関節症」。開口時の痛み・開けづらいなどの症状がある。以前は、“かみ合わせの悪さ”が原因だと考えられ、歯を削る治療が行われた。最近は、顎関節症の発症には、ストレス・歯ぎしり・上下の歯が接触する癖なども関係することが分かり、要因に合わせた治療が大切に。上下の歯の接触癖のチェック方法や、自宅でも簡単にできる癖のなおし方などを紹介。
出演者
【講師】東京医科歯科大学准教授…木野孔司,【キャスター】濱中博久

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0×0808)
EventID:28353(0x6EC1)