（め以子）すいません大村さんまで。
（大村）構へん構へん。
どうせ藤井君に呼び戻されとったから。
建てるもんぎょうさんあるから小さいじいさんでも働けて。
（トラ）
早速西門家のバラック造りと蔵を座敷にしつらえる計画が始まりました
蔵座敷てどんなふうにしたいんや？あ…あの…。
・
（竹元）奥！竹元さん！？
（静）生きてはったんですか。
（竹元）奥！大変な事になってるじゃないか！ああ…空襲で焼けて。
うま介が無くなってるじゃないか！どうなってるんだ！どうなるんだ焼氷は！・「突然偶然それとも必然？」・「始まりは気付かぬうちに」・「予報通りいかない模様」・「そんな時こそ微笑みを」・「ポツリポツリと町の色変わってゆけば」・「傘はなくとも雨空に唄うよ」・「どんな君でもアイシテイル」・「顔を上げてごらん光が照らす」・「涙の河も海へと帰る」・「誰の心も雨のち晴レルヤ」・「雨のち晴レルヤ」何やえらい事焼けてませんか？先生独立しはったって聞いてたんですけど。
それどういう事なんですか？無人島だ。
（藤井）無人島で暮らせるんですか？過酷だったがすばらしい日々だった。
住居を造り井戸を掘り見晴らし台を造り木の実を採取し海の幸で命をつなぐ。
そんなんホンマにできるもんなんですか？できるに決まってるだろ！古代の人々は昔そうやって暮らしていたんだ。
空から爆弾が落とせるようになっても無人島で暮らすすべがないとは実に愚かしい。
人類とは進化しているのか退化しているのか分からんな！さて座敷の話だったな奥。
あああの…藤井さんと大村さんにお願いしてるんでお気持ちはうれしいんですけど…。
私がやってやると言ってるんだぞ。
いやあの竹元さんにお願いするようなモダンなもんやありませんし。
予算も…ねえ。
そんなにありませんし。
がっかりだ！奥！お前は私の事が全く分かってない！私はデパートの大食堂並みの男だぞ！そばの付け合わせにハンバーグステーキを食せる男だぞ！ちょっと…何でこんなにこの蔵の改築やりたがるんですかね。
いや…金かかるもんばっかり建てはったさかい発注ないんとちゃうか？そうだ！建てたいんだ私は！一面が焼け野原だというのに。
建て放題だというのに。
私の情熱はあふれかえるばかりなのに。
このままでは私は爆発だ！まあほな一緒にやりまひょか？
（笑い声）ええんですか？ああ。
モチのロンや。
何しろ先生はおもろいもん造らはるし。
面白のうてええんやけどな。
じゃああのほら奥さんどうしましょう？あの…ご希望。
ああ。
あの…来てくれはった人がくつろげたらそれでええんですけど。
悠太郎さんやったらこう建てるみたいなんがあるとうれしいなあって。
ほ〜う。
赤門の建てそうな…。
あのバカの。
西門君…。
何や難しいですか？いやいやあの難しいいうか赤門らしさて…なあ。
うん。
いまひとつ…。
ないんだ。
あいつには建築的な個性が何一つ。
えっ？とにかく安全で頑丈でいう事以外になあ。
いまひとつ…。
こだわりがないんだ！せやったんですか？
（泰介）ただいま。
お帰り。
（源太）うん？何や蔵の相談？
（静）よかったら源太さんも知恵出して。
あっ大村さん。
何何？そういえば小学校の窓のうて。
（２人）ああ〜。
あったな。
あったね。
赤門気負い過ぎて。
思い詰めて。
何も描く事がないとフルフルしながら言いに来たあのバカ。
あれ倒れん事にこだわり過ぎてほとんど窓のない校舎になってもうてたんですよ。
そうだったのか！ほんでこれ倒れんけど中の人病気になるでぇて。
悠太郎さんのやりそうな事やな。
そうですねえ。
そうだ！窓が一つもないというのはどうだ！えっ？
（竹元）いっそ斬新じゃないか！ええかもしれまへんな。
いやいや…嫌ですそんなん。
窓ないなんてうっとうしいやないですか。
せやけどよう考えたらうっとうしい男やったしなあ。
どこが？どこが？ありもせん浮気疑うてどなり込んできて。
えっお父さんそんな事したん？あ…いや。
「うちの女房はかいらしいんや」て昔の話よ。
ほんでひったくるみたいにぬか床持って帰りよったんや。
ぬか床？えっ？えっ？いや突然やなある日突然や。
市役所にべにこ来たんや。
あれそういう事やったん？ええ？聞いてはらんかったんですか？
（藤井大村）うん。
赤門「恥ずかしい事は割愛します」言うて何にも言いよりませんねん。
（笑い声）柄はでかいのに器は小さいやっちゃですからね。
真面目なだけ…。
（竹元）いいなそれ！蔵は大きいが座る所は１畳しかないというのはどうだ？空間であいつを表現するんだ。
おっ茶室の発想でんな。
いや器が小さいんやないんです。
常識的な人なんです。
常識的な場所に。
常識的かな？ええ？非常識極まりない事して満州送られた気ぃもするけどな。
そこは情熱家やの。
ふだんは分かりにくいけど実は情熱家やの。
じゃあ赤だな！ええっ？情熱の赤。
壁面は…赤一色だ！嫌ですそんなん。
真っ赤っかやなんて。
安全安全いうても家内安全の方はなあ。
お母さん。
えっまさか赤門浮気しよりましたんか？もうやめましょう。
何だその興味深い話は！いやねこいつがね通天閣のこんな話をこんな大きして大騒ぎしてな。
やめてホンマに。
いつ？いつごろの話だ？一緒にカレー食べはったやないですか。
ああ。
もうやめましょう。
ああっ！ああっ！ああ〜！カレーだ。
えっ？見えたぞ奥！カレーだ！この空間の決め手はカレーの女神だ！はあ？オブジェだ。
巨大なカレーの女神がこの空間全体を見下ろすんだ。
いやあの…日本的な空間が…。
じゃあカレーの菩薩だ。
どんなやねん！カレー色だ。
カレー色。
カレー色カレー色カレー色カレー色カレー色カレー色。
カレーショック！すなわち彼一色だ。
「オンリーユー」っちゅうやっちゃね。
絶対嫌です！そんなお座敷。
（竹元）何を言うんだ奥！カレーの菩薩とはすなわち奥お前自身なんだぞ。
ええ…。
天空からあいつの空間を見守るというのはお前なんじゃないのか。
これを愛と呼ばずして何と呼ぶ？
（源太）まあお前独占欲強いしな。
そんな事…。
そうだ。
この空間はお前の愛と勘違いのファシズムだ！
（笑い声）嫌や…そんな座敷。
大変やったやろな西門君。
大したやっちゃったと思うで実際。
ええ男やったとわしは…。
あ…あの大村さん？はい？まだ亡うなってませんから。
まだ亡うなってませんからね悠太郎さん。
ああ〜ハハハッすまなんだ。
わしも年やね。
藤井さんその後父の事で何か分かった事とかて…。
あっまだ満州からの引き揚げが始まってないから何とも…。
そうですよね。
まだ情報が…。
（竹元）生きている。
えっ？そう決まってるんだ。
あいつが死ぬ訳がない。
私ならあいつをそばに置きたくないからな。
屁理屈で面白みもない。
しかもいるだけで物理的に閉塞感が倍増する。
そんな男をそばに置きたい神も仏もいるはずがない！竹元さん…。
（馬介）ああ〜ああああ。
め以子ちゃん今日くず芋余ったから持ってきたで。
ああ。
（竹元）マスター！はい！うま介が無くなってるじゃないかマスター！ああ！空襲でボボボボボッドカ〜ンって。
どうするつもりなんだ！今後どうする考えなんだうま介は！ああ〜まだどうするか分かりまへん！今後について話し合おうマスター。
よし行くぞ。
マスターこっちへ。
はい！？はい！？先生？はい！？先生！先生〜！行ってしもたな。
竹元さんとお姉ちゃんて何か似てるなあ。
えっふ久と？自分が興味ある事にしか目ぇ向かんのやな。
ああ〜せやね。
（大村）せやけどやっぱり天才は天才やな。
ホンマは大好きなんでしょうねえ。
ホンマやな。
何がですか？これ見てみ。
（泰介）カレーの女神おらんやん。
何や普通やね。
何やったんやろうあれ。
まあ冗談やったんやろう。
いやいやそんな事おまへんで。
ここ見てみなはれ。
ああ。
（藤井）階段わざわざコンクリートとはな。
粋な事しはるわ。
わざわざ手すり。
（悠太郎）安全で住みよい街を造るのが僕の夢なんです。
これ…。
あの人迎えるための座敷やないですか。

