ひるブラ「熊野古道 自然の恵みが歴史を作った〜三重県尾鷲(おわせ)市〜」 2014.03.19

生字幕放送でお伝えします
森の奥深くにすーっと一本通る石畳。
これ、世界遺産登録から10周年を迎えた熊野古道です。
この石畳これ、一つ一つが江戸時代の人たちが運んで並べたものなんです。
歴史を感じますね。
この長い熊野古道の中でも景観が美しく、特に人気のエリア馬越峠にやってきました。
本当にね空気がおいしいんですよね。
空気を食べたくなるってそんな感じですよね。
きょうは、この豊かな自然そして人が形成してきた聖なる道の魅力をたっぷりと再発見したいと思います。
徹さん!
はい、はい、はい!私にも空気食べさせてくださいよ。
どうぞ!
でも、雰囲気伝わってますよ。
東京にいながら森林浴させてもらってるようないいところですね。
ちなみに熊野古道は来られたことありますか。
ずいぶん昔にね。
ですから世界遺産に登録されるちょっと前ぐらいにお邪魔したことがありますね。
だいぶ前ですね。
10年以上前ってことですね。
来られたことはあるんですね。
はい、はい。
ただ、渡辺さんなんのための道か、ご存じですか。
伊勢神宮とか参拝するための参道なんじゃないですか。
さすが言っちゃいますか答えを…。
ただね存じ上げてない方もいらっしゃると思います。
説明します。
この熊野古道は熊野三山と呼ばれる3つの神社へ参拝するための参詣道なんですね。
特に、伊勢神宮からのルートはこれ170kmありまして伊勢路と呼ばれています。
そして、きょう私たちが来ている場所この星のある辺りですね。
馬越峠という辺りです。
ちょうど中間地点辺りですね。
特に人気のスポットらしいですよね。
私たちの後方が伊勢神宮につながっています。
春香さん、改めてこれ、後ろ見て、どうですか。
景色。
きょうね、木漏れ日もさし込んでて本当にきれいですしシダ植物がきれいですよね。
青々としてて。
気温が暖かいのでこのように亜熱帯植物シダ植物が咲き誇っています。
そして、さっきから鳥の鳴き声なんかも聞こえましたよね。
うぐいすが年中鳴いているそうですよ。
そして上を見上げていくと…。
ひのき。
いい香りがしますね。
これが馬越峠の美しいといわれる理由の一つなんです。
ここ尾鷲は上質な、ひのきが育つのに適した環境なんですよ。
三重県南部の尾鷲市。
黒潮が流れる豊かな海に囲まれて漁業が盛んです。
特徴は雨が多いこと。
年間降水量は東京の2倍以上のおよそ4000ミリです。
私たちがいる、馬越峠にも一年を通して多くの雨が降り注ぐんです。
雨が多くてさらにこれ、石も多くて痩せた土壌。
これが、良質なひのきを育てるということなんですね。
しかし本当に香りがいいんですよね。
きのう雨が降ったからですかね。
さらにいい香りがしますけど。
このひのき、立派じゃないですか。
ちょっとご覧ください。
大きいし、太い。
ほら、ほら。
手が回らないくらいの。
ちょうど育って70年ぐらいたった、ひのき。
いい木ですね。
70年がたった尾鷲ひのきと呼ばれています。
いい香りするんですか?
そうですね。
全体的にひのきが非常に多いのでいい香りがしますよ。
あと、春香さんちょっと触るとしっとりしませんか。
しますね、気持ちいい。
油分がたくさん含まれていて木材にすると丈夫なしなりのある…。
木はいいですね。
油分が含まれてると褒められて。
俺なんか油分含んでるから怒られますけどね…。
またまた。
ぜひそれは山を登って油分の解消をしてほしいです。
エクササイズでね。
そして、私たちが持ってるつえも、実はひのきなんですよ。
これもいい香りがするんですよね。
雨にぬれるとよりいい香りが漂ってきて、またこれ自然の癒やしを楽しめる。
ひのきは昔から木材として地域に根づいていたものだったんです。
尾鷲で林業が始まったのは江戸時代です。
尾鷲ひのきは、古くから地元の人たちの生活に根づいて愛されてきました。
こちらは尾鷲市の小学校。
壁にも、そして柱にもふんだんにひのきを使っていますよ。
地元の人たちはさまざまな工芸品を作っています。
暖かい色合いと、よい香りで子どもからお年寄りまで人気があります。
そして、江戸時代からの伝統を誇る工芸品が尾鷲わっぱです。
漆塗りのお弁当箱で主に山仕事をする人たちが使用してきました。
ひのきを削り、丁寧に曲げそして桜の木の皮を用いて縫い合わせていきます。
すべてが手作業。
完成まで2か月を要します。
こちらがその尾鷲わっぱです。
漆が、つやつやしていて美しいですよね。
すごい光沢。
顔が映った、映った!
