黒柳徹子:皆様、こんにちは。
今日から『徹子の部屋』は39年目に入ります。
これからも、よろしくお願いします。
その記念の日においでくださったお客様、こちらです。
山田洋次監督です。
黒:82歳で、82作品目をお作りになった方です、映画を。
黒:こんなキレイなお花をいただきました。
39年前の今日始まった『徹子の部屋』で、39年目っていう時のお客様でいらっしゃいます。
山田洋次監督です。
どうもありがとう存じました、キレイなお花をいただいて。
山田洋次:おめでとうございます。
黒:ありがとうございます。
第1回目のゲストが森繁久彌さんだったんですけど。
この頃、だんだん、私より年上の方が少なくなってきて、あの…、今日、うれしいというか、そういう感じでお目にかかれるという、そういう事もございまして。
まあ、なんといっても、82歳で、82作品目の映画をお撮りになったところというのは、ものすごいなと。
それは、あとで伺うとしてですね、なんといっても、山田洋次監督は、「寅さん」で、皆さん、よくご存じなんで。
私のところの宝物でもございます、渥美清さんが出て、寅さんやってるんで、妹さんと一緒に…。
妹さんって変ですけど、倍賞さんと一緒に出てらっしゃる『徹子の部屋』なんですけど。
それをちょっとご覧いただいて。
お懐かしいと思いますが、どうぞ、ちょっとご覧ください。
黒:「内緒話しないでいただきたいんですが」黒:「渥美清さん、田所康雄さんがご本名ですが」「そのお隣が可愛いさくらさん、妹さんの倍賞千恵子さん」倍賞千恵子:「おめでとうございます」黒:「本当におめでとうございます」「渥美さん、私が、せっかく今黒:「フフフ…。
いつか、一緒に見に行ったじゃない、新宿に」「あのね、渥美さんと一緒に見に行くの、“寅さん”を」「みんな笑うのね。
で、渥美さんも笑うの」倍・黒:「フフフ…」黒:「でも、あなたは試写室でご覧にならない…」「あなたは、もうね…、渥美さんほどね、こういう俳優さんの中で、よその方の映画とか、芝居とか、ご覧になる方、いらっしゃらないんですよね。
たくさんご覧になって」倍:「見てますね」黒:「すごいでしょ。
でも…」渥美清:「劇場です」黒:「なんでですか?それは」渥:「その方がね倍:「そうね」渥:「反響が違うんです」「例えば、前にね、メロンを…、1個のメロンをみんなで分けて食べるって話があったんですけどね」「その時、寅次郎が帰ってくるのを忘れて、みんなで食べちゃう」「で、寅次郎が非常に怒ったって話をね、新宿とか、そういうところで見ると、みんな、とても笑うんです。
もっともだって」「ところが、浅草の小屋だとね、笑わないんですね」「寅に取っといてやるのが当然なんだと」「食べちゃったお前たちが悪いんだっていう反応がね、浅草の劇場だとあるのね」「ですからね、そうやって渥:「全然違う」黒:「そんなに違いますか」「まあ、お二方はね、浅草に非常に縁の深いお二人だけど」渥:「なんか、そんな事を思いますね」渥:「特別、お正月にちなんだっていうのはないけども、まあ、あれなんかは、そうかしら。
あの…」渥:「…っていう風に言ったりね」黒:「あれ、なんですか?」渥:「あれはね…」黒:「フフフ…、最後のとこがね」黒:お懐かしい。
35年前ですよ。
山:懐かしいな。
うん。
黒:もういないと思うと悔しいんですけど。
このあともね、何度も出てって頼んだんですよ。
だけど、もう、寅さんをやっているので、うんと面白い人だと思われちゃうとイヤだって思ったんでしょうね、きっと。
「お嬢さん、面白い方は、私よりも、たくさんいらっしゃるじゃないですか」「私の話なんざ、どなたもお聞きになりたくないですよ」っておっしゃって、本当に、これが1本…、本当にお宝で、これしかないんですよ。
山:極端に、彼はね、テレビなんかにも出なくなっちゃったですもんね。
黒:そうなの。
でも、それ、やっぱりね、なんていうんですか、寅さんのイメージを大事にしたんだと思いますよ。
