銀の匙 Silver spoon 2014.03.19

顔もいっても歯まで磨ける。
いやそらアカンよそれはやめとけ。
(駒場)《お前には関係のないことだ》
(御影)《八軒君には関係ないこと》
(駒場)《俺みたいなのはほっといていいから》
(御影)《大丈夫大丈夫。
何でもないから》
(御影)手綱離しなよ。
私八軒君にしんどい思いしてほしくない。
(八軒)御影…。
《どいつもこいつも自分たちのがしんどいくせに》バカ野郎…!俺なんかに気ぃ使ってんじゃねえよ。
放り出せるかバカ野郎!巻き添え上等だ。
頭だろうが腹だろうが踏まれてやるよ!
(御影)いやだから駄目だって!関わって何もいいことないって。
んなこと分かってるよ!倒産とか何とかくそ重い話聞いてビビってるよ。
膝笑ってるよ。
無理しちゃ駄目でしょ!いいことない上にもうどうにもなんないし。
それも分かってる!じゃあ何で!分かろうとする努力はやめたくない!俺農業とか完全部外者だけど何もできないかもしれないけど…。
一緒に悩むことはできるよ。
御影は一人っ子だから家のことたった一人で悩んでたんだろ。
俺も独りぼっちで悩むしんどさは知ってるから。
だから嫌だったの。
八軒君人がいいから緩くないことだって分かってても絶対うちらのこと放っとかないっしょ。
こうなること分かってたから突き放してきたのに。
余計な心配とかしんどい思いさせちゃうから。
あ…。
んな気ぃ使うなって。
俺はほら夢とか目標とか特にないしその分暇っつうか。
俺もしょっちゅう弱音こぼしてるし話聞いてもらってるし。
…うん。
御影も気にすんな。
なっ?うん…ありがと。
もっと頼る。
何でも相談する。
お…おう!あ…でもホントは競争から逃げてきちゃった俺なんかでいいのかなっつう不安はあったりなかったり…。
フフッ「俺なんか」なんて言っちゃ駄目っしょ。
八軒君はいつも一生懸命でさ私はそういうところがす…。
(依田)お疲れ〜!
(八軒・御影)あっ。
早く帰れよ鍵…掛ける…ぞ。
鍵掛けようか?
(八軒・御影)うわ〜!!
(依田)そっか駒場んち倒産で御影んちは保証人か。
駒場牧場って競売にかけられちゃうのか?
(御影)ローン残ってたりリース中の機械も引き上げられちゃうらしいです。
こればっかりはホントどうしようもないわな。
解決できればみんながとっくにやってるし。
御影んちは大丈夫なのか?まだ細かいことは聞いてないので何とも。
私の代まで借金残るのはじゅうぶんあり得るかな。
額によってはうちも廃業かも。
廃…!?いっちゃんは働いて少しでも早く返すって言ってくれてますけど妹2人を大学にやりたいとも言ってますしできればそっちに貯金させてあげたいですけど。
(依田)つうか働き口あるのか?《何で高校生のうちから借金で頭悩ませなきゃなんねえんだ》《金…金か》《金があればみんなこんなに苦しまなくていいのに》金…。
気をしっかり持て!
(ニワトリ先生)金もうけの話?何かいい方法ありませんかね?
(ニワトリ先生)う〜んというと…。
(2人)カニだべ。
ロシアンマフィアの船と仲良くなってちょこーっと領海にお邪魔して…。
ありがとうございました。
(西川)そりゃあリスクのない金もうけの話があったらみんなやってるわな。
だよな〜単価安いし付加価値付けようと思ってもベーコンやチーズみたいにえらい手間かかるし。
(西川)だな。
(別府)俺らが考えるレベルじゃ高が知れてるんじゃない?あ〜!無力だへこむわ。
そういや経営とか何とか上っ面しか考えたことなかったな。
ネットオークション…。
やったら殺すぞ!
(御影)う〜ん!駄目だ休憩しよう。
ていうか何書いてあるか分かんないことだらけ。
ハァ…。
《一緒にいても悩むことはできるよ》
(相川)金があるってありがたいことだよね。
(常盤)何?急に。
大学行くって決めたときうちの親何の迷いもなく「いいぞ」って言ってくれたんだよ。
大学ってさ何だかんだで金掛かるでしょ。
うちは恵まれてるんだなって。
(多摩子)相川なら目的はっきりしてるから奨学金制度使ってでも大学行くでしょ。
