はぐれ刑事純情派14 2014.03.05


(横溝署長)安さん。
(安浦刑事)あ署長。
こんな時間までお仕事ですか?いや…。
安さんも仕事か?明日中に清算しないと課長が金を出さないって言うもんで…。
これ残りを家に帰って片づけるんです。
課長も経理からせっつかれてるんだろう。
大変だろうけど協力してやってくれ。
どうだ?久しぶりに行くか?よろしいですな。
ありがとうございます。
署長がこんな時間までいるなんて珍しいですな。
いやちょっとな…。
家に早く帰りたくなかっただけだよ。
え?実はな知人の娘さんが高校に入学したんでお祝いを送ったんだ。
そしたらご丁寧に礼状をくれた。
それがうちのカミさん気に入らんらしくてな。
その礼状の方ってのは奥さんがご存じない方だったんですか?そのとおり。
まったくご存じない人だったんだ。
その方ってのは女性ですな署長。
そういうことだよ。
夫婦ゲンカか…。
羨ましいな。
安さんのやもめ暮らしももう何年になる?男手ひとつでよくがんばってるな。
いやあ家のことは全部子供たちがやってくれますから。
ひとり暮らしが気楽でいいですよ。
エリちゃんもユカちゃんも嫁にいったら寂しくなるぞ。
ええ…。
(川辺課長)安さん遅いな。
(安浦)まいど。
今署長から伺ったんだけどゆうべ一緒に飲んだんだって?いやあ久しぶりにうまいものごちそうになりました。
(田崎婦警)えーいいなあ。
なに食べたの?刺身は平目の薄造り。
ポン酢でね。
焼き物は?焼き物は鰆。
煮つけはカサゴの煮つけ。
話の中で私のこと何か出なかった?いえ別に。
全然?全然です。
…でお金は誰が払ったの?もちろん勘定は署長に払ってもらったんです。
安浦さんそういうときは私にも声かけてくださいよ!ひとりだけいい目みていいね。

(電話のベル)はい刑事課。
泥棒に入られた?ああそれは間違いないですね。
じゃあ住所とお名前お願いできますか?お金が置いてあった場所は?
(新倉雅子)このひきだしの中です。
この中に入れてあったお札だけ…。
昨日生活費を下ろしたばかりで14万3000円か4000円あったと思います。
(里見刑事)間違いありませんか?勘違いということは?いいえ。
昨夜娘に学校へ持たすお金を出したときは確かにそれだけあったんです。
窓の鍵が開いていたということですが?ええ。
こちらです。
(里見)この部屋は?
(雅子)物置に使ってるんです。
お金がないとわかってあちこち探してるときにあの窓が開いてるのに気づいたんです。
昨夜は閉まってたんですかね?はい。
もうずっと開けたことがないんです。
主人と娘にも訊いたんですが開けてないって…。
(里見)そうですか…。
でも窓ガラスを割らずに鍵を開けたとなると犯人は他の出入り口から入ったかあるいは…身内の犯行とも考えられますね。
疑うようで嫌なんですけど…。
うちには寝たきりのおばあちゃんがいるんで夜中にヘルパーさんが来てくれるんです。
預けている鍵で家に入っておばあちゃんの世話をして帰って行くんですけど…。
(宮田みどり)「まずお顔からよろしいですか?」と必ず声をかけてください。
声をかける理由というのは相手の方とのコミュニケーションということもありますしその日の状態をこちらに伝えるきっかけにもなるんですね。
お待たせしました。
お仕事中どうもすみません。
どういうご用件でしょうか?南町3丁目の新倉さんというお宅がこちらのサービスを利用なさってますね?ええ。
寝たきりのおばあちゃんがいるんです。
(野田刑事)昨夜その新倉さんのお宅で盗難事件が発生しました。
それで一応話を伺えたらと思いまして。
昨日新倉さんのお宅に行ったヘルパーさんの名前をきかせていただけませんか?小峰倫子さんです。
でも…。
どうしました?小峰さんはそんなことをするような人じゃありません。
ただ…10日程前にも彼女の担当するお宅で同じようなことが。
(チャイムの音)
(小峰倫子)はい?小峰倫子さんですか?私ども山手中央署の者なんですが少々伺いたいことがあるんですが…。
昨日の夜南町3丁目の新倉さんのお宅へお仕事にいらっしゃいましたね?はい。
そのときおばあさんは起きてましたか?いいえ。
眠ってらっしゃいましたがすぐに目を覚まされました。
そうですか。
実は現金14万ばかり盗まれてるんですが。
さあ…私には…。
いつもと何も変わりありませんでしたが…。
じゃ失礼しようか。
ありがとうございました。
ご苦労さまでした。
これで帰るんですか?