山:だから、記者会見の時なんか、必ず、寅さんの服装で出るんです。
映画製作発表のね。
寅さんだけでいたかったんですね、彼はね。
黒:そうだと思います。
寅さんを大事にしてたんだなって、つくづく思いますね。
1作目の「寅さん」の時の写真があるんですけど、ちょっとご覧いただいていいですか?すごいですよ、これです。
これね、すごいの。
これね、全然、渥美さん、変わってないと思うんですよ。
1作目ですよ。
左側はね、山田洋次さんだけど、すごい変わってらっしゃいません?なんか。
山:まだ頭なんか黒いな。
黒:同じ人とは思えないっていう感じですね。
なんか、青年のような。
山:ハハハハ…。
黒:でも、渥美さん、どうして変わってないんでしょう。
これがそうです、山田監督。
お若い。
随分前なんですね、これ、そうすると。
渥美さん、あんまり変わってないように思うんだけど。
山:髪がちょっとね、薄くなるぐらいかな。
黒:そうですね。
上の方が、ちょっとチリチリになってますけど。
山:結局、渥美さんと2人で作ってきたんですよね、あのシリーズはね。
黒:「寅さん」?山:ええ。
あの…、渥美さんだったら、こう演じるだろうなっていう事をイメージに浮かべながら、脚本を書くわけですから。
だから、脚本を書く時には、渥美さん、この辺にいるんですよね。
黒:なるほどね。
だって、27年間で48作品。
でも、あれですよね、東日本大震災の時、皆さんに見てほしいと思って、随分お見せになったんですってね、「寅さん」。
みんなに笑ってもらいたいという事で。
山:神戸の震災の時も、そうでしたね。
黒:そうだったんですか。
山:「寅さん」をという注文が随分あって。
黒:そうですか。
山:東北にも行きましたけどね、何度も。
黒:なんか、笑い声を上げる時に、自分でも…、皆さん、すごい悲しい気持ちでいるんだけど、その時、なんかちょっと、人間的な気持ちに返れるような、そういうところが、みんなにあったみたい?山:だから、やっぱり、笑わせてほしいんですね。
笑いたい。
それが一番、悲しい時や、つらい時に一番必要な事なんだっていう事なんでしょうね。
そういう時に、寅さんっていう人間は一番役に立つっていうか。
山:悲しみに暮れてる人にとって、一番、彼は、力強い励ましの言葉をかけられる人だっていうかな。
山:でもね、最近…、近頃、見返しますとね、なんか、寅さんっていうか、渥美さんっていうか、なんか、宗教家みたいに見えてきますね。
なんか、伝道師といいますか。
黒:ああ…。
山:イエス・キリストと寅さんを比較して、論じてくださった神父さんがいますけどね。
黒:そうなんですか。
山:イエス様だって、もっともっと楽しい人だったに違いないっていうか。
みんなが一緒にいて楽しい人、笑い声が、わーって上がる人。
決して、厳かな、偉い、上からの目線でものを言う人じゃなかったはずだって。
そういう意味で非常に共通しているというね。
黒:すごいですよね。
でも、キリストと寅さんとを並べてね…。
渥美清さんが出てくださったのは、お正月…、さっきの映像、お正月だったんですけど。
その3か月後に今度、山田監督が出てくださったんですが。
ちょっと、その時のVTR…、じゃあ、これ、コマーシャルを挟んで、そのあとで、いいですか?見ていただいて。
ちょっと、恐れ入ります。
黒:さっきの渥美さんの、お正月に出ていただいたのは、ものすごく昔で、あの頃、『徹子の部屋』は、録画をしてなかったの。
高かったんですよ、VTRが。
私が、たまたま自分で持ってたのを残しておいたのを、あれで使ってるんです。
ですから、その3か月あとに出ていただいてるんですけど、それは、ちょっと、VTRがないので。
山:ああ、そうか。
黒:ないので…。
ごめんなさい。
そのあとに、60歳の時に出ていただいた時のVTRをちょっと見ていただいてよろしいですか?それでも、ちょっと前ですけど。