そうだねたぶんそうする。
もうね何が何でも大学入って獣医になってやろうって思うよ。
(八軒の母)《取りあえずこれ》《あんな親だけど俺が大学行くこと考えてその分も稼いでくれてるんだよな》
(慎吾)《東大辞めちった!ヘヘヘヘ》だあー!ムカつくあのうんこ兄貴!うんこバカにすんなや。
御影のとこはさもし大学行くっつったら学費どうすんの?
(御影)私大学行かないよ。
もしもだよ駒場んちの保証人の件抜きにして。
うーんうちに貯蓄幾らあるんだろう。
それにもよるけどもしなかったら牛を何頭か売ることになるだろうな。
公立か私立かでも学費変わるよね。
それって御影牧場の生産性が下がるってことだよな。
だね。
それに経済動物だけどずっと一緒にいたやつらが連れていかれるのはきついよな。
だね。
はい。
うんうん。
分かった。
駒場牧場の牛全部市場に出すって。
もう本当にどうにもならない。
牛全部売られちゃうのか?うん。
牛舎空っぽになる。
売るときがきたら教えてって言っておいたの。
あそこの牛年寄り多いでしょ。
結構顔見知りの子がいたりするから連れていかれるところ見ておきたいなって。
見なきゃいけないなって。
《しんどくても手綱離すな》あのさ。
うん?俺もいいかな?牛連れていかれるの俺も立ち会いたい。
一緒にいていいかな?うん分かったいっちゃんに聞いてみる。
そうと決まったら今日のうちに実家に戻らないと。
八軒君うちに泊まる?え?あした早くに運搬車来るから。
えっあしたの朝?学校どうすんの?休んで。
(寮長)何?サボりの相談?
(御影)ただいま!お世話になります。
(御影の祖父)おお。
(御影の祖母)いらっしゃい。
元気だったかい?あっはい!まあ…。
お邪魔します。
お久しぶりですお世話になります。
(御影の曽祖母)給料。
はい?
(御影の曽祖母)給料使ったかい?あっはい!エゾノーで飼ってた豚を肉になったときに買ってベーコンにしました。
(御影の母)そうそうあのベーコンおいしかったわ。
あっという間に食べちゃったのよ。
うんうまかったよ。
ありがとうございます。
ただわしらみたいな歯の弱いもんにはちょっと硬かったなあ。
あー。
(御影の父)おうバイト。
あっお邪魔してます!
(御影の父)駒場さんち見に行くって?はい。
物好きだな。
離農ってのは見せもんじゃねえんだぞ。
ちょっと父ちゃん。
(御影の父)しんどいぞ。
はい分かってますって俺みたいな業界の外野が分かったようなこと言うのは何か違う気がするので…。
何も分からないです。
友達のためにどうしたらいいか分からないんです。
けど分かろうとする努力はやめたくないんです。
あ…すいません。
これ御影さんの受け売りなんですけど…。
(御影の父)早く飯食って寝ろ。
あしたは早いぞ。
大丈夫です!毎日早いんで。
(御影の父)うるせえ!口答えすんな!あ…はいすいません!あっ。
(御影の祖父)人も家畜もいなくなると建物ってのはあっちゅう間に駄目になるんだ。
駒場んちの牛たちってこの後どうなるんですか?市場でいろんなとこに買われてく。
若いのは他の酪農家に買われてって今日の夕方にはもうそこの牛舎で搾乳が始まるだろう。
(御影の祖父)年寄りは難しいな肉行きかな。
おっとおいでなすったぞ。
市場に入れる時間決まってるから急いでんだべ。
いっちゃんおはよう。
(駒場)おう…って八軒も本当に来たんか。
何だよその面!
(駒場)見たって何も面白いことねえぞ。
分かってるよそんなの。
よーしいい子だ。
(業者)おっと。
(駒場)こらバース!俺らを牛泥棒だと思ってるんだべいい番犬だ。
(駒場)吠えるな!あっち行ってろ。
(バース)クゥン…。
肉になるかもしれないのにみんな素直に乗ってくんだな。
駒場さんとこは子牛のころから一頭一頭丁寧に面倒見てるから人間を信用してるんだよ。
(業者)これで最後です。
(業者)はいよ。
それじゃお預かりします。
(業者)お疲れさまでした。
(駒場の母)よろしくお願いします。