(安浦)ああ。

(高木刑事)戻りました。
課長。
小峰倫子には今年15歳になる瞳という娘がいるんですが2つのことがわかりました。
1つは去年の夏なんですが遊泳禁止の海岸で酒を飲んで仲間の1人が高波にさらわれて死んでるんですよ。
あ救助に行った連中に文句言ったグループだ。
そうです。
もう1つは2か月前盗んだバイクを乗り回して事故を起こしてます。
母親は事故を起こしたバイクの弁償を今日済ませてるんです。
いくらだ?
(今井刑事)少年の親と折半して40万ずつです。

(野田)あの子です。
小峰瞳さんだね?
(飯沢将司)何だよ?
(杉本拓也)お巡りが何か用かよ?俺たちまだ何もやってないぜ。
君のお母さんは訪問介護の仕事をしてるよね?その担当の家で窃盗事件が起きたんだよ。
(小峰瞳)だったらあの人に訊けばいいじゃん。
「あの人」ってのはお母さんのことかね?
(瞳)そうだよ。
お母さんにも訊いたさ。
そのことで君たちにちょっと訊きたいことがあってね。
おい言葉に気をつけろよ。
俺たちが学校行かずに遊んでるからって俺たちがやったことになんのか?いや関係ないならいいんだけどさ。
いちいちうるせえな。
わかったら消えろよ!
(本間愛)ねえ刑事さん。
お小遣いくれない?くれるならちょっとくらいつき合ってもいいよ。
何を言ってるんだ!君たちまだ未成年だろう!?
(瞳)赤くなってる。
(愛)冗談に決まってんじゃん。
じゃあね男前刑事さん。
じゃあね。
拓也。
おいいつまで寝てんだよ。
拓也起きろよ。
(将司)拓也。
どうも。
いいですか?安浦さん!この子は…!
(安浦)うん。
瞳という子と一緒にいた子だろ。
(野田)ええ…。
安浦さん。
ガイシャの身元がわかりました。
杉本拓也17歳。
この部屋の住人です。
去年の夏海で問題を起こしたグループの1人です。
(里見)後ろから首を絞められてますね。
犯行からどれぐらいたってますか?
(鑑識員)足まで死後硬直が進んでますから14時間から16時間といったところでしょう。
昨夜の7時から9時の間ですか…。

(瞳)拓也!拓也!!入っちゃダメだ!私よ!どうしたのよ!入っちゃダメだ!どけよ!拓也に会わせろよ!!亡くなったんだ!
(今井)管理人さんです。
昨夜あの部屋に誰か訪ねてきませんでしたか?
(西村俊明)女の人がみえました。
女の人…。
いくつぐらいの人でした?40歳前でしょうか…。
どんな服装をしてたか覚えてませんかね?あれは…ピンクのユニホームっていうんでしょうか。
カーディガンをはおってました。
こんなこと言っていいかわかりませんがドアの前で拓也君と争ってるようでした。
おいちょっと!?