山:「大陸の、この風景の中で育ちましたからね」「山がないんですから、川もない」「ただひたすら、のっぺらぼうの平野の中ですからね」「内地っていうのは、どんなところだろうとか、あるいは、ふるさと、故郷という言葉があるけども、それは、どんなイメージなんだろうっていう事を、よく、子どもの頃から思ってたし、いつの間にか、それが自分の頭に出来てきたっていうか」「絵本を読んだり、話聞いたりしながらね」黒:「日本におりますと、そういう風景、当たり前のように思ってますけれどね…」山:「そうです。
緑が多くてね、水が清らかでという」「それは本当に、実は、すごい、いいとこなんじゃないんでしょうか、この国は」黒:「そうでしょうね」「中学生でいらした時には、随分たくさんの、ビックリするほどの、たくさんの肉体労働をしてらっしゃるんですね」山:「まあ、終戦後のね、ひどい時代ですから」黒:「そうですね」「ちくわ工場?」山:「うん、それはね、ちくわの卸問屋っていうか、メーカーに行きましてね、ちくわを仕入れるわけです」「ツーンと鼻のつくようなにおいのする、ちくわでしたけどもね、安い材料の」「それを、いろんな店に行って、“ちくわ、いりませんか”っつって卸していく」黒:「買ってくれればいいですけど」山:「まあ、少しずつ入れてくれるんですけどね」「だけど、問題は、売りきれない場合に…、余っちゃった場合、とても困ったんですけどね、いいおばさんがいましてね、草競馬の競馬場があったんですよ」「そこの…、競馬場ですから、おでん屋が並んでるでしょ」黒:「おでん屋さん?」山:「ええ」「そこのおでん屋のおばさんでね、ある時、僕が、おでん屋さんで、あれしたら…、歩いてたらね、“いりませんか、いりませんか”っつったらね、“坊や、みんな置いていきな”って言うんですよ」「まあ、“置いていきな”って、山口県の人だから、そんな言い方じゃないけれども」「“あんた、余ったら、いつでも、うちに来なさい”と」「“みんな、おばさん、引き取ってやる”って言うんですよね。
うれしかったですね」「涙が出るぐらいうれしかったですよ」「そういうおばさんたちのおかげでね、生きてこれたのかもしれないなって」「それは何も、ちくわのお金だけじゃなくて…」黒:「ん?」山:「ちくわの、そのお金だけじゃなくてね、なんか、そんな愛情をよりどころに出来たって事ありますよね」「ああいう時代っていうのはね」黒:「でも、初恋っていうか、下駄の鼻緒をすげてくれた女の子っていうのが…」山:「ちょうどその頃でしたね。
僕が自転車に乗って…」「自転車じゃないや、下駄履いて…」「あの頃、下駄でしたからね、学校行くの」「で、しょっちゅう、鼻緒が切れるんですけども」「図書館に…、夏休みでしたね、何キロも歩いていくんですけど、そして、下駄の鼻緒が切れて…。
いつも、ほら、下駄の鼻緒をすげるもの用意してる、革のね」「それ、なかったんでね、まいったなと思って考えてたら、スッと自転車が止まって、女性が…、キレイな女性だったと思うんですが、顔なんか見ちゃいないんですよ。
とにかく、“私がやってあげましょう”っつってね、スススッと、こう、器用に、すげてくれて」「それで、自転車でサーッと行っちゃったの」「自転車の後ろの泥よけに、なんか、変な模様が描いてあるんですね」「その泥よけの色と模様だけ覚えてるわけですよ」「今でも覚えてますけども」黒:「あ、そう」山:「で、もう1回会いたいと思うわけでしょ」「もう恋をしてるわけですから、完全に」黒:「もう、その瞬間にね」山:「そのマークに恋をしてるわけですから。
それで随分、ひと夏ずーっと、自転車見るたびにね、見てましたね」黒:なんか、ご自分でビックリなすったんですって?山:なんか、すごい番組ですね。
20年前の出演場面がね、こうして見られるなんて。
ああ、驚きました。
黒:23年前ですね。
でも、それにしても、あの女の子には、もうお会いになれなかったんですか?その後。
山:会えませんでしたね。
黒:そうですか。
自転車のマーク、覚えてらしたのにね。
山:そうね。