こうして蔵座敷の建築が始まっていくのでございます
生字幕放送でお伝えします2014/03/19(水) 08:00〜08:15
ＮＨＫ総合１・神戸
連続テレビ小説　ごちそうさん（１４１）「チョッコレイトな開戦」[解][字][デ]

め以子（杏）の蔵の改修を、藤井（木本武宏）と大村（徳井優）が手伝いにくるが竹元（ムロツヨシ）まで現れる。奇想天外なイメージを膨らませる竹元に悠太郎を思うめ以子。

詳細情報
番組内容
め以子（杏）は、西門家の蔵の改修に取りかかる。藤井（木本武宏）と大村（徳井優）が、手伝いにくる。そこになんと竹元（ムロツヨシ）が現れ、さっそく蔵の改築を買ってでる。め以子は戸惑いながらも、悠太郎が建てそうなものというイメージを伝える。奇想天外なイメージを膨らませる竹元に、泰介（菅田将暉）や源太（和田正人）まで加わって盛りあがる。悠太郎を思うめ以子は、竹元の思わぬ一言に勇気づけられる。
出演者
【出演】杏，宮崎美子，和田正人，菅田将暉，中村靖日，徳井優，木本武宏，ムロツヨシ，【語り】吉行和子
原作・脚本
【作】森下佳子

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード（ステレオ）
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語（解説）
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