(物が割れる音)
(瞳)だから言っただろ!何しに拓也のトコへ行ったんだよ!?黙ってちゃわかんないんだよ!拓也のトコへ行ったんだろ!?何とか言えよ!!やめなさい!警察だからって勝手に他人の家へ上がってきていいのかよ?こういう場合は別なんだ。
やめなさい!昨日の夜杉本拓也君の所へ行かれましたか?…はい。
じゃあやっぱりお前が拓也を…!どんな用で行かれました?…私の担当しているお宅からお金を盗んでいるのが瞳と拓也君だったらもう2度としないと約束してもらおうと思いまして…。
そんなことがわかったら瞳も拓也君も今度こそ少年院へ送られてしまいますから。
君たちが盗んだのか?・
(安浦)野田。
杉本拓也君の所へ行ったのは何時ごろですか?8時ごろだったと思います。
そのとき彼は何か変わった様子はありませんでしたか?いえ…。
ただ「俺は盗んでない」って言うだけで…。
これは大変失礼なことをお訊きするんだが先日私がお邪魔した日にあなたはお嬢さんが壊したバイクの弁償をしてますね?そのお金はどこから?貯金を下ろして…。
それでも足りなくて保険を解約しました。

(高木)課長。
解剖の結果が出ました。
死因は絞殺。
吉川線が出ていることからも他殺に間違いないそうです。
死亡推定時刻は昨夜の19時から21時の間か…。
ビールを飲んで酔っ払ったところを絞めたんですかね…。
ビールの缶から前科のある指紋は出ませんでしたね。
8時ごろ訪ねた小峰倫子が気になるな…。
管理人は彼女が帰るのを見てたわけじゃないんだろ。
しかしあの人の話は信じていいと思うんですがねえ。
じゃ手がかりなしか?
(里見)戻りました。
ガイシャの少年の両親に会ってきたんですけどまあ母親はともかく父親は息子が死んでホッとしたって顔してるんですよ。
いくらワルだったからってあれじゃ可哀想だと思いました。
父親は何してるんだ?
(里見)開業医です。
医者か。
それじゃ鑑別所を出たり入ったりするような息子がいたら世間体が悪いよ…。
(川辺)しかし親が悪い!8時ごろガイシャの杉本のガールフレンドの母親がガイシャを訪ねてるんですがこの女性は今回の事件とは関係ないと思うんです。
その母親は何しに行ったんだ?ええ名前は小峰倫子という女性なんですが
(川辺)この娘がちょっと問題がありましてガイシャの杉本と娘が窃盗をはたらいてるんじゃないかと思いもしそうならやめるように説得に行ったというんです。
そういう事情ですからこの母親に関しては容疑者から外していいと思うんですよ。
な安さん。
そうですな。
わかった。
ご苦労だが捜査を続けてくれ。
どこだ?
(野田)ここです。
せっかく奢ってくれるならさフルーツパフェも食べていい?ああいいよ。
すみません。
フルーツパフェひとつ。
(ウェイトレス)わかりました。
お母さんが担当している家からお金を盗んだのは君と杉本君かい?どうなんだ?お母さんがそう思うにはそれなりの理由があるんだろう。
本当に君たちがやったんじゃないのかね?…あの人さあんな顔して男がいんのよ。
あの人ってのはお母さんのことかね?そういう言い方はよくないな。
ちゃんと「お母さん」と言いなさい。
いいんだよ。
たまにプレセントとか送ってくるからわかるんだ。
それで仕事とか言って出かけてくけど本当は男に会うんじゃないかと思って拓也と後をつけたの。
それで?そしたら玄関の鍵を開けたまま中へ入っていくから後からそっと入って窓の鍵を開けておいたの。
(野田)どうしてそんなことをするんだ?別に…。
遊ぶ金が欲しかっただけだよ。