もう、おばあさんになってるんでしょうね、彼女もね。
黒:まあ、そうでしょうね、きっとね。
でも、そういう、いわゆる引き揚げもなさったし、いろんな事の、こういった原点をね、皆さんが話してくださるのが、こうやって残ってるのは、本当にね、ありがたい事だという風に思っています。
山:いや、驚きました。
黒:そうですか。
でも、あれですね、ベルリン国際映画祭の最優秀作品賞の…、えーと、金熊賞?山:金熊賞のコンペにノミネートされたって事ですね。
黒:「小さなおうち」?山:『小さいおうち』がね。
黒:『小さいおうち』。
そうなんですって。
ベルリン国際映画祭の最優秀作品賞に当たる、金熊賞にノミネートされて、もうちょっとで発表になるそうですけどね。
山:それで、これから、世界中の映画があそこに集まって、映画界の中で審査されて、結論が出るって事になります。
黒:今これから、あとで、そのお話になるんですけど。
でも、本当はね、それ、もらえるといいですね。
山:アハハハ…。
まあね、どうなりますか。
黒:本当にいい映画でしたのでね。
一番最初にお撮りになった映画は、なんという映画でしたっけ?山:あのね、『二階の他人』というね。
黒:『二階の他人』?山:まだ白黒映画ですよ。
黒:その時のタイトルバックにですね、ビックリしたんですけど、絵を…。
同じなんですね、今度の。
『二階の他人』の時のタイトルバックが、下のおうちなんですけど。
山:僕は、なんと、第1作に、こういう…。
黒:おうちのね。
山:2階建ての赤い屋根のうちを舞台にして、映画作ってるんですね。
黒:だから、そこが2階だから、『二階の他人』。
それで、今、上の赤いのは、今度の、一番新しい、82歳でお作りになった、82作品目の「小さなおうち」なんですよね。
だから、やっぱり、ああいうものは、頭の中に、いつも、おありになったんですかね。
ああいう2階建ての西洋館みたいな。
山:そうね。
だから、2階建ての可愛らしいうちの中での小さな幸せについての、むしろ反発ですよね。
黒:ああ、そうか。
山:僕の若い時は。
そういういじましい世界観じゃ、世の中は、よくならないんだっていう風に、むしろ思って、『二階の他人』作ってるんだけども。
やっぱり、今、ちょっと違ってきてるんでしょうね。
もう1回、あれを作ろうとしたって事はね。
黒:『小さいおうち』ですね。
山:『小さいおうち』。
黒:可愛い題なんですけど。
でも、可愛い題なんですけど、本当に、これは、いい映画でしたね。
皆さん、そうおっしゃいますね。
本当にね。
私、最近見た映画の中で、あんなにね、いい映画って少ないんじゃないかと思うぐらい、本当に胸を打たれて。
山:そうですか。
どうもありがとう。
黒:本当に。
私なんかは、知ってる時代っていう事もありますよね。
山:そうそうそう。
大体、同じ時期に大田区に、僕と徹子さんはね。
黒:そうです、そうです。
山:僕は雪谷というとこにいましたから。
黒:私、洗足池の近くでしたから。
でも、そういう小さなうちにも秘密があり、それで、なんにも、そこで、おっしゃってないんだけど、だんだん、日本が怖い方角にいくっていうのが、はっきりする映画でしたね。
山:小さな罪の物語だけども、もっと大きな罪っていうものがね、日本全体を覆っていくっていうか、そんな映画でしょうかね。
黒:そう、本当にそうですね。
それを、また、俳優さんがとっても、みんなよくて、役にぴったりで。
本当に、そういう事も、すごくよかったんですけど。
でも、すごいですね。
82歳もすごいんだけど、82作品目っていう数が…。
山:まあ、あんまりたくさん…、数は自慢になりませんけども。
黒:でも、ほとんど、脚本は、ご自分でお書きになってらっしゃるでしょ。
山:ほとんど、そうです。
1本除いて、全部、自分で書いてます。
黒:ご自分で書いてらっしゃるんですから。
81作品の脚本をお書きになってらっしゃるんですから。