映りました!本当だ!ほらほら。
木漏れ日で、光っていますし美しいでしょう。
鏡代わりになるのかな。
この辺りで林業を営んでいた人たちが肩や腰に結わえてお弁当箱として山登りをしていたんです。
ぜいたくな弁当箱だな。
本当ですよねきれいですよね。
ただ、なぜ結わえなきゃいけなかったか。
これ、春香さんこの先、急なんですよ。
こういった急斜面もあってね。
なかなかな道ですね。
だって170kmもあるんでしょう。
これがずーっと続くわけですから。
170km歩いたんだね。
そういった道を。
昔の人は、すごいな。
ただ、渡辺さんひのきの話ばかりしましたけどこの石、これ、尾鷲の雨と深い関係があるんですよ。
尾鷲、非常に雨が多いんですよね。
というのは尾鷲は下からも雨が降るといわれてるんです。
下から雨が降る?それ、なんでですかね。
それは雨の粒が大きくて激しく上からどしゃ降りのように降り注ぐんですよ。
それが、はじきかえって尾鷲は下から雨が降ると。
それぐらい激しい。
本当にそれぐらい激しい雨なわけですから道がやっぱり丈夫じゃないといけないということでこの熊野古道こうやって石畳ができたといわれてるんです。
雨で削れちゃったりするからね、土だと。
ただ、これ石、見えますけど表面の石だけじゃないんですよ。
実は、もっと奥深くにも何層にも石が積み上げられてるんです。
それぐらい丈夫にしないといけなかったってことですよね。
江戸時代にやって今もなお残ってるわけですからね。
すごい知恵と知識ですよね。
170km石畳なわけ?
この石畳がほとんど続くわけなんです。
伊勢神宮、そして熊野三山へ向かう道がですねこのようになっていると。
残っているところも部分部分であるということですね。
きょうは晴れていて非常にきれいですけどこれね、天候によっても石畳の表情が変わるんです、ご覧ください。
ここ馬越峠は、雨の日にはこんな幻想的な風景になります。
雨にぬれた石畳がくっきりと浮き上がってきれいですよね。
まさに、雨と共存してきた石畳ならではの風景です。
八田アナウンサーはちょっと先に行っちゃいまして旅人を守ったと言われている大岩のほうに行きましたけれども私はこれから熊野古道がどうして旅人に愛されているかを探りにあるところへ向かいたいと思います。
では、行きましょうか。
景色が変わってきましたよ。
先ほどは、ひのきがよく見えるところでしたけどもほら、一気にこちら側は開けてきましたよ。
眺めがいいですね。
向こう側には町並みなんかもちょっと見下ろせるようなそんなスポットです。
いいですよね。
クリスティーンは出身どこだっけ?スイスだっけ?
私、スイスですよ。
山で育ったんじゃないの?
そうですよ懐かしい感じがしますよ。
こういった山を見ると。
♪「ヨーロレイヒー」
歩き方がすごいへっぴり腰に見えるんだけど大丈夫?