そうかな?お母さんが君のことちゃんと見てくれないから勝手なことしてるんじゃないのかね?ふざけんなよ。
あんなババアが何しようと知ったことかよ。
お待たせしました。
署長…!別に隠すつもりはなかったんだが…。
小峰さんとはどういうご関係だったんですか?…ちょうど10年前だ。
出先の用事を済ませて署へ戻る途中大勢の人が走っていくのに出くわしたんだ。
で「何だ?」って訊いてみたら人が屋上から飛び下りようとしてるという。
で俺も駆けつけてみた。
そしたらその小峰さんがビルの屋上の端に立ってた。
〔来ないで…!〕
(倫子)〔来ないで!〕〔落ち着いてください〕〔それ以上近づかないで〕〔わかりました。
ですから早まったことだけはしないでください〕そうですか。
そういう事情があったんですか…。
でその瞳という子なその子はそのとき東京駅の構内に置き去りにされていた。
(倫子)〔瞳!〕〔ママ!〕〔瞳!ごめんね…!〕〔遅くなってごめんね…!〕
(横溝)それ以来あの親子のことが気になっててな…。
この間高校の入学祝いを送ったのもその瞳ちゃんにだよ。
さすがに署長お優しいですな。
そうだったんですか…。
亭主がいたんだがギャンブル好きで家に一銭も金を入れないような男だった。
で借金を残して蒸発してしまったんだ。
そうですか。
それから小峰さんは女手ひとつで瞳ちゃんを育てられたわけですね。
うん。
ねえお小遣いくれない?今夜泊まるところないんだ。
えっ?本当に泊まるところないの?うん。
やめろ!バカなことはやめろ!なんだお前?警察が口を出すことじゃないだろ。
恋愛は自由だよ。
この子は15歳だ。
それでも自由だというなら警察へ来てもらうことになる。
え君15歳なの!?そういうことは早く言わなくちゃ!せっかくカモ捕まえたのに邪魔すんなよ!そんなに自分を傷つけたいのか?私はどうせ捨てられた子供なんだよ。
父親は私たちを置いて出ていった。
母親にも捨てられかけたんだよ!どうなっても誰も気になんかしないよ!何すんのよ…!みんな君のことを心配してる。
君は大事な人なんだ。
お水飲みますか?よかったら言ってください。
会社へ伺ったらこちらにおられると聞いたものですから。
私も子供が2人います。
2人とも女です。
家内が早く死んだものですからね…。
私もこんな仕事をしてるしあまり親らしいことはしてやれませんでした。
まあいろいろありましたが大きな問題もなく2人とも成人してくれました。
それはお父さんがちゃんとしていらしたからでしょう。
(安浦)いやたいした親父じゃありません。
私思うんですが瞳さんは今あなたの愛を信じられなくてちょっと悪さをしてみせてるだけじゃないのかな?子供の不始末をかばってるだけじゃいつまでたっても問題は解決しない。
ときには心を鬼にしてうんと叱ってやる。
瞳さんもそれを待ってるんじゃないかな。
(片桐由美)その子自分の母親に恋人ができたかもしれないっていうのがすごくショックだったのよ。
5歳のときから親1人子1人で暮らしてきたからな…。
うちの署長もよかれと思ってプレゼントしたんだろうけど…。
子供っていつまでたっても親が自分を一番大切にしてくれるってそんなふうに思ってるものね。
安浦さんは知らないだろうけどエリちゃんユカちゃんに初めて会ったとき2人ともすっごく怖い目をして私を見たのよ。
おいおい…。
なんか婚約者のお母さんに値踏みされてるみたいだったわ。
ハハハ…。
そんなことあったっけ?それに親はいつまでたっても自分の子は子供だと思ってるし…。
笑っちゃったんだけどねうちの親がお米や野菜と一緒にお菓子を送ってくれたことがあったのよ。