(駒場の母)母さん市場見に行くから後よろしくね。
(駒場)うん。
駒場。
うん?牛舎掃除すればいいのか?手伝うよ。
バイト代出ねえぞ。
いらねえよ。
道具勝手に借りるぞ。
おお!ネズミの死体。
牛に踏まれたんだね。
でけえよネズミ。
(御影)ここ猫飼ってないからね。
動物いなくなるとすげえ寒くなるんだな畜舎って。
うん。

(足音)
(駒場)おう2人とも飲んでけ。
牛乳?けさ搾った駒場牧場最後の牛乳だ。
いただきます。
(3人)ハァ〜。
ハァ…うめえなぁ。
当たり前だ!バカ野郎。
当たり前だけど最高の褒め言葉だ。
ありがとな。

(御影)いっちゃん今日からバイトなんだって。
へぇもう動き始めてんだ。
(御影)そのための原付の免許一発で取ったって自慢してたよ。
よかった思ったより落ち込んでなくて。
いや違うと思う。
夢がなくなって空っぽんなったから取りあえず目標見つけて気持ちつないでるだけだと思う。
何つうのかな…。
俺も中学んとき点数取らなきゃ親の期待に応えなきゃって勉強の中身も将来の自分像も何にも考えなくなっちゃって。
空っぽになっていく感覚…。
あれは怖いよ。
夢を目指さなくなるのって怖いね。
でも夢があるのにそれを目指さないでこれでよかったんだって一生自分をごまかし続けるのはもっと怖いよね。
御影やっぱ自分のやりたいことやれよ!自分殺して何になるんだよ。
今までずっと親の期待に応えなきゃってやってきたんだよ。
八軒君ごめん。
迷惑掛けるかもしれないけどもう少し勇気もらえるかな。
おう!巻き添え上等。
一緒に頭踏まれてやるよ。
(御影)じいちゃんただいま!お〜歩いて帰ってきたんか。
うんタロちゃんただいま。
ウフフフフッやめて!アキはホント馬が好きだな。
何いまさら。
でもじいちゃんの馬好きに比べればまだまだだよ。
(御影の祖父)だべ?ウフフウフフ。
(御影)フフフッうん。
(ドアの開く音)
(御影のおじ)こんちは。
(御影)おじさんいらっしゃい。
こんにちは。
(御影のおじ)おお八軒君もか。
駒場さんとこ大変だったな。
(御影)うん。
うちも大変になるけどアキ頑張ってくれな。
じいさん父さん助けてやってくれや。
今日はこれから経営どうするか相談するんだけども八軒君どうすんの?関係ないやつが聞いてもつまらん話ばっかだぞ。
ああ…。
私がいてって頼んだの。
(御影のおじ)ああそう。
八軒君ひょっとして婿候補かい?
(御影の祖母)だといいね。
あの子真面目だから大歓迎だわ。
(御影の祖父)牛全部売ったけどまだまだだべな。
(御影の祖母)畑も全部売れるかねえ。
駒場さんも一郎も働くって言ってるけど。
まだ下の子2人育てなきゃならんべ。
まとまったお金いるわよね。
(御影のおじ)うちになんぼ請求来るべか。
ざっと見1,500万ってとこかね。
えっ1,500万円…。
まだマシかもね。
億単位で借金してる農家もあるから。
さてどうやって金返していくかな。
(御影の母)一日3回搾乳にする?じいさんばあさんだって体にガタきてるべ。
人を雇うことになるぞ。
(御影のおじ)人件費どうすんだ?
(御影の母)人なら何とかなるしょ。
高校卒業したらアキがうちに入るし。
(御影の祖父)うんよし。
まずは馬全部売るべ。
(御影のおじ・御影の父)えっ。
(御影)あっ。
全部売るって馬やめるんか?やめる。
俺の道楽でちょこっとやっとるようなもんだもの。
俺もな年食って体も思うように動かんしでかい馬の世話は骨が折れるんだわ。
やめるにはいい機会だ。
いい機会ついでだ社長業も豪志に譲るわ。
(御影の父・御影のおじ)えっ。
(御影の祖父)いいな豪志。
お…おう。
(御影のおじ)えっちょちょ…。
親父本気か?俺はもう社長じゃねえし経営のことは豪志に聞け。
(御影のおじ)兄貴。
(御影の父)ああ。
馬は売るこれで少しまとまった金ができるだろ。
《でもほらうちだって馬飼ってるから楽しみもあるよ》
(御影の祖母)完全にやめちまうのかい?アキのために残しといてくれない?この子ホントに馬が好きなのよ。
御影きついだろうけど今を逃したらもう切り出せなくなるかもしれない。
後回しにしても余計しんどくなるだけだ。
みんなに反対されるかもしれないけど俺は何があっても味方してやる。
そのためにここに来た。
(御影)父さん母さんじいちゃんばあちゃんひいばあちゃんおじさん。
私御影牧場は継げません!
(御影のおじ)えっ。
私には夢があります!2014/03/19(水) 02:14〜02:44
関西テレビ1
銀の匙 Silver spoon[字]

実家の牧場が倒産し、エゾノーを去る駒場。八軒は、余計な心配をかけたくないと悩みを伏せていた御影を『一緒に悩むことはできる』と説得し駒場の家へと向かう。

詳細情報
番組内容
「寮があるから。」という志望動機で、大蝦夷農業高等学校(エゾノー)に入学した八軒勇吾。札幌の進学校での厳しい学力競争に敗れ、ある意味、逃げるようにエゾノーに入学した彼は、広大な自然と動物に囲まれたここで、全く別の厳しさに直面することに。一般家庭で育った八軒にとって、エゾノーで行われる実習や部活は、初めて経験することばかりで、悪戦苦闘の毎日。また、自分とは違い、将来の夢や目的を明確に持つ他の同級生
番組内容2
たちは、彼に進学校にいた頃とは違った焦りを感じさせる。それでも、課題を一つ一つこなし、同級生たちとの絆を深め、少しずつ精神的にも肉体的にも成長していく八軒。汗と涙と土にまみれた青春が、今日も続いていく。
出演者
八軒勇吾: 木村良平 
御影アキ: 三宅麻理恵 
駒場一郎: 櫻井トオル 
稲田多摩子: 高垣彩陽 
相川進之介: 島