ばれました?慎重に歩かないとと思いまして。
気をつけて歩いてくださいね。
そして、こちら手前にある木は桜の木で、今、まだ咲いてないんですけどこれから4月になるときれいに咲くんですね。
これからが見頃です。
そして、こちら、新芽があるのでちょっと見てください。
こんなにいっぱい渦を巻いてますよ。
見えますか?この、くるくるとなってるところがこれは、4月になると伸びてこういった感じになるんです。
これ、シダ植物の一種でウラジロというんですけどなんで、ウラジロか。
裏をご覧ください。
白いんです。
名前のとおりなんですけど。
これ、清潔感がある。
あとね、白髪になるまで共に生きようというそういった意味合いがあって縁起物としてお正月なんかに飾られるんですよ。
どんどん行きましょうか。
この道、先ほどもお話しましたけど…。
その歩き方は…。
スイス出身とは思えないくらいの歩き方でございますけれどもね。
170kmもある道で今はウオーキングで訪れる方も多く女性にも人気のわけですけどもここ、馬越峠だけでも年間3万人以上が訪れるということなんですが昔は170kmある道を非常に険しい道ですから参拝のために訪れていてそして、熊野への道は決して楽なものではなかったのでそのあまりの険しさに息絶えた方もいらっしゃるそうです。
そんな熊野古道では旅人の安全を祈るそういった場所があるのでこちらをご覧ください。
170kmの道のりに数多くあるのは、お地蔵様です。
命の危険があるにもかかわらずそれでも熊野を訪れたいという旅人は、たくさんいました。
その旅が無事に終えられるようにとそういった願いが込められているんです。
私も旅を続けておりますけどあ!ちょっと、すてきなもの見つけちゃいましたよ。
ちょっと春を感じてください。
見えますかね。
ちょっとだけですけども。
桜が白く咲き始めてます。
こちら、オオシマザクラっていう種類の桜ですね。
ソメイヨシノのもとになった桜なんです。
ソメイヨシノより少し咲き始めるのが早いんですけどもね。
今は1分咲き2分咲きくらいですかね。
これから、どんどんきれいに咲いていくと思いますけどね。
いち早く春を感じております。
山は本当に季節を感じられる場所だよね。
どの季節に来てもどの天気のときに来ても本当にね楽しめますよね。
なかなか歩き方がへっぴり腰ということで笑わないでください。
ごめんね、安全第一でお願いしますよ。
この道を昔から人が使っていたと思うと本当に歴史を感じますし…。
昔の人はそんなにへっぴり腰じゃなかったんだろうけどね。
本当ですよね。
徹さん!私ね、古道を少し外れてより険しい山の中へと進んできました。
ここにとっておきの旅人を守った自然の守り神があるんです。
今、お見せしますよ。
ご覧ください。
分かりますか?巨大な岩です。
どれぐらいのサイズか今ね、私と比較してご紹介しますから。
この険しい道を下がっていって…。
そんなに大きいんだ!
でかいんですよ。
10m超えますから、高さが。
トリックアートじゃないだろうね。
すごい、こんな大きいんですね。
渡辺さん、ここでクイズです。
この岩がなぜ旅人たちの守り神なのか想像つきますか。
一つに、雨が多いからそこでちょっと雨をしのぐ、雨宿り。
もしくは俺が考えられるのは上に上って座って、お弁当を食べる。
それぐらいしか浮かびません。
すみませんなんでも当ててしまいますね。
正解です。
雨宿りをする場所なんですがちょっとね、私のほうへ来てもらっていいですか。
乗り出してこちらまで来てください。
この私の近くへ来るとすごく分かりやすいんです。
カメラさんも気をつけていってくださいよ。
険しい道ですからね。
その辺りで、上をご覧ください。
この岩に沿って、ぎゅーっと曲線を描いているの分かりますか。
せり出してるんですね。
この下にいたら絶対にぬれないとそう感じるくらいせり出している岩なんですね。
この岩、これだけすごい岩なのにガイドブックにも載っていないし名前もないんですよ。
というのもですねこれ、熊野古道の至る所にあるから町の方地元の人にとってはこれ、自然な光景らしいですよ。
そして、これ、石畳と同じ成分でできていてこういった岩を削ってあの石畳をつくったそうなんです。
ほかから持ってきたわけじゃなくてそういうのを削りながらつくったわけですね。
でも、これ1500万年前の火山でできた岩なんですけどずっと地中に埋まってたんですよ。
それがこのような形で地上に出てきて。
また、これ下にいるとどのような気持ちで、ここで旅人たちは一夜を過ごしたのかとかそういった思いをはせるといいますかそれまでしても熊野三山へたどりつきたかったと。
それだけの道だったんですね。
徹さん!
はいよ!