私が子供のときに大好きだったお菓子。
それがね私がこのお店を始めてからなのよ。
ありがたいじゃないか。
それだけ心配してくれてるってことだよ。
まあいろいろ面倒くさいことがあるかもしれないけど親子ってのはそれでいいのかもしれないな。
ええ…そうね。
(瞳の歌うカラオケ)次なに歌おうかな…。
ねえあんたも歌いなよ。
日本の歌そんなに歌えないんだ。
アメリカで育ったから。
ふーん…。
じゃあ競輪場なんて行ったことないでしょ。
昔さ4つか5つのころ母親に手を引かれてよく行ったんだ競輪場。
帰ってこない親父を捜しにさ…。
何だよもう知ってることは全部話しただろ。
まあまあもうちょっとつきあってよ。
拓也君のことウザったいって思ってる人他にいなかった?昨日話しただろ。
聞いた人間にあたったんだけど全員アリバイがあったんだ。
じゃあもう知らねえよ。
よーく考えて思い出してほしいんだけど拓也君最近何か変わったことなかった?誰かともめてたとか新しい友達ができたとか…。
いつも誰かともめてたから…。
すごいことやるって言ってた。
すごいことって?近いうちにすごいことやって皆をビックリさせてやるって。
あ言ってた言ってた。
具体的にどんなこと?そんなの知らないよ。
知ってたらビックリするわけないじゃん。
バカじゃないの。
すごいことをやってビックリさせてやる?ええ。
そう言ってたっていうんですが…。
(川辺)それだけじゃさっぱりわからんね…。
これが何だっていうんだ?本棚があるのにこれだけひきだしに入ってたんですよ。
これは遺書とみていいんじゃないですかね?遺書!?じゃあ拓也君は自殺したっていうんですか?冗談言っちゃいかんよ。
遺体には吉川線もあったし間違いなく絞殺だという解剖結果も出てるんだよ。
自分で自分の首を絞めることはかなり難しいですよね。
もちろん絞めたのは他人さ。
だが拓也君は自分で死にたがってたんじゃないかな。
それが拓也君の言ってた“すごいこと”ですか?すると誰かが拓也君に協力して首を絞めたってことですか…。
まさか…小峰瞳が…?そんなこと信じられません!正直に話してほしいんだ。
杉本拓也君は仲間にすごいことをして驚かせてやるって言ってたらしいんだけどすごいことってどういうことか君知らなかったかね?これなんだがね…。
拓也君は最初から死ぬつもりじゃなかったのかな?
(安浦)どうなんだろうね?詳しく話してくれないかな?拓也の家は医者でお金持ちだから拓也は幼稚園に入る前から塾に行かされたって言ってた。
それでも拓也は友達と遊びたかったって。
それで小学校の試験も中学校の試験も落ちて公立の中学へ行ったけどそこでもテストのときわざと間違えてやったから成績は最低だったって…。
高校の入学試験に落ちたとき拓也のお父さんは「お前はうちの恥だ」って言って拓也を家から追い出したの。
拓也はただお父さんにかまってほしかっただけなのに…。
私も幼稚園のころ捨てられそうになったから拓也の気持ちはわかるんだ。
だからバイクや現金を盗んだっていうのかね?境遇が似ているからといって同情するのはよくないと思うよ。
君は拓也君に何か相談を受けなかったかね?本当は…一緒に死のうって言われたけど…断った。
本当に自殺じゃないの?うん。
拓也君は誰かに殺されたんだ。

(電話のベル)はい小峰です。
「瞳ちゃんかい?」あの…?こらベス。
どこ行くの?キャーッ!
(パトカーのサイレン)安浦さん。
今病院に着いてこれから手術が始まるそうです。
ご苦労さまです。
先生どうですか?