それも本当にね、いつかね、渥美さんと歩きながらね、「山田洋次さん、今、何してるんだろう」って言ったら、渥美さんが「いや、山田さんはね」って。
「血の汗流してますよ」って。
山:血の?黒:血の汗。
「血の汗流してね、書いてますよ」って。
山:そんな事言いました?黒:言って。
その時、ああ、そんなに大変なのかって。
私は気がつかなかったんだけど、渥美さんは、そう言ってましたね。
自分が出るものだからこそ、きっと、わかって…。
「山田監督は、今頃、血の汗流してますよ」って言ってましたね。
山:そうか。
そんな事言ってくれてたのか。
黒:そうです。
黒:でも、『小さいおうち』の、ああいうのは、前から、お撮りになりたかったんですか?内容。
山:いや、あれはね、小説読んでたら…、中島京子さんっていう人の。
直木賞。
何げなく手に取って、読み出したらね、真ん中ぐらいへいった時に、これ、映画にしようと思ったもんですから。
黒:そうなんですか。
山:そういうもんですね。
なんか、こうね、巡り合わせといいますかね。
僕、映画の企画って、そうだと思ってるんですよ。
なんだかね、運ですね。
黒:なるほどね。
その本を手にお取りになったっていう事がね。
それと、ちょうどお考えの事と、いろんな事…、戦争の事と、いろんな事があって。
昔の昭和の日本人…。
ちょっと、それじゃあ、その映画ですけど、今度の新しい映画。
本当にすばらしい映画です。
荒井健史:「おばあちゃん、いいよ。
とってもいいよ」「時々、誤字があるけれども、それは俺が直してあげるから、この調子で書きなよ」布宮タキ:「お世辞言ったって、小遣いなんかやらないよ」「昭和10年に建ったばかりの赤い瓦屋根のおうちは、本当に可愛い、小さいおうちでした」「私は、あの小さいおうちが大好きでした」平井時子:「ねえ、今来たお客さん、素敵よ」「主人の会社の人たちとは、ちょっとタイプが違うの」「いい雰囲気なの」板倉正治:「どうぞ、お上がりください」黒:まあ。
松岡睦子:「好きになっちゃいけない人を好きになってるのよ」タ:「そうなんです」健:「おばあちゃん、どうしたの?」健:「なんで泣いてるの?」タ:「私ね…」健:「うん」タ:「長く生きすぎたの」黒:いや、ここのとこ、よかったですよね。
さくらさんをやってた…。
さくらさんでしたっけ、倍賞さん。
今度、主人公っていいますかね、おばあさんなんですけど。
山:老後を演じてる。
黒:老後、うん。
松たか子さんのとこにいた、あのお手伝いさんの老後をやってるんだけど。
私、気がついたんですけど、お手伝いさんがお見合いに行きますよね。
あの時、帰ってきて、自分の部屋行って、泣きますよね。
あの時の声と、倍賞さんが今泣いてる声と、同じなんですよ、音が。
山:そうですか。
黒:だから、私、その時ね、倍賞さんが、もし、あれを…、お見合いを見ていて、これだとしたら、もしかして、同じようにしようと…。
同じ人ですからね。
したんだとしたら、すごいなと思ったけど。
私の感じでは、同じトーンでした、泣き方が。
山:なるほどね。
もう1回、そのつもりで見てみよう。
黒:じゃあ、ここで、渥美清さんのお宝なんですけど。
すごく面白い話をしている渥美清さんを、ちょっと、また見ていただいてよろしいですか?本当に笑わせてくれてるって感じです。
黒:「本当に…。
俳優の皆さん、そうだけども、それにしても、いわゆる、そういった、なんか黒:「いえいえ。
それと、そのね…」黒:「だから、私ね…」黒:「失礼だけども、本当にそう思う」「初めの頃はね…」渥:「仕事の本番中に“そのシャツがさ…”って、僕がそう言ったら、“何?”」「“いや、そのシャツ”」渥:「“いや、黒柳さん、それ…”」「“シャツなんて…”」渥:「“ああ、そうですか”っていう調子、全部」倍:「本当に?」渥:「全部そう」「それがね、とってもね…」「“何?”って言うの、僕がなんか言うと」「だけど、この人ね、慶應ボーイみたいに、卵形のね、キレイな坊ちゃんみたいな人、そういう人が好きでね」「そういう人がカメラの脇にいるとね、“イヤ、よく撮ってくれなきゃ”。