熊野古道がどうして旅人に愛されているか。
その秘密を探りたいと思います。
先ほども申し上げましたけどもその秘密は、こちらです。
やっぱりね、おいしい料理ですよ。
きょうは地元のお母さんたちにもお越しいただきまして。
おいしい料理を持ってきてもらいました。
まず最初にご紹介したいのはこちら。
さんま寿司という。
おいしそうですよね。
これ、尾鷲は、漁協があっておいしい魚が取れる町なのでこちら、名物なんですよね。
よく食べられるんですか?さんま寿司。
自分が食べたいときには食べる。
さんま寿司食べたくなるなってときですか。
これは、家庭でいろいろと食べたいときに食べます。
そして、お隣、カラフルできれいですよね。
押し寿司っていう名前なんです。
これはどういったときに食べるんですか?
お祝いのときやら皆さんで集まるときなんかに作って、食べます。
何がのってるんですか?
上にのっているのはなんですか?
これは、さんまとにんじんと卵と、ごぼうです。
時によって違うと?
はい、そうです。
家庭にもよります。
本当に色とりどりできれいですけど。
徹さん、どっちが食べたいですか。
珍しいから押し寿司のほうをいただきたいですけどもね。
じゃあ、押し寿司。
こちらを…。
え?なんだ、俺に決めさせてあなたが食べるのね?
なんかおっしゃいました?押し寿司っておっしゃいましたよね。
押し寿司を…はーい!代わりに私がいただきますね。
うーん!きゅっと締まっててお酢で締まってて、おいしいです。
放送を考えて口に入れなさいよ。
だっておいしそうだったんですもん。
結果的にどっちを食べてもさんまを食べるということになるんですけどね。
そして、お隣。
ご覧ください。
尾鷲わっぱ先ほど紹介しましたね。
この中には何が入ってるんですか。
ごはんが入っています。
真っ白いごはんと梅干しおいしそうですね。
これをどうするんですか?
昔のポットがない時代に寒いときは、みそとねぎを入れまして…。
それで、お水を。
その当時はお水ですよね。
ちょっと今はお湯になってますけど…。
入れて、薪などで焼いた石を入れます。
もう1個入れます。
これで、みそを焦がして香ばしくして飲むんですけど。
うわ、いい音ですね。
なんていう名前なんですか。
これは石焼きみそ汁ですね。
そのまんまですよね。
わっぱに入った石焼のみそ汁。
これはアイデアだな。
いいですよね。
水を入れて焼け石を入れる。
もうちょっとしたほうがいいんですけど、これで。
アツアツの湯気が立ってますよ。
熱いですから気をつけてください。
すいません一番いいタイミングで戻ってきましたけども。
いい匂い!ずっといい匂いしてて思わず入ってきちゃいました。
すいません。
いただいちゃいます。
はい、どうぞ。
あったかい!おいしい。
しかもね、本当に石でじゅーっとおみそがちょっと焦げた感じが香ばしくて味が出てておいしい。
昔の人はしかも長い距離を歩いたうえにこれを召し上がるわけですからたまんなかったでしょうね。
これは、たまんないですね。
においだけ楽しみますわ。
いいにおい!
あとでゆっくりね。
自然を楽しみながらそして、グルメも堪能してさらに、歴史を味わう。
歴史を感じながら歩く熊野古道。
最高だと思いませんか。
懐、深いですよね。
ちなみに今月末高速道路も開通予定なのでさらに、アクセスが便利になります。
どうですか昔の方は命懸けで頑張ってきた道を今、私たちはありがたく。
つくりあげてくださったわけですから。
感謝をしながら上りたいと思います。
2014/03/19(水) 12:20〜12:45
NHK総合1・神戸
ひるブラ「熊野古道 自然の恵みが歴史を作った〜三重県尾鷲(おわせ)市〜」[字]

熊野と伊勢神宮を結ぶ「熊野古道伊勢路(170キロ)」は、ふたつの聖地を結ぶ人気のルート。世界遺産登録10周年、自然との共生によって形作られてきた聖なる道の魅力。

詳細情報
番組内容
【ゲスト】春香クリスティーン,【コメンテーター】渡辺徹,【司会】八田知大 〜三重県尾鷲(おわせ)市から中継〜
出演者
【ゲスト】春香クリスティーン,【コメンテーター】渡辺徹,【司会】八田知大

ジャンル :
バラエティ – 旅バラエティ
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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