(医師)傷は内臓まで達していますがそれは縫合しました。
しかし出血が多いのでそれが心配ですね。
助かりますよね?今夜を乗り切れば…。
容態はどうだ?今夜がヤマだそうです。
そうか…。
久しぶりだね。
私は君に10年前に会ってる。
東京駅の構内で。
(横溝)先日君に高校の入学祝いを送ったのは私だ。
お母さんと会ったのはこの間の喫茶店が6年ぶりだ。
君が思ってるような関係ではない。
君は野田刑事や安浦刑事に幼稚園のときに親に捨てられかけたと言ったそうだけどそれは違う。
あのときお母さんはお父さんの借金を一手にかぶって身動きができずに死のうとしたんだ。
〔私は警察官です。
話を聞くくらいならできる〕〔ありがとうございます。
でももういいんです〕〔待ちなさい!私の話を聞いてください〕
(横溝)お母さんは本当にビルの屋上から飛び下りたんだ。
遺書には東京駅に君を置いてきたよろしく頼むと書いてあった。
幼い君を道連れにするのが忍びなかったんだよ。
(横溝)それからお母さんは1度は死んだ命だと言って君のためだけに生きてきた。
その姿を知らないわけはないだろう。
お母さん晩御飯の支度済ませてくれてたんだ。
残念だったわね。
冷めちゃったね。
あっちが瞳ちゃんの席でしょ?えっ?ハンバーグあっちの方が大きいもんね。
お母さんは君が壊したバイクの弁償をするために家にあったお金を全部使ってしまったんだよ。
それでも足らないから保険の解約までしたそうなんだ。
ママ…!死んじゃやだママ…!大丈夫よ。
お母さんきっとよくなるから。
安浦さん。
課長から連絡がありました。
小峰さんを刺した凶器はバタフライナイフだそうです。
バタフライナイフ…。
何か心当たりがあるのかね?和樹がいつも持ってた。
和樹というのは?西村和樹。
去年の夏海で波にさらわれて死んだの…。
あの事故の…。
家族は?お父さんしかいない。
お父さんは拓也のアパートの管理人さん。
安浦さん!あんたが杉本拓也君の首を絞めて殺害した…。
これは間違いないな?じゃあそのときのことを詳しく話しなさい。
…拓也君があまり酒に強くないのを知ってたんで一緒にビールを飲んだんです。
それで9時ごろ合鍵を使って部屋に入ると案の定眠っていました。
何でそんなことをしたんだ?つまり動機だが…。
和樹を殺した拓也君と瞳ちゃんが憎かったんです!去年の夏和樹は泳げないからって海へ遊びに行くのを断ったんです。
それなのにあの2人はむりやり誘って…。
和樹は行かないといじめられるんじゃないかと思い最後は嫌々ついて行ったんです。
でそのとき息子さんは高波にさらわれて死んだわけだ…。
やめようというのを遊泳禁止のところで泳ぐと言ったのは拓也君だったそうです。
嫌がる和樹をむりやり海に入れたのも…。
小峰倫子さんを刺したのもあんたか?あの奥さんには申し訳ないことをしました。
電話に出たのが…てっきり瞳ちゃんだと思って公園に呼び出したんです。
(倫子)〔管理人さん…〕〔奥さん…!どうして奥さんが…〕〔瞳に用事って何ですか?〕〔拓也君のことで話があるっていったい何ですか?〕〔それは…〕〔まさか拓也君にあんなことをしたのは…〕〔すみません〕〔でもどうしても許せなかったんです…!〕奥さんにはあんなことをするつもりはなかったんです。
ただうちの和樹が学校をやめたのもあの2人と遊ぶようになってからだと思うと…。
許せなくて…。
和樹は私にとってたったひとつの宝だったんです!働いて弁償するという気持ちをよしとして今回は厳重注意とする。
その後のことは…。
(川辺)それは私が児童相談所に相談いたしまして…。
安さん。
よろしく頼むよ。
安さん。
よろしく頼む。
(安浦)わかりました。
2度とお母さんに心配をかけるんじゃないぞ。
はい。
(ドアの開く音)ママ…!瞳…。
大丈夫?…大丈夫よ。
会いたいなあ…。
おふくろに。
そうか。
おふくろさんニューヨークだったな。
今度日本の歌教えてあげるよ。
いいよ。
よし。
じゃあ俺が教えてやる。
今夜はうちでメシでも食うか。
がんばれよ。
(安浦エリ)野田さんってスポーツ万能なんでしょ?その中でも一番得意なのって何?こいつが一番得意なのは跳び箱だよ。
空手かな…。
でも球技も好きです。
水泳も。
体を動かすことなら何でも好きです。
私昔テニスやってたんだけどテニス以外何もできないの。
今度教えてくださらない?
(安浦ユカ)なにお姉ちゃん急に上品ぶってんの?じゃあ次の休みに一緒にやりましょう。
おはようございますお母さんどこへ今から行きます?2014/03/05(水) 09:55〜10:53
ABCテレビ1
はぐれ刑事純情派14[再][字]

「署長の秘密!?一度死んだ女」

詳細情報
◇出演者
藤田まこと、梅宮辰夫、眞野あずさ ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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