俺の事、放って、そっちに…」「“なんとかで、こっち撮って”とかね」「で、終わったあとね…、仕事終わったあとさ、“ちょっと待っててね”って」「それが、待っててもね、すぐ、普通の人なら来るのが、この人、いつまでも来ないわけさ」「しょうがないから、決めといた場所へ先に行ってるわけ。
そうすると、そこへ来て、怒るわけね」渥:「僕に、こう言うの」黒:「そんな事言った?」渥:「“なぜ?”って言ったら、“あなたはね…”」渥:「こういう風に言う。
“どうして?”って言ったらね、“いい?あなただけよ、待ってなさいっていうの、スッと先行っちゃうの”」渥:「…って、こう言う」黒:「じゃあ、よかったじゃないの、今いて」渥:「そういう風に言ってさ。
今度は行った先でもって、みんなでもって、ごはん食べるわけ」「大勢で、料理食べるわけ。
おなかすいてるから、箸持って、こうやって食べようとするとね…」「スッとエビがくるでしょ。
食べようとするとね、“待って、ほら、渥美ちゃん。
12345678…”」「“6人でしょ”」渥:「で、僕が、なんか、“それ、ブラウス?”って言うと、“何?これはシャツでしょ”って言って、全部そうやって、僕は虐待されてたの、この人に」黒:話し方が面白いですよね。
山:ねえ、楽しいね。
黒:よくあんな事覚えてますよね。
「あなたについていく女はなし」なんて、私、そんな事言った覚え…。
山:そういう記憶力ってのは、すごいんです。
黒:すごい。
本当。
山:本当すごい。
黒:でも、本当に面白い人でした。
そう。
だから、あのね、寅さんは詩人だったっておっしゃってらっしゃるから、そういうところもあるんだけど、普段の渥美さんの話っていうのは、やっぱり、寅さんのように面白かったですよね、ああいう風に。
山:もう、名人の落語家ですよね。
すごかったです。
黒:やっぱり、観察が面白いからなんですよね。
山:ほとんど天才的な観察力と記憶力と表現力と。
黒:そう。
記憶、確かに記憶力…。
山:すごかったですね。
黒:今度の…、話が違うんですけど、『小さいおうち』の見どころを、ちょっと、せっかくですから。
山:そうね、貞淑な奥さんですよ、松たか子さん、美しい。
山:だけど、この貞淑な奥さんの心の中に、ふと、別な青年を好きになっていく。
夫と違う青年をね。
そういう、こう、危うい物語だし、その事を非常に深く罪に思って、苦しむという話でもあるんだけども。
まあ、その向こうに、もっともっと…、さっき申し上げたけども、大きな罪がね、日本人を、日本人の暮らし全体を踏み潰していくっていうかな。
そういう風な見方で見てもらえばいいなと思って。
黒:あの若い青年もね、戦争に行かなきゃいけなかったんだし、そういう事が…。
本当にね、ご成功祈っております。
2014/02/03(月) 13:20〜13:55
ABCテレビ1
徹子の部屋[字]
〜祝39年目突入!“寅さん”の貴重映像に〜山田洋次さんが今日のゲストです。
詳細情報
◇ゲスト
今日から『徹子の部屋』は39年目に突入!記念すべき1日目は映画監督の山田洋次さんがゲスト。
◇番組内容
映画『男はつらいよ』で主演の“寅さん”を演じた故・渥美清さんは、山田監督はもちろん、黒柳さんにとっても特別な存在。ほとんどテレビに出る事が無かった渥美さんが、35年前に1度だけ倍賞千恵子さんと共に『徹子の部屋』に出演したことがあった。今日はその貴重な映像を見ながら思い出話に花が咲く。
◇おしらせ
☆『徹子の部屋』番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/tetsuko/
ジャンル :
バラエティ – トークバラエティ
ドキュメンタリー/教養 – インタビュー・討論
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0×0818)
EventID:52467(0xCCF3)